窓ガラスがくもり、外の景色が見えないような朝。体は動くが頭が起きないような寒い、朝。
二、三回身じろぎをしていたが大して暖をとれるわけでもない。それを分かった時くらいにやっと頭が目覚めてきたので俺は自分の体温でぬくくなった場所から出た。
「二度寝、したのですか」
冷たい空気にまっすぐ通る声にまた少しだけ頭が起きる。
声の主はレグルス。俺はこいつに居候させてもらってる。まあ、俺はお父さんみたいなもの実際、父親とは対して話したことはないにも関わらず、だ。
几帳面な奴の前で、だらしなく寝まきを着ていた俺は注意されるのが嫌で寝巻を少しだけ着直した。
「ちげーよー。いつもより遅く起きてー、んで、布団の中でごそごそしてただけ」
軽く流すように答えると、
「そうですか。今日は10分ほど起床が遅れていましたね。」
と淡々とした声色で答えた。
――――細か・・。
心の中だけでつぶやく。
そして俺は既についてる暖炉の前にあった椅子にほぼ倒れ込むように座った。休める場所を見つけた体が反射的に溜息をもらした。その直後に横から暖炉と違う熱を感じた。その方向へ顔を向けるとココアがはいったコップがあった。
「貴方は猫舌ですから、暫く冷まさなければなりません…がそれを考えて10分ずらすとなれば一緒に朝食を摂ることができません。」
「お、おう。サンキュ」
レグルスは朝夕の食卓は共にしたがる。ジャンクフードが好きな俺は昼にはそれを口にしたがる事が多い為、メニューはそれを考慮したものが出る。
今日の朝食もレグルスがカロリーや栄養素を計算して比較的ヘルシーなものを作ってくれたようだった。俺が猫舌である事を気遣いをするように俺の栄養バランスなんかもよく気にかけてくれているみたいだ。
ココアをこぼさないようにしながら、暖炉の椅子から立ち上がり、朝食が並べられた机まで歩く。朝食をまじまじと見つめているとレグルスも俺の事を見始めた。
「…レグルスは俺の事そこまで気遣うけどな。いつか俺も独り立ちすんだぞ」
「そうですか。まだ一人で薪を割るのも苦労するのに、ですか。」
すました顔で机に座りながらレグルスが言った。う、と不機嫌な顔になってうるせー、などと愚痴をこぼしていると、「早く食べなさい。」と促され適当に相槌を打って再び食事を始めた。
いつもは他愛もない話を交わしているが、早く食べろと言われていたし、寝坊したのもあるので少しだけ急いで食べた。
「今日の仕事の手伝いの内容とかは決まってんの?」
食べ終わって食器を片づけ始める時に、すでにキッチンで食器を洗い始めているレグルスに聞いた。するとレグルスはさっきコーヒーを飲みながら行った時みたいに、淡々と俺に仕事内容を告げる。
「まずは、本部へ手紙や依頼書を届けてください。昨日はたくさん受け取ったので少し多めですから私もついていきます。その後は外の大陸の新聞と新図書を図書館に渡しに行ってください。」
はーい、と間延びに告げると洗っているレグルスに皿を渡した。