【あとがき『指切り』】
普賢追悼SS。
リアリストの普賢がかたちのないものをよすがにする瞬間の人間的な姿、そして、胸に秘めた意志の強さやその根底にある優しさを表現出来たらと思い書きました。
太公望も普賢も聡いので、お互いのことをよくわかっているからごく短い言葉で話して通じるイメージがあります。
「臆病だから」という部分は、この話の中で普賢は自分でそう言っていますが、性格的なものではなく、生き物としての本能的な恐怖の表現として入れました。
タイトルの『指切り』は、どんなことがあっても普賢が太公望を守り、先へ行かせるという普賢からの約束であり、また、自分から指を離したことで無常にも縁が『切れる』=普賢の死(封神)というイメージもあってつけました。最善の算段がついたならすべてを振り切って潔く逝ってしまう、そんなイメージです。
因みに普賢の見た悪い夢と太公望の見た悪い夢の内容は違ったものだと思っていて、普賢は『ふたり取り残される夢』を見ましたが、太公望は『自分ひとりが遺される夢』を見たのだと思います。
いつか来る日を悟って悪夢を見てしまうわけですが、その時が来たら皆で生き残ろうと考える太公望と、自分を犠牲にしてでも太公望を先へ行かせようとする普賢の、ふたりの決定的な違いが見た夢の内容の違いであると思います。
『無形のアウトライン』を配信当日の深夜に聴いて、一晩でほぼ決定稿の状態になりました。
悲しい話というのはどうしても人の心を抉ってしまう可能性があるので、あまり出すべきではないのかなと考えたりもするのですが……(この気持ちは自分の書いたものに対してだけ感じることです)しかし書きあがったものは出そうと思い、出しました。
pixivで気に入ってくださった方もいらしたようでした。ありがとうございます。載せて良かったです。
読んでくださった方、ありがとうございました!