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    “ソウゾウシャ”の選択と始まり日もくれはじめ、外の景色は朱色のような、オレンジのような色で染まっていく。そんな綺麗な景色を拒むかのようにカーテンを閉じ、
    ぼんやりとした明かりが照らす部屋の中で様々な色で光る長方形を覗きこむ一人の影があった。
    机の上は散乱しており、置かれているものも、写真であったり、漫画であったり、普通のノートであったりと、雑多としている。
    長方形は、それらを無理矢理端に寄せ、できた空間にネジを埋め込むがごとく座らされていた。
    そんな机の前に座り込み、長方形を覗く影は、ジャージのような寝巻きを着て、背中を丸めるように画面を覗きこんでいた。
    長方形は文字でびっしりと埋め尽くされており、遠くから見ると灰色にも見える。
    レポートだろうか、しかし、開いているのはメールや、ワードではなくブラウザで、それも小説投稿サイトなため、恐らく小説なのだろう。

    パチリ、と音を立てて書き終えた時、電子音とともに一通のメールが送られてきた。
    小説を保存し、メールボックスを開くと、送られてきたメールの題名は、「おめでとう」の一言だった。
    知らないアドレスからの物だ。
    『迷惑メールだろう』そう思って削除しようとしたとき、うっかりと開いてしまった。
    『やらかした』そう思い、閉じようかと思ったが、『変なものをダウンロードされてないしな...変なとこクリックしなければいいし、まず迷惑メール自体珍しいしな、たまには読んでみるか。』と、気まぐれをおこし、削除するのを引き伸ばした。

    [おめでとう、ソウゾウシャさん。

    君は選ばれたんだ。

    これから君は君の思い描いた世界にソウゾウシャとして招待される。

    君にはその世界へと行く権利を与えられる。

    しかしそれは逆にいかなくてもよい。

    それは君が選んでほしい。

    だが、
    少しでも行きたい。
    と思うのであれば、そろそろ着くであろう荷物の中にある手紙の通りにしてほしい。

    ...欠片も行きたいと思わなければ、警察に届けるなり捨てるなりなんなりしてくれて構わない。

    期限は、そうだな、3週間にしておこう。

    それでは、君の選択と“ソウゾウ”に。]



    下手に改行し、スカスカともとれるメールの内容。気まぐれに読んでは見たが、厨二病くさく、『痛々しい』『ワケわからん』『は?』という感想しか出てこない。
    特に、[そろそろ着くであろう荷物]は住所がバレている。とでも言いたげな一文だ。
    これこそ『は?』と言いたくなる。
    いや──


    ピン、ポン、


    ぐだぐだとメールに文句を思い浮かべていると、あまりお世辞にも広いとは言えない部屋にチャイムが鳴り響く。
    びくり、と肩を震わせては扉を見やる、普段と全く変わらない。
    しかし、『関係無い、』そう頭ではわかっていても、先程のメールの内容といい、
    現実リアルにおきてしまった』そう思ってしまう。
    しかし、ビビって、居るにも関わらず、出ないのはせっかく来てくれた配達員さんに申し訳ない。
    『きっと、頼んだものとか、親とかから送られてきたやつだ。そうに決まってる』はーい。と間延びした返事をすれば少し急いでに扉へと駆け寄り、鍵を開く前に、ドアスコープを覗きこむ。
    ............誰も居なかった。本当に誰一人として見えない。
    子供のイタズラにしては全く足音がしなかった。
    むしろ、静かすぎるくらいだったはずだ。
    考えていたとしても、それはついさっきのこと、それくらいは思い出せる。
    『おかしい。おかしすぎる。...いや、考えすぎか。』鍵を開けてはドアを開く。
    ガチャ、と開くと、そこにはなんと、帽子を目深に被った、ぴったりな黒い長袖のハイネックのシャツと、明るめな青のジーパンを着た青年らしき人が立っていた。
    「.........!?」
    声が出なかった。
    『ありえない。意味がわからない。おかしい。あ、もしかして目がおかしかったのか?見えてなかっただけk...っていやいやいや、万年視力Aだぞっ、あるわけない。それに、外の風景も見えt――
    「どうしました?」
    「ヒャイ!?」
    透き通った綺麗なテノールの声が淡々と、冷たくとも取れる口調で、心配そうな発言を響かせる。
    いきなりの事で、思わず声が裏返り、すっとんきょうな声が出てしまった。
    『キェェェェェェアァァァァァァシャァベッタァァァァァァァ!!!っていや人間だぞ!喋るわ!アホか!アホだわ!』なんて、頭のなかで一人漫才をしていたが、一人で悶々としている変人でしかないことに気がつき、
    「す、すみません、少し考え事をしていて。印鑑を────
    「いりませんよ。これ、渡しに来ただけなので。」
    黒シャツの青年は話を遮り、ホールケーキが入る程度の小さめな段ボール箱を押し付ける。
    渡された寝間着の人物は、頭に?マークが浮かびそうな呆けた顔をしていたが、青年はその言葉だけを告げてすぐに走り去り、何も聞くことはできなかった。

    箱を押し付けられ、逃げるように颯爽と消えた彼を見送ったあと、(見送るしかできなかった。)『どうしたものか、』と先程押し付けられた箱の前にあぐらをかいていた。
    正直、コレがなんなのかはわからない。
    ヤバイものが入っている可能性は十二分にある。
    さて、いったいコレには何が入っているのだろうか、
    『振ったりしてみたら何かしらわかるかもしれない。』なんて苦し紛れに思い付けば箱を持ち上げ、軽く振る。きゅ、きゅ、かしゃ、かしゃ、と、梱包材の様な音がする。
    今度はゆっくり傾ける。
    特に音はしない、ギッシリ詰まっているのだろうか。
    箱を傾けたり、振っていると、はらり、と紙が落ちた。
    表だと思われるシンプルな柄のついた面が上向きになっていた。
    箱を置き、紙を手に取る。
    そこにはただ一言、だだっ広い紙にチマッと書かれていた。

    [君の選択と、“ソウゾウ”に。]

    ゾッと背筋が凍るような悪寒が走る。相手には住所がバレている。それは恐怖と結び付き、軽いパニックを引き起こした。
    『どうしようどうしようどうしようどうしようどうしよう...
    頭の中がそれだけになっていく。あわてふためき、ふと紙の裏を見た。そこには表とは逆にところ狭しと、しかしきれいに書かれた文章があった。頭の整理がつかず、紙が真っ黒に見えてしまう。まとまらない頭をどうにか落ち着かせ、文章を読んだ。


    [やぁ、ビックリしたかな。たぶん、君は混乱しているだろう、何で住所がバレてるんだと、私は君の知り合いかもしれないし、はたまた赤の他人かもしれない。生憎、私はネタバラシはしない主義でね。それには答えないでおこう、...さて、本題に移ろうか、あくまで予想だが、君はこの箱に興味を抱いているようだ、そして、警戒も抱いている...それはとても良いことだ、少なくとも、私にとっては。さて、選択は決まっただろうか、安心してくれ、危ないモノは入ってはない。それに、箱を開けるだけでは選択にはならない。]

    普段ならワケわからん。で捨てていたであろう品物、混乱していても、開けることは無かっただろう。
    『...............本当に大丈夫なのだろうか、』
    そんな思いが頭をよぎる。それは、疑いではなく、期待のような思いで、警戒心や、疑いは、まだ抱いているものの、『もし、全てが本当ならば、』と、少しぐらつき始めた。
    そんな、ぐらついた思いを押し倒すように、とある光景がフラッシュバックした。

    それは、
    哀れみや、嫌悪とは少し、
    いや、大分違う、
    真逆とも言える無関心。
    何も無い所を、
    何も思わずただただ見ているような、

    冷たく、

    冷たく、

    冷たい、

    深く、重い、無関心を写す無数の瞳。
    そこに、自分が居ないような錯覚。

    『どんな風に思われたって構わない。』
    『どんな風に言われたって構わない。』
    『見てほしい』
    『見てほしい、』
    『見てほしい。』
    『認めてほしい。』
































    『ここに自分が居ることを。』












    気づけば、箱に手をだしており、開けようとガムテープを引っ掻く。
    ビーーーーーーっとガムテープを剥がせば、箱の上部が少し開く。
    それをもって、中を隠している部分を外に引っ張り出し、中を露にしていく。
    中には発泡スチロールが入っており、振ったときに、きゅ、きゅ、と聞こえたのはおそらくこれだろう。
    段ボールと、発泡スチロールの隙間から手を入れ、持ち上げると、きゅきゅきゅきゅきゅと少し嫌な音をたてて発泡スチロールが二つに別れた。
    中にはスタンダードなプチプチがなにか手のひらよりも一回り大きな四角い物を包み込んでいる。
    プチプチを取り出す。
    思っていたより重く、ズシリと手にのしかかった。
    プチプチから中身を取り出すと、まじまじと見る。
    色はいぶし銀で、大きさは思った通り、手のひらよりも一回り大きい。
    薄さは2cm程で、ぼんやりと光を反射している。
    おそらく金属であろう。
    あまりいじると何が起きるか分からないため、プチプチの上にそっと置いた。
    置いてみると、色の見本とかでよく家具屋みたいなところで置かれているものとそっくりだ。
    箱に目を戻すと、プチプチの置かれていた辺りにまた手紙があった。
    『...またか。』そう思っては手に取り、開く。今度は3枚重ねてあった。
    上から1、2枚が、入っていた物の使用方法だった。
    そして、3枚目がおそらく、手紙だろう。
    『使用方法から読もう。もう、選択は決めたのだから。』使用方法は、可愛らしいイラストが付いていた。

    [異世界移動専用装置インヴァー、
    使用方法。

    ※注意。
    ・時間錯誤にご注意ください。
    ・意識を飛ばします。痛覚などは、過度な物のみ無くし、過度な痛覚が与えられた場合、安全装置が作動し、強制的に戻されます。
    ・帰還時、使っていた虚像は一時的に消滅します。]

    1、インヴァーの汚れを取り除きましょう。

    2、装着したい辺りの部位にインヴァーを当ててください。(手推奨。)

    3、インヴァーの中心に指を置き、30秒待ちましょう。(一回装着したことがあれば、10秒でも装着出来ます。)

    4、青い◎が出れば、指を離しても大丈夫です。

    5、◎を指で二回タップしてください。

    形にに会わせて変形するので余り動かないようにしましょう。

    6、緑の×が出れば、動いても大丈夫です。

    7、安静にできるような状況にしてください(眠ると良いです。)

    8、転移用ナンバーを音声入力しましょう。(音声入力 でスタートします。)

    帰還方法。

    首を軽く掴みながら、帰還。と音声入力しましょう。

    外し方

    緑の×を10秒間長押しすれば外れます。]

    一通り読めば、インヴァー。だと思われるいぶし銀色の四角い物を手に当て、使用方法どうりに装着する。
    カチャカチャと、四角が変形していき、重厚感のある、包帯を機械にしたような代物になる。
    しかし、動かしても全く装着感は無く。
    違和感はほとんど無い。快適である。
    ふと、手紙を読んでいないことを思いだし、3枚目に手を伸ばした。


    [やぁ、開けてくれたんだ。

    選択は決まったかな?

    あぁそう、転移用ナンバーは336だ。

    選択は一度限り。

    後戻りは出来ない。

    戻して。何てことはできない。

    今まで散々煽っていたのに、と思うだろう。

    だが、
    これは事実だ。]

    『...分かっている。けれど、もう、後には戻らない。戻れないんじゃない、戻らないんだ。』そういい聞かせれば、布団へと横になる。
    「音声入力。336」

    6:33。
    それが全ての始まり。
    かもかも Link Message Mute
    2019/06/11 20:45:25

    “ソウゾウシャ”の選択と始まり

    初めの選択。



    初めての作品です。趣味嗜好がごちゃ混ぜな、処女作ですが見ていってくれるとありがたいです。

    投稿は月1を目安にして、短いかもしれませんが、頑張っていきたいです。


    感想を頂ければ光栄です。

    #オリキャラ #オリジナル #処女作 #初心者 #創作 #小説

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