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  • 己が命数と引き換えに 病を癒す者
    見返りを求めず 謝辞も必要とせず
    自ら他者の苦を背負う

    彼の名は薬師堂朔光

    究極の奉仕者
    薬は厄
    師は死
    堂は道
    朔は削
    光は己

    厄災に塗れた己が身を削りつつ、死への道をひたすら歩み続ける者
    「厄死道削己」こそ彼の真名である
    薬師堂家は代々続く治癒の任に当たる家系である。
    治癒といっても、一般的な傷病を治療するだけはない。現代医学では治癒不可能である魔の者から受けた傷、呪詛を癒すことも可能で、むしろその行為こそ主たる使命なのである。

    癒すと言えば聞こえはいいが、その術は残酷であり過酷。というのも、ひとつの傷、病を癒す度、術者は使用した能力に相応する己の命数を削ることになるのである。つまり、瀕死の状態になった者を全回復させようとした場合、術者はその場で死に至る危険性があるのだ。

    薬師堂の技はいかなる傷病も一瞬で癒し、効果範囲はある意味無限という絶大なものだが、その後に待ち受けているものを考えたら、無闇に使うことはできない。そのため、蘇生の術は薬師堂当主の許しを得ず使用することを禁じている。
    しかし、そうなると薬師堂の者は皆短命では、と考える者もいるだろうが、そうではない。彼らにもそれなりの救済的存在があるのだ。それが、薬師堂家と対をなす瑠璃光家の存在である。

    瑠璃光家は薬師堂と同時期に発した家系で、こちらは退魔の任に当たっている。この者達は、前線に身を置き日夜命を賭して魔と戦っている。彼らの生まれ持つ壮烈な気は薬師堂の者に正の作用を及ぼしており、触れているだけで術によって削られた命数を回復することができるのである。
    逆に、魔の者によって受けた傷呪は薬師堂の者でしか癒すことができないことから、瑠璃光家の者は薬師堂の技なくして生き延びることなど不可能。ここで完璧なる共生関係が成り立っているのだ。
    とはいえ、この関係は全面的にいいことばかりではない。もし薬師堂の者が瑠璃光から手を切り、術を使い続けたならば間違いなく近い未来に死が訪れる。薬師堂の家を出ると決める場合、相応の覚悟が必要なのだ。

    そして朔光の母は家を出た。朔光は家のことは何も聞かされず生まれ育ち、ある日「あなたはそういう力を持っている」とだけ伝えられ、技を教わった。そして、「どうかこの技を無闇に使うことのないように」と言い聞かされた。母はそれ以上なにも語ることはなく、父が若くして亡くなった数年後、とある事故に遭遇し帰らぬ人となる。

    その後、朔光はとある高校へ進学し、効率的な技の使い方を学んでいたものの、薬師堂家の人間が彼へ接触してきたことから自主退学。(母が薬師堂の名を持つ者と関わるのを禁じていた)今は昼にアルバイトをして夜は一般の夜間高校で勉強する毎日である。

    魔と対峙し、死を覚悟したある夜
    朔光は『彼』と出会う。
    己とは全く違う、しかしどこか似通ったひとりの少年に。
    『彼』は魔の血に染まった顔を穏やかにほころばせ、言った。

    『こんばんは、今日は実にいい夜だね。

     ようやく君に逢えた。朔光、僕の命を掴む人』
    秋雷 Link Message Mute
    2011/12/10 14:38:01

    more...
    作者が共有を許可していません Love ステキと思ったらハートを送ろう!ログイン不要です。ログインするとハートをカスタマイズできます。
    2012/09/24 1:19:21
    アイコンありがとうございました!
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