怪盗イタッチ大作戦！！第26話 『カラクリ城のお宝』怪盗イタッチ大作戦！！



著者:ピラフドリア



第26話
『カラクリ城のお宝』




「ここがニンニン城か……」



　月の光をバックに赤いマントを靡かせるイタチ。



　彼は怪盗イタッチ。数々のお宝を盗み出す、世界一の大泥棒。



　今日もお宝を狙ってある場所を訪れていた。



「今日はダッチは四神の仕事で休みだ。その分お前が頼りだ、任せたぞアン」



　イタッチは無線の先にいるアンに話しかける。イタッチの言葉を聞き、アンは嬉しそうに返した。



「はい！ 任せてください！！」



　イタッチは無線で案内をしてもらいながら、城内へと侵入を試みる。



「正面の入り口の橋は上げられてるな」



　城の周りには堀があり、池に囲まれた城は侵入者の侵入を拒む。
　こういう和風の城では水に浮いて侵入をしたかったりするが、水に濡れると折り紙の力が弱まってしまう。



『どうやって侵入するんですか？』



「問題はない」



　イタッチは折り紙で鎖鎌を作ると、堀の向こうにある塀に投げて鎌を引っ掛けた。
　そして鎖鎌を辿って塀を登る。



　塀を越えて城内に侵入したイタッチは、城の中を探索する。



「アン、場内の地図はダウンロードできてるか？ 案内してくれ」



『はい。でも、地図も古いものだから、改築してたらそこまでの把握はできてません』



「それで十分だ。最短距離で案内してくれ」



　アンの指示に従いながら城内にを進む。中の見張りは折り紙で壁に変装して隠れる。



　そうやって先に進み。ついに宝のある部屋へと辿り着いた。



「ここにお宝が……」



　部屋を開けて中に入ろうとしたイタッチだが、



「っ！？」



　かすかに開いた襖の隙間から、クナイが投げられる。
　イタッチは折り紙で剣を作ると、クナイを弾いて身を守った。



「……そこまでだ。泥棒」



　襖がゆっくりと開き、そこに現れたのはハクビシンの忍者。



「忍者か……。俺としたことが見つかっていたとはな」



「発見したのは僕だけだ。そして僕は誰にも報告していない」



「ほぉ〜それは嬉しいことを聞いたな。なぜだ？」



「泥棒を捕まえた手柄は僕が全てもらうからだ！！」



　ハクビシンはクナイを片手にイタッチに向かってくる。イタッチは折り紙の剣を両手で持ち、向かってくるハクビシンに斬りかかるが、



「偽物！？ 身代わりの術か」



　イタッチが切断したはずのハクビシンは木片に代わっていた。



「忍者は暗闇に溶け込むもの……。このまま見つからずに仕留めてやる」



　暗闇の中からハクビシンの声が聞こえる。だが、どこにいるのかはわからない。



　イタッチは頬に冷たいものを感じる。咄嗟に下がり避けたイタッチだが、頬に浅く切られた。



「避けたか。勘がいいな。だが、次は外さない」



　未だにハクビシンの姿を見つけられない。このままでは一方的にやられるだけだ。



　イタッチは折り紙であるものを作る。そしてそれを地面に向けて投げつけた。



　地面にぶつかったそれは強い光を放つ。



「ぐっ、これは閃光弾！？」



　暗闇の中に慣れていたハクビシンは目が眩み、動きが鈍る。しかし、投げたイタッチは目を瞑っていたため、動くことができてハクビシンの頭に逆さにした剣を当てて、気絶させた。



　ハクビシンを倒すことができたが、今の光で敵に気づかれた。



　イタッチは部屋に入り、お宝を盗むと急いで城からの脱出を目指す。



「御用だ御用だ」



　部屋の外には見張りが集まる。イタッチは扉を勢いよく開けて、襲ってくる見張り折り紙で作った爆弾を投げつけた。


　爆弾をキャッチしてしまった見張りは焦って味方で渡し合いっこをしている隙に、イタッチは見張りを飛び越えて脱出。



　見張りに投げた爆弾は偽物であり、爆発したと見せかけて見張りのいた部屋は折り紙の花で包まれる。



　見張りを超えたイタッチは、折り紙で作ったグライダーを背中につけると、月に向かって飛んでいった。