SDガンダムワールド三国創傑伝 Darkness ~曹操・劉備対決IF~「……ハッ!」
「…確か私は諸葛亮に負けて…」
私は司馬懿デスティニーガンダム。
先の戦いで諸葛亮に負けてこの世から消え去った。
…はずだった。
気がつくと私は転移門の前に居た。
…そしてその前には転移門の先を見つめ、絶望する曹操。
私はその持ち前の頭脳で瞬時に状況を把握した。
時間が戻っているのだ。
これは二度とないチャンス。
今度こそ失敗するわけにはいかない。
まずは下準備だ。
各エリアの本拠地で宴を楽しむ者共の食事へ、懐柔した料理人に指示し各人の能力を低下させる薬品を混入させた。
…そして、前世同様、曹操に”あなたが世界を救う”という洗脳を施して劉備と戦わせる「あの時」まで持ってきた。
…
曹操「見込み違いだったようだな…ならば…死ね」
劉備「超絶龍破斬!!…」
…(スカッ)
劉備「…あれっ?技が出せない!?」
曹操「…何をしている?今度こそ…死ね」
劉備「……!(目を見開く)」
…
劉備「(腕を抑えながら)くっ…」
曹操「(剣を突きつけから振り上げ)…さらばだ」
劉備「…(顔を背ける)」
司馬懿「お待ち下さい、曹操様」
曹操「(剣を止め)む?」
司馬懿「一度は曹操様のお手を煩わせた者。ただ殺してしまうのはもったいない。」
曹操「どういうことだ?」
司馬懿「私に考えがございます(ニヤァ)」
…
【ブルーウイング社の一室】
劉備「(睨みつけながら)…司馬懿…、曹操さんに一体何をしたんだ!」
司馬懿「さあ…?関係のないことです。あなたにとっても関係のないことになるのですから」
劉備「どういうこ…」
司馬懿「(キィーン)あなたはここの社員となり、あこがれの曹操さんの”お手伝い”をしていただくのですよ」
劉備「おれが…曹操さんの…」
【ブルーウイング社の社長室】
司馬懿「おまたせしました、曹操様。劉備さんをお連れしましたよ」
曹操「そうか。して、どうだった」
司馬懿「ご覧の通りですよ。さあ」
(司馬懿の背後から劉備がゆっくり現れる)
劉備「曹操さん、おれが間違っていたよ。一緒にこの世界を救おう」
曹操「おお、わかってくれたか…して、どうすればいいかはわかっているのか?」
劉備「ああ、まずは国民をBUG化するんだよな?」
曹操「その通りだ。それによってトリニティの消費を抑え…」
劉備「…世界を救う!」
…
(数十分後)
夏侯惇・夏侯淵「曹操様!社内に侵入者が!」
曹操「なんだと…どんなやつだ?」
夏侯惇・夏侯淵「それが…」
夏侯惇「グハッ!」
夏侯淵「ウガッ!」
関羽・張飛「邪魔だ!…劉備!!」
劉備「関羽…?張飛…?どうしたんだよ、そんなに慌てて」
関羽「どうしたもこうしたもあるか!」
張飛「お前、どうしちまったんだよ!?」
劉備「どうって…おれは曹操さんを手伝ってるだけだよ、ああ、社員にもしてもらったんだ。大出世だろ?」
関羽「…っ、本当にどうしたんだ劉備!?」
張飛「本当にどうしちまったんだよ!あれだけ曹操のやってること間違ってるって言ってたじゃねぇか!」
劉備「うるさいな、曹操さんのやることに反対するならもう仲間じゃない。覚悟しろ…超絶龍破斬!!」
…
関羽「…ぐっ…」
張飛「うう…」
劉備「(剣を二人に突きつけながら)…これ以上曹操さんの邪魔をしたらおれが許さない」
曹操「(警備兵に向かって)そいつらを牢に入れておけ」
警備兵「はっ」
司馬懿「お待ち下さい、曹操様。」
曹操「(呆れ顔で)またか…。今度はなんだ?」
司馬懿「簡単なことです。そのままにしておくのはもったいない。そうは思いませんか?」
曹操「私はどうでもいい。勝手にしろ」
司馬懿「ありがたき幸せ。では」
(警備兵とともに関羽と張飛を別室へ連れて行く)
張飛「司馬懿!やっぱてめーが関与してやがったのか!」
司馬懿「うるさいですねぇ、知りませんよ」
関羽「司馬懿!劉備に何をした!?答えろ!」
(丁度別室へ到着する)
司馬懿「さて、あなたたちは…(キラーン)劉備と曹操様を”助ける”のです…」
張飛「おれたちは…」
関羽「劉備と曹操を…」
…
司馬懿「おまたせしました、お二人をお連れしましたよ」
曹操「そうか」
(スッ…と二人が陰からゆっくり現れる)
関羽「…先程は失礼致した。これからはこの関羽、そなたの力となろう…」
張飛「…この張飛、曹操様に逆らうやつは全員返り討ちにしてやる…」
曹操「ほう…期待しているぞ」
関羽「…御意」
張飛「…応」
二人の瞳はどこか虚ろながら敵対する者を睨むような目をしていた…。
司馬懿「クククッ…」
…
そして私はあの山の上にやってきた。
そこには諸葛亮が、例のものを撃ち落とすためのプログラムを組んでいる。
そうはさせない。
…
諸葛亮「あなたの目的はなんなんだ!董卓を唆し、その上曹操さんまで!」
司馬懿「フン。深い意味などない。混沌からこそ新しい秩序が生まれる。」
…ここまでは一緒だ。
今度は間違えるわけにはいかない。
司馬懿「その新しい秩序を弟弟子だったお前と作っていくんだよ(キィーン…)」
諸葛亮「…ボクが司馬懿さんと…?」
司馬懿「そう…私とキミの頭脳でこの世界を一旦混沌化し、新しい秩序を生み出すんだよ…混沌化すればキミの望む未来も簡単に作り直せる…」
諸葛亮「混沌から未来を…」
司馬懿「そうだ…そのためにはそのプログラムをまず、あの邪魔な者達へ向けて一旦混沌化しなくては。(キィーン…)」
諸葛亮「ああ…そうだね、ボクの理想の未来のためにはあいつらは邪魔…」
ダークマスクを被る直前のような瞳の諸葛亮はプログラムを書き換え、黄忠・馬超・ゴの軍の居る方へ向けた。
そしてEnterキーを押し…
彼らの居た周辺は一掃され、そこに居た者たちはあちこちに散らばって倒れていた。
司馬懿「さあ、曹操様の元へ行こうか諸葛亮…」
諸葛亮「はい、司馬懿さん…」
…
仲間達が倒れているそこへ遅れてやってきた趙雲。
「な…なんだこれ…」
「お、おい!しっかりしろ!一体何があったんだ!?馬超!!黄忠のおっちゃん!!」
しかし、皆ピタリとも動かず返事も返ってこなかった。
その場で唖然とする趙雲のもとに2つの影。
「(ザッ…)」
足音のした方へ振り向くとそこには馴染んだ顔。
「関羽!張飛!無事だったのか!」
関羽「ああ…きさm…お前も無事だったのか」
張飛「…」
何か言いかけた関羽と、いつもならうるさいくらいの張飛が一言も発さないことに違和感を感じていると、
関羽「趙雲、お前に紹介したいお方が居る。一緒に来てもらおうか。」
趙雲「…お方…?」
すると、関羽と張飛はその場に倒れている仲間に目もくれず踵を返した。
趙雲「お、おい!こいつらどうするんだよ!」
関羽「放っておけ。邪魔なだけだ。」
その瞳には慈悲が一切籠っていなかった。
【ブルーウイング社の一室】
趙雲「お、おい…ここ曹操の会社じゃないかよ…。どうしてお前達がここに!?」
慌てふためく趙雲に、怒りをおぼえた関羽と張飛は、
関羽「貴様…、口を慎め。」
張飛「曹操様を侮辱するやつは許さねぇ!」
と、両者は武器を趙雲に突きつけた。
趙雲「お、おちつけ。お前たちどうしたんだよ…一体…」
両手を手前に出して後ずさりする趙雲の元へ再度人影が現れる。
司馬懿「ごきげんよう。」
趙雲「お、お前は…確か司馬懿」
そして、趙雲も関羽と張飛同様に洗脳され…
諸葛亮の攻撃によって倒された者達は司馬懿によってダークマスクが装着され、残っている反乱者を制圧や民から略奪するための兵として利用され、ゴ・エリアのメンバーや黄忠、馬超、趙雲らのショク・エリアのメンバーらは司馬懿の洗脳によりブルーウイングの社員として起用された。
諸葛亮は司馬懿と共に、誰でも信長ガンダムエピオンのように身体へ浸透する強力なダークマスクの開発を進めていき、のちにブルーウイング社へ起用されたゴ・エリアやショク・エリアの元メンバーへ実験として装着した。
その実験は成功。より曹操への忠誠度を高めた。
諸葛亮「ははは!やったよ!さすがボク!!」
司馬懿「…諸葛亮、私も一緒にやったでしょう?」
諸葛亮「はは、そうだね。でもでも、これ思いついて最後に成功させたのはボクだよ?ボクって天才!」
その様子は前世の窮奇を思わせる無邪気さであった。
司馬懿「…はぁ(やはりこいつを部下にしたのは失敗だったか…?)」
…
こうしてキングダムワールドはギ・エリアから始まり、守る者が誰も居なくなったラクヨウ・エリア、ショク・エリア、ゴ・エリアは支配されていった…