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    その三 審神者は前線基地の総大将だと言うけど、遠征と内番指示を出してしまえば意外と時間が空く。
     どうやら敵さんはじわじわ攻めるタイプのようで、直ちに戦力を投入して云々、のような全面戦争とは違うらしい。歴史改変の可能性がある過去に飛び、その芽をひとつひとつ摘んでいく作業。……と言った方が、今の状態だと近いかも知れない。
     何にせよ全戦力を投入しない以上は、どうしても時間ができる。その間に「時間遡行軍と戦うまでもない歴史の監視および支援」目的で部隊を送り出す遠征や、自軍の戦力維持のための内番をすると言う流れになっているみたい。戦も刀もまだよく分かってない素人審神者に優しい。と言えば聞こえはいいけど、素人な私でも拍子抜けするのは否めなかった。
     何故って、審神者へ勧誘された時に聞いた大まかな戦況は、戦争に縁がない身でも危機感を覚えるほどだったからだ。それなのに、こんなにゆったりした時間が出来ていいものなんだろうか。
     試しに塩対応狐を捕まえて聞いてみれば、審神者はかなりの数いるからなんとかなっている、と答えてくれた。向こうの戦力は億単位なので、かなりの数の審神者をかき集めても、そうそう好転はしないようだけど。
     そんなわけで時間が空いてしまった私は、遠征の記録を纏めていた。報告義務こそないけど、効率よく資材を集めるには必要なことだから手は抜かない。でも本丸稼動から見るとかなりの量になっているので、近侍の切国とキリハさんに手伝いをお願いしつつ、仕事をしているのだった。
     因みにキリハさんと言うのは、私の本丸へ少し前に顕現したへし切長谷部の呼び名になる。『へし切と呼ばれたくない、でも切国みたいに親しみのある呼び名が欲しい』と誉の褒美にお願いされたので、一晩考えた結果そうなった。へし切長谷部だからキリハさん。我ながら響きが気に入っているし、当の本人にも割と好評だ(一応、お世辞ではないことも確認している)。ちなみに「長谷さん」だとか「長谷くん」は単純すぎたのと、塩対応狐にネーミングセンスを笑われたので止めておいた。ついでに奴の頬は限界まで引っ張っておいたけど、嘲笑われてこれくらいで済ませているので優しいほうじゃないだろうか。
     へし切長谷部改めてキリハさんは今、執務室に唯一あるパソコンで遠征記録を纏めてくれている。私も一応使えるけど、キリハさんが多分一番使いこなしているんじゃないだろうか。その次くらいに切国が使えるので、私の本丸における事務作業は今、彼ら二振りでもっていると言ってもおかしくないと思う。
     データ化が終わった遠征記録を、日付と遠征先に分けてファイリングする。役割を果たしていなかった本棚は、ものの数十分で半分が埋まってしまった。遠征記録でこれなら、出陣の記録はもっと膨大になるはずだ。
     それを切国とキリハさんに相談して、書庫の増設を申請することにした。つくづく、端末ひとつでなんでも注文出来てしまう審神者通販の便利さを噛み締める。
    「……書庫の増設は三日くらいかかるみたい。完成したらここの資料と、押し入れに突っ込んでる出陣記録も運び入れようかと思うんだけど。手伝ってもらえる?」
    「俺は構わない。長谷部はどうだ」
    「主に頼まれたことで、俺が断るものは大体ありませんよ」
     大体なのか。でも、それくらいはっきり言って貰える方が、私としてもありがたい。なるべくお互いが過ごしやすく暮らせる方が、絶対にいいからね。
     キリハさんには、私が主だからと思わず、言いたいことがあれば伝えて欲しいと言っている。忠誠を誓ってくれるのはありがたいけど、我慢は出来るだけさせたくなかった。
     耐えて、耐え抜いた先にあるのは、幸せなんかじゃない。そうやって耐えた結果が今の私なのだから確かだ。いちいちそれを言いはしないけど。
    「あ」
    「どうかしましたか?」
    「いやね、大したことじゃないんだけど……」
     書いている字が掠れてきたのを見て、今更ながら万年筆のインクを切らしていたのだと思い出した。万屋街へお使いに行くグループに伝えようと、昨日までは考えていたはずなのに。十七にして物忘れだろうか。享年なので物忘れでも許されたい。
     うんうん悩む私にキリハさんが「何かあるのか」ともう一度聞いてきたので、観念して万年筆のインクが切れていることを話した。彼が私のミスを笑わないのは知ってるとはいえ、呆けたのかと思われるのも割と心外だ。こちとらピチピチの十七歳だぞ。
     ところでピチピチの以下略って、もしかしなくても死語かな。死語だとしたら私はやっぱり……いや、止めておこう。
    「でしたら、俺が伝えてきますよ」
    「いいの?」
    「ええ。買い物のグループは少し前に出たばかりのはず。俺の足ならば、すぐに彼らへ追いつけましょう」
     誇らしげに胸を張るキリハさんを見て、断ることが出来る審神者が居るだろうか。きっといないはずだ。私のうっかりで使い走りさせるのは申し訳ないけど、私が行って探し回るよりは早い気もする。お礼はするから、と重ねてからお願いすると、快諾したキリハさんは「しばしお待ちください」とにこやかに答えて部屋を出ていった。こっそりテーブル下にストップウォッチを設定したのは内緒だ。
    「そういえば、切国も足速い……というか、機動が高いよね。足が早いとは思ってない感じ?」
    「思ってないな。長谷部は足も反応速度も早いが、俺の『機動』とやらは反応速度に全部振られているんじゃないか」
     書類を整える切国が、少し考えてからそんなふうに答える。ステータス全振りだなんて言葉、一体何処で覚えたんだろうか。私ではないと思いたい。
     ……いや、でも最近誰かの誉お祝いに大広間へ薄型テレビを入れたし、切国はよく陸奥くん達といつの間にか買ったテレビゲームをしてるみたいだから、そこで覚えた可能性もある。やっぱり私も噛んでいるような気がしてきた。
     分霊とはいえ、神様を俗世に染めまくっていいんだろうか。本霊さまに怒られたらどうしよう。いや、怒られるとしたら本霊さまより、切国の本歌である山姥切長義さまに怒られる方が先のような気はする。どちらにせよすすんで叱られたくはないけど。
     私の思いを知っているのかいないのか、切国はいつもの顔で書類の整理をしている。手伝わせておいて今更だと分かっていても、御刀さまにこんなことをさせていいのかは未だに悩みどころだ。手伝ってもらえるおかげで大助かりといえ、なんだか申し訳ない気持ちになる私だった。
     モノとして存在する時間は、私みたいな小娘が百回生まれて死んでようやく追いつくか追いつかないかというくらい長いのだし、それを思うと「主だから」と威張ることなんて出来るわけがない。
     けど、中にはそんなことをしている、悪い意味で怖いもの知らずの審神者もいるらしい。触らぬ神に祟りなしって言葉すら知らないんだろう。部下と取り巻きの区別もつかないなら、こんな前線基地の将なんて向かないと思う。まあ幽霊すら雇用する政府なのだから、とりあえず頭数が揃えばいいって考えなのかも知れない。ぶっちゃけ『刀の主』というよりは『本丸の機能維持装置』として審神者なるものが求められてると思ってるし。
     考えてもみてほしい。戦争をリアルタイムで体験した軍人だとか、何らかの理由で戦いを知っているものが審神者をするならともかく、私のような元? 女子高生くらいの、戦いの何たるかを小娘ですら審神者になれてしまうのだ。政府がどんなに「あなたが本丸の主です」と持ち上げたところで、嫌味か? と思っても致し方ないところだろう。少なくとも私は思った。
     とはいえ私も事情あってセカンドライフを送っている身だし、思ったことを全部まるっと口に出すほどお馬鹿さんでもない。政府が「審神者ルビわたし」を求めると言うなら、それに答えるだけだ。失格本丸だとか落第審神者だなんて呼ばせない。
    「っ痛」
     なんて決意を新たにする私の斜め向かいで、切国の声が聞こえた。見れば眉を寄せて見つめる指先に、赤い線が走っていた。ぷくりと血の玉が浮いて、新しくできた傷から微かに溢れる。
    「あー、紙で切っちゃったか。痛いのよね、それ」
    「……こんな紙切れでも、ひとの肌は裂けるのか」
    「人間って意外に脆いのよ。しかも指先って神経が集中してるから、血が止まっても地味に痛いのが続くし。……ちょっと待ってて。すぐ治すから」
    「待て。さすがにこの程度の傷で手入れはーー」
    「手入れ? 違う違う」
     困惑した顔の切国へ、緩く首を振る。さすがにそれは他の刀が何事かと思うだろうし、切国だって「紙で指を切ったから」なんて理由で手入れ部屋に入りたくはないはずだ。いくらなんでも恥ずかしいだろう。
     心配しなくても、手入れより便利な方法を私は持っている。とはいえ乱発できないし、大きな怪我になるとちょっとどうなるか分からないので、あまり使いたくないけども。
     一言断って切国の手を取る。やっぱり武人だなぁ、と妙な感心をしながら、まっすぐ切れている指先に私の手をかざした。
     頭に思い描くのは、丸くてちっぽけな玉の表面を、慎重に薄く削り取るイメージ。気を抜くと抉ってしまいかねないので、そうっと。上手く削れたらそれを使って、切国の指が治るように、痛みが消えるように『おまじない』をする。かざした手のひらに、柔らかな日差しのような光がふわりと灯って、ゆっくり消えていく。
     切国の指先は、怪我をしていたのが嘘のように綺麗に治っていた。久々だからどうかなと色々不安ではあったけど、上手くいったから良しとする。
    「……な、何をしたんだ。主」
    「何って、治したの。刀剣男士にもちゃんと効くみたいで良かった。もう痛くない?」
    「痛くはないが……」
     呟いた切国は、まだ眉を寄せている。説明がちょっとばかり面倒だし、深く追求せずに審神者の不思議パワーだと考えてくれたらと思った。他の審神者が同じことを出来るかは知らないけど。
     傷が綺麗に治ったのを確認して、切国の手を離した。なんだか心なしか、怖い顔をしているように見える。気のせいだろうか。表情がくるくる変わらない切国でも真顔で黙られているのは怖いので、せめて何か言って欲しい。
    「主」
    「んー?」
    「俺は、あんたの秘密を唯一知る存在だ。だからこそ、言いたいことがある」
     エメラルドグリーンの瞳が、すうっと細められた。もしかしなくても、割と怒っているような顔だ。初期刀として仲間を諌めるものとはどこか違っている。なんと言うか、単なる怒りだけじゃないような。
     まあ、怒られる理由は心当たりがありすぎるくらいあるので、おとなしく切国の言葉を待った。言われそうなことは、大体分かっている。
    「その『力』、二度と使わないと約束してくれ」
     やっぱりか。常識的な感性を持つなら、絶対にいわれると思っていた。なので驚きはしないけど、「これ」の源に一発で気づいたのは、切国が多分初めてだと思う。そこだけはちょっと驚いた。刀剣男士って、霊的な力にも鋭いんだろうか。
     それにしても、約束ときたか。確約できないことには頷けないので答えに困る。この『おまじない』はたまに無意識下でも発動してしまうのだ。死ぬ直前まで使わされていたからかも知れない。当時のことはあまり思い出したくないのだけど。
     どう答えたものかな、と考えている私に「主」と切国が少し強い口調で圧をかけてきた。このまま黙っていても埒が明かないし、今は切国だけしかいないし、少しくらい話してもいいかも知れない。というか、ちゃんと理由をいわないと切国は多分引かないような気がする。そういうところは山姥切長義さまと似ているなぁ、と思った。
    「努力はする。でも、約束はできないかな」
    「何故だ」
    「『死ぬ』まで使わされていたからね。ちょっとした癖みたいになってるの」
     あまり深くは触れない程度に、生前のことを離して聞かせた。周りにとっては「それくらいで」と思われそうな、私が自死を選んだ過去の話。審神者に就任してからそろそろ一年になるかならないか、と言ったところだから、放置されてたらなんかもう、見るに堪えない有様なんだろうなと思う。何がとは言わないけど。
     話を聞いた切国は、ずっと難しい顔をしていた。相変わらず怒ってはいるけど、怒りではなく困惑というか、どこに吐き出していいか分からないモヤモヤを飲まされたような顔だ。同情とか報復は望んでないのだし「そうか」くらいに捉えてくれていいんだけど、難しいのかも知れない。切国は……いや、刀の付喪神さまは、少しばかり優しすぎるんじゃないだろうか。
    「まあ、そういうわけ。それに私も、誰彼構わず使ったりはしないよ。切国だから使ったんだし」
    「……俺なんかを直すのに、その『力』は勿体ないだろう」
    「そんなわけないでしょ。私の大事な初期刀」
     は、と目の前の切国から吐息が零れた。嘲る笑いでもなければ溜め息でもない、例えるならグラスに目一杯入れたせいで押し出され、溢れてしまった水のような息だった。だからそこに感情なんてものはなくて、本当にただ、ぽつりと落ちた感じ。切国の顔からも、陰気さだとか邪気……とまではいわないにしても、とにかく悶々したものが抜け落ちていた。そうなるといつもより幼く見えてしまうから不思議だ。そういう妙なところばかりが山姥切長義さまに似るのもいかがなものだろうか。普段の姿は全く似ていないのに。
    「……あんたは、秘密に一番干渉しなさそうだからと、俺を選んだんだったな。今こうして追求しているのに、未だ『大事な初期刀』と言うのか? 鍛刀でも敵が落とした刀でも、打刀は厭きるほど手元に来ているのに?」
    「まあ、太刀はなかなか来ないよね。そこは否定しない。でも、私が自分の意思で選んだ刀はあなただよ。他の刀は私『を』選んで来てくれてるのだろうけど、私『が』選んだのは切国だけ、じゃないかな」
     初めて審神者になった、一年前のあの日を思い出す。五振りの刀が並ぶ薄暗い中、こんのすけが『最初の一振を選ぶように』と告げたこと。私の境遇を怒らず、嘆かず、報復もしない刀がいいなと考えて、山姥切国広……切国を選んだこと。橙色の下緒に触れて、名前を呼んだこと。
     不本意ながら祈られる立場だった私は、祝詞が何一つ分からない。だから私の声で、言葉で祈り、この世に在ることを祝福しつつ切国を呼んだ。たった五文字の名前でしかない呼び掛けに、あなたがいいのだという祈りに、神さまの切国が答えてくれた。
     だから私は、切国については私の意思でおいで頂いた刀だと思っている。理由はあれだけど、私の意思なのは確かだ。私が選んだ私の初期刀。大事にする理由に、それ以上のものなんているんだろうか?
    「私はこうだから、初期刀が私のことで怒ったり泣いたり報復したりなんてされたくないのは確かだし、切国にしようって決めたのも、そんな反応はしないだろうって思ったのも本当だよ。でもそれは、お互いを全く知らない状態だったからって言うのもあるからなのよね。切国だって、初対面の相手が自分のことへ踏み込もうとしたら拒否反応が出るでしょ? つまりはそういうこと」
     切国はそれを聞いても、分かったような分からないような顔をしている。自分に当て嵌めたらそれなりに理解は出来るけど、完全に理解したわけでもないんだろう。
     ……こうは言ったけど、他の四振りに悪意があってそんなことをする印象はない。だからこそ、彼らを最初の刀にするのはやめたのだ。
     その善意だろう言動を想像して、受け止められないと判断したから。その優しさを「勝手に私の心へ入って来ないで」と拒絶してしまうほど、私自身が草臥れていることを知っていたから。
     それを『似ている』だなんて烏滸がましいの極みではあるけど、なんというか。自分のことで必死な切国へ、勝手に親近感を覚えたところも実は、多少なりともある。きっと他の初期刀にもそんなところはあるかも知れないし、ちゃんと話をすれば、深入りしてこないのだろうなと、今なら思うのだけど。
    「でも、なんだろうね。私が仮にちゃんとした人間で、ちゃんとした手続きを踏んで審神者になったとしても、やっぱり初期刀は切国を選ぶよ」
    「どうして、そう言いきれる? 俺以外は元主も有名どころか、刀自体が有名どころな奴らばかりだぞ。あらゆる名剣名刀が揃っているというのに、俺は……」
    「でも、切国は切国でしょう?」
     勝手に凹む切国へそう尋ねる。怪訝そうにまばたきを繰り返しながら、それでもしっかり頷いてくれた。
     もふさん(小狐丸さまも何故か、誉の褒美にあだ名を欲しがったのでこう呼んでいる。例のごとく管狐からは酷評をもらった)が教えてくれたのだけど、写しというのは単なるコピーではなく、元となった作品への敬意を表すためだとか、作品の良さを広く後世へ伝え続けるために作られることが多いらしい。だから写しが作られることは、元の作品にとっては誇るべき喜ばしいことであり、写しは写しとしての評価を得た素晴らしい作品なのだとか。『写しの良さや価値を分からない者たちの心無い言葉が、切国殿を未だ苦しめているのでしょうね』とも、もふさんは教えてくれた。
     切国……もとい山姥切国広は、敬意を持って打たれた刀。本歌がすごいから真似してやろうなんて軽々しい気持ちではなく、その刀を心から尊敬したからこそ生まれた刀。写しとしての価値を持つと同時に、刀工さんの傑作とすら謳われた刀。
     それだけでも私にとってはすごいのに、私の本丸における切国は、誉を良く取るわ総隊長としての責任感も強いわ、新人のサポートも完璧だわ事務仕事も出来るわで、今更ながらえらい刀を初期刀にしたなぁと、自分で自分に感心してしまう。
    「切国は写しだけど、あなたが傑作と自負するに相応しい活躍を私に示してくれる。未熟でしかない私の信頼に答えてくれる。とてもありがたいことだよ。それは切国だけじゃなく皆に言えるってあなたは思うだろうけど、皆がこんな私に従うのは、切国が模範となってくれるから。本当に、どれだけ感謝しても足りないくらい」
    「っ……」
    「だから私は何度でも、切国あなたを初期刀に選ぶと言える。……感謝してるなんて、今まさにこき使ってるのに言えた口じゃないけどね」
     死人で幽霊が主なのに、よく怒らなかったなと思っていた。おちょくっているのかと言われるくらいは覚悟していたのだけど、私が選んだ初期刀の切国は、戸惑いこそすれ、そんなものかと最後にはあっさりしていた。
     刀が人の姿になって動くことから不思議なのだし今更とは切国の言葉だけど、切国以外の山姥切国広が「そう」受け止めてくれるとはあまり思ってない。性格からしてかっとなることはそう多くなくても、不気味に思われるくらいは覚悟していたからだ。あとは「俺なんかがまともな主を望むべくもない」と落ち込まれるくらいかな? さすがにそんな態度が滲んでたら私でも凹む。
     けど、切国はそのどちらでもなかった。予想通り私の死に対して怒りも嘆きもしないし、俺なんかが、と落ち込むこともなかった。当然驚いて困惑したけど、それくらい。他の刀も、切国の同位体(違う本丸にいる同じ刀はこう呼ぶものらしい。分霊だから?)とやらも、こんな反応はしてくれなかっただろう。ある意味では、理想といっていいかも知れない。
     さらに重ねるなら、切国の口の固さも私が信頼を寄せる大きな理由だ。私が死人で幽霊であることは黙っていて、と最初に言ったのもあって、今に至るまで誰にもこのことを話していない。きっと今後も、話さないでいてくれる気がする。「いうな」と命令したところでうっかりは起きるものだけど、切国の場合はそれすらも起こしていないようだ。会話の絶対数もさることながら、こんな主の命令でもちゃんと聞いてくれているなんて健気すぎる。
     それでいて、切国から一度も「気味が悪い」だとか「幽霊風情」といわれたことはなかった。怒られたことも口喧嘩に発展したことも、一年くらい審神者をやってるんだから当然、両手足の指で数えられないほどにはある。だけど切国は怒りに任せてそんなことを口にはしていないし、喧嘩してもしていなくても、私の身体をいつも気にかけてくれている。
     今回だってそう。ひとりで遠征記録を纏めていた私のところに、切国は命令しなくてもやってきて、あんたひとりでやるには荷が重いだろうと手伝っている。気づいたキリハさんがそこに加わって、ひとりと二振りの執務室が完成した。
     つまり切国は、人間でない私を人間のように見てくれているということ。それが、無性に嬉しくて堪らないんだ。
     人間辞めたのは私の勝手なのに、おかしな話だと自覚はある。それでも否定はしないで欲しいなんて、わがままもいいところだよね。分かっている。だから尚のこと、否定されずにここまで来たことが嬉しいのかも知れない。
     切国は深くため息をつきながら、隠すように布を引き下げる。え、今呆れるところあった?
    「……当たり前だ。あんたが俺の主なんだから」
    「主だからって言うけど、顕現初日からああいうこと聞いても『そんなものか』に着地したじゃない? 頭で理解してたとしても、なかなかそうはいかないと思うのよ。だから、切国が切国で良かったと思うし、仮にあの日のやり直しを迫られても、あなたを喚びたいなって思ったんだ」
     卑屈ではなく事実として、死人で幽霊で、戦争どころか刀のことすら満足に理解出来ていない私が主というのは、切国にとって不安でしかなかったに違いない。それでもこうして支え続けてくれるのを、当たり前だと思いたくはなかった。主だから当然なんて傲慢な考えで、切国や皆の前に立つことだけはしたくない。この世に『当たり前』なんてないのだから。
     切国は相変わらず、顔を隠すように布を引き下げている。拒否なのか照れ隠しなのか分からないけど、多分拒否はされていないはずだ。根拠はない。
    「あんた、変わってるって言われたことはないか」
    「あはは。死人が審神者やってる時点で変わってるでしょ。今更よ、今更」
    「……まあ、それもそう……なのか……?」
    「そこは断定して欲しかったなぁ」
     けらけら笑いながら言えば、切国はむっ、と私を見る。からかわれて怒ったのかと思いきや、細められた瞳には怒り以外の感情も読み取れてしまって、少しだけ溜め息をついた。そんな顔しなくてもいいのに。誰があの日のあの場所にいたって、私が運命を変えることなんか有り得ないのだから。
     私はあの日、あの場所にひとりでいたことで、死を選んだ。それ以上でもそれ以下でもなくて、そこを変えたいってなるとそれこそ、生まれた直後くらいからやり直すくらいはしないと無理なんだろうなと思う。そんな気はこれっぽっちもないし、仮に私がそんな想いを抱きそうになったら斬ってでも切国には止めて欲しいし、切国がそうしたがる素振りを見せるなら顕現を解いてでも止めるつもりだけど。
    「主」
    「ん?」
    「……いや、なんでもない。話したくなったら、話す」
    「そっか。じゃあ、話したくなったら聞かせて」
     切国は小さく頷いて、また書類の整理に戻る。追求するのは簡単だけど、切国みたいなタイプは、踏み込みすぎれば防衛本能で貝のように口を閉ざしてしまうのだ。今すぐしなければならない話でもないなら、こうして彼にタイミングを委ねて待つのが私流である。
     そのおかげかは分からないけど、切国も最初みたいにだんまりではなく「話したくなったら」と意思表示をしてくれるようになった。一年くらいでここまでいけたのは、なかなかいい感じなんじゃないだろうか。相変わらず誉の褒美は受け取ってくれないけど。誉スタンプ、あなたのだけカード丸々埋まってるのにな。いちいちそれを盾に無理強いする気がないだけで、切国が望みさえすればいつでも準備は出来ているといっていい。
    「ただいま戻りました、主」
     沈黙が続くかなと思いきや、すらりと障子が開いた。キリハさんが息一つ乱さず、汗すらかいてない姿でそこにいて、にこやかに伝言してきたことを告げてくれる。男性かつ戦神の彼には、これくらいどうってことないようだ。さすがだと思いながらも、こんなにも強い彼を使い走りにした申し訳なさがじわじわとまた湧いてきた。
    「お帰りなさい。ごめんね、こんな使い走りみたいなことさせちゃって」
    「お気になさらず。頼まれていたデータ化も、丁度一段落ついたところでしたし。それに、この程度の命令なら可愛いものですよ」
     ……そういえばキリハさんが顕現した時「家臣の手打ち」や「寺社の焼き討ち」などご随意に、なんて話していたなぁと思い出す。どちらも織田信長が命じたことらしいので、刀の頃からそれを見ていた(刀が「見ていた」はおかしいけどそれ以外に表しようがなかった)キリハさんにとって、上に立つ者はこれくらいの苛烈さを持つものと思われていたのかも知れない。さすがに血で血を洗うような時代に生きてなかったので、そう言われても困惑しかしなかったけども。
    「いや、命令ではなくてお願いだからね。何にせよありがとう、キリハさん」
    「ふふ、そうでしたね。これくらいの『お願い』であれば、造作もありません」
     にこやかに返したキリハさんは、休む間もなく残りの作業へ取り掛かろうとする。少しは休んでもいいんじゃ? と思ったものの、戻ってきた彼に気づいた切国が「ちょうど良かった」と何か確認するため書類を持って立ち上がったので、タイミングを逃してしまった。
     切国はちゃんと相手が休むべきかどうかよく見ているし、その上で仕事のことを聞きに行ったなら、まだ大丈夫なんだろう。刀剣男士の疲労感が端末上で大雑把にしか分からないのは不便なものだ。細かく表示されたら困る審神者がいるのか、政府がシステム改修をさぼっているのかも知れない。前者は俗に言う黒認定審神者に片足突っ込んでそうで引くし、後者は審神者そのものを雑に扱っている証なので、何とかして欲しいものだ。高望みしすぎじゃないよね、これ。
     書類に向き合う振りをして、ちらり、と切国を盗み見た。さっきの複雑そうな顔は、当たり前だけど何処にもない。今は完全に「初期刀の山姥切国広」の表情で、キリハさんと書類のあれこれを話し合っていた。
     その初期刀に、彼以外の全ての刀へ隠し事をさせているのは、もちろん申し訳ない気持ちがある。ただ、くどいようだけど私は、私の死を悲しんだり怒られたり、何故だと追求されたくはないのだ。その時は死だけが私の救いだった。ただそれだけの話で、それ以上もそれ以下もないのだから。
    「どうかしましたか、主」
    「え、」
    「何か訴えるような目をしていますが……」
    「あんたが休まず仕事しようとしているのが気になるんじゃないのか?」
     私が何か言う前に、切国がさりげなく助け舟を出してくれた。実によく出来た初期刀だと心の中で拝んでおく。切国にも同じことが言えるんだけどね、の気持ちは、言葉になる前にしっかり飲み込んでおいた。
    「お気遣い、痛み入ります。ですが俺なら大丈夫ですよ。そう探し回ったこともありませんからね」
    「そう? 無理せず休んでね。キリハさん」
    「主こそ。昨晩も遅くまで何かされていましたが、休まなくてもいいんですか?」
     ぐ、と返事に詰まる。見た目は人間そっくりと言え、私には疲労する肉体なんてないのだ。休む必要性が全くないし、そうかと言って夜明けまでぼんやりするのは嫌なことばかり思い出して気が滅入る。だから少しでも、と仕事を片付けていたのだけど、まさかキリハさんに見つかっていたとは。
     切国の視線がめちゃくちゃ刺さる。違うんだ我が初期刀聞いて欲しい。これには海より深いわけが……いや、ないんだけども。私だってこんな舐められる見てくれだけど審神者なのだし、少しは主らしくしたいなと思ったってだけで。別に徹夜大好きですとアピールするつもりなんてなかった。本当に。眠るという概念は幽霊にないんだよと言いたいけど、キリハさんがいる手前、だんまりしか出来ない。
     切国から、小さな溜め息がこぼれた。
    「……たまたまだろう。俺が寝ずの番をしていた時は部屋が暗かったしな」
    「そうなのか?」
    「俺があんたに嘘をついて、何の得がある」
     切国が布のあわいから、じとりとキリハさんを見つめる。
     こう表してはいるけど、切国からすれば普通に見ているだけだ。布の陰影と伏し目がしな瞼でそう感じられるんだろうなと思っているし、本人もそこは地味に気にしている。もちろん切国が普通に見ているだけだと大半は分かっているから、本丸内でいざこざが起きたことは今のところない。分かっていても怖くて泣いちゃう五虎退みたいな例はあったけど、それくらい。
     現にキリハさんは、そんな風に切国に見られても眉を寄せたり腹を立てたりする様子もなく「それもそうだな」とあっさり納得した。とりあえず胸を撫で下ろすけど、一瞬目が合った切国は後で説教するとばかりの瞳で私を見た。切国のお説教は長いしくどいから、控えめに言って勘弁して欲しい。私は審神者の仕事をしていただけなのに。
     切国の機転で追求を回避出来たので、また仕事に戻る。キリハさんが言うには、もう四半刻……三十分もしないうちに、買い出しの皆も帰ってくるみたい。
     太刀が未だにもふさんしかいない関係で、買い出しには絶対彼がついて行っている。短刀や脇差ではどうしても持てない荷物を持ってもらうことと、あとは寄り道防止のつもりだ。とはいえ、実戦であちこち出ていた短刀や脇差より、時代によっては宝物扱いで納められていた打刀や太刀の方が、町屋の雰囲気に惹かれるかも知れない。もふさん、少し浮世離れしている感じあるし。
     特に要らない心配をしているうちに、心なしか部屋の外から話し声というか、複数人が一斉に帰ってきたような音が聞こえたような気がした。
    「……あ、外が騒がしいかな。ちょっと出迎えてくる。また戻ってくるね」
    「分かった」
    「行ってらっしゃいませ、主。その間に俺と切国で、出来るところまでやっておきますので」
    「ありがとう、二振りとも。頼りにしてる」
     頷く二振りに笑いかけて、執務室を出る。玄関に近づくにつれて、ざわざわと数振りの話し声が混ざって聞こえてきた。
     でも、なんだろう。楽しそうに雑談しているというより、気遣う声の方が多い気がする。今日はもふさんと乱ちゃん、五虎退のごこくん、愛染くんと鯰尾のずおくん、堀川くん。ちょうど一部隊分だ。だからざわざわするのはいいとして、何かあったんだろうか。
     玄関に着いた私は、すぐにその理由を知ることになった。座って涙をためるごこくんを、ずおくんと愛染くんが慰めている。堀川くんと乱ちゃんの姿はなくて、もふさんが心配そうに身体を屈めていた。
    「お帰りなさい、みんな。どうしたの?」
    「ぬしさま」
     真っ先に顔を上げたもふさんが言うには、ごこくんが人混みに揉まれた挙句、どこかで膝を強くぶつけてしまったらしい。そんなに混んでたと聞いてないけど、もしかして万屋の中が大混雑だったのかも知れない。多分だけど、キリハさんは万屋まで入っていないんだろう。
     他の皆も私に気づいて、誰からともなく報告をしてくれる。キリハさんと会ったのは商店街みたいなので、やっぱり知らなかったみたい。まあ、それはいいんだけど。
     ずおくんに少し場所を譲ってもらって、ごこくんの近くに座る。私より先に「だいじょうぶです」と言われたんだけど、泣きそうな顔に声では、説得力なんてないと思う。
    「青あざになってるね。痛いでしょうに」
    「だ、だいじょうぶ、です」
    「そっか、大丈夫か。でも放っておくのは私が痛いから、おまじないだけしていいかな?」
    「おまじない?」
     その場にいる全員の声が重なった。なんて見事なハモり。感心している場合じゃないけど、わあすごい、なんて思ってしまう。皆顔だけじゃなくて声もいいから、こうも綺麗に重なるとちょっとだけ心地よかったりする。
     一言断ってから、ごこくんの膝に触れた。小さく震えが伝わってきて、やっぱり痛いんだな、と私に教えてくれる。いちいち追求はしないけど。
     皆の前で完治させたらバレてしまうから、もっと慎重に、痛みだけ抜くくらいの気持ちで、ちっぽけな玉の表面を薄く薄く削る。光が透けるくらいに薄く削ったら、痛みが和らぐようにおまじないをかけるのだ。正直に言うと、普通に「治す」より神経を使わないといけないから、あまり得意ではない。
     切国にした時のように、手のひらへ光は宿らない。多分、五虎退にしか感じられないんじゃないだろうか。私の『おまじない』は。
     子どもの姿とはいえ刀の神様なので、痛いの痛いの云々なんて、子どもに言うようなことは口にしないと決めていた。何も言わずにそっと撫でて、ゆっくり手を離す。青あざは気持ち薄くなってしまったので、調整が難しいなと改めて思った。二度も三度も使えないかな、この方法は。
    「どう、ごこくん? 少しはましになった?」
    「……は、はい。痛く、なくなりました」
     思わずぽろりと言葉が、涙と一緒に零れた。泣いたら皆が心配するからと、我慢していたのだと思う。気弱だと言われがちな彼だけど、こういうところに芯の強さが見えて素敵だ。私には絶対、真似出来ない。
    「良かった。でも、青あざが残ってるし、手入れしようか?」
    「いえ! 大丈夫です! ほ、本当に、痛くないので……!」
    「大丈夫? 今、堀川くんと乱が包帯とか取りに行ってるし、手当くらいはしてもらいましょう? ね?」
    「えと、えっと、……」
    「すみません、遅くなっちゃって……!」
     ずおくんに何かを言おうとした五虎退だったけど、タイミングを見計らったかのように堀川くん達が帰ってきた。医務室の備蓄がなかったみたいで、薬研くんと倉庫まで取りに行っていたらしい。帰ってきた乱ちゃんにも気遣われたみたいで、かなり悩んだ様子ながら手当を受けていた。
     皆を労いつつ、買い出しの荷物を手分けして持ち運ぶ。五虎退にはもちろん無理させないでおいた。私が何か言うより鯰尾くんや乱くんが気遣ってくれるので、切国の時より追求をかわすのが楽だ。本当はこんなことを思うべきではないけども。
     縁側で何気なく立ち止まって見上げた空は、春特有の不透明なヴェールをかけられる上から、青を滲ませているように見えた。
    JURAKU(じゅらく) Link Message Mute
    2024/06/30 10:51:54

    その三

    刀剣乱夢、山姥切国広×女審神者です。まだ出会ったばかりなのでCP要素がないですが、今後姥さにになる予定なのでタグ付けしておきます。
    テスト投稿中。
    今回から、刀剣男士にこの本丸独自の呼び方(あだ名)がつきますのでご注意ください。
    また、審神者ちゃんの特殊能力も出てきます。(読む人によってはチートと思われるかも知れない)


    【注意】
    以下の要素を含むシリーズです。ひとつでも無理だと思う方の閲覧は推奨しません。
    ・審神者が死人(幽霊)です
    ・審神者の一人称で話が進みます
    ・とうらぶ政府などに関する独自解釈、ねつ造設定、ねつ造単語があります



    #刀剣乱夢
    #姥さに
    #女審神者
    #独自解釈
    #ねつ造設定

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    • その四(切国視点)刀剣乱夢、山姥切国広×女審神者です。まだ出会ったばかりなのでCP要素がないですが、今後姥さにになる予定なのでタグ付けしておきます。
      テスト投稿中。
      今回は切国(山姥切国広)視点で「その一」を書いたものとなります。


      【注意】
      以下の要素を含むシリーズです。ひとつでも無理だと思う方の閲覧は推奨しません。
      ・審神者が死人(幽霊)です
      ・審神者の一人称で話が進みます(一部は相手刀剣視点。タイトルに〇〇視点と入ります)
      ・とうらぶ政府などに関する独自解釈、ねつ造設定、ねつ造単語があります



      #刀剣乱夢
      #姥さに
      #女審神者
      #独自解釈
      #ねつ造設定
      JURAKU(じゅらく)
    • その二刀剣乱夢、山姥切国広×女審神者です。まだ出会ったばかりなのでCP要素がないですが、今後姥さにになる予定なのでタグ付けしておきます。
      テスト投稿中。
      初期刀山姥切国広、チュート鍛刀(短刀)乱藤四郎、初太刀小狐丸です。
      ねつ造単語がここからばんばん出て来ますので、分からないところがありましたら教えてくださると幸いです。

      ちなみに今回のねつ造単語:
      指導短刀⇒原作ゲームでいうチュートリアル短刀のこと。


      【注意】
      以下の要素を含むシリーズです。ひとつでも無理だと思う方の閲覧は推奨しません。
      ・審神者が死人(幽霊)です
      ・審神者の一人称で話が進みます
      ・とうらぶ政府などに関する独自解釈、ねつ造設定、ねつ造単語があります



      #刀剣乱夢
      #姥さに
      #女審神者
      #独自解釈
      #ねつ造設定
      JURAKU(じゅらく)
    • その一刀剣乱夢、山姥切国広×女審神者です。まだ出会ったばかりなのでCP要素がないですが、今後姥さにになる予定なのでタグ付けしておきます。
      伏字は尊敬する作家さんリスペクトにつき、長かろうと短かろうと✕5つです。テスト投稿中。

      【注意】
      以下の要素を含むシリーズです。ひとつでも無理だと思う方の閲覧は推奨しません。
      ・審神者が死人(幽霊)です
      ・審神者の一人称で話が進みます
      ・とうらぶ政府などに関する独自解釈、ねつ造設定があります



      #刀剣乱夢
      #姥さに
      #女審神者
      #独自解釈
      #ねつ造設定
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