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ほんとは知ってた
何時だって
窓は開け放たれていたこと
扉に
錠前なんか降りてなかったこと
そんなの、分かってた
誰かに諭されるまでもない。
――けれど
それが故に 僕は
だからこそ 僕は
自由という「籠」の中から透かして見える
只管に茫漠とした「世界」とやらを 前にしたところで
ただただ、立ち竦むしかなかったんだ。
この籠の中で漁り続けた
見も知らぬ 他人の文字は何時も
「世界は綺麗だ」と手招く
「とても素晴らしいものだ」と責めた
だけどそんなの全部
僕の与り知らぬ世界の話
この手の掛からないもので
それなら無いのと同じなんだと分かってた
――だから
ほんとは僕は
この「窓」に映る景色が
どれだけ美しくても
ここから出てまで見に行きたいなんて
一度足りとも思いやしなかった。
――そうだよ、
一度足りとも、
望んだことはなかった筈だ……
こんな「はじまり」
望んじゃ、居なかったのに。
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↓モノver.