もしも、げっかのやそうきょくにドラキュラくんがでていたら?むかしむかしあるところに、あくまじょうとよばれるおしろがありました。そこには、ちょっとけっしょくがわるいけどたのもしいドラキュラパパと、ドラキュラパパのおくさんである、やさしくてきれいなリサママと、ちょっとはずかしがりやなお兄ちゃんと、あともうひとり、いつもげんきなドラキュラくんがくらしていました。
ドラキュラくんは「こうしき」では「なかったこと」になっているそうなのですが、そんなことはしったこっちゃありません☆ ちなみにリサママはドラキュラパパのおくさんではありますが、ドラキュラくんのおかあさんかどうかはびみょうなところだったりします。なんでもしっているしにがみに本当のところはどうなんだとたずねてみたのですが、なんでも「おとなのじじょう」というりゆうがあるそうです。ドラキュラくんはまだこどもなので、「おとなのじじょう」はよくわかりません。ぼくもはやくおとなになりたいなあと、ドラキュラくんはおもいました。
そしてさらに、いつもなかよしのアドリアンお兄ちゃんはリサママによくにたきれいなかおの、じまんのお兄ちゃんなのですが、ひそかにせいけいぎわくがありうわなにをするんだやめry
……さて、きをとりなおして。
ドラキュラくんは、いだいなドラキュラパパとやさしいリサママとアドリアンお兄ちゃんとなんでもしっているしにがみと、みんなでなかよくあくまじょうでくらしていました。
ある日、おしろのちかくの町で、ひとびとがおおぜいびょうきになってしまってこまっていると言ううわさが、あくまじょうにとどきました。それをきいたこころやさしいリサママは、さっそく町のひとびとのためにたくさんのくすりをつくり、それを町までとどけにいくといいました。
しかし、リサママは、ひとびとから「あくまじょう」とよばれているおしろにすんでいるひとです。城主であるドラキュラパパはやさしいおとうさんではありますが、ちゅうやぎゃくてんのせいかつたいどと、いかついおかおとキャラクターボイスがわざわいして、町のひとびとからはちょっぴりこわがられています。そんなお城から来たひとが町に行ってくすりをくばったら、ぎゃくにうたがわれてしまわないでしょうか?
なんだかむなさわぎがしたドラキュラパパとアドリアンお兄ちゃんは、リサママに「ひとりで町にいくのはあぶないからやめてほしい」と言ったのですが、ダメでした。こころやさしいリサママはこまっている人をほおっておけないせいかくなのです。
リサママをしんぱいするドラキュラパパとアドリアンお兄ちゃんを見たドラキュラくんは、何かいいかんがえがないかな?とかんがえ……とってもいいほうほうをおもいつきました。
「ねえ、とってもいいほうほうがあるんだよ。ぼくにまかせて!」
きょとんとしているパパやママやお兄ちゃんにむかって、ドラキュラくんはにっこりと、かわいいえがおをむけるのでした。
そして……
「ぼっちゃま……おいいつけどおりに、町にくすりをとどけさせましたが……」
あくまじょうにふるくからつかえている、子供たちのおせわがかりのしにがみが、こまったように言いました。
「やはり、その……うちのぶかをつかってとどけさせるというのは……」
「なんで?みんなとなかよくなるには、ぼくたちのことをわかってもらうには、いっぱい会って、いっぱいおはなししなくちゃいけないとおもうんだ。そうすれば、あくまじょうがこわい!っておもう人間もいなくなるよ」
「こわいとおもわれないあくまじょうってどうなんでしょう……ただのテーマパークでは……」
「えーい、いちいちうるさいな!みんなからそんけいされるりっぱなまおうになるためには、まずはみんなとなかよくすることがひつようなんだぞ!パパのかおがこわいのはもうしかたがないけど、それいがいのところはがんばらなくちゃ。そうすれば、きっと人間たちだってぼくたちのことをわかってくれるし、そんけいするにきまっているさ!」
「うちのまものたちがおしよせて、町はもうあびきょうかんなんですけれどね……あとしまつが大変だ……トホホ……」
ということでまあいろいろありましたが、ドラキュラくんのめい(名?迷?)あんで、リサママのくすりはぶじに町の人へとどけられたのでした。あくまじょうのまものがおしよせてきて、はじめはおおさわぎをしていた町のひとたちも、しばらくすると「あいつらは悪いやつじゃない」とわかってくれたようなきがしないでもないようなふんいきになりました。ちなみにしにがみの胃には、あながいくつかあいたようです。あれれ、しにがみにも胃があったんだね。
これをきっかけに、あくまじょうのかぞくとまものたちと町のひとびとはどんどんなかよしになり、みんなはいつまでもなかよくしあわせにくらしましたとさ☆
……えっ?
これじゃあ「げっかのやそうきょく」の、かなしくもうつくしいおはなしがはじまらないじゃないかって?
そんなのとうぜんだい!かなしいおはなしなんてはじまらないんだぞ!
だって、ドラキュラくんがいるから、ね☆
お し ま い ☆