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    Lだった男の後悔 彼に抱いていたこれが何であるのか私は未だに理解に至ってはいませんでした。

     感情のラベリングは私が不得意とするところですが、このときほどそれを恨めしく思ったことはありません。煩雑さから逃れたかった私は彼に抱く感情の言語化を試みました。けれどなかなか上手くはいかなかった。当然です、そうも単純なものであれば私は端から悩むこともなかった。

     彼のことを『私の初めての友達』だと言ったことがあります。嘘ではありません。友達がどういうものであるか知識でしか知らずまた必要のなかった私は、彼のような人間を友達と呼ぶのだと思ったのです。信じては貰えませんでしたが。
     けれど友達だと一度定義付けたはずのそれは私自身納得がいかない部分もありました。嘘だと思われたことに心外だという気持ちが湧いてこない程度には。だからそのことに不満はありませんでした。
     次に私が見当付けたのは『特別』です。我ながらいい線だと思いました。けれどやはりどこか違う気もした。不正解ではない。だが適切な解でもない。
     いよいよ私は困り果てました。世界のLともあろうものが、これではsecondary schoolの子供も同然です。年相応の情緒が自分にあると思っているわけではありませんが、やはり不満なことに変わりはなかった。今更だという気持ちも。すでに亡い彼への感情のラベリングをしたところで何も変わりはしないのだから。
     元から困難であることは承知の上でしたが、何分不得意な分野です。事件を記録として覚えている私が記憶していること自体珍しい。ましてやすでに終えた事件であれば、どんな難事件よりも難しいことのように思えた。同時にこうまで思う彼をろくろく知ろうとしなかったことに後悔した。この私がです。

     今になってこんなことを思うのは感傷だと理解していました。あの頃よりも私はずっと人間らしくなった。その変化をもたらした最初は彼であったのに彼への感情を理解しきれずにいる。耐え難いことでした。何よりもう時間が残されていない。私は焦っていたのです。死後会うことはないと知っていたために。
     死後の世界を信じているわけではありません。けれど私は死神を知っている。死神がいるのであれば死後の世界もあるかもしれない。どちらにせよその可能性を切り捨てるだけの判断材料を有していないのです。ノートを使った彼が行き着くのは無であるという眉唾物の死神の言葉さえ、私は否定することができない。そうして思ったのです。私にとっての彼はどんな存在であったのか。結果はご覧の有り様でしたが。



    「「『自分のため』の気持ちで結びつき、相手に執着する。その気持ちを、人はそれでも愛と呼ぶんです」……でしたか。夜神月、……月くん」

     これほどの時間をかけて、辿り着いた答えが愛、愛とは。

    「月くん、私、どうやらあなたを愛していたようですよ。……これもあなたは嘘だと思うんでしょうね」
    浅上 汐 Link Message Mute
    2022/09/10 17:13:34

    Lだった男の後悔

    初出:2019.01.22
    L勝利IFのL独白。

    #デスノート #L #夜神月 #腐向け

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