イラストを魅せる。護る。究極のイラストSNS。

GALLERIA[ギャレリア]は創作活動を支援する豊富な機能を揃えた創作SNSです。

  • じゃアさッソくコの国ヲご案内いタシまス。

    君ハ人形とイうモノを知っテいルかい?
    人形トは、人ニ造らレた物。人の形ヲしタ人で無い者。
    ソんな人形ト人が共存しテいる国、そレがコノ国ダ。
    何カ質問はあルかイ?

    ん?僕のコト?ボクは人形ナのかッテ?
    そレはご想像にオまかセすルヨ。


    さァ、案内ハココまデだ。
    あトは自分ノ目で確かメるといイヨ。




                             ヨウコソ我ガ国ヘ!!




    昔むかし、とある一つのクニがありました。
    もっともそれは国と呼べるほど人はおらず、強大なモノではありません。

    そんなクニに一人の学者がおりました。
    彼は世界の歴史にたいへん興味を持っており、あらゆる文献を調べておりました。
    そこで彼は一つの資料を発見します。
    それは「人形」というモノのつくり方が載った本でした。

    学者はその本にとてもとても興味を持ちました。
    なんとその「人形」は人のように動くというのです。
    彼はどうしても人形をつくりたくなってしまいました。

    そして彼は人形の為の素材を集め始めます。
    作成する為に人を募ります。


    『さぁ、始めようか。私の完璧な人形の為に』


    作業は進み、モノは次第に人の形を成していきます。
    完成までもうすぐです。


    『あぁ、ついに出来た。完成したよ。私の、私だけの人形・・・』


    ついに人形は完成しました。
    人形は言の葉を発し、人のように動きます。

    しかし、人形には「心」がありません。
    当たり前です。たとえ人のように動いたとしても
    ただの物に心などできるわけが無いのです。

    学者はそれに満足していました。


    『人形は物だ。そこに心なんてあるはずが無いだろう?』


    学者がつくりたかったのは人形であり、人ではなかったのです。
    なので彼はこの現状にとても満足していました。

    ただ一つの誤算を除いては・・・



    それは人形づくりに協賛した者達の言葉でした。

    〈ここまで人に近いのに何故心がないのだ…!〉
                    〈いくら動いたとして心なくばここまでした意味が…〉
          〈これでは完成なんて言えるものか!!〉

               《なんとしても人形に心を・・・!!》

    人々は学者の反対を押し切って心ある人形の作製に精をだしました。
    何体も何体も・・・
    研究に研究を重ねます。



    そして、幾年か過ぎたある日―――――――――



    「ついに!ついに!!完成したぞ!!!心のある人形が・・!!」

    その人形は嬉しそうに微笑み、哀しければ涙を流す。
    小さなことで怒り、楽しそうに笑う。

    研究者たちは歓喜の声をあげました。
    そしてこれを機に次々と人形をつくりあげていきます。


    心ある人形はついに七体にまでなっていました。


    そんなとある日・・・
    彼がかえってきたのです。

    彼、そう人形をつくりはじめたあの学者です。

    学者は数年前、研究者たちと討論を起こしたのち
    いつの間にか姿を消していました。


    そんな彼が研究者達のもとに、人形のもとへ戻ってきたのです。


    彼は言います。

    『まだこんな研究を続けていたのか・・
     人形に感情などあってはいけないのに!
     私は人をつくりたいのではない!!
     人形は人ではない。人形だからこそ意味があるのだから・・・!』


    その言葉に研究者たちは反論します。

    「自分たちだって人をつくろうとしているわけではありません。
     人形で、より完璧なモノを目指しているのです!だからっ・・!!」



    『・・・・もういい、貴様らの戯言など聞きたくないわ!!!』

    ガッ!!!!     
              ドサッ


    学者は七体の人形をすべて壊してしまいました。


    「ああああああぁあぁぁっ!!なんてことを・・・・!!!」

          「あぁ、あなたはしてはならないことをしてしまった・・・」





    研究者たちはまたつくり始めます。
    壊されてしまった七体の人形達の報いをはらすため、
    あの学者を見返すため、
    何より自分たちの欲望の為に・・・・・



    その日からあの学者の姿を見る者はいなくなりました。

    またどこかへと姿を消したのでしょうか・・・

    それとももう・・・・・・・








    あらから数百年と月日が経ちました。
    当時国ですら無かったあのクニは
    今では人と人形が暮らす、大きなおおきな国となっていました。

    人形はまるで人と間違えるほど表情を有し、
    人はそれを当たり前のように過ごしています。


    それがアタリマエノそんな国のお話――――――――――――――



    無月 Link Message Mute
    2011/10/05 17:08:20

    more...
    作者が共有を許可していません Love ステキと思ったらハートを送ろう!ログイン不要です。ログインするとハートをカスタマイズできます。
    200 reply
    転載
    NG
    クレジット非表示
    NG
    商用利用
    NG
    改変
    NG
    ライセンス改変
    NG
    保存閲覧
    NG
    URLの共有
    NG
    模写・トレース
    NG
  • CONNECT この作品とコネクトしている作品