1・うだる暑さと溶けそうな女の子(物理)何気ない夏の日々
熱中症危険レベルにまで
達した東京では
背広を腕にかけて歩くおじさん
暑さにうなだれる高校生のお姉ちゃん
それと同じく
小学生である僕たち通学班
にも平等に熱波が襲う
頼れる兄貴な
班長の樋川健人先輩
スポーツ少年団で野球部をやっている
副班長である真面目な僕
佐々木 豪多(5年生)
読書が趣味の本の虫で
児童書から漫画やラノベを読む
今時のオタク少年
スマホが手放せない。
4年生の御幸 芽里
気が利く世話好きで
保健委員な事から
保健の先生から
熱中症対策員として命を受け
ランドセルには塩飴と緊急用のスマホ
保冷用の手提げを常に持っている
3年生でうちの
班長の参謀役である
小野田マナト
年相応で少々生意気だけど
3か国語を巧みに流暢に操る
バイリンガル少年
マナトのお隣の女の子で
班のお姫様でもある
1年生の蓮見 恋梨華ちゃん
おしゃれが大好きで親子でかわいい服を着て
写真をとって投稿と
インカツ!してる今時の女の子。
6歳にしてむちゃくちゃかわいい
そんな個性溢れる僕たち2班も
暑さには勝てない。
背の大きい6年生はまだましだが
背の低い1年生は地面から照り返す灼熱が
ダイレクトに当たる
「あつーい。」
保冷型のポットのお茶が空になって
急いで帰らないとみんなが倒れると思った。
1年生の恋梨華(れりか)ちゃんは
そろそろ限界のようだ
はい、飲み物を配るよ
芽里はすかさず冷たいスポドリと
美味しい塩飴をみんなに配っていく
塩飴は子供にとって
美味しいものが少ないので
芽里のチョイスは助かる。
芽里と参謀役のマナトは班長に
これ以上歩くのは無理と進言して
僕たちの班は
日陰の駄菓子屋さんに避難することにした。
図書館まで遠い・・
その付近の日陰で
声をかけられた
あのー、ちょっといいですか?
なんだ?
不審者
豪多
芽里たちを護るぞ
僕たちは一瞬身構え防犯装置の紐に手をかけて
下級生を守る体制をとったけど
足元に女の子が倒れこんでいた。
声の主はその子であり
年齢的に小学校5年生位かな?
だけど、彼女は変だった
溶ける・・
助けてぇ
溶ける??
見てみると
全身から凄まじいレベルで水が溢れていた。
汗か?
汗ならこんなに冷たくなくね?
図書室の妖怪の本に出てた
雪女・・・!?
とりあえず駄菓子屋さんに連れていこう!
こうして僕たちは
ひときわ変わった女の子と共に
涼しい天国へ撤退していった
第一章おわり