失恋夕方、外からは運動部の掛け声や、吹奏楽部の音楽が聞こえる。
夕日で薄オレンジ色に染まる教室。
女子生徒がお互いに手をつなぎ合い、夢中でキスをしていた。
ふと、彼女と目線が合う。
彼女は私を軽く睨み付け、
『あっちいってて』
私に、そう、言っているようだった。
震える足で私はその場を去る。
音を立てないように。
邪魔をしないように。
教室から少し離れたところから、私は一気に走り出し、別校舎のトイレへと駆け込んだ。
「っうぅ・・っうぁあっ・・。」
ボロボロと溢れる涙。
「うっ・・ふぅっ・・うぅっぅ・・・。」
貴方は私が居ないと何もできない。
貴方の恋だって、叶うわけがない。
そう思っていたのに・・。
喜ばないといけないはずなのに、嫌な感情ばかりが沸々と湧き上がってくる。
どうして?
なんで?
嫌だよ。
行かないでよ。
・・・私をひとりにしないでよ。
別に彼女が死んだわけでもないのに、悲しくて、辛くて。
そう思ってしまう私が嫌で。
「あぁっ・・うぅあぁあっっ!」
このとき私はわかったんだ。
あぁ、依存していたのは私だったんだ。
彼女に依存されている、その状況に、私は依存していたんだ。
そして、彼女は別に、私に依存していたわけではなかったんだと。
「うぅっうぅぅっ・・・。」
私が勝手に、思い込んでいただけだったんだ・・・。
そう思いながら私は、倒れ込むようにして、しばらくの間、独り、むせび泣いていた。