落選理由「ね……ねぇ……何で、こうなったの?」
その国会議員は、東京の与党本部で選挙結果を見ながら、そう言った。
「そ……それが……」
与党所属の元首相が選挙で落選……有り得ない事態が起きていた。
「地元の後援会の皆さんは、何をやってたの?」
「えっと……」
「答えてよ……」
「それが……ちょっと後援会組織が色々とあってガタガタに……」
「何で?」
「何で、って元総理も良く御存知の理由ですよ」
「あの……元総理……警察の方が……」
その時、党本部の職員と何人もの屈強な男達がやって来た。
「えっ? 例の汚職疑惑でしたら、とっくに疑いは晴れてた筈ですが……」
「その件とは……多少の関係は有りますが、あくまで別の件です」
屈強な男達……つまり、警官のリーダー格らしき男は、そう告げた。
「えっ?」
「貴方が、総理大臣だった頃に、官房機密費が、貴方の地元の後援会の運営費や後援会員の遊興費に当てられていた件……」
「だから、その件は不起訴だったでしょ」
「が……話題になっていた頃に、貴方の地元の後援会の幹部クラスの方々が次々と変死を遂げた件について、お話を伺いたく……」
「知りません。秘書が勝手に殺りました」