政権再奪還……今度は平和的な方法で……「本日は東南アジアの政治・外交が御専門の城南大学国際政治学部教授の本郷弘先生をゲストに御迎えしました」
「どうも、ご紹介にあずかりました本郷です」
「××国で、クーデターを起した軍事政権から民主派が政権を奪還してから初の大統領となりましたが……」
「ええ、まさに危惧していた通りの結果になりました」
「どうして、軍事派の政治家が大統領に選ばれる事になったのでしょうか?」
「ええ……民主派の大統領が……外交・経済・国内の民族問題……ほぼ全てで大きな失敗は有っても、見るべき成功が無かった為だと思われます」
「何故、このような結果になったのでしょうか?」
「民主派の政治家に経験豊富な人材が、ほとんど居らず……どうしても、経験不足の閣僚が多くなった為だと思われます」
「ですが……民主派は、一度、政権を取っているのですよね? なのに、民主派が政権を奪還した後、若手の政治家を閣僚にせざるを得なくなったのでしょうか?」
「ええ……クーデターによる軍事政権時代に、民主派の政治家の長老格から中堅どころが次々と亡くなったからでして……」
「えっ?」
「例えば、元外務大臣は逮捕され取調べ中に心臓発作、元産業通商大臣は自宅軟禁中に当時流行っていた伝染病に罹り……」
「あの……自宅軟禁中なのに、どうやって、伝染病に……?」
「それは、もちろん、伝染病とは表向きで……」
「あ、すいません、臨時ニュースが入りました。××国の新大統領が、当時流行っていた伝染病により死亡したとされている元産業通商大臣の死因再究明の中止を命じた、との事です。また、クーデターに関与し有罪となった元軍人・政治家への恩赦を発表いたしました」