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  • 【兄松】弟達が赤ちゃん化しました【頑張れ】 #おそ松さん #弟松 #赤ちゃん化

    ※2016年にpixivへ投稿した文章をこちらに再掲しました。

    !注意!

    ・弟松が赤ちゃん化
    ・兄達が弟達を愛でている
    ・キャラ崩壊
    ・腐ってはいないはず
    ・キャラ崩壊
    ・何でも許せる方向け
    ・完全自己満足。誰得?私得!
    ・キャラ崩壊

    問題ないぜ!という方はどうぞ読んでやってください。

    ーーー

    [事の発端]

    「え…何コレどういうこと?!」

    にゃーちゃんのライブの帰り、浮かれ気分を引きずったまま家に帰ると
    居間には困った顔で座り込むカラ松の姿があった。
    そして、居間の奥には普段はあまり使わない布団が敷かれており、そこには小さな人影。
    小さな小さな赤ん坊が3人、仲良く並んで眠っていた。

    「おかえりチョロ松。」
    「ただいま。って、えっ?!いやどういうこと?!この子達は?」
    「説明するから声を抑えてくれ!ようやく眠ってくれたんだ。」

    カラ松に言われ、反射的にバッと口元をおさえた。
    カラ松はそれを見て満足そうに頷くと、声量を落とした低めのトーンで説明してくれた。

    事の発端は弟達が十四松に付き合って3人でデカパン博士の所に遊びに行ったことらしい。
    勘のいいそこの貴方ならお分かりだろう。
    そう、そこでうっかり怪しげな薬をモロに被ってしまったのだ。
    で、被った薬は若返り薬だったそうだが、大量に被った弟3人は文字通り生まれたての状態まで若返ってしまった。
    布団で寝ている赤ちゃん達は一松と十四松とトド松ってワケだ。
    うん、二次創作においてはありがちな展開!
    ちなみに現在、母さんとおそ松兄さんがオムツとか着替えとかミルクとか必要な物を買い出しに行っているそうだ。
    あのおそ松兄さんが西○屋で買い物とか笑える。
    何でも揃ってるしお手頃価格だし子育て世代には便利だよね、○松屋。とは後の長男の談である。
    お前言っとくけど子育て世代でもなんでもないからな。
    ただのクソニートだからな。

    「これ、薬の効果いつまで続くの?」
    「1年だそうだ。」
    「へぇー1年………。は?1年?!いちねん?!」
    「イエス、ワンイヤー。」
    「1年?!365日?!!!?!嘘だろ??!!!?!!」
    「おっ落ち着けブラザー!今年はオリンピックイヤーだから366日だ!」
    「そこじゃねえよ!!」

    ついつい声を荒げてしまい、ハッとする。
    気付いた時にはもう遅く、ふぇ…と小さな声が聞こえたかと思うと、真ん中に寝ていたトド松の目が開いた。
    起きちゃった…かと思ったらみるみるうちに真っ赤な顔になり、本格的に泣き出してしまった。
    その泣き声をきっかけに両隣の一松と十四松も目を覚まし、あっという間に泣き声の大合唱。
    あー、赤ちゃんの泣き声ってこんななのか。
    思ったより耳障りに感じないな、というのは一応兄弟だからなのだろうか。

    カラ松が慌てて3人をあやしている。
    僕もそれに倣って…と思ったけどどうすりゃいいんだこれ?!
    抱っこしようかとも思ったけど首もすわってないし、すごく小さくて触るのも怖い。
    オロオロしていると母さんとおそ松兄さんが帰ってきた。
    よかった!救世主だ!!

    「ただいま〜…って、弟達泣いてんじゃん!」
    「すまない、母さん助けてくれ…。」
    「あらあら…じゃあおそ松は一松抱っこして。カラ松は十四松、チョロ松はトド松ね。
     抱っこする時は頭をしっかり支えてね。腕全体で抱えるようにするのよ。」
    「えっ…うわ…想像以上に軽い…!」
    「それから、激しく揺さぶったりしちゃ絶対ダメよ?
     揺さぶられっ子症候群になっちゃうからね。
     優しくゆっくりユラユラさせていれば落ち着いてくるから。」
    「お〜、こうやって抱っこすんのか〜。一松〜?いい子だから泣きやもうなー。」
    「何も怖くないぞリトル十四松!」
    「トド松ー泣くなー。」

    母さんによるレクチャーを受け、ぎこちなくも言われた通り抱っこしてゆっくりと揺らすと、
    腕の中の小さなトド松はやがて泣き止んでうとうとし始めた。
    うわ可愛い。小っちゃくなった弟マジ可愛い。
    しかし、これが1年続くのか…。

    ということで、下3人は僕ら上3人で責任を持って世話することになったのでした。
    母さんはいざという時の相談役をお願いしている。
    おそ松兄さんによると薬のモニターと経過観察の協力という名目でデカパンから支援金をもらえるそうで、
    お金の心配は要らないらしい。
    ついでに検診や予防接種なんかもしてくれるそうだ。
    さすがのご都合主義だね!
    そしてこの時ばかりは全員ニートである事に感謝した。
    もし働いてたら世話なんてできないしね。

    斯くして、兄松による弟松育児生活が幕を開けたのであった。

    ーーー


    [0ヶ月目のある日その1]

    お「とりあえずミルクあげるか。」
    カ・チ「「ラジャー」」
    お「じゃあ俺トド松ね」
    チ「僕は一松に」
    カ「なら俺は十四松だな」

    お「温度は?」
    チ「オッケー人肌になった」
    お「よっしゃ。ほれ飲め。(ちょんちょん)」

    ………。

    カ「お、飲み終わった。」
    お「マジかよ十四松速っ!」
    チ「一松なんてまだ半分も飲んでないのに」
    お「トド松もまだ半分くら…って、おーい?!トド松ー!寝るな寝るな!」
    カ「よし、十四松はげっぷだな」
    お「トド松起きろー(哺乳瓶クルクル)」
    カ「(背中トントン)」
    十「けぷっ」
    カ「げっぷも出たな!十四松はしばらく休憩だ」
    チ「あ、一松も飲み終わったね、じゃあげっぷかー」

    お「トド松ー?ん、起きてる?!いややっぱり寝てるわ!こら!寝ながら飲むなってむせるぞ!」
    チ「はい、トントン…」
    一「げぽ…」
    チ「あ、げっぷ出た…ってなんか冷た…」
    カ「あ」
    チ「え、あ。ああぁあ!ミルク吐いた!うわ僕のパーカーミルクまみれ?!
      てか一松も着替えさせないと!いやそうじゃなくて大丈夫か一松?!」
    カ「落ち着けブラザー!大丈夫だ一松元気そうだから!」
    お「な〜…トド松がぜんっぜんげっぷしてくれねぇんだけど…つーかまた寝てるし」


    [0ヶ月目のある日その2]

    カ「よし、十四松。オムツを替えるぞ!」
    十「あー」
    カ「じゃあオムツ取るぞー(テープ剥がす)」
    十「(*゚▽゚)」

    カ「え…あ゛ああぁぁあぁああ!!」

    お「どしたカラ松?」
    カ「フッ…取り乱してすまない…
      リトルブラザーが放った聖水が俺の顔面を直撃してな…」
    チ「ドンマイ」

    ーーー

    [1ヶ月目のある日その1]

    ーピコッ!

    チ「ん?」

    ーピコッピョコッ

    お「何だ?うちにピコピコハンマーなんてあったっけ?」

    ーペコッ

    カ「何の音だ?」

    ーピコッ

    チ「…あ、音の出所わかった。トド松だ。」
    お「トド松?」

    ーピコッ…ピッ ピコッ

    お「ほんとだ…。」
    チ「つーか、これってもしかして…」
    カ「しゃっくり、か?」

    ーピコッペコッ

    お「ちょ、何だよこの可愛い音おおぉぉお?!
      しゃっくり可愛すぎかよおぉぉおおぉ?!!」
    カ「兄貴がついに母性に目覚めた…」
    チ「可愛いのは分かるけど母性はちょっと待て」


    [1ヶ月目のある日その2]

    チ「水道局から電話がきた」
    カ「え、なんでだ?」
    チ「『ご使用の水道量が先月に比べて急激に増えてますがお心当たりはございますか』って」
    お「それ絶対赤ちゃん化した弟達が原因だろ」
    カ「洗濯回数も風呂を沸かす回数も倍近くになったからな…」
    チ「うん。『心当たり超あります』って返したら
      『あ、じゃあ大丈夫です』て言われて終わった」
    お「心当たり無かったら水道管のトラブルだもんな」
    カ「大変だな、水道局員の人達も」

    ーーー

    [2ヶ月目のある日]

    ※ただいまミルク中

    お「最近ようやく睡眠時間が落ち着いてきたな…」
    カ「最初は寝かしつけるのも1時間以上かかってたしな」
    チ「で、せっかく寝てくれても昼夜関係なく1時間で起きちゃったりね」
    お「それに比べたら楽になったよな〜」
    チ「まぁ、大変なことも増えたけどね」
    お「例えば?」
    チ「抱っこ大変になった」
    カ「体重ふえたもんな!」
    チ「…あ」

    一「ぷぇっげほっ(もどした)」
    チ「ああぁ大丈夫か一松?!ちょっ、おそ松兄さんガーゼ取って!」
    お「はいよー。一松飲むの下手だな〜」
    カ「十四松はもう飲み終わったぞ」
    チ「相変わらず速いな十四松。一松、大丈夫?」
    一「うー(*^∇^*)」
    チ「!!!」
    カ「oh,angel smile…」
    お「んん〜か〜わいいな一松〜(なでなで)」
    チ「ああああああああ!僕の弟が!!こんなにも!!!天使!!!!知ってた!!!!」
    お「落ち着けって。なー?トド松〜」
    ト「あーう〜o(*^▽^*)o」
    十「キャッキャ♪(((o(*゚▽゚*)o)))」

    お・カ「ん゛ん゛っ!!」
    チ「てめーらもだよ!」

    ーーー

    [3ヶ月目のある日]

    お「大変だ!」
    カ「どうした?」
    チ「何かあったの?」

    お「弟達が…ついに…


      ついに、寝返りしましたー!」


    カ「おお!」
    チ「まじで?!」
    お「まじで!」
    チ「写真撮っとこう」
    お「仰向け→うつ伏せにしかなれないけどな。
      うつ伏せから動けなくなって助けを呼んで泣いてんのクソかわ」
    カ「今夜は赤飯だ!」
    お「よっしゃー!」
    チ「え…大げさすぎじゃね?」

    ーーー

    [4ヶ月目のある日]

    チ「最近オムツ漏れがひどい」
    お「確かに」
    カ「3人とも1日1回以上オムツ漏れして汚してるな」
    お「オムツ変えてみる?」
    チ「もう試した」
    カ「いつの間に」
    チ「サイズ変えてみたり、背中側を深めにあててみたり、別メーカーの試してみたり、
      色々試したんだけどさ!無駄でした!漏れるもんは漏れる!」
    お「じゃあもう仕方ないな」
    カ「ああ、仕方ないな…
      これは神が与えた試練として受け入れるしかなs…お「って言ってる間に!トド松お前その背中?!」
    ト「Σ(・∀・)?」
    カ「おうふ」
    チ「漏れてた」

    ーーー

    [5ヶ月目のある日]

    お「そろそろ離乳食を与えてみようと思います」
    カ「それについては異論はないが、何をあげたらいいんだ?」
    お「まずは十倍粥をスプーンひと匙からだってさ」
    チ「十倍粥とは」
    お「説明しよう!米1に対し水10で炊いて、更に米の形がないくらいドロドロのペースト状にすり潰した
      見た目は粥とはとても思えない粥のことだ!」
    カ「なるほど」
    お「ミルクをあげる前のタイミングで試すからなー!」

    お「トド松〜お粥だぞ〜」
    カ「十四ま〜つ、オープンユアマウス!」
    チ「一松、お粥食べてみよう」

    ト「あー(ぱくっ)」
    お「おっ!食べ…「(−д−lll)うぇ」…出した」

    十「あむっ(ぱくっごくんっ)」
    カ「お前はこういう点では1番手が掛からないな」

    一「……ん(ぱくっ)」
    チ「どう?一松」
    一「…………(ー∧ー)」
    チ「………」
    一「……(ごっ…くん)」
    チ「すごく…難しい顔をしながら慎重に食べたな…」

    お「一松と十四松は食べたな。えらいえらい!
    んじゃ、一松と十四松は明日も食べさせるか。
    トド松はもう何日かおいて再チャレンジしような」

    その後みんなちゃんとお粥食べれるようになりました。

    ーーー

    [6ヶ月目のある日]

    十「あーうー(ゴロゴロゴロゴロ)」
    ト「Σ(・ω・;)」
    十「あー(ゴロゴロゴロゴロゴロゴロ)」
    ト「う゛ああぁぁ(ギャン泣き)」
    一「………(・д・)?」

    お「え、何この状況?」
    チ「十四松が転がって迫ってくるのにトド松がビビって泣きながら逃げてるのを、一松が眺めてる」

    ーーゴンッ

    十「……( ゚∀。)」
    ト「( ゚д゚)」
    一「(p_-)ムニャ…」

    お「え…」
    カ「十四松が転がり続けて壁にぶつかったぞ」
    チ「…動かないね」
    お「たぶん、反対方向には寝返り出来ないんだと思う」
    チ「なるほどね」
    カ「向きを変えてやるか…(ヒョイッ)」

    十「Σ(*゚▽゚*)」
    十「キャッキャ(ゴロゴロゴロ)」
    ト「Σ(゚д゚lll)」
    一「( ゚д゚)」
    ト「う゛あ゛ああぁぁ(ギャン泣き)」

    お「何このカオス」
    カ「いつの間にか寝返り返りもできるようになってたんだな…」
    チ「ちょっと面白過ぎるから動画撮っとこ」
    お「後で送って」

    ーーー

    お粗末様でした!
    #おそ松さん #弟松 #赤ちゃん化

    ※2016年にpixivへ投稿した文章をこちらに再掲しました。

    !注意!

    ・弟松が赤ちゃん化
    ・兄達が弟達を愛でている
    ・キャラ崩壊
    ・腐ってはいないはず
    ・キャラ崩壊
    ・何でも許せる方向け
    ・完全自己満足。誰得?私得!
    ・キャラ崩壊

    問題ないぜ!という方はどうぞ読んでやってください。

    ーーー

    [事の発端]

    「え…何コレどういうこと?!」

    にゃーちゃんのライブの帰り、浮かれ気分を引きずったまま家に帰ると
    居間には困った顔で座り込むカラ松の姿があった。
    そして、居間の奥には普段はあまり使わない布団が敷かれており、そこには小さな人影。
    小さな小さな赤ん坊が3人、仲良く並んで眠っていた。

    「おかえりチョロ松。」
    「ただいま。って、えっ?!いやどういうこと?!この子達は?」
    「説明するから声を抑えてくれ!ようやく眠ってくれたんだ。」

    カラ松に言われ、反射的にバッと口元をおさえた。
    カラ松はそれを見て満足そうに頷くと、声量を落とした低めのトーンで説明してくれた。

    事の発端は弟達が十四松に付き合って3人でデカパン博士の所に遊びに行ったことらしい。
    勘のいいそこの貴方ならお分かりだろう。
    そう、そこでうっかり怪しげな薬をモロに被ってしまったのだ。
    で、被った薬は若返り薬だったそうだが、大量に被った弟3人は文字通り生まれたての状態まで若返ってしまった。
    布団で寝ている赤ちゃん達は一松と十四松とトド松ってワケだ。
    うん、二次創作においてはありがちな展開!
    ちなみに現在、母さんとおそ松兄さんがオムツとか着替えとかミルクとか必要な物を買い出しに行っているそうだ。
    あのおそ松兄さんが西○屋で買い物とか笑える。
    何でも揃ってるしお手頃価格だし子育て世代には便利だよね、○松屋。とは後の長男の談である。
    お前言っとくけど子育て世代でもなんでもないからな。
    ただのクソニートだからな。

    「これ、薬の効果いつまで続くの?」
    「1年だそうだ。」
    「へぇー1年………。は?1年?!いちねん?!」
    「イエス、ワンイヤー。」
    「1年?!365日?!!!?!嘘だろ??!!!?!!」
    「おっ落ち着けブラザー!今年はオリンピックイヤーだから366日だ!」
    「そこじゃねえよ!!」

    ついつい声を荒げてしまい、ハッとする。
    気付いた時にはもう遅く、ふぇ…と小さな声が聞こえたかと思うと、真ん中に寝ていたトド松の目が開いた。
    起きちゃった…かと思ったらみるみるうちに真っ赤な顔になり、本格的に泣き出してしまった。
    その泣き声をきっかけに両隣の一松と十四松も目を覚まし、あっという間に泣き声の大合唱。
    あー、赤ちゃんの泣き声ってこんななのか。
    思ったより耳障りに感じないな、というのは一応兄弟だからなのだろうか。

    カラ松が慌てて3人をあやしている。
    僕もそれに倣って…と思ったけどどうすりゃいいんだこれ?!
    抱っこしようかとも思ったけど首もすわってないし、すごく小さくて触るのも怖い。
    オロオロしていると母さんとおそ松兄さんが帰ってきた。
    よかった!救世主だ!!

    「ただいま〜…って、弟達泣いてんじゃん!」
    「すまない、母さん助けてくれ…。」
    「あらあら…じゃあおそ松は一松抱っこして。カラ松は十四松、チョロ松はトド松ね。
     抱っこする時は頭をしっかり支えてね。腕全体で抱えるようにするのよ。」
    「えっ…うわ…想像以上に軽い…!」
    「それから、激しく揺さぶったりしちゃ絶対ダメよ?
     揺さぶられっ子症候群になっちゃうからね。
     優しくゆっくりユラユラさせていれば落ち着いてくるから。」
    「お〜、こうやって抱っこすんのか〜。一松〜?いい子だから泣きやもうなー。」
    「何も怖くないぞリトル十四松!」
    「トド松ー泣くなー。」

    母さんによるレクチャーを受け、ぎこちなくも言われた通り抱っこしてゆっくりと揺らすと、
    腕の中の小さなトド松はやがて泣き止んでうとうとし始めた。
    うわ可愛い。小っちゃくなった弟マジ可愛い。
    しかし、これが1年続くのか…。

    ということで、下3人は僕ら上3人で責任を持って世話することになったのでした。
    母さんはいざという時の相談役をお願いしている。
    おそ松兄さんによると薬のモニターと経過観察の協力という名目でデカパンから支援金をもらえるそうで、
    お金の心配は要らないらしい。
    ついでに検診や予防接種なんかもしてくれるそうだ。
    さすがのご都合主義だね!
    そしてこの時ばかりは全員ニートである事に感謝した。
    もし働いてたら世話なんてできないしね。

    斯くして、兄松による弟松育児生活が幕を開けたのであった。

    ーーー


    [0ヶ月目のある日その1]

    お「とりあえずミルクあげるか。」
    カ・チ「「ラジャー」」
    お「じゃあ俺トド松ね」
    チ「僕は一松に」
    カ「なら俺は十四松だな」

    お「温度は?」
    チ「オッケー人肌になった」
    お「よっしゃ。ほれ飲め。(ちょんちょん)」

    ………。

    カ「お、飲み終わった。」
    お「マジかよ十四松速っ!」
    チ「一松なんてまだ半分も飲んでないのに」
    お「トド松もまだ半分くら…って、おーい?!トド松ー!寝るな寝るな!」
    カ「よし、十四松はげっぷだな」
    お「トド松起きろー(哺乳瓶クルクル)」
    カ「(背中トントン)」
    十「けぷっ」
    カ「げっぷも出たな!十四松はしばらく休憩だ」
    チ「あ、一松も飲み終わったね、じゃあげっぷかー」

    お「トド松ー?ん、起きてる?!いややっぱり寝てるわ!こら!寝ながら飲むなってむせるぞ!」
    チ「はい、トントン…」
    一「げぽ…」
    チ「あ、げっぷ出た…ってなんか冷た…」
    カ「あ」
    チ「え、あ。ああぁあ!ミルク吐いた!うわ僕のパーカーミルクまみれ?!
      てか一松も着替えさせないと!いやそうじゃなくて大丈夫か一松?!」
    カ「落ち着けブラザー!大丈夫だ一松元気そうだから!」
    お「な〜…トド松がぜんっぜんげっぷしてくれねぇんだけど…つーかまた寝てるし」


    [0ヶ月目のある日その2]

    カ「よし、十四松。オムツを替えるぞ!」
    十「あー」
    カ「じゃあオムツ取るぞー(テープ剥がす)」
    十「(*゚▽゚)」

    カ「え…あ゛ああぁぁあぁああ!!」

    お「どしたカラ松?」
    カ「フッ…取り乱してすまない…
      リトルブラザーが放った聖水が俺の顔面を直撃してな…」
    チ「ドンマイ」

    ーーー

    [1ヶ月目のある日その1]

    ーピコッ!

    チ「ん?」

    ーピコッピョコッ

    お「何だ?うちにピコピコハンマーなんてあったっけ?」

    ーペコッ

    カ「何の音だ?」

    ーピコッ

    チ「…あ、音の出所わかった。トド松だ。」
    お「トド松?」

    ーピコッ…ピッ ピコッ

    お「ほんとだ…。」
    チ「つーか、これってもしかして…」
    カ「しゃっくり、か?」

    ーピコッペコッ

    お「ちょ、何だよこの可愛い音おおぉぉお?!
      しゃっくり可愛すぎかよおぉぉおおぉ?!!」
    カ「兄貴がついに母性に目覚めた…」
    チ「可愛いのは分かるけど母性はちょっと待て」


    [1ヶ月目のある日その2]

    チ「水道局から電話がきた」
    カ「え、なんでだ?」
    チ「『ご使用の水道量が先月に比べて急激に増えてますがお心当たりはございますか』って」
    お「それ絶対赤ちゃん化した弟達が原因だろ」
    カ「洗濯回数も風呂を沸かす回数も倍近くになったからな…」
    チ「うん。『心当たり超あります』って返したら
      『あ、じゃあ大丈夫です』て言われて終わった」
    お「心当たり無かったら水道管のトラブルだもんな」
    カ「大変だな、水道局員の人達も」

    ーーー

    [2ヶ月目のある日]

    ※ただいまミルク中

    お「最近ようやく睡眠時間が落ち着いてきたな…」
    カ「最初は寝かしつけるのも1時間以上かかってたしな」
    チ「で、せっかく寝てくれても昼夜関係なく1時間で起きちゃったりね」
    お「それに比べたら楽になったよな〜」
    チ「まぁ、大変なことも増えたけどね」
    お「例えば?」
    チ「抱っこ大変になった」
    カ「体重ふえたもんな!」
    チ「…あ」

    一「ぷぇっげほっ(もどした)」
    チ「ああぁ大丈夫か一松?!ちょっ、おそ松兄さんガーゼ取って!」
    お「はいよー。一松飲むの下手だな〜」
    カ「十四松はもう飲み終わったぞ」
    チ「相変わらず速いな十四松。一松、大丈夫?」
    一「うー(*^∇^*)」
    チ「!!!」
    カ「oh,angel smile…」
    お「んん〜か〜わいいな一松〜(なでなで)」
    チ「ああああああああ!僕の弟が!!こんなにも!!!天使!!!!知ってた!!!!」
    お「落ち着けって。なー?トド松〜」
    ト「あーう〜o(*^▽^*)o」
    十「キャッキャ♪(((o(*゚▽゚*)o)))」

    お・カ「ん゛ん゛っ!!」
    チ「てめーらもだよ!」

    ーーー

    [3ヶ月目のある日]

    お「大変だ!」
    カ「どうした?」
    チ「何かあったの?」

    お「弟達が…ついに…


      ついに、寝返りしましたー!」


    カ「おお!」
    チ「まじで?!」
    お「まじで!」
    チ「写真撮っとこう」
    お「仰向け→うつ伏せにしかなれないけどな。
      うつ伏せから動けなくなって助けを呼んで泣いてんのクソかわ」
    カ「今夜は赤飯だ!」
    お「よっしゃー!」
    チ「え…大げさすぎじゃね?」

    ーーー

    [4ヶ月目のある日]

    チ「最近オムツ漏れがひどい」
    お「確かに」
    カ「3人とも1日1回以上オムツ漏れして汚してるな」
    お「オムツ変えてみる?」
    チ「もう試した」
    カ「いつの間に」
    チ「サイズ変えてみたり、背中側を深めにあててみたり、別メーカーの試してみたり、
      色々試したんだけどさ!無駄でした!漏れるもんは漏れる!」
    お「じゃあもう仕方ないな」
    カ「ああ、仕方ないな…
      これは神が与えた試練として受け入れるしかなs…お「って言ってる間に!トド松お前その背中?!」
    ト「Σ(・∀・)?」
    カ「おうふ」
    チ「漏れてた」

    ーーー

    [5ヶ月目のある日]

    お「そろそろ離乳食を与えてみようと思います」
    カ「それについては異論はないが、何をあげたらいいんだ?」
    お「まずは十倍粥をスプーンひと匙からだってさ」
    チ「十倍粥とは」
    お「説明しよう!米1に対し水10で炊いて、更に米の形がないくらいドロドロのペースト状にすり潰した
      見た目は粥とはとても思えない粥のことだ!」
    カ「なるほど」
    お「ミルクをあげる前のタイミングで試すからなー!」

    お「トド松〜お粥だぞ〜」
    カ「十四ま〜つ、オープンユアマウス!」
    チ「一松、お粥食べてみよう」

    ト「あー(ぱくっ)」
    お「おっ!食べ…「(−д−lll)うぇ」…出した」

    十「あむっ(ぱくっごくんっ)」
    カ「お前はこういう点では1番手が掛からないな」

    一「……ん(ぱくっ)」
    チ「どう?一松」
    一「…………(ー∧ー)」
    チ「………」
    一「……(ごっ…くん)」
    チ「すごく…難しい顔をしながら慎重に食べたな…」

    お「一松と十四松は食べたな。えらいえらい!
    んじゃ、一松と十四松は明日も食べさせるか。
    トド松はもう何日かおいて再チャレンジしような」

    その後みんなちゃんとお粥食べれるようになりました。

    ーーー

    [6ヶ月目のある日]

    十「あーうー(ゴロゴロゴロゴロ)」
    ト「Σ(・ω・;)」
    十「あー(ゴロゴロゴロゴロゴロゴロ)」
    ト「う゛ああぁぁ(ギャン泣き)」
    一「………(・д・)?」

    お「え、何この状況?」
    チ「十四松が転がって迫ってくるのにトド松がビビって泣きながら逃げてるのを、一松が眺めてる」

    ーーゴンッ

    十「……( ゚∀。)」
    ト「( ゚д゚)」
    一「(p_-)ムニャ…」

    お「え…」
    カ「十四松が転がり続けて壁にぶつかったぞ」
    チ「…動かないね」
    お「たぶん、反対方向には寝返り出来ないんだと思う」
    チ「なるほどね」
    カ「向きを変えてやるか…(ヒョイッ)」

    十「Σ(*゚▽゚*)」
    十「キャッキャ(ゴロゴロゴロ)」
    ト「Σ(゚д゚lll)」
    一「( ゚д゚)」
    ト「う゛あ゛ああぁぁ(ギャン泣き)」

    お「何このカオス」
    カ「いつの間にか寝返り返りもできるようになってたんだな…」
    チ「ちょっと面白過ぎるから動画撮っとこ」
    お「後で送って」

    ーーー

    お粗末様でした!
    焼きナス
  • 再会した六つ子のその後の話【番外編2】 #おそ松さん #能力松 #弟松 #二次創作 ##生き別れた六つ子が

    !注意!
    2016年にpixivへ投稿した文章をこちらに再掲しました。
    妄想垂れ流し書きなぐりです。
    以下の点にご注意下さい。

    ・にわか知識
    ・キャラ崩壊
    ・シリーズの番外編なので前作読んでないとよく分からない
    ・文章とっ散らかってる
    ・ご期待に添えた後日談になってない…かもしれないよ?
    ・兄松が弟松をとにかく愛でている
    ・キャラ崩壊

    ーーー


    side.I

    外出してみない?と言い出したのはトド松だった。

    (突然どうしたの。)
    (突然ってわけじゃないんだけどさ、ほら…僕ら外出ってしたことなかったじゃない?)
    (そりゃ、そうだけど…)
    (なになに?トド松でかけるの?)

    外出しなかったというより、出来なかったという方が正しい。
    十四松はともかく、一松とトド松は単独行動ができない。
    3人一緒に出掛ければいいのだが、自分は常時睡眠状態で車椅子のお友達だ。
    十四松もトド松も何も言わないだろうが、同じ顔をした兄弟が手を繋いだり
    車椅子を押して移動している姿は人目につくのではないか。

    (トド松は、外に出たいの?)
    (出たいっていうより、出れるようになりたい、てとこかな。
     いつまでも部屋の中に閉じこもって、兄さん達に甘えっぱなしなのは悪いし。)
    (おでかけ!おでかけ!)
    (…でも、人通りのある所は色々と受信しやすいでしょ。
     トド松は辛いんじゃないの。それに、僕は動けないし…。)
    (そうだけど!…一松兄さんと十四松兄さんとちょっとした散歩でもいいからしてみたいんだ。
     それに、もう能力の制御もできるんだし、人混みに行かなければ大丈夫。)
    (トド松がそう言うとなら止めないけど…。)
    (ね、だから外に出てみようよ、一松兄さん。)
    (…僕がついてったら変に人目につくんじゃないの。)
    (おれ、一松兄さんのくるまいすおすよー!)
    (もう!一松兄さんはそんな事気にしないでいいの!
     大丈夫だって。案外道行く人は見てないものだよ。)

    少し抵抗はあったが、十四松とトド松が外に行きたがってるなら止める必要はない。
    テレパシー能力を持つトド松が周りの人間の感情を受信してしまう事が心配だったが、
    トド松本人が大丈夫だというなら信じていいだろう。
    だが、わざわざ自分を連れていく必要はないのではなかろうか。
    ただの荷物にしかならないだろうに。
    それに自分では、いざという時に弟を守れない。

    (僕じゃなくて、兄さん達の誰かに付き添ってもらったらいいんじゃないの。)
    (だ!か!ら!僕は一松兄さんと十四松兄さんと出掛けたいの!
     おそ松兄さん達に頼らずに3人で出掛けたいんだよ。
     …ねぇ一松兄さん、ダメ?)
    (だめッスか、一松兄さん!)
    (うっ…。)

    2人の弟にそんな風に聞かれては、是と応えるしかない。
    十四松はともかく、トド松は絶対狙ってやってるだろ、さすがあざとい。
    そしてそれに絆される自分も大概だ。
    仕方ない、弟は無条件に可愛いものなんだし。
    弟に頼まれたらできる限り応えてあげたいものだし…。
    誘ってもらえた事が嬉しいだなんて決して思ったりしていない。
    …嘘です。嬉しい。ありがとうトド松。

    (わかったよ…。)
    (わぁい!ありがと一松兄さん♪)
    (ぃよっしゃあー!3人でおでかけー!!)
    (で、トド松どこか行きたい所あるの?)
    (んーとね、雑貨屋さん!)
    (雑貨屋…?)
    (うん、この近くにね、可愛い小物を売ってる雑貨屋があるんだって。)
    (ふーん…なんかトド松らしいね。十四松は?)
    (おれ?)
    (ん。十四松は行きたい所ある?)
    (おれはね、いっしょにおでかけできればそれでいいよ!)
    (そっか。…じゃあ、その雑貨屋に行くとして…いつ出掛ける?)
    (そうだね~。お昼頃なら人通りも少ないんじゃないかな。)
    (じゃあ明日、昼飯の後にでも行こうか。トド松、道案内とかは任せるからね。)
    (オッケー♪)

    ウキウキと楽しそうな十四松とトド松の様子に自分もなんだか楽しみになってくるから不思議だ。
    兄さん達に頼らずに、というのも分かる。
    自分の力だけでどこまで出来るのか試していくのは必要なことだと思う。
    ただ、あの過保護な兄達が何と言うかだが。





    「へぇ。お出掛けねぇ…。」
    「えっ…3人だけで大丈夫?」
    「俺達もついて行った方がいいんじゃないか?」

    明日3人で出掛ける事を話すと、カラ松とチョロ松兄さんは予想通り心配そうな顔をした。
    2人共こちらに身を乗り出して眉間に皺を寄せている。
    まったくこの兄達は本当に自分達に過保護だ。
    大切にしてくれてるのは素直にありがたいし嬉しいのだが
    (絶対そんな事口に出してやらないが)如何せん過保護が過ぎないか。
    おそ松兄さんはちゃぶ台に頬杖をついて、様子をうかがっている。

    「3人で出掛けたいの!僕達も子供じゃないんだし大丈夫だよ。」
    「いや、しかしだな…。」
    「何かあったらちゃんと報せるから!十四松兄さんも一緒なんだし大丈夫だって。」
    「それは、そうだろうけど…。」
    「いいんじゃね?行ってこいよ。」

    渋る次男と三男を遮って長男の声が響く。
    次男三男がまるで合わせ鏡のように綺麗に左右対称の動きで長男の方へ勢いよく振り返った。
    見事なシンクロぶりだ。
    そんな彼らを宥めるように、そして自分達を見て少し笑うと、長男が続けた。

    「3人で出掛けたいって言ってんだから、そうしてやりゃいいじゃん。
    こいつらだって障害持ちとはいえ成人男性なんだし、軽い散歩くらい大丈夫だろ。
    あ、言っとくけど心配してねーわけじゃねーよ?
    でもさぁ、何もかも俺達が先回りして世話してやるのも、おかしな話だもんな。
    ずっとそんな調子じゃ絶対こいつらの為になんねーもん。」

    おそ松兄さんのその言葉に、カラ松とチョロ松も「兄さんがそう言うなら…。」と納得してくれたようだ。
    こんな時にはこうして長男らしさを発揮するんだもんな、この人。

    「やった!ありがと、おそ松兄さん!」
    (一松兄さんとトド松とおでかけイェーイ!)
    「たーだーし!何か困った事があったらすぐに俺達呼べよ?
     自分達で対処出来る事、助けが必要になる事、きちんと見極められるようになっとけ。」
    (…分かった。)
    「よろしい。楽しんでおいで~。」
    「はーい!」
    「お、今の俺めっちゃ長男っぽくなかった?!なぁ、めっちゃお兄ちゃんぽくなかった?!」
    「はいはい…。」

    おそ松兄さんからOKが出たので、心置きなく出掛けられそうだ。
    せっかく長男だな、って思ってあげたというのに最後の最後で台無しだ。
    それがおそ松兄さんらしいけれども。
    …まぁ、兄達は絶対こっそりとついてくるだろうな、なんて考えながら
    嬉しそうな顔をしている十四松とトド松を眺めるのだった。

    ーーー

    side.T

    さて、翌日。
    少し遅めの昼食を終えたトド松は自身はもちろん、
    一松と十四松もバッチリとコーディネートして満足気に頷いた。
    一松兄さんったら僕の服を着るの渋っちゃって身体がカチコチになってたよ。
    結局十四松兄さんにひん剥かれて無理やり着せられたけどね。
    一松兄さんも十四松兄さんもバッチリ似合ってる!さすが僕。
    十四松がトド松の手を握って玄関まで向かう。
    一松はカラ松が背負って玄関に置かれた車椅子に座らせてくれた。

    「じゃあ行ってきまーす。」
    (行ってきマーッスル!マッスル!)
    (…行ってきます。)

    「気ぃつけてなー。」
    「暗くなる前に帰ってこいよ!」
    「行ってらっしゃい。」

    兄達に見送られて、3人は外へと繰り出した。

    陽射しが暖かい。
    心地良い風が吹いている。
    いつものように十四松が一松の車椅子を押している。
    トド松は十四松の左手に自らの右手を添えて並んで歩いた。
    人通りは少ない。
    ハタ坊が実質の統括者となっているこの町は少々閉鎖的ではあるものの平和だ。

    (えへへっ!そとあるくのたのしーッスな~!)
    (…ん。風が吹いてて気持ちいい。)
    (そうだね、いい天気でよかった~!)

    思えば、「いい天気」だなんて考える事も久しぶりだった。
    こうして陽射しと風を感じて歩くこともいつ以来だろう。
    しばらく歩いていると、やがて川沿いの道に出た。
    川面は穏やかで、太陽の光を反射して輝いている。
    バサバサと鳥が飛び立つ音が聞こえた。
    上を見上げると遠くの空に見える鳥の群れ。
    それを目で追っていると太陽が視界に入った。
    眩しさに視線を落とすと、今度は車椅子に乗った一松の頭が視界に入る。
    柔らかそうな髪がフワリと風に撫でられていた。

    (トド松、たのしそうだね!)
    (うん、楽しいよ♪)
    (そっかー!おれもたのしい!!)
    (えへへ、よかった。あ、そこの道曲がって。)
    (りょーかい!)
    (…結構歩いたけど、2人とも平気?疲れてない?)
    (よゆー!!)
    (僕も大丈夫だよ!)
    (そう…なら、よかった。)

    こんな風に兄弟で歩くのも初めてだ。
    十四松はとても楽しそうだし、こちらを気付かう一松もどことなく表情が穏やかだ。
    それだけで、トド松の心も軽くなった。

    川沿いの道から離れ、程なくしてお目当ての雑貨屋に到着した。
    控えめな看板は手作りなのかどこか温かみを感じさせた。
    店内に足を踏み入れると、奥から店員の「いらっしゃいませ」という声が聞こえた。
    こじんまりとした店内には所狭しと小物が並んでいる。
    女性向けな物が多いが、あまりフワフワだったりキラキラごてごてした物は無く、
    シンプルでスッキリした物が多い。

    (ねえ、見て見て!このストラップ可愛い!)
    (おー!ネコのかたちだ!)
    (猫…かわいい…。)

    洒落たテーブルには細々と小物が並べられていた。
    トド松が手にしたのは、猫のシルエットに象られたシルバーのチャームに小さな鈴が付いたストラップ。
    ストラップ部分を摘んで一松と十四松に向けて見せると、チリンと可愛らしい音をたてた。
    一松が興味を示しているので、手のひらに乗せてあげた。

    (ほかのどうぶつのカタチもあるよ!あ、これかわいい!トド松みたい!!)
    (えー?僕?…あ、じゃあこれは十四松兄さんかなー。)
    (フヒッ…確かに、2人に合ってる。)

    十四松が手にしたのは、ウサギの形。
    対して、トド松が手に取ったのは犬の形。コーギーだろうか。
    どちらも一松の手の上にある猫と同じように、シルエットがシルバーで象られたチャームだ。
    どうやら他にも色々な種類のチャームがあるようだ。

    (折角だしお揃いで買って帰ろうよ。)
    (うん!兄さん達のぶんもね!)
    (…いいんじゃない。僕、この猫のヤツがいい。)
    (じゃあ一松兄さんは猫ね。十四松兄さんはコーギーで、僕はウサギ!)
    (兄さん達は?)
    (うーん、そうだなー…。)
    (これ!これおそ松兄さん!)
    (うん?これ馬?)
    (おそ松兄さん競馬好きだもんね…。)
    (でねー、カラ松兄さんはこれで、チョロ松兄さんはこれ!)
    (いいと思うよ。…まぁ、十四松が選んだって聞いたら文句なんて言わないでしょ。)
    (だよね。じゃあそうしよっか♪)

    十四松が選んだのは、カラ松用がシェパードらしきシルエットで
    チョロ松用が羊の形のチャームだった。
    彼の不思議な独断と偏見が伺えるが、別に一松もトド松も異論はない。
    そもそもそこまでこだわってもいない。
    キャッキャと仲良く会話しながら(といっても脳内でのやり取りだったが)お揃いストラップ選びを終えると、
    店内の商品をぐるりと見て回って会計を済ませた。
    思いの外長いこと店内にいたのか、雑貨屋を出た時には日が傾きかけていた。
    店員には黙々とストラップを物色する超静かな客だと思われていたことだろう。
    その実は女子高生並の賑やかさであったが、それを知るのは当人達のみだ。
    再び川沿いの道に戻ってきた時は、川面はオレンジ色に染まっていた。
    夕日に染まるってこういうことなんだな、なんてボンヤリと考える。

    (一松兄さん、トド松!)
    (…ん。)
    (なぁに?十四松兄さん。)
    (きょうはたのしかったね!)
    (…そうだね。)
    (うん、楽しかった!)

    こんなに長い時間立ちっぱなしの歩きっぱなしだったのは初めてだったから
    少し疲れてしまったけど、なんだかその疲れすらも心地良い。
    6つ分のストラップが入った小さな紙袋を握り直す。

    (またでかけたいな!こんどは兄さんたちもいっしょに!)
    (…ん。)
    (そうだね。今度はみんなで行こう。いいでしょ?一松兄さん。)
    (…いいんじゃないの。)

    ゆっくりと一松の目が開いて、アメジストのような深い紫色の瞳が十四松とトド松を見つめた。
    …このタイミングで目を覚ますとか、反則でしょ。
    口元は僅かに上がっていて、微かな笑みを浮かべているのが分かる。
    一松の笑みに同じように笑みを返すと、隣を歩く十四松に顔を向ける。
    それに気付いた十四松もまた、鮮やかな蒸栗色の瞳を細めて明るく笑い返す。
    滅多に見れない、「兄」の顔をした十四松だ。
    夕陽に照らされた2人の兄の顔を、瞳を見て、ああ綺麗だな。と思った。

    「ね、絶対また行こうね!約束だよ。」
    「…わかった。約束。」
    (おれもー!やくそく!!)

    一松の細い小指に自らの小指を絡めて「約束」と言うと十四松も目を輝かせて手を差し出してきたので
    十四松の小指にも指を絡めた。
    元気よくブンブンと腕を振る十四松に笑って「痛いよ、十四松兄さん。」と返す。
    そんなに痛くもなかったけどね。

    「…兄さん達がそろそろ心配しそうだし、早く帰ろう。」
    「そうだね。」
    「…それに、腹減った。」
    (きょうのごはん、なにかなー?)

    そうだった。
    この兄が目を覚ますのは大抵が空腹を感じた時だ。
    小指と小指を絡めた時に感じた兄達の体温の余韻に浸りながら3人仲良く帰路についた。






    「何事も起こらずに終わりそうだな。よかった。」
    「ほんとな。終始ほのぼのした空気だったな~。はぁ、弟達マジかわ。何アレ天使?天使かな??」
    「ほら、家に戻ろう。もう一松達家に着いちゃうよ。」
    「お揃いの小物きゃいきゃいしながら選ぶとか俺の弟達くそかわ!」
    「ああ、エンジェル達があまりにピュアで俺の汚れたハートが浄化されたぜ…。」
    「いいから帰るぞ馬鹿兄共!」

    兄松はもちろん心配でずっと尾行してました。



    end.
    #おそ松さん #能力松 #弟松 #二次創作 ##生き別れた六つ子が

    !注意!
    2016年にpixivへ投稿した文章をこちらに再掲しました。
    妄想垂れ流し書きなぐりです。
    以下の点にご注意下さい。

    ・にわか知識
    ・キャラ崩壊
    ・シリーズの番外編なので前作読んでないとよく分からない
    ・文章とっ散らかってる
    ・ご期待に添えた後日談になってない…かもしれないよ?
    ・兄松が弟松をとにかく愛でている
    ・キャラ崩壊

    ーーー


    side.I

    外出してみない?と言い出したのはトド松だった。

    (突然どうしたの。)
    (突然ってわけじゃないんだけどさ、ほら…僕ら外出ってしたことなかったじゃない?)
    (そりゃ、そうだけど…)
    (なになに?トド松でかけるの?)

    外出しなかったというより、出来なかったという方が正しい。
    十四松はともかく、一松とトド松は単独行動ができない。
    3人一緒に出掛ければいいのだが、自分は常時睡眠状態で車椅子のお友達だ。
    十四松もトド松も何も言わないだろうが、同じ顔をした兄弟が手を繋いだり
    車椅子を押して移動している姿は人目につくのではないか。

    (トド松は、外に出たいの?)
    (出たいっていうより、出れるようになりたい、てとこかな。
     いつまでも部屋の中に閉じこもって、兄さん達に甘えっぱなしなのは悪いし。)
    (おでかけ!おでかけ!)
    (…でも、人通りのある所は色々と受信しやすいでしょ。
     トド松は辛いんじゃないの。それに、僕は動けないし…。)
    (そうだけど!…一松兄さんと十四松兄さんとちょっとした散歩でもいいからしてみたいんだ。
     それに、もう能力の制御もできるんだし、人混みに行かなければ大丈夫。)
    (トド松がそう言うとなら止めないけど…。)
    (ね、だから外に出てみようよ、一松兄さん。)
    (…僕がついてったら変に人目につくんじゃないの。)
    (おれ、一松兄さんのくるまいすおすよー!)
    (もう!一松兄さんはそんな事気にしないでいいの!
     大丈夫だって。案外道行く人は見てないものだよ。)

    少し抵抗はあったが、十四松とトド松が外に行きたがってるなら止める必要はない。
    テレパシー能力を持つトド松が周りの人間の感情を受信してしまう事が心配だったが、
    トド松本人が大丈夫だというなら信じていいだろう。
    だが、わざわざ自分を連れていく必要はないのではなかろうか。
    ただの荷物にしかならないだろうに。
    それに自分では、いざという時に弟を守れない。

    (僕じゃなくて、兄さん達の誰かに付き添ってもらったらいいんじゃないの。)
    (だ!か!ら!僕は一松兄さんと十四松兄さんと出掛けたいの!
     おそ松兄さん達に頼らずに3人で出掛けたいんだよ。
     …ねぇ一松兄さん、ダメ?)
    (だめッスか、一松兄さん!)
    (うっ…。)

    2人の弟にそんな風に聞かれては、是と応えるしかない。
    十四松はともかく、トド松は絶対狙ってやってるだろ、さすがあざとい。
    そしてそれに絆される自分も大概だ。
    仕方ない、弟は無条件に可愛いものなんだし。
    弟に頼まれたらできる限り応えてあげたいものだし…。
    誘ってもらえた事が嬉しいだなんて決して思ったりしていない。
    …嘘です。嬉しい。ありがとうトド松。

    (わかったよ…。)
    (わぁい!ありがと一松兄さん♪)
    (ぃよっしゃあー!3人でおでかけー!!)
    (で、トド松どこか行きたい所あるの?)
    (んーとね、雑貨屋さん!)
    (雑貨屋…?)
    (うん、この近くにね、可愛い小物を売ってる雑貨屋があるんだって。)
    (ふーん…なんかトド松らしいね。十四松は?)
    (おれ?)
    (ん。十四松は行きたい所ある?)
    (おれはね、いっしょにおでかけできればそれでいいよ!)
    (そっか。…じゃあ、その雑貨屋に行くとして…いつ出掛ける?)
    (そうだね~。お昼頃なら人通りも少ないんじゃないかな。)
    (じゃあ明日、昼飯の後にでも行こうか。トド松、道案内とかは任せるからね。)
    (オッケー♪)

    ウキウキと楽しそうな十四松とトド松の様子に自分もなんだか楽しみになってくるから不思議だ。
    兄さん達に頼らずに、というのも分かる。
    自分の力だけでどこまで出来るのか試していくのは必要なことだと思う。
    ただ、あの過保護な兄達が何と言うかだが。





    「へぇ。お出掛けねぇ…。」
    「えっ…3人だけで大丈夫?」
    「俺達もついて行った方がいいんじゃないか?」

    明日3人で出掛ける事を話すと、カラ松とチョロ松兄さんは予想通り心配そうな顔をした。
    2人共こちらに身を乗り出して眉間に皺を寄せている。
    まったくこの兄達は本当に自分達に過保護だ。
    大切にしてくれてるのは素直にありがたいし嬉しいのだが
    (絶対そんな事口に出してやらないが)如何せん過保護が過ぎないか。
    おそ松兄さんはちゃぶ台に頬杖をついて、様子をうかがっている。

    「3人で出掛けたいの!僕達も子供じゃないんだし大丈夫だよ。」
    「いや、しかしだな…。」
    「何かあったらちゃんと報せるから!十四松兄さんも一緒なんだし大丈夫だって。」
    「それは、そうだろうけど…。」
    「いいんじゃね?行ってこいよ。」

    渋る次男と三男を遮って長男の声が響く。
    次男三男がまるで合わせ鏡のように綺麗に左右対称の動きで長男の方へ勢いよく振り返った。
    見事なシンクロぶりだ。
    そんな彼らを宥めるように、そして自分達を見て少し笑うと、長男が続けた。

    「3人で出掛けたいって言ってんだから、そうしてやりゃいいじゃん。
    こいつらだって障害持ちとはいえ成人男性なんだし、軽い散歩くらい大丈夫だろ。
    あ、言っとくけど心配してねーわけじゃねーよ?
    でもさぁ、何もかも俺達が先回りして世話してやるのも、おかしな話だもんな。
    ずっとそんな調子じゃ絶対こいつらの為になんねーもん。」

    おそ松兄さんのその言葉に、カラ松とチョロ松も「兄さんがそう言うなら…。」と納得してくれたようだ。
    こんな時にはこうして長男らしさを発揮するんだもんな、この人。

    「やった!ありがと、おそ松兄さん!」
    (一松兄さんとトド松とおでかけイェーイ!)
    「たーだーし!何か困った事があったらすぐに俺達呼べよ?
     自分達で対処出来る事、助けが必要になる事、きちんと見極められるようになっとけ。」
    (…分かった。)
    「よろしい。楽しんでおいで~。」
    「はーい!」
    「お、今の俺めっちゃ長男っぽくなかった?!なぁ、めっちゃお兄ちゃんぽくなかった?!」
    「はいはい…。」

    おそ松兄さんからOKが出たので、心置きなく出掛けられそうだ。
    せっかく長男だな、って思ってあげたというのに最後の最後で台無しだ。
    それがおそ松兄さんらしいけれども。
    …まぁ、兄達は絶対こっそりとついてくるだろうな、なんて考えながら
    嬉しそうな顔をしている十四松とトド松を眺めるのだった。

    ーーー

    side.T

    さて、翌日。
    少し遅めの昼食を終えたトド松は自身はもちろん、
    一松と十四松もバッチリとコーディネートして満足気に頷いた。
    一松兄さんったら僕の服を着るの渋っちゃって身体がカチコチになってたよ。
    結局十四松兄さんにひん剥かれて無理やり着せられたけどね。
    一松兄さんも十四松兄さんもバッチリ似合ってる!さすが僕。
    十四松がトド松の手を握って玄関まで向かう。
    一松はカラ松が背負って玄関に置かれた車椅子に座らせてくれた。

    「じゃあ行ってきまーす。」
    (行ってきマーッスル!マッスル!)
    (…行ってきます。)

    「気ぃつけてなー。」
    「暗くなる前に帰ってこいよ!」
    「行ってらっしゃい。」

    兄達に見送られて、3人は外へと繰り出した。

    陽射しが暖かい。
    心地良い風が吹いている。
    いつものように十四松が一松の車椅子を押している。
    トド松は十四松の左手に自らの右手を添えて並んで歩いた。
    人通りは少ない。
    ハタ坊が実質の統括者となっているこの町は少々閉鎖的ではあるものの平和だ。

    (えへへっ!そとあるくのたのしーッスな~!)
    (…ん。風が吹いてて気持ちいい。)
    (そうだね、いい天気でよかった~!)

    思えば、「いい天気」だなんて考える事も久しぶりだった。
    こうして陽射しと風を感じて歩くこともいつ以来だろう。
    しばらく歩いていると、やがて川沿いの道に出た。
    川面は穏やかで、太陽の光を反射して輝いている。
    バサバサと鳥が飛び立つ音が聞こえた。
    上を見上げると遠くの空に見える鳥の群れ。
    それを目で追っていると太陽が視界に入った。
    眩しさに視線を落とすと、今度は車椅子に乗った一松の頭が視界に入る。
    柔らかそうな髪がフワリと風に撫でられていた。

    (トド松、たのしそうだね!)
    (うん、楽しいよ♪)
    (そっかー!おれもたのしい!!)
    (えへへ、よかった。あ、そこの道曲がって。)
    (りょーかい!)
    (…結構歩いたけど、2人とも平気?疲れてない?)
    (よゆー!!)
    (僕も大丈夫だよ!)
    (そう…なら、よかった。)

    こんな風に兄弟で歩くのも初めてだ。
    十四松はとても楽しそうだし、こちらを気付かう一松もどことなく表情が穏やかだ。
    それだけで、トド松の心も軽くなった。

    川沿いの道から離れ、程なくしてお目当ての雑貨屋に到着した。
    控えめな看板は手作りなのかどこか温かみを感じさせた。
    店内に足を踏み入れると、奥から店員の「いらっしゃいませ」という声が聞こえた。
    こじんまりとした店内には所狭しと小物が並んでいる。
    女性向けな物が多いが、あまりフワフワだったりキラキラごてごてした物は無く、
    シンプルでスッキリした物が多い。

    (ねえ、見て見て!このストラップ可愛い!)
    (おー!ネコのかたちだ!)
    (猫…かわいい…。)

    洒落たテーブルには細々と小物が並べられていた。
    トド松が手にしたのは、猫のシルエットに象られたシルバーのチャームに小さな鈴が付いたストラップ。
    ストラップ部分を摘んで一松と十四松に向けて見せると、チリンと可愛らしい音をたてた。
    一松が興味を示しているので、手のひらに乗せてあげた。

    (ほかのどうぶつのカタチもあるよ!あ、これかわいい!トド松みたい!!)
    (えー?僕?…あ、じゃあこれは十四松兄さんかなー。)
    (フヒッ…確かに、2人に合ってる。)

    十四松が手にしたのは、ウサギの形。
    対して、トド松が手に取ったのは犬の形。コーギーだろうか。
    どちらも一松の手の上にある猫と同じように、シルエットがシルバーで象られたチャームだ。
    どうやら他にも色々な種類のチャームがあるようだ。

    (折角だしお揃いで買って帰ろうよ。)
    (うん!兄さん達のぶんもね!)
    (…いいんじゃない。僕、この猫のヤツがいい。)
    (じゃあ一松兄さんは猫ね。十四松兄さんはコーギーで、僕はウサギ!)
    (兄さん達は?)
    (うーん、そうだなー…。)
    (これ!これおそ松兄さん!)
    (うん?これ馬?)
    (おそ松兄さん競馬好きだもんね…。)
    (でねー、カラ松兄さんはこれで、チョロ松兄さんはこれ!)
    (いいと思うよ。…まぁ、十四松が選んだって聞いたら文句なんて言わないでしょ。)
    (だよね。じゃあそうしよっか♪)

    十四松が選んだのは、カラ松用がシェパードらしきシルエットで
    チョロ松用が羊の形のチャームだった。
    彼の不思議な独断と偏見が伺えるが、別に一松もトド松も異論はない。
    そもそもそこまでこだわってもいない。
    キャッキャと仲良く会話しながら(といっても脳内でのやり取りだったが)お揃いストラップ選びを終えると、
    店内の商品をぐるりと見て回って会計を済ませた。
    思いの外長いこと店内にいたのか、雑貨屋を出た時には日が傾きかけていた。
    店員には黙々とストラップを物色する超静かな客だと思われていたことだろう。
    その実は女子高生並の賑やかさであったが、それを知るのは当人達のみだ。
    再び川沿いの道に戻ってきた時は、川面はオレンジ色に染まっていた。
    夕日に染まるってこういうことなんだな、なんてボンヤリと考える。

    (一松兄さん、トド松!)
    (…ん。)
    (なぁに?十四松兄さん。)
    (きょうはたのしかったね!)
    (…そうだね。)
    (うん、楽しかった!)

    こんなに長い時間立ちっぱなしの歩きっぱなしだったのは初めてだったから
    少し疲れてしまったけど、なんだかその疲れすらも心地良い。
    6つ分のストラップが入った小さな紙袋を握り直す。

    (またでかけたいな!こんどは兄さんたちもいっしょに!)
    (…ん。)
    (そうだね。今度はみんなで行こう。いいでしょ?一松兄さん。)
    (…いいんじゃないの。)

    ゆっくりと一松の目が開いて、アメジストのような深い紫色の瞳が十四松とトド松を見つめた。
    …このタイミングで目を覚ますとか、反則でしょ。
    口元は僅かに上がっていて、微かな笑みを浮かべているのが分かる。
    一松の笑みに同じように笑みを返すと、隣を歩く十四松に顔を向ける。
    それに気付いた十四松もまた、鮮やかな蒸栗色の瞳を細めて明るく笑い返す。
    滅多に見れない、「兄」の顔をした十四松だ。
    夕陽に照らされた2人の兄の顔を、瞳を見て、ああ綺麗だな。と思った。

    「ね、絶対また行こうね!約束だよ。」
    「…わかった。約束。」
    (おれもー!やくそく!!)

    一松の細い小指に自らの小指を絡めて「約束」と言うと十四松も目を輝かせて手を差し出してきたので
    十四松の小指にも指を絡めた。
    元気よくブンブンと腕を振る十四松に笑って「痛いよ、十四松兄さん。」と返す。
    そんなに痛くもなかったけどね。

    「…兄さん達がそろそろ心配しそうだし、早く帰ろう。」
    「そうだね。」
    「…それに、腹減った。」
    (きょうのごはん、なにかなー?)

    そうだった。
    この兄が目を覚ますのは大抵が空腹を感じた時だ。
    小指と小指を絡めた時に感じた兄達の体温の余韻に浸りながら3人仲良く帰路についた。






    「何事も起こらずに終わりそうだな。よかった。」
    「ほんとな。終始ほのぼのした空気だったな~。はぁ、弟達マジかわ。何アレ天使?天使かな??」
    「ほら、家に戻ろう。もう一松達家に着いちゃうよ。」
    「お揃いの小物きゃいきゃいしながら選ぶとか俺の弟達くそかわ!」
    「ああ、エンジェル達があまりにピュアで俺の汚れたハートが浄化されたぜ…。」
    「いいから帰るぞ馬鹿兄共!」

    兄松はもちろん心配でずっと尾行してました。



    end.
    焼きナス
  • 弟松ペーパーより再録。 #おそ松さん #弟松 ##おそ松さんあきら.A
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