運命って信じるかい?運命って信じるかい?
俺の名は「ブレイン・アングラウス」。
ラナー王女配下の兵士に採用され、王都に住んでいる。
俺はかつて我武者羅に剣の高みを目指し、力を貪欲なまでに求めていた。
ガゼフに敗北した事で強くなる為に有りとあらゆるモノを投げ捨て、独りよがりの強さばかりを追い求めていたが、シャルティアに完膚なきまでに敗北し、地獄をみた。
まるで生ける屍、抜け殻となって王都にたどり着き、ガゼフと再会しガゼフの家に厄介になった。
そして、俺は運命とも言える出会いをした。
此からの人生、戦い方、全てを教えてくれた御仁…。
男の名は「セバス・チャン」。
俺の最愛の師である。
高級そうな黒の執事服を身に纏い手には白い手袋。すらりとした体格の白髪の老人。
老人と言ってもただの老人ではない。
それは俺やガゼフが束になっても勝てないほどの…あのシャルティア・ブラッド・フォールンに匹敵するほどの強さをもつお方だ。
あの鋭い視線と凛とした表情、雰囲気…とても老人とは思えぬほど美しく気高いお方だと思う。
そう、彼は美しいのだ。
あの整った顔立ちや、まるで陶器の様な白い肌、そのお心も何もかもが美しい…。
俺は恋をしているんだ。
もちろん師としても。
きっと初めてお見かけしたその瞬間から
俺はもう恋に落ちていたのではないかと思っている。
今度は何時お会いできるのか?
何時お声を聞かせていただけるのか?
今、何処にいらっしゃるのか?
そして…俺は貴方に触れたい。
こんな気持ち、セバス様が知ったらどう思われるのだろう?
気持ち悪いと罵声をあげられるか?
いや、セバス様はお優しいから「お気持ちだけで…。」と困った顔をしながら笑ってくれるだろうか?
もし、もし俺の事を少しでも好いていて下さっていたら?
死んでも良いかも…。
彼を抱きしめ、キスをして、一緒に眠れたら最高だな。
俺が今よりも強く、逞しい男になれば…。
セバス様に少しでも近付く事が出来さえすれば、この気持ちを打ち明けても宜しいでしょうか?
だってこれは運命なんだ。
あの日、あの場所で偶然出会った。
俺の最愛の師であり、愛しい人。
彼を愛せるならばどんな事でもしよう。
彼に愛されるならこの命をも捧げよう。
「セバス様、私は貴方を心より愛しております。」
end