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    MOONEYES―――MoonChild――あのふたりはジェリーにあんなにも好かれてる。のんびりと昼寝をしてる。周囲の戦士たちからは轍にたまった水溜まり程度にしか思われてないから心配御無用。
     ミアはいいコにしてる。おかげで訓練がしやすい。後でご褒美をあげるわね。__パイを焼いてあげるわね!
     監督官のふたりはのほほんと見物か。退屈よね。ガードマンの経験があるからわかる。
     アレックスはミアと共闘して盗賊と訓練してる。私は独りで狩りを楽しんでた。

     飽きてきた。私はチャールズ行きの弓矢を天に向けて放った。聞きたいことがある。
     私はさっさと鉄の門に入った。

    「きみか……」
    「あんたってやっぱりそういう奴」
    「あんたがくれたミスリルのアンクレット。呪いがついてた。だから融かして__にした」
    「ジェリー。待って、訪ねたいことがある」
    「あんたは闇市に行ってない。これにコインを使ったのはあのコね」
    「だけど、あんたは人の気持ちなんかわからない。あんた、自分のことを人がどう思ってるか考えんの苦手でしょ?」
    「まったく。あのコはこれをあんたに贈った。なぜよ?自分の指輪が欲しくなったからよ。」

    「……いい。要点をいうことにする」
    「『琥珀のイヤリング』をあんたはあのコのまえで売った。苺禾の価値を曝したの。どんなに仲が深まったところで、あれを頭の片隅から払い落とすのはまずムリよ」
    「宝石ってね」
    「贈り主の気持ちや願い。想い相手の価値を形にしたものだもの。だから、あんたは埋め合わせしなきゃいけない。宝石で」
    「知りたいし。そう、あのコの価値を知りたい」
     

    チャールズは鉄の門を出た。トアを探した。鞭を振り回している。疲れ果てている。
     相手は剣を何度もトアの腹に突き立てている。『ダイヤモンドの騎士』貫かない。
     主人が『デュラハン』を盗賊に奪われ闇の馬は立ち往生している。盗賊がデュラハンに化けた。
    「危ないっですよっ」
    「やめて、やめてやめてやめてえ!」
    「ヘイル!」
     チャールズは、剣戟の末に戦士の顎下にトーマの槍を突き刺した。仲間の男はヘイルの頸を絞めあげた。ヘイルの袖口に仕込んでいた針が飛びだして男の目を貫いた。喉を切り裂いた。
    「なんてことだ……」
    「平気じゃない……だって」
    「あの弓矢は一体?」
    「ここは弓を特別扱いして……」チャールズは信頼していたのにひどい裏切り方をしたドラマ視聴者の顔そのものだった。
    「……」デュラハンを睨む。
    「あ、あなたひとりで挑むつもりじゃあ!はっきり言います!無理ですよ!」トアは周りを見わたした。遠まわしに置いていかないでと言っている。
    「ここにいる。……」彼女を見つめる。チャールズは息を呑んだ。安堵感。

    コシュタ・バワーが暴れはじめた。盗賊のデュラハンを背中に乗せまいと抗っている。
     トアは立ち上がった。
    闇の馬は呼び掛けに応じた。トアが背に股がる。
     
    「顔を潰して」
    「キス、ブレス」
    倒れた盗賊の両肩の上に蹄。笑う馬が盗賊の口にキスをし、口の中に黒く燃え盛る闇のブレスを吐いた。
    闇の馬が『デュラハン』を剥ぎ取る。彼女は鞍からゆっくりと降りて、先に降りたヘイルが手を貸す。
    『デュラハン』に袖をとおす。フードをかぶる、チャールズにフードを後ろへ払われる。
    「なあ、終わったら、街へ行かないか?食事でもどう?」
    「お腹が空いてきました」


    街。さりげなく宝石商のまえを通った。恋人をちらりと見た。
    「欲しいかい?」彼女は顎を引いてかぶりを振った。本音は欲しいのか。
     ジェンダー、アンバー、トパーズ、サファイア、ルビー、ダイヤモンド、真珠
     自然を装って店内に入る。「わたしには……」
     チャールズは店主と話をしている。なにやら交渉は成立したようだ。包みを鞄にいれた。真の目的はこちらのようだ。
     店を出た、チャールズは食事のために歩を進める。
     相変わらず少食。テラスで遠くの小いさな森を眺めていた。階段の森。段々畑の森。奥深い縦穴は地下迷宮に繋がっているかもしれない。
    入り口前に監視塔が建っている。
     ふたりは食事を済ませると席を立った。月宮殿へ戻ってからは別件があるというチャールズと別れた。『月』に戻る気にはなれなかった。アレックスは苦手だったし、ミアも苦手だった。落ち込んでる。私は月宮殿の地図案内を眺めた。歩く木、七色の嘆き池、

     嘆きの池(水盤)には。『トマト』がいた。
    嘆いてはため息を吐きかけ、水の色を変えて遊んでいる。「赤と黒はやばいよ」トリーがむっつりした。鼻息が水にかかり色を変えた。黒だ。トーマが吐くと水は水色に変わった。
    「こいつ、悩んでなどいないのだ」
    「吐いて」
     私は吐いた。「ぴ………」赤みの強いピンク色。
    「気にしない。恋する乙女でいたっていい」
     トリーは水盤の水を掬ってから息を吐きかけた。水の色が変わった。やっぱり黒だ。
    「」


    ゴーストは鋳造部屋に入る。時間設定をした。__はこの中で過ごす。

     仕上がるのは__だけど、私は皆の__先の時間を過ごしたことになる。そしてその時間にジェリーが完成品を取りにくる。


    「やあ」
    「時間通りね」
    「ブラックダイヤモンド……あのコってふわふわしてない?」

     ジェリーは私の指にブラックダイヤモンドのミスリルの指輪をはめた。
     口づけを交わそうとした。私は頬にする。ジェリーをまさぐる手を掴まれた。「そこまで」「きみと俺の関係は」
    「わからないか、ゴースト」
    「わかってるくせに」「よせと言われてやめる女じゃない」
    「いたッ……な、なにを打ったの?」
    「意味を知らないか……黒薔薇の」
    「きみはあくまで私のもの……」
    「本音を隠すつもりはない。だから正直に言おう。……きみを恨んでいる」
    「……知ってる」膝蹴りをかまして強引に口づけをした。棚が倒れる。横倒しの棚にジェリーを押しつけ馬乗りになった。「よせ……動くな!」彼は抵抗した。ゴーストの頬をぶった。
    ゴーストは「嫌っ」と吐き捨ててジェリーのスラックスのなかをまさぐろうとしたが彼の力が優った。ジェリーの鼻から血が流れた。
    「諦めたほうがいい。シラットの使い手なの」
    「そうか」
    「じゃあ、見せてみなさいよ。私を捩じ伏せて組伏せてみなさいよ!」
    「なぜそんな暴力をきみに?」
    「手を離せ。ゴースト」
    「できない。なんかムリだからこうするんじゃないの」ゴーストは腰を振りはじめた。厚手の布の上から擦る。
    「こおしてると、あんたの熱が伝わってくる……ッ」
    「なあ見てくれ。惨めな姿だろ?」体を捻ってゴーストを払う。離れた瞬間に離れたがったが腰をホールドされた。
    「逃がさない!」涙声だった。下衣ごと一気に引きずり下ろした。惨めだった。「やめてくれ!」スライド式の棚をゴーストにぶちかました。頭に打ちつけたのに動じず目の前のものにしゃぶりつこうとした。とっさにお盆で局部を死守する。手品師のような手早さだった。
    「なにしてる!」
    「どういうことだ?……これは、なんだ?リラ?」――リラ……
     花月の使者は、寒月の哀れな姿に片方の眉を吊り上げた。寒月の下衣とスラックスを魔法で引き上げてやる。
     嫌な予感がして制欲剤を打ったのにまるで効果がなかった。
    「私が散らかしました。彼を襲おうとして」
     花月の使者は粉末を空中に振り撒き。魔法をかけた。在留思念を映像が流れる。
     ゴーストは花月神の使者から罰を受けた。寒月の彼に接触、近づくことを禁止された。


    水はインディゴに変色した。だが、月のようなものが浮いていた「それは……?」
    「あなたの、いまの気持ちを表してます」
    「片付けが、必要です」彼はかぶりを振り話さなかった。
    「僕らは、いま、『__』に入るために歩いてる。ここは『__』という13番目の塔だよ」
    「13番目……?」
    「僕らの目には見えていないだけで実はここに存在しているんだな、トア」
    「その、中に入りたいの?」「どうやってなかに入るの?」彼女は『デュラハン』を羽織っている。
    「…………」
    「……新月」新月を指した。

    「この世界には懐中時計すらない」

     それはどうだろう?という顔を作った。
    「どういう顔?」
    「『とかれることを望まない秘密だってあるさ』」
    「どういう意味?」トアは目を丸くして興味津々というふうだった。
    「ああ……それは秘密だ」

     唐突にトアが「あたたには、ブレゲになって欲しいのです」と言った。

    「時計旋盤がないと……__のことだってある。僕ひとりではどうにもならない」「残念だよ。ここには時計師はいない」
    「それは嘘です」チャールズがくすりと笑って頷いた。
    「この世界で時計の修理をしたら、それで立派な時計師が誕生します」
    「誰かは、その……持っているはずです。探しものが増えました……」チャールズが地面を凝視「密かに影絵ができあがって……」

    「13番目の塔」
    ・塔の影絵の入り口に階段が現れる。
    「動いてる……」
    『ダイヤモンドの騎士』をかけた。


    『この男になにか尋ねればリスクがつきまとうことを知っていた。ごく単純な質問ひとつが長いモノローグの扉を開きかねない。』って本に書いてあったから。
    「メトロポリタン美術館には」
    「デルフォイ機構に興味があるの?それともあなたが興味があるのは、太陰太陽暦」
    「どちらにも興味がある」
     太陰太陽暦について語る。
    「僕はグレゴリオ暦も純太陰暦もどっちも憎んでる。いい加減だからね」
    「太陰太陽暦はエレガントで調和がとれている。美しい」
     うっとり見つめる。
    「本物だとは信じない人も多い。科学者でもコンピューターを使わないとおなじ計算ができないからだ。そんな昔にこれほど洗練された計算機を作った人物がいるとは信じられないんだよ。でも、僕は本物だと思う」
    「これについては色んな噂がある。中に生命と宇宙の謎の答えが入ってるとか」
    「こいつは何か超自然的な力を持ってるのか?もちろん、そんなものはない。それでも、重要な働きをしてる。時間を統一してるんだよ。この機構は1秒だろうと1000年だろうと、100パーセント正確に計測することができる」
    「古代の人々は、時間は独立した力だと考えていた。他の何ものにも備わっていない力を持った神だとね。この機構はその考え方を象徴するものだとも解釈できる……」
    「『この世の全員がそういうふうに時間というものをとらえるべきだと思うよ。1秒という時間は銃弾やナイフや爆弾と同じような力を持っているというふうにね。いま過ぎた1秒が、1000年後の出来事に影響をあたえるかもしれない。全く違うものにしてしまうかもしれない』」
    「情報はこんなにも入りません」

    遊び好きの『トマト』__。ランプを持って散歩。この近くに綺麗な花が咲いていたのだ。慰めるスポットを巡っている。ジョリー・トーマが違和感に首を傾げた。があまり気にもとめず歩み去った。


    塔が割れはじめる。上へ、「どうして急に!?」
    「灯りだ……逃げないと!誰かが__んだ!」

    トアが足場をなくして転落しそうに。腕を掴む。
    ――
     チャールズの足元が崩れて落下する。
    自分の足場もなくなりそう。チャールズを掴みながら脇へ、脇へと逃げる。彼は手を離そうとしていた。一瞬見つめあう。
     彼が悲鳴もあげず落ちていく。脚が痺れていた。動く気などなかったが。トアも落ちた。チャールズが見えた。トアはまだ落ちる。
    ――まだ、やりたいことがたくさん……
     チャールズは強かに胸を打った程度にすんだ。たった数センチのズレが生死を分けるということだ。悪運が強いらしい。……すまない。チャールズは修復された階段を勢いよく下りはじめた。
    ――ひょっとしたら、あの魔法のおかげで助ったのかもしれない。――それはない。チャールズ。腹を決めろ。


    脚が止まる。下に降りる階段がここで終わった。最寄りのドアを開け、どこへ通じるとも知れぬ通路をひたすらに進んだ。

     トアの体は砕けていた。頬を愛撫する。冷たかった。真珠を首にかける。『月の涙』『涙の象徴』故人に対する敬意をあらわしている。

     こんなときに不謹慎かもしれないがチャールズは喘ぎながら声をあげて笑った。「デルフォイ機構!」「きみを失ってまでして見たくなかった」

    ・機械の兵士トーテムが入り口のなかに入る。【力のアーティファクト】はロスフィンデルとかいう悪魔が創るらしいことを思い出す。
    ・戦神に会え

    『互いに会う機会はもうないのでしょうか?』
    『だから、これからが本当の意味で、私たちの友情が試されるときとも言えます!』
    『ああ、うそでしょ。どうか、さよならを言わせて』
    「……待て……」
     さっきの機械の兵士が彼女の遺体を抱いて行ってしまった。
    「……返してくれ!」


    闇の馬に責められた。こずかれた。後ろに後ずさるようにして尻餅をつき、そのまま塞ぎこむ。訓練場に行き、トアを触る。
     
    ・月の部屋に行く。
    「顔が、真っ青だぞ?」アレックスが異変に気づいた。チャールズは黙って書斎へ。アレックスは部屋を覗く。なにも手につかず
    ――愛することは無意味ではないか。人を愛して一緒になることなんか……

    ・アレックスと強い絆を構築する。その絆こそ残忍な世界で生き残る手助けとなる。ルームメイトであり、戦友である。ずっといた関係とはまったく違う絆で結ばれていることがわかった。
    ・キャスリンとムシカが便りを受けとり依頼を引き受ける。
    ・キャスリンとムシカがヘイルに会う。
    「たまたま生まれて死ぬまで生きる。その人生をどういう内容にするかはその人の生き方次第じゃないか」ムシカ
    「愛を育むことが命を救う、ね」
    「誰からにも感心されなかったら、生きなかったことと同じことだものね」キャスリンは肩をすくめた。「あの子のこと。残念だった」

    ――人生の無意味に意味をあたえ、生きることの徒労を生き甲斐にかえる。

    ・ゴーストが遠くに見える。
    ・ヘイルはキャスリンの任務に同行を願う。
    ・遅れてゴンドラに乗る苺禾。苺禾も合流。


    『トマト』のトリーは『死に神』の部屋に引きこもる。忌々しい死に神め。大切な人の恋仲を引き裂いてしまった。

    「まるで劇場だ。新舞台を拵えるために古いものを壊す必要があった」とジョリーがミアに言った。「次の主役は誰だろう」
    「……んー、ストーミ?」ミア







    ・愛雛が土砂降りの雨の中、オークを狩る。豚の獣人とオークは繋がっている。ほとんど奴隷商人だった。
    「悪いと思ってんだろ?あんなことをして俺や連中がほっとくわけない」
    「ここじゃみんな容赦ない」
    「それは確かだ」オークは間抜けを見る目でアイスを観察した。アイスの心は凍った。なにか嫌な予感がする。
    ・アイスは豚の獣人と契約した本人を殺す。部屋を物色したが特に見つからない。自分の似顔絵が描かれた手配書だけだ。どこに送った?
    ・オークはどこから涌いてる?

    ・アイスはビリーがいま何処で何をやってるか知っている。合流する。アイスが奴隷商人猟りをしていたことをビリーは知っている。ビリーはアイスを批難する。仲間も同調する。
    ・ビリーではなく仲間からストーミの話を聞く。彼が浮浪民のままごとをしていることを知る。
    ・その単独行動は危険だった。危険を招いたのはアイスだが。
    ・アイスは国に入る。浮浪児から話を聞く。ここへは戻ってきていない。あの時のオークのにやけ面の意味を理解した。
    さあ大変だ さあ大変だ
    七面鳥が 逃げてゆく
    さあみんなで つかまえろ
    池のまわりを 追いかけろ
    ララララ ララララ
    ララララ ララララ
    一生懸命 逃げてゆき
    そら かくれた処はわらの中

    さあ大変だ さあ大変だ
    七面鳥が また逃げた
    こんどこそ つかまえろ
    庭のまわりを 追いかけろ
    ララララ ララララ
    ララララ ララララ
    一生懸命 逃げてゆき
    そら かくれた処は小屋の中

     彼女自身は、ステップを踏み、__を吹いて『蒸気船ウィリー』から『藁の中の七面鳥』を演奏しながらウルフでごまかしたグレイッシュの癖っ毛をそよ風に揺らす。
     の__大通りを行き交う人びとの脚は羽毛が詰まってるかのような軽やかな足取りだった。彼らは思い思いの目的地へと歩を進めていた。__に、__、__と__。それにステップを軽やかに踏む酒飲み爺さんさえいた。
     ある紳士は帽子を手に取り上げて軽い会釈をし、貴婦人たちは腰を軽く落とし挨拶を。彼女の演奏に、生きとし生けるもの、もの乞い白鳥も家鴨の親子も病気で伏せていた猫もぴんと背筋を伸ばして歩きだした。赤子を抱いた貴婦人にせがまれてキャスリンは自分の母乳を赤子にたらふく飲ませた。貴婦人の肩にキリギリスが飛び込んだ。軽い悲鳴が笑顔の口から軽やかな笑いが転がった。ムシカは踊り。
     ディズニー映画で__必ず注入されるシーンだ。彼女は美女ではないかもしれないが。チャールズ・ヘイルも彼女たちと一緒に歩いていた。訓練生の街への外出はちょっとした__みたいなものだ。魔法の紋章を押されて背徳の刻印に完全に変わる前に帰還すればいい。隠されたシナリオを探す旅へ。
     ……霞み城。

     お婆さんがくるっと身体をまわして腕を振って踊っている。元気だ。
    「キャスリン様、__へ行かれるんで?」
    「カエルさんの国へ行ってきます」カエル……?
     口の早いムシカが先回りした。
    「今年はカエルさんの味がいまいちっつぅーねえー?だから彼らのために__祈願して体調を回復させてあげないと……こっちまで」カエルのお医者さん……
    「そら大変だねえ、奴らは窃盗、人攫いなんでもありだから。頭を鎮めてやってくれえ」
    「えぇ約束するわ」
     苺禾は例の顔つきでキリギリスを警戒して見つめていた。困った顔は苺みたいに優しい甘さを含んでいる。官能的な唇。雪もちみたいに透き通った肌。華奢な身体。
     馬丁から荷車と逞しい馬を4頭用意してもらった。逃げまわるキリギリスをついばもうと奮闘中の鶏がチャールズの脚まわりを駆けまわった。お婆さんが笑顔で訊ねた。彼女の指が言っているのは男か?チャールズは言った。「従者です」


    3人は馬にしりを預けてカエルの国へ続く左の大道りにでた。霞み街は霞んで消えた。
    「ほら、これを。旅の必需品。コンパス」
    「テクマクマヤコン、テクマクマヤコンチャーリーに必要な筆記用具をくださいな。ジャーン。地図とチャコール」
    「カエルの国?」チャールズは訊ねた。


    「水都ネン・フェン」ムシカ「ネンターリが治めてる」

    「南東にあるっていう水の都にカエル頭の一族が住んでるの。今回のクライアントは、そのカエルさんたちを主食にしてるすんっごぉーい怖い怪物さんたちね」

    「覚悟して。私たちは、いまから度胸試しをしに行くっつぅーことだから」っつぅー……
    「旅へは、こんなにしょっちゅう?」
    「ああ、そうね、前回は豊穣祈願をしに__へ、前々回は__安産__に__まで行ったわね」

    「そういえば、チャールズは『藁の中の七面鳥』を知ってたよね。たまぁーに異世界の者が紛れるんだよね。そんで、そういう連中がたまにいいもん持ってくる」群れが
     キャスリンが継いだ。「でも、大抵は兵隊さんに没収されちゃう」苺禾は無口だ。「キャスリンはスマホをとられた」
    「チャーリーは?」
    「時計を。シグマのデジタル時計」
    「うわ。高級なやつ」

     キャスリンの『女帝』の力を借りて、馬は普通の馬が走れるよりもずっと速くバネのように弾んだ大きな足どりで南東エスリマを走っていく。前方の南東にバ・ダ山脈が見えた。
    足の裏がかすかな地響き感じる。

    湿原、タムタカ大湿原の向こう。剣の切っ先のような形をしたバ・ダ山脈の向こう側にサハギン村がある。
    バ・ダ山脈のバ・ダ街を通過するしかない。バ・ダ山脈最南端の南に位置する水都ネン・フェンに挟まれて行く必要がある。
    バダ山脈は険しすぎて登れない上、河が横断している。オークに見つかるわけには行かない。
    切りだつ崖に湾岸都市はなく、あるのはオーク海賊が利用する洞穴だった。

    そしてしばしば増水するタムタカと大河が旧街道を消し、更にオーク族が平にしてしまった。手探りでの旅だが、キャスリンは知り尽くしていた。雨季は大規模な湖に変わり最悪だ。

    壮絶な地響き。人に巨人を信じさせるにはじゅうぶんなほどだ。

    海すら見えないうちから想像を絶するほどの水量が海へ流れ落ちているからだ。壮大な滝、水量がこの先にあることを感じさせた。

    塩分を含んだ風。
    塩湖が広がる。この先は海との境目が曖昧だそうだ。
    東へ急斜面が延々と

    「どう、どう!……チャーリー、お腹すいてない?」「早いじゃないか、理由が多分にあるんだろ?」
    「もちろん、あなたの胃が頑丈でありますように」唇にキスを落とした。「気にしちゃ駄目。ただの願かけ」
    「試しただけ、そうだろ?……」
    「うん。はい、シュリア、この人にもお弁当を」
    「これは君の手料理?誰かに料理を作ってもらうのなんて何年ぶりだろう」おっと、頭からゴーストが抜け落ちた。
    「彼女がいない?立候補しちゃおっかな」ムシカが言った。苺禾はだんまりしている。

    「そうだ。ぜひ聞いておきたいことがあるの。あなたの時代は?」
    「2006年」
    「まだ『ラプンツェルの塔』も『アナと雪の女王』もやってない。信っじられない」

    「……君たちは、未来から来たんだね?」
    「そうね、私たち、2020年から来たの」チャールズは頬が緩んだ。「どうなってる?」

    「どうして神様が、あなたから数年を奪ったかだなんて誰にもわからない……でも、私に言えることがひとつだけある。神様は、ここに私たちを召喚した。きっと、なにかをさせたいの」チャールズは頷いた。「神様の言うことは、聞いておいたほうがいい、だろ?」キャスリンは肩をすくめた。

    ・戦神について訊ねる。最北の上空にある天照国領域はグリティリスの戦神が徘徊している。
    ・西部大山脈を越えた先にある戒律国サングドール付近ではサングドールの戦神が徘徊している。
    ・地底のモルドゥア国にはモルドゥオン・ロモが白昼夢狩りをしている。
    ・専ら有名な三人の他に沢山の戦神がいる。禍をもたらす魔女が土地に現れたら討伐の為。


    東洋人の男にはおそらく背伸びポイントがあるのだろう。いつも__で腕を後ろに伸ばす。ジュリーの『ジェラルド・ダンカン時代』を連想させる丸顔の二重顎。訓練生ではないわね。いつも、どこに向かうのかしら?
     ミアはまだ首をさすっている。私は吹き矢を使って彼らから毛皮と骨をかき集めた。
     売店に買い物かごを持って__。ふうん、独り暮らしね。
    「ジェリーって肥えていたのよ」
    「ほんとよ。ジェラルドを演じるために体重を20キロ減らしたの」
    「うそぉー……」
    ――しばらくの間だけよね?ジェリー……



    馬の息づかいが変わった。怯えている。ガザガサという葉擦れの音がしたかと思うと、ハルバードの刃を脚につけた巨大な蜘蛛が現れた。背中に爬虫類が乗っている。顔つきからしてまだ幼い。「二人とも気をつけて、サハギンよ」キャスリンが言った。
     キャスリンは懐から手紙を手わたした。子供のサハギンは唸ってから、手招きをした。

    村の門に腹の裂かれ贓物が取り除かれた人間や馬の死体が逆さに吊るされている。チャールズは胃が頑丈なほうで良かったと思いはじめていた。
    「願掛けの効果のほどは?」
    「ばっちり」しかし、苺月は空嘔を繰り返した。涙目。
     門の外で待たされること5分。ドアを開き、集団が待っているのに目を留めた。

     思っていたのよりはるかに大きい。白面顔の爬虫類サハギン。ちょっとした恐竜だな。
     翼が生えているやつ、一際背が高いサハギンはトリケラトプスのような角が生えている。
    「人の子よ。この手紙には、彼奴らがお主に我ら一族を殲滅を__する内容が書かれている」え……?
    「なぜに、お前は彼奴らを裏切る?」おや
    「私は弱者になど興味はありません。__のために滅びるべきです」
    「とっても言い難いことだけど、クライアントを間違えた」とキャスリンは素直に間違いを認めた。ムシカは口をあんぐり開けた。クライアントを間違えるドジっこっぷり……
    ※解読失敗。
     地図が貼られている。サハギンは少なくとも世界を把握しようとしている。

    「『ネンターリ』を潰す」
     口から炎を吐きだして藪に隠れている敵の体にぶつけた。
     カエル頭の斥候が飛び出してきて宣戦布告した。カエル語が飛び跳ねる。サハギンは捕まえて刺した。
    「ちっともわからないわよ。カエル語だなんて」キャスリン
    「わからないのなら、どうして引き受けた?」チャールズの冷静なツッコミ。
    「不思議ワールド大好き?」キャスリン、ロマンスが止まらない。

    ・苺禾は召喚獣が産まれそう。サハギン村に残る。苺月は召喚獣を産むために性行為をする。星のカードの恩恵が邪魔をして産むことができず、戦えない苺をは訓練所でああやって時間を潰していた。

    「敵は多くいる。村の外に潜伏している可能性がだってある。馬からは離れるな。警戒してくれ、万が一村が襲われたときのために、これを」苺禾に渡す。地図には脱出口が印されていた。


    カエル頭は毛むくじゃらのグレムリンを育てている。鋭い爪を研いであげている。
    「あんなのに100匹と囲まれたら、さすがの私でも捌ききれない」「死んだらおしまい」
    ――ジ・エンドってわけ?オーケー、面白そう。ゴースト風のツッコミを入れる。
    「見ろよ……、大量の轍と積み上げられた柵の残骸は、グレムリンの飼育スペースがあったことを意味している。500匹はいたはずだ」

    「大変、急いで戻りましょう」



    ・後ろを向いて離れたらカエルが角笛を吹いた。後ろで狼煙が焚かれていた。そういうことか。いつも見張られていたんだ。

     ヤシの実みたいな大きな玉が飛んできた。地面が抉れる威力だった。吹き飛んだ土をかぶる。
    「チャーリー逃げてっ!」キャスリン
     また玉が飛んできた。身を投じるように避けた、だが、爆風に――
     象頭神の身体が前にある。そこに隠れなさいというようなしぐさで4本あるうちの1本のうで護るようして抱いた。そして、チャールズを抱えて猛然と走りだしたまではいいのだが、短い脚では間に合いそうにない。と、ムシカが片手で像頭神を軽々と持ち上げ掌に乗せて猛然と走りだした。
     だが、小さな水たまりを踏んだときムシカの身体が腰まですっぽり穴に落ちてしまった。衝撃で像頭神は投げだされた。キャスリンの腕が小さな水たまりの池にはまった。素早くムシカとキャスリンは脱出した。カエルの道だ。これは。ムシカは再び2人を担いで駆けだした。

     森に逃げ込んだ。と見せかけて森からはすぐに出た。
     でも追い詰められる。一生懸命逃げる。
     
    なんとか脱出できた。爆発に吹き飛ぶ建物、荒れ狂うサハギンたち。
     苺禾は祈った。産気づいている。はじまっている。でも、まだ、もう少し待ってて……村からはまだ近いの。近すぎるの。
     強烈な陣痛に襲われた。あまりの痛みに悲鳴をあげそうになった。馬から落ちそうになった。命懸けで馬からおりた。もう無理。私には無理。苺禾は泣いた。倒れた木、あそこなら……。
     次の陣痛に悲鳴をあげた。鋼色の液体が流れている。私の召喚獣……。悲鳴をあげながら思いきり力んだ。何度も、何度も。
     喉が乾いた……。疲れた……。苺禾は目を閉じた。





    苺禾を探して村まで戻ってきたが時すでに遅し村は壊滅しようかという真っ只中だった。どのサハギンも血まみれで傷ついていた。グレムリンがトカゲに群がる蟻のようだった。ハルバードの刃靴を履いた巨大蜘蛛がカエルの身体を引き裂いた。
     象頭神はグレムリンの小さな体をなぎはらい、足で潰した。カエルの頭もはねた。カエルが象頭神の気迫に圧されて退散する。
     ムシカは持ち前の機動力を活かした__。

     チャールズが叫んだ。「様子がおかしい……。陽動だ!逃げろ!」と、見せかけだった。空から玉が降ってくる。象頭神が伏せた。「もうやめてくれ!」頭を抱えてチャールズが叫んだ。声が裏返った。ドカンッ――耳鳴り……早鐘を打つ鼓動……生きてはいるものの。キャスリンは?人間に戻って倒れていた。
     ムシカはサハギンを盾に爆撃から逃れた。
     外は生き残ったサハギンとカエルの剣戟の音。カエルが吹っ飛んだ。不思議な音が混ざっている水の玉?召喚獣?苺禾は生き残った。
     昔流行った『セーラームーン』のマーキュリーが繰り出していたような技だった。
     キャスリンはかなりの深手を負った。ムシカはキャスリンを軽々としかし丁重に抱えてシャーマンの小屋へと運んだ。
     ムシカは小屋の守備についた。
     チャールズは慣れた手つきで酒を使って傷口の消毒をして、金属の破片を取り除いて傷口を縫った。聞き馴染みのある音を聞きながら。――……
     
     薬を取りに戻ったシャーマンサハギンがキャスリンの様子をじっと見る。薬品をかけ呪文を唱える。チャールズはシャーマンの腰にさげていたヌンチャクを奪い、振り上げ侵入者の頭に叩きつけた。



    苺禾は目を開けた。馬が居なかった。大切な馬が逃げてしまった。涙が溢れた。村が煙に包まれ、剣戟の音がする。カエルもサハギンもいないようだ。仲間も馬も。帰りたい。死にたくない。カサカサ……
     鋼鉄のハルバードの刃靴を履いた蜘蛛だった。「苺禾……」チャールズが降りた。血と埃まみれだった。「良かった……」彼は私を抱えて蜘蛛の背に乗せた。キャスリンもいた。包帯を巻かれたキャスリン。
     4人はサハギンの村を後にした。
     ・カエルは許さない!サハギンの村は遠くへ。カエルの村は近くへ。

     カエルはせっせと宴の準備をしている。
     壁の穴から覗き見た。
     彼は胸から取りだした小瓶の蓋を開けると井戸に数滴垂らした。
    「この宴に……私たちは招かれることはないが、その宴の__は容易に想像できる」細められたチャールズの目。
    「彼らが築いてきた歴史がまもなく消える。カエルのジュースのレシピも彼らと一緒にね」キャスリンは回復力が早い。

     サハギンの村にカエルの村の地図があった。族長に貰ってもいいかと訪ね、地図と猛毒を貰った。

    「さあ、帰りましょう」



    ・鎖に繋がれた男は奴隷のストーミ。ドリミア族【ブラック・ウィドウ】に捕まった。奴隷商人のオークに売られ、今から輸送車で【カプリコーン】に送られるらしい。
    ――鎖が繋がれた脚を重たそうに引きずって暗闇のなかを歩く――
    ・重たそうには演技。
    ・馬車の荷台にのせられるところで。足業でオークを倒すがセキュリティ魔法が発動して馬車の馬が逃げる。荷台に乗れなかった。警報が鳴るなか必死で逃げる。


    オクラホマミキサー

    疲れた馬たちと重い荷物を積んで
    田舎に下りる道をすすんでた。
    鞭を入れたら先頭の馬が
    はねた
    私は「ドウドウ」といって
    馬をなだめた

    わらの中の七面鳥
    わらの中の七面鳥
    転げてひねって打って
    唸った
    元気出せよ
    わらの中の七面鳥

    ミルクを絞りに行ったけど
    やり方がわからない
    牝牛の変わりにヤギの乳を
    絞ったよ
    サルがわらの上に座って
    彼のお母さんにウィンクしてた

    わらの中の七面鳥
    わらの中の七面鳥
    転げてひねって打って唸った
    元気出せよ
    わらの中の七面鳥
    3103ricecake Link Message Mute
    2025/12/01 1:39:28

    MOONEYES―――MoonChild――

    《《加筆作業公開中》》以降、新着避け

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