βの視点緋ホ / ひホ
いつも、彼に会うとき、彼は目を閉じている。
ぼくの「おにいさん」。
しろくて、綺麗な顔をしている。
からだは細く、繊細な、すこし、ガラスみたいにこわれそうな不安を感じる。
ここは「おとな」ばかり。
彼はぼくと同じ「こども」。
モニターの中でしか、彼が起きているところを見たことがない。
音はない。映像の中。
こうして静かに寝ている姿をみていると、たまに現実味がなくなる。
彼は本当に動くんだろうか。
どんな声をしているんだろうか。
いつも、カプセルの中で触れもしない。
彼が起きている間、ぼくは寝ている。
こうして同じ場所にいながら、出会ったことがない。
きみとしゃべりたい。
一緒に遊んでくれたりするんだろうか。