SS入りきらなかった説明をぶちこんだSS。
「ぱせんの話」読了後のほうがおすすめです。
1、すれ違っていた話
2、同単拒否の戦士は散っていった話(※台本形式)
3、ナンパする話
4、月末に纏めてくる話
5、気のせいかもしれない話
最終ページは出てきた人達の紹介です。
(すれ違っていた話)
近所で"あくのいきもの"の攻撃が発生したとの一報が、端末を通してやってきた。
攻撃対象である電波人間達は出来る範囲で3DS内に保護し、顔の知れている近隣の電波戦士達にも「今は非常に危険だから、腕に覚えが無ければ近付かない方が良い」と知れ渡っていたハズなのに。
突如"あくのいきもの"が現れ、初心者狩り染みた行為をするようになったのは、つい最近だ。
正直に言えば、奴に太刀打ち出来る電波戦士は、この一帯では自分しかいない。そんな手薄な町だからこそ狙われたのだろうか。
奴に襲われ殺され、戦士として戦うことに恐怖を覚え辞めてしまった者もいた。自身にも経験はあるのだが、あの感覚だけはそう何度も味わいたいものではない。電波戦士になりうる年齢層が比較的若く、学校やSNSでプレイヤー同士の情報共有が盛んに行われ、新たな被害の発生を急速に抑えられたのは不幸中の幸いだった。
ただ、手頃な電波戦士を狩り尽くした奴が次に狙うであろう、電波の発生源である電波塔で張っていたのは失敗だった。もしかしたら、何も知らない新人の電波戦士が入ってきたのかもしれない。
……そうだとしたら急がねばならない。
死ぬのは勿論だが、死んだままで放置されるのも、気持ちのよいものではない。出来るだけ早く回復をしてやらないと。それが電波戦士としての初の体験ならば尚更だ。ただでさえこの地で減ってしまった電波戦士が、更に居なくなってしまう。
鎧を纏った電波戦士は足に力を込め、現場へと急いだ。
――辿り着いたそこは、既にもぬけの殻だった。
破壊された建物や道路を見る以上は間違いなく、そして限りなく一方的な戦闘があった事を示している。
だが、そこにあるはずの負傷した電波戦士や電波人間の姿が無い。破壊の根本である場所に、焼き付いた血液のような染みが残っているのに、だ。
「なぁ、れいさ」
「なに、スレイ」
隣に飛んでいる、相棒の黒い電波人間に声を掛ける。
「これはどういう事だと思う」
「…偶然、復活アンテナ持ちが通り掛かったとか?」
「……あり得るか?この惨状で」
人手不足からモンスターが蔓延り、電波人間ですら気軽にうろつけない空間になってしまった、この一帯で。
「…それとも、相棒が二体いて、片方が生き延びて回復させた…とか…?」
苦しい答えだとはれいさ自身が解っている様で、難しい顔をしている。
広範囲に及ぶ強力な一撃を放ってくる、あのあくのいきものから逃げ切る事は、ある程度慣れた電波戦士でも難しい。それは相棒が複数人いたとしても、変わらない。
なんらかの方法で復活し、既にここを去ってしまったのだろうか。
それとも、可能性は限りなく低いが、どうにか痛手を負いつつも単独で切り抜けたのだろうか。
それだけ有力な電波戦士が現れたのならば、非常に心強いのだが。……都合の良い可能性の方を想像してしまうのは、自身が疲れているからだろうか。
「……」
道路に残る、痕を眺める。
仲間達や相棒と共に交流や戦闘を楽しみつつ、誰かの役にも立てるならばと電波戦士になった。
……理不尽な殺戮をなす術なく見たいが為になった訳ではない。
「…スレイ」
「行くぞ、れいさ」
「……わかった」
あのいきものがいる以上、現状は変わらない。
奴と対等に戦い、一人でも打ち倒せる様に強くならねば。
――そして、友達や兄弟達と共に、再び電波戦士として笑い合える日が再び訪れたら。
決意を改めた騎士の姿の電波戦士は、相棒の黒い電波人間と共に、破壊の後が色濃く残るその場所を後にした。
――その去っていく姿を、物陰から息を潜めて見守っていた者がいた。
「にんげんだムリムリムリムリ逃げて良かった無理やだ無理」
「な、なんで隠れたんですか!? 折角先輩とも師ともなろう方が駆けつけてくれたんですよ……!?」
その惨劇の場に先程まで倒れていた、藤色の髪の電波戦士と、その相棒の黒い電波人間。
「こんな世界に来てまでわざわざ人とかかわり合いたく無いですだったらもう一回あくのいきものの腹筋眺め回して焼かれた方がマシっす」
「煩悩が溢れだしてますがそんなに嫌なんです!?」
先程の二人組に存在を気付かれぬよう、全体的に小声ではある。だがそれでも中々に騒々しい声が響く。
「人と話すのに勇気が必要なのは解りますけども! …あちらだって少なくとも同好の方な訳ですし、ハードルは限りなく低くないですか?」
「……あの鎧の人自体は知らないけど、連れてた電波人間は見覚えあるんだよ…!」
その声にさやねは先程の電波人間を思い出す。
確か、ロケットの様な頭を持つ、黒い体色の電波人間。自分と同様にアンテナが無かった。頭の形や体色、雰囲気等から、出生から生まれた者ではなく、自身と同じ縄張り世界の生まれなのかもしれないと、少しだけ親近感を覚えてもいたが。
「度々すれ違いで見掛けてた…というか、なんなら私がゲームを始めた頃から一番やりこんでる人が連れてた。あの子がお気に入りっぽくて、毎回リーダーにしていたのが印象的でよく覚えてる」
「なら、もしかしたら向こうもこちらを認識しているのでは」
同じだけ相手もすれ違っていた訳でしょうし、とさやねが声をかけたら、みるみるうちに表情が歪んでいった。
「……だから余計にヤなんだよぉぉぉぉ………!!気まずいし近所というか生活圏モロかぶりっぽいから現実で遭遇する可能性もあるし嫌すぎる無理あとあっちは鎧で顔ほぼ隠れてんのにこっちは素顔だぞ無理」
「………貴方って人は」
人付き合い苦手そうだなとは前々から薄々感じてはいたが、ここまででしたか。
「……討伐はそこそこ頑張るので勘弁してください」
「まぁその、戦士同士での情報共有が出来ないのは不便でしかありませんが、貴方にお任せしますよ」
「ありがとう愛してる」
安心したのか、肩の力を緩める電波戦士。どれだけ嫌なんですか。
「…ただ、今後どうしても会話や協力せざるを得ない状況になったら、逃げないで下さいね?」
「……そうならない為にも、他の電波戦士に会わないようにバレないように行動しなくちゃなぁ」
対策するところ間違ってます、と言いかけて止めた。
この人はこういう人なのだ。だからこそ、異能力的にも他者と協力しにくいものが顕著してしまっている。
死ぬ事も前提とする能力でありながら、引き続き電波戦士として行動しようとしてくれている所は良いのかもしれないけれど。
予想以上に厄介で手の掛かりそうな人を選んでしまったのかもしれないなぁと、さやねは小さくため息をついた。
(同単拒否の戦士は散っていった話※台本形式)
「電波戦士がさ、複数人いるなら……相棒が同一の電波人間って事があるんじゃ? 縄張り世界の子以外にもナンバリング主人公とかの公式組とか…」
「それはありますけども、あくまでも"その電波戦士と交流のあったデータを持つ個体"が相棒になっていますので問題ありませんよ。私に関しても『同じ電波から生まれた別の私』を誰かが捕まえ、相棒にしている可能性があるのかも知れません」
「…それってドッペルゲンガーみたいで、不思議に感じない?」
「いえ、私達は多重世界に生きている以上同一個体が複数いる事自体が当たり前でもあるので」
「はぁ」
「…でも、あなたを知る私は、私しか居ませんよ」
「……その言い方、なんか照れるなぁ」
(ナンパする話)
「ほら口を開けるんだ良い子だから」
相棒であるにんげんの気合いが、いつになく入っていた。
初めて電波戦士となったあの日以降、彼女は他の電波戦士やボス級モンスターに気付かれぬ様に気を付けつつ、度々討伐を行っていた。
戦闘を重ねた事により、菫色の血液には毒が含まれていることが発覚した。更にその毒には本人が希望していた、「相手をゾンビとし傀儡化する能力」が付与されていることも発覚。
ドン引く私を余所に、ズタボロになりながらも歓喜していたあの顔は忘れない。
……ただ、ゾンビ化についてはかなりの低確率な上、再現性も低い異能力の様だった。唯一ゾンビ化に成功したモンスターもすぐに毒に倒れ、そのまま討伐が完了してしまった。
正直あまり実用的ではない異能力に思えるが、「実践を重ねることにより付与率が上がるのではないか」と、討伐のモチベーションを上げる事にはなった。
今相対しているのは、"てんしのフォーク"。
フォークを持った白いタケノコに、天使の翼が付いたモンスター。堕天使らしいが、事実は解らない。
相棒である電波戦士の彼女は、てんしのフォークを見つけた瞬間に顔を綻ばせ…というよりも異様にニヤけさせ、そのまま勢い良く戦いを挑んでいた。
……どうやら非常に好みのモンスターだったらしい。
攻撃されても気にも止めず、捨て身のままニヤつく者に狙われたてんしのフォーク。
謎の勢いに押されたのか、執拗に傷つけられたタケノコはフォークを取り落とし、そのままフォーク共々鎖で縛り上げられてしまった。
どうやら彼女は、光属性の攻撃を喰らうと治癒が遅れるらしく、フォークで裂かれた頬や指が回復していない。
だがそれを良いことに斬り付けるのをやめ、傷口から滴り落ちる毒の血液を、フォークの口に直接流し込もうとし始めていた。
傷から入れるよりも早いと思ったのかも知れないですが、にんげんさんとしてそれはどうなんでしょう。
「なんて事はない美味しいぶどうジュースだよ怖がる必要はないんだ、本体である君も充分に可愛いから大丈夫だよ私は君が欲しいだけださぁ口を開けるんだ」
怪しい言葉を次々と並べつつも手を弛めず、自らの血を飲ませようとするニヤけた電波戦士。
固く目を瞑ったまま口を閉ざし拒絶する、返り血だらけで拘束されたてんしのフォーク。
「………これではどちらが悪だか、解らないじゃないですか」
膠着状態だったそれに、動きがあった。
おざなりになっていたタケノコ側が鎖が弛んだ隙を突き、フォークを掴んで共に目を見開いた。
「ぎゃっ!!?」
向かい合っていた為、眩しく光るフォークの眼差しを直接食らった彼女はのけ反り、フォークを拘束していた鎖も外してしまった。
そして、てんしのフォークはよろけながらも相手の胴体を突き刺し薙ぎ払い、そのまま間合いを取る。
「………反抗、するねぇ…!」
腹から血を出しながらも嬉しそうな顔のまま起き上がる電波戦士。ただ、視界は良くないらしく目を擦りながら相手と向かい合っている。
てんしのフォークも同様に満身創痍であり、腹の怪我も不明瞭な視界も気にせず、再び詰められていく間合いに焦っている様だ。
再び始まる膠着状態だが、相手は餌を目の前にした自然治癒能力者。一方てんしのフォークは毒に蝕まれた上に体力も底を付く手前、といった所だろうか。分が悪すぎる。
このまま彼も実験台になるのだろうか……と思った時、てんしのフォークが動いた。
じりじりと後退りしていたタケノコが立ち止まり、くるりとフォークを持ち変える。
そして、フォークはタケノコ側を見て、意を決したかの様な顔をした。
まさか。
――そのままフォークは目を瞑り、一息にタケノコの腹を貫いた。
「あっ」
タケノコの体が後ろにゆっくりと倒れ、地面に着地すると同時に、黒い靄と共に消え去った。
再び詰め寄られる前に、自害した。
更に言えば、電波戦士による本来の世界への転送を選ばず、この場で消滅する事を選んだ。
「…なんで!!!」
この人にあのまま捕まったら、ロクな事にならなそうですものねぇ。
潔さと言い、本当にどちらが悪役なんだか。元天使と言うのも本当なのかもしれない。
……こうして利害の一致から行いを咎めず、傍観しているだけの私も、立派な悪なのかもしれませんが。
ふと見ると、相方の電波戦士がむっすりとした顔のままこちらを見ていた。
「すみません、どちらに加勢すべきか解らず」
「……次にフォークちゃん見掛けたら、せめて自害させないようにしてほしい」
まだやるんですか、というかまだ狙うんですか。
「今度から血や指を瓶詰めにしておいて、それを投げつけて開幕から毒らせるのも良いかもなぁ…」
……自身の能力を諦めず、極めようとする姿勢は、間違いなく模範的な戦士なのですが。
(月末に纏めてくる話)
「なにこれ」
銀行のATMを操作し、通帳の記帳をしたら身に覚えの無い印字がされた。
口座番号でもすっぱ抜かれたのかと一気に肝が冷え、通帳に並ぶ文字の羅列を脳が処理をしなくなったが、どうも引き落としではなく振り込みの様だと気付くと一気に落ち着き冷静になった。
今の一瞬で寿命が三年程度は縮んだのではなかろうか。
しかし、『振り込みましたよ詐欺』的な物が出ているのかもしれない。まだ安心してはいけないと気を取り直しつつ、恐る恐る振り込みの名目を確認する。
「『デンパセンシ』……」
身に覚えはある、身に覚えはあるけども。
金額を見ると大金とは呼べないが、小遣いとしては嬉しい程度の振り込みがされている。
「討伐に応じて気持ち程度ですが報酬が入りますよ……って言ってませんでしたっけ」
バッグの中に隠していたさやねが顔を出し、こっそりと教えてくれた。
普通の人間には相棒の電波人間は見えない。とはいえ、電波戦士に見えてしまうのならば話は別だ。
人とかかわり合いたくない以上は、共通の特異な話題など提供しないに限る。
……というか。
「聞いてない」
なんで口座番号がバレてるんだよ、教えた覚えもないぞ。
「ちなみに口座を持っていない幼い戦士達には、よく使用しているネットサービスでの課金通貨という形で振り込まれてるみたいです」
「なにそれ凄い」
一体どんな仕組みなんだろうか。電波から生まれそこに住む以上、そう言ったことには強いのだろうか。というかこういう記録に残って良いのか電波戦士って。
……あとなんとなくだが、法的に大丈夫なんだろうか。
しかしこれを尋ねても、多重世界由来の話と、精霊の底力による理解不能な解説がなされ、理解どころか余計に混乱する気しかしない。
「ありがたく、受けとるけどさ」
次にモンスターに出会った時、彼らが現金に見えてしまうかもしれない。
……おおきんばとか出てこないかな。
(気のせいかもしれない話)
電車を乗り継いで、少しだけ都会に足を伸ばす。
ざっくり言えば野暮用。具体的に言うと、どうしても欲しいものが地元には無く、通販にも対応していなかったから出ざるを得なかった用。
外出自体は嫌いではないし、電車を乗り継ぐこと自体もアトラクションの様で嫌いではない。ごった返す人混みは苦手だし、酸素が薄く感じられて息が苦しくなるが。
どうにか無事に目的の物を購入し、店から出てきて一息つく。
商品自体は何処でも手に入るのだが、目当てである「店舗別特典」の店舗自体が地元には無かったのだ。
折角足を伸ばしたのだし、もう少し何処かを散策してから、何か食べて帰ろうか……と考えていると、 ポケットの中に忍ばせていたさやねが声を掛けてきた。
「街もお店も、此処はにんげんさんが多いですね」
「この全部に個々の歴史があって自我があって別々の目的を持って生きていると思うと、凄まじくて発狂しそうになる」
色々なパワーがあって、だから苦手。熱気と勢いに押し潰されそうな程の生命力の塊。
「……そういう風に考えたことは今までありませんでしたが、言われてみればそうですねぇ」
……本意だか不本意だかは解らないが、人に対する拒絶を、この子は強くは否定しない。
仮にさやねが『そんなこと無いですよ!楽しいですから皆さんと協力し、切磋琢磨しましょう!』みたいな性格だったら、電波戦士をすぐに辞めていただろう。
だからこそ、そういった性格の個体ではないさやねが、代表としてこちらに来たのかもしれないが。
行き交う人々に再び目を向けると、小さな人型の物体が、時折紛れているのが見える。
こっそりとだが間違いなく、この中に"にんげんさん"がいる。
まぁ、こんな人だかりの中でもあまり見掛けないという事は、私と同様に隠している者が多いのかもしれない。
相棒である電波人間の顔が一致したら、例えどんなに姿が異なっていても、電波戦士と現実世界の本人を結びつける事が可能なわけだ。気にする人は非常に気にするだろう。
ネカマ戦士や鯖読み戦士もいるのだろうか。獣人化した人もいるのかな。会う気は無いが興味はある。
人口密度が高く、利用者の多い駅や有名な商業施設や専門店が複数ある事もあり、様々な人々が行き交うこの街だからこ
「ちょっとキミ、少し良いかい」
「ぃえ?」
突然声を掛けられた。
振り向くと初老の男性が立っていた。誰だてめぇ。驚いてつい返事しちゃったじゃないか。
「聞きたいんだが、ここから最寄りの駅に向かうにはどうしたら良い」
そこそこ仕立ての良い服を来た男性の手には、電源の切れた端末が握られていた。
「これに案内をして貰っていたのだが、この有り様でね。」と嘆く男性。
この年齢で紙ではなく携帯端末を使うって珍しいな。なんなら私よりデジタルだ。
「……駅でしたら、このまま道沿いに行って、あの大通りを左に行けば見えてくるかと思います」
とりあえず、自分の乗ってきた駅を教える。というかそこしか知らん。
「そうか、なんだだいぶ近くじゃないか」
「……ええ、まぁ……。少し歩く事にはなりますが」
(…だから言ったじゃないですか、私が地図覚えてますよって!)
……ん?
「すまないな、教えてくれて感謝する」
「あ、いえ、こちらこそ…?」
男性が一礼して、教えた方角に向かい去っていく。
……その後を追うように、金色っぽい小さな人型の生き物が、ふよふよと飛んでいくのが見えた。
「お前達は信用ならんと言っただろう、そもそも昨今の…」
男性の口論染みた声と共に、二つの影が人混みに消えていく。
「……まじで?」
あのおっさん電波戦士なのか。
電波人間を連れているということは、少なくともゲームのプレイヤーではあるのか。
「さやね嬢、今の」
「意外な方も、いらっしゃるのですね」
さやねも少し驚いた顔をしていた。
確かにモンスター収集の散歩アプリを行う年配者について聞いたことはあるが、それにしても些かマニアックすぎないか。
道案内のアプリを利用していた様だし、見掛けによらず、インターネットや端末を駆使している人なのかも知れない。すげえ。
ただなんだろう。何かが引っ掛かる。
「……さっきの声、どっかで聞いた気がする」
「あの電波人間の、ですか?」
「……いや、人間のほう」
「実はお知り合い…だったとか?」
「いや、違うと思う……気のせいかもしれない」
なんか顔も見たことがある気がするのだけども思い出せない。
まぁ、「見たことありそうな顔」や「聞き覚えのある様な声」といったものは少なからず存在するし、恐らくは気のせいだろう。
それはともかく。
折角の遠出なんだし、とポケットに隠した自分の相棒に声を掛ける。
「あのさ」
「なんでしょう?」
「…ここら辺でさ、さやね嬢が行ってみたいところって、ある? 」
折角ならば、見たことの無い景色を一緒に見に行こうじゃないか。
-終-
最後はキャラ紹介です。
スレイ(Srey)
男子高校生。人と関わることが苦にならないタイプ。
やりこみ型プレイヤーであり電波戦士としても猛者。でも最近は心労気味。
電波戦士としての姿は大剣を持った騎士。
単騎でも戦える上に仲間との協力・連携も得意。
恐らくは世界を救う側の人。
主人公にもなれるし、主人公の頼れる先輩枠や補佐枠になれるタイプ。
相棒:れいさ
ボディカラー黒の回避3ロケット頭、アンテナ無し。
性格はのんびりとしているが肝の座った子。
主に道具を駆使してスレイを強化したりとサポートに回るが、アンテナ無しなので物理も強い。
初老の男性
そこそこ売れてるオカルト研究家。
超常現象や心霊も好きだが一番好きなのはUFO関係。
子供心を持ったまま凝り固まったおっさん。
電波人間やモンスター達を「異世界の宇宙人の一種」と認識している。
基本的に新しいものを受け入れられる人間ではあるが、オカルト方面での思い込みが激しい。
金色の電波人間
初老の男性の相棒候補。
金色と黄色の水玉、回避6、輪が二つ付いた宇宙頭。アンテナはプラズマ。
おっとりさを感じさせる真面目な子。
『new 電波人間のRPG』由来の電波人間。
「異世界のものが見えるアプリ」の一種としてDLされていた。
年齢は高めだがもしかしたら協力して貰えるかも…と声を掛け、宇宙人扱いされてしまった。
話は事情説明までしか出来ていない。