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    日本國 新憲法案 2018第一章 國民の權利第二章 天皇第三章 戰爭犯罪の防止第四章 國會第五章 内閣第六章 大統領府第七章 司法第八章 國の資産および情報公開第九章 地方自治第十章 改正第十一章 最髙法規第十二章 補則 われら日本國民は、この世に存在する全ての人々が、その境遇を問はず、等しく、生まれながらに、かつ、恒久的に、その心身を傷つけることなく、平穩に暮らす權利を有してゐることを確認し、自覺し、尊重することを、ここに宣言する。
     一人一人が持つこの侵されない權利は、決して無視されることの許されない人類普遍の權利であり、また、國家を形成するにあたり、その權威の淵源えんげんとなるものである。したがって、國家は、個個人の存在を蔑ろにしてはならないのであって、その存在を最大限に尊重し、保護することで、國家の繁榮、ひいては、國際貢獻にも歸結するものと信ずる。
     同時に、われら日本國民は、人間の持つ精神の脆弱さも努努ゆめゆめ忘れず、自らの持つ憎惡や敵意には屈せず、常に平和を愛し、信頼と協力を理想として掲げ續け、その維持と實現に、絕えず努め續けることを決意する。

     われら日本國民は、正當な選擧によって代表者を選出し、國民の持つ主權を、嚴粛に信託する。しかしこれは、われらとわれらの子孫の爲に、自由を確保し、諸國民との協和を達成する爲の、一手段であることを忘れてはならない。
     この主權を、自らの意圖しない方向へと振り向けられた時、われらはそれを看過せず、聲を擧げ、怒りを表明しなければならない。われら一人一人が、道を誤らぬやう注視し、その主權を、守り續けなければならない。
     この憲法は、その目的を達成する爲の道標であり、杖である。自動的に目的地へと導く方舟ではない。それを見、使ふ者が、自覺的に行使することで、初めて意味を成すものである。

     われら日本國民は、その名譽にかけ、國の内外を問はず、公平で對等な關係を築き、この崇髙な理想と目的を達成すること、また、その爲に必要な個個人の權利を保持し續けることを、現在、そして未來の人々に誓ふ。

    第一章 國民の權利
    第一條
     國民は、すべての基本的人權の享有きやういうを妨げられない。この憲法が國民に保障する基本的人權は、侵すことのできない永久の權利として、現在および將來の國民が、等しく、生まれながらに持つものである。

    第二條
     この憲法が國民に保障する自由および權利は、われわれ國民の不斷の努力によって、これを保持しなければならない。また、國民は、これを濫用してはならないのであって、自らの權利と同等に他者の自由も尊重し、常に公共の福祉の爲にこれを利用する責任を負ふ。

    第三條
     すべての國民および日本に居住または滯在する人は、個人として尊重される。生命・自由・住環境および國際的に認知された自然權も含め、幸福追求に對する國民の權利については、公共の福祉に反しない限り、立法・その他の國政の上で、最大の尊重を必要とする。

    第四條
     日本國民たる要件は、法律で定める。

    第五條
     一項 すべての國民および日本に居住または滯在する人は、法のもとに平等であって、人種・國籍・信條・性別・障碍しやうがいの有無・社會的身分または家柄により、政治的・經濟的・社會的關係において、差別されない。
     二項 華族および貴族・その他の特權階級を設ける制度は認めない。
     三項 榮譽・勳章・その他の榮典の授與は、いかなる特權も伴はない。榮典の授與は、現にこれを有する者または將來これを受ける者の一代に限り、その效力を有する。

    第六條
     一項 すべての國民は、健康で文化的な最低限度の生活を營む權利を有する。
     二項 國は、すべての生活部面について、社會福祉・社會保障および公衆衞生の、向上および增進に努めなければならない。

    第七條
     思想および良心の自由は、決して侵してはならない。

    第八條
     一項 集會・結社・言論・出版・その他一切の表現の自由を保障する。
     二項 檢閲はしてはならない。通信の祕密は侵してはならない。

    第九條
     一項 信教の自由は、何人に對しても保障する。
     二項 國教の制定は禁ずる。
     三項 いかなる宗教團體も、政治上の權力を行使してはならない。國およびすべての公共團體は、いかなる宗教團體にも、特權を與へてはならない。
     四項 何人も、宗教上の行爲・祝典・儀式または行事に、參加することを强制されない。
     五項 國およびその機關は、宗教教育・その他いかなる宗教的活動もしてはならない。

    第十條
     一項 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住・移轉および職業選擇の自由を有する。
     二項 何人も、外國に移住し、または國籍を離脱する自由を有する。
     三項 徵兵は、本章に明記された自由への侵害行爲であり、決して認めない。

    第十一條
     一項 何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。また、犯罪による處罰の場合を除いて、その意に反する苦役に服させられない。
     二項 前項で除外されてゐる犯罪による處罰であっても、徵兵は認めない。

    第十二條
     一項 公務員を選定すること、および、公務員を罷免することは、國民固有の權利である。
     二項 すべての公務員は、全體の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない。私的、または限られた利害關係に基づいて、公務員が便宜を圖ることは、決して認めない。
     三項 公務員の選擧については、成年者による普通選擧を保障する。未成年者または外國人の參政權については、法律で定めのある限り、否定しない。
     四項 すべての選擧における投票の祕密は、侵してはならない。選擧人は、その選擇に關し、公的にも私的にも責任を問はれない。
     五項 有權者の三分の一以上が罷免の意思表示をした場合、直前の選擧による選出や議會の指名等に關はらず、その者は即罷免される。
     六項 前項の規定による意思表示をした者は、その選擇に關し、公務員が罷免されたかどうかに關はらず、公的にも私的にも責任を問はれない。
     七項 國および公共團體は、本條五項の證明の爲に集められた署名等について、重複のないことを確認する必要がある場合を除き、その他のあらゆる情報と關聯づけて使用または保存してはならない。また、個人の思想や信教の自由と密接に關はるものであるといふ事情に鑑み、記入者の事前の承諾なしに公開することは決して認めない。

    第十三條
     一項 何人も、損害の救濟、公務員の罷免、法律・命令・その他の規則の制定・改正または廢止、その他の事項に關し、平穩に請願する權利を有する。
     二項 何人も、本章の權利を行使し、請願したことを理由に、差別待遇を受けることはない。

    第十四條
     一項 何人も、公務員の不法行爲により損害を受けた時は、法律の定めるところにより、國または公共團體に、その賠償を求めることができる。
     二項 何人も、國または公共團體に對する賠償請求に際し、その檢證・證明に必要になる記録について、裁判所に情報開示の申し立てをすることができる。開示請求が裁判所に認められた場合、國および公共團體は、それを拒む權利を有しない。

    第十五條
     一項 婚姻は、兩人の合意のみに基づいて成立し、二人が同等の權利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
     二項 配偶者の選擇・財産權・相續・住居の選定・婚姻ならびに離婚および家族に關するその他の事項に關しては、法律は、個人の尊嚴と兩人の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。

    第十六條
     一項 すべての國民は、法律の定めるところにより、その能力に應じて、等しく教育を受ける權利を有する。
     二項 すべての國民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は無償とする。
     三項 當人の意思によらない事情により本條一項の權利を行使できなかった者は、その年齡に關はらず、義務教育相當の教育を受けることができる。義務教育相當の教育も無償とする。國は、前項および本項の規定が達成できる教育環境を整備しなければならない。

    第十七條
     一項 すべての國民は、勤勞の權利を有し、その能力に應じた義務を負ふ。
     二項 賃金・就業時間・休息・その他の勤勞條件に關する基準は、法律で定める。この基準は、勤勞者の健康を害するものであってはならない。
     三項 兒童は、その心身の健全なる成長の爲に格別な配慮が必要であり、決して酷使してはならない。

    第十八條
     勤勞者の團結する權利、および、團體交渉・その他の團體行動をする權利は、保障する。

    第十九條
     一項 財産權は、侵してはならない。
     二項 財産權の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律で定める。知的財産權については、國民の知的想像力の向上に資するやうに配慮し、著しい制限により文化の發展を阻害するものにしてはならない。
     三項 私有財産は、正當な補償の下に、公共のために用ゐることができる。

    第二十條
     國民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。

    第二十一條
     何人も、法律の定める手續きによらなければ、その生命もしくは自由を奪はれ、または、その他の刑罰を科せられない。

    第二十二條
     何人も、裁判所において裁判を受ける權利を奪はれない。

    第二十三條
     何人も、現行犯として逮捕される場合を除き、令狀なしで逮捕されない。また、その令狀は、權限を有する裁判官が發し、かつ、理由となってゐる犯罪が明示されてゐなければならない。

    第二十四條
     一項 何人も、理由を直ちに告げられ、かつ、直ちに辯護人に依頼する權利を與へられなければ、抑留または拘禁されない。
     二項 何人も、正當な理由がなければ拘禁されず、その理由は、要求があれば直ちに、本人およびその辯護人の出席する公開の法廷で示されなければならない。

    第二十五條
     一項 何人も、その住居・書類および所持品について、侵入・捜索および押收を受けることのない權利を有する。
     二項 前項の權利は、第二十三條の場合を除き、侵されない。また、正當な理由に基づいて發せられ、かつ、捜索する場所および押收する物を明示する令狀がなければ、侵されない。
     三項 捜索または押收は、權限を有する裁判官が發する各別の令狀により行ふ。

    第二十六條
     公務員による拷問および殘虐な刑罰は、絕對にこれを禁ずる。

    第二十七條
     一項 すべての刑事事件において、被告人は、公平な裁判所による迅速な公開裁判を受ける權利を有する。
     二項 刑事被告人は、すべての證人に對して審問する機會を、充分に與へられる權利を有する。また、公費による强制的手續きで、自己の爲に證人を求める權利を有する。
     三項 刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する辯護人を依頼することができる。被告人自らがこれを依頼することができない時は、國でこれを附する。

    第二十八條
     一項 何人も、自己に不利益な供述を强要されない。
     二項 心身の疲弊・判斷能力の低下による冤罪生成を防ぐ爲、强制・拷問・脅迫による自白、または、不當に長く抑留もしくは拘禁された後の自白は、證據とすることができない。
     三項 何人も、自己に不利益な唯一の證據が本人の自白である場合には、有罪とされ、または、刑罰を科せられない。

    第二十九條
     一項 何人も、實行の時に違法ではなかった行爲については、刑事上の責任を問はれない。
     二項 何人も、すでに無罪とされた行爲については、刑事上の責任を問はれない。また、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問はれない。

    第三十條
     何人も、抑留または拘禁された後、無罪の裁判を受けた時は、法律の定めるところにより、國にその補償を求めることができる。

    第二章 天皇
    第三十一條
     古來、大王おほきみと呼ばれ、後に日本統合の象徴として確立する天皇は、日本國の象徴であり、この地位は、主權の存する日本國民の總意に基づく。

    第三十二條
     皇位は、世襲のものであって、國會の議決した皇室典範の定めるところにより、これを繼承する。

    第三十三條
     天皇の國事に關するすべての行爲には、内閣の助言と承認を必要とし、その責任は内閣が負ふ。

    第三十四條
     一項 天皇は、この憲法の定める國事に關する行爲のみを行ひ、國政に關する權能を有しない。
     二項 天皇は、法律の定めるところにより、その國事に關する行爲を委任することができる。

    第三十五條
     皇室典範の定めるところにより攝政を置く時は、攝政は、天皇の名でその國事に關する行爲を行ふ。この場合にも、前條一項の規定が準用される。

    第三十六條
     一項 天皇は、國會の指名に基づいて、内閣總理大臣を任命する。
     二項 天皇は、國民が選擧によって指名した者を、大統領に任命する。
     三項 天皇は、法律の規定により指名された裁判官を、最髙裁判所の長に任命する。

    第三十七條
     天皇は、内閣の助言と承認により、國民の爲に、以下の國事に關する行爲を行ふ。
     一 憲法改正、法律・政令・條約の公布。
     二 國會の召集。
     三 衆議院の解散。
     四 國會議員の總選擧の施行の公示。
     五 國務大臣・大統領および法律の定めるその他の國の公務員の任免。
     六 全權委任狀の認證。
     七 大使および公使の信任狀の認證。
     八 批准書および法律の定めるその他の外交文書の認證。
     九 外國の大使および公使を接受すること。
     十 大赦・特赦・減刑・刑の執行の免除および復權の認證。
     十一 榮典の授與。
     十二 儀式を行ふこと。

    第三十八條
     一項 天皇は、その特殊な立場ゆゑに、止むを得ず、人權を一部制限されなければならないが、國家統合の象徴といへども一人の人間であり、本章の規定の遂行に支障をきたさない限り、その人權は最大限尊重されなければならない。
     二項 天皇は、止むを得ない事情により退位または皇室からの離籍を望む場合、國會にその意思を宣言し、第三十二條の規定に從ひ繼承した後、退位または離籍することができる。
     三項 政治的に利用されることを防ぐ爲、退位または離籍した元天皇は、引き續き國政に關する權能を有しない。元天皇は、前條に規定された行爲を行ふことはできず、また、攝政となることもできない。

    第三十九條
     第三十二條の規定による皇位の繼承が、三代以内に困難になることが豫想される場合、國會は、本章の見直しをしなければならない。なほ、本條は、天皇が空席となることで國の運營に支障をきたすことを事前に防ぐ爲のものであり、改正については第十章の規定に從ふ。

    第四十條
     皇室への財産の譲渡、または、皇室がその財産を譲渡する際には、國會の議決を經なければならない。

    第三章 戰爭犯罪の防止
    第四十一條
     日本國民は、正義と秩序を基調とする國際平和を誠實に希求する。よって、武力による威嚇または武力の行使は、國際紛爭を解決する手段としては、永久に放棄する。

    第四十二條
     一項 前條は國境警備隊の保持を否定するものではない。
     二項 國境警備隊は、日本の領土・領水・領空、および、國際法規の上で我が國の主權が及ぶ水域・空間の外へ出てはならない。
     三項 國境警備隊では國の防衞に不十分である場合に限り、前條の規定にかかはらず、暫定的な處置として、必要最小限度の範圍での戰力の保持を認める。ただし、これを超える戰力の保持は認めない。また、一切の武力行使を否定する理想を掲げ續け、不要になった際には速やかに放棄できるやう、常に、戰力を縮小する未來を念頭に置くことを忘れてはならない。
     四項 前項の規定は、日本國に對する直接的な外國の武力攻擊およびその着手に相當する行爲によって、國民の生命・自由および幸福追求の權利が根底から覆されるといふ急迫不正の侵害に對して、これを排除する爲の適當な手段が他にない場合に限り、當該侵略行爲を排除する爲だけに認められるものである。
     五項 本條三項の規定は、第四十三條の規定を免れるものではない。

    第四十三條
     一項 戰爭犯罪の否定を國際社會に宣言し、また、その責任を國が負ふことを明確にする爲、國際法規の上で戰力とみなされるものを保持する場合、その過失を裁く法律が整備されてゐなければならない。
     二項 前項の條件が滿たされない場合、前條三項および四項の規定にかかはらず、いかなる戰力の保持も認めない。
     三項 本條一項に規定される過失には、自立した機器による過失も含む。
     四項 國は、國際機關による事前の合意がない場合、他國および國際機關の戰力・その他國外のあらゆる戰力に對し、いかなる支援も行ってはならない。

    第四十四條
     一項 第四十二條に規定される必要最小限度の戰力は、内閣總理大臣が内閣を代表して指揮監督權を持つ。
     二項 大統領府が設置されてゐる場合は、内閣總理大臣ではなく大統領が、前項の指揮監督權を持つ。
     三項 第四十二條に規定される必要最小限度の戰力は、法律の定めるところにより、國會の承認およびその他の民主的統制に服する。

    第四十五條
     一項 本章の規定は、專守防衞の理念の下、受動的かつ抑制的に運用されなければならない。
     二項 國は、全世界の軍縮および核廢絕の爲に、あらゆる手段を盡くすやう努めなければならない。

    第四章 國會
    第四十六條
     國會は、國權の最髙機關であり、國の唯一の立法機關である。

    第四十七條
     國會は、衆議院および參議院の兩議院で構成する。

    第四十八條
     一項 兩議院は、選擧により選出された議員でこれを組織する。なほ、議員は、一人一人が全國民を代表するものであり、議院内での階級の上下は一切ない。
     二項 兩議院の議員の定數は、法律で定める。

    第四十九條
     兩議院の議員、および、その選擧人の資格は、法律で定める。ただし、人種・信條・性別・障碍の有無・社會的身分・家柄・教育・財産または收入によって、差別してはならない。

    第五十條
     衆議院議員の任期は四年とする。ただし、衆議院解散の場合には、その期間滿了前に終了する。

    第五十一條
     參議院議員の任期は六年とし、三年ごとに議員の半數を改選する。

    第五十二條
     選擧區・投票の方法・その他兩議院の議員の選擧に關する事項は、法律で定める。

    第五十三條
     何人も、同時に兩議院の議員になることはできない。

    第五十四條
     兩議院の議員は、法律の定めるところにより、國庫から相當額の歳費を受ける。

    第五十五條
     兩議院の議員は、法律の定める場合を除き、國會の會期中逮捕されず、會期前に逮捕された議員は、その議院の要求があれば、會期中は釋放されなければならない。

    第五十六條
     一項 兩議院の議員は、議院で行った表決について、院外で責任を問はれない。
     二項 兩議院の議員は、その任期中、議院で行った演説または討論について、院外で責任を問はれない。
     三項 本條の規定は、言論彈壓を防止し、また、訴追の恐れを理由に答辯拒否され、審議の妨げになることを防ぐ爲のもので、暴行などの直接的行爲あるいは院外での言動まで全面的に免責するものではない。

    第五十七條
     國會の常會は、每年一囘、召集する。

    第五十八條
     一項 内閣は、國會の臨時會の召集を決定することができる。
     二項 いづれかの議院の總議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、要求があった日から二十日以内の臨時會の召集を決定しなければならない。
     三項 内閣が前項の規定による召集をできない時、大統領府が設置されてゐる場合は大統領が、大統領府が設置されてゐない場合は天皇が、臨時會の召集を決定する。

    第五十九條
     一項 衆議院が解散されたときは、解散の日から四十日以内に、衆議院議員の總選擧を行ひ、その選擧の日から三十日以内に、國會を召集しなければならない。
     二項 衆議院が解散された時は、參議院は、同時に閉會となる。
     三項 前項の規定により閉會となった場合でも、内閣または大統領は、國に緊急の必要がある時は、參議院の緊急集會を求めることができる。
     四項 前項の緊急集會において採られた措置は、臨時のものであって、次の國會開會の後十日以内に、衆議院の同意がない場合には、その効力を失ふ。

    第六十條
     兩議院は、各々、その議員の資格に關する爭訟を裁判する。ただし、議員の議席を失はせるには、その議院の定數の三分の二以上の多數による議決を必要とする。

    第六十一條
     一項 兩議院は、各々、その總議員の二分の一以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない。
     二項 兩議院の議事は、この憲法に特別の定めのある場合を除き、出席議員の過半數でこれを決する。可否同數の時は、議長の決するところによる。ただし、出席議員の過半數であっても、贊成が、その議院の定數の三分の一に滿たない數である場合の議決は無效とする。
     三項 議事においては、議員は、同じ議場に集まることが望ましいが、交通事情・事故あるいは病氣など、議員個人の意思では對處しきれない事情がある場合は、議長に、通信を用ゐた議事への出席を申し入れることができる。
     四項 議長は、通信設備に問題がなく、映像音聲等を通じて支障なく議事に參加できると認められる場合は、通信を用ゐた出席を認めなければならない。
     五項 通信を用ゐて議事への參加をした議員は、第五十六條同樣、その議事中の表決について、院外で責任を問はれない。
     六項 通信を用ゐて議事への參加をした議員は、第五十六條同樣、その任期中、その議事中で行った演説または討論について、院外で責任を問はれない。
     七項 兩議院の議員は、事前協議の爲の委員會においても、通信を用ゐての議事への出席を申し入れることができる。また、委員長は、通信設備に問題がなく、映像音聲等を通じて支障なく議事に參加できると認められる場合は、通信を用ゐた出席を認めなければならない。
     八項 本條五項および六項の規定は、事前協議の爲の委員會においても準用される。

    第六十二條
     一項 兩議院の會議は、公開とする。
     二項 兩議院は、その議院の定數の三分の二以上の多數で議決した時は、祕密會を開くことができる。
     三項 兩議院は、各々、その會議の記録を保存し、祕密會の記録の中で特に祕密を要すると認められるもの以外は全て、公開しなければならない。
     四項 會議録の内容が修正された場合は、修正前の版も同時に保存し、變更箇所が分かる狀態で公開されなければならない。
     五項 祕密會の記録の中で特に祕密を要すると認められるものであっても、その記録を破棄してはならない。また、祕密指定の解除後は、速やかに公開しなければならない。
     六項 出席議員の五分の一以上の要求があれば、各議員の表決は、會議録に記載しなければならない。

    第六十三條
     一項 兩議院は、各々、その議長とその他の役員を選任する。
     二項 兩議院は、各々、その會議・その他の手續きおよび内部の規律に關する規則を定め、その規則に則って、院内の秩序を亂した議員を懲罰することができる。ただし、議員を除名するには、その議院の定數の三分の二以上の多數による議決を必要とする。
     三項 兩議院は、各々、議事に出席しない議員に對し、日時を指定した上で議事への出席を求めることができる。この要求には、その議院の定數の二分の一以上の出席の下、出席議員の二分の一以上の贊成を必要とする。
     四項 前項の規定による要請が議決された場合、その議院の議長が、議事への出席要請をする。
     五項 議長からの出席要請を受けた議員は、指定された日時に議事に出席するやう努めなければならない。交通事情・事故あるいは病氣など、議員個人の意思では對處しきれない事情がある場合は、日程の調整または第六十一條に基づく通信を用ゐた議事への出席を申し入れることができる。
     六項 出席要請を通算で五囘以上拒否した議員は、任期滿了直後の衆議院および參議院議員の選擧に立候補することはできない。ただし、前項の規定による申し入れをしたものの調整ができず、議員個人の意思では對處しきれない事情により缺席した場合は、この數には含まれない。
     七項 議事に必要な情報が開示されず、抗議の意思を示す爲の出席拒否である場合は、議長からの出席要請があった際にその旨を表明することができる。この表明があった時は、議院は、關係機關に情報開示の要請をし、健全な審議の進行とその準備が充分にされるやう努めなければならない。開示されない場合は、議員個人の意思では對處しきれない事情とし、前項の出席拒否の囘數には含まない。

    第六十四條
     一項 法律案は、この憲法に特別の定めのある場合を除き、兩議院で可決した時に法律となる。
     二項 衆議院で可決し、參議院で否決された法律案は、衆議院でその定數の三分の二以上の多數により再び可決した時は、法律となる。
     三項 前項の規定は、法律の定めるところにより、衆議院が、兩議院の協議會を開くことを求めることを妨げない。
     四項 參議院が、衆議院の可決した法律案を受け取った後、國會休會中の期間を除いて六十日以内に議決しない時は、衆議院は、參議院がその法律案を否決したものとみなすことができる。

    第六十五條
     一項 豫算は、先に衆議院に提出しなければならない。
     二項 豫算について、衆議院で可決し、參議院で否決された時は、法律の定めるところにより兩議院の協議會を開く。
     三項 前項の規定による協議會を開いても意見が一致しない時、または、參議院が衆議院の可決した豫算を受け取った後、國會休會中の期間を除いて三十日以内に議決しない時は、衆議院の議決を國會の議決とする。

    第六十六條
     條約の締結に必要な國會の承認については、前條二項および三項の規定を準用する。

    第六十七條
     一項 兩議院は、各々、國政に關する調査を行ひ、これに關して、證人の出頭・證言、ならびに、記録の提出を要求することができる。
     二項 國會は、訴追の恐れを理由に答辯拒否され、審議の妨げになることを防ぐ爲に、證人の議事中の發言について、院外で責任を問はないことを決定することができる。

    第六十八條
     一項 内閣總理大臣を含むすべての國務大臣および大統領は、議案について發言する爲、何時でも議院の議事に出席することができる。また、内閣總理大臣を含むすべての國務大臣は、答辯または説明の爲の出席を求められた時は、出席しなければならない。大統領は、答辯または説明の爲の出席を求められた時は、可能な限り出席するやう努めなければならない。
     二項 議事においては、議員同樣、同じ議場に集まることが望ましいが、交通事情・事故あるいは病氣など、大臣個人または大統領個人の意思では對處しきれない事情がある場合は、議長に、通信を用ゐた議事への出席を申し入れることができる。
     三項 第六十一條四項同樣、議長は、通信設備に問題がなく、映像音聲等を通じて支障なく議事に參加できると認められる場合は、通信を用ゐた出席を認めなければならない。
     四項 通信を用ゐての議事への參加も含め、大臣および大統領は、議員同樣、その任期中、兩議院の議事中で行った演説または討論について、院外で責任を問はれない。
     五項 本章・第五章および第六章の規定により、議員との兼任が認められてゐない大臣および大統領は、國會において議決權は持てない。

    第六十九條
     一項 國會は、罷免の訴追を受けた國務大臣・大統領・裁判官を裁判する爲、兩議院の議員で組織する彈劾裁判所を設ける。
     二項 彈劾に關する事項は、法律で定める。

    第七十條
     一項 國會は、憲法裁判所を設ける。
     二項 憲法裁判所の構成員については法律で定める。ただし、その三分の二以上は、裁判官として十年以上の實務經驗がある者でなければならない。また、裁判官を除き、議員・國務大臣・大統領を含むすべての公務員は、憲法裁判所において議決權を持つことはできない。
     三項 前項の規定は、裁判官以外の公務員が、憲法裁判所において意見を表明することを否定するものではない。

    第七十一條
     一項 憲法裁判所は、法案の内容がこの憲法に反してゐないことを確認する爲、採決前にその違憲性を審査する。また、憲法裁判所は、すでに成立してゐる法律について、その違憲性を審査することができる。
     二項 憲法裁判所によって違憲と判斷された法律は、速やかに違憲部分を修正するか、廢止しなければならない。
     三項 法律が、違憲と判斷された日から六箇月以内に修正されない場合、その法律は無效となる。
     四項 憲法裁判所は、大統領令がこの憲法に反してゐないことを確認する爲、速やかにその違憲性を審査しなければならない。
     五項 前項の規定は、公布前の事前審査を否定するものではない。

    第七十二條
     一項 憲法裁判所は、他國および國際機關と結ぶ條約について、その内容がこの憲法および確立した國際法規に反してゐないか、締結前に審査する。また、憲法裁判所は、日本國が締結した條約について、この憲法および確立した國際法規との間に齟齬がないか審査することができる。
     二項 憲法裁判所によって齟齬があると判斷された條約は、締結してはならない。すでに締結されてゐる場合は、國内法を整備し齟齬を解消するか、破約を檢討しなければならない。

    第七十三條
     一項 憲法裁判所は、確立した國際法規とこの憲法の間に齟齬がないか、審査することができる。
     二項 確立した國際法規を日本國が遵守し續ける爲、前項の規定により齟齬があると判斷された場合、憲法裁判所は、憲法の當該部分の見直しを國會に提言する。ただし、改正については第十章の規定に從ふ。
     三項 前項の規定による提言の際、國内法の整備により齟齬が解消できる場合は、その旨も提言できる。

    第五章 内閣
    第七十四條
     行政權は、内閣に屬する。ただし、大統領府が設置された場合、外交權は大統領府に移る。

    第七十五條
     一項 内閣は、内閣の代表たる内閣總理大臣とその他の國務大臣で組織される。
     二項 國務大臣については、法律で定める。
     三項 内閣總理大臣を含むすべての國務大臣は、文民でなければならない。現役軍人および退役軍人の就任は認めない。
     四項 内閣は、行政權の行使について、國會に對し、聯帶して責任を負ふ。

    第七十六條
     一項 國會の議決で、國會議員の中から内閣總理大臣を指名する。この指名は、他のすべての案件に先立って行ふ。
     二項 前項の指名について、衆議院と參議院とが異なった議決をした場合は、法律の定めるところにより兩議院の協議會を開く。
     三項 前項の規定による協議會を開いても意見が一致しない時、または、衆議院が指名の議決をした後、國會休會中の期間を除いて十日以内に參議院が指名の議決をしない時は、衆議院の議決を國會の議決とする。
     四項 立法機關である國會と行政機關である内閣がそれぞれ獨立した機關であることを明確に示す爲、内閣總理大臣は、その就任をもって國會議員を辭職しなければならない。
     五項 前項の規定によって國會議員を辭職した者は、選擧による選出を經ない限り、國會議員に復歸することはできない。

    第七十七條
     一項 内閣總理大臣は、國務大臣を任命する。ただし、その過半數は、國會議員の中から選ばれなければならない。
     二項 前條四項同樣、立法機關である國會と行政機關である内閣がそれぞれ獨立した機關であることを明確に示す爲、すべての國務大臣は、國會議員をはじめとするいかなる議員職とも、兼任を認めない。よって、國會議員から選ばれた國務大臣は、その就任をもって國會議員を辭職しなければならない。
     三項 内閣總理大臣は、任意に國務大臣を罷免することができる。
     四項 内閣總理大臣により國務大臣を罷免された者は、その者が選出された選擧による本來の任期が殘ってゐる場合に限り、國會議員に復歸することができる。この際、缺員による補充で國會議員になってゐた者は、辭職を强制されない。
     五項 前項の規定により國會議員に復歸する時、缺員による補充で國會議員になってゐた者が辭職を拒んだ場合は、國務大臣を罷免された者は國會議員に復歸できない。法律により議員定數の變更があった場合でも、法律成立後の選擧を經ない限り定數變更は認めない。

    第七十八條
     内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決した時、または、信任の決議案を否決した時は、十日以内に衆議院が解散されない限り、總辭職をしなければならない。

    第七十九條
     内閣總理大臣が缺けた時、または、衆議院議員總選擧の後に初めて國會の召集があった時は、内閣は、總辭職をしなければならない。

    第八十條
     第七十八條および前條の規定による内閣總辭職が確定された場合には、内閣は、新たに内閣總理大臣が任命されるまでの間、引き續きその職務を行ふ。ただし、この暫定的な處置は、總辭職の確定を覆すものではない。

    第八十一條
     一項 内閣總理大臣は、内閣を代表して議案を國會に提出し、一般國務および外交關係について國會に報告し、ならびに、行政各部を指揮監督する。
     二項 前項の規定については、第七十四條の規定に從ひ、大統領府が設置されてゐる場合、外交關係については大統領府に報告義務が移る。

    第八十二條
     内閣は、一般行政事務の他、以下の事務を行ふ。
     一 法律を誠實に執行し、内政についての國務を總理すること。
     二 外交關係を處理すること。
     三 條約を締結すること。ただし、條約を締結するには、國會の承認を必要とする。この承認については原則、締結前に國會に提起するものとし、例外的に事後承認が必要となった場合でも、承認が得られなかった時は、速やかに破約しなければならない。
     四 法律の定める基準に従ひ、公務員に關する事務を掌理しやうりすること。
     五 豫算を作成して國會に提出すること。
     六 この憲法および法律の規定を實施する爲に、政令を制定すること。ただし、政令には、特にその法律の委任がある場合を除き、罰則を設けることはできない。
     七 大赦・特赦・減刑・刑の執行の免除および復權を決定すること。

    第八十三條
     前項の規定について、大統領府が設置されてゐる場合、以下の權限は大統領府に移る。
     前條の二および三。
     前條の四のうち、大統領府の管轄する事務について。
     前條の五のうち、大統領府の使用する豫算について。

    第八十四條
     法律および政令はすべて、主任の國務大臣が署名し、内閣總理大臣が聯署することを必要とする。

    第八十五條
     國務大臣は、その在任中、内閣總理大臣の同意がなければ訴追されない。ただし、これは内閣の公務が滯ることを防止する爲の一時的な處置であって、訴追の權利は害されない。よって、任期が滿了すれば訴追は免れず、また、在任中の訴追手續きの凍結期間は、時效に必要な要件からは除外する。

    第六章 大統領府
    第八十六條
     過剩な權限の集中による權力の肥大化を避ける爲、また、國内情勢に影響を受けて外交が滯ることを防ぐ爲に、國會の決定により、大統領府を設置することができる。

    第八十七條
     一項 大統領府が設置された場合、内閣に屬する行政權のうち、外交權は大統領府に完全に移る。
     二項 前項の規定に從ひ、大統領府が設置された時、外交および國防に關はる政府機關は、大統領府の指揮監督下に移管される。
     三項 指揮系統の混亂を避ける爲、いかなる國の機關も、内閣と大統領府の指揮下に同時に屬してはならない。
     四項 本條の規定は、大統領府と内閣との間で、情報共有や協議が行はれることを否定するものではない。

    第八十八條
     一項 大統領は、外交において日本國民を代表するものであり、國民による直接選擧によって指名する。
     二項 大統領候補者が一名の時は、國民投票を行ひ、全投票數の過半數の信任が得られなかった場合は、大統領への就任は認めない。
     三項 副大統領は選擧で指名することができる。
     四項 何人も、大統領選擧と副大統領選擧に、同時に立候補することはできない。
     五項 大統領が缺けた時、副大統領がその職務を代行できるのは最大三箇月までとする。ただし、副大統領が選擧によって指名され、かつ、殘りの任期が三箇月より短い場合は、任期の延長はされない。

    第八十九條
     一項 大統領および副大統領は、文民でなければならない。現役軍人および退役軍人の就任は認めない。
     二項 大統領は、外交權の行使について、國會に對し責任を負ふ。
     三項 國會の議決を經て正式に内閣より移譲された權限がある場合は、その行政權の行使についても、前項同樣、大統領は、國會に對し責任を負ふ。

    第九十條
     一項 大統領の任期は、四年とする。また、再選は一度までとする。よって、通算で二期務めた者は、大統領に立候補することはできない。
     二項 副大統領の任期については、法律で定める。ただし、副大統領の任期は四年以下でなければならず、また、通算で二期までとする。
     三項 副大統領選擧が行はれてゐない時は、大統領が副大統領を任命する。ただし、十日以内に國會の承認が得られない場合は、別の者を新たに副大統領に任命し直さなければならない。
     四項 前項の規定において、三十日以内に國會の承認が得られない場合は、國會が副大統領を指名する。

    第九十一條
     一項 大統領は、國會議員をはじめとするいかなる議員職とも、兼任を認めない。よって、國會議員が大統領選擧で指名された場合、その就任をもって國會議員を辭職しなければならない。
     二項 大統領は、國務大臣との兼任は認めない。よって、國務大臣が大統領選擧で指名された場合、その就任をもって國務大臣を辭任しなければならない。

    第九十二條
     一項 緊急事態等を口實とした權限の過剩な集中を防ぐ爲、内閣總理大臣を含むすべての國務大臣は、大統領の職務を代行することは一切できない。
     二項 大統領は、その權限の一部またはすべてを、國務大臣に委譲または委任してはならない。また、内閣は、その權限の一部またはすべてを、大統領に委譲または委任してはならない。
     三項 大統領府の指揮監督下にある機關を内閣の指揮監督下に移管しようとする時、または、内閣の指揮監督下にある機關を大統領府の指揮監督下に移管しようとする時は、國會の議決による事前の承認を必要とする。

    第九十三條
     一項 大統領府の廢止には、國會の議決を必要とする。
     二項 前項の規定により大統領府の廢止が決定した時は、大統領の任期滿了をもって大統領府は廢止される。
     三項 大統領の任期滿了を待たずに大統領府を廢止しようとする時は、大統領の承認を必要とする。
     四項 前項の承認は、不測の事態により大統領が職務を遂行できない場合でも、副大統領が代行することはできない。ただし、副大統領が選擧で指名されてゐた場合はこの限りではない。
     五項 次期大統領の缺員が確定した時は、國會は、大統領府の廢止を檢討しなければならない。
     六項 次期大統領の缺員が確定したまま大統領の任期が滿了した場合でも、大統領の任期は延長されない。
     七項 前項の規定により、次期大統領の缺員が確定したまま大統領の任期が滿了した場合、大統領府は、國會の指揮監督下に入るものとし、第八十八條の規定に從ひ新たに大統領が指名されない限り、國會の承認なしに大統領權限の行使はできない。
     八項 大統領缺員の狀態が一年を超えた場合、國會は、速やかに大統領府廢止の議決をしなければならない。

    第九十四條
     一項 大統領府が廢止された時は、大統領府の指揮監督下にあった機關は、内閣の指揮監督下にすべて移管される。
     二項 第九十二條および前條の規定に從ひ、大統領府の廢止が完了し、その機關が正式に移管されるまでは、内閣は大統領府の職務には介入できない。

    第九十五條
     一項 大統領は、大統領令を公布することができる。ただし、内閣が權限を有する事項について干渉しようとする時は、事前に内閣の同意を得てゐなければならない。
     二項 この憲法に反する大統領令は、決して認めない。
     三項 大統領令は、その公布から二十日以内に國會の承認を得られない場合、または、憲法裁判所により憲法違反と判斷された場合は、無效となる。
     四項 無效となった大統領令について、その公布から無效となるまでの間に生じた損害は、國が補償しなければならない。
     五項 大統領令は、署名した大統領の任期滿了をもってその效力を失ふ。
     六項 大統領は、公布した大統領令について、正式に法律として整備することを、國會に要請することができる。ただし、第六十八條五項同樣、大統領は、國會において議決權は持たない。
     七項 大統領は、署名した大統領令について、任意に撤囘することができる。撤囘された大統領令は、その效力を失ふ。
     八項 大統領令には、罰則を設けることはできない。

    第九十六條
     大統領府は、國會の議決を經て内閣より移管された一般行政事務の他、以下の事務を行ふ。
     一 法律を誠實に執行し、外交についての國務を總理すること。
     二 外交關係を處理すること。
     三 條約を締結すること。ただし、條約を締結するには、國會の承認を必要とする。この承認については原則、締結前に國會に提起するものとし、例外的に事後承認が必要となった場合でも、承認が得られなかった時は、速やかに破約しなければならない。
     四 法律の定める基準に従ひ、大統領府に所屬する公務員に關する事務を掌理しやうりすること。
     五 大統領府に關する豫算を作成して國會に提出すること。
     六 大赦・特赦・減刑・刑の執行の免除および復權について、内閣に提起すること。ただし、これについて判斷するのは内閣であり、大統領府に決定權はない。

    第七章 司法
    第九十七條
     一項 すべての司法權は、最髙裁判所、および、法律の定めるところにより設置する下級裁判所に屬する。
     二項 この憲法に特別の定めのある場合を除き、特別裁判所は、設置することができない。内閣および大統領府を含む行政機關は、終審として裁判を行ふことができない。
     三項 すべての裁判官は、その良心に從ひ、獨立してその職權を行ひ、この憲法および法律にのみ拘束される。よって、行政の都合を含むその他の事情に勘案してその判斷を歪めることがあってはならない。なほ、大統領令には拘束されない。

    第九十八條
     一項 最髙裁判所は、訴訟に關する手續き、および、辯護士・裁判所の内部規律・司法事務處理に關する事項について、規則を定める權限を有する。
     二項 最髙裁判所は、下級裁判所に關する規則を定める權限を、下級裁判所に委任することができる。
     三項 檢察官は、最髙裁判所の定める規則に従はなければならない。

    第九十九條
     一項 裁判官は、裁判により心身の故障のために職務を執ることができないと決定された場合を除き、公の彈劾によらなければ罷免されない。
     二項 司法機關である裁判所は行政機關とは別の獨立した機關である爲、裁判官の懲戒處分は、行政機關が行ふことはできない。

    第百條
     一項 最髙裁判所は、その長たる裁判官、および、法律の定める員數のその他の裁判官で構成する。 
     二項 最髙裁判所の長たる裁判官、および、最髙裁判所のその他の裁判官は、候補となる裁判官を内閣または國會が推薦し、國民投票により選出、任命する。
     三項 前項に規定される國會からの推薦については、兩議院の合計議員數の八分の一以上の推薦を必要とする。全國會議員の八分の一以上の推薦があった場合、國會は、推薦取り下げの議決をすることはできない。
     四項 最髙裁判所のすべての裁判官は、その任命後に初めて行はれる衆議院議員總選擧の際、國民により審査され、投票者の過半數が裁判官の罷免を可とする時は、その裁判官は罷免される。
     五項 前項の審査の後、三年を經過した最髙裁判所の裁判官は、その後初めて行はれる衆議院議員總選擧の際、再び國民により審査され、投票者の過半數が裁判官の罷免を可とする時は罷免される。國民審査の時期については、その後も同樣とする。
     六項 審査に關する事項は、法律で定める。
     七項 最髙裁判所の裁判官は、法律の定める年齡に達した時に退官する。
     八項 最髙裁判所のすべての裁判官は、定期に相當額の報酬を受ける。また、司法の獨立を擔保する爲、在任中、この報酬は減額することができない。

    第百一條
     一項 下級裁判所の裁判官は、最髙裁判所の指名した者の名簿によって任命される。その裁判官は、任期を十年とし、再任されることができる。ただし、法律の定める年齡に達した時には退官する。
     二項 下級裁判所のすべての裁判官は、定期に相當額の報酬を受ける。また、前條八項同樣、司法の獨立を擔保する爲、在任中、この報酬は減額することができない。

    第百二條
     一項 最髙裁判所は、憲法裁判所に提起されない限り、一切の法律・命令・規則または處分が、憲法に適合するかしないかを決定する終審裁判所である。ただし、憲法裁判所に提起された事案については、憲法裁判所の決定に從はなければならない。
     二項 裁判において、憲法判斷が必要な事案については、裁判所は、憲法裁判所に違憲性の審査を提起しなければならない。また、當該事案については、憲法裁判所の判斷を待たずに判決を下してはならない。

    第百三條
     一項 裁判の對審および判決は、公開法廷で行ふ。
     二項 裁判所が、裁判官の全員一致で、公の秩序または善良の風俗を害する恐れがあると決した場合には、對審は、公開しないで行ふことができる。ただし、第一章で保障する國民の權利が問題となってゐる事件・出版に關する犯罪、または、政治犯罪の對審は、常に公開しなければならない。
     三項 内閣または大統領府は、裁判において機密事項の提示が必要となった際、非公開の對審を裁判所に要請することができる。ただし、これについて判斷するのは裁判所であり、内閣および大統領府にその決定權はない。
     四項 内閣または大統領府は、機密解除後、その情報の提示により國の正當性が主張できる事件について、終審が決した後であっても、再審の要求をすることができる。ただし、これは名譽囘復が目的であって、すでに決定された賠償・命令およびその他の措置については覆らず、返還や撤囘の義務は生じない。

    第百四條
     一項 行政機關が捜査對象となる事件に限り、裁判所は、特別檢察官を任命することができる。ただし、任命後の捜査については特別檢察官に一任するものとし、裁判所は捜査に介入してはならない。なほ、對象となる行政機關には大統領府も含む。
     二項 特別檢察官の權限については法律で定める。ただし、その他の檢察官と同等かそれ以上の權限を認めなければならない。

    第百五條
     一項 裁判所は、國會の議決により特別檢察官による捜査を要請された時は、特別檢察官を任命しなければならない。
     二項 國會以外の機關または國民が、特別檢察官による捜査を要請する場合の要件については、法律で定める。

    第百六條
     一項 時代に不相應な法律が放置されることを防ぎ、適宜修正されることを促す爲、裁判所は、すでに成立した法律について、成立から五十年が經過する前に、國會にその見直しを提言する。
     二項 前項の提言があった時、國會は、再可決することで、修正の必要がないことを示すことができる。
     三項 裁判所は、再可決された法律についても、本條一項同樣、再可決から五十年が經過する前に、國會にその見直しを提言する。

    第八章 國の資産および情報公開
    第百七條
     國の財政を處理する權限は、國會の議決に基いて行使しなければならない。

    第百八條
     新たに租税を課し、または、現行の租税を變更するには、法律または法律の定める條件によることを必要とする。

    第百九條
     國費を支出し、または、國が債務を負擔するには、國會の議決に基づくことを必要とする。

    第百十條
     内閣および大統領府は、每會計年度の豫算を作成し、國會に提出して、その審議を受け、議決を經なければならない。

    第百十一條
     一項 豫見し難い豫算の不足に充てる爲、國會の議決に基づいて豫備費を設け、内閣または大統領府の責任でこれを支出することができる。
     二項 内閣が責任を負ひ管理する豫備費の支出については、内閣は、事前または事後に國會の承諾を得なければならない。
     三項 大統領府が責任を負ひ管理する豫備費の支出については、大統領府は、すべて事前に國會の承諾を得てゐなければならない。

    第百十二條
     すべての皇室財産は、國に屬する。すべての皇室の費用は、豫算に計上して國會の議決を經なければならない。

    第百十三條
     一項 公金・その他の公の財産は、宗教上の組織もしくは團體の使用・便益・維持の爲に支出してはならない。
     二項 公金・その他の公の財産は、宗教上の組織もしくは團體の利用に供してはならない。
     三項 公金・その他の公の財産は、國もしくは地方公共團體・その他の公共團體の監督が及ばない慈善・教育・博愛の事業に對し支出してはならない。
     四項 公金・その他の公の財産は、國もしくは地方公共團體・その他の公共團體の監督が及ばない慈善・教育・博愛の事業の利用に供してはならない。
     五項 本條の規定は、政教分離の觀點から、國が特定の宗派を援助することを防ぐ爲、また、公有財産の利用にあたって、その公平性を擔保する爲のものである。

    第百十四條
     一項 國民の共有財産である國の資産が、適切に管理・運用されてゐることを擔保する爲、國および地方公共團體・その他の公共團體は、その經過を正確に記録し、保管・公開しなければならない。
     二項 前項に規定される國の資産の記録について、公開後五十年以上經過した古い記録の破棄に關する規定は、法律で定める。
     三項 現在および將來の國民が、自國の運營過程を正確に分析・檢證できるやうにする爲、公開前の記録の破棄は一切認めない。

    第百十五條
     一項 國の收入支出の決算はすべて、每年、會計檢査院が檢査する。内閣および大統領府は、次の年度に、その檢査報告を決算と共に國會に提出しなければならない。
     二項 會計檢査院の組織および權限は、法律で定める。
     三項 會計檢査院が檢査してゐない決算について、國會は承認してはならない。國の豫算は國民の共有財産であり、その收入支出の内譯は、公開されなければ正當性を擔保できないのであるから、會計檢査院の檢査を免れ得る例外的な規定の制定は、認めない。

    第百十六條
     一項 内閣および大統領府は、國會および國民に對し、定期に、少なくとも每年一囘、國の財政狀況について報告しなければならない。
     二項 第百十一條の規定に從ひ事前に國會の承諾を受けた豫算であっても、餘剩分が確定した際には、そのすべてを國庫に返納しなければならない。次期豫算に繰り越すには、別途、國會の承諾を必要とする。

    第九章 地方自治
    第百十七條
     地方公共團體の組織および運營に關する事項は、地方自治の本旨ほんしに基づき、法律で定める。

    第百十八條
     一項 地方公共團體には、法律の定めるところにより、その議事機關として議會を設置する。
     二項 地方公共團體の長・その議會の議員、および、法律の定めるその他の公務員は、その地方公共團體の住民による直接選擧で選出する。

    第百十九條
     一項 地方公共團體は、その財産を管理し、事務を處理し、行政を執行する權能を有する。
     二項 地方公共團體は、法律の範圍内で、條例を制定することができる。

    第百二十條
     一項 國會が、特定の地方公共團體のみに適用される特別法を制定しようとする時は、その地方公共團體の住民による投票を行ひ、投票者の過半數の同意を得なければならない。
     二項 前項に規定される住民投票に關する事項は、法律で定める。

    第十章 改正
    第百二十一條
     一項 この憲法の改正は、各議院の總議員の三分の二以上の贊成で、國會がこれを發議し、國民に提案してその承認を經なければならない。この承認には、特別の國民投票、または、國會の定める選擧の際に行はれる投票において、有權者の過半數の贊成を必要とする。
     二項 憲法改正について前項の承認を經たときは、天皇は、國民の名で、この憲法と一體を成すものとして、直ちにこれを公布する。

    第十一章 最髙法規
    第百二十二條
     この憲法が日本國民に保障する基本的人權は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であって、これらの權利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在および將來の國民に對し、侵すことのできない永久の權利として信託されたものである。

    第百二十三條
     一項 この憲法は國の最髙法規であって、その條規に反する法律・命令・詔勅および國務に關するその他の行爲の全部または一部は、その效力を有しない。
     二項 國または公共團體が、第十章の規定を經ずに、この憲法の全部または一部が機能しなくなる法律またはその他の規律を制定することは、斷じて認めない。

    第百二十四條
     日本國が締結した條約および確立された國際法規は、誠實に遵守することを必要とする。

    第百二十五條
     一項 天皇または攝政は、この憲法を尊重し、擁護する義務を負ふ。
     二項 前項の規定が履行されてゐない時は、國會は、攝政を置くこと、または、攝政の交代を檢討しなければならない。檢討の結果、不要との結論に至った場合は、憲法裁判所はその妥當性を吟味しなければならず、その後の憲法の履行に懸念がある時は、國會に再檢討を指示することができる。
     三項 すべての議員・國務大臣・大統領・裁判官・その他の公務員は、この憲法を尊重し、擁護する義務を負ふ。
     四項 前項の義務を負ひながら遵守しない者は、その役職を失ふ。これは、その者の職務の結果にかかるものであり、第一章で保障されてゐる個人の權利を侵害するものではない。

    第百二十六條
     この憲法を尊重し擁護する爲に、すべての公務員は抗命權を有し、以下の命令を拒絕することができる。
     一 第一章で保障されてゐる自身の權利を侵害する命令。
     二 第一章で保障されてゐる他者の權利を法的根據なく侵害する命令。
     三 この憲法または國際法規に反する命令。
     四 有效な法律・政令・條例に反する命令。
     五 職務上の目的の爲に下されたものではない命令。
     六 客觀的に不可能な命令。
     七 内容に矛盾のある命令。

    第百二十七條
     前條の權利を行使した公務員は、その行使を理由に差別されない。國または公共團體は、前條の權利を正當に行使した公務員を、その行使を理由に處罰することはできない。

    第十二章 補則
    第百二十八條
     一項 この憲法は、公布の日から起算して六箇月を經過した日から、施行する。
     二項 この憲法を施行する爲に必要な法律の制定、ならびに、この憲法を施行する爲に必要な準備手續きは、前項の期日よりも前に行ふことができる。

    第百二十九條
     この憲法の施行の際、現に在職する兩議院の議員・國務大臣・裁判官・その他の公務員で、その役職に相應する役職がこの憲法で認められてゐる者は、法律で特別の定めをした場合を除き、その役職を失ふことはない。ただし、後任者が選擧により選出または新たに任命された時は、當然、その役職を失ふ。


      (最終更新日 2018.7.7)
    豐見城かんぷら Link Message Mute
    2018/06/26 21:01:05

    日本國 新憲法案 2018

    明治時代、全國各地で市井の人々が 思ひ思ひの憲法草案を思索してゐたのに慣らひ「自分ならどういふ條文が理想か」を明文化してみる。
    俺は、法の專門家でも憲法學者でもないので、不備はあると思ふ。(氣附いたら直すけれども)
    案なんて使はれてナンボなので、氣に入ったところがあったら どんどん使って下さい。どんどん直して下さい。

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