2人の恋愛模様。それから
作戦と言うには簡単で、谷垣と鯉登さんと俺ら何人かで遊びに行こうというもの。
「あっちーなぁ…」
「まさか夏日だとは思わなかった」
俺と月島さんは最終確認のために一時間早く集合場所近くのカフェで一休みしつつ作戦の最終確認をした。
「それにしても水族館なんて久しぶりだな」
「アシリパさんもスゲー楽しみにしてたよ」
計画としてはみんなで水族館行って2人がお互いの気持ちに気がつけば良いかな、程度のものだ。
「そろそろ時間だな」
待ち合わせ場所に行けば既に賑やかだった。
「つ、月島おそいぞ!」
「時間通りじゃないですか」
「よし!ちゃんと来たな谷垣~」
「お、おい!話が…」
「いいから行くぞ!」
「何してるんだ!さっさと行くぞ」
「待ってよアシリパさ~ん」
「全員チケット持ったな?」
「「「「はーい」」」」
水族館につけばな月島さんから水族館のチケットが配られた(どうも社長の手配らしい)
「……」
「……」
わいわいと賑やかな一団の後ろで一言も離さない2人をチラチラと盗み見る。正直めんどくさい。
「どうしたんだ谷垣、鯉登!」
「な、なんでんなか!」
「えっと、アシリパさん大丈夫だから」
ぽんぽんと頭を撫でられアシリパさんは嬉しそうにするが、おい鯉登顔が凄いことになってるぞ。
「アシリパさ~ん行くよ」
「あぁ~杉元先にいくな!」
「あぁ~杉元先にいくな!」
元気よく走り出す背中を見て笑みがこぼれる…が、また二人きりになると緊張する。
「あん子と仲が良かどど」
「あ、杉元と彼女仲良くて、杉元に紹介されたので少しは」
鯉登さんが呟いた言葉に咄嗟に答えてしまった。鯉登さんと話したくて薩摩弁覚えたなんて、あぁ気持ち悪く思われてしまうだろうか。
「まて、わいはなんで薩摩弁喋るっど!ちゅうかげんねじゃらせんか!!」
あ、顔赤い…可愛い。そっと手を伸ばし頭を撫でる
「えっと鯉登さんと、お話したかったので、覚えました…」
「ッ!!」
ぶわっと顔を真っ赤にして一歩後退る。これは脈有りなのだろうか
「鯉登さん?」
「おいと話そごたっとかわいは変わり者や。変なやつだ…」
「でも嘘言ってませんし。それに薩摩弁喋る鯉登さん可愛いですよ」
「うぅ……月島ぁあ~!!」
やりすぎたか。顔真っ赤にさせて月島さんとこまで走っていってしまったけど、それは面白くないけど、可愛いとこ見れたのでよしとしよう。
「月島ぁあ~!!」
「鯉登さん?!」
後ろから叫ぶ声が聞こえて振り返ると鯉登さんが走ってきて飛びついてきた。
「…谷垣と話していたんではないんですか?」
「おいには無理や!心臓が持たん!!」
「一応話はしたんですね」
「少しは…そいでむぜち言われた」
「よかったじゃないですか」
可愛いか…よく言った谷垣。俺はただ上司の恋を応援してるだけだからそんなに見るな谷垣!手を出そうなんて思ってないからな!?
「谷垣~」
「…月島さん、ライバルになるのかな」
「お前なぁ」
「それより杉元!あの人が来るなら来ると言っといてくれよな」
「言ったら来ないだろうお前は」
「うぐ…」
「で、どーよ話せたのか」
「まー少しはな」
可愛い鯉登さんを思い出して頬が緩む。
「幸せそうな顔しやがって!んで脈有りなわけ?」
「んー多分?」
「よし、なら頑張れ!」
背中をバンッと叩かれた。