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    昭和の初期に戻りたいーー昭和の初期に戻りたいーー
    次郎「昔の日本てそんなによかったのかい、爺ちゃん?」
    傑(すぐる)「勿論だ。」
    次「へー、どんな点でよかったの?」
    傑「あー、こんなせせこましい、やかましい、せからしい令和なんて、まったくなんて時代だ!」
    きゆ(母)「ホンマにそうよ。物価は高いし、消費税は増えたし、無税の時代の方がよかったわよ。」
    一夫(兄)「どうかな?現代がそんなに悪いか?道路だってスムーズだし、鉄道は正確に運行してるし、蠅や蚊だっていなくなってる。そのどこが悪いの?」
    ルイ子「ちょっと兄ちゃんら、静かにしてよ。」
    次「なんで?」
    ル「少女漫画のアニメやってんねんから。唯一の楽しみなんよ、私にとっては。」
    き「少女漫画ちゅうたら、昭和24年にあんみつ姫があったわ。でもな、もうその頃は戦後の復興で忙しくて、全然見てないわ。」
    傑「あ、そや、サザエさんも昭和21年頃から雑誌掲載やった。」
    次「え?爺ちゃん何で知ってるの?」
    傑「日本は戦争負けたやろ?ほな、軍需産業で働いとったわしは、即解雇されたんや。
    ところが、うちの兄貴が国鉄の職員やったから、駅の売店の仕事についたんや。そこで洋雑誌やら売ってたから、サザエさんも知ってるねん。人気あったでー。」
    一夫「んな事言って、ホンマはお客さん来たら『また来あがった』ってぼやいてたそうやないか?国鉄のおっちゃんがぼやいてたで(笑)」
    次「昭和の初期の事めっちゃ興味あるわ。何か本でも読んだ方がええかな?」
    き「映画かてあるやん。昭和初期ってどんな映画があるかな?」
    ゆ(おとん)「お、帰ったぞ」
    みんな「おかえりー。」
    ゆ「何の話しとんねん?」
    き「お、映画好きが帰ってきた。(笑)、あんた、昔の映画の話して―な。」
    ゆ「黒澤明か?」
    き「いやいや、それよりもっと前。戦前」
    ゆ「ほな、活動写真、無声映画か?それやったらお前の方が詳しいやろ?」
    き「どんなんかな?うちの母ちゃん(つまり亡き婆ちゃん)も映画好きやってな。大阪都島で「愛染かつら」とか坂本武と飯田蝶子のも人気あったわ。」
    ゆ「そうかー。わしあんまり覚えてないわ。親がそういうとこ行かさんかったし。」
    傑「コメディアンでもおもしろいのあった。『あーのね、おっさん、わしゃ、かーなわんよ』とかいうのもな。高勢 實乘(たかせ みのるや。」
    ル「そんなん面白いの??全然面白くないわ。」
    一「今何見てるねん」
    ル「キャンディ・キャンディやん。」
    一「まああれもアメリカの話やしな。戦後の日本はすっかりアメリカナイズされたからな。」
    傑「よっし、次郎よ、これからわしが昭和初期の日本に連れて行ったろか?」
    次郎「え?ホント?行けるの?」
    傑「もちろんさー。」
    きゆ「またお爺ちゃん、子供に変な事言わんとって。」
    傑「まあ、見てな。次郎よ、お爺ちゃんが一つでっかい冒険をさせてやろう。付いて来い。」
    ゆ「お義父さん、もう9時でっせ。危ないし。」
    次「いや、僕行きたい。」
    傑「よし、付いて来い。」
    ーーー
    二人は出かけた。しかし、他の家族も大反対する程でもなかった。
    二人は、少し山になってるとこに向かって歩いた。次郎は懐中電灯を照らした。
    次「爺ちゃん、これ、古墳のある当たりじゃん。防空壕の跡とかとも言われるし。大丈夫なの?」
    傑「大丈夫。この防空壕のこちら側が戦後の世界、中側が戦前の世界なんじゃ。」
    次「それじゃあ、この穴の中に入って行こう。」
    二人は段々と入って行った。最初は真っ暗で何もないように見えた。しかし、更に進んでいくと、段々灯りが見えてきた。
    その灯りを目指していくと、古い昔の街灯が見えて、路面電車がゆーっくり移動している。歩いてる人はハイカラで、とてもお洒落だ。帽子を被った紳士、シルクハットの女性!
    傑「見ろ、これが昭和初期の世界だ。夜景じゃよ。」
    次「すごいー。車の数もほとんどない。たまに馬車も走っているよ。街灯の灯りもそんなに明るくない。とてものんびりしている。現代のせからしい、うるさい世界とはエライ違いだね。」
    二人は街路をゆっくり周りを見回しながら進んだ。左手を見ていくと、写真がたくさん並んでるお店みたいなのがある。
    次「これ何?写真館?女の人ばっかりだよ。」
    傑「これはな、遊郭っちゅうんじゃ。」
    次「ユーカク?」
    傑「つまり、男と女が色恋をして楽しむところじゃよ。」
    次「うわぁ、それええやん。早速行こう!」
    傑「あかんて。ここは、未成年禁止や。」
    次「ちぇっ、行きてえなあ。」
    傑「わしだけ行ってくる」
    次「あかんてー、爺ちゃん!」
    ザッ、ザッ、ザッ、ザッ、・・・
    向こうから行進してくる、、、軍人さんや!
    傑「敬礼!、、、二郎も敬礼せんか?」
    次「けーれー!」
    今度は向こうから光輝かしい電車がゆっくり来た。やはりこの時代はゆっくりなのだ。
    次「この電車は何なん?」
    傑「花電車っちゅうねん。まあやっぱり大阪名物やし、派手な電車を通してたんよ。」
    次「へえー。今でも通せばいいのにな。」
    傑「せせこましい現代では無理だろうな。
    さ、もう10時過ぎたし、そろそろ何処か泊まろう。」
    次「まだ時間早いやん?」
    傑「昔はみんな早寝しとったんじゃ。(左手を指して)お、ここの旅館にしよう。」
    次「木造やん。灯りも暗いで。火事いったら大変や。」
    傑「心配すな」
    店の声「はい、いらっしゃい。何名様?2名、それではお二階に。」
    中に入ると空調も何もない。窓が開いてるだけだ。次郎は不満に思ったが、そんな暇もなく眠りについた。
    ーーー
    傑「おい、次郎、起きろ!」
    次郎は目をこすり擦り目を覚ました。
    次「まだ7時やん。もう少し寝かしとって。」
    傑「あかんて。これから準備して奈良の大仏さん見に行くぞ。」
    次「だってこんな早くから、、大仏殿かて、10時ぐらいからやで。それにラッシュアワーに巻き込まれるし。」
    傑「ヌハハハハハ、こんな時代にまだラッシュアワーなんてないわ。」
    次「へ?」
    傑「ハハハハ、のんびり行こう!」
    爺ちゃんはその間新聞を隅から隅まで読んでいる。大阪毎日新聞かな?次郎は暇だから、将棋の手でも研究してる。
    しばらくして、二人は念願の東大寺大仏殿に到着した。
    すると、大仏さんの手に子供らが登って遊んでる」
    次「おい、おい、そこあかんぞ。おい!」
    傑「えーねん、えーねん、この頃は文化財保護法なんてなかったからな。こうやって遊んでるのがノーマルや。」
    次「よっし、俺も登ってみよう。(子供らに)おい、どけ!」
    子供らは退いたので、次郎は思う存分代っ仏さんの手を堪能した。
    すると「こっら!うちの子らを退けさせたんおまえか?」
    次郎はきょろきょろして、「え?知りまへんで」と言い残してその場を去った。
    傑「次郎よ、お前調子に乗るな。」
    次「けど、今時『こっら!』って叱るおっさんおらんな。令和の時代に存在したら特別天然記念物や!」
    傑「そうじゃな、プハハハハハハ。」
    次「これからどないすんの?」
    傑「新世界行って美味しいもん食べよ。ウナギのかば焼きはどうじゃ?」
    次「おお、めっちゃ好物や。けど新世界ってガラ悪いんちゃうの?うちの兄貴が友だちと映画見に行ったら、2回はおっさんの足が並みんでて、フィルムがちょっとキレたら『オーオーオー』てヤジ飛びまくったそうやで。」
    傑「大丈夫やそんなもん。まかしとき。」
    二人は新世界に着いた。通天閣はまだ明治時代のもので79メートルあった。
    すると、売り子のおっちゃんの声が聞こえてきた。見ると、叩き売りだ。啖呵売、寅さんの世界だ。次郎はとても興味を持って目の前まで進んだ。
    叩き売りは、短い棒で木の台を叩いている。
    「さあーお客さん。もうそろそろここらでどないでんねん!これだけ値を下げてるのに、もう買値でっせ。あかん??(また台を叩く)わしら朝から売してるのに、こんなわからへんお客さんはおらんで。(また台を叩く)」
    すると、2~3人が手に取って、その品物を見始めた。
    傑「お、次郎、行こうか」
    二人はその場を離れた。
    傑「さっき、お客さんが手に取って見出したやろ。あれまだ早いねん。もっと粘って値段を下げてから行かないとあかんわ。」
    しかしな、後から考えると、その2~3人はサクラだったとも考えられる。つまり、2~3人が手に取りだしたら、他の本当の客も興味を持って買う可能性があるからだ。
    実際「男はつらいよ」でも玄ちゃん(佐藤がじろう)がサクラやるストーリーもあった。
    ーーー
    しばらく二人が歩いてると、道端に座って前にカンカンを置いて、それにお金をもらってお辞儀している人がいる。
    次「あれ何?」
    傑「乞食やん。」
    次「へええ、こんだけ進んでると思ったら乞食せな食べて行かれへん人もいるんや。」
    傑「よし、ちょっと汗もかいたし銭湯にでも行こうか。」
    二人は、天王寺の大きな銭湯に入った。
    服脱いで、風呂の方に進んでいくと、
    次「何この匂い?何か便所臭いで?」
    傑「そら仰山の人が入るからな。」
    二人は湯船に入った。しかし、臭いのはますますひどくなる。
    次「やっぱり臭いで。な、何この浮かんでるのは?」
    傑「それ●●コや。」
    次「いっやーーきったなーーー!!
    俺もうでるわ。」
    次郎は、湯船から出ようとする。すると後ろから彼の足を掴んで離さない手が沢山伸びてくる。
    次「やめろー、放せー!出してくれ―、出せ―――・・・・」
    次郎の目が覚めた。助かったー!
    令和の世界に戻ったんだ!
    しかし、銭湯があんなに汚いとはな。
    爺ちゃんが言ってた、衛生状態は悪かったと。おふくろ「き」も甲子園浜で海水浴してたら、海の水が真っ黒になって、沖で泥を撒いてる船があったと。
    つまり、いい事ばかりじゃなかったんだな。
    しかしな、遊郭には行っときたかった。。。(笑)
    「次郎、一世一代の不覚だ。ハハハハハハ、ハハハハハハ」
    お舐め Link Message Mute
    2020/04/13 16:16:14

    昭和の初期に戻りたい

    #オリジナル  #ファンタジー

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