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デキリコ風
5/29全日本プロレスを観に行く前に、上野の東京都美術館で開催されているデキリコ展に行ってきた。
音声ガイドの説明を聞きながら、シュルレアリスム成立以前の先駆け的な存在として、ジョルジョ・デ・キリコの画風の変遷をたっぷり観ることができて非常に有意義だった。
去年夏にアンリ・マティス展も観に行ったが、時代によってアプローチを大きく変え、絶えず自分の感性に従って挑戦を続けたその軌跡は、観ているコチラからすれば色々な作風に触れる事ができて単純に飽きない。
マヌカン(マネキン)を使った表情のない人物をモチーフにしたシリーズが好きで、「不安を与えるミューズたち」をじっくり観れて良かった。思わず「予言者」と併せてポストカードを購入。部屋に飾ってある。
そんなわけで、せっかくシュルレアリスム対して興味を持ったもんだから、自分のキャラクターを使ってデキリコを意識して描いてみました。
付け焼き刃も付け焼き刃ですが、混沌として整合性がないものを入れるという点においては、好き勝手に描けて楽しかった。
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TAMAMOTO AKITO
よろしくお願いいたします。
新しいアカウントでまた投稿します。
よろしくお願いいたします。
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TAMAMOTO AKITO
2023年賀状 舞波千景「卯」
本年もご愛顧の程を宜しくお願い申し上げます。
#イラスト
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#舞波千景
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#年賀状
#オリジナル
玉本秋人
2
(ラベル用イラスト)ますきんぐてぇぷ
「張り扇に用います和紙、少しノリが剥がれた時分に悪「ノリ」で貼っつけたりなんかして。えー、用途の方はご購入された皆様のイマジネーションにお任せ致します」
中落ちカルベイベ
Twitterアカウント
@tamamotoakito
making
https://youtu.be/s5MhsK6sldE
オンラインショップ
http://tamamotoakito.booth.pm
http://skeb.jp
http://pixiv.net/manage/illusts/
#舞波千景
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玉本秋人
「プラットホーム」
プロ野球満開・・・失礼、『開幕』デェございます。
私は横で雅(みやび)な決めポォズをとっていらっしゃる方、「夕月葵(ゆうづきあおい)さん」のおウチ、私が所属する芸談協会の頭取、海遊亭本まぐろ先生の本邸に居候をしております。
その頭取の娘であり、同い年の葵さんとは「東京花菱大学付属女子高等学校」の女子硬式野球部で、共に白球を追いかける間柄でこざいます。
葵さんは野球をおやりになるだけでなく観るのもお好きで、独自の発掘ルートを活かし、なんと巨人対中日の東京ドーム開幕戦のバックネット裏の1階席チケットを手に入れたのです。
芸談協会頭取の娘という立場をフルに活かしたとか。
「お前に一枚くれてやる、来い」
最初は何かの冗談かと思いましたが、葵さんは普段冗談など決して言わない堅〜い方です。
都度都度会合の席で思いつきのブラックジョークをかます私に向かって、御愛用の玄武の扇子を投擲される方ですから、そんな葵さんが何故私に?と、正直戸惑ってしまいました。
「パパが都合で来れなくなった」
聞くところによりますと頭取、福岡から竹馬の友と互いに呼び合う方が東京まで来ているのだとか。向こうが今日帰るという事で、頭取は昼席が終わったら駆け足でその方と浅草観光に繰り出し、馴染みのお蕎麦屋さんで一杯やりたいからと、昨日葵さんに言ったという事です。
頭取も大変忙しい方なのですが、それでも父娘揃っての久々のお出かけの野球観戦。葵さんはそれを何よりも楽しみにしていたでしょう。
そうなると私に断る理由などありませんね。葵さんからのお誘い、さらにプロ野球開幕戦をバックネット裏1階席で見れるなんて、昂ぶる気持ちを抑えるのに必死です。
なんとか抑えられるのが私で、表情には出さないけれどプラットホームで御愛用の玄武の扇子を取り出し、「旅姿三人男」を口ずさみながら舞を踊りますのが、横の葵さんです。
遠くには桜並木。暖かな風に乗って、白桃色の花びらがひとひらコチラにも。・・・大変によろしい日和ですねえ。
ただ、葵さんには内緒なのですが、私はドラゴンズファンなのです。
そして葵さんは、何と言いますか。ジャイアンツ至上主義とでも言うのでしょうか。
テレビの前で巨人の敗色が濃くなりますと、みるみるうちに不機嫌になられる方なのです。リモコンでテレビを消すわ、冷蔵庫の炭酸水を一気飲みしだして袋のチーカマを鷲掴みして足音立てながらお部屋に帰るわ、その部屋から廊下まで聞こえる何やら叫び声のようなモノを放出するわ、まあ、荒れに荒れます。
流石に球場ではそのような姿は見せないと思うんですが、横にドラゴンズファン(私)がいたら首根っこを掴む可能性があります。
先週十四日は大石内蔵助が切腹を致しました日、我々講談師も寄席なり各々の会なりで赤穂義士伝を高座にかけました。
仮に目の前の人(葵さん)が吉良上野介に見えたとしても、私に斬りつける勇気はありません。
一応事前にひと通りジャイアンツのグッズは購入しまして、ジャイアンツファンっぽい格好を試みて本日は臨んでいるのですが、果たして葵さんにドラゴンズファンだとバレたりはしないでしょうか。
偽りの自分に対する僅かな抵抗という事で、青めの着物で来ましたが、もしかしたらコレが致命的になるかもしれませんね。
ともかく、今日は大いに楽しみましょうか・・・口ではジャイアンツの応援。そしてひっそりと心の内では、ドラゴンズの開幕戦勝利を祈りながら。
#イラスト
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#講談
#野球
#舞波千景
#夕月葵
玉本秋人
2022年賀状 舞波千景『寝正月(ねしょうがつ)』
#舞波千景
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中落ちカルベイベ
@tamamotoakito
漫画とイラストを描きます。
ファンボックス
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イラスト、メイキング投稿
pixiv.net/manage/illusts/
youtube.com/channel/UCuMkd…
玉本秋人
神田阿久鯉(かんだあぐり)
2時から泉岳寺で講談会があったんだけどチケット取れなかった。
阿久鯉姉さん聴きたかったな。
というか、チケット手に入れてからイラスト描こうぜ(笑)。
#イラスト
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#神田阿久鯉
#講談
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玉本秋人
両国ファラオ寄席
「武術の神セトの名のもとに!
・・・瀬戸の物語を一席」
#イラスト
#講談
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#舞波千景
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#ミイラ
玉本秋人
中はこしあんです。
[カルベイベラインスタンプ]
https://line.me/S/sticker/14813487/?lang=ja&ref=gnsh_stickerDetail
#イラスト
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#舞波千景
#講談
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#お月見
玉本秋人
躍動感があります。
ラインスタンプ制作中。
その21
https://youtu.be/G3JpHOvGDMc
#イラスト
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#躍動感
玉本秋人
舞波千景『白井権八』
「暮六つの鈴ケ森、蛇塚蛇ヶ右衛門ら山賊に対しまして権八が抜きましたのは妖刀姫村正!斬って斬って斬って賽の目ナマス千六本、そこに現れました江戸の大侠客、幡随院長兵衛がおなじみの一声!「お若えの、お待ちな〜せえぇぇえぇええ!」」
#舞波千景
#落語
#講談
#白井権八
#幡随院長兵衛
#イラスト
#Illustration
玉本秋人
2021年賀状舞波千景
「本年もより一層修行に励みますので変わらぬご愛顧の程を賜りたくお願い申し上げます」
#舞波千景
#年賀状
#イラスト
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#講談
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#オリンピック
玉本秋人
大津絵風DE舞波千景
三三独演会が終わった後に東京ステーションギャラリーで、『もうひとつの絵画大津絵展』を鑑賞。
大津絵というのは江戸時代に無銘の民衆達が描いた土産物の絵。
民俗資料扱いだった大津絵を絵画と捉え直しての美術展という事で、非常に興味深く観させてもらった。
マンガチックなタッチで描かれた作品を観ていて何か真似できないかな?と思っていたら、『大黒外法の梯子剃り』という絵の男が持っていた剃刀が、パッと見張り扇に見えたので、パロってこんな絵を。
タイトルは、「大黒外法の張り扇」・・・う〜む。
#舞波千景
#講談
#大津絵
#東京ステーションギャラリー
#イラスト
#Illustration
#大黒外法の梯子剃り
玉本秋人
サード磯村千恵子(いそむらちえこ)
昼は東花女子野球部所属、磯村千恵子。
夜は芸談協会所属二つ目、講釈師舞波千景。
全身と口を毎日フル回転、それなりに充実した日々を送っております。
#舞波千景
#磯村千恵子
#講談
#女子野球
#東京花菱大学付属女子高等学校野球部
#イラスト
#illustration
玉本秋人
紅しょうが姉さんと。
『やろうか』
『まだ早いか』、
少々悩んでいる。
「千景姉さん、おはようございます!」
「ご苦労さまです、千景姉さん!」
楽屋に入るなり、
見たことの無い2人に挨拶をされた。
1人はメガネ、もう1人は髪がボサボサの切れ目の男子。
「バカヤロ、初めて会うんだから名前を言いやがれ」
阪神タイガースのキャップと着物姿。
そして近くにくると香ってくるおでん出汁の匂い。
辛子家おでん兄さんである。
となるとこの2人は・・・。
「失礼しました!辛子家じゃがいもです!」
「辛子家いかぼーるです!」
メガネがじゃがいもで、ボサボサがいかぼーるか。新しく入った兄さんの弟子2人、なかなか真面目そうである。
本日は我々が所属する芸談協会の定例寄席。
スタッフカードを首に下げた関係者が通路でバタバタしている。
最近オンライン上で寄席演芸の人気が急上昇中という事で、演芸チャンネル運営会社に我々芸談協会の面々もガッツリと協力する運びとなったのだ。
『オンライン上での公開生中継!あなたのお家が寄席になります♪』
という事で、やり直しの利かない一発勝負である。
収録は2日あり、今日は初日。
明日2日目は頭取や鶴々先生、ほくほく亭じゃがばたあ師匠、山椒斎こ粒大先生と、協会の大幹部が一同に集結する。
アプリでも視聴できますので、良かったらダウンロードしてくださいね♪
楽屋入り。
私が脱いだ履物をいかぼーる君がすぐに整えてくれた。
悪いなあ、なんか。
お礼を言おうとしたら、逆に深々とお辞儀され、じゃがいも君と2人で楽屋から出ていった。
前座の時分はやる事が沢山あるからね、懐かしいな。
私のように歳の近いスタッフと浅草の人気スイーツの話で盛り上がっていたら、出番の先輩を呼び出すのを忘れて大目玉を喰らった、なんて事のないように気をつけて欲しい。
畳の楽屋。
奥には今にも死にそうな顔のいも太郎兄さん(体調は良さそう)と、紅しょうが姉さんが机に肘をついて大きなビンを眺めていた。
山椒斎(さんしょうさい)紅しょうが姉さんは、真打講談師になって10年の人。
年齢は聞いた事はないが、
「人間(じんかん)50年って、そのぐらいが生きるにはちょうど良いかしらね、色々ともう疲れたわ」
と以前お酒の席でつぶやいていたので、何となくぼやけた数字が頭に浮かぶ。
主に江戸時代の遊女や、吉原を舞台にした話。
怪談物だと『妲己のお百』など、女性が噺の肝となる読み物を得意とする人だ。
姉さんの講談は男性ファンが多い。
美しくも怪しい江戸の遊女に惑わされた後は、姉さんのサイン会には目もくれずに帰っていくのだ。
ため息をついているので擬音にするとスススっと、姉さんの横に座りビンの中を覗きこんだ。
大きなビンはハブ酒だった。
黄色く濁った酒の中に、大きなハブが沈んでいる。
ほほお、これはこれは・・・、こんなに間近にハブを眺めるのは初めてかもしれない。
身を乗り出してもっと良く眺める。
そんな私に横目で気づいた姉さん。
おっと、挨拶を忘れていた。
「姉さん、おはようございます」
「飲む?頂きもの」
「飲めません、未成年ですので」
コレは姉さんが仕掛けるちょっとした「試し」である。
相手が未成年と知ってて、酒やタバコをやるかを敢えて聞いてくるのだ。
今のように挨拶がてらいきなり聞いてくる事もあれば、楽しく話が盛り上がった所で間髪入れず聞いてきたりする。
仮に未成年でコッソリやってしまっている人の場合、不意打ちで
「やります」
「"今日は"結構です」
などと答えてしまう場合があるのだ。
「ビール専門です」とクールに答えた若造もいたとか。
ソレを師匠や先輩、時には頭取に報告する事で協会の秩序を保つという、姉さんの燃えるような正義感からくる言動である。
ちなみに念を押すが、私は今の所本当にやっていない。
勇ましいなあ!
ハブ酒のハブに目を戻すと、何とも厳かな形相をしていた事に気づいた。
確か、ハブ酒を作る際には生きたままのハブをビンに入れ、焼酎などを注ぐと聞いた事がある。
酒の中でハブがもがけばもがくほど、美味しいダシが取れると言うのだ。
飲めないが、以前おでん兄さんが美味い美味いと言ってたから、味を想像したりして羨ましいとは思った。
ただ、ハブ酒の味を想像したりするのはもちろん人間側の事であり、当のハブにとって正に今際の際である。
さぞかし苦しみ、あるいは我々を睨みつけて死んだのだろうと思っていたのだが、このハブはまるで眠りについたかのように静かに佇んているようだった。
きっと酒を注ぎ込まれた瞬間、いやもしかしたらもっと早く、それこそ野生の大地を元気に這っていた所を捕らえられた時だったのかもしれない。
早々に己の運命を悟り、見苦しく足掻くのは却ってハブの恥と想い、堂々と
『我はハブ酒なり!』
と言って昇天したのではないだろうか?
それくらい堂々とした死に姿だ。
このハブ酒の銘柄は「は武士(ぶし)」、
うむ!名前に偽りはなし!
まるで忠臣蔵の主人公、大石内蔵助(おおいしくらのすけ)の魂が乗り移ったかのようである。
「忠臣蔵にしよう」
ハブを見ていてインスピレーションが湧き起こる感覚を私は覚えた。
実は今日来る前に悩んでいた事として、最近覚えた赤穂浪士伝を高座に掛けようか迷っていたのだ。
その中でも大石内蔵助が出てくる、
『大石東下り(おおいしあずまくだり)』
という、忠臣蔵の噺の中でも取り分け面白い部分がある。
仇討ちを果たすため、京から江戸へと向かう大石内蔵助達赤穂浪士。
ちなみに、江戸時代の地図では今では言う西の方角が北側となっていたため、東は南側だから「下る」と言うわけだ。
道中、垣見左内(かきみさない)という近衛兵の親玉みたいな人が待ち構えている。
大石さん、よりによってこの垣見左内に対して、
「私が本物の垣見左内です、通してくれ」
と言う。
「ふざけた奴だ!」
と刀を取ろうする左内だったが、
『大石内蔵助 行年(享年)四五』
という奉書を見つけた瞬間、この方は亡き忠君への義のため、命をかけて江戸の吉良邸に討ち入りに行くのだなと悟る。
そして何と本物であるにも関わらず、
「私が偽物でした」
と言い、左内は大石さん達赤穂浪士を通す・・・という筋である。
噺の筋は覚え稽古を重ねたのだが、やはり人前で大石内蔵助を演じるとなるとハードルが高いなあと思って、高座にかける事に足踏みしていたのだが、今日演る事にしよう。
仮に不評だったとしても、批判も自らの不出来も飲み込めば良いじゃないか。
それは苦しい事かもしれないが、酒が口に入り命が絶たれたハブほどの苦しさではないだろう。
まさかハブを眺めた事で、今悩んでいる事に対する光明が見え肝が据わるとは思わなかった。
視線に気づいて顔を上げると、紅しょうが姉さんと目があった。
「何十年も演るもんなんだから、難しかろうが大ネタだろうが早い方が良いよ」
そして姉さんの黒目はまた私から離れていった。
まさか私のためにハブ酒を持ち込んで・・・。
・・・私も弟子を取ったら、
さり気なくこういう事ができる人になりたいな。
「千景姉さん、お願いします!」
じゃがいも君が入り口から現れて私を呼んだ。
演る噺は決まった・・・、このハブのように勇ましく行くとしよう。
「いっちょカマしてこい!」
いも太郎兄さんと話し込んでいたおでん兄さんが威勢良く私に声をかけてくれた。
いも太郎兄さんは・・・えーと、うつむきながら何やらブツブツと。
確か今日のトリだったな。
目に怪しい光を宿しながら、両手を刀に見立て何やらズブリズブリと言っている。
『お富与三郎』でもやるつもりかな?
あんな暗い噺をオンライン中継のトリに・・・、まあいいか。
通路に出て振り向くと、片手にハブ酒を抱えた姉さんが手を振ってくれていた。
そんな姉さんに
「お先に勉強させて頂きます」
と頭を下げると、
私はじゃがいも君といかぼーる君に案内され、小劇場の袖へと向かったのだった。
(6月某日)
#講談
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#ハブ酒
玉本秋人
6/6第2回オンライン釈場
事前に伯山&愛山の対談動画を視聴。
伯山の芸を「薪で割ったような高座」だと。
確かに一回生で聴くとわかるが、遠い席で良かったなと思う事がある(笑)。
一回国立演芸場で「小猿七之助」を聴いたが、まだ伯龍のをなぞる段階なんだなと感じた。
今回の愛山の鼓ケ滝と同じ、世話講談の小猿七之助も、本家伯龍のは張り扇を叩かない。
笑い少なめだがしっとりと聴かせる芸が好きなのは他ならぬ伯山だが、振り幅のある伯山でもそういった芸を完全にモノにするにはもう少し時間が要るんだなと。
伯山に稽古をした愛山の鼓ケ滝を聴きながらそんな事を思った。
1分動画にまとめたぞ。
↓
https://youtu.be/-8EGRmgn9FU
#イラスト
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#神田伯山
#神田愛山
#神田阿久鯉
#神田真紅
玉本秋人
5/23オンライン釈場
#イラスト
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#神田伯山
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#神田桜子二ツ目昇進記念講談会
オンライン上で講釈師だけの講釈場が実現。
伯山も嬉しそうだった。
第1回から神田派のトップ、松鯉先生と陽子先生が来るという気合いの入れよう。
硬いイメージがある講談だが、こういう催し物に対してはフットワークが軽いよな。
二ツ目昇進を果たした桜子さん、持ってる雰囲気が芸人気質で人柄も真面目そうで良かった。
早速Twitterも始めたという事で、先輩に負けじとフットワークも軽そうだ。
寄席が再開しても定期的にオンライン釈場はやって欲しい。
極端な話一堂に会する必要がないから、地方に離れていても豪華な面々が観られるもんな。
玉本秋人
一龍斎貞水(いちりゅうさいていすい)
貞水先生。
描いておいてアレだが、随分若い頃だよな。
ちょっと前に出た伯山(当時松之丞)の『講談入門』に、貞水先生との対談部分があって面白い。邑井貞吉とか宝井馬琴とか小金井芦洲とか神田伯龍とか、早々たる名人がいた当時の楽屋や本牧亭の様子を語ってくれている。
今伯山が全力で取り組んでいる『連続物』は、貞水先生もあった方が良いと。
「晩年の芸が良くなる」ってね。
客受けする大技を使わずに、レスリングと小技で試合を作れって事だな!
何となくプロレスで例えてみた(笑)。
伯山さん、確か大日本プロレスファンだよな。
#講談
#イラスト
#illustration
玉本秋人
いも太郎兄さんと。
ある日、同じ芸談協会に所属する「ほくほく亭いも太郎」兄さんに呼ばれた。
浅草にある喫茶店、遠くには雷門の文字が見える。
このご時世人は少なく、時折歩く人もそそくさと目的の場所に急いでいるように見えた。
私もマスクをつけて喫茶店に着き、入り口の前の消毒液をつけて手にこすりつける。
以前、張り扇にたっぷりかけて高座に上がったら、湿ってしまいポンポンとした音しか出なくて途中から喋るだけにしたな。
修羅場(ひらば)の場面で柏手で喋ったのは、後にも先にもあの時だけになるだろう。
喫茶店に入るといつもの席にいも太郎兄さん。
いつもと変わらず血色の悪そうな顔、兄さんの血は何色なのか。
兄さんは落語家で真打、あの名人「ほくほく亭じゃがばたあ」の弟子である。
死神に取り憑かれたような見た目も相まってか、兄さんの演る「死神」や「藁人形」は絶品である。
絶品すぎて怖くて泣き出す子供や、今際の際かと気を失ったりするお年寄りもいるほど、兄さんの高座はスリリングである。
近くの寄席にお越しの際はぜひ聴いて下さい。
落ち着いた雰囲気の喫茶店で、兄さんと話す時はいつもココである。
そう言えば席もココだな、左には婦人の人形が置いてある。
兄さんは女性を演じるのも巧くて、どうしたら良いのですか?と以前聞いたっけ。
女が男に聞くのか、と言われたが兄さんは横の人形に向かって不気味な笑みを浮かべて、
「憧れの人になり切って喋るんだよお」
・・・なるほど。
「新しいネタを教わりに行こうとしているんだが、最近しくじったから師匠が怖くて怖くて、何かご機嫌をとろうと思うんだがどうしたら良いだろう」
「好きな食べ物を持って行けば良いんじゃないですか、私はおでん兄さんがもし怒ってたら、すぐにおでんを持って行きます」
「アイツ、おでん屋やってるのに人んちのおでん好きだよなあ」
「コンビニのおでんが無くなるというので、ものすごく悲しんでましたよ・・・、じゃがばたあ師匠は何がお好きなんですか?」
「あんパンかな、牛丼も好きだったっけ」
「服部伸師みたいですね」
「馬琴師のレコードで喋ってたやつか、持っていってみるか・・・」
芸に惚れ込んだ師匠に対する事だ、解決の方法が兄さん自身に見つからないわけはないだろう。
それでも私に相談するのは、相談というよりただ背中を押して欲しいのだと思っている。
「私からの贈り物です」と一言添えれば、兄さんの気まずさがもう少し晴れるのでは?と思ったが、それでは弟子からご機嫌伺いにはならないので、言うのを止めた。
気が重くてもやらなければならない事がある。
それはもちろん、兄さんが一番わかっているはずだ。
「ところで、何を教わるんですか?」
「御神酒徳利を、噺家になる前から圓生さんのをだったり聴いてたんだけれど、ある日師匠が独演会でやったのを客席で聴いて・・・」
煎茶を一口、息を軽く吸った兄さんが言った。
「あまりに素晴らしくて、震えて、それで師匠に弟子入りしようと思ったんだ」
「良いですねえ」
そこにドンと大きなパフェが置かれる。
アレ、何だこの密集感は!
私は小食なんだぞ。
頼んだのは気まぐれパフェ。
気まぐれで大盛りにしたのか・・・!?
キャンセルするわけにはいかないし、兄さんは芋羊羹を頼んでしまっている。
どうするどうする!
義太夫節の掛け声にどうする連ってあったな。
そんな事はこの場ではどうでも良い!
ど、どうしよう・・・。
「教わりに行く前に、師匠を怒らせてどうするんだよ俺・・・」
兄さん、まだ悩んでる。
私も、コイツをどうしようか悩んでる。
#舞波千景
#講談
#落語
#イラスト
玉本秋人
寛永三馬術〜出世の春駒(しゅっせのはるこま)〜
この後、将軍家光公にこっぴどく怒られて、男は伝説になったそうな。
#講談
#寛永三馬術
#曲垣平九郎
#イラスト
玉本秋人
旅立ち〜グッドラック☆平九郎〜
有料記事
「寛永三馬術」収録イラスト。
https://note.com/tamamotoakito/n/n110eb760d4ed
(全文無料公開に変更致しました。)
#イラスト
#講談
#寛永三馬術
玉本秋人
決意の平九郎!〜明日から家なし〜
有料記事「寛永三馬術」収録イラスト。
https://note.com/tamamotoakito/n/n110eb760d4ed
(全文無料公開に変更致しました。)
#イラスト
#講談
#寛永三馬術
#曲垣平九郎
#度々平
玉本秋人
上野辻講釈〜雪ぼたん〜
辻講釈の合間に上野東照宮、
入り口横の牡丹園に。
八千代椿。
葉牡丹。
聖代。
篝火花。
花王。
島錦。
などなど、今がまさに見頃である。
そう言えば、去年は上野東照宮入り口にコーンがあったが、工事は終わったようだ。
五重塔では作業服のお兄さん達が忙しなく動いていた。
入り口の工事は何だったのか。
あるといえば、石階段。
割れた石階段、
「都合の悪い割れ方」だったのを
「都合の良い割れ方」に直したのだろうか。
うん、まくらには・・・やめておこう。
ヒラヒラ、雪が振り始める。
ヒラヒラと、雪振り始める。
ふと頭によぎった一文がある。
好雪片片別処に落ちず
(こうせつへんぺんべっしょにおちず)
署長は今 どちらに落ち着かれているでしょうか。
〜山本周五郎「寝ぼけ署長」より〜
舞台は上野ではないが、
雪の含んだ禅語(ぜんご)では、
小説「寝ぼけ署長」のラスト、
「私」のこの言葉が好きである。
空から降る雪のひとひらは、
一見何の意味もなく落ちているのではなく、朝になればその地は平らに、まんべんなく降り積もっている。
不規則に変化しつつも、実は規則性を持っているという。
雪も、人も。
私はこれからの人生、どこに向かい何のために生きていくのか。
迷いなく講談と言い切れるが、ふと自らを見つめ直すのは不安だからなのか。
不安という事を認めたとして、その不安を感じてどうしたいのか。
無駄だと思う先に何かあって、今私はある種の心の探求を図っているつもりなのか。
行き着く果ては恐怖だろうか。
そこまで考えてしまうのはただの言葉遊びで、
実は人生なんてこの雪のように落ち着く先に落ち着くと思っているのだろうか。
これくらいにしておこう。
牡丹園の通り道の間に間に、立て札があるかすれた字で何か句が書かれてある。
調べればわかるのかもしれないが、人の言葉が形を成し、時を経てもこうして残るというのは、言葉を仕事にする者としては一つの自信がある。
実は最近書かれたもので、「昔っぽい字」にしてあるだけだったら、今こうして思っている事は全てに無駄になるが・・・。
こんな事を考えるのも、夜に上野で独演会を控えるからである。
そうかそうか。
今日のお客はどんな人達だろう。
今日の体調はすこぶる良いが、だからこそ油断をしてはならない。
その場で思いついた面白いをただ出して、話を壊さないようにしなくては。
今日話すつもりの忠臣蔵。
「卍巴(まんじどもえ)と降る雪の・・・」
と始まる、雪の降る日の赤穂義士のお話。
不安というほどでもないが、こうして色々と考えていたのも高座が控えていたから。
ただそれだけなのかもしれない。
様々な気持ちを抱えつつも、高座に上がれば全ては目の前の人達に芸を披露するだけである。
やはりこの雪のように、私の身も心も落ち着く所に落ち着くのだろう。
出口には黄色いミツマタが匂いを放つ。
後ろ髪を引かれるような、少し名残惜しい思いである。
(舞波千景 2/10上野牡丹園での雑感)
#舞波千景
#講談
#山本周五郎
#寝ぼけ署長
#イラスト
#drawing
玉本秋人
神田松之丞
山藤章二さんの描かれた談志さんの絵が好きでね。
松之丞さんも談志さんが好きなんで、思い切り意識して描いてみた。
まあ・・・こんなもんさ。
一朝一夕で真似できるもんじゃないな。
今日と明日、東京2days。
まずは今日、講談の日。
#講談
#六代目神田伯山
#YouTubeデビュー
#イラスト
#drawing
#芸術同盟
玉本秋人
筑紫市兵衛(つくしいちべえ)
「三馬術」に数えられる、江戸時代に活躍した天才馬術家の一人。
曲垣平九郎、向井蔵人とはライバル関係にあたり、「出世の春駒」では馬術競べをした。
舞波千景の寛永三馬術では、平九郎と度々平の出会いの場面が読まれたため、市兵衛は名前だけの紹介に留まるが、講談「孝行市助」では主人公として登場し、母親想いの好人物で描かれる。
「襲われているだと?戯言を申すな。
愛馬に肩を揉ませてやっているのだ」
#講談
#寛永三馬術
#drawing
玉本秋人
度々平(どどへい)
#講談
#寛永三馬術
#向井蔵人
#drawing
馬術家曲垣平九郎の家に、突如世話役として雇って欲しいと現れた自称百姓の倅。
その正体は、平九郎と同じ「三馬術」に数えられる天才馬術家の一人、
「向井蔵人(むかいくろんど)」。
曲垣流の馬術の秘伝書を盗むため、身分を偽って屋敷に住み込んだのだが、ある事件により身柄引き渡しになるところを、自らの地位と家を引き換えに度々平を助けた平九郎の懐の深さに惚れ込み、生涯の家来になる事を固く誓う。
平九郎以上に資料が少なく、顔を描いた絵も見つからなかったので、多分こんな顔だろうと思って描いた。
「曲垣のダンナは馬肉は食べません。
ただ、悪者に羽交い締めされて食わされたら致し方ないといつも言ってます」
玉本秋人
曲垣平九郎盛澄(まがきへいくろうもりすみ)
江戸時代に活躍した、
「三馬術」に数えられる天才馬術家の一人。
春の芝愛宕山にて、時の将軍家光公に山上の梅花を採って参れと言われ、愛宕神社名物の八十六の石段を、愛馬に乗って軽やかに上り下り、日本一の馬術の名手としてその名を轟かせた。
実在した人物には違いないのだが、生没年不詳と謎に包まれている部分も多く、どんな性格の人物だったかは資料によって違う。
と言うわけで、こんな言動のキャラクターにしてみた。
↓
「馬は友達、そんなに怖くないっ!」
#寛永三馬術
#講談
#イラスト
#曲垣平八郎
玉本秋人
2
寛永三馬術(かんえいさんばじゅつ)
寛永の三馬術。
つまり、三人の馬術の名手の物語でございます。
#舞波千景
#講談
#曲垣平九郎
#度々平
#筑紫市兵衛
#illustration
noteにて有料記事を公開。
既出の寛永三馬術のイラストに加えて、
・決意の平九郎!〜明日から家なし〜
・旅立ち〜グッドラック平九郎〜
の2枚を購入者限定イラストという形で収録しています。
https://note.com/tamamotoakito/n/n110eb760d4ed
「今度は"ふるからあ"で会おうぞ!
曲垣とみんなの約束ぅーーー↑↑」
玉本秋人
まくら⑥(銀座お好み焼き屋 八八八八ッ八八〜(ぱぱやぱっぱぱ〜)にて)
#舞波千景
#講談
たった今思い出したのですが、ココ銀座のお話。
夏のある日に、2丁目駅の近くに非常に大勢の人の列ができていましてね。
後で調べましたら、加藤純一美術館なる"ゆ〜ちゅ〜ばあ"という職業の方が、あすこでご自分をテーマにした美術展を開かれたそうで。
インターネットなるものには疎いのですが、大変に影響力のある方なんですね。
"いんふるえんさあ"とも言うらしいですよ。
インフルエンザではありません。
恐らく、ここにおわす皆様が一瞬!頭によぎられたと思いますが。
一瞬、よぎりましたでしょう?
一瞬!
・・・それは置いておいて。
(パンパンッ)
講釈師個人の催し物と言えば、やはり独演会でございます。
銀座ではまだないのですが、浅草や上野では何度か開かせて頂いた事がございます。
寄席とは違い、お客様は自分だけを聴きに来られますので、毎回大変な緊張感に包まれます。
それが時に心地よいなとも思ったりするのですけれども。
パンフレットやポスターが刷り上がって、見せて頂きながら髪が跳ね上がっていないかな?着崩していないかな?などと確認をしましたり。
・・・跳ね上がっていたらそれはそれで面白いな、とか思ったり。
当日までに一つ一つそういった準備を致しまして、上野講釈亭の方で独演会を開きました。
講釈亭、我々芸人の控え室にモニターがありましてね。
あまり大きいヤツではないのですが、それを観ながら客席の空気を我々はいつも感じ取ります。
まくらはどうしようか?若いお客様が多いみたいだから午前中に食べた『うさぎや(上野にある人気カフェ)』のパフェの話でもしようか?などと話す内容を考えたりするんですね。
ちなみに銀座でしたら『ぶどうの木』ですね。
私は講釈師、ただ今皆様に美味しいパフェが食べられる店をお教えしております。
・・・お好み焼き屋の中で。
こちらもデザートにチョコレートパフェがありますから後で頂くとしましょう。
そんな事をアレコレと考えながらあの日も着替えておりましてね。
髪を結い、袴なんかも履きまして。
袴は普段私は履かないのですが、あの日『蜀山人(しょくさんじん)』という話を読むにあたって男性を演じる際に良いかなと考えましてね。
そうして控え室でいそいそ準備をしていた際、モニターの奥が騒がしい。
前座が2人ほど、困りましたと言いながら四苦八苦している姿が写りまして。
辺りをキョロキョロと。
何か問題が起こったようで、後援会のスタッフ達や上野講釈亭の席亭と、わぁわぁお話をしておりました。
幕が開くまでお客様の前には出ない腹積もりだったのですが、これは会を開いた張本人の私が処理をしなければいけないなと思い、袴姿でしたが出ていきました。
前座2人に聞かれましてね。
「馬はどこに停めれば良いでしょうか?」
と。
馬ですよ、馬、お馬さん。
ポルシェやランボルギーニの事ではありませんよ?
馬でいらしたお客様がいまして。
極めて珍しい、馬通勤をされている方が私の独演会にいらしましてね。
サラリーマンの方なのですが、馬への愛が高じて電車通勤をやめて馬で出社されているという物凄い方でした。
馬で上野駅周りを闊歩、馬ですからカッポカッポと信号を渡ってきたわけであります。
しかし私は、プロの講釈師。
想定外の事が起きても、知恵と閃きによって困難を打開しなくてはこの職業は務まりません。
私は以前テレビで得た知識として、馬は道路交通法上、「軽車両」になるという事を把握しておりました!
「駐輪場に案内なさい!」
すぐさま前座にそう言い放ち、ズバッ!と指示をしたので!
その瞬間は大変に"すたいりっしゅ"な講釈師だったと思います!
「あ、そうだな」と、席亭さんが何とも思ってなさそうだった事が私の心にちょっぴりと傷をつけましたが、私はそれでも表情を崩さずに気丈に振る舞い続けました。
騎乗ではありませんよ、気丈ですよ。
ちなみに机上にはどうでも良い事をやたら大袈裟にしてまくしたてている講釈師の私が手を置いております。
もちろん馬を飼っている以上、そのお客様も馬が自転車と同じ軽車両扱いになるという事を知っていたのですが、知らなかった前座が慌てふためいていて、それが大きな騒ぎに発展していたという事でした。
そんなわけでございまして、無事に駐輪場にお馬さんを待機させ、我々はその日独演会をつつがなく務める事ができたのでございます。
(パンパンッ)
さて、大変にまくらが長くなりましたが、
(パンパンッ)
これから皆様の前で一席読ませて頂きます。
(パン!)
そのサラリーマンの方、動物園に遊びに行ってきますと、馬に乗りながら器用に上野西郷像へと続く石段を登っていかれました!
やっぱり物凄い方でしたね。
それがあまりに衝撃的だったため、お名前を伺うのを忘れてしまったのですが、もしかしたらこの人の生まれ変わりだったのかもしれません。
馬れ変わり・・・ちょっと前の紅ー生姜といい、今日の私のダジャレは冴え渡っておりますね。
・・・反応が芳しくないのはご愛嬌。
講釈好きの方にはお馴染み、
『寛永三馬術』(かんえいさんばじゅつ)
というお話でございます。
(パンッ)
まくら 〜了〜
講談『寛永三馬術』に続く。
玉本秋人
3
年賀状2020
#年賀状
#謹賀新年
#講談
#舞波千景
本年もよろしくお願い致します。
玉本秋人
辻三太講釈(つじさんたこうしゃく)
#舞波千景
#講談
#クリスマス
#三太九郎
きよしこの夜に、節談説教(ふしだんせっきょう)を敢行す。
玉本秋人
まくら④(銀座お好み焼き屋八八八八ッ八八〜(ぱぱやぱっぱぱ〜)にて)
#舞波千景
#講談
#秋ナスは姫に食わすナス
ところで皆様は寄席に行かれた事はございますか?
我々講談師に落語家、漫才やコントに浪曲、さらには手品などが一度に観られる素敵な場所でございます。
一度にと言っても皆で一斉にやるわけではありませんよ?
横に並べて一斉に芸を披露したら、誰が一番印象に残るんでしょうかね。
開口一番に鳩を飛ばせば手品師が最強のような気がします。
講釈師も張り扇でスパーンと叩けば注目されると思いますが、その後はどうしましょうかね・・・。
寄席はおおよそ演者の時間配分というものが決まっていまして。
芸人、話を途中で終わらせる切れ場というものがございます。
噺を終わらせる際の決まり文句、例えば落語の方では、
「お後がよろしいようで」
実は「お後がよろしいようで」は、寄席演芸場が有に100を超えていた明治時代の言葉でして。
馬車などが現役のバリバリだった時代ですから、あちらこちらの演芸場に引っ張りだこの真打ちが到着をする際の時間計算をするのが非常に難しかったんですね。
真打ちが来るまでの間、前座が噺を引っ張って時間を稼ぎ、到着した頃を見計らって言う言葉で、今ではほとんど使われなかったりします。
今のは落語家さんの話。
講釈師さん・・・フフフ。
失礼しました、講釈師の場合は、
「本日は読み終わりとさせて頂きます」と言います。
元々釈台の前に本を置いて喋っていた芸能ですから。
開いていた本を閉じるという事で、
"読み終わり"。
人によっては、
「失礼つかまつります!」
とカッコ良くおっしゃる方もいたりしますね。
鶴々(つるつる)師匠がそうですね。
昭和を生きた名人のレコードでは結構良く聞いたりしますが、こちらのセリフはまだまだ現役だったりします。
私もこの場をお借りしてキャラクターを変えてみましょうかね。
皆様から尊敬の眼差しを獲得する、
"すたいりっしゅ"な講釈師になりたいなと思いまして。
お好み焼き屋の場を借りず、寄席でやれよと言われそうですが、「御免(ごめん)」なんか最後につけるともっと良いかもしれませんね。
(パンッ!パパンッ!)
「そこを離せ〜!」
袖振り払った安兵衛がっ!
(パンパパンパン)
千里一時虎の子走り、
バラバラバラバラっ!
駆けつけてくる高田馬場!
此方の方より上方から戻りし者に聞くと、
浪人一味戻りしという、
怒りを発した安兵衛がっ!
(パン!)
高田馬場十八番切りに及ぶという!
(パン!)
これからが面白いのですが〜!
(パンパンパン!パパンパン!)
これにて失礼つかまつる、御免!
(パン)
実はこちら!(パンパン)
この間(パン)
小学校でやりましたら〜
(パンパパンパンパンパンパ〜ン!)
「お姉さん、何で怒ってるのに謝ってるの?」
と言われました。
(パン)
玉本秋人
まくら③(銀座お好み焼き屋八八八八ッ八八〜(ぱぱやばっぱぱ〜)にて)
#舞波千景
#講談
お好み焼き屋にも様々なお客さんがいらっしゃいますね。
私のように食べる専門という人もいれば、作るのが好き、ソレを人に食べてもらうのが好きという方もいらっしゃいます。
日頃から親しくさせて頂いてます方で、沢北龍子(さわきたりゅうこ)さんと言う同級生がいまして。
同じ野球部に所属していて、練習の終わりに
「アンタに江戸っ子のお好み焼き、食べさせてあげる!」
と言って2人で広島風のお好み焼き屋にやって参りました。
どうも、あくせくヘラをかき回すせっかちなところを「江戸っ子だね」と近所のオジサンに言われたのをきっかけに、自らの長所なんだと置き換える事に、幼少の頃の龍子さんは成功なさったそうで。
とても丸い形をなしていない「ソレ」を、汗水垂らしながら笑顔で「どうぞ」とワタクシに薦めてきたのでございます。
ソレは何でしょうか。
喉まで出かかりましたが、せっかく作っていただいたので控えました。
最近映画も公開されましたので、
「イット〜ソレが美味しそうに見えたら終わり〜」とでもコッソリココで申し上げておきます。
・・・美味しいんですよね、イット。
お好み焼きの形をまるで成していなくとも火も通っていますから、食べるのには何も問題がないので、お箸でつまむもんじゃ焼きの要領でございます。
切り分けは調理の最中にヘラで賽の目ナマス千六本と、すでになされていると思う事ができれば、パクパクとイケるのでございます。
私が食べていると龍子さん、自分のお皿にはほとんど手をつけずにとても嬉しそうな顔をしているんですね。
わんぱく小僧がメシを沢山食べてる様を見守る肝っ玉母さんのような笑顔で。
野球部の練習試合でも自分が好成績をおさめるよりも我々が活躍する事の方が嬉しいそうで。
練習で上手くいかなかったプレーが試合でできたりなんかすると手が真っ赤になるほど叩いて喜んだりする方です。
ところで今思いついた洒落があります。
一つずつお好み焼きを食べる。
"ONEパク"
入りませんか、ツボに。
そちらの女性のお客様、まあまあ。
店主がいるのにまあまあと言ってはいけませんよ。
さては勝手知ったる常連さんですね?
初めてきた、ははあ、なるほど。
そちらのおば様、髪の色が朱に染まっておりますが、失礼ですがペニーワイズというピエロはご存知でしょうか?
ペニーじゃなく、紅ー生姜を食べている。
ははあ、なるほど〜。
次にいきたいと思います。(パンッ)
玉本秋人
まくら②(銀座お好み焼き屋 八八八八ッ八八〜(ぱぱやぱっぱぱ〜)にて)
#舞波千景
#講談
午後6時を回りまして、お店の隅をお借りして失礼致します。
労働基準法では未成年は午後10時まで。つまり後4時間は皆様の前で喋る事ができるわけなのですが。まあ、そこまで長くはいませんが・・・あ、私ではなく皆様の方がですよ。今から4時間お好み焼きを食べ続けるのもなかなか大変でしょうから、皆様がそろそろ帰ろうかなという頃に私の話も終わって、御一緒に暖簾をくぐって、
「じゃあ」「今度は奢るよ」
というささやかなお付き合いができれば。あ、奢るよというセリフは皆様のものですよ?
え〜、辻講釈と言いまして。
外で道行く人達に講釈を少々ね、語っていた際にこのお店の中から漂う特製ソースの香りに心躍らせ、思わずこちらで店主の方に講釈をやらせてくれないかとお願いしたものですから。いわゆるアポなしでございますね。
一つだけ申しあげたいのは、決して私はお好み焼きを食べにココに来たのではございません。
講釈を演るためにここにいます。私は皆様に講釈を聞いて楽しい気持ちになって欲しいのです。楽しんで頂きながら伝統芸能を語る者の一人として、古き良き日本の話芸の素晴らしさを伝える。その気持ちには一点の曇りもございません。
・・・ところで辻講釈というのはおひねりをもらうものでしてね。
と言ったら諸先輩方に怒られるのでココだけの話にして、決してSNSでは拡散しないで、あっでも手段問わずに名が売れれば、フテぇヤツでも聴きに来る人が増えて釈界の繁栄に繋がるかなと思ったりなんかして。
そんな葛藤を抱えながらお願い致しまして、時間を1時間も頂きました。飯が不味くなるネタ以外だったら喋って良いと言う条件付きで。
私の持ちネタの9割が使えないという、アントニオ猪木がモハメド・アリと闘った際にプロレス技を使うなと向こうから突きつけられた条件のように厳しい状況でございます。
店主の方がパンチパーマのせいもあってか、まるでアリのように見えてまいりました。
闘いの後に和解をできれば、お好み焼きを頂けるでしょう!
それを信じて、私は皆様の前で渾身の力で喋るのでございます。
玉本秋人
まくら(銀座お好み焼き屋 八八八八ッ八八〜(ぱぱやぱっぱぱ〜)にて)
#舞波千景
#講談
#秋ナスは姫に食わすナス
「どっひゃ〜、特製ソースの良い香り!」
玉本秋人
『蜀山人』
#舞波千景
#講談
#イラスト
#drawing
「つ離れ」という言葉がありまして。
1つ、2つ、3つと数えて、つで数えられるのは9つ、10から10人と。お客様が沢山いらした時に使う言葉でございます。
前座がコッソリと舞台端、袖(そで)からお客の数を数える際に、
「師匠!早くも、つ離れしました!」
なんて言ったりしますね。
つ離れができない日は「どうも」と落ち込みたくもなりますけれど、却って人が少ない時には、いつも以上のモノを見せよう、意気込んだりなんてする。
「近き者説び(よろこび)、遠き者来る」
と言いますから。
目の前のお客が、次にいらした時に別のお客を連れてくる。
それを知っていたせいか、師匠に対して
「力の見せどころですね!」
と言って叱られた前座がかつていましてね・・・。
わたくしです。
(パンパンッ)
とんちの名人といえば三人。
一休宗純(いっきゅうそうじゅん)、曽呂利新左衛門(そろりしんざえもん)、そして本日読みます蜀山人。
一休宗純は、
「正月は 冥土の旅の一里塚
目出度くもあり 目出度くもなし」
と詠んだ句があります。
割とひねくれた人で、正月なんかメデタくない!と、言ってしまうような方。
だから物事の見え方も他人とは違うのでしょうか。
曽呂利新左衛門は落語家の始祖と言われます。
初代は太閤秀吉の幇間(たいこ)持ち。
二世と書いてニセと読ます2代目は上方落語で一斉を風靡した方。
初代の辞世の句は、
「ご意向で 三千世界が手にいらば
極楽浄土を 我に賜る」
御人柄が現れておりますね。
江戸時代の末は、文化文政期の頃でございます。
近世文化が日の目を見、関東という新しい風土が生まれまして、それが中心地の江戸によって洗練されていった爛熟(らんじゅく)の時代。
果物も肉も、腐る寸前が一番美味いとされる。
姓は大田、名は直次郎。号を南畝(なんぽ)と言いまして、寛延は2年の、3月3日、桃の節句に御徒町の役人の元に生まれました大変目出度きお方。
いくつもの名前を持ちます方で、杏花園(きょうかえん)、巴人亭(はじんてい)、四方赤良(よものあから)、四方山人(よもさんじん)などなど。
19の頃に、寝惚先生と名乗り義文を出してその界隈で名を馳せていましたという事で。
天才は若いうちから頭角を現すものなんですね。歳をとって天才というのは、確かにあまり聞きません。
川端康成は「伊豆の踊子」を23、山本周五郎は17で小説を発表しております。
寝惚と聞くと、山本周五郎の寝ぼけ署長を思い出しますが、頭の切れる方は、普段はみんなああして眠たそうにしているものなのでしょうか。人物画の蜀山人もまるで寝起きのような表情をしております。
(パンパンッ)
世の中に蚊ほどうるさきものはなし
ぶんぶ(文武)といひて夜もねられず
これも夜寝られない時に考えたような気が致しますね。その勢いで田沼藩に捕らえられるという、おちおち寝言も言えない時代。
(パンッ)
蜀山人という名は、師匠平賀源内が風雷山人と名乗っていたので、四方山人(よもさんじん)。
そこにある時、中国、昔は唐(から)と言いまして、そちらの役人に
「唐人へ ここまでこいよ 天野原 三国一の富士が見たくば」
と、手紙を書きましたら、礼状の宛名に「蜀山人(しょくさんじん)」
と書いてあったのが由来とされております。
縦書きの四方山人の四方の字が、「蜀」に見えたので「蜀山人」と名乗りなさいとしてあり、こりゃ面白いと雅号に用いたのが始まりとされております。「明治のおもかげ」を書きました鶯亭金升(おうていきんしょう)も、「おうて いきんしゃい」から、ニ葉亭四迷(ふたばていしめい)も、「くたばってしまい」から来ましたしね。名前の由来を辿ると意外な成り立ちに出会えます。
(パンパンッ)
豪気な方で、当時の文句は
春のに、
澄さんも 富士のつく間も一同に
どっととわろう
春の一国を
千金ずつに締め上げて六万両の春の曙
夏のに、
いかほどに 堪えてみてもホトトギス 鳴かねばならぬ村雨の空
秋のに、
もみじ咲く 菊やススキの本舞台
まずは今日のこれ切りの秋
冬のに、
雪降れば 炬燵やぐらに閉じこもり
打って出べき勢いは無し
紀州の殿様に呼ばれ、歌に五色を入れ詠めと言われ、
色白く 羽織は黒く裏赤く
ご紋は葵(青)紀伊(黄)の殿様
借りて着(黄)る 羽織は黒し裏白し
ここは赤坂行は青山
を詠んだ。
蜀山人先生、お酒が好きな方で家来はいつも大変な目にあっていましたそうで。
ある夜、履き物を履こうとしたら、
その上に短冊が置いてあった。
いつ来ても 夜ふけてよもの長話
あからさまには申されもせず
本郷に差し掛かって来ますと、加賀様水戸様のご家来がいまして、
小石川 本郷を指して鳩が二羽
ミトッポにカナッポ
武士が蜀山人先生とぶつかった。足がもつれた蜀山人先生、水溜まりに飛び込みそのまま寝込んでしまった。
家来が慌てて屋敷に連れ戻し、先生に禁酒の願いを持ち出しますと、先生は紙に、
黒金の門よりカタキ我が禁酒
ならば手柄に破れ朝比奈
(朝比奈三郎の門破りのもじり)
としたためて神棚へと上げます。
そこに馴染みの魚屋さんが鰹はどうですかと来ましたが、禁酒宣言をした先生、鰹だけ食べても美味くないからと断った。
しかし、魚屋さんに「酒が飲めて人生ですよ」と言われ、先生あっさり禁酒をやめてまた飲み始めた。
鎌倉の海より捕れし初鰹 みな武蔵野の腹に入れ
家来が来て先生約束したじゃありませんかと言われますと、神棚に上げた誓いの紙は書き直されておりました。
家来が読み直しますと
我が禁酒 破れ衣になりにけり
やれツイでくれサシてくれ
こういった具合で例外を沢山作りまして、春は桜、夏は星、秋は満月紅葉、冬は雪を肴に酒を飲む。
友がいればいつもより飲み、二日酔いの時も調子を整えばと長薬代わりに飲む。
生憎わたくしは未成年ですが、酒はそこまで飲みたくなるものなのでしょうか?以前タバコをお吸いになる寄席の案内の方に「タバコってそんなに良いものなのですか?」とお聞きしたら、
「良いかというより、吸わないと落ち着かないんだ」
と返された事があります。
お酒も同じような気がしますけどねえ、講釈を演るにあたり、やはり成人したら芸の勉強のために飲むつもりですが、良く聞くあの言葉。
「酒は飲んでも飲まれるな」
蜀山人先生の生き様を、反面教師とする事で次にいきたいと思います。
(パンパンッ)
今例に出しましたが、蜀山人先生、煙草も同じでやめられない。
煙草の火玉、当時は煙管(きせる)でこざいますから夢で火玉が襲ってきたので先生逃げます。かろうじて逃げたらそこは鉄火場で、ここで一服。その火玉がまた襲って自業自得。なんて夢を見たとか見ないとか。
(パンパンッ)
博打も大好き。
しかし自戒の念がありました蜀山人先生、もう博打は止めようと、愛用のサイコロを橋の上から捨てました。
どんな目が出たのだろうと橋からのぞきこむ始末。何もやめられておりません。
(パンパンッ)
旅が大好きです蜀山人先生。
俳句の名人、松尾芭蕉が芭蕉と知らず、爺さん何か詠んでみろと、訪れた農村でゴザを敷いた村人達に無理難題をふっかけられた事がございました。
ムッとした芭蕉さんが
「三日月の・・・」と書いた。
その時は満月の晩。そんなときに三日月とは何だよ!と笑われておりましたら、その後に、
三日月の 頃より待つ 今宵かな
と詠んで、村人達を黙らせたという話がございます。
近江八景に来たときに蜀山人先生も、籠屋に近江八景をお題にして、全ての場所を詠んだらただで乗せてやると言われました。芭蕉さんと同じ無理難題、無茶ぶりというヤツです。そしてムッとしたというところも同じでございます。
そりゃあ、詠むのはタダですが大変なんですよ?
わたくしも講釈を読んでおりますが、知り合いに読売ジャイアンツの坂本勇人選手が大好きな子がいましてね・・・。
坂本選手と自分の馴れ初めを講釈にしてと頼まれまして。
断っておきますが、その子は坂本選手とは知り合いでもなんでもなく、観客席でただ見ていて応援をした事しかない、ただのフアンでございます。
しかしつぶらな瞳で、
「お願い!舞波さん♥」
彼女もわたくしを舞波さんと呼びます。屋号(亭号)だからやめてって。
(パンッ)
そこをなんとか、「to be or not to be 」
ハムレットの独白みたいにしたりなんかして。
「いったいどうしたらよいのか?」
坂本選手とお近づきになるには。
「問題はそこだ、荒れ狂う運命の矢先を
心で受けて耐え忍ぶのがよいのか」
会いたくても遠くで見つめるしかできない乙女心を、こう表しましてね。
「それとも敢然と立ち上がり寄せ来る苦難を跳ね除けて終わらせるべきなのか?」
史上初の読売ジャイアンツ女性選手を目指す彼女の戦いが始まったとか、ストーリー仕立てにしてみましたり、
「死ぬことは眠ることそれ以上ではない 眠ってしまえば心の痛みも肉体に付きまとう苦しみも終わらせることができる
これこそ願ってもないことではないか」
その切り口から始めてみたけど、ネタに困って行き詰まる。
とりあえず寝て明日また考えよう。
それを繰り返して、現在でございます。
嗚呼っ!
(パンパン!)
ムッとした蜀山人先生ですが、次の瞬間!
乗せたから 先はあわづかタダの駕籠
ひら石山や はしらせてみい
瀬田、唐崎、粟津、堅田、比良、石山、矢橋、三井
近江八景全てが入ってぇおります。
どうだい!
わたくしがエバる事ではないんですが・・・。
籠で雑談しておりますと、蜀山人先生、煙草が吞みたくなります。
火を借りようとしたら、狂歌を詠んでくれたらと・・・。
入相(いりあい)の
鐘の合図に撞きだせば いずくの里も日(火)はくるるなり。
入相とは日没、夕暮れに鳴らす鐘でございます。籠の中ですから火玉が追いかけて来たら逃げられませんが、外に出した火玉が追いかけてきたら、籠かきの足と火玉、どっちが速いのでしょう。
火玉に足はありませんから、これは文字通り蛇足ということで、場面転換。
(パンパンッ)
京の三条大橋に来てみれば、さぞ立派だと思っていたのだろうが、穴が開いて継ぎ接ぎだらけ。
しかし蜀山人先生、橋を見てすぐさま思いつきましたのが
来てみれば 流石都は歌所(うたどころ)
橋の上にも色紙短冊
わたくし、蜀山人先生の歌でこれが一番好きでございます。
口幅ったいですが、『粋(すい)』でございますね。
文政の6年頃、身体が弱ってきた蜀山人先生。
病床に伏せる日々が続いておりまして、いよいよもってという時に詠んだのが、
冥途から 今にも使いが来たりなば
九十九までは 留守とことわれ
この世に未練タラタラでございます。
もっと狂歌を詠みたかった。
もっと孫と遊びたかった。
もっと芝居を見たかった。
もっと旅をしたかった。
もっと花見をしたかった。
もっと酒が飲みたかった。
もっと煙草を、もっと博打を。
まだやり足りないのか・・・。
留守といわば またも迎えに来たならば
いっそイヤじゃと言い切ってやれ
最後まで洒落ておりました。
耳を傾けた家来に対して、最期に小さい声で、
時鳥(ほととぎす)
鳴きつるかたみ初鰹
春と夏との入相の鐘
江戸の利口者と言われました狂歌名人、大田蜀山人という方のお話し。
この辺で読み終わりでございます。
(パンッ)(了)
(上野講釈亭にて
出囃子 船漕ぎ娘)
玉本秋人
まくら⑤(上野講釈亭にて)
#イラスト
#オリジナル
#drawing
#舞波千景
#講談
#講釈
#尾仲愛
#矢車翔子
パンパンッ!(張り扇の音)
まず、翔子さんは現在「お嬢様キャラ」なるものに挑戦中です。
いいですね、わたくしもやはりこうした生業をしていますと、男女問わず様々な人物を演じますから、何かになりたいと言う気持ちは良くわかります。
尾仲愛さんは唐揚げが大好きな方でございます。
「3食唐揚げでも飽きないんですか?」
と、以前に聞いたら
「さすがにご飯とマヨネーズが欲しいよー」
と、こちらの予想を超える答えをお持ちになっておりました。
ちなみに「舞波さん」と、わたくしの事を呼びますが、舞波は屋号、お店の名前みたいなものなので、千景か舞波(屋の)千景と呼んでくださいと、これが一応の芸人のルールとなっております。
再三、愛さんにも言っているのですが、それでもついつい舞波さんと言ってしまう、おっちょこちょいさんでございます。
もう一つ、説明しなければならない事がありますが、それは一度置いておきます。
浅草駅に降りた時に、
「とりあえず唐揚げだね☆」
の愛さんの言葉、めぐみはあいと書きますので、詰めて「愛言葉」を号令に、唐揚げ屋かあ・・・と、2人を案内しようとしたら、翔子さんが
「アタシはスイーツが食べたいですわ」
と異を唱えました。実を言うと、わたくしも気分はスイーツでございまして、心は生クリームを渇望しておりました。
わたくしの顔が唐揚げの気分ではない、その事を、普段バッターの表情を間近でうかがう、キャッチャーというポジションを任されている愛さんですから、鋭く読み取ったのでしょう。
プクッ!と頬を、まるで木の実を口一杯含んだリスのように膨らましました。
愛さん、普段は優しくて控えめな子なのですが、唐揚げが絡むと人が変わります。
忘れもしません、次の一言。
「唐揚げ屋さんへの1歩を、今踏んだよね!?舞波さん!!」
表情だけでなく、運んだ1歩目の足の向きまで見逃さない愛さん。
踏んだのは事実でございました。しかし、それは唐揚げ屋に行こう!という愛さんの要求に対する条件反射のようなもので、もう一度申し上げますように、わたくしは心はクリーム塗れ。
つまり、パッフェなのでございます。
仕方がない、チームの輪を乱したらもうすぐ始まる地区予選に支障をきたすと思い、それでは唐揚げ屋さんに行こうとしました。
忘れもしません。次の一言も。
「心を偽るな!本音をさらけ出せ、舞波!」
実を言いますと、翔子さんもわたくしの事を舞波と呼ぶのでございます。
芸人のルールなのでやめてって。
しかし流石は翔子さんです。翔子さんはチームの一番バッターで足がとても速い人です。鮮やかにセンター前を放ち出塁しますと、盗塁で軽やかに2塁ベースを落としいれます。
盗塁を狙う時には、相手バッテリーの仕草、呼吸、クセ。そして心理を巧みに読み取らなければなりません。
その人物観察で研ぎ澄まされた鋭い視線が、わたくしの心を射抜いたのでございます。
と、勝手知ったる間柄ではありますが、友達に往来で自分の体の動きと心の動きを全て暴かれ、何だか恥ずかしくなってしまいました。
そこで、
「最初に唐揚げを食べて、デザートにスイーツを・・・重たいですか?重たいですよね?」
言いながら同意を求めるという複雑な心境でございます。
すると愛さんが、
「さっすがだね!舞波さん、機転が効くね!」
翔子さんも、
「さすが芸人だな、舞波!」
その後、愛さんはモジモジして、
「実は甘いモノも食べたかったんだけど、何だか言いづらくて・・・」
翔子さんの方も笑いながら、
「食べたいのは自分だけって思われるのって何かイヤだね!舞波が言ってくれて助かったよ!アタシも今日はガッツリって気分なんだ!みんな同じで良かったー!」
褒められた瞬間は嬉しかったのですが、最後にもう一つの説明をここで言わせて頂きます。
わたくし、少食です。
豆腐半丁の冷や奴と白飯で「今日はよく食べたな、寝れるかしら?」と思うのです。
対する二人は、非常にご健啖。とっても良く食べるのです。
結局、人気のお店で唐揚げ定食を食べ、その次にパッフェを喰らうというハシゴを強行する事に相成りました。
檳榔(びろう)な表現ですが、
「オエップ」という感じになりました。
その時の浅草での油とクリーム塗れの思い出を胸に、いや腹に、
明くる日、ついにココ上野に回ってきます。
上野はご存知、上野広小路亭に、ココ上野講釈亭、上野演芸場(上野寄席)など、我々芸人達がひしめき合う、大変に愉快な街でございます。かつては上野本牧亭という、講釈師達のメッカとも言える場所もございましたね。
辻講釈をやりに、上野恩賜公園に良く行きます。
6月4日から、もう過ぎてしまいましたが、不忍池に佇む弁天堂では毎年「法華教」を読みます。講釈の長編物みたいに数日かけて読むようですね。
上野周辺を散策がてら、写真を撮ったりなんかしてみたり、後は古地図のアプリで歩いたりなんかも最近はありまして、江戸時代を歩く気分を1人味わっております。
見ながら歩いていたら以前、側溝に落ちましてね。半身が藻だらけになりましたが、バンザイをしてスマホは濡らさないように努めました。師匠の家にある貴重な古地図を借りていたら破門になる所でしたね。
パンパンッ!
上野公園の葉桜。江戸時代は桜の名所でございましたそうで、
一めんの花は碁盤の
上野山 黒門前に
かかるしら雲
昭和13年、寛永寺総門の黒門跡にて建てられた建碑に歌一首。
本日お話しをする方は、この方でございます。
(まくら 了)
玉本秋人
まくら④(上野講釈亭にて)
#イラスト
#drawing
#オリジナル
#舞波千景
#講談
#講釈
#浅草名物絵葉書クイズおじさん
空板(からいた)という、講釈師ならではの言葉があります。
寄席小屋で、講釈師がお客様がまだいらしていない時間に、机を貼り扇で叩き、声を出したりする行為でございます。
野天での寄席場が盛んだった時代にやっていた事なのだそうで、ホール芸能が中心の今はあまり見られないでしょうね。
張り扇を叩く音や発声を聴いた外の人達が、「やってるね」と言って、寄席に入って来る。
朝の稽古と、催し物の宣伝をいっぺんにできる、一石二鳥というやつでございます。
両国から浅草、田原町から上野までの浅草通りは別名仏壇通り。
浅草寺と上野寛永寺、仏と仏を繋ぐという事で、仏像屋さんが軒を連ね、今に至るという事ですね。
店で扱う仏壇は主に北側。
直射日光があまりささない北向きにしていて、商品が傷まないようにという配慮、ビジネスというものでございます。
「最近不景気でねえ」
と丸眼鏡の主の方が言ってましたね。仕事柄、勉強のつもりで伺うのですが、知識欲は働くものの、確かに学校帰りの遊び場や小洒落たデートスポットにはあまり向かないでしょうね。
空板の話ではありませんが、
「木魚でも鳴らして御経でも唱えたらどうです」
と聞いたのですが、
「坊さん呼ぶ金はないし、適当に唱えて宗派の方を刺激したら面倒だ」
とすぐに切り替えされました。
何か良い方法はありませんかね?
中国では老子が向いた方角という事で西。
昔の地図では西の方角が上に配置されています。
だから将軍家の先、西の大阪から来たものは「くだりもの」といって質の良い上品なものとして重宝されたわけでございます。
逆が、日常でもよく使います「くだらない」と、毎日くだらないという人がどれくらいいるかわかりませんが・・・。
このあたりの話は、以前ジョイジョイカムカムホールで話しました、浅草名物絵葉書クイズおじさんが教えてくださりまして。
本名非公開の方なんですが、浅草だったらおじさんに任せてね!とそう言って胸をトンと叩いて咳き込みながらそう言っておりました・・・。
パンパンッ(張り扇の音)
雷門通り、あのあたりについても話しましょうか。
かつては「浅草広小路」と言いましたそうで、ジョイジョイカムカムホールで読みました『浅草風土記』の著者、久保田万太郎氏の生まれたところです。
両国、上野とかつて3つの広小路がありましたが、今あるのは駅名上野広小路のみでございます。
広小路は元々江戸時代、江戸の大半を焼いたという振り袖火事の影響でできたものです。
昔は木造長屋、町の構造上一度火がついたら隣の民家へ次々に燃え移ってしまいまして、建物を壊すしか対処がなかったそうですね。だから広い小路を作ったわけでございますね。
雷門通りには食べ物屋が沢山ありますので、野球部のチームメイトを誘って食べ歩きをした事があります。
中でも猛威をふるったのが、
矢車翔子(やぐるま しょうこ)さんと、尾仲愛(おなか めぐみ)さんの二人でございます。
「お嬢様っぽいものが食べたいですわ!」
「浅草で一番美味しい唐揚げを食べさせて、舞波さん!」
えー、説明しなければならない事が沢山ございます。
玉本秋人
まくら③(上野講釈亭にて)
この間ふらふらと東京散策をしておりました。
つらつらとまとまりなくも喋ってみましょうか。
両国から、浅草、そしてこの上野と、時間をかけて歩いてみれば、頭の中には聴いた俗謡が浮かびます。
夏の涼みは 両国の 出船 入船 やかた舟 あがる流星 星くだり 玉やがとりもつ 縁かいな
根岸の兼業家、徳永里朝(とくながりちょう)のこしらえた俗謡で、講釈小猿七之助(こざるしちのすけ)で使われるものですが、聴いているとフラッと江戸時代に行きたくなります。
両国国技館を望みまして裏手に江戸東京博物館もあります。
高校生で300円。一日かけても全部見れるかわからないほど中は広いので、前座の時分は暇つぶしと勉強という矛盾する行動をやっていました。
英語でオクシモロン(oxymoron)とか言うそうですね、こういうの。
ちなみに今わたくし、踊りと唄を少々習っております。
雅(みやび)先生と言う、わたくしとそんなに歳の変わらない方に、
「千景どの!基本的な事を申し上げます、人には手と足が2本ずつあるんですよ!」とか、
「講釈師をやめて、田んぼの案山子になるおつもりですか!?」
とかいつも言われますが、お偉いさんの道楽ではありませんので、弟子の方で師匠に文句を言うわけにはいきません。
いつか見てろよ、と稽古に励んでおります。てやんでばろちきしょー。
両国から浅草を徒歩で、昼の隅田川の屋形船を眺めながら反対のアサヒビールのモニュメントを欠かさずチェックし、浅草寺へ。わたくしの足で30分くらいでしょうかね。
途中やたら大きな荷物を担いだオジサンや、郵便物のオートバイ、昔で言う飛脚です。2、3時間ほど江戸東京博物館にいましたから頭の中が江戸時代に変わっておりますので、道行く人を脳内で勝手に江戸の登場人物にして楽しんでおります。
平日の屋形船も満席なんですとか。
夏の恒例花火大会の日の予約はもう瞬殺という勢いだったみたいですね。
以前に、頭取、海遊亭ほん鮪(かいゆうてい ほんまぐろ)が娘の葵さんのお誕生日会を屋形船で行ないましたので、他の落語家さんや講釈師、葵さんのお友達としてわたくしも乗せて頂いた事があります。
落語家や講釈師は贔屓にしていただいてる実業家や、会社の社長さんのお座敷で呼ばれたりしますが、ああいう風な感じなんでしょうかね。
プライベートタイム、報酬はお金ではなく、舟盛りに敷き詰められたお刺身を好きなだけ食べろという、大変に素晴らしい時間でこざいました。
タッパを忘れたのが心残りですと後で頭取に申し上げましたら、呆れた顔をされました。波の上の失敗り(しくじり)というタイトルでドラマ化でもされませんかね。
ビンから移し替えました、ガラスコップのウーロン茶の氷をガリガリかじっておりましたら、せっかくだから聴いてやる、何か読めと頭取に言われましたので、両国ではありませんが、屋形船繋がりで小猿七之助の話の中から、網打ちの七蔵を抜き読みしようとしたら、娘の誕生日にグロいところを読むなと頭取に大変叱られました。
悪ふざけで演ったわけではなく、船に乗りながら「これが風情と言うやつだ」と葉巻を楽しむ頭取の横でつまらなそうにしている葵さん、つまらなそうという言い方は、頭取に失礼ですから良くありませんね。
「現状を打破する刺激を求めている葵さん」に変更させていただきます。
その葵さんが隅田川の波を眺めながら、「つまらん、死体でも流れてないかなあ」
と物騒な事を言っていたので、その時ピーン!と、七之助が田島の幸吉を船から突き落として殺す場面が浮かび、その動機になった七之助の親、七蔵が幸吉の財布を盗む場面(七之助が七蔵の息子と知らない幸吉に舟の上でそれを明かされて、親の罪を隠そうと七之助は幸吉を殺す)、ここからやろうとしたのを、頭取に叱られたのでございます。
片付けを手伝いまして、誕生会終わりに帰ろうとしたところをビニール袋を持っている葵さんに呼び止められました。
キッと、鋭い眼差しで見ておられましたので、「あ、切られるな、目の前に川もあるから始末も楽だろう」と思ってましたところ、
「誕生会の余興だからやったんだな?小猿七之助は神田派の売り物なのは知ってるはずだ。高座にはかけるなよ」
とビニール袋をわたくしに差し出して、目を輝かせながら帰っていかれました。
ビニールの中にはタッパが入ってまして、中にはお刺身。
それも無造作に入れられたわけではなく、底に大根のツマを敷き詰め、大葉と、飲み物に使用する氷の上にお刺身が沢山乗せられておりました。
葵さんを慕ってるのは、こういう振る舞いをわたくしなんぞにもして下さるからでございます。
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玉本秋人
まくら②(上野講釈亭にて)
怒りの原因は「揚げ玉カレンダー」とかいうヤツでございます。口汚いですが、とかいうヤツと今は言わせてくださいね。
6月は梅干しの季節という事でスーパーで
しこたま小梅、それと切らしていたので塩を買おうとしたのでございます。
季節ですから店頭入り口付近にコーナーができてましてね。
しかし、果実酒のコーナーがメインだったためか、塩の袋は同じところに置いておらず、それなら調味料のところだと、私はカゴに梅がいっぱい入った袋を入れて駆け出し、いえ駆けるのは危ないので、いきなり目当ての梅が手に入った喜びで「駆け出しそうになる衝動を抑えながら」歩いたのでございます。わたくしは講釈師、描写は精緻(せいち)にお伝えします。
塩を目指しておりましたら、ふと「すまほ」の保護フィルムとやら買おうかと思ったのでございます。
以前携帯ショップで、機種変更という難儀な事をしまして、その時透明なシートで、「耐衝撃性」と書かれているやつを見かけて、いたく興味を惹かれました。
いいですよね、耐衝撃性という言葉。安心感の塊ですよと宣伝しているかのようなあの文字。
恐らくは無理だと思うんですが、マシンガンの射撃ですら跳ね返しそうな頼もしさを文字から感じます。
お値段は1000円、わたくしには大枚でございましたが、安心の価格と思えば安く感じるのでございます。
見つけてホクホク顔でカゴに入れ、今度こそ塩を目指した時に、カップ麺の食品棚の脇で「揚げ玉カレンダー」というのを見たのでございます。
方眼紙みたいな、なんだかよくわからない目盛りのような線が書かれた紙、そこにテープで揚げ玉の袋が規則的に上から貼り付いてまして、一個100円だよと、紙のトップに、名前もわからないけったいなキャラクターの絵があってこちらに向かって笑いかけているものですから、「ほほう?」と手を伸ばしたのでございます。
コレが片手では取れない。テープの力、粘着力というものが予想以上に強く、何クソ!と引っ張っても方眼紙のようなものが一緒にひっついてくる。
この時に状況判断を間違えたのがわたくしの不徳の致す所と言いますか、揚げ玉カレンダーを引っ張っている間、よりによって梅の袋が入ったカゴを左手にさげていたのでございます。
下に置けば良いのに、こんな小童ごとき片手で充分だ、そんな驕りがそのときのわたくしにあったのでしょう。
これでも高校では女子野球部のレギュラーでございますから、少し下半身と腰の回転を利かそうと思い、片手の指のうち親指と人差し指で、揚げ玉の袋をつまみ、残りの三本は方眼紙の方へ押し当てまして、よろしいですか?皆さま方。もう少しでオチですからね。
「お前を引き留める親に今生の別れは告げたか?」などと、頭の中で揚げ玉に言葉をかけたりなんかして、
それでクイっと反転しましたところ、
カゴを店員さんの腰にぶつけてしまったのでございます。
謝りました、謝りました。揚げ玉は、方眼紙にくっついたままでした。
失敗った(しくじった)事で頭の中が冷静になりまして、良く考えたら今日は揚げ玉を買いに来たわけではない。
揚げ玉めっ、そんなに方眼紙お母さんと一緒にいたいのか?この甘えん坊さんめ!
無理に引き離すのもなんだかこちらが悪人みたいで・・・とかなんとか、捨て台詞のようなものを呟きながらわたくしは家路に着いたのであります。
保護フィルムの機種を間違えました。
そして、塩を忘れました。
フィルムが大きすぎて、すまほに合わないは塩がないから梅干しが作れない。
さらにホントにないのかと、台所に向かった際に・・・。
足のスネをちゃぶ台にぶつける。コレがトドメでございます。
我を忘れたわたくしは、怒りに任せてゴミの箱にフィルムの空き箱を放り込んで、
「おのれ〜!揚げ玉カレンダー!」と声を上げ、一人途方に暮れたのでございます。
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#講談
#講釈
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玉本秋人
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