美しく溶ける初星学園を卒業して5年後、23歳となった月村手毬は夢を叶えてトップアイドルとなっていた
この日、アイドルいや音楽業界全体における大きなゴールとされているドームライブツアーの最終公演である東京ドームでのライブを終えて彼女は楽屋にいる
「お疲れ様です、月村さん」
私はそんな彼女のプロデューサーをしている
彼女が高等部1年の時に出会い、二人三脚で頑張ってきたのだ
そんな彼女はソファで休みながらお茶を飲んでいた
「……プロデューサーも座ってよ」
初めて会った時は可愛らしかった彼女も今では綺麗で美人な大人の女性だ
それに最初は私を信頼していなかった彼女も今では私なんかの事を尊敬してくれる
「お茶とお菓子持ってきたの、飲んでくれませんか」
「いいの?いただきます」
ストイックにお菓子を我慢していた彼女にとってそれは特上のご褒美だったのであろう、手毬は目を輝かせていた
彼女が美味しそうに食べている姿を見て私はニッコリとしてしまう
「プロデューサーも食べる?」
「大丈夫、これは手毬さんのた……すみません、下の名前で呼んでしまいました」
手毬は驚いた後、「別に下の名前で呼んでいいよ……す……だから」と言う
私は彼女がなんと言っていたのか聞き取れず「もう一度言っていただけますか」と言う
彼女は少し照れた顔で私の手を握ってきて、「プロデューサーの事が好きです……付き合って欲しい」と言う
驚いたものの、答えを言うのは彼女が大人になるまで待とうと思っていただけで好意を私も寄せていた
なので私は「ええ、こちらこそお付き合いよろしくお願いします」と言った矢先に彼女の様子がおかしくなる
手毬の身体が水気を帯びていったので汗をかいているのか、体調が悪いのかと顔を近づけると
「私、言ってなかったけど実は『アイス』体質で……」
私はネットで見た『アイス』と『ジュース』という都市伝説を思い出す
『アイス』という体質の人間と『ジュース』という体質の人間が両思いになると『アイス』の人間は死ぬ……という内容だ、私は恋愛をしたことが無かったから気づかなかったがどうやら『ジュース』の人間らしい
手毬の綺麗な顔や身体がドロドロと溶けていく
「アイドルとしてトップになれて、あなたと両思いと分かって、嬉しかった」
私は彼女の一言を聞き泣いてしまう
目の前には手毬がおらず美しい彼女を引き立たせていた衣装だけが残っていた
~完~