2月6日【2月6日】
放課後、妹のクラスに入り浸っていた。妹の前の席に座って、二人で話しながら一緒に絵を描く。妹はひとしきり落書きをしきったプリントを見せて、
これ、今日配られたばっかりなんだよね、と言った。帰ったら母に怒られるだろうなと苦笑した。
雑談している内に、あっという間に夕方になっていた。先生が来たけれど、気をつけて帰りなさいと言うだけで、叱られはしなかった。
ずっとこうであってほしかった。そんな気持ちがふわりと現れて、霧散した。
妹は別の友達と帰るらしい。下駄箱と妹と別れて一人で校門に向かうと、友人がこちらに手を振っていた。
ランドセルをガタガタと鳴らしながら駆け寄る。どうやら迎えに来てくれたらしい。
こんなこと、いつぶりだろう。浮き足立つ心のまま、手を繋いで歩いた。
日が落ちて、街頭が付き始めた。
いつの間にか視界が高くなって、ランドセルはリュックへと様変わりしていた。
魔法が解けたようだ。
「ありがとう」
繋いだままだった手を強く握ると、同じように握り返してくれた。
家の方角で星が瞬いていた。