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    Weight 自室のドアノブをひねり、ガチャリと音を立てて扉を開けばそこは紛れもない俺の部屋そのもの。俺だけに充てられた部屋は、ギターだったりフィギュアだったり、そういったもので埋まっていた。双子の兄と比べるとかなり物がある方だ。
     そんな俺の好きな物でいっぱいの俺だけの部屋に本来、誰かが入るなんて事あるはずがない。なにせ個人の部屋なのだから、むしろ誰かがいる事自体おかしな話だろう。
     だけど俺のベッドには誰かが寝転がっていた。当然のようにそこには人がいたのだ。
     普通に考えれば本来、異質とも言える事態が起こっている。警察へ通報しなきゃと慌てなければならない場面だろう。
     だけど俺はそんな状況でも慌てる事なく事態を受け入れていた。
     誰だろう、なんて思うことはなかった。むしろそれが当たり前だと思った。
     なにせ俺はたった一人、このプライベートな空間に我が物顔で入って居座る事を許している人物がいるのだから。
    「ヴァニタス、風呂開いたよー。」
     ベッドの上で足を伸ばし、うつ伏せになって携帯をいじっている彼は俺の双子の兄、ヴァニタスである。彼こそ俺が唯一、この部屋を勝手に入ることを許している人物である。
     俺とおんなじ顔をしているのに髪の色が漆黒、まるでお月様を溶かして煮詰めたかのような瞳に、そして無口な性格。人懐っこさはまるでない猫のような気質の男だ。
     前にまるでお前は犬みたいだな。と言われた俺とは正反対。似てるのは容姿だけ。そんな双子の兄であるヴァニタスは、俺にだけは懐いていた。懐いている、と表現してみたがヴァニタスのそれは懐いているで収めてもいい物だろうか。
    「なにしてるんだ?」
     声を掛けた俺をまるっきり無視をして尚のこと携帯をいじり続けるヴァニタスへと近づき、そして携帯を覗き込んだ。ヴァニタスはそれを隠す様子もなく、集中してるのかやっぱり携帯をいじり続けた。
    「……あ、これって。」
     携帯の画面にはキーボードとそれから俺とヴァニタスの写真。今日二人で撮った物だ。
     今日は夕日がとんでもなく綺麗だった。いつも見ているはずの景色。なのに、いつもよりも大きくて綺麗で。紅に金を混ぜた鮮烈な色彩は、目を焼いてしまうのではないかというほど。それがゆっくりと、地平線の先に沈んでいく姿がとても綺麗だった。
     だから俺は言ったんだ。ヴァニタスに写真一緒に撮ろうって。
     ヴァニタスはもちろん二つ返事でオッケーを出した。返事の代わりに自らの携帯取り出して、そしてカメラアプリを起動してくれた。
     そんな理由から撮った写真を今まさに、SNSに投稿しようとしているのだ。
     ハッシュタグに俺の名前とヴァニタスの名前。それから双子と、こんな日も悪くない。なんで自分の感想を織り交ぜて。
    「可愛い弟自慢。」
    「……お前、またブラコンだって言われるぞ。」
     うげぇ、と舌を出して俺はそれはそれは嫌そうな顔をする。そんな俺の様子を意に返す事なくヴァニタスは用はないと言わんばかりに携帯を放って、俺の方に顔を向けた。
     弟自慢が潔く終わり、もう眼中に無くなってしまった携帯は哀れな事に俺の枕の横に画面を伏せられたままだ。あぁ、可哀想に。
    なんて、心にも思ってないんだけどね。
    「別に他者からなんと言われようと構わない。」
    「俺が気にするんだよー。ヴァニタスからの愛が重いみたいだけど、ソラは大丈夫なのか?なんてロクサスやリクに言われるんだからな。」
    「はは、よく言う。」
     ヴァニタスは口元だけ笑った。そしてまるで俺らしくない笑い方のまま、ヴァニタスは俺に首を差し出す。
     ヴァニタスの首にはピッタリと首にくっつくようなチョーカーがされている。それ、苦しくないの?って思うくらい皮膚にピッタリとくっついているそれはヴァニタスの一番のお気に入りだ。
    「ソラ、取って。風呂入るから。」
     ずいっ、とさらに首を差し出さすヴァニタスはまるで警戒心もかけらもない。そんな姿に胸が張り裂けそうなほどに愛おしさを感じるのは果たしてこれが何回目だろう。
    「あぁもう!甘えたなお兄ちゃんだなぁ〜!」
     ヴァニタスの首に手を伸ばし、そして裏側へ。いつも通り金具と金具が合わさって、きっちりと止まっているそれはおれが指をかければ簡単に取れてしまう。
     カチリ、と特有の音を鳴らして合わさっていた物を解いて。そうすることで皮膚に密着していたチョーカーはするりと取れてしまう。
    「ほら、これはお前が俺に残したいって言った跡。首の後ろまでびっちり付いてんだぜ?」
     ヴァニタスの首にはびっちりと赤い跡が付けられていた。それも赤だけではなく紫の物まで。……あ、歯形ついてる。
     首と言っても、さっきまでチョーカーが付いていた所だけにそれは付けられている。だからだろうか、ぐるりと回って付けられているそれはまるで首輪のようだ。
     さて、ここまでくれば、あのチョーカーがどんな役割をしていたのか理解できるだろう。
     それを守って、隠して。ってお願いしたのは紛れもない俺からだ。ヴァニタスやっぱりそれも二つ返事で了承してくれた。
     そもそも大前提。この跡だって俺が付けたいって我儘を言ったのだ。
     俺はへらりと笑ってヴァニタスの喉仏を指でなぞる。そこに立って赤と紫の跡がびっちり。薄くなることはない。なにせ、毎日この首のどこかに俺は唇を添えているのだから。
    「ヴァニの弟だから。弟らしくお兄ちゃんに甘えたいんだよー。」
    「愛が重いんだよ。」
    「嫌だった?」
     首を傾げて笑ってみせればヴァニタスはそれだけでも上機嫌で笑って見せる。だけどやっぱり口元だけしか笑ってないや。
    「いいや、むしろ最高。」
     そう言って両腕を伸ばしてくれるヴァニタスに、俺は飛び込むようにして胸へと収まった。
     どしん、なんて大きな音が立ったけど聞こえない。ヴァニタスがぐえっ、なんて潰れた蛙のような声を出したような気がしたけど知らない。
    「ヴァニタス!愛してる!」
     俺にはもう、ヴァニタスの心臓の鼓動しか聞こえない。
    「俺も愛してる。」
     ヴァニタスだっておんなじだ。俺の熱を感じてることに夢中になっているんだから。





    「あー、このまま寝れるわ。」
    「ダメ!ちゃんと風呂は入れよなー。」
    Link Message Mute
    2022/08/13 18:52:19

    Weight

    現パロでソラとヴァニタスが双子の設定です。かなりでろでろな内容となっています。気持ちリバで書いてます。


    #腐向け  #王国心  #空兎空  #現パロ

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