筋肉と仮面と男と女筋肉と仮面と男と女?
王国のアダマンタイト級冒険者
「青の薔薇」
自称、謎多き可憐な戦士。
「ガガーラン」
巨石を思わせるような大柄な身体に、肉食獸の様な目、腕は丸太の様に太く頼もしい女だ。
何時もの様に近くの酒場でイビルアイと
ガガーランは酒を飲んでいた。
酒を飲んでいるのはガガーランだけ…。
酒場はあまり人気はない。
まだ、昼だ…。
「ちょっと聞いてくれよ?イビルアイ!」
ダンっと酒の入ったジョッキを乱暴に置く。
「何だ?筋肉の塊。」
「それ、ちょっと酷くないか?」
「気にするな。誉めてる。」
「そうか~?で、ちょっと聞いてくれよ!
俺、本気で惚れちまった男がいる!」
「は?(可哀想に…その男。)」
「俺はよ~自分でも力が強く逞しい可憐な女だって思うし…何て言うんだ?男前?女前だろ?」
「男勝りだな。」
「そんな俺がさぁ~この前、素敵なお嬢さんって言われちまったんだよ!この俺がだぜ?」
「…本気か?(そいつ。)」
「俺はよぉ。何時もこんなだろ?」
「何がだ?」
「何時ものノリでさ~。良し、今すぐヤろう!って言ったら「もっと御自分を大切になさっては如何ですか?」って言われちまってよぉ~!」
きゃ~っ!と顔を赤らめ豪快に照れるガガーランは少し恐い…。
机を乱暴にバシバシ叩く様はまさに男だ。
イビルアイは仮面の下で目を見開き固まる。
まさかこの筋肉達磨を…。
それにしても、いったい何処の誰なんだそいつは?
一様、聞いてやった方が良いのだろうか?
「何処の誰なんだその人は?」
「お、聞いてくれるか?」
「先程から聞いてるだろうが?」
「それがよぉ~。良くわかんねぇ~んだ。
きっと多分、何処かの貴族の執事だな。
名前はセバス様って言ってた。
この前この酒場から出て行こうとした時に
偶然ぶつかっちまってさ~この俺が尻餅ついちまった…この俺がだぜ?」
「有り得ない…。(逆だろ?)」
「俺も驚いちまって直ぐに起き上がれなかったんだがな…その時「お怪我はありませんか?お嬢さん。」って引っ張り上げてくれたんだよ~俺を軽々と!」
「何者だ?」
「ん?貴族の執事だろ?あ~マジでヤバいな!きっと強いなあの老人。男前紳士だ!」
「!?老人なのか!」
「老人とは言っても整った顔立ちの美しい男だぞ?」
「そうか…。」
「あ~やっぱりもっと引き留めておけば良かった~!でもなぁ~急いでたみたいだからな~う~ん。ヤり損ねたな。」
それって…逃げたんじゃないの?
何処の執事か知らないが何とお可哀想に…。
ガガーランはすでに本気の様子。
捕まれば食われてしまうだろう。
その時は陰ながらその老人を助けてやろうとイビルアイは心に決めた。
おしまい。