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    禍話:加藤よしきの猟奇人シリーズまとめ1 貢ぎ物 蒸発家族 祖父の隠しもの 貢ぎ物
    須川紀子さんは今年で27歳になる。今は東京でフリーのイラストレーターをしていて、物静かで合理的な性格だ。そんな彼女が
    「ちょっとややこしい話なんですけど」
    そう断った後に、中学生の頃の話を聞かせてくれた。

    中学生のとき須川さんにはAさんという友人がいた。引っ込み思案な須川さんに対してAさんはいつも明るくクラスのリーダー的な存在だった。

    「Aさんは本当にいい人でした。後にも先にもあんなに性格のいい人に会ったことがない」

    しかし、不幸は突然にやってくるもので、Aさんの弟のBくんが病に倒れてしまった。

    「本当に急でした。検査で異常が見つかって。すぐに入院することになったんです。お見舞いに行ったんですけど。Bくんは会うたびに痩せていって、痛々しくて見てられなかったですね。
     Aさんも最初は気丈に振る舞っていましたけど、まあ、やっぱり言っても子供ですから、目に見えて弱っていきました。仲が良い兄弟だったから。」
     ある時、ついに須川さんはAさんからこんな話を聞いた。

    「医者に言われたんですって、もう助からないって、後半年かもしかしたらもっと短いかもしれない。だからなるべく一緒に過ごしてやってくださいって、そのときAさんが絞り出すようにこう言ったんですよ。忘れません。『酷いよねえなんでこんなことになるんだろう』って。それで私たち一緒に泣いたんですよ。
     ・・・まあ今ならそういう事も世の中にはあるって分かりますけど。あの頃はまだ理解もできないし、納得もできなかったから」

     しかしそれから一ヶ月も経たないうちに事態は思わぬ展開を見せた。Bくんの体調が好転したのだ。介抱に向かっていくBくんに医者は『これは医学的に見てとても珍しい事例です』と舌を巻き、Aさんも家族も涙を流して喜んだ。

     ここまで話を聞いて私が言えることは一つだけだった。
    「良かったじゃないですか」

     素朴な感想を述べる私だが、須川さんの表情は不思議と暗かった。
    「ええ、良かったんです。Bくんの体調が回復するにつれて、Aさんも元気になっていって。全部良かったんです。何も悪い事はない。はず、なんですけど。私、変な人に会っちゃって」

    「変な人?」
    私がそう水を向けると須川さんはその詳細を語ってくれた。

     その日、須川さんは学校に終わった後Bくんのお見舞いに行くことにした。食べ物やジュースも厳禁なので本当に顔を出すだけだ。反応のないBくんを眺めて憔悴したAさんを慰めて、そして病室を出て少し歩いた時だ。

    「あんた、あの子の親戚かね?」
    見知らぬ老人に声をかけられた。ニットキャップを被った70歳から80歳ぐらいの女性で、服装からして入院患者ではないようだった。須川さんは無視するのも悪く思ったので、とりあえず自己紹介をした。

    「あ〜あんたええ子や。あの子もええ子やからね。ええ子のところにはええ子が集まるんやなあ」

     そう言って老婆は微笑んだ。

    「ああでも、心配せんでいいよ。あの子の病気は治るから」

    そう言った気休めを信じる年頃ではなかったが、否定するのも失礼だ。須川さんは
    「ええ、まあ、ありがとうございます」
    と、曖昧な調子で誤魔化して、その場を切り上げようとした。その時

    「あの子の病気を治して貰うように、しっかり仏様に貢ぐから。仏様が味方になってくれたら病気なんてすぐに治るから、心配せんで良いんよお」

    老婆はそう言ってくしゃくしゃのビニール袋を取り出した。そして、

    「ああ、あんたのもついでに貰うよ」

    須川さんの肩にヒョイと手を伸ばしてきた。須川さんが意味がわからないまま老婆の手を視線で追った。老婆は須川さんの肩にくっついていた髪を摘んで、手に持っているビニール袋の中に入れた。

     一瞬だったが、須川さんは老婆の持っているビニールの中身を見た。そこにはぬらぬらと輝く、黒い束が入っていた。

    「そう、髪の毛の・・束だったんですよ。その、地肌から無理やりむしり取った感じの。髪の毛だった。輝いていたのは、油に塗れていたからでした。黒いカケラみたいなものもあって、あれ多分、頭皮の一部だったんです。それで、おばあちゃんが手を動かすたびにその髪の毛の束が、ビニール袋の中でぬるぬるぬるぬる動いて、変なこと言いますけど生きてるみたいでした。あの、生簀の中で沢山の鰻がのたくってるみたいな」

     異常な光景に須川さんが言葉を失っていると。

    「ああこれはねえ。大事なものだから、大事なものやからこそ貢ぎ物になるんよお」
     そう言って老婆はどこかへ去っていった。

    「それからすぐだったんです。Bくんの体調が良くなったのは」

    須川さんは続けた。
    「私病院の人に確認したんです。変な人が出入りしてますよって。そしたら、看護師の人たち、あのお婆さんのこと知ってたんです。でも気味は悪いけど別にトラブルを起こすわけじゃないし、注意のしようがないんだって。むしろあの人・・・」

    そう言った時須川さんは口を噤んだ。少しの沈黙の後
    「私はあの人のおかげでBくんの病気が治ったなんて思っていません。だってあり得ないじゃないですか。仏様がどうこうとかそういうの。あの人は単なる、変な老人で、Bくんの病気とは無関係だって。考えるようにしてます。」

     今ではAさんとBくんはすっかり健康になった。定期検診のため月に一度はあの通っていた病院に行くそうだ。

    私は何度も飲み込んだ質問を飲み込んで取材を終えることにした。その質問というのは
    「そのお婆さんってその口ぶりから察するに、Aさんのお家族と元々お知り合いってことですよね?」

    出典:シン・禍話 第五十二夜 N号棟紹介からのQ同時視聴!
    https://twitcasting.tv/magabanasi/movie/725915168
    蒸発家族
    今年で48歳になる横山さんは東京のデザイン関係の仕事をしている。横山さんは気が強くて行動力もある。そういう性格のせいか「幽霊とか信じないし、怖い話と縁は無いけど」と言いながら苦手なものの話をしてくれた。

    「テレビでさあ、山奥の一軒家を取材するコーナーってあるじゃん。『こんな変なところに何でわざわざ住んでるんですかー』みたいな。俺あれがちょっと怖いんだよね」
    「ああ、今でもありますね。ポツンと一軒家・・・みたいな」
    「そうそう、まあ俺が今する話は90年代のことなんで、確実にアレじゃ無いんだけど。・・・確かうちの県のローカル番組だったかな」


     ある夜、横山さんは一人でテレビを見ていた。両親は共働きだったので夜は一人になることが多かった。まだネットや携帯電話が普及していない時代だ。娯楽はテレビしかない。そんなわけでチャンネルをコロコロ変えていると、その番組に目が止まった。番組は平凡に進行していった。レポーターが県内の中心街で番組の趣旨を説明して「それでは行って見ましょう!」と挨拶すると車で進むこと何時間、と移動の風景が流れた。そして、山奥の一軒家にたどり着くとその家に住む老夫婦が登場した。身なりも小ざっぱりして、いわゆる丁寧な暮らしをしているような夫婦だ。愛想も良く、笑顔でレポーターを迎える。和やかな雰囲気で番組は進行していった、しかし。
    「見ているうちに、あれえ?なんか変だなぁって思ったんだよね。違和感って言うのかな。うまく言葉にできないけど、その家が出てきた途端になんか変な感じがしてさあ。」
     やがて老夫婦の息子や孫たちが登場して、地元の山の幸をふんだんに使った料理がレポーターやスタッフたちに振る舞われ、そのコーナーは終わった。しかし、横山さんの中では何かが引っかかり続けていた。
    「もやもやしたけど、正体が分かんなくて。ま、パッと見た感じは普通のコーナーだったからさあ。で、それなのに何でこんなにモヤモヤしてんだろうな〜って考えてたんだけど、翌朝通学路で理由がわかったんだよね」
     横山さんは通学路の途中にある交番の掲示板で昨日の老夫婦を見かけた。昨夜見た老夫婦はどちらも行方不明者として捜索願いが出ている男女だった。
    「この人を見ませんでしたか〜みたいなやつで、その写真見た瞬間。あ、これだ。俺は毎日通学路であの爺さんと婆さん見てたから、なんか変だなあって思ったんだって気が付いたよ。しかもテレビじゃ夫婦って出てたけど、夫婦じゃないんだよ。全くの他人。それぞれ全然違う名前で、全然違う家族が警察に捜索願出してたんだよ」
    更に
    「隣町とかでも同じようなことがあったんだよ。交番の掲示板に、あの番組に出てた人の写真が貼ってあって、だから番組じゃ子供だとか孫だって出てきた人が、全然違う名前で捜索願が出されてたんだよ。だから結構な騒ぎになったよ。」
    「それって・・・」
     私が話を理解できずにいると。
    「そりゃ当然警察が動いたよ。で、これは後から聞いたんだけど、そいつら所謂、新興宗教って言うやつでさ、家族でも何でもなかったんだよ。家から出て、山ん中で勝手に共同生活を送ってる連中だったんだ。まあ規模が小さかったから、そんなに大きな報道はされなかったけど」
     そこまで聞いた時、私の中で一つの疑問が浮かんだ。
    「でもそんな隠れ住んでる人たちが、何でテレビに出たんですかね」
     私が聞くと
    「ああ、それはね。まあこれは俺が勝手にそう思ってるだけなんだけど、その、その後俺らがその家に行った時」
    「えっ行ったんですか?」
    「ああ、まあ高校生の時に、同級生達と、あのやばい家に行ってみようぜってなってさ。先輩に車出してもらって山奥まで行ったんだ。で、家は残ってて、その時はもう誰もいねえから、窓から簡単に入れたんだよ。そしたらその家さ、あちこちに変な写真が飾ってあるんだよ。かなり歳の行った女の人の古い白黒写真。和服で、正面から撮ってて、まるで遺影みたいな。どの部屋に行っても、その写真が飾ってあるんだよ。それで思い出したんだよ。俺も数年前テレビ見てた時にスタッフは部屋移動してるはずなんだけど同じ写真がいつも映ってるな〜って思ってたんだよ。だからあいつらがテレビに出てたのはあの女の写真をテレビで色んな人に見せる為だったんじゃないかなあって。まあそれ見せたところで何が起こるか知らねえし、実際何ともなってないけど、そのあいつらにとっては、何か意味がある行為だったんじゃないかなって。まあそう言うことがあったから今でもああ言うちょっと変わったお宅拝見みたいな番組を見ると、やな感じがしちゃうんだよね。ひょっとしてあの時みたいに、変なものが映るんじゃないかって。何か裏があるんじゃないかなって。で、気になるから。そう言う系の番組の出くわすと、チャンネルを変えちゃうなあ」
     横山さんは少し恥ずかしそうに笑った。

    出典: シン・禍話 第五十夜記念 余寒vs加藤よしきスペシャル
    https://twitcasting.tv/magabanasi/movie/724224875
    祖父の隠しもの

     山本浩一さんは生まれも育ちも関東で今年で40歳になる。某企業で事務の仕事をしていて。最近になって子供が小学校を卒業した。山本さんは子煩悩で、出世には興味が無いない。それより子供のそばに居たいと周囲に明言している。しかし実はこれにはハッキリとした理由があるんですよ。・・・そう言ってこんな話をしてくれた。

     山本さんは小学生の頃、自然が溢れる田舎で暮らしていた。夏には森の入って虫を取って、仲間たちと川遊びをする。太陽の日差し、そして文字通り雨のように降り注ぐ蝉時雨。山本さんにとって少年時代はいい思い出だ。
    「小学校の同級生達とは仲が良かったですね。みんな良い子達でした。なかでも、A君って子は僕とすごく気が合って。・・・今になって思うと、親友って言っても良いんじゃないかなあって思います。スタンドバイミーの世界ですね」
     私が少し茶々を入れると、山本さんは少しだけ笑って頷いた。
    「ゲームとかもやっていましたけど、僕もA君も体を動かすのが好きなタイプで。それとA君も僕も一人っ子だったんです。そういうところもあって意気投合しましてね。
     それで、父方か母方かは忘れましたけど、A君はお爺さんと住んでいました。よく遊びに行きましたよ。大きな家で、部屋も沢山あって。家の中でかくれんぼができたぐらいですから。夏に行くとおじいさんが、子供は元気なのが一番って言って、かき氷やスイカを出してくれて。友達みんなで、揃って食べていましたね」
     平穏な夏の日の一幕である。しかし・・・。

    「でもね、やっぱり子供ですから。余計な事に興味持っちゃうし、余計な事をしちゃうんですよ。それこそ今仰った。スタンド・バイミーみたいに・・・」

     その日も山本さんはA君の家でかくれんぼをしていた。四、五人の友達が家中に散らばって、思い思いの場所に隠れたその時。
    「おいみんな!こっちに来いって」
     A君が言った。なんだろうと、山本さんは声のする方に行ってみると。
    「やばいよこれアレじゃん、エロビデオじゃん!」
     A君がVHSのテープを持っていた。まだVHSが現役の時代だったから、それ自体が珍しい事ではない。
     タイトルには手書きで『いいとこどり』と書かれていた。
    「おじいちゃんの部屋のクローゼットにあったんだよ。これ絶対エロいやつだよ!」
     山本さんもA君もそういうものに興味を抱く年頃である。幸いにもその時、おじいさんは留守だった。かくれんぼはすぐにビデオの鑑賞会に切り替わった。

    「まあ、正直ワクワクはしましたよね。不安はありましたけど、みんな乗り気だったし。やめとこうとは言いませんでした。それで居間に行って、ビデオを再生していたんですよ。そしたら・・・最初はずっとノイズって言うか砂嵐で」

     サー──・・っと砂嵐が続く。みんなが拍子抜けしたような声を漏らした。
    「なんだよ、これ違うんじゃねえの?」
     などと言っていると。

    [〇〇さんが14歳の時でした。]

     いきなり映像が始まった。
     その映像は、痩せた少年の白黒写真と、重々しいナレーションで構成されていた。映像は続き、白黒写真の少年が次々と映し出される。
     ポカンとしたまま山本さん達は見ていたが──

    「少しして気が付きましたよ。それ、戦争のドキュメンタリーだったんです。確か沖縄の方の特集で・・・小さい子供達が戦争の犠牲になりましたって言うのを、当事者のインタビューや当時の写真を織り交ぜて説明する番組でした。ちょっとして戦車の写真が次々と出てきて。戦車に轢かれた子供とか、ボロボロの状態でアメリカ兵に保護される子供とか」

     思っていたものとは真逆の映像が流れ始めた事で、山本さんたちは落とし所を見失ってしまった。

    「確か、『真面目なおじいちゃんなんだな〜』とか、『そういう世代だもんな〜』とか、何かそういう話をしていましたね。最初はびっくりしていましたけど『全然エロビデオじゃないじゃん』って、A君に突っ込んだりして、ちょっと笑ったり」

     しかし事態は思わぬ方向に進んだ。突如としてテレビから──

    [この第16ブロックでは]

     プツリと画面が切り替わり、別の映像が流れ始めた。白黒の映像に、痩せこけた白人の子供達が写っている。すぐにそれが、悪名高いドイツのアウシュヴィッツ収容所の光景である事に気が付いた。

    「でもね、変だったんですよ。番組の中盤ぐらいからの映像だったんですよ。そういうのって分かるじゃないですか。ある程度の前提が共有されている感じっていうか・・・。あの映像は──まあおそらく、第二次世界大戦とかナチスとか、ホロコーストの説明をした後にやってる話だったと思います」

     突然映像が切り替わった事に、山本さんたちは困惑した。しかし、同じ第二次世界大戦の話である。
    「間違って上書きしちゃったのかな?」
     とみんなで首を傾げた。しかし──

    [少年兵達は今も最前線へ向かいます。]

     再び映像が切り替わった。今度は近年のアフリカの少年兵を特集したものだった。しかも山本さんが言うには─

    「流石におかしいなあってなったのはその時ですね。それもドキュメンタリーっぽかったんですけど。明らかに、番組の終盤なんですよ。銃を持った黒人の子達を映していて、下の方にもスタッフのクレジットが流れていて、そんなところだけ録画するって、変じゃないですか」

     そう思った矢先に

    [姿を消した〇〇ちゃんの映像を公開しました]

     映像がまた切り替わった。それは明らかにここ数年のもので、子供が行方不明になった事を伝えるニュース番組だった。映像の中では小学生低学年ぐらいの女の子が、運動場で元気に走り回っていた。困惑する山本さんたちを尻目に、映像は目まぐるしく切り替わった。

    [生前の〇〇くんの姿です。〇日後の広島では─]

     次々と切り替わる映像を見る内、山本さんたちは──

    「そりゃまあ、気付きますよね。そのビデオ、死ぬ直前か直後の映像を収めていたやつだったんです。色んなドキュメンタリーや、ニュース番組から継ぎ接ぎしてきて」

     なおも映像は続いた。

    「まあ、みんなも気が付いていたと思いますけど。動けないし、言えなかったですね。だってそのビデオ、その場にいるAくんのおじいさんのものなんだから」

     次々と切り替わる映像は、やがて再び砂嵐に戻った。
     サー──・・と言う音に戻るとみんながドッとため息をついた。
    「なんだよコレ、・・・なんだよこれ!」
     Aくんが震えた声で言う。
    「なんでもいいよ、戻しとこうぜ」
     誰かが答えた。
     全員が異常なモノを見たと言う認識はあったが、これがなんであるか話したところで、誰も得をしないと分かっていた。

    「まあ、一番困るのはAくんでしょ。だから、もう何にも触れたく無かったんです。さっさと元にあった場所に戻して、何も無かった事にしようって。そう思いましたね」

     固まってしまったAくんを押し退けて、山本さんはビデオデッキに手を伸ばした。だが──

    [〇〇ちゃーん、こっちこっち〜]

     テレビから声がした。そこに映し出されたのは、今までの映像とは全くの別物だった。画面は夕方の人気のない公園だった。しかし映像に収められている声は、アナウンサーや声優のような訓練を受けていない、素人の声だった。映像は新しかったが、荒く、手持ちで揺れている。明らかに素人の誰かが取っているホームビデオだった。撮影者のカメラに向かって小学生ぐらいの女の子が走ってくる。しかし──

    「陽の関係でしょうね。映像の中に、撮影者側の影が映り込んでいたんです。カメラの後ろには、何人もいました。二、三人じゃない十人とかそれぐらいいて・・・で、その事に気が付いた途端に」

     誰かが「今すぐそれ消せ!!」と叫んだ。山本さんはビデオの取り出しボタンを押すのではなく、テレビのコンセントを引っこ抜いた。直ぐにテレビは真っ暗になり、部屋の中には山本さんたちの荒い息遣いだけが残った。

    「結局そのビデオは、元の場所に戻しました。その日からみんなで、Aくんの家で遊ぶ事は無くなりましたね。Aくんはそれから、周囲と自分から距離作っちゃって・・・何度かAくんを訪ねてみたんですけど、以前の様には・・・」

     そして山本さんは、最後にこう付け加えた。

    「あの日で僕もAくんも変わりました。変わらなかったのは、Aくんのおじいさんだけです。僕がたまに行くとね、必ず言うんですあの人。『子供は元気なのが一番』って」

     山本さんは、周りの目が恥ずかしいと渋る子供を、車で学校まで送り迎えしている。

    出典: シン・禍話 第五十一夜 長尺怪談スペシャル
    https://twitcasting.tv/magabanasi/movie/725072686
    カミー・オレガ Link Message Mute
    2022/12/21 22:01:41

    禍話:加藤よしきの猟奇人シリーズまとめ1

    #禍話リライト

    青空怪談である禍話さんの加藤よしきさんの猟奇人シリーズから三本の怪談をIRIAM内で朗読いたしました!
    こちらはそのリライトになります。FAも添えて。

    祖父の隠しものは特にお気に入りで子守唄がわりに眠る前に聴いてたんですけどかあなっきさんの真に迫る朗読が怖くて飛び起きて寝れなくなりました・・・。加藤よしきさんのどこかにありそうな死角から恐怖が襲ってくる猟奇人シリーズが大好きです!
    禍話とてもオススメの怪談配信です!!

    貢ぎ物
    出典:シン・禍話 第五十二夜 N号棟紹介からのQ同時視聴!
    https://twitcasting.tv/magabanasi/movie/725915168

    蒸発家族
    出典: シン・禍話 第五十夜記念 余寒vs加藤よしきスペシャル
    https://twitcasting.tv/magabanasi/movie/724224875

    祖父の隠しもの
    出典: シン・禍話 第五十一夜 長尺怪談スペシャル
    https://twitcasting.tv/magabanasi/movie/725072686

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