くりいむレモン 第一部Ch-X(仮名)は、都内の私立の中学校に通う中学二年生。同じ中学校に通う二年のA美(仮名)に淡い想いを抱いているのだった。A美は、Ch-Xの幼馴染みである。彼、Ch-Xは、童貞だった。A美もまた処女であった。彼、Ch-Xは、内気なうじうじした性格の内向的な少年だった。典型的な、おとなしい性格のドロドロ野郎であった。そんなわけで、幼馴染みというだけあって長い付き合いの二人であったが、彼はまだ、彼女、A美に対して一度も告白したことがなかった。そんな二人だったが、ある事件をきっかけに転機がおとずれようとしていた。
Ch-X(仮名)は、自宅の自室(二階)で、ビデオを観ていた。VHSのビデオテープ(VT)である。アダルトビデオ(AV)だった。そのビデオ(アダルトビデオ=AV)の表題は、『棒』(仮題)というものである。
「なんだあ、あれは~」
閉め切った部屋で、ひとりでビデオを観ながら、間抜けな口調で、そんな感想を漏らすCh-X(仮名)だった。Ch-Xが、ひとり観ているテレビ(TV)のブラウン管の画面上には、若い男性(♂)とおぼしきシルエットが映し出されている。(テレビの下にビデオデッキが備え付けられている。)その若い男(♂)のシルエットの股間が、膨らんでいくのだ。際限もなく、ジェット風船のように伸びていく股間。Ch-Xは、その男の股間を、興味津々というより、不思議そうに見ている。Ch-Xは、驚くべきことに、この年(中二)になるまで、勃起したことがなかったのである。
A美は、テニス部だ。今日も、ボールを打ちながら、さわやかな汗を流している。走るたびラケットを返すたびに、短いスカートとスコートが舞う。スコートのチラ見せがまぶしい。そんなさわやかな光景とはうらはらな、あまりさわやかでない気配があった。気配は、テニス部のあるエリアの隣のしげみからする。Ch-Xだ。あやしい気配の主は、Ch-Xだった。いままさに、しげみのかげから、テニス部の活動を盗撮チュー。自慢のハンディーカムを構えて、興奮した様子で、ムチューで、テニスギャルたちの動きを追っている。お目当ては、好きなA美だけでなく、テニス部の女子全部だ。
ある事件
前述の、Ch-XとA美が急接近することとなった、“ある事件”をここで紹介しよう。以下は、Ch-XとA美が急接近することとなった、“あるじ事件”の顛末である。↓
ハンディーカムを手に、テニスギャルたちの動きを目で追うCh-X。右に左にハンディーカムを動かす。と、ハンディーカムを、左右に動かしすぎたようだ。視界の端になにかが映った。よく見ようと、思わずハンディーカムを向ける。すると、そこにいたのは。A美だ。純白のテニスウェア姿のA美が、そこに立っていた。
「わっ!A美ちゃん。」
あわててハンディーカムを後ろに隠すCh-X。
「なにをしているの?」
あきらかに盗撮である。
「べ、別に、なにも...。」
バレバレな嘘を言うCh-X。
「どうしてこんなところにいるの?」
誤魔化そうとして、逆に聞き返すCh-X。
「それはこっちの台詞だわ。でも...。」
A美が言うには、こういうことであった。↓
ボール(飛球)が、しげみに入ったのでさがしに来た。だが、なかなかボールが見つからない。ボールを探しているうち、Ch-Xを見つけた。
↑こういうことであった。
A美曰く、一緒にボールを探してくれるなら、今日のことはだまっていてあげてもいい、ということである。一も二もなく、Ch-Xは承諾した。
「ガサガサ」
「ガサガサ」
しげみにボールを探す二人。ボールは、なかなか見つからない。二人はけっきょくテニス部のテニスコートのあるエリアから、かなり離れたところまで来てしまった。
「ふう。見つからないわね。ボール。」
「こんなに見つからないなんて異常だ。」
たしかに奇異なことである。
と、そのとき、どこかでかすかになにかが聞こえた。
「しっ!しずかに。いまなにか聞こえなかった?」
鋭敏なA美が気づいて言った。
「えっ。なにが。」
鈍感なCh-Xが聞き返す。
「たしかになにか聞こえたわ。こっちよ。」
A美は、確信するとしげみのさらに奥へとわけ入っていく。Ch-Xもそれにしたがう。A美が先導するかたちで二人はどんどん進んでいった。進むうち、聞こえてくる“なにか”は大きくなり、Ch-Xにもわかるようになった。それは、人の声だった。
そこに見えてきたのは、建物だった。テニス部の更衣室等の棟屋と同じ平屋の建屋だ。もう長いこと使われていないらしいことが見た感じでわかった。それは、テニス部の別棟だった。その別棟は、長い間使われていないといい、噂では、この別棟で殺人事件があって以来使われていないとか、幽霊が出るとかいわれていた。
「もう帰ろう。」
Ch-Xが、引き返すべくA美に対して進言した。ボールのことなど、もう、忘れている。
「あなたは帰っていいわ。」
こちらもボールのことなど忘れている。そのかわり興味の対象は声の主にうつっている。Ch-Xの存在など忘れたかのようにどんどん建物(テニス部別棟)に接近していくA美。Ch-Xもしかたなく、ハンディーカムを手にしたまま、そのあとにつづいた。
建物は、窓にカーテンがかかって閉め切られており、中の様子はわからない。建物は、つたが絡まったりはしていなかったが、ちかづくと長年うち捨てられていることがわかる。人の声は、この建物の中から聞こえてくるようだ。扉はあるが、いきなり開けるのはもちろん、ドアノブをガチャつかせるのもまずいだろう。二人がさがすと、壁の一カ所に小さな穴が開いているのが見つかった。A美が、穴から内側(なか)を覗き込んだ。そこには...。
A美は、棟屋の内側(なか)を見ようと、壁に開いた傷(穴)から、中を覗き見た。どうやら、幽霊やおばけのたぐいではないようだ。声は、幽霊やおばけのものではなく、人のそれだ。そして、その声は、どうやら女性のものとおぼしかった。A美の目に飛び込んでくるものがあった。棟屋の部屋の中には、テニスの用具などが散乱している。部屋の奥の方に,部員や職員の休息用であろう、寝台が置かれている。
A美の目に飛び込んできたのは、寝台の上のものだった。いや、正確には、「ものたち」だった。ベッドの上には、動くもの(動くものたち)の姿があった。それは、二人の人間(人)だった。男性と女性。男と女。♂と♀。ベッドの上で、一組の男女が動いているのだ。ベッド上の、二人の男と女は、たがいに抱き合い、絡まり合いながら、なにかをしているのだった。蠢くふたつの肉体...。
男の方は、服を着ていたが、女の方は、服を着ていなかった。そのことから、なんとなく主従関係がわかるようだった。声は、この女性の口から漏れているのだった。快楽に喘ぐ声だった。男と女は、あきらかにセックスをしているのだった。A美は、しばらくかたまっていた。壁の穴がそういう高さのところに開いているため、位置関係上そうならざるを得ないのだが、A美は、中腰になっている。テニスウェアの短いスカートからパンティーが見えそうな、えげつないアングルだ。Ch-Xは、ハンディーカムを構えて、思わずしゃがみ込んだ。絶好の角度でパンティーショットが撮影できる。建物の内部(なか)になにがあるのかわからないが、こんなラッキーチャンスがめぐってくるとは思いもよらないCh-Xであった。
じっくりA美のローアングルショットを堪能すると、今度は、Ch-Xの興味の対象は、建物の中へとうつった。
「A美ちゃん、僕にも見せてよ。」
長いことかたまっていたA美も満足したらしく、壁穴をはなれた。Ch-Xがかわって壁穴を覗き見る。
「!」
Ch-Xも状況を察知したようだった。ラケットやボールの散乱した室内。ベッド。その上の男と女。Ch-Xは、その男にも女にも見覚えがあった。
男の方は、同じ二年のS山S男(仮名)。女の方は、U島W奈先生(仮名)だ。S山S男は、この私立中の理事の御曹司。学園の権力者だ。精悍な容貌、V字型の引き締まったボディーの持ち主である。優形で痩せ型のCh-Xとは正反対の人物と言えた。一方のU島W奈先生は、数学教師。テニス部の顧問でもある。眼鏡。セミロングの黒髪。色っぽい顔。背が高く、グラマラスボディーの持ち主だ。やんちゃな生徒は、U島先生のことを、ふざけてD奈(Dは、“デカ”(つまり、(おっぱいが)デカい、という意味である。)のD)と呼ぶ生徒もいる。それほどW奈先生のおっぱいはデカかった。Ch-Xの予想では、Dカップではきかなかった。
その二人の姿がベッド上にあった。U島先生は、服を着ておらず、他方、S山の方は、服を着ている。そのことから、二人が主従の関係にあることが、Ch-Xにもなんとなくわかった。その二人が、いま、Ch-Xの目の前で絡まり合っているのだ。U島W奈先生といえば、その妖しい美貌と爆乳から全校男子生徒の憧れの的である。学園のマドンナといっていい人物である。Ch-Xも例外ではなかった。学園のマドンナであるU島先生。A美のことは別として、Ch-XにとってU島先生(数学教師)は、憧れの存在だった。その憧れの女性(ひと)である、U島先生が、自分の目の前で自分以外の♂に犯し抜かれているのだ。しかもそれが自分と同じ中学二年の男子なのだ。Ch-Xは、ショックと嫉妬と羨望で頭がおかしくなりそうだった。
S山S男は、U島W奈先生のグラマラスな肉体を、サディスティックに攻め抜いている。S山S男の真っ赤なザラつく舌が、U島先生のバストトップをなめる。U島先生のバストトップは、黒ずんだざくろのような色をしていた。ちなみに29歳である。U島W奈先生は。U島先生のおっぱい(Dカップ超級の爆乳)は、張り切っていた。S山の舌になめられて、U島先生のバストトップが、硬くそそり立つ。生唾を飲み込むCh-X。心臓が激しく鼓を打っている。Ch-Xの目が大きく見開かれる。瞳孔が拡大する。こめかみと腋の下を、汗が流れ落ちる。その時、Ch-Xのからだに変化が起こった。下半身がむずむずする。Ch-Xの、足と足の間にある、なにかが硬くなってくる。そして、それは、硬くなるだけでなく、膨らみ始める。膨張する、Ch-Xの股間にあるなにものかは、パンツとズボンを下から突き上げ、なおも膨張していくのだった。ズボンが、ゆるやかな弧を描く棒状に膨らんでいく。いつか見たビデオの男のようだった。Ch-Xは、生まれて初めて勃起した。
U島先生のバストトップと一緒にそそり立ったCh-Xのペニス。しかし、そんな自分のからだの変化が気にならないほど、Ch-Xは、目の前のことに興奮していた。
その時、U島先生の目が動いた(ようにCh-Xには思えた)。こちらを見ている?!そんなバカな。ありえない。焦るCh-X。目をしばたたく。しかし、次の瞬間には、もうU島先生の目はもとの位置に戻っていた。
(いまのは一体?...。)
しばらく呆然とするCh-X。ベッド上では、あいかわらずU島先生とS男が、くんずほぐれつしている。しばらくして我に返るCh-X。ついでに手にしたハンディーカムの存在も思い出した。(それまで、ハンディーカム越しでなく、肉視で部屋の内部(なか)を見ていた。)ハンディーカムを持ち上げ、構えると、室内を撮影し出す。一部始終を撮り終えると、ふたりは、U島先生らに気付かれないうちにと、そそくさとその場を去った。その場を去るまで、ふたりの耳に、U島先生の色っぽい喘ぎ声が谺していた。
↑以上が、Ch-XとA美が急接近することとなる”ある事件”の顛末である。