なんとなくわかるうちよそ2
聖司とれい
バンカラ生まれバンカラ育ちの聖司は、この街で人気ホストとして毎日女の子とお酒に囲まれ面白おかしく暮らしていた。
しかし、そんな聖司もある日運命的な出会いを果たしてしまう。顔の良さにも甘いトークにも靡かない、大人びた少女。今まで女の子にちやほやされて生きてきた聖司にとって、彼女の反応は新鮮だった。
その少女・れいを振り向かせるために、聖司はあの手この手で彼女をデートに誘うがなかなか振り向いてはもらえないのだった。
ニルキとのぞむ
のぞむは過剰なほどに目立つのを嫌う青年だ。長く伸ばした前髪で顔を隠し、すらりと伸びた長躯も猫のように丸めて何かから隠れるように過ごしていた。その灰色の髪の隙間から覗く怯えたような瞳には理由があった。
遡ること数年前、のぞむがまだ中学生になったばかりの頃の話だ。
その頃ののぞむ少年は白い髪を春の風に靡かせながら、新生活に胸を踊らせていた。これから待っているニルキとの出会いによって全てが壊れていくとも知らずに──。