狐立さんと冬支度季節も巡り、再び最後の季節である冬がやってきた。
年の瀬ということもあり、堂島さんは忙しなく挨拶回りとお務めの日々。
僕はその間いつものようにお留守番が続いていた。
いつもだと、お留守番の間は動物たちと遊ぶことが多いのだが、
彼らも冬支度の季節なのだ。
「僕も冬支度かなぁ。」
ぽつりと呟くと、窓辺から立ち上がり、部屋の中へと向かった。
鏡台の前に座り、毛並みをみると、だいぶ伸びた状態になっていた。
いくら冬毛とはいえ、この様子はみっともない。
「よし、整えるか!」
ハサミを取り出し、鏡と睨めっこしながらパチリ、パチリと丁寧に毛並みを整えていった。
散髪をしている最中、ふと堂島さんの手触りを思い出す。
堂島さんの髪は基本的に硬いのだが、ゆっくりと撫でると、
手への吸い込まれ具合がちょうどよく、硬くてもなじむような手触りだった。
「僕のも気持ちいいのかな。」
すけべぇの最中、よく僕の毛並みを確かめ、満足そうな様子の堂島さんを思い浮かべる。
撫でられると僕も気持ち良くて、つい高まってしまうことが多い。
「冬毛も綺麗に整ったし、堂島さん、愛でてくれるかな。」
堂島さんのことを思うとすぐ心が温まり、体もほくほくとしてくる。
冬毛が少し熱くなるほどになってしまうこともあるが、
今は心地よい温かさだ。
「むぅ、ぬくいから眠くなってきたな。」
目も少しうとうととしてきたので、僕は手早く散髪を終えて、縁側で丸まって眠りにつきつつ、
堂島さんの帰りを待つのだった。
縁側で寝ていたため、毛並みが少し硬くなってしまうのは、
もう少しあとのお話。