創作SNS GALLERIA[ギャレリア]
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さのたけ
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No.566 三つ首竜
昔、海に住む首長竜のつがいが海面から顔を出した際、たまたま漁村の近くであった。見たことのない生物を前に驚いて恐がる人々。元々動きが遅い首長竜の雌はノコギリで鼻の上を刺されてしまった。皮膚が固く刃だけが刺さったまま何とか海に逃げ帰ったところ、雄には「おしゃれ。」と大評判。しかし大切な顔を傷つけた人間を憎んでおり以来、手ヒレの部分に子を従え三頭竜のような姿に。子も同じように刃を生やしており遺伝になったという。今や立派な種族として成立しており、大人になると子供たちは自然に分離していき、また手ヒレが生えてくる。相変わらず動きは緩慢だが、刺された刃を強力な武器として海に侵入してくる漁師を親子共々で襲っている。
#竜
#ドラゴン
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No.565オーロラ王女
限られた領域で発生する極光を支配するとされる王女。オーロラと呼ばれるこの現象は美しく神秘的だが災害の前触れ、または神の怒りと伝承される場所もある。この王女は人間を酷く嫌っており、様々な凶事を齎す。我々が見るオーロラは彼女が動いた跡とされ、観測される時間が長いほど近くにいる証である。放つ光は剣にも槍にも盾にもなるとされ、屈強な戦士も高度な呪文を使いこなす魔法使いも太刀打ちできない。一年に一人、若い女性を生贄に捧げる儀式があり、これにより永遠の若さを手に入れている。と、ここまでの情報も嘘か真か。実際の姿を見れるのは百年に一人だというのだから。
#オーロラ
#モンスター
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さのたけ
No.564 なまけ鳥
妖精や天使の世界では時に活動状況を上の者に審査され、無理やり人間界に修行のために堕とされた者が数多く存在するという。その妖精が変化している姿の鳥。元々、怠け者の妖精であったため、ほとんど動かないこの鳥になる事を選んだ。「魚を捕るために何時間も動かなくていいんだもん」。そんな軽い気持ちで選んだものの、やはり腹は減る。退屈でどこまでもダメな妖精は、考えがあってのこの鳥の行動を完全に無視し通りかかる者から金品を奪っている。こんな事ではいつまでたっても妖精の世界には帰れないであろう。退屈しのぎにたまたま子供から奪った鳥の図鑑をめくっていたら、自分が望んだこの鳥が「ハシビロコウ」という名前なのを知ったらしいが、気に入らず認めたくないらしい。
#鳥
#モンスター
#ファンタジー
さのたけ
No.563ブレードウィード
伸びれば伸びるほど刃のように鋭くなる雑草。カッターのように伸縮可能な葉でその場から動かずに鳥や小動物などの獲物を狩る。肉は食わず、血だけを吸い養分としている。山に自生しており登山者が被害に遭う事が多いが、一か所に留まらず、ある程度時期が過ぎると自ら根を切り落とし縮んだ状態でゆっくり動く。稀にだが、一般家庭の庭に侵入し根を張る事もあるので、注意が必要。体に毒素を持つ種もおり、根は深く、刈ってもすぐに生えてくるまさにカッターの刃のような危険な雑草。今のところ確実な駆除の方法は見つかっていないが植物の割には鉄分を多く含んでいるため、たっぷりの水をかけるのが一番。錆びたように干からびてしまう。ただし、そこは雑草魂。数日でまた復活する。
#雑草
#モンスター
#ファンタジー
さのたけ
No.562ひとくいどじょう
ウナギと間違われる事が多いが、完全なる外来種。ただ、かなり以前から各地の大きな沼や湿地帯、河川でも目撃されている。夜行性で性格は極めて攻撃的。出会った事のない生物にも臆することなく近づき殺し、味などは関係なく全て口に運ぶという。口の上にある鼻孔のような穴が弱点とされ、狙われないように下の歯肉部分や下唇とその穴に木の枝などを差し込んでいる。他のモンスターや手先の器用な動物に食糧と引き換えに作ってもらった入れ物を腰にぶら下げ、餌をそこに溜めこむ習性がある。頭には笊を被り、その特徴を見た者が自国へ帰ったのちに「あの」伝統的な踊りが生まれたとか。その逆に自分たちを称える踊りと思い、格好を真似た説もある。
#どじょう
#モンスター
#ファンタジー
さのたけ
No.561 キャンディーシャドウ
強大な悪魔の影が意志を持ち、別個体化した化身。太陽の高度が低くなる夕方以降に現れ、弱っている精神の持ち主に近づいては影に紛れ込みゆっくり洗脳、負の力が負であればあるほど、金と気力を奪い我が力に変える。朝になると一旦消えるが真夜中に闇のエネルギーをたっぷり吸収して数を増やしており、奪った金で大きな神殿を造り、いずれは自分達が住みやすい暗黒の世界にしようと企てている。杖の先の水晶に見える部分は飴玉。舐めると色が変わり赤だと攻撃、青だと守備、緑は回復、黄色になると何が起こるかわからない呪文を発動し、必要に応じて使い分けているという。倒すと杖は残るが、飴玉は消滅しただの木の棒になる。
#影
#モンスター
#ファンタジー
さのたけ
No.560 ワラフウセン オコフウセン
勝手に飛び回る風船のようなモンスター。笑っているものもいれば、怒っているものも。体の膜はゴム状だが耐久性に優れており、中のガスと粉末も特殊な効果を発揮し通常の風船のように萎むことはない。粉末には人間の意識を刺激する成分がかなり多く含まれており、笑顔の個体から出る粉末が地上にいる人間に降りかかると誰もが幸せな気分になる。かたや怒りの個体から出る粉末にかかると途端にヒステリックになる。それは常に放出され続けており、ある程度の高度まで上がると破裂するため、その瞬間は一気に粉末が散布される。人々の機嫌の良し悪しが完全に別れ、笑いは止まらないし怒りも鎮まらない。ニヤニヤしてて気持ちが悪い人、ムスッとしてて感じが悪い人、と感じる場合こいつのせいかもしれないので少し心に余裕を持ちましょう。
#風船
#モンスター
#ファンタジー
さのたけ
No.559 ヒポポヘッド
ほぼ完全な陸上生活に適応するために進化したカバ。変わらず大きな頭部はそのままに、そこから手足が生え幾分醜くなった。乾燥や紫外線から皮膚を保護するために分泌される粘液が絶えず出ているため、群れ全体がその粘液で満たされている。繁殖期になると水辺で見かけることが多くなり、以前の生態系と同じように交尾も出産も水中で行う。野生ゆえの獰猛な面は激しさを増しておりヒトであろうがライオンであろうが、テリトリーに侵入するものには鼻息を荒くして相変わらずのスピードで追いかけてくる。樹木を削って作られた棍棒、石の斧、ブーメランなど一子相伝の手作りの武器を使いこなす。中には酒好きなものもおり、酔って気持ち良くなると仲良くしてくれるらしい。
#カバ
#ファンタジー
さのたけ
No.558 パイロンスラッグ
極東の地の、いわゆる工事現場付近でしか確認できていないナメクジの変種。植物を食い荒らし、人も襲う大きなナメクジである。害虫として嫌われ、塩をかけられ駆除されることから防御するため、近くにあったカラーコーンを殻としてカタツムリのように。居心地の良い殻を見つけると昼間はその中で休み、夜になるといつしか工事を手伝うように。光る目をライトに、胸のあたりには安全第一の緑十字の模様が。運転している車の中からはわからないかもしれないが、走る車を安全に誘導しているのは何とナメクジかもしれない。工事が無事終わると相変わらずゆっくりと、どこか満足気に次の工事現場へ向かうという。そんな奴はいないと思うが、車中から塩だけは振りまかないように。あと、誘導員には従う事。文句を言う奴にゃ元来の凶暴性を発揮し、風呂に入っても取れないネバネバの罰が待っている。
#ナメクジ
#モンスター
#ファンタジー
さのたけ
No.501 食い逃げパスタ
茹でられて食べられる現実から逃げ出したマカロニ。それどころか自分から美味な食品を探し回っており、巨大化したパスタは悪い意味で有名なレストランでも常連。食べるだけ食べて金を払わずに逃げ、改造を施した盗んだフォークやスプーンを振り回し暴れる困り者。ただ、捕まえた個体を茹でれば散々美味を味わった、あらゆるエキスが体中から溢れ出し、とてつもなく美味しいマカロニが生まれる。
#パスタ
#ファンタジー
さのたけ
No.502 焔ダルマ
縁起物の置物が魔物化した姿。中には油がたっぷり入っており、一旦火が付くと永遠に消えない。燃えさかる炎を口から吐き続け夜中に見る、光る人魂と間違われる事が多い。人間に出会うと、自分が歌に出てくる「にらめっこ」を挑んでくる。負けると顔から上を攻撃してくるが、これは脂分が多いからで油の補給と考えられる。勝った場合は未だに経験した者はなし。願いが叶うと目を入れるが、このダルマの両目が黒くなる事はない。
#ダルマ
#ファンタジー
さのたけ
No.503 スペルハイ
海を司る神、ポセイドンを守る手下。荒々しい性格で縄張り意識が強く、そもそも海に人が入る事を嫌っている。鮫に似た姿をしており、海水浴場などでは海面から頭部を出し人をその場から退ける。相手を惑わす呪文を使い、右手の鋸のような指で貝や中型魚を餌にする。悲しい事に本物の鮫の格好の餌となり、手下といっても使い捨て状態で人魚のように美しくもないため、年間数多くの死骸が浮いてても渡航の邪魔でしかない。ただし、余計怪しく見える金歯は高値で取引される。
#鮫
#ファンタジー
さのたけ
No.504 殺人鬼「クローバー」
トランプの原案となったと言われる4種の魔物。各13体ずついるらしい。好奇心旺盛で知能が高いが、全員お人好しで人間の悪意というものが理解できない。クローバーの元になったと言われるこの魔物は、人間の演劇を観るのが大好き。中でもとある殺人鬼を描いた演目「ドクロ袋の男」が大のお気に入り。しかし、悪意を理解できないので何をしているかはよくわかっていない。そもそも本当の頭蓋骨を見たことがなく、主演の袋から覗くソレはおしゃれなオブジェだと思っていた。何とか同じものが欲しいと試行錯誤した結果、優れた鍛冶技術を利用して鉄屑を加工しドクロモドキを作成、嬉々として袋に詰めて持ち歩いている。後世において若者が身につける銀の装飾品にやたらドクロのデザインが多いのは、このクローバーのドクロを真似したためと言われる。
#トランプ
#クローバー
#ファンタジー
さのたけ
No.505 放火魔「スペード」
スペードの魔物。拳がマッチと同じ材質でできている。火をつけると崩れてしまうが、爪のようなものなのでまた生えてくる。街中で見た放火現場の炎が大きく、「自分も」、と純粋に惹かれて真似ようとした。街に出たところ、とある民家に備えつけられた風呂炊き用の竈を発見する。薪がくべられているのを見てスペードは「ここに火を付けてみよう」と喜び勇んで薪に火を付けた。楽しくなって火の横で踊っていると、民家の住人が風呂に入り始めたのか、「うぃー」と気持ち良さそうな声をあげる。その声を聞くとスペードはすっかり嬉しくなって小躍りしながら家路についた。以来すっかり病みつきになり、夜に出掛けては誰かの家の風呂釜に火をつけるようになったという。もしもあなたの家のお風呂が勝手に沸いていたら・・・キヒヒと満足そうな笑い声が聞こえたら・・・スペードが遊びに来たのかもしれません。
#トランプ
#スペード
#ファンタジー
さのたけ
No.506 詐欺師「ハート」
ハートの魔物。魔物友達から聞いた「悪女」というものに惹かれて、結婚詐欺師を志す。どうせ騙すなら好みのタイプがいいと入念に吟味した上でターゲットを選び、見事結婚にこぎつける。夫の魔物には詐欺とばれないように精一杯優しくした。「ああしたら喜ぶだろう。こうしたら嬉しいだろう。詐欺とも知らないで。くふふ。」「子供も産んでやろう。立派に育ててやろう。そこまでされて、まさか詐欺とは思うまい。くふふ。」「結婚記念日に宝石をねだってやろう。なんて悪い私。くふふ。」カードの魔物達の間で「愛の人」と呼ばれていることを彼女は知らない。ついでに詐欺という言葉の意味も知らない。後に産まれた子供はNo.537ハートベビーになる。
#トランプ
#ハート
#ファンタジー
さのたけ
No.507 強盗「ダイヤ」
ダイヤの魔物。仲間の魔物にいい暮らしをさせたくて、お金を手に入れようと考える。たまたま目にした強盗事件から、ああすれば金が手に入るのだと学んだ。気の良さそうな老人が一人で営む雑貨店に行き、器用な指先を銃の形にグニャリと曲げてこう言った。「オイ オカネクレヨ。」しかし老人、何を考えたか銃を気にせず裏に回ると、エプロン、はたき、ついでにマスク代わりに手拭いで魔物の口元を覆った。おじいに言われるままに掃除を始める。一日しっかり掃除すると、おじいは銅貨を二枚渡してくれる。「さぁ今日のお給金だ。明日も頼んだよ。」・・・なるほど、これが強盗ってものかと魔物は納得して家に帰った。途中で仲間にお土産を。何だかいい気持ち。それから魔物は来る日も来る日も働いた。もらえるお金が銀貨になった。働くのが人間ばかりになると、ダイヤは忙しくなった雑貨店を後にし、またたまたま寂れた店に入っては繁盛させるのです。
#トランプ
#ダイヤ
#ファンタジー
さのたけ
No.508 きまぐれスコップ
本来、土砂や雪などを持ち上げて移動するための道具に生命が宿ったもの。性格は怠慢で、特に雪が多い活躍する時期には冬眠という名目で、砂利を運ぶために使おうとすると、重いから嫌だ。と、どこかへ勝手に行ってしまう。殺人者が死体を埋める際に使用した事で、そこから死体の恨みが乗り移り動くようになったとされるのが通説。口の中の大きな牙はストロー状になっており、人間の血を吸う事で埋められた死体が生き返ると信じ込んでいる。
#スコップ
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さのたけ
No.509 アルチュウバトロス
アホウドリの中でも一風変わった病んだ種。きっかけは停泊していた海賊船。酒をたっぷり積んだ無人の船に群れは集まる。片っ端から食糧を貪る。次から次へとあさる鳥は栄養と共にアルコールもたっぷり摂取。こりゃ気持ちいいと癖になり、酒に魅せられた群れが完成。大抵、酒好きなのはオスで驚くことに酒場に現れる事も。素面の他の鳥と喧嘩したり、酒が原因で子育てに協力しないなど、仲むつまじい事で有名な夫婦関係にも亀裂が入る事や、体毛が極端に濃い部分があり、そこがネクタイの様に見えるため酔った会社員のように見えるあたり、我々の世界とまるで同じである。また度数の高いアルコールを飲んで火を吹くものも。
#アホウドリ
#ファンタジー
さのたけ
No.510 ビリビリブルー
静電気で痺れる感覚が病み付きになった、とある神父の成れの果て。静電気を求めて無闇に人の手に触れようとしたため、聖職者のくせにお縄になった回数が片手の指で足りない。しかしその性癖以外は人々を思う本当に素晴らしい神父だったため、その度釈放されていた。最終的にはより強い刺激を求めて雷雨の最中剣を掲げて落雷を受け、恍惚のうちに命を落とし、体がビリビリ揺らぐ幽霊と化した。顔が凶悪に見えるが、これは行きすぎた歓喜の表情。快感の度合いに応じて頭の電球が光り、溜まった電気を尻尾のコンセントから流すことができる。神父時代からの博愛精神を発揮してこの喜びを分かち合おうと、死にかけた人間に近寄ってはコンセントで感電させて仲間に引き込もうとする。そうして少しずつ増えていき、今はもう世界中に潜んでいる。
#雷
#ファンタジー
さのたけ
No.511 不老ベリー
収穫されないまま年老いた、苺のモンスター。杖をつきつつも、人間の血を吸う事でアンチエイジングとばかりに実の赤さも、へたの緑色も保っている。しかし加齢臭こそしないものの、甘い香りを放っていたのは遠い昔。育ての農夫を襲う事はなく、共に新しい苺の育成に余念がない。糖度にこだわったり、水の質や量などアドバイスする一方でプライドが高く、他の果実を嫌い腐らせてしまうため追い出す農家も。種と言われる部分からは手が生え、舌が異常に丈夫で足代わりになっており、珍しがる研究者からの研究依頼を断固として拒否している。血がたっぷり含まれたこの実を潰したジュースはドラキュラ達の間で愛飲されている。
#苺
#ファンタジー
さのたけ
No.512 ルナベビー
月の子供と呼ばれる、丸い顔の小悪魔。体の皮膚が極端に薄く脳や臓器は透けて見えているが、無邪気な笑顔は不気味さを感じさせない。しかし、その姿からは想像できないくらい好戦的で、不思議な力で操る球はきれいな色に塗られた人を簡単に殺傷できる鉄の球である。呪文を使えると信じこんでいるが、言葉がまだ未熟なため何を言っても発動しない。真皮自体が弱いため体温調節がうまくできず、太陽を避け主に夜間行動する。特に女の子は成長すると、誰もが羨むそれはそれは肌の美しい女性になるという。
#小悪魔
#ファンタジー
さのたけ
No.513 おしくらまんじゅう
「おしくらまんじゅう、押されて泣くな」。子供の遊びで覚えのある歌を永遠にリピートしながら現れる、饅頭。出会った時は二体が遊んでいるが、次から次へと仲間が集まる。やがて、こちらを遊びに巻き込んでくる。遊びと侮るなかれ。どんどん増える饅頭は、歌いながら時に力強く、時に憎らしげに旅人の骨を折るまで巻き込み続ける。その結果、最初は甘かった饅頭は人の肉汁をたっぷり吸った、肉まんに変化した。
#まんじゅう
#ファンタジー
さのたけ
No.514 ジャンジャン貝
貝のように見えるが深海魚の一種。その進化があまりにも異形なためモンスターに分類される。平常時は殻に見える部分も柔らかい。触るとぬるっとしている。下の擂り鉢のような形の部分が本体で、上半分とは細い神経で繋がっていて上部分は周囲を探るための感覚器としての機能を持っている。本体は海底の砂に隠れており、上半分がエイのように海底を泳いでいる。滅多に狩りをせず、その頻度は5年に1度程度。狩りの際には上下合わさって貝のようになり、筋肉を硬質化させて金属同様の固さになる。海底の水圧に耐えるだけの硬度を誇るため、その重量も相応に重く地上では考えられないほど。上下の体を楽器のように激しく打ち合わせ、その激しい音の波で周囲の生物を根こそぎ餌にする。動くもののいなくなった深海で、仕留めた獲物をゆっくりと、だが全て捕食する。狩りの際の音量は遥か遠く地上まで届き、海の雷鳴とも呼ばれて地元の漁師からは恐れられている。
#貝
#ファンタジー
さのたけ
No.515 ピッグフェイス
豚の全てを「神」と崇める、変わった種族。彼らは皆、一様に豚の頭を被って尻尾を腕に付ける生活をしており、小さい頃から豚と共に暮らすが肉は一切食わず精神的に愛し拝み続けている。匂いでわかるという豚肉を好んで食べる者を心底嫌い攻撃的だが、何せ肉を食べない生活から体は小さく、被りものが重いため肉のハンマーを振りかざすも命中する事は少ない。そもそも崇めてる豚の肉を武器として使用するのが謎。補うかのように呪文に長けてはいるが、どれもこれも微妙なものばかり。種族の中でカルト的な要素を嫌う者が、通常埋没してしまう肉の中で滅多に取れない部位の肉をこっそり売りさばくという矛盾点が問題になっている。彼らの口癖は訳すと「豚神様、バンザイ!」らしい・・・
#ファンタジー
さのたけ
No.516 誘惑ロリポップ
お菓子の家に住む化物、ヌガーガ(No.488)が造り出し生まれる飴のモンスター。甘い香りをさせながら移動し、子供たちの元へ。敢えて親から離れて遊んでる子達に近付きグルグル模様で混乱させ、お菓子の家へ案内する役目を担っている。ただ甘いノーマルなものから炎を吐く「激辛キャンディー」、凍える息を吹く「極寒アイスキャンディー」なども存在。人間の顔、特に若ければ若い皮膚を舐め回すのが大好きで、子供達や甘い物に目がない若い女性の味を逆に堪能する気持ち悪い種。男性や高齢者には目もくれない。何度も被害に遭っている顔の傷は彼らが最も嫌うネズミや犬、猫など小動物にかじられた不名誉な証である。
#ペロペロキャンディー
#ファンタジー
さのたけ
No.517 ヒカゲとヒナタ
脱獄を狙って手を組んだ、性格が真逆な死刑囚の二人。残念ながら脱走する事が叶わないまま殺されたが、地獄に落ちても閻魔大王の粋な計らい?で敢えて妙な連帯感は継続。繋がれた二人一対で行動しているが馴れ馴れしく、楽して生きる事が全てと考えていた能天気な片割れに対し、他人の干渉は一切せず、ひっそりとじっくり考える影のような頭脳派。全く逆の二人はうまくいくはずもないが、それぞれ魔力、剣力に長けており魔界では囚人服のまま特定の場所を保護するよう指示されている。切ろうと思えば切れる繋がりを絶とうとしないのは、怒らせると恐いのはお互い相手だと信じて疑わないため。
#ゴースト
#ファンタジー
さのたけ
No.518 積み木魔人
子供達から遊ばれなくなり捨てられた、積み木がモンスターに。世界中のどこにでも出現する。1ターンごとに体のパーツを組み換えて自在に攻撃をしてくる。その度に魔法の耐性、攻撃方法、身軽さが変化するので厄介。一定以上ダメージを与えるとパーツを1つ落として逃げていく。最後のパーツまで集めた後にとあるダンジョンのからっぽの宝箱に綺麗にパーツを全てしまうと、起き上がって心強い仲間になる。宝箱のモンスター、ミミック達と何故か仲がいいらしく、彼が仲間にいると世界中の全てのミミックと村人のように話ができる・・・が、話の内容の大半はダンジョンが暗い、魔王に大事にされない、等の愚痴。
#積み木
#ファンタジー
さのたけ
No.519 マトン・ボール
もちろん効果は人それぞれだが、羊を数えると睡眠導入に役立つと言われている。こちらは逆に睡眠を邪魔する憎らしい羊。毛に包まれた丸い体でボールのように跳ねる姿が特徴。後肢はあまり使わないため、かなり退化している。鞭を持ち、ひとたび打つと目覚めざるをえない悪夢を連れてくる。無論、夜行性で自分勝手な性格。他人の眠りを妨げるくせに昼間、呑気に山の崖などで寝ている時に睡眠の邪魔をされると群れで襲いかかってくる。数はどんどん増え、原因に心あたりない不眠症で悩まされる人は年々増加。それは大抵、この羊の仕業である。ちなみに美しく輝く毛は一本あたりが高値で取引されるが、命が途絶えた瞬間に灰色になり肉とともに価値は全くなくなる。
#羊
#ファンタジー
さのたけ
No.520 奇襲ドリアン
スコールの多い、熱帯雨林の森に生る果実の化物。通常は20~30cmほどが時間が経てば経つほど大きくなり、やがて重くなった実は自然と落ち、割れる。思いのまま動き人を襲うため、これが出る地域ではドリアンがある程度大きくなったら即収穫する。体中にびっしり生えた刺はもちろん、強烈な匂いの成分は人を殺傷するものも含まれており、目や口となった種子の周りの可食部分は食べられたものではない。しかし命は短く、1~2週間で朽ち果てる。自分が臭いなんて微塵も思っていないため天敵が近寄らない事も、仲間と呼べる他のモンスターがいないのも、「我こそが果物の王様だから」、と思い込んでいる悲しい一面を持つ。
#ドリアン
#ファンタジー
さのたけ
No.521 !!(ビックリ)スピリット
種の幽霊。土に埋めても決して芽吹かない。月夜に外に出しておくとそっと胞子を1つだけ飛ばし、胞子が取りついた生き物の心を吸って成長する。吸った心により様々な姿に育っていく。乱暴者の心で育てば刺々しく、世を恨む者の心の叫びで育てば化け物のような様相になる。育ちきった姿は感情を表す記号を模していることが多い。どの言語の記号になるかは取りついた相手に準ずる。怯えたような姿のこの魔物が多く見られるのは近くに強大な魔物がいる印。因みにこの魔物、いわゆる善人に取りついてしまうと、柔らかな空気感を表現するため仄かに光る霧状になり、そこに満足そうな笑顔が浮かび上がるため、悪人から育ったものよりよほど不気味になる。回復してくれるらしいが、不気味すぎて回復どころか死んでしまう者の方が多いとか。
#ゴースト
#ファンタジー
さのたけ
No.522 がまぐちおばば
玉の輿を狙って結婚後、贅沢三昧の生活を過ごした女性は端から愛などないため、旦那が先立った後には悲しみや後悔なんて欠片もない。そんな彼女らには突如呪いがかかるという。ある朝起きると顔はがま口になり、どんなに若い女でも皺だらけの老婆の姿に。歯が全て抜け、その代わりに自らの手中に収めた大事な旦那の財産が泡銭の如くボロボロと口から溢れ出ては消える。その豹変ぶりに驚き誰もが離れ外出もできず、ひっそりと孤独に死を迎える者も。居場所がなくなった女たちは人里離れた地に独自の村を作り、改心したかのように農業に精を出すが、それもあらゆる薬の元になると考えられる植物「マンドラゴラ」を収穫すると、元の姿に戻れるという伝説を信じての事。戻れぬまま死んでいく者が多いが、皮肉にも数が減る事は一向にないという。どんなに醜くなってもこぼれ落ちる金と同じ色の長靴だけは、彼女たちのプライドなのだ。
#がま口
#ファンタジー
さのたけ
No.523 深海ギミック
現在でも調査が行われている深海。当時、トップクラスの頭脳を誇る学者達の総力を結集し生態系を探るために開発された、そこに生息している生物に近い型の機械。頭部のアンテナから独自の電波を発し、海面に近い場所で生活する魚達から少しずつエネルギーをリレーの様に深海まで繋いでいる。開発者が全員亡くなった今ではコードが手の様に見えるぐらい故障が進んでいると思われるが、まだゾンビのように深海を浮遊しているという。現在でこそ普通に電化製品で取り入れられているメカニズムを当時どのように開発したのか、全くの謎だが恐らく口の後ろの突起部分は録画機能であると思われ、どんな映像が残されているのかは永遠に解明されないであろう。様々な潜水調査船や無人探査機の元祖といえる。
#深海
#ファンタジー
さのたけ
No.524 自称チャンピオン
上へ上へと日々、努力を怠らない魔界のボクサー。個体によってはライトフライ級のチャンピオンもいるにはいるが、ほとんどは自称。級によって完全に棲息する地方も分かれており、課せられた練習や減量を各々こなしている。厳しい世界ゆえ、挫折する者も少なくなくそれは魔界ではれっきとした敗者となり、存在自体消される。一方、認められた幸運な者もよりハードな生活を強いられる。×の形の顔は見た目から縁起悪いが、魔界でのボクシングは賭けの要素が強く勝ち負けが全て。見た目は関係ない。殴られ続け、目の周りが腫れても顔が変形しても、闘いを挑む。その姿勢は賞賛に値するという。時に繰り出す痛恨の一撃は特に脅威。羽を持ち、空中戦も可能な筋肉質な体はかなり有利。だが、知能が低く頭を使う事は苦手。どこかで聞いた事のある「~っちゅね」で会話するのが仲間内で流行しているらしい。
#ボクサー
#ファンタジー
さのたけ
No.525 ヘドロモドロ
酷い悪臭を放つ、公害ともされる汚泥で形成している種族。普段は下水道で沈殿しているが、大雨の日は下水道内の圧力が高まる事で生命力も増大し、マンホールごと吹き飛ばし現れる。人間を汚泥に巻き込み死亡させる事から最近のゲリラ豪雨と相まって、それは人類への一種の警告とも言える。作業のために中に入った作業員が酸欠やガス中毒で亡くなるケースも全てこの怪物の仕業。最近引火して、爆風で蓋が飛ぶ事故が相次いでいるのもこれがメタンを発生させているため。特に都市部で被害は増加の一途をたどり、駆除したと思えても次々現れるのは工場からの廃液や遺棄物が主な発生源であるから。可愛い顔に騙される前に現状を変えなければいけないのは、やはり人間の方であろう。
#泥
#ファンタジー
さのたけ
No.526 イケ面
蘇った後、自分の痩せ細り汚く歪んだ顔を隠したがるゾンビ。生前、外見に自信があった者がその姿に耐えきれず邪悪な力を持つ魔術士に顔を隠し、更に魔力を発動するマスクを依頼した。こちらからしてみたら、どこからどう見てもバランスの悪いマスクを大層気に入り、女性を口説こうと夜な夜なさまよっているが、口説き落とせた事は一度もない。眼光「フェロモンレーザー」なる光を発するが、そもそもゾンビなので生身の女性に効くはずもない。あまりにも振り向いてもらえないため妥協しているのか、眼光が効果てきめんな同じゾンビ仲間の女性との気持ちの悪い恋人関係が次々と誕生している。イケメンには手鏡は必需品。気づくと覗いてはうっとりしている・・・
#お面
#ファンタジー
さのたけ
No.527 アカオニフンダ
その昔、鬼が踏んづけたキノコがこれになったのが元。鬼の形相、姿にもよるらしいが概ね一様に角を生やし、本体とは別に先が金棒のようなキノコを外敵に対しての武器として生やしている。通常キノコは胞子をつくり散布させ数を増やすが、鬼からの強大なエネルギーが加わり自らも成長したと考えられる。こちらは赤鬼に踏まれて誕生した赤い個体。角のような突起が二本、日光が届かない深い森に棲息し日中は土に埋まっている。夜になると動き出し、町や村の近くまで来る事も。胞子を撒き散らし、時には動物や人間の口の中に。放っておくといつしか体内にはキノコが、毛穴からは男女問わず鬼と同じような濃い眉、髭や剛毛が生えてくるという。集団で人間を土の中へ引きずり込み養分を吸収する事も。山の専門家ですらも見つけたら青褪めた顔で逃げ帰る。なぜならこれが埋まっている下には高確率で人の骨が埋まっているのだから。
#キノコ
#ファンタジー
さのたけ
No.528 アオオニフンダ
こちらは青鬼が踏んづけて誕生したキノコ。基本的な体型は一緒だが角のような突起は一本。赤、青ともにこの突起は1~2年に一回は生え代わる。吐き出す胞子の量が圧倒的に少ないため、赤い個体と比べ見かける機会は極端に少ない。体長も赤が1m~1m20cmなのに対し、青は80cm~1mくらいである。その分知能が高く、土の中へ人を引きずり込むために誰もが騙される落とし穴を器用に作る。一時期、人間の間で「赤は食えんが、青は焼くと美味い。」と噂され、乱獲された時期があり更に数は減少。しかし噂は噂。食べた人間は皆、食中毒を起こしこの世から消えたという。実際に赤を身に纏うキノコは現在でもよく見かけるが、青いキノコはそうそう見かける事はない。大ヒットしているキノコを食べて主人公が大きくなるゲームに出れる日を夢見ている・・・
#キノコ
#ファンタジー
さのたけ
No.529 デスキート
沼や川など水辺に多く棲息する、蚊のモンスター。成虫は通常の20倍以上にまでなる。発達した頭のアンテナで体温や匂いを察知し、集団で獲物を襲う。前述の通り水辺に棲息するため釣り人が標的になる事が多い。体の大きさから栄養素が大量に必要で哺乳類、とりわけ人間から吸血する。人の血液型により吸う役割が分かれており、それぞれ健康な者の血液をフラスコ状になっている腹部に溜める。時に輸血にも使われる、協力的な昆虫でもある。また雄は溜めた血の量で雌にアピールする。刺された後は痒みを発するのはもちろん、顔に模様のある病原体を媒介する種は麻痺症状を起こす。羽音はかなり低音で、接近してくるのがすぐわかる。遠い異国の地で開発されたグルグル模様の線香はこの蚊の目から生まれたとか・・・?皮肉にも害虫駆除用として。
#蚊
#ファンタジー
さのたけ
No.530 バルーンサンタ
メリークリスマス!というには遅すぎる時期に現れる凶悪なサンタ。敢えて遅く人間界に参上した彼らからは残虐な死のプレゼント。良い子が貰える本当のサンタからの贈り物に喜んでいる子供たちの中から、無差別に未来を奪うことに悦びを感じる変態サンタ。短気で共に行動するはずのトナカイも残らず惨殺し、乗るはずの橇は粉々にしたという。風船のような太った身体で、嬉しいオモチャではなく刺のついた重い鉄球が入った袋を力強く振り回し親子共々殺戮する。楽しいはずのイベントに違う意味で興奮し、ことごとく破壊する悪魔である。季節など関係なく出現し、ハロウィンには「♪ちょっと早いメリークリスマス♪」と声高らかに殺人に参加する。こう見えて脂肪は少なく体内のほとんどが空気のため、重い袋は舵代わりでもある。身体的特徴をからかうと顔色が変わり、ますます狂気を増す。
#サンタ
#ファンタジー
さのたけ
No.531 タマゴトカゲ
過酷な環境を生き抜くには知恵も体力も必要。海に近い砂漠にしか棲まないこのトカゲは鱗を極力減らし、ツルンとした卵型の体を手に入れた。朝方、海から流れてくる霧を集団で鱗の凹凸を利用し受ける。それは全く違う類である虫から学び、露で湿った体は水分を含み水として摂取する他、乾燥した地域では有り得ないまさに卵肌を保つ秘訣でもある。夜から活動を始め昆虫や小動物、またはその死骸を食べる。朝のその儀式までは餌にありつけない個体がほとんどだが元来の生命力がとてつもなく高い。口の周りが青いのは天敵の危険な毒蛇に噛まれて腫れ上がり、唇のようになったから。鋭い爪や牙をもつ割に戦いは好まず、すぐに砂の中に隠れてしまい頭だけを出すその姿はバンカーの中のゴルフボールさながらである。仲間意識が強く危険を感じると、次々に仲間を呼ぶ。ペットとして飼う事もできるが仲間が側にいないと寂しくて死んでしまうため、あまりお薦めできない。
#ファンタジー
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