【ポセイドン×パーシー】HAPPY FATHER'S DAY【腐向け】こちらの作品には父×息子のカップリング要素が含まれています。
好みの方は読んでみてね。
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ついにこの日が来てしまった。正直父さんと会う約束を取り付けた時点でばれてしまってないかすごく不安だった。
挙動不審にならなければいいけど、なんて思いながらそわそわとしながら身だしなみを整えていく。顔を洗って髪を梳かし、着ているシャツの襟を正すと鏡の前でくるりと回って変なところがないか確認した。多分、大丈夫。数回深呼吸をして気持ちを落ち着ける。
その時、玄関のチャイムが鳴り驚いて思わず跳ねてしまった。結局深呼吸した意味もなく、どぎまぎした動きで玄関へ向かい扉をあける羽目になった。
「は、はい?」
「おはよう、パーシー。迎えに来たぞ」
「と、父さん、おはよう」
ああ、やっぱりどもってしまった。恥ずかしい。けれど父さんは気にせず普段の柔らかい笑顔で聞いてきた。
「さっそくだが出かけるか? それとももう少し待とうか?」
あまり待たせるのは申し訳ないし、これ以上準備するものはない、と思っていたが一つ忘れそうになったので慌てて取りに行く。
「ごめん、おまたせ! 行こ!」
肩に荷物を入れたバッグを掛け、父さんと目的の場所へ向かった。
「うわあー! すごい! 水族館大きい! 父さんほらみて、すごい!」
「はしゃぎすぎてこけるんじゃないぞ」
父さんとおれはジョージア水族館へ来ていた。おれがずっとジョージア水族館へ行きたかったという事を話すと、それなら一緒に行こうと父さんが言った。
いつがいいか聞かれ、確か第三日曜日が父の日だった事を思い出し今日に至る。まあ、父の日など関係なく純粋に楽しんでしまっているのだから申し訳ない気もするが。
待ちに待った水族館を早く見て回りたくて仕方なかったが、今日一日ゆっくり見て回るのだからそこまであせる必要もない、と思いなんとか落ち着いた。
入館して父さんと手前から順に見て回る。
水槽の前に着くたびにおれたちの前に魚たちが来ては〈海神様だ!〉と騒ぎ群がってくるのを父さんが自然にしているようにと伝えて元通りになる、というのが繰り返し起こり、それを見て思わず笑ってしまった。
「父さん、人気者だね?」
「そうだろう? モテる男は困るな」
「あはははっ」
父さんは冗談めかして言い、困ったような表情で笑いながら髭をなでる。確かに息子という贔屓を抜きにしても、父さんはすごくハンサムで笑い皺があるのが逆に優しい雰囲気を出しているように感じるくらいだ。特に好きな事を話す時は瞳が輝いて若々しさに満ちている。
でも父さんは他の神々とは違って父親としての印象が強いからか、神様なんだと知っていても、すごく人間味を感じてしまう。
水槽から届く青い光で照らされている姿は目を惹きつけて離さない不思議な魅力がある。父さんが魚たちについて説明していたりあれこれ話しているのをぼんやりと聞きながら、気づけばおれは相当凝視していたのか、父さんは話をやめておれの方を向いた。
「どうしたんだ、パーシー」
「え?」
「さきほどからあまり話をきいていなかったみたいだが、何か気になることがあるのか?」
「えっあっ、ごめん父さん! 見惚れてて……」
「……見惚れる? 何に?」
しまった、口を滑らせてしまった。
おれの言葉に興味を持ったのか、父さんは少し楽しそうな顔で再度聞いてくる。
「パーシー。何に見惚れていたんだ?」
「え、っと……」
口ごもるおれの顔を覗き込んで、頬に手を添えられ視線を合わせられる。
「ペルセウス、教えてくれ」
父さんの優しく低く囁いたその声で頭がいっぱいになり、周りの騒々しさなんて耳に入ってこなかった。
「と、父さん、に……」
「そうか」
おれの言葉を聞くと父さんはすごく嬉しそうに目を細めた。添えられていた手でそのまま頬を撫でられた。その仕草に変にドキドキしたけど、父さんはさっきまでの事なんて何もなかったかのように「いこうか」と言い、おれはついていくしかできなかった。
水槽の中にあるトンネルをゆっくりと通って行くと上をジンベイザメやエイが上をゆっくりと泳いで行く。ほかの魚たちも渦を巻いて泳いでいくものもいれば大きな魚にひっついて泳いでいくものもいた。
海の中で見る景色とはまた違った美しさがあってずっと上を眺めていると、不意に腰に腕が回され思わず硬直した。
「パーシー、そんなに上ばかり見ていると後ろに倒れてしまうぞ」
「ご、ごめん」
きっとあほみたいな顔で上を眺めていたんだろうな。恥ずかしい……。
そしてまだ腰に手を置かれていることに気づく。
「父さん、もう大丈夫だよ。ありがとう」
けど、父さんの腕は離れる様子がない。
「父さん、どうしたの? もう支えなくても大丈夫だよ?」
不思議に思っていると、父さんはおれをじっと見つめている。少し気まずく思っていると父さんが言った。
「綺麗だな」
「え? ああ、本当に綺麗だね。海とはまた少し違った感じで――」
「お前が綺麗だと言ったのだ」
顔が熱くなっていく。ど、どうしたんだろう、今日の父さん。なんか実の親に言うのは変だけど、すごく色っぽいというかかっこいいというか。
「パーシー、今日水族館を見終わったらどこかに食事に行かないか」
「えっ、いいの?」
今日水族館に行きたいなんて頼んでしまったから父さんに時間を割いてもらったのに、ご飯までいいのかな。
気にするな、というように父さんはおれの頭をなでた。
「どこか食べに行きたい所はあるか?」
「行きたい所はとくにないかな。もし父さんのお勧めの場所があるならそこに行ってみたい」
「そうか」
そういうと父さんはまた嬉しそうに笑って腰に置いていた手を離した。
その後も大きな水槽越しに見える魚たちを見て回り、時には「すごいね」「わしの宮殿のほうがもっとすごいぞ」「それは規模が違うんじゃ……」なんてやり取りをしていた。 物語仕立てのイルカショーを見ている間なんか、父さんが横で「あそこのバンドウイルカはドルフィンのいとこで、今フラフープの中をくぐったのは姪だな」なんていうから思わず「ここでみんなを笑顔にしてるんですね」とか答えてしまった。
「本人たちも今の暮らしに不満はなさそうだからこのままでもよさそうだな」という言葉にちゃんと家臣のことも考えているんだなぁと気づいて嬉しくなった。
イルカショーを楽しんだ後、最後に売店を見て回る。
「あ、これかわいい」
「どれどれ? ……これが?」
おれが手に取っていたものはフグのストラップだった。
「だって、父さん最初ポールにあった時『ブロウフィッシュ』ってわざと間違えてたでしょ? あれ以来なんかちょっとフグに親近感が湧いてて」
くすくす笑って色んなデザインのフグのストラップをあさる。水色、ピンク、黄色、緑、紫、オレンジ……フグに使う色にしてはいささか派手なものもたくさんあったがかわいければいいのだろう。おれが水色とピンクと黄色と緑の同デザインのフグのストラップを買うことにした。
それを見た父さんは微妙な顔をしている。けど、おれが自分で買おうとしているのに気付いたのか、適当にペンギンクッキー(ただペンギンのイラストが印刷されたクッキーだ)とマッコウクジラのぬいぐるみを手に取り、おれの分と一緒に会計してくれた。
「ほら」
「あ、ありがとうございます」
会計済みの物を受け取り、その中から緑色のフグを父さんへ渡した。
「これ、父さん用にと思って買うつもりだったんですけど……いります?」
おれの言葉にまさか自分のために買おうとしているとは思っていなかったのか、父さんはきょとんとしていた。そしておれの手から緑色のフグを受け取るとまじまじと見て、笑顔になった。
「ありがとう、パーシー。なくさないように大切にとっておこう」
「買ってくれたの父さんだし、なんかすみません」
「いや、いや。わしのために買うつもりだったということだけですごく嬉しいよ」
「これなら家族全員でお揃いで持てると思って」
父さんは再度目を見開いておれを見つめる。
「わしもパーシーの家族にはいってもいいのか?」
「もちろん。父さんが人間の家族の中に数えられるのが嫌でなければね」
「ありがとう」
お礼を言われるようなことは一切言ってないけれど、父さんがあまりに幸せそうに笑うので何も言えなかった。
水族館を出て、父さんのお気に入りのレストランへ向かうことになった。よかった、それなりにまともな服着て行ったおかげでそこまで浮かない……はず。
そんなことを思いながらどうやって行くのかと思っていたらすぐ近くだそうで歩いてその場所へ向かう。
その間不思議だったのは父さんがずっとおれの手を握ったままだったこと。いい年した息子が父親の手を握って歩くなんてちょっと恥ずかしい。でも周りの人たちは気にすることもなくすれ違って行くので、そのまま手を繋いでいた。日が暮れはじめ、少し肌寒い気温になってきた中、父さんの手の暖かさが心地いい。
「着いたぞ。あの店だ」
父さんの言葉に顔をあげると、海沿いにロッジのような建物が建っており、店の前にはハイビスカスが咲いている。いかにも海の家っぽい。
「上品すぎるレストランじゃなくてよかった」
「まあ、そういう所も旨いものはたくさんあるが、わしはこのくらい気楽に食べられる所の方がいい」
「そうですね。おれも堅苦しいのは苦手で……」
「いつかそういう所でディナーにする日があるかもしれないから、作法くらいは知っておいた方がいいとは思うがな」
「うっ……」
おれの反応に父さんは笑いを噛み殺しながら店内へ入り、席へ案内される。メニューは海鮮物が多いかと思いきや肉系が多かった。おれは煮込みチーズハンバーグとパイ包みスープのセット、父さんはミックスグリルとコーンスープのセットを頼んだようだった。
注文した料理が届くまで他愛のない話をしていると先にサラダとスープが届いて食べていた。パイはカップの上に包むようにのっていて、食べ方は様々なようで俺はパイをポタージュの中に押し込み、浸して食べていた。ひたひたに浸けたパイはパイ自体の香ばしいバターの味とポタージュがしっかりとしみ込んでいて一口食べるごとに両方のうまみを味わえる。
サラダはドレッシングにゆずが含まれているのだろう、さっぱりとした味わいで千切りキャベツやレタスやコーンのしゃきしゃきとした触感と相まって食べ心地が良い。
あまりのおいしさにあっという間に食べ終えてしまった。気づけば父さんも食べ終えていておれの方をおもしろそうに見ていた。
「おいしいか?」
「うん。サラダとパイ包みのスープでこれだからハンバーグがすごく楽しみ」
「ここの煮込みハンバーグはかなりうまいぞ。マイタケとマッシュルームが一緒に煮込まれているんだがデミグラスソースに合っていてな。チーズもとろけていて濃厚だ。あと添え物のポテトとニンジンが柔らかくて甘くてうまい」
「なんかいろいろ詰め込まれてる感半端ないですけど、すごくおいしいということはわかりました」
いつになく饒舌な父さんに思わず笑みがこぼれる。
そうこう言っているうちに目の前にぐつぐつとソースが泡立っているハンバーグが置かれた。蒸気とともに漂うデミグラスソースとチーズの香りにすでによだれが止まらない。
さっそく一口食べると、あふれ出る肉汁の旨みと絡みつくチーズの独特の風味に唸ってしまった。
「んんんっ……! おいしい! すっごくおいしい!!」
「はは、そうだろう。わしもここのハンバーグは特に気に入っている」
「最っ高ですね!」
絶賛しているおれを見て満足したのか父さんも届いたミックスグリルセットを食べだした。表面がパリパリに焼けたチキンがすごくうまそうだ。
おいしい料理に舌鼓を打ち、食べ終えると父さんが会計をしてそのまま店を出た。支払いはすべて父さんがしてくれたので少し申し訳なかったが父さんは気にするなと言うだけだった。
「おいしかったですね! また来たいなぁ」
「喜んでもらえてよかった。また一緒に行こう」
「父さんの好きな所なら大概好きかも知れない気がしてきました」
「好みが似てるんだろうな」
そんなことを話しながら自然と足は海のほうへ向いていた。また父さんがおれの手を握っている。
月明かりに照らされた砂浜の白さと海の輝きに目を奪われていると、父さんが腰を下ろした。特に何も言われてないけれどおれも続いて隣に座った。
少しの間、二人とも何も言わずに海を見つめていたけれど、父さんが口を開いた。
「今日は楽しかったな」
「うん、楽しかった」
「ところで今日は何の日か知っているか?」
「……お待たせしました」
まさか父さんから聞いてくるとは思わなかったけど、おれは肩から掛けたバッグの中からラッピングされた袋を取り出し、父さんに渡す。
「開けても?」
「いいけど……、その、精一杯考えて選んだんだけど、微妙だったら返してくれていいから」
おれの言葉に少し訝しみながら父さんはいそいそと袋から中身を取り出した。中から出てきたのは青色の生地にハイビスカスやプルメリア、そこにバナナや九官鳥が描かれているアロハシャツ。無言でアロハシャツを見ている父さんに、耐えきれず口を開く。
「……だって、どんなの好きかわからなかったから、色がきれいなのがいいなって思って」
「パーシー」
「う……」
「面白い柄で気に入ったぞ! ありがとう、ペルセウス!」
「へ?」
てっきり微妙って言われるかなと少し思っていたのでまさかの反応に思わず茫然としてしまう。ばしばしと嬉しそうにおれの背中を叩く父さんを見て、喜んでもらえたことが嬉しくてだらしなく頬を緩ませてしまった。
父さんは明日からさっそく着ると言っていたが、ふとオリンポス神殿にいるときくらいのサイズになった時に破れてしまわないのだろうか、ということが気になったがまあ破れた時は破れた時だろう。
うきうきとしていたが不意に真顔になり、どうしたのかと見ていると父さんがおれを見つめてくる。でもなにも言ってこない。どうしたんだろう? 不意に水族館でのことを思い出して顔がまた熱くなってきた。
おれの様子が分かっているのか、父さんは少し笑っておれの方へ身を乗り出してきた。突然のことに硬直していると、顔が触れそうなほど近くにあった。
「どっ、どうしたの?」
裏返った声で聞くと、父さんがおれの砂浜へ置いていた手の上に手を重ね、そのまま指を絡めてきた。
事態が飲み込めず、ただドッドッドッドッ、と心臓の脈打つ音が異常に大きく聞こえる。おれの言葉への返事はなく、そのままキスされた。
「……と……とう、さ、……?」
少しの間触れ合っていただけなのに、まだ唇に熱が残っている。ますます顔が熱くなってきた。
何も言わず見つめてくる父さんの目をじっと見つめ返すしかできなかった。するとまた口付けられる。何度も、何度も、熱い唇が触れる度おれは肩が跳ねてしまう。別に息を止める必要もないのに息を止めてしまい、キスが終わると新鮮な酸素を取り入れるために浅い呼吸を繰り返した。
「ペルセウス」
「……はい」
「わしのことは、父親としてどう思う?」
「父さんは……好きです。いつも一緒にいられないのはさみしいけど、こうやって会えるのはうれしい」
「じゃあ、男としては?」
「男と、して?」
「そうだ。恋愛対象としてどう思う?」
「恋愛対象……」
父親を恋愛対象として見たことなんて、一度としてなかった。――今日までは。
今は、父さんに真剣な眼差しで見つめられるとドキドキして、さっきのキスを思い出してもっとドキドキして……。
「もう……、父さんのこと、父親として、純粋な気持ちでみれないよぉ……」
情けない声でそう伝えると、父さんは笑みを浮かべ再度口づけた。今度は下唇を軽く吸われ、びっくりしてると舌が滑りこんでくる。慣れない感触にぞわりとしたが噛むわけにもいかず、好きなように蹂躙される。……でも嫌なわけじゃない。
なんだか絡み合う舌越しに変な薬を飲まされているかのような気持ちになって、体が火照ってきたような感覚に襲われる。
「んん、は……ぅ……」
自分の口から洩れる声が信じられないほど蕩けた甘ったるいもので恥ずかしさがこみあげてくる。
父さんから与えられる甘い刺激に応えたくて、口を犯してくる舌先を舐め、ちゅうちゅう吸うと少し驚いたのか一瞬、動きが止まったけれど今度はより一層激しく食むように口付けられる。
気づけば押し倒され覆いかぶさられるような体勢で貪られていた。キスが終わり、何も考えられない頭でぼうっと父さんを見つめていると、父さんは愛おしそうにおれの頬をなでた。
「ペルセウス、今日からわしの恋人になってくれないか?」
「え……?」
とうさんのこいびと?
恋人ってなんだっけ、と回らない頭で必死に考えていると絡めていた指をぎゅっと握られる。
「お前が他の者と深い関係になるのを想像するだけで胸が苦しくなる。穢されるお前の姿を、わし以外の誰かに乱される姿を想像してしまって……嫉妬してしまった。お前の望む優しくてかっこいい父親になってやれなくてすまない。わしは……」
そこまで言って、父さんが深呼吸してもう一度おれを見た。
「わしは……ペルセウスの唯一になりたい。お前が望むのなら、海神の座を捨ててでも――」
すべて言い終わる前におれから軽く口づける。
「父さん……海神をやめる必要はありません。あなたは離婚して、おれと結婚しようとしてくれているんでしょう? でもおれは海神である父さんも好きなんです。おれはあなたの唯一にはなれないけど、おれの唯一はあなたに捧げる。……それでいいと思います」
気のせいかもしれないけど、父さんが少し辛そうな表情をしたように見えた。けど、たった一時の恋人のせいで父さんの居場所が奪われるのはおれが耐えられなかった。おれは父さんの枷になりたくない。
「枷ではない。お前を枷だと思ったことなど一度もない。いつも希望として見てきた」
「……」
「だがお前の心遣いはわかった。ペルセウス……お前の生が終わるまで、わしだけの恋人でいてくれないだろうか」
おれは自分で言って少し苦しかったけど、うなずいた。
これでいい。これ以上望んじゃ駄目なんだ。せめてこういうことでくらい、「いい子」でありたい。
……いつか、嫉妬で狂いそうになったら、その時はその時に考えればいい。今はただ、父さんの恋人になれたことを素直に喜んでおくことにした。
おまけ①
「そういえば父さん、これおれが受け取っちゃったけど、父さんが欲しかったんじゃ……」
「いや、別に必要はなかったんだが、流石にフグのストラップだけ買いに行くのは恥ずかしくてな。マッコウクジラのぬいぐるみは枕にも出来るだろうし、クッキーはパーシーが食べたくなければサリーたちに土産として持って行ってやるのもいいかもしれないな」
「んー、そうですね。クッキーならコーヒーのお供にいいかも。母さんも好きそうだし! ありがとう、父さん」
「どういたしまして。……しかし、パーシー。恋人になったのだから、せっかくだから父さんではなくポセイドンと呼ばないか? もしくは愛称でもいいぞ」
「えっ……じゃ、じゃあ……ダーリン?」
「……どうした、ハニー」
「ブッ!?」
「大丈夫か?」
「げほっ、ゴホゴホッ、……だ、大丈夫……でも、なんでハニーなんです……? ていうか適応力すごすぎない……?」
「それはお前がダーリンとよんだからだろう? あとこれくらいでそんな調子だと、例えば主従プレイをする事になってお前が主人の役をする事があったら「ご主人様」と呼ばれる事もるわけだが大丈夫なのか?」
「どうしよう前提が全然想像も付かない!!」
「恋人になったのだから、時にはそういった遊び心があった方がマンネリ化しづらくていいと思うぞ」
「う、うう……父さんがしたいなら……」
(言質確保、と……)
おまけ②
「……兄さん、やけに上機嫌だな」
「ああ、わかるか? 実はこの間パーシーに父の日のプレゼントという事でアロハシャツをもらってな! 今着ているこれがそれだ」
「通りで浮かれているわけだ。……しかしペルセウスの感性はなかなかいいセンスをしているな」
「そうだろう?」
「ああ、少なくとも父親よりは数倍いいな。母親のセンスがいいのだろう」
「おいどういう意味だ」
「そのままの意味だ。いい息子をもって良かったな、ポセイドン」
「パーシーが褒められている事は嬉しいが、同時にわしがけなされているのは複雑だ……」
「どうせならペルセウスに他の服も選んでもらえばいい。恋人になったのだからそれくらい喜んでしてくれるだろう?」
「…………おい、どこでそれを聞いた?」
「アフロディテが嬉々として言い回っていたぞ。留めるなら今のうちだ。まあ、すでに十二神全員には知れ渡っているが」
「アフロディテ!! ちょっとその事を言い回るのは一旦やめてくれまだ早いから!! 頼むから!! 貴重な海の宝石いくつか分けてやるから!! やめろ!!」
「はっはっは、妻に知られないように頑張るんだな、兄さん!」
「ゼウスお前他人事だからと高みの見物しおってええええええ―――――!!」
「はーはっはっは!」
ここまで読んでくださった方はありがとうございます。
元々の作品タイトルはハッピー父の日でした。くそだせぇ!どうせならそのダサさのままでいけばよかったな…(は?)
今気づいたんだけどさ、わしの書くポセパシのポセ、あまりにも執着心というか、愛情が重…。
パシちゃんに見えないところでクソ重い感情を持つな。怖いよ。
あとがき絵には二人だけの結婚式とかしててほしいって描いてあってめちゃくちゃうなずいた。それはそう自分の感想だから。
この作品では水族館デートするポセパシが見たいなという感情からこんな流れになりました。
出てきたレストランはこの作品を書いてる途中で家族で食べに行ったハンバーグのお店がおいしかったのでそこのメニューをだな…。
食レポの才能がないのでおいしそうな描写ができなかったのが心残りです←
あとあれね…読み返してたら同じ言葉短い感覚で何度も使ってたりもっと別の言葉にした方がいいんじゃないかってところが見つかって直してぇ~~~!って気持ちになりましたね!拙さをそのまま残しておきたいのでそのままにしてますけども^q^(なんで?)
次もポセパシソロアンソロジーに載せてたのうpします~。いぇい。