イラストを魅せる。護る。究極のイラストSNS。

GALLERIA[ギャレリア]は創作活動を支援する豊富な機能を揃えた創作SNSです。

  • 1 / 1
    しおり
    1 / 1
    しおり
    シマハイエナのジュンくん!2 ジュンくん 人間年齢1歳6ヶ月 ジュンくん 人間年齢2歳4ヶ月 ジュンくん 人間年齢1歳6ヶ月


    「ジュンくんジュンくん!これなぁに?」
    「わんわぁ〜!」
    「じゃあね、これはなに?」
    「にゃんにゃぁ!」
    「正解だね!じゃあ最後に……これ何色かね!?」
    「あかぁ〜」
    「ピンポンピンポン!大正解だね!流石はジュンくん、賢いね〜!」
     絵本を読みながらそこに出てくる動物や色を質問すれば、スポンジのように知識を吸収してくれるジュンくんは答えを言うことができる。まだ一歳と半年だと言うのに、だ。うんうん、とっても覚えるのが早くっていい日和!
     少し前までは「あい!」とお返事したり「あ〜、」と言語を話すことすら困難だったのに。今や立派にお話ができるようになっちゃってね。
     まだ彼が毛玉だった頃から育てているのだから、彼の成長に感動してしまうのは仕方がないことだね!
    「不躾ながら殿下!この楽園へと水を差すようなことを申し上げるのですが、そろそろ現場へと向かわれないと遅刻してしまいますよ!」
     あぁもう、こんな時間なんだね。腕につけている時計を確認すると、確かにここ……事務所から出ないとスタジオに間に合わない時間になっている。
    「……ジュンくん。もうぼく、出なくちゃならないね。」
     絵本を置いてそしてジュンくんの脇に手を回して抱き上げる。すると、重力に負けないジュンくんの小さな尻尾はピンッと立って、そしてお耳もぼくのお話を聞こうとピンッと立ち上がった。
    「だからね、少しの間だけ凪砂くんと茨と、一緒にお留守番。できるかね?」
    「………えぅ…」
     お留守番、その言葉はジュンくんがきっと何よりも嫌いな言葉だった。その言葉を聞いた瞬間、お口はへの字になってみるみるうちに目尻に涙が溜まってしまう。
    「大丈夫。今日は早く帰ってくるからね。」
    「………ひよぉ……やぁぁ………」
     あぁもう!やなのはぼくだって一緒だね!愛おしい愛おしいジュンくんと一瞬でも離れるなんて耐え難いのに!
    「もう!そんな顔されると離れたくなくなっちゃうね!ぎゅうぎゅう!」
    「うううぅぅぅひよぉ、ひよぉぉ……」
    「はいはい、抱擁タイム終了です。殿下は本当に行ってください。ジュン、貴方はこちらに。」
     ぎゅうぎゅうに抱きしめていたジュンくんを茨にヒョイッと取られてしまったね。
     するとジュンくんはついに耐えきれずに「やぁぁぁぁ!」と大きなお口を開けて泣いちゃった。
    「ひよぉ、ひよぉぉ!ひよ、っ……っひよぉぉ!!」
    「ごめんね……ジュンくん…!行ってくるね!」
     あぁもう、ごめんねジュンくん。今抱っこしたらぼく、君のこともう離せそうになくなっちゃう!
     しかしながらお仕事だって大事なことだから。ぼくの仕事は結局、君をすくすくと育てるためにも必要なことだからね!だから、少しだけ我慢して欲しいね!

     果たしてこのやりとりは何回目となるのだろうね。しかしながらこの瞬間というのはどうにも慣れない。愛おしいジュンくんと離れるなんて、まるで全身が引き裂かれるような苦しみを味わっているのと同義なんだからね。


    ・〜・〜

    「ちょっと、いい加減泣き止んでくださいよ。甘えたがすぎますって。」
    「……ひぅ、」
     ズビズビと鼻を啜るジュンは、声こそ大きくないもののどうやら本気で泣いているみたい。毎回私たちとお留守番、となるといつもこうして数時間は泣いてしまう。
     不甲斐ない話だ、私や茨じゃすぐには泣き止ませることはできない。
    「……ジュン、おいで。」
     茨は優しい子だけど、その優しさを表に出すことって滅多にないからきっと今回だってジュンに対しての態度は冷静なものになるだろう。だからそうなる前に私が彼を抱き抱えて安心させるのだ。
     両手を伸ばしておいで、ともう一度言えば喉を鳴らしながらジュンは茨に抱きかかえられながらも手を伸ばしてきた。
    「ほら、さっさと閣下の元へ行ってください。……あぁもう、シャツが涙と鼻水で。」
     あまり意地悪言う茨にさらに耳を垂れ下がらせて、尻尾もお股にくるんと巻いてしまったジュンはピルピルと震えている。
    「あまり意地悪言わないであげて。……ジュン、大丈夫。日和くんなら大丈夫。きっと位そいで仕事を終えてくれるはずだから。」
    「ひよぉ……」
    「だから一緒に遊んで待っていようか。」
     ぐしゅぐしゅと鼻を鳴らしながらも小さく「あい。」と返事をしたジュンは、やっぱり尻尾も丸まっちゃって耳も垂れ下がってしまっている。
     ソファの上に腰を下ろして、そしてジュンと向き合えるように彼の体勢を立て直してあげた。
     すると少しばかり離れたことが気に食わなかったのか、ぷらぷらと手をこっちに伸ばしてくるジュンの目尻にはさらに涙が溜まってしまった。
     いけない、このままではまた大きく泣かれてしまう。そうなってしまっては私や茨では彼を安心させることができない。
    「ジュン、ほら見て。」
     手に持った携帯端末を素早く開き、そして画像フォルダを素早くタップする。すると映し出されるのは若草色の私たちの太陽だ。
    「……ひよぉ…?」
    「そう。日和くん。この前の音楽番組での撮影の時の。」
     日和くんの写真を視界に収めた瞬間、ひくひくと言いながらも涙声で日和くんの名前を呼ぶジュンは、それ以降画面に釘付けだった。
     日和くんが画面越しにいるんだか、それはそれは目が輝いていて。画面の前で手を振ってみたり、それから「ひよぉ、ひよぉ。」と名前を呼んでみたりしている。
    「これは写真。日和くんのね。……ねぇ、次はこれなんだけど、誰だか分かる?」
     スッと指で画面をスライドすると今度は私の画像に切り替わった。それに驚いたジュンは、ビクッと体を跳ねさせて写真と私をキョロキョロと見比べた。
    「なぁしゃ?」
    「そう、私。乱凪砂。」
    「なぁしゃ!……なぁしゃ〜。」
    「ふふ、なぁに?ジュン。」
     そういえば、つい最近ジュンが私の名前を言えるようになったって日和くんが喜んでいたのを思い出した。それ以降、稀にお留守番を一緒にするのだけど、ジュンは泣いてしまって名前を言うどころの話ではなくなっていたからすっかり忘れていた。
     実際に言われると嬉しいものだね。胸のあたりが暖かく感じて、それと同時に彼に愛着が湧いてしまう。
    「じゃあ最後。……これは?」
     スッとスライドすると、今度は茨の写真がするりと現れる。それに再びピャッと体を跳ねさせて、恐る恐る見つめるジュン。
    「いばぁ……」
    「そう、茨。正解。」
     中々に自信なさげなジュンだったが、私が正解を唱えると嬉しそうに「いばぁ、いばぁ〜!」と茨の名前を呼び始める。
    「なんですか、閣下もしかして自分の名前、ジュンに仕込みました?」
     あまりにも自分の名前を呼ばれているからか、鬱陶しいと顔に書いて振り向いた茨はどうやら仕事にひと段落がついたみたいだ。
     ノートパソコンを閉じて、そしてこちらへと近づいてくる。
    「ジュンは偉いですね〜、自分の名前まで言えるようになって。」
    「いばぁ?」
    「アイ・アイ☆七種茨でありますよ、ジュン!」
     ジュンのことをいじりに来た様子だった。私の膝に乗っていたジュンの脇に手を入れて、そして抱き抱えるとジュンもそれに応答して足を茨に絡めようとする。
    「自分のことは茨でも構いませんがね、しかしながら閣下と殿下を呼び捨てにするのはいかがなものかと自分、思うわけですよ。」
    「かぁ?……れ……?」
    「日和さんと凪砂さんのことです。」
     これは珍しい。茨が私のことを凪砂さんと呼ぶなんて。偶然が産んだことだったとしても、それでも喜びを感じないわけがない。
     きっと私の表情筋はかなりだらしなく緩んでいることだろう。きっと茨に怒られてしまうほどに。
    「この人は?」
     茨はは素早く携帯端末を取り出し、そして私と同様写真フォルダを開いて私の写真を映し出させる。するとジュンは、迷わずに指をさして「なぁしゃ!」と言った。
    「閣下、もしくは凪砂さん。」
    「なぁしゃ!」
    「凪砂さん。」
    「なぁしゃ!」
    「閣下。」
    「なぁしゃ!」
     おや、どうやら茨の教育はうまくいきそうにないね。さん付けで呼ばせたいみたいだけど、中々うまくいかないみたい。
    「……まぁ、どうせ成長すればいくらでも正す機会は訪れますから今はいいでしょう。……じゃあ次、この人は?」
     さらに画面をスライドさせて次は日和くんを携帯に映す。するとジュンの食いつきは凄まじく、尻尾をブンブンと振って、そして耳もぴょこぴょこと跳ねさせて「ひよぉ!」と叫んだ。
    「ひよぉ、ひよぉ!」
    「殿下。」
    「ひよぉ!」
    「日和さん。」
    「ひおぉ!」
    「…………はぁ。」
     あ、こいつバカだって顔をしているね、茨。しかしながら私からするとジュンはとっても賢いと思うけどな。
     私たち単体の名前をもう言えるようになっているんだから。
     普通がどうなのかがまったくもって分からないけど、少なくとも個人を認識する名前を顔と合致されるのって難しいことだって私自身、身を持って経験しているからね。
    「ねぇジュン、これ誰の?」
     個人の識別の次は他人の物と自分の物の識別。それもできるのかなってほんの好奇心で、私の携帯端末を指差してジュンに聞いてみた。
    「なぁしゃ、の!」
     ……おぉ、すごい。自分のと人の、それを言葉にもできるんだね。
    「じゃあこれは?」
     今度は茨の番。指をさして茨自身の端末をさした。
    「じ、くんの!」
     ……おや、さっきのたまたまだったのかな?ジュンが指をさしているのは紛れもなく茨の携帯端末だった。
    「ジュン、これは自分のであります。」
    「じ、くんの。」
    「自分のです。」
    「じ、くんの!」
     ついに始まってしまった茨とジュンの堂々巡り。終わりが見えないそれは、果たして茨が折れることによって決着がついた。
    「……はぁ、やっぱこいつ馬鹿なんですかね……?」
     茨がため息を一つ漏らすところで私は潔く気付いた。ジュンが主張している自分の、という意味に。
    「茨、茨。ジュンは賢いよ。」
     そう、本当にこの子は賢い。お馬鹿さんではないみたい。
    「ジュンが言ってるのは、携帯の画面の話なんじゃない?」
    「…………あぁ。」
     そう、ジュンは茨が指をさしていた方向。つまりは日和くんの写真を自分のと主張していたのだ。
     写真というより日和くんそのものをね。
    「日和くんは誰の?」
    「じ、くん!」
     ほら、やっぱり賢いじゃない。茨に抱っこをされながらも胸を張ってみせるジュンは、どうやら日和くんから隅々まで愛されているお陰でとっても賢い子に育っているみたい。
     茨も珍しく、虚をつかれたかのような顔をしていた。
    「……馬鹿って言ってしまって申し訳ありませんでしたね、ジュン。」
    「めんねぇ?」
    「そうです。ごめんなさい、ですね。」
     ジュンが謝るところでないのに、そう言いながらも茨の頭をいい子いい子と撫でてあげているジュンは、まだごめんねをするとされる側の理解は難しいみたいだった。
    「どうする?もう少しやる?ジュン、これはなにゲーム。」
    「いや、もういいでしょう。ジュン、そろそろお昼の時間ですよ。殿下が帰ってくるまでに食べてしまいましょう。」
    「あい。」


    ジュンくん 人間年齢2歳4ヶ月

    「ジュンくん、ほら。お着替えしようね!さっき朝ごはんのスープこぼしちゃったでしょ?もう下着までびしゃびしゃだね!」
    「やぁだよ。」
    「あ!またやだよだね!?もう、最近よく言うね!それおしまいにすることってできないのかね?」
    「やぁだよ。」
    「もう、こうなっちゃったらジュンくんとお話できなくなっちゃうんだから。」
     絶賛いやイヤイヤ期が到来しているジュンくんは、本当に嫌な時もそうでない時も必ずお返事が「やぁだよ。」になってしまう。
     今回だってそうだ。「ほら、バンザーイ!」と言えばジュンくんも「ばんざーい。」と言って両腕を上げてくれる。
    「おズボンは自分でできるよね?」
    「ジュンくん、できるよぉ?」
    「じゃあやってみようね。」
     そう言えば少しばかりお兄さんになりたいお年頃。自分で脱いで、それで体も自分で拭いて自分で履いてみせる。
     前まではお手伝いしなくちゃできなかったのに。本当に成長というのはあっという間だね。気付いたら自分でなんでもやりたいお年頃になっちゃってるんだから。
    「げきた、おひぃしゃ。」
    「うんうん!とっても上手!さ、このお洋服カゴに入れてきて。洗濯してしまおうね!」
    「はぁい。」
     両手で自分で着替えたものを抱えて、そして洗濯室の中へと消えていくジュンくん。
     それを見送って、そして仕事の支度を整え始める。
     今日は確か、ラジオの収録。それから雑誌の撮影だね。ラジオの収録は流石にコズプロに預けなければならないけど、雑誌の撮影はEdenでのものだからジュンくんも同伴できるはず。
     茨がそうしてくれているらしいし、とにかくこれからどうジュンくんを説得するかが鍵になるね。
     本当は一瞬でもコズプロに預けるなんて、そんなこと本当はしたくないんだけどね。しかしながら、ぼくの職業上、それからジュンくんの獣人という珍しい種族上普通の保育園や幼稚園に預ける……なんてことはできないし。
    「おひぃしゃ、いれてきたぁ。」
    「うんうん!ありがとう、ドアはちゃんと閉めた?」
    「しめた!」
     ドアの開け閉めは行うというマナーの一環で始めたこのルールは、どうやらジュンくんの中では定着してきているみたいだね。
     ふわふわのお耳をピンッと立てて、そして尻尾をブンブン振って誇らしげに胸を張っているジュンくんはきっと『お兄さんだから』というのが顔に書いてある。
     あぁもう、本当に愛おしいね。
     そういえば、ジュンくんのぼくへの呼び名が「日和」から「おひいさん」に変わったのも成長した点と言えるね。
     なんでも、凪砂くんに太陽について教えてもらってる時「日和くんって太陽みたいだよね。」と凪砂くんが言ったのがきっかけみたいで。
     そこからジュンくんはぼくのことを「おひいさん」と呼ぶようになったみたい。
     ジュンくんからならなんと呼ばれようと嬉しいな、としか思わないんだけど、まさかこんな可愛い渾名をつけてくれるなんて思わなかったからね。
     その時は思いっきり抱きしめちゃった。「いたい、いたい、やぁ〜〜!」って言われちゃうくらいには。
     閑話休題。
     ジュンくんが洗濯室へと行っている最中に支度をした自らの鞄を手に持つ。するとジュンくんなりに察する物があったのだろう、少しばかり耳をピクリと動かして、尻尾はへにゃりと下がり始めちゃったね。
    「さて、ジュンくん。……お出かけしよっか?」
     果たして、ぼくの言った意味を理解したジュンくんはついに耳を垂れ下げて、そして尻尾をお股にくるんと巻く。
    「やぁ!」
     やっぱり。足に力を入れてその場から動きません、といった雰囲気を醸し出している。そして目尻には抱き上げたら泣くぞ、と言わんばかりに涙が溜まってる。あと少しなにかをしたら決壊しちゃいそうだね!
     しかしまぁ、ぼくだって結構な回数こうしてやり合っているのだから、流石に学習してるね。
    「じゃあ今日は少し遠回りして、前に行ったお気に入りのパン屋さん行こっか。ジュンくんの好きなパンのヒーローのやつ、売ってるかもしれないよ?」
    「やぁ!」
     作戦その一、違うもので気を逸らそう作戦。流石にこれはうまくいかなかったね。
     パン屋さんに寄っても大丈夫なように時間を多めに確保してるんだけど。しかしながらジュンくんにはこのさ苦戦、今日は効かなかったみたい。
    「じゃあ、今日行ったらおひいさんは明日お休みだね?今日だけ頑張れる?」
    「やぁ!」
     作戦その二、明日に対しても期待を持たせる。いつもであれば、この時点でジュンくんってば明日なにをするか考えるため気が逸れてくれるのであるが、今日はそれも通じないみたい。
    「……仕方がないね。」
     今回、ジュンくんを釣る作戦というのは二つだけしか用意してなかった。だから、後は最終手段というやつだね。
    「ねぇジュンくん、少しだけ茨にお電話してもいい?」
     茨にお電話、その単語をどうやらジュンくんは嫌な意味と捉えてしまったみたいで、ついにジュンくんは「っあぅ…」と声をあげて泣き出してしまった。
    「やぁぁぁぁ!!やぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!おひぃしゃ、っ…!やぁぁぁぁぁ!!」
     ぼくが携帯を取り出し、そして茨の番号をタップした瞬間には、さっきまで動かざるごと山の如しであったジュンくんは瞬く間にぼくの足にギュッと抱きついてくる。
    「やだ、やだ!!おひぃしゃ、やだ!やぁぁ!!」
    「ちょっとまって、大丈夫!茨に預けるとかじゃなくて!」
     コール音を聞きながら、ジュンくんを抱っこできるようにしゃがみ込む。すると光の速さでぼくの首に手を回し、そして大口を開けて泣き出した。
     電話のコール音とジュンくんの鳴き声のアンサンブル。なんだか少し不思議な組み合わせ。
     果たして五回目のコール音で、ついにぷつっ、となにかが切れる音がした。その直後、きっと現場の音だろうね。ガヤガヤと色々な人がやりとりをしている音が聞こえ始めた。
    『アイ・アイ!お待たせして申し訳ありません!七種茨であります!』
    「もしもし茨?あぁもう、やっと出てくれたね。」
     ジュンくんの泣き声はきっと茨のところに届いてるのだろうね。電話越しから「あぁ……」という声が漏れる。
    『ジュンのことでありますか。』
    「そう、ジュンくんのこと。午前中はコズプロに、その後はお昼一緒に摂って雑誌の撮影はこの子同伴ってできない?」
    「やぁぁぁぁぁ!!」
     コズプロ、その単語が聞こえてきた瞬間ベシッ!ベシッ!と尻尾で腕や足を叩かれる感覚が。そして泣き声もさらに大きな物となる。
     もう大絶叫したい放題だね!喉が枯れちゃわないか心配だね。
    『今日のジュンはそんな聞き分けないのでありますか?』
    「ここ最近お留守番が続いちゃったからかね。どうやってもぼくと離れるのが嫌みたいで。」
    『承知しました。……まぁ、先方は多少融通の効くところでありますので、なんとか掛け合ってみましょう。』
    「頼んだね。」
     プツリ、要件が済んだから切った電話に、ジュンくんはスンスンと鼻を鳴らしながら見つめていた。
     少しばかりは泣き止んで、ジュンくん自体も落ち着いたみたい。これならお話ができそうだね。
     携帯をしまい、そしてジュンくんの頭を撫でる。あぁもう、ふわふわの髪の毛が何度でも触っていたい感触だね!
    「今日ね、ぼくと凪砂くん、それから茨でお写真のお仕事があるの。」
    「っうぇ、っひぐ、」
    「そこはジュンくんも一緒でいいんだって。」
    「っ、おひぃしゃ、いっしょ?」
    「ぼくだけじゃないね。凪砂くんも、そして茨も。」
    「なぃしゃ、いばぁ、っ…?」
    「そうそう!二人も一緒だね!」
     みんな一緒。この言葉はジュンくんに効果的面だった。尻尾がピンッ!と立ち上がって、そして目が少しだけ煌めいた。
     うんうん、もう少しだね。
    「だから、ほんの少しだけお留守番できるかね?」
     さて、素直に頷いてくれるものだろうか。ジュンくんは、ひぐひぐと言いながらも少し目線をオロオロとさせた。
     きっととっても迷ってるんだね。ぼくと凪砂くん、そして茨と一緒にいられるということなんて滅多にないから、ジュンくんはそれをとっても楽しみにしている傾向がある。
     今ほんの少しだけ我慢して後にとってもとっても楽しいことをするか、それとも今こうして泣き続けるか。
     ジュンくんはなんだかんだ言って聡明な子だからね。後のことを考えて選択することができる。
     考えて考えて、少しだけうるっと瞳をまた潤ませながらもこくんと頷いた。
    「今回は本当にすぐに戻ってくるから、それまで我慢できるかね?」
    「……っあい、」
    「ぼくが帰ってきたら凪砂くんたちとランチしようね。ジュンくんなに食べたい?」
    「おむらっしゅ、!いちぉ!」
    「うんうん!食べに行こうね!」
    「いばぁもいっしょ、っ……?」
    「茨もいっしょ。」
     そう言えば、ゴシゴシと荒く自分の目元を擦って涙を拭い取ったジュンくんは、ぼくにギュッとしがみつく。
     これは行こうの合図だね。それを汲み取ったぼくは潔く、ジュンくんの靴を持って、そして荷物を持って玄関へ向かった。
    「明日はなにしよっか?久しぶりにお散歩行きたいね。」
    「ジュンくん、ぶらんこやる。」
    「いいね、ブランコ。それからそれから?」
    「おしゅなでおひぃしゃ。……えっとね、あとはしゅべりだい。」
     明日やりたいことを口にするジュンくんのまろい頬は、泣いてしまったからか真っ赤になってしまって。だけどそれが熟れた林檎みたいで、しかしながらもちもちの頬で不思議な感じだね。
     つん、と空いてる手で少しばかり突いてみた。ふにり、と沈み込む頬の感触はきっと、この世の中のどんな物よりも柔らかくてずっと触っていたくなっちゃうね!
    「やぁだよ、おひぃしゃ!」
    「もちもちしてる方が悪いんだもんね!それそれ!もちもち攻撃だね〜!」
     先ほどの究極なご機嫌斜めとは打って変わって、今度は最高潮にご機嫌に戻るジュンくんはケラケラと笑ってぼくの手をそのぷっくりとしている手で押し戻そうとしている。


     果たして、そうこうしている間に遅刻ギリギリになってしまったのはいうまでもないだろうね。そしてジュンくんを預ける直前、今度は体を逸らしてまで他の人の抱っこを拒むほどにバイバイを嫌がったのも言うまでもないね。
    Link Message Mute
    2022/06/19 18:44:34

    シマハイエナのジュンくん!2

    前に出してたサンプルからひっぱってきました。
    ジュンくんの赤ちゃん化注意

    #ひよジュン  #幼児化

    more...
    Love ステキと思ったらハートを送ろう!ログイン不要です。ログインするとハートをカスタマイズできます。
    200 reply
    転載
    NG
    クレジット非表示
    NG
    商用利用
    NG
    改変
    NG
    ライセンス改変
    NG
    保存閲覧
    NG
    URLの共有
    OK
    模写・トレース
    NG
  • CONNECT この作品とコネクトしている作品