Under pressure (Kaffee 2)「こんにちは、あるいはこんばんはエージェント《黄昏》」
指定のコーヒースタンドでコーヒーを飲んでいた黄昏の隣に来た女性は、組織の挨拶を呟いた。黄昏はチラリとだけ彼女を見ると、飲みかけのコーヒーをすする。そんな黄昏を気にもせず女は自分もコーヒーを注文して黄昏に煙草を差し出した。
年齢不詳のその女性そこ黄昏の直属の上司である管理官シルヴィアだった。
駅の中にある数々のコーヒースタンドのうちの一つであるここもWISEの運営する店舗ではあるが、今回は待ち合わせ場所として指定されただけだった。場所が場所だけにてっきり繋ぎの連絡かと思っていた黄昏は、直属の上司であるシルヴィアがやって来たことに少々戸惑いつつ、繋ぎではなくここで指令が下されるのだと、差し出された煙草を一本頂戴する。ポケットをまさぐり、自分のオイルライターで火をつけ煙をめいっぱい吸い込んだ途端に咽てしまう。子供がいるからと禁煙を続けていると、ふとした時に咽てしまうのだが、かといって家で吸うのだけは避けたい。
しかし、任務中や仮の仕事先で吸って帰ってくれば、アーニャは開口一番「ちち、くさい」と言って寄ってこなくなる。となると、勉強を教えることもできないほどに逃げ回って、アーニャのペースに振り回されてその日は終わってしまうことになる。
妻役をしてくれているヨルは、煙草のにおいをまとって帰ってきたロイドに嫌な顔をすることはないが、明らかに少し距離が離れる所を見ると、煙草を好んでいないのは確かだ。煙草を生活の潤滑剤にしていた黄昏にとって禁煙することは苦渋の決断だったが、吸わなければ吸わないで何とかなるものだった。ヘビースモーカーだったのもあってか、止める時はかえってすっぱりやめられた。不思議なことだが、今では吸いたいと思うことも無くなっている。そのため、付き合いで一本もらって吸うと、煙の刺激に喉と肺が耐えられなくなるのだ。
シルヴィアの吸う煙草は強く、注意していなかった黄昏は刺激の強さに咳が止まらず煽るようにコーヒーを飲んだ。
「なんだ、お前がコーヒーを忌々しそうに飲むだなんて」
シルヴィアはその眼鏡の奥から面白そうに黄昏の顔を眺めている。
そんな風に飲んでいたとは、最近、家族ごっこをするようになってから、感情を殺すのが下手になってきている。
何も答えずにやはり忌々しい顔つきでコーヒーを飲む黄昏を、シルヴィアは特に咎めることもなく、強い煙草を吸いながら、腕時計で時間を確認すると話を切り出した。
「さて、もうすぐ入線する列車に今回の仕事のターゲットが乗っている。必ずあのルートを通るから、顔を確認しろ」
黄昏が駅に入った時点で気付いていたが、駅のあらゆるところに武装警官がおり、重警備で立っているだけではなく、国家保安局の職員が一般人のふりをして紛れているし、同じようにWISEの人間も同じ数だけ居るようだった。ただ、この店の近辺には国家保安局員の姿は見当たらず、警備の武装警官も別のホームへと続く先の通路を警備する者が数人いるぐらいで、警備の上ではあまり重要視されていなのだと、だからこそWISEはここにショップを設置したのだろう。距離はあるものの、こうやってコーヒーを飲むふりをしながら ターゲットを確認することが出来る場所だというのに、だ。
こういった場所を見つけるための専門の職員がいるのだが、彼らは地図から読み解く能力が、自分を遥かに凌駕している。もちろん、黄昏自身もそういった訓練を受けたし今でも学び続けてはいるが、今だってその道の専門家に直接その能力(ちから)を学ばせてもらいたいものだと、やはりなぜか眉間にしわを寄せてコーヒーを飲みながら考える。
コーヒーはカフェイン摂取のためだけでなく黄昏の好きな飲み物なのだが、さっきもシルヴィアに指摘を受けた通り、最近はなぜか飲むたびに眉間にしわが寄るのだ。焙煎しすぎだとか、単に不味いだとか、そういったものではない。心当たりがないわけでもないが、嫌いになった訳ではないので、忌々しい顔つきで飲むのは止めたいのだが。
列車が入線する音が聞こえてくる。
一段と高いブレーキ音が聞こえ辺りは静まり返った。ほどなくして、集団ではあるがまとまっていない足音が近づいてくる。
黄昏はコーヒーを飲みながら不思議そうな面持ちで、奥を通り過ぎる集団が要人の改札方面へ抜けていくのを眺め、シルヴィアはチラリとそちらを見ただけで、時計を確認してため息をつく。二人とも、そしてショップの店員である職員も周りの一般人を演じる職員も、誰一人として怪しいそぶりは見せず、数十秒で任務は終了した。
「極秘裏しては随分堂々と帰ってきましたね」
「急に戻ることにしたらしい。だから大規模なお迎えなしに、粛々としてるのさ」
シルヴィアの皮肉に黄昏は苦笑を漏らした。国家保安局とWISEが入り混じり、要人は関係なく、敵対組織の者たちだけがピリピリして何が切っ掛けて撃ち合いが始まるかもわからないこの状況が粛々なのだから。
警備のための武装警官達も持ち場から引きあげていく。黄昏の乗る予定の列車まで時間はまだある。そのプラットホームも、このコーヒーショップの先という抜け目のなさ。
シルヴィアは黄昏の目の前を通り抜けざま、コートのポケットへ何かを入れてきた。諜報員でなければ気づかないだろう、技。
「〇〇通り、テーラー××」
降りる予定の駅にあるその通りの名前はすぐ自分の頭の中にある地図から見つけ出せたが、店の名に覚えはない。自分が知らない店を指定されたということは、新しいセーフハウスだろう。場所の案内を兼ねての、次の任務が始まった。
指定されたセーフハウスはスーツ店だった。ならほど、これなら今日は周囲を気にして警戒する必要もない。客は東国の人間だけだし、店員は東国に国籍のある西国の人間で、協力者のリストで見たことのある者だけ。純粋な東国の人間はいないようだ。
ドアマンにシルヴィアがポケットへと入れていったカード初めて取り出し見せると、ドアマンは店員に取り次ぎ、黄昏は直ぐに奥へと案内された。
「こんにちは、あるいはこんばんはエージェント《黄昏》」
先ほど別れたばかりのシルヴィアがすでにその部屋にいたが、すべては想定済みだ。
店はというと、表はスーツ店、奥はWISEの基地であり、表から見れば奥は工房ということになる。もちろん工房もあるが、一階の応接室らしきこの部屋と地下はWISEのものとして使われる。この応接室は、何も知らずに情報を落としてくれる上客相手の部屋だろう。至る所に仕掛けが見て取れるが、配置されるだろう職員はいない。ということは、今は安全でもあるということだ。
コートと帽子を掛けシルヴィアの向かいの席に腰を下ろすと、先ほどの店員がコーヒーと菓子を持ってきた。店にいた客に怪しまれないよう、この部屋でのもてなしを同じようにしているのだろう。
「コーヒーが仇にでもなったか?」
駅でもそうだったが、黄昏がここまで忌々しそうにすることは見たことがない。かなり頑固な男で、自分が決めたことを頑なに守りWISEいちのスパイとなった男だ。シルヴィアはその成長を直属の上司として見てきた。そしてコーヒーは黄昏の好物であることも一番よく知っている。だからこそ、この男が《黄昏》でいる時に余計な感情を出すことも、それがコーヒーを飲んでいる時に剥き出しになるのも、驚かざるを得ないのだ。
「子供のすることが分からないんですよ」
「子供など、そんなものさ」
そんなことを言ったとしても、子育てをしたことのない黄昏が分かるはずもない。経験があるなら諦めもつくだろうが、結婚もしたこともなければ家庭を持ったことないというのに養子をもらって子育てだ。
「まずはその愚痴を聞いてやろう」
「ええ、聞いてもらわないことには仕事の話を聞けそうにないので」
シルヴィアが頷くと、黄昏は喋りだした。
「子供が突然何か言いだしてそれを押し通すまで頑固になるのは何度も何度も何度も経験しましたよ。だいぶ言い聞かせて諦めさせるのもうまくなったと思いますよ。
でも、この前マシュマロが欲しいと言い出したアーニャを売り場から引き離すのにどれほど苦労したと思います? 危うく警察に通報されそうになったほどですよ」
黄昏の顔に一気に疲れが広がった。その変わりように、シルヴィアは笑い出しそうになるのをこらえながら、笑いそうになる顔を隠すためにコーヒーを飲んで口元を隠す。普段であれば他人の動きの一挙一動をぬかりなく観察する黄昏が、シルヴィアのその動きすら目に入らないのか、絶望に自分の両手を見つめながらしゃべり続けている。
お菓子売り場から引き離したものの、アーニャのその腕にはしっかりとマシュマロの袋が握られているのをレジに向かおうとしたときに気づいたのだ。それを売り場に戻させようと様々な説得を試みたのだが、ヨルのようにはいかない上に周りの視線はとても痛く、通報されるのも自分の身を考えれば絶対に避けなければならず、とうとうアーニャの粘り強さと世間の目に根負けした黄昏は、げっそりとしながらもそのマシュマロを買ってやったのだ。
ヨルがいれば、彼女の説得でアーニャは納得してわがままを言わず素直に戻すというのに、何故か自分との買い物の時には説得できたためしがない。
―― 割と重症だな。
誰もが自分が子供のころのそういった記憶など、きれいさっぱり忘れているだろう。黄昏とて、わがままに親を困らせた時代だってあったはずだが、まさか身をもって知ることになるなど思ってもいなかったはずだ。当たり前の日常を捨てた彼の決意を知っているが、シルヴィアとて、未経験とはいえ黄昏が育児でここまでげっそりすることなど予測していなかった。
ふと、黄昏を見れば、シルヴィアの心配をよそに、独白は続いていた。
アーニャが買わせることの成功したマシュマロは細かいタイプのもので、マシュマロと言われて思い浮かぶサイズからすればそれは食べるには細かすぎる気もしたのだが、本人が欲しいというのだから仕方がない。会計前はカゴに入れさせることに成功したが、会計が終わり荷物を袋に入れる段階になってマシュマロを寄こせという始末だ。買う買わないの攻防で疲れていた黄昏は何も言わず足元でピョンピョン飛び跳ねるアーニャにマシュマロの袋を渡してやる。すると、その顔いっぱいに満面の笑みをたたえるのだから、その笑顔に絆されそうになる。自分が普通の人生を歩んで結婚して子供をもうけたら……というくだらない感情が顔を出すのだ。
家に帰えれば、戦利品のマシュマロを嬉しそうに一足先に帰っていたヨルに見せている。それほどまでに欲しかったのか食べたかったのか、この程度で機嫌がよくなるのならそれはそれでいいかと、アーニャの相手はヨルに任せ、買ってきたものを冷蔵庫へ入れていく。
「コーヒー淹れますね」
背後からしたヨルの声に慌てて振り向いたが、彼女の気配のなさに驚くのはいつものことで、慣れてきている。慣れていいものなのかは分からないが、家でも家族でいる時には気が抜けないのも他人同士が同じ屋根の下で生活しているのだから仕方がないものとして、対応できるようにしとかないとな、と肩をすくめた。
そのままお茶の準備はヨルに任せ、部屋着に着替えた黄昏はリビングへ戻りソファーへと沈む。アーニャを連れて歩くと、いつも疲れが酷い。アーニャに振り回されて、自分がポンコツにでもなったような気分になる。だが、ヨルと一緒にいる時のアーニャはヨルを振り回すことはない。男親より女親の方が、女子であるアーニャには親しみやすいのだろう。そこは仕方ない。
ヨルがコーヒーを置いていった。今の気配は分かった。彼女の気配は気まぐれだから、分かったのも気まぐれ。
どうこう考えていても仕方がないと、出されたコーヒーを取ろうと身を起こそうとした時、アーニャがやって来た。手には憎きあのマシュマロの袋を持っている。また、自分の膝の上に座りたいとねだってくる気なのかと身構えたが、どうもこちらには興味がないらしい。普段は、熱々のコーヒーを飲んでいるというのに平気で懐に飛び込んできて、二人とも火傷をしそうになることもしばしばだ。だが、黄昏の身体能力の高さのおかげでそれを回避しているのだが、注意しようが叱ろうが、一向にまず一声かけるができない。
自分の懐へ飛び込んでくる気配がないので、何をするのかと訝しんでいると、ロイドの前に置かれたコーヒーに買ったばかりのマシュマロをダバダバと投下し始めたのだ。予想外もいいところ、そのため、目の前で起こった惨劇に、ロイドから黄昏への思考の切り替えも出来ず、ただコーヒーに注がれる細かなマシュマロの流れを、飛び散るコーヒーを、口を開けて眺めることしかできなかった。
「アーニャさん!」
アーニャのココアと自分の分のコーヒーを持ってやって来たヨルが、卓上を見て悲鳴を上げた。マシュマロが山盛りになったコーヒーカップと溢れ出しテーブルに転がるマシュマロ、そしてそれを茫然と眺めているロイド。ロイドの頭上には、ヒヨコたちがピヨピヨと回っているような幻覚まで見えている。
普段はアーニャのココアを作って渡してから二人のコーヒーを運んでくるのだが、今日のアーニャはマシュマロの袋を持って上機嫌に自分の足元で飛び跳ねじゃれているから問題ないだろうと、まずは疲れた顔をしているロイドへ、先にコーヒーを出したのが仇になったのだ。
「ロイドさん!ロイドさん、大丈夫ですか?戻ってきてください‼」
ヨルさんが叫んでいるのは分かっているが、マシュマロテロの方に頭がついていけず、どうすればいいのかさっぱりだった。
だが、そのテロの首謀者であるアーニャは、キリッとした顔で、ただ一言。
「ちち、にがいのばかりだめです」
「堪えました……」
あの後、ヨルにこちらに戻ってこられる秘孔を打たれる寸前に避けて、人生とおさらばせずに済んだのだが、コーヒーはというと、マシュマロに吸収されつくし、黄昏はそのコーヒー味のマシュマロを食べることとなり、テーブルにあふれ出た分は、仕方がないと処分することとなった。
こちらに戻ってきて即アーニャを怒ろうとしたが、その前にヨルに遮られた。ロイドを振り返ったヨルは、大丈夫ですからと言って、アーニャと同じ目線になるようにしゃがみ込む。まずアーニャがなぜあんな行動をとったのか聞いて、怒るのではなくアーニャの行動を咎め、しっかりと言い聞かせていた。自分の時は逃げようとするアーニャも、ヨルとしっかりと向き合ってヨルの言葉を聞いている。
「流石は弟を……今がどうあれ育て上げた人ですね。俺にはあのしつけ方はできない」
「おや、一〇〇の顔を使い分けてきた黄昏にもできないことがあるとは、聞き捨てならないじゃないか」
重症だと思っていたが、黄昏の愚痴を聞いていくうちに、それがただの未経験からくる不安であると、シルヴィアは胸をなでおろしていた。ノイローゼまで行ってはおらず、分からないが故の苛立ちと自分の行動に対する愚痴だと分かると、黄昏という男が見せる人間らしさに、果たしてどんな作用があるのか、不安も無きにしも非ずだ。
「結婚に関しては想定されていても、子育てはないじゃないですか。しかも、育てていく過程付き。任務の内容を考えれば仕方がないとしても、過去の事例もゼロ。知識も経験もなしに、手探り状態もいいところですよ」
「まさか黄昏の口からそんな愚痴が聞けるとはな」
笑う管理官の顔は、普段とは違い柔らかい。彼女が子供の話を聞くときは、とても柔らかい顔をするのだ。年齢不詳で、確実に黄昏よりは年上だ。過去は聞いたこともないし、聞く必要もない。ただ、子供がいたようだ、というのは彼女の態度で分かる。
「もう一つ聞いてもらいますよ」
黄昏の目が据わっている。訓練生だったころに一度だけ見たことがあるが、その後は見たことがなかった目つきだ。これは聞いてやらなければ次の仕事の話なぞ出来そうもないと、落ち着くようにと煙草を差し出したが今度は断られた。
煙草を断った黄昏は、冷めてしまったコーヒーを一気に飲み干すと、目が据わったまま喋りだす。
今度は生クリームの話だった。
アーニャの飲むココアのトッピングに生クリームを添えてやる時もあるが、マシュマロと同じように、コーヒーに絞り袋に入った生クリーム全てを投下され、生クリームテロをされた話だった。
自分でやってみたいと言ったアーニャに、それぐらいはいいかとやらせてみたのが運の尽きだった。自分のココアに普段ロイドやヨルが入れてやるより多めに入れホクホク顔をしている。満足げに立ち上がったので、ヨルに渡して冷凍してもらうのかと思ったのだが、目線がロイドのコーヒーに向けられる。
まずい!と、黄昏が反応するより早くアーニャは、ロイド用にと置かれたコーヒーにその全てを勢いよく絞り切ったのだ。
子供の思い付きと行動力はヨルやロイド(黄昏)の身体能力を上回るときが多々ある。それを見せつけられたのだ。
少量ならウィンナーコーヒーと言えただろうに、そういう飲み物は出来上がらなかった。
飛び散るコーヒーと生クリーム
笑い声をあげながら袋を絞るアーニャ
キッチンから惨劇に気づき、走り寄ってくるヨル
そして目の前の情景に虚無となり、力が抜けソファーへ崩れ落ちる黄昏……
シルビアの限界を突破した。
爆笑だった。腹がよじれるほど笑い、笑いが止まらず涙を流す始末だ。
シルビアがこんな風に大笑いするところなど見たことのない黄昏は、先ほどまでの目の据わった顔はどこへ行ったのか、大笑いするシルヴィアをポカンと眺めている。
「悪い、我慢していたんだが、うん、子供はよくやる、くくくくく、それにしても、どれだけコーヒーに執着、くくくくく」
「ああ、もう……どうでもよくなりました」
頭をバリバリと掻いて黄昏はイスにもたれ掛かり大きなため息をついた。
「うん?ははは、さっきのお前の顔、見せてやりたいよ」
「はあ……早く次の任務の詳細をください」
顔を腐らせ、黄昏はため息をつく。
「待て、笑いが収まったらな……いや、しばらくはお前の顔を見たら笑いそうだ」
黄昏には少し育児経験者から授業を受けるべきだなと、病院での雑務の時間にでも時間をとっておかねばと、シルヴィアは涙を拭きながら考える。
「では改めて、こんにちは、あるいはこんばんはエージェント《黄昏》。次の仕事だ」
にやりと笑うシルヴィアに、黄昏も同じようににやりと笑い返す。
「早く、子供の中ない世界を作るための仕事を教えてください」
そこにいるのは先ほどまでのロイド・フォージャーではなく、WISEきっての諜報員である、《黄昏》というコードネームの男だった。
完