イラストを魅せる。護る。究極のイラストSNS。

GALLERIA[ギャレリア]は創作活動を支援する豊富な機能を揃えた創作SNSです。

  • 1 / 1
    しおり
    1 / 1
    しおり
    1‐2 クロの話どうか僕を許さないでほしい












    むかしむかしのお話です

    黒は村で出会った白と一緒に、あちこちの村を転々としました。
    黒は自分が人間ではなくなったことを嫌でも知っています。それに詳しくはわかりませんが、白も自分と同じだと考えていました。
    一つの村に長くいて正体がばれてしまうと、また同じ仕打ちを受けてしまうことを黒は恐れていました。
    なので二人はいつも大きめの笠や手ぬぐいなどで頭を常に隠していました。
    自分の故郷が何者かによって壊滅して、10年ほど経ちました。
    二人の姿は全く変わりませんでした。


    そんなある日、一つの村を見つけました。
    人口はとても少なかったですが、今まで回ってきた村の中で一番栄えていました。
    住民の全員が若く、村長もまだ30半ばだといいます。
    不思議な国だ、と思いながらいつものように黒は交渉を始めました。

    「僕たちは遠くの村から来たものです。もしよければしばらく滞在してもいいでしょうか」

    住民たちはとても優しく、ボロボロでやせぎすな二人を手厚く迎えてくれました。
    後で話を聞くと村人の全員が元浮浪者で、浮浪者たちで村を作ろうと考えたのが始まりだそうです。なので村の歴史は5,6年ほどだということでした。自分たちとおなじ境遇の黒を見捨てることができなかったのでしょう。

    「小さな空き家がある。そこをつかってくれ」
    「ありがとうございます」
    「いいって。俺はここの村長。困ったことがあったらいつでも頼ってくれ」

    その村は黒の故郷とは違って、食べるものが沢山ありました。
    近年になって雨もよく降り水不足は解消されましたが、それでも貧困な村はたくさんありました。
    ですがこの村はちゃんとした畑に田んぼ。家も木造で雨風をしっかり防げる造りでした。

    「野菜の種類も豊富で、人数も少ないのに立派な村…すごいですね」
    「いやぁ…きっと若い手が多いので畑もどんどん作れるし、最近は山も開拓してる。子供もどんどん増えているし、働き手が獲得できているのが理由かもな」
    「なるほど…僕の村は全然若い手がいなかったからなぁ、雨も全然降らなかったし…」
    「大変だったな…なぁ黒、お前は賢いしよく働くからみんなに好かれている。もし良かったらここに住まないか?」
    「ありがとうございます村長さん。だけど、僕は…同じ気持ちを味わいたくないんです」
    「そうか…まぁ、考えは人それぞれだしな!気にすんな」
    「はい。とりあえず、自分ができることは全力で頑張ります」

    「そういや聞いてなかったんだが、故郷はどうなったんだ」
    「…全員死んでしまったんです。10年前ほどに壊滅しました」
    「…へぇ、それは…悲しいな」

    黒は瞬く間に村人に好かれました。
    持ち前の思いやりの心、どんなこともうまくやれる器用さ、いろんな面で認められあっさり馴染んでいきました。
    白も天真爛漫な性格で友達がたくさんできました。

    「…あ」
    「どうしたの?黒さん」
    「そろそろ雨が降るよ。洗濯物を中に入れよう」
    「え?でもまだ晴れてるぜ?」
    「でも黒さんの予報は当たるし…」
    「あそこの雲見て。ほら、変な形してるでしょう?あれは雨を呼ぶ雲なんです」
    「何でも知ってるんだな黒は」
    「昔父親に教えてもらったんだ」

    「本当に雨が降ってきた…」
    「すごい!黒さん預言者なの?」
    「違う違う。本に書いてあったんだ」
    「それでもすごいよ」

    黒がその村に滞在して2週間がたちました。黒は村長と特に仲良しになり、よく二人で行動しました。

    「黒って何歳なんだ?未成年?」
    「え、い、いや。20代半ば…ぐらい?」
    「なんだそりゃ。自分の年齢ぐらい覚えとけって」
    「ご、ごめん…」
    「俺はそろそろ32になっちまうよ」
    「へぇ、そうには見えないよ。僕と同い年に見える」
    「…お前さっき俺が『未成年に見える』って言ったの忘れたか?流石に嬉しくねぇぞ」

    そんなある日の夜。
    寝ようと蝋燭の火を消そうとした時、トントンと誰かが扉をたたく音がしました。
    黒は不思議に思い開けてみると、そこには村長がいました。

    「どうしたの?」
    「いや。ちょっと話がしたくてな…チビは寝ているか?」

    白は黒の横でスヤスヤと幸せそうに寝ていました。

    「大丈夫です。それより話って?」
    「…少し昔の話がしたくてな」

    村長はいつもよりとても静かでした。それが何故か妙に不自然に感じました。

    「浮浪者だった時の話がしたくてな、これは村人全員に話をしてることなんだが、どうせだし聞いてくれや」
    「はぁ」
    「…俺は生まれた時から故郷の隣の村に住んでいた」

    村長は無表情で昔の話を始めました。
    「俺の両親、父さん母さんはわざわざ隣村の知り合いに俺を預けてわざわざ故郷に住んでいたんだ。
    なんでって、まぁそうなるよな。俺も子供のころすげぇ不思議だった。週一、土曜の日にしか会えない二人に「行かないで」って何回泣きついたことか。
    …言っておくけど俺を育ててくれた知り合いの人は普通にいい人だった。年配の老夫婦で子供がいなかったんだと。だから俺を我が子の様に大事に育ててくれた。俺が20超えたころにはどっちも老衰で死んだけどな。
    そのころってすごい水不足の日が続いた時期で、どこもかしこも飢饉だった。だから自分が食いっぱぐれない様にしたのか、って思っていたんだけどそれも違った。
    俺の故郷は変な風習があってな。
    神様を信じていたんだ。
    …おいおいなんだよ目を真ん丸にして。
    まぁ確かに今どき神を信じている奴なんていねぇよ。だけどその村は大まじめに信じていたんだ。
    だから神を信じれば雨が降ると信じていた。
    願えば飢饉が終わると思っていた。
    でもそれだけじゃ神は何もしてくれない。故郷の奴らが言うには『神には人間の言葉が聞こえない』んだと。だから神を信仰していると証明するには『生贄』が必要だった。
    その『生贄』が人間だった。
    しかも若い娘か子供。
    俺の故郷には大人しかいなかった。理由はわかるよな?
    …顔色が悪いぞ。大丈夫か。
    話を戻すと、俺の両親は俺を『生贄』にしたくないから身ごもったことも隠して、俺を隣の村に預けることに決めた。
    その村は『生贄』の儀式を周りの村に隠していた。だから村出身の奴らがほかの村の人間に言いふらすのを恐れた。村の者がどこかに出かける事はかなり厳しく、引っ越すことは禁止だったらしい。もしそれを破ったら…言わなくてもわかるよな。
    だから俺の両親はその村から逃げ出すこともできず、でも俺をずっと見守っててくれた。
    それを理解したときは俺はもう泣かなくなった。でも両親のそばにずっと居たかった。だから俺は早く大人になりたかった。
    俺が19になった時に、両親がちょっと顔を青くして来た時があった。どうしたの、って聞くとまた『生贄』がでたとのこと。
    俺と同じ年で、
    男だったんだってさ。
    若い者がそいつしかいなくて、それに中世的な見た目だったからそれでいい、ってひどい話だよな。
    でもこの話はそれで終わりじゃない。

    なんとその男が生き返ったんだとよ。

    すごい話だよな。なぁ?
    お前どうしたんだよ。本当に顔色悪いぞ。
    「話はまた明日にしないか」って?
    あともうちょいで終わるからさ、付き合えよ。
    で、村人は気味悪がってそいつを何度も痛めつけた。両親は参加しなかったけど見るに堪えない光景だったらしい。そいつの唯一の父親も仲間になって殴っていたらしい。
    それでそいつは森の奥深くに閉じ込められて、なかったことにされた。
    正直俺はそんな話興味なかった。なんてったって…なぁ?あまりにもおとぎ話すぎる。もちろん可哀そうだって気持ちはあったぜ?だけど…俺じゃなくてよかったって気持ちの方が大きかった。
    そんな話を聞かされて一年がたった。俺も20になってついに大人になった。これでようやく両親と一緒に住めるってわくわくしていた。俺の両親もまるで自分の事の様に喜んでくれた。「来週の昼ぐらいに迎えに行くから」ってその日は帰っていった。
    それっきりだった。

    なぁ

    おまえなら、わかるよな、意味が

    夕方になっても、夜になっても、両親は来なかった。
    不安に思って俺は初めて故郷に向かった。

    ひどい有様だった。

    俺は故郷の入り口の草むらに隠れてがたがたみっともなく震えながら『それ』をみていた。
    いたんだよ
    化け物が
    2本…いや、どうなんだろう。4本ぐらい角を生やしてて、大小様々な赤い手を無数に出した化け物が、人間を食って、人間を殺して、それで吠えていた。すごい悲痛な叫びで、おぞましい声だった。
    村の人達はもう数えるほどしか生きてなかった。それも全てその化け物に殺されたんだけど。とにかく凄惨な光景だった。
    生きている人間の中に俺の母親がいた
    俺は、
    どうすることもできなかった
    ただ殺されていく母親を見るしかなかった
    なぁ、
    どうしてそんな顔してるんだ?
    信じられないって、嘘だって表情、
    でも俺は本当に見たんだよ。
    それで、明け方になりそうな、薄暗い時間帯。その化け物は全員を殺した後、しばらくぼうっと立っていた。ゆらゆらと揺れて。
    だけど変化が現れたんだ。そいつの気色悪い赤い手がボロボロと落ちては灰みたいに消えていった。腕が全て消えた後は角が何本か消えていった。それで元の姿は膝をついてそのまま倒れた。
    2本の角で、
    黒い髪で、
    黒い目を持った、男。
    そばに行こうとして、途中まで行って引き返して帰った。隣村まで走っていった。それから悔しくて、怖くて、憎くて泣いた。泣きまくった。
    それから親戚が死んで、俺はこの村を作った。
    それで終わり。
    俺の両親は化け物に殺された。


    お前に


    お前だ


    お前がやったんだ」
    「なぁ、黒」
    「違う」
    「何が違うんだ?」
    「違う、僕は、人なんて、殺して」
    「俺はお前が殺すのを見た」
    「違う…違う、僕はなにも知らない、殺してなんか、ない!」
    「…なぁ、なんでお前ずっと頭を隠しているんだ?」
    「こ、れは」
    「見せろよ」
    「や、やめて」

    「ほら、やっぱりな」


    黒は、何も知りませんでした。


    「違う、知らないんだ。僕は人を」
    「まだいうのかよ!」
    「っ、う、」
    「俺はこの目ではっきり見たんだ!お前が!俺の母さんを殺す瞬間を!!頭を握りつぶして腸をすするお前の姿を!」
    「や、ぇ、くる、し」
    「なぁ、お前は死なないんだろ?苦しい真似すんなよ。首絞められても辛くないんだろ?」
    「、がっ…う"や、ぇ」


    黒は、自分がどれほどの存在かを知りませんでした


    「俺の父さんと、母さんの苦しみを味わえ。そして何度でも、」
    「がっ…ぅ、あ"、」
    「殺してやる」


    なので、そばにいる子の本当の姿も知りませんでした。

    ごと、と、何か重いものが落ちる音がした。
    その瞬間自分の首を絞めている力が急激に緩み、その体は横に倒れた。
    首から上が、なかった。

    「げ、ほっ…げぼっ、う、ぁ、…っ!」

    何とか酸素を体に取り入れ、何が起こったのかを冷静に考えようとする。だがあまりにも目の前の死体は記憶をほじくり返すのには十分だった。
    上手く呼吸ができない。

    「はぁ…はぁ……げほっ、は、ぁ、」

    村長が言っていることが信じられなかった。
    僕が、あの村の人全員を殺した?
    そして何人かを食った?
    そんなこと、あるわけがない。

    じゃあなんであの時、僕は外に出れたの

    なんで死体が転がっていたの

    なんで、腹は満たされていたの

    「う、っ」

    喉にこみ上げてくる消化されたものと、絶望。たまらずそこらへんに吐き出してしまった。なのに重苦しい負の感情は少しも減らなかった。
    まさか、そんな、
    だとしたら

    僕が、父さんを


    「くろ」


    白の声だった。
    やばい。起きてしまったのか。急いでこの死体と死体の首をどうにかしないと…
    そう思ったが、今更ながら単純な疑問が湧き上がる

    なんでこの死体、首が取れたんだ

    「だいじょうぶだよ」

    僕は後ろを振り向く。
    白はいつもと変わらない笑顔で僕に抱き着いた。

    「くろをころそうとするものは ぜんいんころしてあげるから」


    「それが ぼくのやくめ」


    え?
    白は唖然としている僕を小屋に置き去りにしそのまま出て行った。
    それから、湧き出るように聞こえる悲鳴、悲鳴、悲鳴。
    何が何だか分からなかった
    僕は何も分からなかった
    僕は何も知らなかった
    よろよろと何とか歩き、小さな小屋の中から外を覗いた。

    あの時と同じだった

    「くろ!」

    その中心に真っ赤に濡れた白がいた。
    白は嬉しそうにこちらに走ってきて、僕に抱き着いて無邪気に笑った。

    「ねぇねぇみて くろのためにみんなころしたよ」
    「くろ みんなにばれること いやでしょ? だからころしたよ」
    「みんなしってたんだよ あのおとこがばらしてたんだ くろは『ばけもの』だって」
    「きょうのよるに またあのひみたいに くろをとじこめて いじめようとしてたの」
    「くろいやでしょ ぼくもいや くろがきずつくのみたくない」
    「だから ころしたよ? えらい?」

    白は僕のために僕を傷つけようとした人たちを全員殺した、らしい
    だけど、僕は、白に感謝の言葉を述べるはずもなく、震える声でただ質問した

    「白が殺したの」
    「? そうだよ? ぼくがころ」
    「違う」

    「お前が父さん達を殺したのか」

    白はただ僕を見ていた
    僕は、白を見れなかった
    お願いだ
    そうと言ってくれ
    そうじゃないと僕が父さんを殺したことになる
    違う、違う!違う違う違う!僕は殺してなんか―――

    「違うさ」

    子供の声じゃなかった

    「殺したのは、黒だよ」

    目を見開き、目の前の謎の子供を見る
    白はただ僕の顔を見て、笑った。
    それからぐにゃりと、白の輪郭が歪んでいく。バキバキといびつな音を立てて、人間の形を壊していく。

    「信じられないか?まぁ信じられないだろう。信じたくないだろう」

    その化け物は、悪い夢に出てくる怪物のような、とにかく原型を保っていない。常にぐにゃぐにゃと輪郭がゆがみ、おぞましい何かになっている。そこから発せられる声は、無邪気な子供の声や女性の声、老人のしゃがれた声が混合したような、聴いてて心地のいいものじゃない。

    「だが殺したのは完全に、どうあがいても、お前だ」
    「っ」
    「その証拠に、あの日の光景をそっくりお前に見せてやろう」

    原型を保っていない化け物の中心に、巨大な目玉が現れる。
    その目を見た瞬間、頭に見たことがない記憶が刷り込んでくる。

    人々の悲鳴
    必死に何かから逃げている
    あの人は知っている、僕の隣に住んでいた男性だ
    あの人も、この人も、すべて見たことがある。全員が知り合いだ
    そのうちの一人が大きな赤い手に捕まった
    なんだあれ
    そして握りつぶされて、遠くに投げ飛ばされて、見えなくなった
    その赤い手はまた人を捕まえては、簡単に人を殺していった
    ひとつだけじゃない、無数の手がいろんな方法でいろんな人を殺している
    誰の手だ
    やめろ、見たくない
    やめてくれ
    その記憶は赤い手の化け物の本体を映し出す



    あ、ぁああ




    黒い、つの




    「あ"あ"あ"あぁあああぁああっ!!!!!っっ!!!!」


    頭を押さえ地面に突っ伏した

    「やめろ、やぇ、やだ、みたくない、みたくない、やめろやめろやめろ!!!!」
    「真実を見ろ」

    その化け物は僕を包み込み、無理やり僕の顔を持ち上げ巨大な目を見せる。

    「ちが、う、ぼく、は、ぼくは、僕は殺してなんか、殺してなんか」
    「はっ、まだいうのか?」

    不気味な声は耳を塞いでも脳に響いてくる

    「お前があの村を滅ぼした」
    「愚かで可愛く、可愛そうな黒」
    「死にたくない、なんて貪欲で利己的に染まった願い。そのせいでお前はこうなった」
    「あんな願いさえしなければ、神に、俺に目をつけられて永遠に生きずに済んだのに。あぁなんてかわいそうな黒」
    「そうだ。全部お前のせい」

    「お前のせいだ。黒」

    そうか

    「そうだ。お前のせいだ」


    僕が、ころした、とうさんを


    「ふっ…ははははははははは!!!そうだ!ようやく認めたか!」

    神は気づけば人間の姿になって、地面に突っ伏している僕の顔を愛おしそうに眺めている。

    「お前は実の親を殺し、のうのうと無限の時間を過ごす!死の世界よりもこの世界を望んだ!」
    「死よりも甘美で幸せな世界はないというのに、それを拒むお前は、なんて浅はかで!愚かで!愛おしい!」
    「安心しろ。私だけがお前のそばにいてやる。お前が永遠に行けない死の世界に旅立つ人間を、そばで一緒に見てやろう」
    「我だけがお前の味方だ。お前の願いをなんでも叶えてやる。お前の望む姿に変わってやろう」
    「僕はお前の守護神だからな」

    ケタケタ笑う神。打って変わって僕は冷静だった。

    「…僕はどうやって死ねるの」

    その質問を待ってましたとばかりに、神は嬉しそうに口を歪めた。

    「ない。私が消えぬ限りお前は死なない。つまりそのようなことが起こることは永遠に訪れない」
    「…悪魔の契約みたいだ」
    「神と悪魔は紙一重、とは聞いたことないか?」

    そうか
    僕が父さんを殺した

    それならそれで、いい


    もう、疲れた



    「ほう?ずいぶん冷静さを取り戻したようだが…いいだろう。そうだ。願いについていくつか忠告をしておこう」
    「なに?」
    「1つ、死んだ人間は生き返らせることはできない。2つ、俺を消すことはできない。3つ、願いが無限に続くとは限らない…まぁこの程度だな。それを踏まえて願いを考えろ」
    「わかった」

    「じゃあ、僕の最初で最後の願いだ」

    白は僕の言葉に少し驚いた顔をした。


    「お前を、忘れさせてくれ」






    血塗られた村に、ただぽつんと僕は座っていた。
    何があったんだろうか。僕がまた殺してしまったのか。
    それももういい、もう疲れた。
    きっとこの力のせいで気づかぬうちに沢山の人を殺すんだろう。
    罪悪感など嫌でも薄くなる。
    僕は地面に寝転がった。血で汚れるのを無視して目を閉じた。
    もういい。
    少し、疲れた

    『黒。こんなところで寝ると風邪をひくよ』
    『早く家に帰ろう』

    目を閉じた暗闇の奥に懐かしい人影があった。
    父さんだ。
    ごめんね、ごめんね。結局離れ離れになったね。
    許してくれないと思うけど、許してもらおうと思ってないけど、ごめんね。


    できれば、僕を――――


    「本当に哀れで愛おしい子だ」
    「お前が私を忘れたところで、何も変わったりはしない」
    「俺はずっとお前を見ている」



    「お前が無様に生きる姿を永遠に見てやろう」



    (これは殺人鬼の国が生まれる、ずっと昔のお話)
    キャラクター紹介
    【クロ】
    性別:男
    年齢:不明
    身長:167
    体重:50
    種族:元人
    ・生贄に差し出され生きることを強く望んだため不死者に。そのせいで真っ黒な角が生えている
    ・お人好しでどこか人を魅了する力がある。だが切り捨てる時は潔く切り捨てる
    ・暴走状態に陥り、自分の父親を殺してしまった

    【ハク(仮名)】
    性別:不明
    年齢:不明
    身長:不明
    体重:不明
    種族:神
    ・クロの守護神
    ・クロの願いを叶え、クロの記憶から自分を一切消した。なので誰も存在を知らないはずだが…?

    白菫 Link Message Mute
    2018/08/22 20:49:52

    1‐2 クロの話

    これでクロの話は終わりです
    #オリジナル #創作 #オリキャラ

    more...
    作者が共有を許可していません Love ステキと思ったらハートを送ろう!ログイン不要です。ログインするとハートをカスタマイズできます。
    200 reply
    転載
    NG
    クレジット非表示
    NG
    商用利用
    NG
    改変
    NG
    ライセンス改変
    NG
    保存閲覧
    NG
    URLの共有
    NG
    模写・トレース
    NG
  • CONNECT この作品とコネクトしている作品