第2話 人間の男。「…自意識過剰猫さん、大丈夫ですか?」
…はぁ?自意識過剰猫って…!てか大丈夫じゃないわよボケぇー!!!
にゃぁー!!!と叫んで目が覚めた。
あれ…ここどこ?さっきいた公園じゃない…?
辺りを見回すと、そこは古めかしい狭い部屋だった。
古いキッチンに小さなちゃぶ台、隅に置かれている大量の本、それに畳が敷いてある。そう、私が住んでいたところとは正反対の..........。
「…朝っぱらからうるっさいなぁ.....。」
いきなり人の声が聞こえて、肩をビクッと震わせた。
声がした方向を振り向くと、黒縁の眼鏡をかけ、真っ黒の髪をした無表情でいかにも地味な人間の男が歩いてきた。
するとその男は私に向かって手を近づけてきた。
『…なっ何よ.....!!』
にゃー!!とその男に向かって威嚇をし、手に思いっ切り噛み付いた。
「っい.....!何って、ただ動かそうとしただけなんだけど.....。」
人間の男はすぐに手を引き、少し顔をしかめたがまた手を近づけ、私を軽々と持ち上げた。
『ちょっと.....!下ろしなさいよ!』
にゃーにゃー騒いでいたが、人間の男は無表情のままで私を下ろそうとしなかった。
やっと下ろしたかと思うと、毛布でぐるぐる巻きにされた。
『.....!?』
「それ、逃がさないためだから。あとうるさい。静かにしてて。」
それだけ言うと、人間の男はキッチンの方へ行った。
は.....はあぁぁぁ!?
あいつ誰なの!?てか逃がさないためって.....私をどうする気なのよ!?
しばらくすると、人間の男は包丁を持って戻ってきた。
『ヒィッ.....!』
もしかして私こいつに.....食われるの!?
体がガタガタと震える。あぁぁぁどうすれば…!誰か!!
包丁が目の前に来たところでピッタリと止まった。
「…ネコって野菜は食えるよね…?」
人間の男はそういうと顔を近づけてきた。
『へ.....野菜?食べれるけど.....』
私はポカンとしたままこくりとうなずいた。
「.....ならよかった。」
人間の男はまたキッチンの方へ戻っていった。
な、なんなのよぉー!!
私は泣くのを必死にこらえながら、巻き付けられた毛布の中で固まっていた。