第3話 言葉。人間の男が戻ってきたかと思うと、サラダを持ってきた。
レタス、きゅうり、トマト…と、微妙な組み合わせだ。
「一応調べたから…大丈夫だよな…。」そんなことをぶつぶつ言いながら毛布をほどいていく。ほどき終わったころにはふぅー、と自由になった感じがした。ていうかちょっと楽になった。
…と思った直後にサラダを目の前に置いてきたんですけど!?
「これ、食べて。」
はぁ…?なんでこんなもの…ぐぅぅぅぅぅぅ。
…そういえば昨日の夜何も食べてなかった…。
あぁ!もうっ!食べればいいんでしょ食べれば!
そんなこんなで私はサラダをがぶっと食べた。
『…まずっ。』
私がにゃっと顔をしかめて言うと男は残念…という顔をした。
『…けど、食べれなくはない。』
その時の私はどうかしていたんだろうか。一口食べただけでも、まずいと思っても、なぜか安心するような暖かさを感じていた。
気づいたころにはもうお皿の上に野菜は残ってなく、男は呆然と私を見ていた。
…よくよく見ると男は眼鏡をかけていて、顔立ちはまぁまぁだがいかにも地味そうな奴だ。
私がじっと見ていることに気づいたのか、男はパッっとお皿を片付けてもとの無表情に戻って私の目の前に座った。
「…はじめまして…でいいのかな?僕はタロウ。覚えてる?昨日のこと。自意識過剰猫さん」
ん…?自意識過剰猫さん…?ってあいつだぁぁぁぁー!!
私がにゃぁー!!と叫ぶと、タロウと名乗った人間の男は顔をしかめながら耳をふさいだ。
「…うるさっ。まぁいいや。昨日のことは水に流して…」
『流せるわけないでしょぉ!!』
「気づいてる…かな?」
タロウは私のことを完全スルーして、まじめな顔になった。
「僕、君の…いや、動物の言葉が分かるんだ。」
は、はい…??