押し切られるある処にイディルシャイアという街があります。
他種族が助け合う場所であり、そこにロイファというヴィエラの青年が住んでいます。
彼は賢者としてとある研究のために仲間のマホードとアンセルとともに頑張っています。
そこへ一人の冒険者が現れて‥
「ロイファ元気ー!」
仲間たちの和やかな空気を破るような、元気いっぱいの声にロイファの眉間にシワが一つ増えた。
にわかに雰囲気の変わる彼を見て傍らのアンセルが一言、カウント1ねとつぶやいた。
またかと言いたげなマホードの呆れた顔も気にせず
闖入者である冒険者は暢気にもロイファに近づいて、あろうことか
「久しぶり。変わりなさそうで良かった」
彼の頭をなで始めたのだ。モフモフと。手の動きに愛着がみてとれた。
「トゲトゲなロイファ、元気」
「うっさい、アホ」
アホじゃないよーと呑気な返事をいなし、ロイファは頭にのせられた手を除けてついでとばかりに摘まんでやる。
ひどいよーなる抗議の声も無視し、冒険者ことアルマに向き直る。
ひと睨みも気にもせず、アルマはほんわり笑んでいた。
「ロイファの負けね」
アンセルの無情な発言にロイファはうなだれ、マホードは肩をぽんとたたいた。
「ね、荷物ちゃんと届いてる?」
これ!と差し出された物は薄汚い瓶詰めのなにか。
「毛玉が僕たちに届けたやつか」
三人組それぞれにも届けられた物も同様な体を為していた。
「それそれ。宝の地図なんだよ」
一様に怪訝な顔をする三人組みてアルマが笑い、
「不思議な地図でね。運がイイと宝物庫ってところに飛べるんだよ。
ただある程度腕っぷしに自信がないと厳しいけどね」
眉をしかめるロイファにアルマがにんまりと笑う。
「皆でいこう!」
「は?なんで僕たちが」
善は急げと言いたいのか腕をつかむアルマを払いのけ抗議するロイファだが。
「え?ロイファたちの研究資金、そろそろヤバイんじゃないの?」
「う」
「崖っぷち亭の皆から聞いたよ。資材調達が危ういとかなんとか」
「ぐぬ」
じりじりとアルマがロイファに近づいてくる。
「地図ででた資材売れば良いと思うよー。タンクは私がやるから回復とか任せるし…ロイファじゃなきゃいやなんだ」
「…」
「いこうよ!」
そして。
「はい、またロイファの負けね」
押しきられてしまうのであった。