冬篭もり春さり来れば、鳴かざりし鳥も来鳴きぬ。
咲かざりし花も咲けれど、
山を茂み入りても採らず草深みとりても見ず
秋山の木の葉を見ては
もみづをばとりてぞしぬぶ
青きをばおきてぞ嘆く
そこしめずらし
秋山われは
*(万葉集 巻第1-16 歌人:額田王)
(意訳)冬明けて春が来れば、それまで眠っていた鳥も鳴き出す。
それまで咲いていなかった花も咲くけれど、
山は緑が茂りすぎて、わざわざ入ってまで採ろうとは思わない、
草も深く、わざわざ手にとって見ようとはしない。
秋の山での木の葉を見る時には
ただただ無心に紅葉(もみじ)を手にとって想い偲ぶ。
青い葉はそれそこに置いておいて、ただ秋の美しさに見蕩れ、溜め息が出るばかり。
それが秋山の良いところなのである。
私は秋が好きだわ。
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鮮やかに、艶やかに、ヒグラシの色に染まりゆく夕焼け空に、
そろそろ”秋”が深まってきたなぁ、と感じるこの頃。
なので、少し懐かしいこの絵を引っ張り出してみました。
色んな意味で分岐点になったかなぁ、と思う一枚。
この絵は元は線画として投稿したのですけれど、
沢山の絵師様により、様々な美しい世界を頂けた印象深い絵です。
そして、自分自身も彩色して、未だにお気に入りな一枚となりました。
秋はとても綺麗だなぁと思います。