日記の主

【日記】
 彼が常に持ち歩いているその白紙の本は魔導書ではなく日記であった
 古ぼけた日記には魔術がかけられており、中身を読み解くことができるのは
 好奇心を追求した者だけになるだろう

 それは彼を知る一つのきっかけであり、過去の一部を垣間見ることのできる鍵となる
 あるいは彼ではなく、日記を知るために開くこともできる
 もはやその日記の主がどこへ行ったのか、あるいはどうなったかなど、
 その古ぼけた日記に聞くより他にないのだ
 
 
 知識は過去から蓄積されるものであり、未来を知りたければ過去を知らねばならない
 虚偽の未来を真のものとして見たならば、それは迷信のはじまりとなるだろう
 こうして世界は迷信で塗り潰される
 数少ない、本当の未来を知る者ほど何も語ろうとはしない
 理解されぬからこそ、真実は常に秘匿とされるのだ

日記の主
Dion
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