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GALLERIA[ギャレリア]は創作活動を支援する豊富な機能を揃えた創作SNSです。

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    考える人 夜の深い時間帯は空気が冷たい。元々が工場だった聖域の建物はコンクリート製であるため全体的にひんやりとしている。この夜の空気の冷たさを感じながら廊下を歩くのは聖域を治めるニーガンだ。
     複数人いる妻たちの中から今宵を共に過ごす一人を選び、その相手の部屋で大人の時間を楽しむのはニーガンの日課である。美しい女を抱いて快楽を得るのは好きだ。世界が変わる前は妻の目を盗んで愛人と過ごしていたニーガンにとって、己のハーレムを作ることへの抵抗は全くない。救世主として人々を救う褒美の一つや二つあっても良いだろう。
     ニーガンは妻との楽しい時間を過ごした後、己の寝室へ戻る途中だった。ほんのりと残る情事の熱を味わうかのようにその足取りは普段よりもゆったりとしている。
     ニーガンは誰もいない廊下を歩きながら、先ほどまで共に過ごしていた妻から投げかけられた言葉を思い出す。

    『心が別のところにあるみたいだった。誰のことを考えていたの?』

     問いかけてきた彼女の顔に嫉妬は見当たらなかった。それどころか好奇心に輝く目を見て苦笑が漏れたほどだ。
     自分の心が別のところにあるのだとすれば、それは一つしかない。最近支配下に置いたアレクサンドリアのリーダーであるリック・グライムズ。彼のところだろう。
     ニーガンは近ごろ、肌寒い夜の森で出会った男に思考の半分を占領されている。ふと気づけばリックのことが頭に浮かぶのだ。妻とのセックスの最中にも彼を思い浮かべることがあるため、それを見透かされたのは間違いない。
    「ヤッてる最中に他の奴のことを考えるのはマナー違反だな。しかも男なんて。」
     ニーガンは自身に対して苦笑しながら前髪をかき上げた。
     自他共に認める女好きな自分が一人の男のことばかり考えるだなんてらしくない。しかも目の前の快楽と熱に集中しきれずに他事を考えるだなんて今までなかったことだ。
     思い返せばリックと出会ってから今までになかったことばかり起きている。自身でも不思議に思っているというのに、リックの何が他の人間と違うのかということについて深く考えてこなかった。
     そのことに思い至り、ニーガンは思案するように目を細める。
    「リックは──何だ?」
     まずはリックを表現するに相応しい言葉を思い浮かべていく。
     小さな町の指導者。敵の寝込みを襲う冷酷な男。我が子を心から愛する父親。支配者に敵意を向ける愚か者。情の深いお人好し。
     リックを表現する数多の言葉はちぐはぐで、繋ぎ合わせることが難しい。それでも一つも間違っていないのだから不思議だ。それが彼に興味を抱かずにいられない理由なのだろうか?
     ニーガンはリックについて考えるうちに自室に到着した。そして部屋に入ってベッド脇のランプを点けて、棚から未開封のブランデーのボトルとグラスを取り出す。部屋全体の照明を点けないのは小さな明かりの方が雰囲気が良いからだ。
     ニーガンはソファーに腰を下ろすとグラスにブランデーを注ぎ、鼻に近づけて香りを楽しむ。それから少量を口に含んで舌の上で転がした。
    「……美味い。やっぱり上物の酒は堪らねぇな。」
     香りも味も文句のつけようがない酒に思わず頬が緩む。
     これをリックに飲ませたらどのような反応をするだろうか?憎い相手から施しを受けることに渋い顔をするだろうが、一口飲めば美味さに表情を緩ませるかもしれない。その顔を見てみたいものだ。
     そこまで考えてニーガンは苦笑を漏らす。
    「参ったね。あいつのことを考えるのが癖になってやがる。」
     まるで思考回路がリックに直結しているようだ。これではどちらが支配されているのかわからなくなってくる。
     ニーガンはグラスを満たすブランデーを一気に喉に流し込んだ。空になったグラスに二杯目の酒を注いでもすぐに飲み干して空にしてしまう。
     別に苛立っているわけではない。それでも一人の人間に振り回されているような気がして落ち着かなかった。全てを掌の上で転がす自分が他人に思考を占領されている状態を「自分らしくない」と感じているのかもしれない。
     ニーガンは何かを振り切るように三杯目のブランデーを煽る。流し込むように飲んだせいで香りも味も通り過ぎていき、そのことを「惜しい」と思う気持ちが生まれた。
     しかし酒を煽る勢いは衰えず、新たに注いだ四杯目のブランデーも真っ直ぐに喉を流れ落ちていった。


     封を開けたばかりだったブランデーのボトルは中身を全て吐き出した状態でコーヒーテーブルの上に佇んでいる。それはニーガンが一人で全部飲んだせいだ。
     ボトル一本を飲み干してもニーガンは芯から酔うことができなかった。結局はリックのことを考えてしまうので酔い切れない。
     ニーガンはグラスに僅かに残った琥珀色の液体を眺めながら、改めてリックについて考えてみる。
     真っ先に思い浮かぶのは彼の瞳だ。怯えながらも反抗的な目をしたり、真っ直ぐに殺意を向けてくる時もある。そうかと思えば堪えるように涙を滲ませるのだ。いつまでも見ていられると本気で思うほどにニーガンの目には彼の瞳が魅力的に映る。
     人柄はどうかというと、非常に興味深いと言えるだろう。ニーガンの基地の一つを襲撃した際のリックの作戦は的確かつ冷酷で、多くの部下を殺されたというのに感心せずにいられなかった。だが、彼は驚くほどの冷酷さを見せながらも仲間に対する情は深く、仲間を守るためなら己の身を削るようにして走り回る。そして同時にこの地獄のような世界で「仲間を誰も失いたくない」と切望し、「皆で穏やかに生きていける」と夢を見るような甘さも持っていた。リーダーとして今の世界の厳しさを知り尽くし、非情な決断を下すことができる男の本質には甘さがある。
     屍が生きた人間を食い殺す世界で一人も失わずに済むはずがない。生存者でさえ敵に回る厳しい状況で穏やかな暮らしを望むなど夢見がちなティーンエイジャーのようだ。それは冷酷な指導者のイメージと余りにもかけ離れている。その願いをニーガンが打ち砕いた時、リックは厳格なリーダーではなくどこにでもいる普通の男として涙を流した。
     ただ、その甘さは嫌いではない。彼の思い描いた夢は努力の上に成り立っていたからだ。単純に夢を膨らませるだけではなく必死に足掻いて掴もうとする姿勢は評価できる。
    「──ああ、なるほどな。」
     その時、ニーガンは唐突に悟った。リックがどれほど打ちのめされても立ち上がろうとするのは彼の持つ甘さゆえなのだ、と。夢物語を諦められないからこそ自分を阻む相手に立ち向かい、捻じ伏せられても抗って起き上がろうとする。それを「諦めが悪い」と言うのだろうが、それが彼の持ち味とも呼べる。
     そんなリックの描いた夢を形がなくなるまで粉砕し、絶望の涙を零す瞬間を見てみたい。必死に立ち上がろうとする姿を美しいと思うからこそ「屈服させたい」という欲望が膨れ上がっていく。それと同じくらいに彼の夢が形を成す瞬間を見てみたい気持ちもある。
     一体、この感情は何だ?
    「全く……ますますわからなくなってきた。」
     ニーガンは顔をしかめ、グラスの底に残るブランデーを一息に煽った。
     リックと出会ってから己の心に生まれた感情の正体はニーガン自身にもわからない。理解できない状態を楽しんでいるものの、知る気が全くないわけではない。
     リックの顔を見ながら考えれば答えが──ヒントぐらいは見つかるだろうか?


    *****


     翌朝早く、ニーガンはアレクサンドリアの土を踏む。夜が明ける前に出発したため睡眠時間は少ないが、不思議と眠気はなかった。
     支配者の早朝からの訪問に見張り担当の者は動揺と緊張を隠しきれず、門を開ける手が震えていた。ニーガンは怯えの眼差しを寄越す相手に「良い朝だ」と言って笑いかけてやったのだが、縮こまる様子を見て逆効果であったことを知る。
     アレクサンドリアの住人の中でニーガンを前にして怯えを見せないのは一部の者だけ。怒りと憎しみを瞳に宿して見据えてくる者は気骨があり好ましいが、それは仲間全員の命を預かる重みを知らないからできること。リックがニーガンに対して怒りだけでなく恐怖を抱くのは己が背負った命を守りたい気持ちが強いからなのだ。
     住人たちをまとめ上げるという点に置いてリックが非常に難しい舵取りを強いられていることをニーガンは理解している。救世主の支配に怯える者の不満やストレスのはけ口がリーダーになるのは当然の流れであり、支配に対する反発心を抱く者の暴走を抑えるのは簡単ではない。大勢が扱いの難しい状態に陥っている中でリーダーを務めるのは大きなプレッシャーだろう。それでもリックは全てを投げ捨てるような人間ではない。
     そのようなことを考えながらリックの家に向かって歩いていると、前方から走ってくる者の姿が見えた。リックだ。
     ニーガンはニッと笑って「おはよう、リック!」と大声で呼びかける。
    「ジョギングか?今日は朝っぱらから良い天気だから走りたくなる気持ちはわかる。俺も付き合うぞ。」
     ニーガンの前まで来たリックは肩で息をしながらも鋭い目つきでこちらを見た。
    「冗談はそれぐらいにしてくれ。朝から何なんだ?徴収は一昨日だったじゃないか。」
    「徴収日以外は来ちゃいけない、なんてルールがあったか?来るのは昼だけってルールも?いつの間にかそんなルールができてたのか?俺に何の相談もなしに?」
     追い立てるように言葉を繰り出せばリックが眉間にしわを寄せて黙り込む。リックは大勢を統率してきたのだから口下手ではないはずだが、ニーガンが相手では誰も反論できないので仕方ない。
     ニーガンは反論が来ないことから、徴収日以外の訪問・早朝の訪問に問題はないと勝手に判断して微笑む。
    「さーて、この話はお終いだ。朝飯を食ってこなかったから腹が減った。リック、行くぞ。」
     そう言って歩き出すとリックが「どこへ行くんだ?」と慌てて追いかけてきた。
    「そんなのお前の家に決まってるだろ。リックの家はアレクサンドリアで一番快適だ。それから、小さな天使に朝の挨拶をしなきゃな。」
     リックの娘であるジュディスのことをチラつかせると彼の表情が強張った。リックにはカール以外にも子どもがいると知ったのはつい先日のことだ。初めて会った大人に抱き上げられても泣き出さず、マイペースに過ごす幼子は愛らしかった。それがリックの子どもであれば尚さら興味を抱かずにいられない。
     リックは強張った表情のままニーガンを真っ直ぐに見上げてきた。
    「子どもたちに関わるな。特にジュディスには──」
    「リック、勘違いしてもらっちゃ困る。」
     ニーガンはリックの言葉を遮り、彼の唇に己の人差し指を押し当てた。たったそれだけの行為でリックは己の失態を悟って視線を泳がせる。
     動揺するリックに対してニーガンは薄く笑みを浮かべた。
    「ここにお前のものは何一つない。お前も、お前の子どもたちも、全てが俺のものだ。わかるな?」
     それに対しての返事はゆっくりとした瞬きだった。それを確認したニーガンは更に言葉を続ける。
    「それならカールとジュディスに会うか決めるのはお前じゃなくて俺だってことも理解できるよな?そこで質問だ。お前が俺に言うべきことは?」
     答えを聞くためにニーガンはリックから指を離した。唇から指が離れた途端にリックが深々と息を吐き出す。
     そして、リックは怒りと怯えの入り混じった眼差しを寄越した。握りしめる拳には悔しさが見える。それでも全てを理解している彼は間違えない。
    「……出過ぎたことを言ってすまなかった。許してほしい。」
     感情を押し殺した声で謝罪の言葉が紡がれ、ニーガンは破顔した。
    「気にするなよ!俺たちの仲だ!さあ、朝飯を食べに行くぞ。」
     そう言ってリックの背中を叩き、肩に腕を回して歩き出す。親しい友人同士のような行為にリックが顔をしかめたのがわかったが、ニーガンはそれを無視した。
     家に到着して中に入ると不機嫌さを丸出しにしたグライムズ家の長男が階段の前で待ち構えていた。二階にある彼の妹の部屋へニーガンが向かうのを阻もうとしているのだろう。
     ニーガンは全てを理解した上でカールの立つ場所まで歩みを進めた。
    「おはよう、少年。ジュディスはまだ寝てるのか?」
    「お前には関係ない。出ていけよ。」
     突っぱねるようなカールの言い方に背後にいるリックが息を呑んだ。ニーガンは後ろを振り返ってリックに微笑んでから再びカールに向き直る。
    「やれやれ、この前の失敗から学ばなかったらしいな。カール、お前のやらかしたことでアレクサンドリアの奴らが巻き添えを食ったのを忘れたか?オリビアとスペンサーの死を招いた根本的な原因はお前じゃなかったか?お前が乗り込んできて部下たちを殺さなきゃ俺がここに来ることもなかったんだからな。さて……お前は今、どうすべきかな?」
     容赦のない言葉を浴びせてやればカールの顔が青ざめた。反発心が折れた少年は無言で脇へ退く。その様子を見て、ニーガンは「良い子だ」とカールの頭を撫でてやった。
     障害物がなくなったのでニーガンは階段を上り始めたが、その途中で足を止めると無言で立ち尽くすリックを振り返る。
    「リック、ジュディスの世話は任せろ。用意ができたら呼びに来い。」
     その命令に対する返事はなく、リックは両手を強く握りしめてこちらを睨みつけている。だが、「息子同様に躾が必要か?」と考えたニーガンが口を開く前に彼は「わかった」と答えた。
    「朝食の準備が終わったら呼びに行く。……娘を頼む。」
     「娘を頼む」と告げた時のリックの声は微かに震えていた。こちらを睨む目は潤み、その表情は泣き出しそうにも見える。
     リックが己の中に渦巻く感情を飲み込んでまで皆を守ろうとしていることを理解する人間がこのアレクサンドリアにどれだけいるのだろうか?
     リックを排除しようとしたスペンサーや密かに銃弾を用意していたロジータは全く理解していなかったのだとわかる。息子のカールでさえ理解していなかったのだから、彼の思いを汲み取ることができる者は少ないのだろう。ある意味、リックは一人で戦っているのだ。
     そのような思いが過ぎったが、それを忘れるかのようにニーガンは普段通りの笑みを浮かべて再び階段を上り始めた。


     ニーガンが部屋に入って間もなく、ジュディスは目を覚まして不思議そうにこちらを見た。その彼女に朝の挨拶をしておむつを取り替え、その次にはクローゼットの中から服を取り出して着替えさせてやる。
     ジュディスはおむつ交換の時も着替えの時も嫌がる素振りを全く見せなかった。一度しか顔を合わせていないというのに人見知りをしない幼子にニーガンは感心する。
     ジュディスの顔を洗うためにニーガンが彼女を連れて一階に下りると、リックが目を丸くしながら近づいてきた。
    「着替えさせてくれたのか。」
     意外そうにこちらを見るリックにニーガンはウインクを飛ばす。
    「世話は任せろと言っただろ。おむつ交換も済んだ。後は顔を洗うだけだ。」
     そのように答えてバスルームへ行こうとすると、リックから「ニーガン」と名前を呼ばれた。
    「もうすぐ準備ができる。ジュディスの顔を洗ったらダイニングに来てくれ。」
    「そうか。早いな。」
     思ったよりも早く朝食の準備が進んでいることにニーガンは軽く目を瞠り、それ以上は何も言わずバスルームへ向かう。そしてジュディスの顔をきれいに洗ってやり、さっぱりしたことにより上機嫌な彼女を連れてダイニングルームへ足を向けた。
     ダイニングテーブルの上には三人分の食事、テーブル付きのベビーチェアにはジュディス用の食事が用意されていた。ニーガンたちの食事は非常に質素なもので、皿に乗っているのはクラッカーと豆の水煮だけ。ジュディス用の皿にあるものの方が美味しそうに思える。
     ニーガンがテーブルの上を見つめていると、いつの間にか近くに来ていたカールにジュディスを奪われた。その彼は妹をベビーチェアに座らせながら恨めしげにこちらを睨む。
    「物足りなくても文句は言わないで。この町には余裕がないんだから。」
     怒りを隠しきれない少年にニーガンは肩を竦めてみせた。
    「何も言ってないだろ?それより、お前たちの食事はいつもこんな感じなのか?」
    「そうだよ。でも、今日はあんたのせいで父さんの分が減った。父さんは僕にたくさん食べさせることを優先するからいつも量が少ないのに、あんたの分まで用意しなきゃならなくなって……少しでも良心が残ってるなら二度と食事時に来ないでほしい。」
     カールの表情は真剣そのものだった。それにより彼が父の体を案じていることが伝わってくる。
     その時、「カール、もういい」と言うリックの声が響いた。
    「食事にしよう。ニーガンはここに座ってくれ。」
     リックが示したのはニーガンがこの家でスパゲッティを作った時に座った席だった。
     ニーガンがリックの案内に従って着席すると目の前に新たな皿が置かれる。それには一口サイズに切ったリンゴが乗せられていた。リンゴが乗る皿を置いたリックは「あんたの分だ」と苦々しげに言った。
    「クラッカーと豆だけじゃ足りないだろう。それも食べてくれ。」
     リックは言い終えるとジュディスの隣に座った。カールは既に着席しているので食事を始められる状態になった。
     ニーガンは合図代わりに一つ手を打ち鳴らす。
    「よし、楽しい朝飯の時間だ。食べよう。」
     ニーガンの呼びかけに対してリックとカールは気まずげに視線を己の皿に落とす。その二人とは異なり、ジュディスが小さな手をパチパチと叩いた。ニーガンの真似をしたのかもしれない。
     ニーガンは少し身を乗り出して「ジュディスは良い子だな」と幼子の顔を見る。
    「俺に付き合ってくれるのは君ぐらいのもんだ。パパとお兄ちゃんはちょっとノリが悪い。」
     ニーガンが大げさに顔をしかめてみせるとその顔が面白かったらしく、ジュディスは声を上げて笑う。そのジュディスの笑顔をリックは複雑そうに眺めていたが、気を取り直したように「さあ、食べよう」と明るい声で幼い我が子に話しかけた。
    「ジュディ、口を開けてごらん。美味しいぞ。」
     リックが小さなスプーンを口に近づけてやればジュディスはスプーンに食いついた。そして、口の中に入れたものを飲み込むと次を強請るように口を開ける。それを見たリックが目元を緩ませる様子をニーガンは凝視した。
    「美味しいか?良かった。さあ、次だぞ。……そう、上手だよ。」
     リックは絶えず声をかけながらジュディスに食べさせ続ける。その横顔を見つめながら、ニーガンは不思議な感覚を味わっていた。
     ジュディスに向き合うリックは穏やかで柔らかな空気をまとっている。我が子を心から愛し、平穏な日常を大切にする普通の男だ。基地を奇襲してニーガンの部下を皆殺しにした人間と同一人物とは思えない。
     非情なリーダーと優しき父親。結びつけるのが難しい属性だが、リックは間違いなくこれらを併せ持っている。
     ニーガンがリックとジュディスのやり取りに目を奪われていると、カールの方から「食べないの?」と訝しげな声が飛んできた。
    「一口も食べてないみたいだけど、いらないわけ?」
     カールの声によりニーガンは己の皿に視線を戻す。そこには手が付けられていない朝食があった。
     ニーガンはカールに向かってニッコリと笑んでからスプーンで豆をすくい上げて口に運んだ。
    (……豆の水煮缶を温めて塩を振っただけか。正直に言って美味くはねぇな)
     よく噛んでから豆を飲み込み、続けてクラッカーを口の中に放り込んでみたが、これも美味しいとは言えないものだった。いかにも非常食といった味と食感で世辞の一つも浮かばない。
     だからといって文句をつけるつもりはなかった。アレクサンドリアの食糧事情は把握しており、急な訪問であることを考えれば今のリックに用意できるのはこれが精一杯だ。リンゴを加えただけ上出来と言える。
     そして、こっそりとリックの皿を覗いてみれば量の少なさに思わず眉根が寄った。皿に盛られた量はこの場の誰よりも少なく、カールが文句を言うのも無理はない。今になって「食事はいらない」などと言うつもりはないが、リックの性格をもっと考えた上で行動すべきだった。
     ニーガンは自らも食事を始めたリックに視線を送りながら己に出されたものを完食した。


    *****


     朝食を終えた後、ニーガンはダイニングの椅子に座ったままでいた。リックは食後の片付けを行い、カールはジュディスを連れて慌ただしげに出ていったため、ニーガンとリックの二人だけが家に残っている。
     ニーガンはダイニングからキッチンを眺めてリックの動きを観察した。観察されることにリックは居心地の悪さを感じているようだが、文句も言わずに食器を洗っている。
     リックを観察するのは粗探しをするためでもプレッシャーをかけるためでもない。ただただ彼を見ていたかった。これほどに興味を引かれる理由を知りたくて、見つめていれば答えが見つかるかもしれないと思ったからだ。だが、答えが見つかる気配はない。
     やがて後片付けを終えたリックがニーガンの傍にやって来た。その顔に浮かぶ緊張の理由が掴めず、ニーガンは微かに眉根を寄せる。
     リックは「カールのことなんだが……」と話し始めた。
    「あまり良い態度ではなかった。すまない。だが、この前の件で責任を感じていて精神的に不安定なところがあるんだと思う。今回は大目に見てもらえないか?」
     必死に言い募るリックの意図が読めず、ニーガンは「おい」と鋭い声と共に彼の腕を掴む。腕を掴んだ瞬間にリックの肩が大きく跳ねた。
    「何が言いたい?はっきり言え。」
     腕を掴んだまま問うと、リックは自身を落ち着かせるように息を吐いた。
    「……カールを許してやってほしい。そして、誰にも罰を与えないでほしい。それだけだ。」
     それを聞き、ニーガンの眉間に刻まれたしわが深くなる。
     リックはカールの態度がニーガンを怒らせ、それが理由で誰かが罰せられることを恐れているのだ。ニーガンの中ではとっくの昔に終わっていた話がリックにとっては現在進行系なのだと初めて知る。
     ニーガンが腕を掴む手に力を込めるとリックは微かに眉根を寄せたが、それに構っていられない。リックにはニーガンが無差別殺人犯のように見えているならば正さなければならない。
    「リック、俺は無駄な殺しはしない。損害を与えられた時、ルールが破られた時、徴収量が足りない時、反乱を企んだ時。そういう時には罰として誰かに死んでもらうが、それ以外の殺しは無駄だ。お前は過剰反応してる。」
     手当り次第に処刑する人間と思われるなど冗談ではない。無駄な殺しはニーガンが一番嫌いなことだ。
     しかし、ニーガンの反論を聞いたリックは「ふざけるな!」と声を荒らげ、腕を掴む手を勢い良く振り払った。
    「無駄な殺しはしないなんてよく言えたな!それなら、なぜ──なぜスペンサーを殺した⁉」
     怒鳴り声を上げたリックは目を吊り上げてこちらを凝視する。怒りが頂点に達したため感情を顕にすることに躊躇いはないようだ。
     ニーガンは立ち上がってリックの腕を掴んで壁際まで連れていき、その体を壁に押し付けた。
    「頭に血が上ってるお前にはもう一度説明してやらなきゃならないみたいだな。いいか、あの坊やはお前のポジションを奪うために俺にお前を殺させようと企んだ。自分の手は汚さずに楽しようとした。お前を蹴落とそうとした奴を始末してやったのに責められる理由はないぞ、リック。」
    「感謝しろって言うのか⁉まだ何も起きてなかったのに、俺たちだけで解決できたかもしれないのに、仲間を殺されて感謝できるわけがないだろう!」
     反論を続けるリックに対してニーガンは苛立ちを覚える。
     苛立ちを表すようにリックの体を壁に押し付ける手に力が入り、リックが痛みに顔を歪めた。それでも彼はこちらを睨み続ける。それがニーガンの苛立ちを煽った。
    「スペンサーにコミュニティをまとめる能力なんざない。もっともらしいことを言ってたが、結局あいつはお前を妬んで引きずり下ろしたかっただけのクソ野郎だ。仲間のことなんて考えてなかった。あいつを放置すれば厄介なことになるのは目に見えてた。」
    「だから殺したのか?」
    「そうだ。アレクサンドリアに問題が起きれば俺たちにも影響する。要するにスペンサーは周りに損害を与える存在ってことだ。実のところ、お前は奴を厄介者だと思ってたんじゃないのか?」
     ニーガンの指摘に対してリックは苦々しげに顔をしかめて黙り込む。思い当たることがあるようだ。
     しかし、リックは「それでも」と反論を続ける。
    「スペンサーはアレクサンドリアの住人であり仲間だ。問題が起きれば俺たちの間で解決する必要があったし、俺には彼を守る義務があった。どんな理由を並べられようと認められない。」
     リックの頑なさにニーガンは溜め息を零した。
    「お前って奴は何でそんなにも頑固なんだ?スペンサーはお前にとって特別だったのか?」
     溜め息混じりに尋ねるとリックの表情が曇った。そして、彼はこちらから視線を逸らして「特別だったわけじゃない」と小さな声で答えた。
    「スペンサーの母親から息子を見守ってほしいと託された。死を目前にした彼女に仲間として見守ってやってほしいと頼まれて、俺は必ずそうすると約束した。……あいつを厄介な人間だと思っていたことは認める。それでも守ろうと努力したんだ。彼は俺の仲間だから。」
     返された答えにニーガンは目を瞠り、次の瞬間には固く目をつぶった。急激に湧き上がる感情を処理するのが難しかったからだ。
     リックにとって特別な存在だったのはスペンサーではなく母親の方だ。かつてアレクサンドリアのリーダーであったその女性はリックの心に深く影響を与えたのだろう。そんな相手との最期の約束を守るために必死だった彼の思いはスペンサー本人に届かず、男は道を踏み外した。母とリックの思いを顧みなかった代償にスペンサーは死んだのだ。
     スペンサーの死に対するリックの怒りはニーガンに向けられたものではなく守りきれなかった自身へのものであり、彼は約束を破ったことへの罪悪感に苦しんでいる。「自業自得だ」と割り切ることができないのは果たせなかった約束を今でも背負い続けているせいだ。
     リックという男は何かを背負わずにいられない。それがどれほど重たくて押し潰されそうでも、一人で背負うには数が多すぎても、彼は絶対に投げ捨てようとしない。腐りきって彼自身を蝕むものに変質したものでさえ背負い続けるのだ。
     大量の血を浴び、全身が泥に塗れ、背負うものの重さに潰れそうになっても、リックは必死に耐え抜いて決して倒れない。その姿は哀れでありながら凄絶に美しい。
     ──だから惹かれるのだろうか?
     瞬間、己の頭を過ぎった疑問にニーガンは「違う」と頭を振った。
     リックに向ける己の感情は「惹かれる」という表現では余りにも生温く、だからといって他に相応しい表現が見つからない。これほどに強烈で凶悪な感情を表す言葉が見つかるはずもなかった。
     リックを徹底的に支配したいと望む欲は出会った時から変わらない。完全に屈した彼が涙を零す瞬間を見たいとも思う。それと同じくらいに「この男を救いたい」という願望が胸の奥に根付いていることも事実だ。
     どれだけ考えてもリックという人間は本来であればリーダーには向かない。元々持っている優しさがリーダーとしての彼を苦しめるからだ。だからこそ「リックは支配を完全に受け入れるべきだ」とニーガンは考えている。彼の背負うものを引き受け、彼が守りたいものを守ることができるのはニーガン以外にいない。
     ニーガンはゆっくりと目を開けて、こちらの様子を窺うリックを見下ろした。真っ直ぐにこちらを見つめるリックの瞳は美しい。この瞳に涙の膜が張ると驚くほどに美しく、いつまでも眺めていたいと思う。この瞳が濁るくらいなら彼から全てを取り上げてしまいたい。
     ニーガンはリックの頬を両手で包み、親指で目の縁をなぞった。
    「リック、いい加減に俺を受け入れろ。受け入れて、お前の背負うもの全てを寄越せ。」
     そのように告げればリックの眼差しが鋭くなる。続けて怒りを孕んだ声で「断る」と返されたが、それは予想の範囲内だ。
     ニーガンは顔を近づけてリックの瞳を覗き込み、そこに映る己を見た。
    「救ってやる、と言ってるんだ。お前を救えるのは俺しかいない。──救ってやるよ。お前も、お前の家族も。」
     それに対してリックが「わかった」と答えることも、首を縦に振ることもなかった。返されるのは憎しみだけだ。それでもニーガンはリックから目を離さない。


     支配を受け入れろ。
     俺の前に屈しろ。
     お前の持つ全てを寄越せ。
     そうすれば俺がお前を救ってやる。

    END
    ♢だんご♢ Link Message Mute
    2021/10/11 22:11:38

    考える人

    #TWD #ニガリク #カール ##TWD ##ニガリク


    pixivに投稿した作品と同じものです。
    S7のニガリク。
    リックについて考え続けるニーガンのお話。アレクサンドリアに行ってリックと一緒に過ごします。
    カールも登場しますが、出番は少なめ。


    リックについて深く考えるニーガンを書きたくて書き始めましたが、難しかったです。ニーガンは本当に難しい。
    でもニーガンから見るリックを書くのはとても楽しかったです。
    地味めな話ですが、よかったらどうぞ。

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      privatterで投稿したものと今までに投稿していないものをまとめました。
      平和な世界だったり、ドラマ沿いだったりごちゃ混ぜです。



      ◆今日のダリリク:相手が風呂を上がっても髪を乾かさないので仕方なくドライヤーをかけてやる
      # 同棲してる2人の日常
      https://shindanmaker.com/719224

       髪を濡らしたままバスルームから出てきたリックを見て、ダリルは眉間に思いきりシワを寄せた。
       リックが「疲れた」と何度もボヤきながらバスルームに入っていった時点でこうなることは予想していたが、予想通りになったからといって喜ぶことはできない。
       ダリルは髪の先から雫を滴らせるリックを捕まえるとバスルームへ引きずっていき、ドライヤーの熱い風をリックの髪に吹きかけ始める。
       乱暴な手つきで髪を乾かしてやるとリックが苦笑いを浮かべた。
      「放っておいてくれて構わないんだぞ?」
      「バカか。風邪でも引かれたら困る。」
       それも理由の一つではあるが、リックに構いたいというのが一番の理由。
       普段は頼もしく凛々しい男がダリルの前では気を緩めて無防備になるのが嬉しい。それだけ自分に心を許しているということなのだと思うと甘やかしてやりたくなる。
       そんなことをリック本人に言うつもりは少しもない。
       そんなわけで、ダリルは緩みそうになる顔を引き締めながらリックの髪を乾かし続けたのだった。

      End




      ◆今日のシェンリク:昼下がり、相手が楽しそうに洗濯物を干しているのを、洗濯物をたたみながら眺める
      # 同棲してる2人の日常
      https://shindanmaker.com/719224

       今日は仕事は休み。
       そのためシェーンはリックと共に惰眠を貪り、遅めの朝食……ではなく昼食を食べてから活動を始めた。
       洗濯機を回しながら食器洗いや掃除を行い、それが終わると昨夜干した洗濯物を取り込んでいく。
       洗濯物の取り込みが終わった時点でリックが洗い終わった衣類を持って姿を見せた。
      「干すのは俺がやるからシェーンは洗濯物をたたんでおいてくれ。」
      「任せろ、相棒。」
       仕事中のような受け答えに笑い合いながら各自の仕事に取りかかる。
       Tシャツをたたみ、ジーンズをたたみ、タオルをたたみ……。
       シェーンはキレイにたたんだ衣類を並べながら洗濯物を干すリックに目を向ける。
       物干しに洗濯物を干していくリックの顔には笑みが浮かんでいる。それだけでなく鼻歌まで歌っているようだ。
       「何がそんなに楽しいのだろう」と首を傾げかけて、シェーンは自分の口元も緩んでいることに気づいた。
       ああ、そうか。二人一緒なら何をしていても楽しい。
       シェーンはリックも自分と同じなのだと気づき、自分の笑みがますます深いものになっていくのを自覚した。
       これが終わったら次は何をしようか?
       リックと一緒ならどんなことをしても楽しいに違いない。
       そんな風に心を弾ませながら最後の一枚をたたみ終わると、洗濯物を干しているリックの方へ足を運ぶことにした。

      End




      ◆今日のニガリク:無意識に「おかえり」と言うと相手が驚いた顔で「ただいま…」と小声で返すので、何だかお互いに恥ずかしくなる
      # 同棲してる2人の日常
      https://shindanmaker.com/719224

       遅くなるなら遅くなるって連絡しろ、クソ野郎。
       リックは怒りと共に冷めきったスパゲッティの皿にラップを貼ってから冷蔵庫を開けた。
       夕食の時間になっても帰ってこなかったニーガンからの連絡は未だにない。「夕食はいらない」という話もなかったので用意はしておいたのだが、日付が変わるまで残り三十分という時間になっても玄関のドアは開かなかった。
       ニーガンという男は他人の思い通りになるような人間ではないと知っていたが、少しは一緒に暮らしている者の身にもなってほしいとリックは常々思っている。
      「どこかの女の部屋にでも転がり込んだのかもな。」
       リックは吐き捨てるように言いながら冷蔵庫の扉を乱暴に閉めた。
       あんな男と一緒に暮らしている自分がバカなのだとわかっていても腹を立てずにいられない。
       ニーガンの言動一つに振り回され、翻弄され、感情が揺れ動く自分が情けなかった。それなのに離れずにいることも情けなくて悔しい。
       「早く帰ってきてほしい」だなんて惨めだ。
       リックは静まり返った部屋の中心に佇み、ボンヤリと床を見つめる。ニーガンがいるとうるさいと感じるのに、今はこの静けさが嫌いだ。
       どうしても「ただいま」の声が聞きたい。
       その時、ドアの開く音が微かに響く。その音に導かれるように玄関へ向かうと、そこにはニーガンの姿があった。
       ニーガンはリックを見ると普段通りの笑みを浮かべた。
      「文句は後にしろよ。説明してやるから、先にシャワーを浴びさせて……」
      「おかえり。」
       リックの口から滑り落ちた言葉にニーガンが驚いた顔をする。それは演技ではなく心からのものだとリックは確信した。
       ニーガンは驚きの表情を浮かべたまま口を開く。
      「……ただいま。」
       それは小さな声だった。
       そのことが妙な恥ずかしさを呼び起こしたため、リックは片手で顔を覆って俯いた。
      「どうして俺が恥ずかしくならなきゃいけないんだ?」
      「それは俺のセリフだ。……文句を言われると思ったのに、今のは反則だ。」
       意外にも近くで声が聞こえたためリックが顔を上げると拗ねた顔のニーガンが目の前にいた。
       リックは一歩後ろへ下がろうとしたが、ニーガンに抱き寄せられたためそれは叶わない。
       珍しく真剣な表情のニーガンは唇同士が触れそうな近さで囁く。
      「リック、もう一度『おかえり』と言ってみろ。」
       結局、この男には逆らえない。
       そう思いながら「おかえり」と口にするとニーガンは満足げに微笑む。
       そして「ただいま」と共に与えられたのは熱い口付けだった。

      End




      ◆ダリリク/制限付きの逃避行

      「笑う横顔に恋をしたのは果たしていつの日だっただろうか」
      https://shindanmaker.com/750576

      【制限付きの逃避行】

       ダリルの視線の先には難しい顔をして考え込むリックがいる。
       出会ったばかりの頃のリックはもっと表情豊かな男だったように思う。良いものも悪いものも表情に出していたように思う。
       しかし、リーダーとしての重さが増していくとリックの顔からは表情が消えていった。
       きっと、背負い過ぎたのだろう。
       きっと、失い過ぎたのだろう。
       それをどうにかしてやりたくても運命は過酷なもので、誰にもリックを救えない。
       だからダリルはリックの傍に行く。頬を撫でてやることしかできなくても、その一瞬だけリックに表情が戻るからだ。
       ダリルがリックの隣に立つとリックは視線だけを寄越してきた。
      「また考え事か?」
      「ああ、別に大したことじゃない。」
       嘘つきめ。
       そう言ってやりたかったが、言ったところで苦笑するだけだろう。
       ダリルは何となくリックに触れたくなって頬に掌を這わせた。そうするとリックは目を細めて幸せそうな笑みを浮かべる。
       笑う横顔に恋をしたのは果たしていつの日だっただろうか?
       ダリルは最近では滅多に笑わなくなった想い人に胸を痛め、自分にできることの少なさに落胆する。
       自分と過ごす時間だけでもリックが幸せだと思えるのならいくらでも傍にいるのに。
       そんなダリルの思いをやんわりと拒むようにリックが離れていく。
      「……もう行かないと。」
       小さく呟いたリックの顔からは表情が消えていた。
      「そうだな。」
       次にリックの笑顔に会えるのはいつになるのだろう?
       リックの傍にいたいのは彼のためなのか、それとも自分のためなのか、ダリルにはそれさえわからなくなった。

      End




      【この熱さをもたらすもの】ダリリク

       照りつける太陽が俺の背中を焼く。
       ジリジリと焦げつく背中に滲む汗は不快さしか与えてくれず、眉間にしわが寄ったのを自覚する。
       作業する手を止めて休めばいいのに「もう少しだけ」と作業を止められない。生き急ぐつもりはないが、小さな焦りが自分の中に存在しているせいなのかもしれない。
       思わず自分に苦笑を漏らした時、後ろから足音が近づいてきた。
      「仕事中毒か?水でも飲んで休め。」
       姿を見せたのはダリルで、彼は水の入ったペットボトルを手にして立っている。
       差し出されたペットボトルを受け取りながら礼を言うと、ダリルの手の甲が俺の頬に触れた。
      「おい、かなり熱いぞ。気分は悪くないか?」
      「大丈夫だ。だが、そろそろ切り上げた方がいいかもしれないな。」
      「あんた、結構汗かきだよな。脱水症状でぶっ倒れても知らねーぞ。」
       ダリルは呆れ顔で俺の頬を軽く叩いた。
       休まずに仕事を続けてしまうのは俺の悪い癖だ。そんな俺をダリルはいつも心配してくれる。
       本当に良い奴だな、と思わず笑みが溢れた。
      「気をつける。それにしてもお前は本当に俺のことをよく見ているよな。そんなに俺のことが好きなのか?」
       笑い混じりに冗談を言ってみた。
       「バカか」と呆れ顔をするダリルを想像していたが、予想とは違ってダリルは目を丸くして俺を見る。その顔が真っ赤に染まるのは一瞬のことだった。
       予想外の反応に何も言えずにいるとダリルが耳元に唇を寄せてくる。
      「好きだけど、何か文句あるか?」
       低く囁かれて背筋にゾクリとしたものが走る。
       ダリルは俺から体を離し、鼻を鳴らして去っていく。それを見送ることができないのは全身が硬直してしまったからだ。
       ああ、熱い。頬が燃えるように熱い。
       思いがけずダリルから与えられた熱に逆上せそうな気がした。

      End




      【Strawberry】ニガリク

       ああ、今日もよく働いた。
       そんな充実感と共にリックは体を伸ばす。
       スッキリと晴れた青空の下で作業をするのは気分が良い。そのためか今日はいつもより張り切って仕事をしたような気がする。
       休むことなく動き回ったので、さすがに体が重い。リックは休憩のために近くの家の壁に背中を預けて座った。
       吹き抜ける風の柔らかさが心地良い。
       耳に届く住人たちの賑やかな声が穏やかな気持ちにさせてくれる。
       様々な困難を乗り越えたアレクサンドリアは希望に満ちた町へと変わりつつある。
      (幸せだなぁ)
       素直にそう感じたリックは微かに笑みを浮かべた。


       リックが幸せな気分を満喫していると足音が近づいてくる。その足音の方へ顔を向ければニーガンが歩いてくる姿が見えた。
       ニーガンのシャツの袖には泥が付いている。畑仕事を嫌がらずに行うニーガンを意外に思ったのはそんなに最近のことではない。
       敵対し、憎み、戦争までした相手と手を取り合って生きていることが信じられないが、目の前にあるのは全て現実だ。そのことが不思議で、おかしくて、そして嬉しい。
       リックがクスクスと笑っていると目の前に来たニーガンが呆れたような顔をする。
      「働きすぎておかしくなったのか?」
      「違う。気にしないでくれ。」
       まだ笑いの余韻を残すリックにニーガンは顔をしかめたが、それ以上は追及せずにリックの正面にしゃがんだ。
       リックの前にしゃがんだニーガンの手には苺が乗っている。畑で育てていたものを持ってきたのだろう。
      「見事な出来だな。ニーガンが農作業が好きだなんて意外だった。」
       そう言ってやるとニーガンはニヤリと笑う。
      「小さなレディだと思えば手間をかけるのも惜しくない。」
       「何だそれ」とリックが笑っているとニーガンはリックの唇に触れた。
      「お前に一番に食わせてやる。口を開けろ。」
       その言葉に従ってリックは口を開けたが、ニーガンは苺を自分で咥えてしまう。
       一番に食べさせてくれるのではなかったのか?
       リックがそんな疑問を抱いているとニーガンが顔を近づけてきた。そしてニーガンが咥えた苺がリックの唇に触れる。「食べろ」という意味なのだと理解したリックは苺をかじった。
       かじった瞬間に口の中に果汁が広がり、甘く爽やかな香りが鼻を通り抜ける。リックは自分を真っ直ぐに見つめてくる瞳を見つめながら苺を咀嚼した。
      「美味い。」
       正直な感想を告げると、それを待ちかねていたかのように残り半分の苺がニーガンの口の中へと消える。
       ニーガンは己の唇に付いた苺の汁を舐め取りながら囁く。
      「お前のためにこの俺が育てた苺だ。全部食えよ、リック。」
      「……本当に押し付けがましい奴だな、あんたは。」
       溜め息混じりのリックの言葉を気にしていない様子でニーガンは再び苺を咥えた。
       リックは「仕方ない」と苦笑してからその苺を咥える。さっきよりも深く咥えれば唇同士が触れ合う。
       そして思いきって苺をかじれば触れ合うだけのものが深い口付けへと変わった。
       苺の甘い汁と共に舌を絡め合えば奇妙な背徳感に背筋がゾクリとする。その背徳感を嫌だと思わないのは目の前の男との甘い時間に溺れているせいだ。
      (甘い、さっきよりもっと)
       この甘さは自分だけのもの。ニーガンが自分のために育てた苺をニーガン自ら与えてくれることで生まれた甘さだ。
       そう認識した時、何度も噛むことでドロドロになった苺が喉を下りていった。
       まだ食べ足りない、と思ったリックは軽く口を開けて「もっと」と強請る。
       「仕方ない奴だ」とニーガンが楽しげな笑みを浮かべながら咥えた苺がリックにはこの世で一番美味しそうなものに見えた。

      End




      【唐突に告げる】シェンリク

      「愛してる。」
       シェーンの鼓膜を震わせたリックの一言は何の脈絡もないものだった。
       シェーンとリックは二人がけのソファーに並んで映画を観ている真っ最中。
       観ているのは恋愛ものの映画ではない。そういったジャンルに興味はなかった。ついさっきまでビール片手にストーリーにツッコミを入れて笑い合っていただけなのだ。
       それなのに突然リックが愛の言葉を口にしたため、シェーンは目を丸くして隣に顔を向けた。
      「何だよ、急に。」
       そう尋ねればリックは楽しそうに笑った。
      「何となく言いたかっただけだ。」
      「そんなムードじゃなかったぞ。」
       変な奴、と苦笑しながら新しいビールに口を付ける。
       突然のことに驚きはしたが、悪くはない。
       相手のことを常に愛しく思っているのはシェーンも同じだ。
      「愛してる。」
       今度はシェーンが愛の言葉を口にした。
       シェーンが再び隣へ顔を向ければリックも同じようにシェーンを見ていた。
       目が合った時、リックの目尻が垂れて幸せそうな笑みが浮かんだ。
       そんなリックを「愛しいな」と改めて思ったシェーンの口も弧を描いていた。

      End
      #ダリリク  #シェンリク  #腐向け  #TWD  #ニガリク ##ダリリク ##シェンリク ##ニガリク ##TWD


      privatterで投稿したものと今までに投稿していないものをまとめました。
      平和な世界だったり、ドラマ沿いだったりごちゃ混ぜです。



      ◆今日のダリリク:相手が風呂を上がっても髪を乾かさないので仕方なくドライヤーをかけてやる
      # 同棲してる2人の日常
      https://shindanmaker.com/719224

       髪を濡らしたままバスルームから出てきたリックを見て、ダリルは眉間に思いきりシワを寄せた。
       リックが「疲れた」と何度もボヤきながらバスルームに入っていった時点でこうなることは予想していたが、予想通りになったからといって喜ぶことはできない。
       ダリルは髪の先から雫を滴らせるリックを捕まえるとバスルームへ引きずっていき、ドライヤーの熱い風をリックの髪に吹きかけ始める。
       乱暴な手つきで髪を乾かしてやるとリックが苦笑いを浮かべた。
      「放っておいてくれて構わないんだぞ?」
      「バカか。風邪でも引かれたら困る。」
       それも理由の一つではあるが、リックに構いたいというのが一番の理由。
       普段は頼もしく凛々しい男がダリルの前では気を緩めて無防備になるのが嬉しい。それだけ自分に心を許しているということなのだと思うと甘やかしてやりたくなる。
       そんなことをリック本人に言うつもりは少しもない。
       そんなわけで、ダリルは緩みそうになる顔を引き締めながらリックの髪を乾かし続けたのだった。

      End




      ◆今日のシェンリク:昼下がり、相手が楽しそうに洗濯物を干しているのを、洗濯物をたたみながら眺める
      # 同棲してる2人の日常
      https://shindanmaker.com/719224

       今日は仕事は休み。
       そのためシェーンはリックと共に惰眠を貪り、遅めの朝食……ではなく昼食を食べてから活動を始めた。
       洗濯機を回しながら食器洗いや掃除を行い、それが終わると昨夜干した洗濯物を取り込んでいく。
       洗濯物の取り込みが終わった時点でリックが洗い終わった衣類を持って姿を見せた。
      「干すのは俺がやるからシェーンは洗濯物をたたんでおいてくれ。」
      「任せろ、相棒。」
       仕事中のような受け答えに笑い合いながら各自の仕事に取りかかる。
       Tシャツをたたみ、ジーンズをたたみ、タオルをたたみ……。
       シェーンはキレイにたたんだ衣類を並べながら洗濯物を干すリックに目を向ける。
       物干しに洗濯物を干していくリックの顔には笑みが浮かんでいる。それだけでなく鼻歌まで歌っているようだ。
       「何がそんなに楽しいのだろう」と首を傾げかけて、シェーンは自分の口元も緩んでいることに気づいた。
       ああ、そうか。二人一緒なら何をしていても楽しい。
       シェーンはリックも自分と同じなのだと気づき、自分の笑みがますます深いものになっていくのを自覚した。
       これが終わったら次は何をしようか?
       リックと一緒ならどんなことをしても楽しいに違いない。
       そんな風に心を弾ませながら最後の一枚をたたみ終わると、洗濯物を干しているリックの方へ足を運ぶことにした。

      End




      ◆今日のニガリク:無意識に「おかえり」と言うと相手が驚いた顔で「ただいま…」と小声で返すので、何だかお互いに恥ずかしくなる
      # 同棲してる2人の日常
      https://shindanmaker.com/719224

       遅くなるなら遅くなるって連絡しろ、クソ野郎。
       リックは怒りと共に冷めきったスパゲッティの皿にラップを貼ってから冷蔵庫を開けた。
       夕食の時間になっても帰ってこなかったニーガンからの連絡は未だにない。「夕食はいらない」という話もなかったので用意はしておいたのだが、日付が変わるまで残り三十分という時間になっても玄関のドアは開かなかった。
       ニーガンという男は他人の思い通りになるような人間ではないと知っていたが、少しは一緒に暮らしている者の身にもなってほしいとリックは常々思っている。
      「どこかの女の部屋にでも転がり込んだのかもな。」
       リックは吐き捨てるように言いながら冷蔵庫の扉を乱暴に閉めた。
       あんな男と一緒に暮らしている自分がバカなのだとわかっていても腹を立てずにいられない。
       ニーガンの言動一つに振り回され、翻弄され、感情が揺れ動く自分が情けなかった。それなのに離れずにいることも情けなくて悔しい。
       「早く帰ってきてほしい」だなんて惨めだ。
       リックは静まり返った部屋の中心に佇み、ボンヤリと床を見つめる。ニーガンがいるとうるさいと感じるのに、今はこの静けさが嫌いだ。
       どうしても「ただいま」の声が聞きたい。
       その時、ドアの開く音が微かに響く。その音に導かれるように玄関へ向かうと、そこにはニーガンの姿があった。
       ニーガンはリックを見ると普段通りの笑みを浮かべた。
      「文句は後にしろよ。説明してやるから、先にシャワーを浴びさせて……」
      「おかえり。」
       リックの口から滑り落ちた言葉にニーガンが驚いた顔をする。それは演技ではなく心からのものだとリックは確信した。
       ニーガンは驚きの表情を浮かべたまま口を開く。
      「……ただいま。」
       それは小さな声だった。
       そのことが妙な恥ずかしさを呼び起こしたため、リックは片手で顔を覆って俯いた。
      「どうして俺が恥ずかしくならなきゃいけないんだ?」
      「それは俺のセリフだ。……文句を言われると思ったのに、今のは反則だ。」
       意外にも近くで声が聞こえたためリックが顔を上げると拗ねた顔のニーガンが目の前にいた。
       リックは一歩後ろへ下がろうとしたが、ニーガンに抱き寄せられたためそれは叶わない。
       珍しく真剣な表情のニーガンは唇同士が触れそうな近さで囁く。
      「リック、もう一度『おかえり』と言ってみろ。」
       結局、この男には逆らえない。
       そう思いながら「おかえり」と口にするとニーガンは満足げに微笑む。
       そして「ただいま」と共に与えられたのは熱い口付けだった。

      End




      ◆ダリリク/制限付きの逃避行

      「笑う横顔に恋をしたのは果たしていつの日だっただろうか」
      https://shindanmaker.com/750576

      【制限付きの逃避行】

       ダリルの視線の先には難しい顔をして考え込むリックがいる。
       出会ったばかりの頃のリックはもっと表情豊かな男だったように思う。良いものも悪いものも表情に出していたように思う。
       しかし、リーダーとしての重さが増していくとリックの顔からは表情が消えていった。
       きっと、背負い過ぎたのだろう。
       きっと、失い過ぎたのだろう。
       それをどうにかしてやりたくても運命は過酷なもので、誰にもリックを救えない。
       だからダリルはリックの傍に行く。頬を撫でてやることしかできなくても、その一瞬だけリックに表情が戻るからだ。
       ダリルがリックの隣に立つとリックは視線だけを寄越してきた。
      「また考え事か?」
      「ああ、別に大したことじゃない。」
       嘘つきめ。
       そう言ってやりたかったが、言ったところで苦笑するだけだろう。
       ダリルは何となくリックに触れたくなって頬に掌を這わせた。そうするとリックは目を細めて幸せそうな笑みを浮かべる。
       笑う横顔に恋をしたのは果たしていつの日だっただろうか?
       ダリルは最近では滅多に笑わなくなった想い人に胸を痛め、自分にできることの少なさに落胆する。
       自分と過ごす時間だけでもリックが幸せだと思えるのならいくらでも傍にいるのに。
       そんなダリルの思いをやんわりと拒むようにリックが離れていく。
      「……もう行かないと。」
       小さく呟いたリックの顔からは表情が消えていた。
      「そうだな。」
       次にリックの笑顔に会えるのはいつになるのだろう?
       リックの傍にいたいのは彼のためなのか、それとも自分のためなのか、ダリルにはそれさえわからなくなった。

      End




      【この熱さをもたらすもの】ダリリク

       照りつける太陽が俺の背中を焼く。
       ジリジリと焦げつく背中に滲む汗は不快さしか与えてくれず、眉間にしわが寄ったのを自覚する。
       作業する手を止めて休めばいいのに「もう少しだけ」と作業を止められない。生き急ぐつもりはないが、小さな焦りが自分の中に存在しているせいなのかもしれない。
       思わず自分に苦笑を漏らした時、後ろから足音が近づいてきた。
      「仕事中毒か?水でも飲んで休め。」
       姿を見せたのはダリルで、彼は水の入ったペットボトルを手にして立っている。
       差し出されたペットボトルを受け取りながら礼を言うと、ダリルの手の甲が俺の頬に触れた。
      「おい、かなり熱いぞ。気分は悪くないか?」
      「大丈夫だ。だが、そろそろ切り上げた方がいいかもしれないな。」
      「あんた、結構汗かきだよな。脱水症状でぶっ倒れても知らねーぞ。」
       ダリルは呆れ顔で俺の頬を軽く叩いた。
       休まずに仕事を続けてしまうのは俺の悪い癖だ。そんな俺をダリルはいつも心配してくれる。
       本当に良い奴だな、と思わず笑みが溢れた。
      「気をつける。それにしてもお前は本当に俺のことをよく見ているよな。そんなに俺のことが好きなのか?」
       笑い混じりに冗談を言ってみた。
       「バカか」と呆れ顔をするダリルを想像していたが、予想とは違ってダリルは目を丸くして俺を見る。その顔が真っ赤に染まるのは一瞬のことだった。
       予想外の反応に何も言えずにいるとダリルが耳元に唇を寄せてくる。
      「好きだけど、何か文句あるか?」
       低く囁かれて背筋にゾクリとしたものが走る。
       ダリルは俺から体を離し、鼻を鳴らして去っていく。それを見送ることができないのは全身が硬直してしまったからだ。
       ああ、熱い。頬が燃えるように熱い。
       思いがけずダリルから与えられた熱に逆上せそうな気がした。

      End




      【Strawberry】ニガリク

       ああ、今日もよく働いた。
       そんな充実感と共にリックは体を伸ばす。
       スッキリと晴れた青空の下で作業をするのは気分が良い。そのためか今日はいつもより張り切って仕事をしたような気がする。
       休むことなく動き回ったので、さすがに体が重い。リックは休憩のために近くの家の壁に背中を預けて座った。
       吹き抜ける風の柔らかさが心地良い。
       耳に届く住人たちの賑やかな声が穏やかな気持ちにさせてくれる。
       様々な困難を乗り越えたアレクサンドリアは希望に満ちた町へと変わりつつある。
      (幸せだなぁ)
       素直にそう感じたリックは微かに笑みを浮かべた。


       リックが幸せな気分を満喫していると足音が近づいてくる。その足音の方へ顔を向ければニーガンが歩いてくる姿が見えた。
       ニーガンのシャツの袖には泥が付いている。畑仕事を嫌がらずに行うニーガンを意外に思ったのはそんなに最近のことではない。
       敵対し、憎み、戦争までした相手と手を取り合って生きていることが信じられないが、目の前にあるのは全て現実だ。そのことが不思議で、おかしくて、そして嬉しい。
       リックがクスクスと笑っていると目の前に来たニーガンが呆れたような顔をする。
      「働きすぎておかしくなったのか?」
      「違う。気にしないでくれ。」
       まだ笑いの余韻を残すリックにニーガンは顔をしかめたが、それ以上は追及せずにリックの正面にしゃがんだ。
       リックの前にしゃがんだニーガンの手には苺が乗っている。畑で育てていたものを持ってきたのだろう。
      「見事な出来だな。ニーガンが農作業が好きだなんて意外だった。」
       そう言ってやるとニーガンはニヤリと笑う。
      「小さなレディだと思えば手間をかけるのも惜しくない。」
       「何だそれ」とリックが笑っているとニーガンはリックの唇に触れた。
      「お前に一番に食わせてやる。口を開けろ。」
       その言葉に従ってリックは口を開けたが、ニーガンは苺を自分で咥えてしまう。
       一番に食べさせてくれるのではなかったのか?
       リックがそんな疑問を抱いているとニーガンが顔を近づけてきた。そしてニーガンが咥えた苺がリックの唇に触れる。「食べろ」という意味なのだと理解したリックは苺をかじった。
       かじった瞬間に口の中に果汁が広がり、甘く爽やかな香りが鼻を通り抜ける。リックは自分を真っ直ぐに見つめてくる瞳を見つめながら苺を咀嚼した。
      「美味い。」
       正直な感想を告げると、それを待ちかねていたかのように残り半分の苺がニーガンの口の中へと消える。
       ニーガンは己の唇に付いた苺の汁を舐め取りながら囁く。
      「お前のためにこの俺が育てた苺だ。全部食えよ、リック。」
      「……本当に押し付けがましい奴だな、あんたは。」
       溜め息混じりのリックの言葉を気にしていない様子でニーガンは再び苺を咥えた。
       リックは「仕方ない」と苦笑してからその苺を咥える。さっきよりも深く咥えれば唇同士が触れ合う。
       そして思いきって苺をかじれば触れ合うだけのものが深い口付けへと変わった。
       苺の甘い汁と共に舌を絡め合えば奇妙な背徳感に背筋がゾクリとする。その背徳感を嫌だと思わないのは目の前の男との甘い時間に溺れているせいだ。
      (甘い、さっきよりもっと)
       この甘さは自分だけのもの。ニーガンが自分のために育てた苺をニーガン自ら与えてくれることで生まれた甘さだ。
       そう認識した時、何度も噛むことでドロドロになった苺が喉を下りていった。
       まだ食べ足りない、と思ったリックは軽く口を開けて「もっと」と強請る。
       「仕方ない奴だ」とニーガンが楽しげな笑みを浮かべながら咥えた苺がリックにはこの世で一番美味しそうなものに見えた。

      End




      【唐突に告げる】シェンリク

      「愛してる。」
       シェーンの鼓膜を震わせたリックの一言は何の脈絡もないものだった。
       シェーンとリックは二人がけのソファーに並んで映画を観ている真っ最中。
       観ているのは恋愛ものの映画ではない。そういったジャンルに興味はなかった。ついさっきまでビール片手にストーリーにツッコミを入れて笑い合っていただけなのだ。
       それなのに突然リックが愛の言葉を口にしたため、シェーンは目を丸くして隣に顔を向けた。
      「何だよ、急に。」
       そう尋ねればリックは楽しそうに笑った。
      「何となく言いたかっただけだ。」
      「そんなムードじゃなかったぞ。」
       変な奴、と苦笑しながら新しいビールに口を付ける。
       突然のことに驚きはしたが、悪くはない。
       相手のことを常に愛しく思っているのはシェーンも同じだ。
      「愛してる。」
       今度はシェーンが愛の言葉を口にした。
       シェーンが再び隣へ顔を向ければリックも同じようにシェーンを見ていた。
       目が合った時、リックの目尻が垂れて幸せそうな笑みが浮かんだ。
       そんなリックを「愛しいな」と改めて思ったシェーンの口も弧を描いていた。

      End
      ♢だんご♢
    • 飽きたなら、さようなら #TWD #ニガリク #腐向け ##TWD ##ニガリク

      pixivに投稿した作品と同じものです。
      S7辺りのニガリク。
      ニーガンに素っ気なくされるようになったリックが徴収の前日に調達に出かけるお話。


      ニーガンに素っ気なくされるリックを書いてみたかったので挑戦してみましたが、あんまり素っ気ない感じがしないかもしれません。
      よかったら、どうぞ。
      ♢だんご♢
    • リック受けまとめ2 ##TWD ##ニガリク ##ダリリク ##メルリク

      ぷらいべったーに投稿した作品のまとめです。
      ほぼニガリクでした。
      よかったらどうぞ。
      ♢だんご♢
    • スコット受まとめ #蜘蛛蟻  #隼蟻  #盾蟻  #腐向け ##蜘蛛蟻 ##隼蟻 ##盾蟻


      診断メーカーのお題で書いたものをまとめました。privatterに投稿していたものです。




      ◆今日の隼蟻:洗う係と拭く係とで別れて、口論しながらも見事な連携プレーで食器を洗う
      # 同棲してる2人の日常
      https://shindanmaker.com/719224

      「だーかーら!今日は俺が夕飯作るって言っただろ!?しかも言ったのは朝!」
       スコットが泡だらけの皿を水で洗いながら怒鳴ると、その隣ではサムが洗い終わった食器を乾いたタオルで拭きながらしかめっ面をする。
      「俺がやりたくてやってるだけだ。俺としては何で怒られなきゃならないのかが理解できないね。」
      「疲れて帰ってきた奴にさせたくなかったのがわかんないのか!?あー、俺の優しさが無駄になった!」
       やけくそ気味に言い放ったスコットの言葉に対してサムが「自分で言うな」とツッコむと、スコットの機嫌はますます下降していく。
       今日の任務はサムだけだったので、スコットは今夜の食事は自分が作ろうと思っていた。毎日食事を作ってくれるサムへの感謝のためでもあったからだ。
       それなのに買い出しで家を留守にした間にサムが帰宅し、スコットが帰宅する前に夕食を作ってしまったのである。
      「あんたに美味いものを食べさせてやりたいと思うのがそんなにダメか?」
       サムはスコットが渡した皿を受け取って手際良く水分を拭き取った。
      「そうじゃなくてっ……サムに少しでも楽をさせてやりたい俺の気持ちも考えろってこと。」
       差し出されたサムの手にスコットは洗い終わった皿を乗せる。その皿の水気もサムの手によってあっという間に消え失せてしまった。
      「あんたを喜ばせたい俺の気持ちも考えてほしいね。……早く次を渡せ。」
      「はいはい、これで最後だよ。」
       スコットが不機嫌そうに最後の皿を渡すと、サムは目を丸くしてスコットの顔を見た。
      「最後?これで終わりか?」
      「何か問題でも?」
      「早いな。もう洗い終わったのか。」
      「……ケンカしても連携プレーはバッチリだな、俺たち。」
       その事実が二人の仲の良さを表しているようで、不思議と笑みが浮かんでくる。
       こうなってしまえば怒りは萎んで消えてしまい、後は仲直りをするだけとなる。
       スコットとサムは向かい合うと互いの体に両腕を回して抱きしめ合った。
      「サム、ごめん。ムキになって怒り過ぎた。」
      「俺こそ悪かった。スコットの気持ちは嬉しかったんだ。」
       謝り合ってハグをすればケンカはお終い。
       残りの時間は甘く穏やかな時間を過ごすことにしよう。

      End




      ◆今日の蜘蛛蟻:なんだか無性に甘いものが食べたいと思ってドーナッツ1ダース買って帰ったら相手も1ダース買ってた
      # 同棲してる2人の日常
      https://shindanmaker.com/719224

       お腹が空いたな、と思った帰り道。
       甘いものが食べたいな、と思って回り道。
       良さそうな店を探すピーターの鼻に届いたのは美味しそうなドーナツの香り。
       甘い香りに誘われてフラフラと店に入れば数えきれないほどたくさんのドーナツ。種類の豊富さは選ぶ楽しさを与えてくれる。
      (スコットさんは何が好きかな?)
       同棲中の恋人の好みを思い出しながらドーナツと見つめ合うが、どれも魅力的で一つだけ選ぶのは無理そうだ。
       それならば何種類も買って帰ればいいではないか。
       「我ながら名案だ」とピーターは笑みを浮かべ、澄まし顔で並ぶドーナツたちを次々と指名する。
       ドーナツを購入し、「ありがとうございました」と店員の声を背に受けながら店を出たピーターの手には大きな箱。その中にはドーナツが一ダースも詰まっていた。
       買い過ぎたかな、と思いながらも家に向かう足はステップを踏みそうな勢いだ。
       腹の虫を鳴かせながら家に帰れば愛しいスコットが出迎えてくれる。
      「見て、スコットさん。ドーナツ買ってきたんだ。」
       そう言ってドーナツの入った箱を差し出すとスコットは「えっ!」と言って目玉が飛び出そうな勢いで目を丸くした。
       どうしたのかと尋ねればスコットは気まずそうにダイニングテーブルを指差す。
       そこにあったのはピーターと同じ柄と大きさの箱。
      「俺もドーナツを買ってきたんだ。ピーターが喜ぶかと思って。……一ダース。」
       ピーターは困り顔で頬をかくスコットに抱きつきながら「僕たちの相性は最高だね!」と頬にキスを贈ったのだった。

      End




      ◆今日の盾蟻:仕事で疲れ切った帰り道、家の明かりが灯っているのを見て不意に泣きたくなった(相手には絶対言わないが)
      # 同棲してる2人の日常
      https://shindanmaker.com/719224

       すっかり暗くなった通りを歩きながらスティーブは冷たい風に体を震わせる。
       今日の任務は予定よりも時間がかかった。想定外の出来事が起きるのは当然で、そのための心構えは常にできている。
       しかし、疲れるものは疲れる。超人的な肉体を持つスティーブであっても疲れが溜まるのは避けられず、今日は特に疲れが大きい。
       重いものを引きずるように歩きながらの帰り道は気分まで重くさせた。
       暗い道を寒さに震えながら歩くのは妙に落ち込む。通りすがりの相手から嫌なことを言われたわけでもないのに……というより、誰とも擦れ違わないのだが。
      (なんだか情けないな)
       自分自身に対して苦笑しながら歩くうちに我が家が見えてきた。
       狭くはないが広いとも言いきれない小さな家には柔らかな明かりが灯っている。
      (スコット、まだ起きていたんだな)
       同棲を始めたばかりの恋人には帰るのが遅くなると連絡は入れてある。先に寝ていてほしいとも伝えておいたはずだ。
       それでも彼はスティーブの帰りを起きて待っていたらしい。

      ───ああ、一人じゃないことがこんなにも嬉しい。

       そう思った途端に鼻の奥がツーンとして、目の奥が熱くなって、瞬きを繰り返さなければ涙が溢れてしまいそうな気がした。
       スコットという存在が自分の心に温もりを与えてくれることが幸せで……幸せだからこそ泣きたくなる。
       スティーブは家の玄関の前に立つと頬を軽く叩いた。
       泣きそうになったなんて絶対に悟られたくない。いつも通りの自分でスコットに会いたい。
       「よし!」と小さく声を出してからドアを開ければ、愛しい笑顔がスティーブを迎えてくれた。

      End
      #蜘蛛蟻  #隼蟻  #盾蟻  #腐向け ##蜘蛛蟻 ##隼蟻 ##盾蟻


      診断メーカーのお題で書いたものをまとめました。privatterに投稿していたものです。




      ◆今日の隼蟻:洗う係と拭く係とで別れて、口論しながらも見事な連携プレーで食器を洗う
      # 同棲してる2人の日常
      https://shindanmaker.com/719224

      「だーかーら!今日は俺が夕飯作るって言っただろ!?しかも言ったのは朝!」
       スコットが泡だらけの皿を水で洗いながら怒鳴ると、その隣ではサムが洗い終わった食器を乾いたタオルで拭きながらしかめっ面をする。
      「俺がやりたくてやってるだけだ。俺としては何で怒られなきゃならないのかが理解できないね。」
      「疲れて帰ってきた奴にさせたくなかったのがわかんないのか!?あー、俺の優しさが無駄になった!」
       やけくそ気味に言い放ったスコットの言葉に対してサムが「自分で言うな」とツッコむと、スコットの機嫌はますます下降していく。
       今日の任務はサムだけだったので、スコットは今夜の食事は自分が作ろうと思っていた。毎日食事を作ってくれるサムへの感謝のためでもあったからだ。
       それなのに買い出しで家を留守にした間にサムが帰宅し、スコットが帰宅する前に夕食を作ってしまったのである。
      「あんたに美味いものを食べさせてやりたいと思うのがそんなにダメか?」
       サムはスコットが渡した皿を受け取って手際良く水分を拭き取った。
      「そうじゃなくてっ……サムに少しでも楽をさせてやりたい俺の気持ちも考えろってこと。」
       差し出されたサムの手にスコットは洗い終わった皿を乗せる。その皿の水気もサムの手によってあっという間に消え失せてしまった。
      「あんたを喜ばせたい俺の気持ちも考えてほしいね。……早く次を渡せ。」
      「はいはい、これで最後だよ。」
       スコットが不機嫌そうに最後の皿を渡すと、サムは目を丸くしてスコットの顔を見た。
      「最後?これで終わりか?」
      「何か問題でも?」
      「早いな。もう洗い終わったのか。」
      「……ケンカしても連携プレーはバッチリだな、俺たち。」
       その事実が二人の仲の良さを表しているようで、不思議と笑みが浮かんでくる。
       こうなってしまえば怒りは萎んで消えてしまい、後は仲直りをするだけとなる。
       スコットとサムは向かい合うと互いの体に両腕を回して抱きしめ合った。
      「サム、ごめん。ムキになって怒り過ぎた。」
      「俺こそ悪かった。スコットの気持ちは嬉しかったんだ。」
       謝り合ってハグをすればケンカはお終い。
       残りの時間は甘く穏やかな時間を過ごすことにしよう。

      End




      ◆今日の蜘蛛蟻:なんだか無性に甘いものが食べたいと思ってドーナッツ1ダース買って帰ったら相手も1ダース買ってた
      # 同棲してる2人の日常
      https://shindanmaker.com/719224

       お腹が空いたな、と思った帰り道。
       甘いものが食べたいな、と思って回り道。
       良さそうな店を探すピーターの鼻に届いたのは美味しそうなドーナツの香り。
       甘い香りに誘われてフラフラと店に入れば数えきれないほどたくさんのドーナツ。種類の豊富さは選ぶ楽しさを与えてくれる。
      (スコットさんは何が好きかな?)
       同棲中の恋人の好みを思い出しながらドーナツと見つめ合うが、どれも魅力的で一つだけ選ぶのは無理そうだ。
       それならば何種類も買って帰ればいいではないか。
       「我ながら名案だ」とピーターは笑みを浮かべ、澄まし顔で並ぶドーナツたちを次々と指名する。
       ドーナツを購入し、「ありがとうございました」と店員の声を背に受けながら店を出たピーターの手には大きな箱。その中にはドーナツが一ダースも詰まっていた。
       買い過ぎたかな、と思いながらも家に向かう足はステップを踏みそうな勢いだ。
       腹の虫を鳴かせながら家に帰れば愛しいスコットが出迎えてくれる。
      「見て、スコットさん。ドーナツ買ってきたんだ。」
       そう言ってドーナツの入った箱を差し出すとスコットは「えっ!」と言って目玉が飛び出そうな勢いで目を丸くした。
       どうしたのかと尋ねればスコットは気まずそうにダイニングテーブルを指差す。
       そこにあったのはピーターと同じ柄と大きさの箱。
      「俺もドーナツを買ってきたんだ。ピーターが喜ぶかと思って。……一ダース。」
       ピーターは困り顔で頬をかくスコットに抱きつきながら「僕たちの相性は最高だね!」と頬にキスを贈ったのだった。

      End




      ◆今日の盾蟻:仕事で疲れ切った帰り道、家の明かりが灯っているのを見て不意に泣きたくなった(相手には絶対言わないが)
      # 同棲してる2人の日常
      https://shindanmaker.com/719224

       すっかり暗くなった通りを歩きながらスティーブは冷たい風に体を震わせる。
       今日の任務は予定よりも時間がかかった。想定外の出来事が起きるのは当然で、そのための心構えは常にできている。
       しかし、疲れるものは疲れる。超人的な肉体を持つスティーブであっても疲れが溜まるのは避けられず、今日は特に疲れが大きい。
       重いものを引きずるように歩きながらの帰り道は気分まで重くさせた。
       暗い道を寒さに震えながら歩くのは妙に落ち込む。通りすがりの相手から嫌なことを言われたわけでもないのに……というより、誰とも擦れ違わないのだが。
      (なんだか情けないな)
       自分自身に対して苦笑しながら歩くうちに我が家が見えてきた。
       狭くはないが広いとも言いきれない小さな家には柔らかな明かりが灯っている。
      (スコット、まだ起きていたんだな)
       同棲を始めたばかりの恋人には帰るのが遅くなると連絡は入れてある。先に寝ていてほしいとも伝えておいたはずだ。
       それでも彼はスティーブの帰りを起きて待っていたらしい。

      ───ああ、一人じゃないことがこんなにも嬉しい。

       そう思った途端に鼻の奥がツーンとして、目の奥が熱くなって、瞬きを繰り返さなければ涙が溢れてしまいそうな気がした。
       スコットという存在が自分の心に温もりを与えてくれることが幸せで……幸せだからこそ泣きたくなる。
       スティーブは家の玄関の前に立つと頬を軽く叩いた。
       泣きそうになったなんて絶対に悟られたくない。いつも通りの自分でスコットに会いたい。
       「よし!」と小さく声を出してからドアを開ければ、愛しい笑顔がスティーブを迎えてくれた。

      End
      ♢だんご♢
    • スコット受け他まとめ ##アントマン ##蜘蛛蟻 ##スコット ##ロケット ##トニー

      ぷらいべったーに投稿した作品のまとめです。
      CPあり・なしの話がごちゃまぜ。CPありは蜘蛛蟻のみ。
      よかったらどうぞ。
      ♢だんご♢
    • ある寒い日のこと #ウースコ  #アントマン  #腐向け ##ウースコ ##アントマン


      自宅軟禁期間のウースコ。
      寒い日にスコットの自宅を訪ねるジミーのお話。

      寒い日は妄想がはかどるので書いてみました。ウースコというよりもウースコ未満かもしれません。
      いつも「ウーさん」と呼んでいるのでCP表記をウースコにしましたが、ジミスコの方がいいんでしょうか?
      とりあえずウースコでいこうと思います。
      短い話ですが、よかったらどうぞ。
      ♢だんご♢
    • 赤ずきんとおばあさん #蜘蛛蟻  #ピタスコ  #腐向け  ##蜘蛛蟻


      小説投稿機能のお試し。
      ぷらいべったーで投稿したものを少し手直ししました。タイトルのセンスがないのはお許しください。
      ピーターが遊びに来るのを待つ心配性なスコットのお話。
      よかったらどうぞ〜。
      ♢だんご♢
    • 本能が「欲しい」と囁いた #ニガリク  #TWD  #腐向け  #オメガバース  ##ニガリク  ##TWD

      pixivにも投稿した作品です。
      S7のニガリクで、オメガバース設定を使用しています。
      ネタバレになるので詳細は控えさせていただきます。

      好きなように設定を詰め込んでいますが、よかったらどうぞ。


      2018.6.21 一部を修正しました。
      ♢だんご♢
    • 小さなバースデーパーティー ##TWD ##リック ##カール

      アンディの誕生日にグライムズ親子の誕生日ネタで1つ。
      放浪中の親子の誕生日のお話。短いです。
      ♢だんご♢
    • さよなら、私のアルファ #ニガリク  #TWD  #腐向け  #オメガバース  #オリジナルキャラクター  ##ニガリク  ##TWD

      pixivにも投稿している作品です。
      【本能が「欲しい」と囁いた】の続きになります。
      ニーガンが運命の番と出会ったため、サンクチュアリを出ていくことにしたリックのお話。


      オリジナルキャラクターが複数名登場します。出番が多く、ニガリクの子どもも登場するので苦手な方はご注意ください。
      詳細は1ページ目に案内がありますので、そちらをご覧ください。
      ニガモブ要素を少し含みますし、ニーガンがひどい男です。
      よかったらどうぞ。


      2018.6.21 一部を修正しました。
      ♢だんご♢
    • ベッドひとつぶんの世界 #TWD #ダリリク #ニーガン #腐向け ##TWD ##ダリリク

      pixivに投稿したものと同じ作品です。
      S7辺りのダリリク。
      ニーガンの部下になったダリリクと、二人を見つめるニーガンのお話。


      ダリリクが揃ってニーガンの部下になったら、互いだけを支えにして寄り添い合うのかなーと妄想したので書きました。
      寄り添い合うダリリクはとても美しいと思います。
      CPもののような、そうでないような、微妙な話ではありますが、よかったらどうぞ。
      ♢だんご♢
    • ちょっとそこまで逃避行 #蜘蛛蟻 #ピタスコ #腐向け ##アントマン ##蜘蛛蟻


      pixivに投稿した作品と同じものです。
      スパイダーマンFFH後の蜘蛛蟻。
      FFHのネタバレを含むのでご注意ください。
      辛い状況にあるピーターがスコットの家に逃避行するお話。


      FFHが個人的に辛すぎたので自分を救済するために書きました。
      蜘蛛蟻というより蜘蛛蟻未満?
      よかったらどうぞ。
      ♢だんご♢
    • 数値は愛を語る #蜘蛛蟻 #腐向け #Dom/SubAU ##蜘蛛蟻

      pixivに投稿したものと同じものです。
      Dom/Subユニバース設定で、Switch×Subの蜘蛛蟻。
      ピーターに惹かれながらも寄せられる想いに向き合うことができないスコットさんのお話。
      特にどの時間軸というのはなく、設定ゆるゆるです。


      突然降ってきたネタに萌えてしまったので勢いで書きました。スコットさんがヘタレです。
      特殊設定なので「大丈夫だよ!」という方は、どうぞ。
      ♢だんご♢
    • プリンシパルとアンサンブル(前半) #TWD #ニガリク #腐向け #夢小説 ##TWD ##ニガリク

      S7の頃。救世主として日々を過ごす主人公が偶然リックと関わり、それをきっかけにリックやニーガンと深く関わるようになるお話。

      夢小説なので主人公はドラマに登場するキャラクターではありません。夢主がキャラクターたちと関わるのを楽しみつつニガリクを堪能する作品です。
      夢小説とCP小説を合わせた作品なので苦手な方はご遠慮ください。
      主人公とキャラクターが恋愛関係になる展開もありませんのでご了承ください。
      よかったら、どうぞ。
      ♢だんご♢
    • 家族写真 #TWD #ニガリク #腐向け ##TWD ##ニガリク


      pixivに投稿した作品と同じものです。
      S7辺りのニガリク。
      大切にしてる家族写真をニーガンに奪われたリックのお話。

      「ニーガンはグライムズ親子の写真を勝手に持って帰りそう」と思ったので書いてみました。
      特に盛り上がりのない私向けの話です。お暇な時にどうぞ。
      ♢だんご♢
    • 道なき未知を拓く者たち③ #TWD #ニガリク ##TWD ##ニガリク


      pixivに投稿した作品と同じものです。
      「リックを最初に拾ったのがニーガンだったら?」というIFストーリー『生まれ落ちた日』の続編。
      リックは食料調達のためにシェーンとカールと共に森に入り、その最中に事件が起きる。それはグループの運命を変えるものだった。


      ドラマの展開に沿ったストーリーですが、オリジナル要素を盛り込んでいます。納得できない展開になってもご容赦ください。
      ニガリクタグを付けたら詐欺になりそうなくらいにニガリク要素が少ないです。ニガリクを探せ!という気持ちで読んでください。
      よかったら、どうぞ。
      ♢だんご♢
    • 僕はコーヒー豆を挽かない #TWD #ダリリク ##TWD ##ダリリク


      pixivに投稿した作品と同じものです。
      S5でアレクサンドリアに到着した後。
      「生きてきた世界が違う」という理由でリックや仲間と距離を置くダリルを心配するリックのお話。


      ほんのりダリリクの味がするお話です。
      アレクサンドリアに着いたばかりのダリリクの何とも言えない距離感も良いですね。
      タイトルについては深く考えずに読んでいたたければありがたいです。
      地味な話ですが、よかったらどうぞ。
      ♢だんご♢
    • Restart #蜘蛛蟻 #ピタスコ #最新作のネタバレあり ##蜘蛛蟻


      ※スパイダーマンNWHのネタバレを含むのでご注意ください。


      pixivに投稿した作品と同じものです。
      スパイダーマンNWH後。
      パトロール中のピーターがスコットに出会うお話。
      蜘蛛蟻未満だけど後々に蜘蛛蟻が成立するという解釈で書いているので蜘蛛蟻です。


      スパイダーマンNWHは面白い映画でしたね。
      でも個人的にとてもしんどい展開だったので自分を救済するために書きました。蜘蛛蟻は癒やし。
      よかったら、どうぞ。
      ♢だんご♢
    • 侵入者との攻防 #ロケスコ #腐向け ##ロケスコ


      pixivに投稿した作品と同じものです。
      アベンジャーズ・エンドゲームでのロケスコ。
      毎朝ロケットが自分の上で寝ていることに困惑するスコットのお話。


      エンドゲームを観て見事にロケスコにすっ転んだので書いてみました。
      口調が掴みきれてないので違和感があったら申し訳ないです。
      短い話ですが、よかったらどうぞ。
      ♢だんご♢
    • 亡霊殺し #TWD #ダリリク #腐向け ##TWD ##ダリリク


      pixivに投稿した作品と同じものです。
      S2終了後のダリリク。
      リックの傍にシェーンの亡霊が見えるダリルのお話。ほんのりシェンリク風味もあります。

      盛り上がりが特にない私得なダリリクです。ダリリク未満かもしれません。
      じんわりとリックへの執着を滲ませるダリルが好きなので書いてみました。
      本当に暇な時にどうぞ。
      ♢だんご♢
    • 雛の巣作り #ニガリク  #TWD  #腐向け  #オメガバース  ##ニガリク  ##TWD

      pixivにも投稿している作品です。
      【本能が「欲しい」と囁いた】の番外編。
      ニガリクが番になって1年が経った頃のお話。
      よかったら、どうぞ〜。


      2018.6.21 一部を修正しました。
      ♢だんご♢
    • 罪な味 #TWD #リック #シェーン #カール #ダリル #ニーガン ##TWD


      pixivに投稿した作品と同じものです。
      リックと誰かの食にまつわるお話。
      時期も長さもバラバラ。基本的にほのぼのですが、ニーガンとの話はほのぼのしてません。


      ・【ピザ】 リック&シェーン
       アポカリプス前。「ピザの魅力には抗えません」というお話。

      ・【ケーキ】 リック&カール
       アポカリプス前。「いつもと違う食べ方をすると楽しくて美味しい」というお話。

      ・【肉】 リック&ダリル
       平和な刑務所時代。「調味料は偉大だ」というお話。

      ・【フルーツティー】 リック&ニーガン
       S7辺り。「悔しいけれど美味しいものは美味しい」というお話。


      リックに美味しいものを食べてほしいと思ったので書いてみました。ニーガン以外はほのぼのしてます。
      よかったらどうぞ。
      ♢だんご♢
    • 特に何も始まっていない二人 #TWD #ダリリク #腐向け ##TWD ##ダリリク

      pixivに投稿した作品と同じもです。
      平和な刑務所時代のダリリク。
      特に何も始まってないけれど仲よしなダリリクの詰め合わせ。

      CPというよりブロマンスなダリリクです。お互いに相手を大事に思ってることが滲み出るダリリクが好きです。
      よかったら、どうぞ。
      ♢だんご♢
    • 道なき未知を拓く者たち① #TWD #ニガリク #腐向け ##TWD ##ニガリク


      pixivに投稿した作品と同じものです。
      「リックを最初に拾ったのがニーガンだったら?」というIFストーリー『生まれ落ちた日』の続編。
      リックの家族を捜す旅に出たリックとニーガンだったが、過酷な世界での旅は簡単なものではなく……。


      ドラマの展開に沿ったストーリーですが、オリジナル要素を盛り込んでいます。納得できない展開になってもご容赦ください。
      長編なのでのんびり書いています。次の章を投稿できるのがいつになるのか不明です。
      完全に私得な話なのでお暇な時にどうぞ。
      ♢だんご♢
    • プリンシパルとアンサンブル(後編) #TWD #ニガリク #腐向け #夢小説 ##TWD ##ニガリク


      S7の頃。前作の続きで、ケガの治療のためにサンクチュアリに滞在するリックを世話する主人公がリックとニーガンの関係性を目の当たりにするお話。

      夢小説なので主人公はドラマに登場するキャラクターではありません。夢主がキャラクターたちと関わるのを楽しみつつニガリクを堪能する作品です。
      夢小説とCP小説を合わせた作品なので苦手な方はご遠慮ください。
      主人公とキャラクターが恋愛関係になる展開もありませんのでご了承ください。
      前編よりも主人公がリックに肩入れしています。
      よかったら、どうぞ。
      ♢だんご♢
    • 恋しい、と獣は鳴いた #TWD #ダリリク #ニガリク #腐向け #オメガバース ##TWD ##ダリリク ##ニガリク


      pixivに投稿した作品と同じものです。
      S7辺りのダリリク・ニガリク。
      リックと番になっているダリルがリックと引き離されて情緒不安定な時にニーガンと話すお話。ダリルとニーガンのちょっとしたバトル。


      「αが番のΩに依存する」という設定で書きたくて書いてみました。会話してるだけなので特に盛り上がりのない地味な仕上がりです。
      気が向いた時にでもどうぞ。
      ♢だんご♢
    • 彼らが愛したのは「   」です #TWD #セディリク #ゲイリク #ニガリク #妊夫 #腐向け ##TWD


      pixivに投稿した作品と同じものです。
      S8終了後。
      ニーガンの子どもを妊娠したために孤立するリックを支えるセディク、ゲイブリエル、ニーガンのお話。セディクがメインです。

      ※注意
      ・男性の妊娠、出産、授乳の表現あり
      ・リックへの差別、迫害要素あり
      ・全体的に重苦しい展開


      CP要素があるような無いような微妙なところです。
      重苦しい雰囲気の話なのでご注意ください。
      本当に気が向いた時にどうぞ。
      ♢だんご♢
    • 生まれ落ちた日 #TWD #ニガリク #腐向け ##TWD ##ニガリク


      pixivに投稿した作品と同じものです。
      S1初回。
      ニーガンが病院でリックを見つけるお話。
      S1初回にニーガンを放り込んだだけ。ニーガンの過去について原作の設定を使っているので未読の方はご注意ください。


      S1の時点でニガリクが出会っていたら最強コンビになったのでは?という妄想を形にしてみました。別人感が強いです。
      よかったら、どうぞ。
      ♢だんご♢
    • 赤い糸の憂鬱 #TWD #カルリク #ニガリク #腐向け ##TWD ##カルリク ##ニガリク

      pixivに投稿した作品と同じものです。
      S7のカルリク・ニガリク。
      リックとニーガンが赤い糸で繋がっているのが許せないカールのお話。
      特殊な設定がありますが、深く考えない方がいいかも?


      カルリクとニガリクで三角関係が読みたくて書きました。カールの前に立ち塞がるニーガン美味しいです。
      「カールは赤い糸が見える」という特殊設定がありますが、深く考えず雰囲気を味わって頂ければと思います。
      よかったら、どうぞ。
      ♢だんご♢
    • 「大丈夫」の言葉 #TWD #ダリリク #腐向け #ケーキバース ##TWD ##ダリリク


      pixivに投稿した作品と同じものです。
      平和な刑務所時代のダリリク。
      リックが「ケーキ」であることを知ったダリルが思い悩むお話。
      ケーキバース設定を使っています。この話にグロテスクな要素はありませんが、ケーキバース設定自体がカニバリズム要素を含むので苦手な方はご注意ください。


      リックのことが好きすぎて思い詰めるダリルが大好物なので書いてみました。
      盛り上がりの少ない私得な話ですが、よかったらどうぞ。
      ♢だんご♢
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