エルフさんとドラゴン氏の奇妙な嗜好 黒雲が垂れこめ雷鳴がとどろく空の下。
それにピッタリなイメージの邪竜の城。
もっとも、晴れてたら割と観光地っぽいかもしれない。
そこにやってきた一人の冒険者!
青いリボンの良く似合う中級冒険者のエルフさんだ。
姫をさらったドラゴンを倒し、姫を助けることができるのだろうか?
若いとはいえワゴン車ほどもある赤竜と対峙するエルフさん。
エルフ(以下エ)「…中級にドラゴンとかきつくない?」
ドラゴン(以下ド)「一番有名なモンスターだからなあ。しかし何だ?ワゴン車って…ワゴンRからエルグランドまで結構幅があるだろうが。」
こらこら!一応ファンタジーなんだから具体的な車種名をあげるなよ。
エ「僕は人気(ひとけ)を”にんき”って読んじゃったよ。にんきのない古城って…アハハ。」
ド「おっと、解説への突っ込みはこのぐらいにしよう。文字数が増えるしな。月並みだが、姫を返してほしくば余を倒さねばならぬ。(台詞棒読み)」
物語はじまるなり解説の粗を探すのやめてほしい…。
では気を取り直して。
緊迫した空気の中、最終決戦が始まった!
エ「え?…まだ一戦目だけど…。」
ド「ちょっと待て、四天王見なかったか?門からここに来るまでの部屋に配置しといたんだが。」
不思議に思うドラゴンさんに、エルフさんはすぐ後ろの扉を指差す。
エ「知らないよ。そこの勝手口から入ったから。」
ド「…ずるい。」
エルフの叡智がドラゴンの鉄壁の守りを揺るがす!
全然鉄壁じゃないというツッコミはなしの方向で。
エ「それより今日のドラゴンさん随分なげやりだよね。」
ド「余はジャパニメーションなビキニ鎧の女戦士が来るのを楽しみにしてたのだ。それが花畑系のヒラヒラした小娘だと?余の落胆がわかるか?戦うモチベーションがわかぬのだ。まぁドラゴンの一般的にはラリー・エルモアみたいな絵柄の聖騎士が来るのが理想だが。」
ラリー・エルモアってわかるかな?
D&Dの表紙絵など重厚な絵を描く海外のイラストレーターさんだ。
エ「はぁ。」
ド「せめて着痩せするタイプで脱ぐと巨乳とか、縛られると感じちゃうタイプとか、なんかエロ要素ないんか?」
いきなりエロ要素を求められてたじろぐエルフさん。
エ「…ないです!(きっぱり)」
ド「おまえ絵柄も含めてエロくないんだよなあ…少しは読者の期待も考慮しろよ…。ボインの姫を見習ったらどうだ?」
エ「姫…ボインなのか。」
ド「そう、ボインでプリプリ。」
そんなこと嬉しそうに自慢せんでも…。
ドラゴンの予想を超える邪悪さに怯むエルフの戦士。
邪悪っていうか、結構変態だよね。
エ「ところで前から不思議に思ってたんだけど、なんでドラゴンが人間の女をさらっていくわけ?」
ド「他種族が好きなのである!人間でいうケモナーみたいなもんだな。長年ドラゴンやってると特殊な性癖の一つや二つできるってもんよ。」
このドラゴン、堂々と変態宣言しちゃったよw
エ「…なんというアメリカ的HENTAI…ドン引きしちゃった。」
ド「失礼なエルフの小娘め。そなたにさらなる絶望を与えてくれる!」
エ「!?」
ド「そなたの助けようとしている姫は…やおい大好きな腐女子だ。」
エ「どうしてそういうのをさらっていくかな。」
衝撃の事実があかされ、物語はクライマックスに近づいてゆく!
ド「正直話題が合わないで苦労している。男の娘の話だけ意気投合したが。」
エ「え?」
ド「女の子みたいな男の子のことだ。それを○○したり、☓☓したりすると楽しかろうな。」
エ「あの…もう姫いらないんで…帰っていい?今日は笑点があるんだ。」
明らかにキョドるエルフさん。
ド「…どうした?急に焦り出して?そういえばお前、女にしちゃちょっと背が高いな…」(じーっ)
エ「…」
ド「ひょっとして、おまえ…男?」
エ「…たぶん。」
ドラゴンの鋭い眼光がエルフさんの正体を暴く!
表紙絵でかわいいエルフの女の子の話だと期待して読んでくれてた読者スマヌ。
…あれは男だ。
ド「人のことを変態扱いしておいて…女装男子か。そうかそうか、オジサンちょっとやる気出てきましたよ♪」
ありきたりな女の子相手より、男の娘相手のほうがエロエロプレイの幅が広がるってもんだ。
エロ要素の少なさに落胆していたドラゴンさんの変態魂に火がついた!
エ「なんで嬉しそうなんだ…。それに女装とかじゃないよ?エルフって元々中性的でしょ?僕は女顔なんで少しわかりにくいんだよ。」
もちろんエルフさんは必死の弁明。
このドラゴン、別の意味でヤバい。
ド「じゃあ、なんでニーソはいてんだよ!」
エ「馬に長時間乗ると下半身むくむんだよ。中世の貴族ってタイツはくでしょ?」
ド「この城は最寄りの駅から歩いて10分の好立地だが…ここまで何で来た?」
エ「…駅から歩いて…」
ついに追い詰められたエルフさん危うし!
竜に追い詰められた冒険者というより、変態さんに追い詰められた女の子みたいな気がするのは…たぶん気のせいじゃないな…。
エ「くっ、人間が勘違いするのが面白くて性別不明の格好にしたのが裏目に…」
ド「いやいや、女の子にしか見えなかったが?…しかし、いい性格してるな。ふふふ…フェミニンな小悪魔系男の娘か。結構結構♪」
エ「なんかとってもピンチな感じ…」
男なのに貞操の危機を感じるエルフさん。
ド「覚悟するが良い。スク水着せて触手モンスターにネッチョネッチョさせてくれるぅ!」
エ「普通そこは"わしの炎のブレスで黒焦げにしてくれる"とかだと思うなけど…。あ、でもどっちも遠慮したいです。てゆうかやめて。」
ド「余は猫舌だから炎のブレス苦手なのだ。で、攻撃ロール振るけどアーマークラスいくつだ?」
ドラゴンの鋭い爪の一撃がエルフさんに振り下ろされる!
ド「AC3?ちょっと待て、裸でもAC10だぞ?キャラクターシート見せてみろ。」
エ「ほら、これ。」
エルフさんは数字やイラストが書かれた一枚の紙を差し出す。
今時の転生モノやファンタジーは空中にステータスウィンドウとか浮かび上がるんだけど、エルフさんの時代は紙だったんだよ…。
ド「ぶははは!…ポートレートの絵めちゃくちゃ美化してやがる。この銀英伝のラインハルト様みたいなの誰だよ?(大笑)」
エ「笑われた…(涙)」
ド「ん?THAC0?こりゃあ…赤箱ルールじゃねえか…。今使ってる戦闘ルールは3.5版だぞ?」
エ「え?」
ド「エルフが流行に疎いのは知っているが、まだ赤箱ルールとかありえねーぞ。何考えてんだ?」
エ「…で、この冒険どうなるの?」
Module Error ゲーム ヲ シュウリョウ シマス