登場人物紹介
《 本作について 》
──────【 風人とは 】──────
起源はヤマト王朝時代に誕生した。
一族は風の力を操り西の国に住んでいたとされる少数派民族。
その時代、王権の軍の力が強まる支配に貧困格差と領土を追われる民のために国と戦う反勢力を拡大し朝廷と戦ってきた。
しかし数百年前、戦争によって一族の数は衰退し、受け継がれてきた風の力も今では主人公以外里の者は全員失っている。
【 ※天暘の国 】 … (物語の舞台の国)
※日本を指す別名
【 ◆ヤマト 】 … (奈良県に位置する物語の王都。朝廷による政治が行われている国)
マホロバ地方… 関西から四国、九州の国
《 登場人物紹介 》
──────【 風馬 】──────
とても誠実で家族思いな風太と勇真の義兄。
生まれは上位階級につく朝廷子息になる。
幼い頃、実の父親が私利私欲に民を苦しめ難民の虐殺を犯した大罪で風人の里長である桜花に父を討伐された。
身寄りを失い、桜の懇願によって死罪を逃れ、桜花の慈悲で養子として風人の里に迎え入れられた血の繋がらない青年。
夫妻の恩に報いるため、最も危険な【裏影】と呼ばれる重大な里の任務を引き受けている。
詩織と夫婦になる約束を交わし、恋人関係にある。
──────【 詩織 】──────
子供の頃、風人の里へ来たばかりの風馬に親しみを持って接してきた女性。
三月や祐之介とも幼い頃から幼馴染な関係で共に暮らしてきた。
大人になるにつれ次第に風馬に恋心を抱くようになりやがて成人を迎え、風馬に想いを告げ両思いに結ばれた。
少し気が強く、思ったことはストレートに言うタイプだが、真に相手を思いやる優しさは人一倍強い。
──────【 三月 】──────
風馬が風人の里で養子に迎えられたばかりの子供時代からの集落の友人。
家も隣近所付き合いで風馬とは気を遣わない仲。狩猟の腕前は風馬と一、ニを争う。
──────【 祐之介 】──────
三月や詩織と同じ、風馬が風人の里で養子に迎えられたばかりの子供時代からの集落の友人。
お調子者で世話焼き。
12月の里
天暘の国、西のマホロバ地方の秘境にある風人の里では毎年、12月には大雪が降り始める頃を迎えていた。
( 山頂から厳しい寒気が麓に流れ込んでくる )
(詩織)
「 ? やっぱり.. 。外の空気が急に冷え込むと思ったら、───── 山が真っ白ね…。」
風人の里で針子仕事に勤しむ詩織は、この日は朝早くから機織り小屋で一人、鹿の毛皮の羽織りマント、風馬の冬服の仕立て仕事に専念していた。
「 ( 冬の寒さになると、女は針仕事が辛くなってくるから、多少の贅沢は強火に暖を焚きなさいって母さんは言うけど、 ) 」
(詩織)
「 薪の消費も普段は使わない量なのに、異常な寒さで今年は気候もおかしいわ。………、 風馬 辛いでしょうね。川の猟仕事は 」
「 山へ着せてく毛皮の羽織りマント、急いで間に合わせないと。」
ところが、
(囲炉裏)
「 … ……パチッ、 ……パチパチ.. 」
パチッ!
カランっと炭が割れる。
(詩織)「 ……、…… … 。」
うと.. ……。
(詩織)「 ……、 …… …。」
…ジジッ…。
うたた寝が最悪の事態を引き起こしかけていることにも気が付かず、
ずり落ちた毛皮マントに囲炉裏火が燃え移りかけた時だった。
詩織っ…!
…………詩織っ!!
「 詩織!!」
激しくバサッと打ち付けるような風圧が顔にかかり、突然の寝ぼけから目覚めてびっくりした。
血相を変え、立っていた風馬が縫っていた羽織りマントを取り上げていた。
(詩織)
「 何、… えっ?? 風馬……?」
(風馬)
「 ……、気付いてないと思ったら … 詩織、火だけは気を付けないと。ほら 」
「!!?」
毛皮マントの端が、軽い焦げで済んでいた。
丁度 風馬が外仕事から機織り小屋へ戻ると、
いち早く屋内の異変に気付き、火を消し止めていた。
布を手に取る針仕事で大目玉ものの不始末だ。
(詩織)「 !? うそっ…!ごっ、ごめんなさい!風馬、……… 、私ったら…… 」
(風馬)
「 大ごとになる前に気付いて良かった。でも ここのところ、 睡眠もろくに取れてないんじゃないのか? 」
(詩織)「 違うの、夜はちゃんと休んでるわ。平気よ。火の側だとつい、寒さから心地良さに誘われるの。」
───────…
少し凹んでいる表情には、ふぅっとため息がついている…。
「 寒いな 」と出てしまう独り言に、冷えきった体を囲炉裏の温もりに当たり詩織の隣へ座ると、二人で小さな焚き火を静かに見つめた。
(詩織)
「 ..ダメね、集中力が続かなくて。」
(風馬)「 俺は助かってる。いつも仕立てて貰ってるお前の針子の仕事は…、」
「 大雪の寒さがもうすぐ来る。それまでに、詩織に渡してやりたくて、これ。」
(詩織)
「 風馬、え..っ!?? 」
(風馬)「 天候が悪くて乾燥に時間がかかったんだ、大変なのを夜まで無理してたら体壊すだろ。だからせめて膝 肩に掛けて 」
「 昼間の寒い中でも冷やさないよう これ着て使えよ。」
風馬が手渡しにくれたのは、ヒグマの冬毛から作られた、毛皮の毛布だった。
風人の成人男性は、冬時期になると山で狩猟を行い、個人の能力を競い合う風習が古くから既婚女性に向けて行われていた。
鹿や熊・あるいは猪など。
仕留めた獲物の性別、種類を競い、当時は娶った既婚女性達へ有能さをアピールしていた伝統だったが、今では数が激減したことから狩猟が制限され、毛皮加工されたものを大切な女性へ贈られる風習になった。
ただし、それには特別な関係を結ぶ意味合いを含めた習わしでもあった。
「 ………、」
“ 風馬… 、
身を固めたいって、… 誠実なお誘いなの?? “
..ッ、嬉しいけど…………
(詩織)
「 ( そうじゃない、そういう意味になっちゃうのよ…! ) 」
私たちが……
「 …!!」
ボフッと詩織の頭が途端、オーバーヒートした。
(風馬)「!」
(詩織)
「 風っ…… 風馬、ぁあのっ… ね? 」
「 ( 動揺が.. っ ) 」
うぅ…。
考えてもみれば、
きっと この事だって知らないでいるんだと思う。
一緒にいて ちょっぴり、それはそれで複雑な気持ちだけれど・・・
(風馬)「 ん?」
(詩織)「 コホン…。…// 」
” … 風馬だから。”
いつか訪れるもの
(詩織)「 あのね、風馬。…… 」
言い出しづらい気持ちを抑えて
クイッと疑問顔でいる耳を引っ張る。
コショコショ…っと、
愛しい人は目を見開いて、普段見ないような慌て顔に赤面した。
真面目に耳まで赤くなってんだから。
(詩織)
「 ごめん風馬っ… ッ、ふふフッ……。アハハハッ」
(風馬)「 ────── … 」
手で顔を伏せたって、意味ないでしょ?
今更。
(詩織)「 ふふっ。」
(風馬)「 違うんだ。… けど、あぁ… そういう風習だったのか。」
あんまり笑っちゃうと、これ以上 男心が傷付いちゃうわよね。
「 風馬、」
(詩織)「 三月と祐之介でしょう? 最初から風馬が知らないからって 祝言を口実に人の恋人、ハメるなんて。全く…。」
「 そこのところ、大きなお節介なのよ、バカ二人。」
小さな窓から履き物を投げると、パコッと誰かに当たった音が…
バレたとばかりに窓から手を振る祐之介と三月が笑って顔を出した。
(風馬)
「 詩織の様子がおかしいと思ったんだ。ハメただろ。」
(三月)「 悪かったって。けどさ、そうなるだろ。お前ら祝言挙げられないままだと夫婦すら認められないんだぞ?一緒に暮らせないで我慢できるのか?」
(詩織)「 だからって、余計なお節介がすぎるのよ!いっくら、風人のみんなが昔から慣れてる風習ったってねぇ…っ 」
(祐之介)「 風馬、こいつ 顔・(だけ)は おしとや〜かな女らしいんだけどなぁ口は暴力、今に男を担いで熊と取っ組み合いし出す剛力女に化けるから、今のうちに男見せとけよ? 後で泣くぞ。」
(詩織)「 バッカじゃない!?脳みそ腐ってんでしょ。」
「 本気にすんなって!」(祐之介)
(三月)「 そら見ろ、レスリング技。あいつ熊一頭、絞め殺せる勢いだぞ? 男が勝てるか 」
(風馬)「 詩織を怒らせるからだろ。」
呆れて物も言えない。
相変わらず三月と祐之介がくると子供の頃から昔馴染みの賑やかな思い出が蘇ってくる。
(詩織)「 風人の女を怒らせると怖いんだからね。分かってんの?もう。」
(三月・祐之介)
「 アッハハハハッ、おっかねぇな。冗談だよ、冗談。風馬ぁ、貯蔵庫の増築するって明日、俺ら男手招集かかったから朝遅れんなよ。じゃあな。」
「 幸せにな、二人とも。」
……………、
(詩織)「 何なのよ。あの二人ったら 」
(風馬)「 詩織、さっきの事だけど 」
(詩織)
「 …いいの、風馬は風馬で。私、まだそんなに焦ってないの、三月と祐之介が冗談混じりに二人が心配してくれたのも、ホントは間違ってないって分かってるわ。」
「 昔から大切に守り継がれてきた習わしだって、外の世間体と違ってても、私達の生きてきた風人の暮らしは、そんな違ってるところがみんな当たり前として、心に決めた人と互いに愛を育んできたの。」
(風馬)「 うん、」
(詩織)
「 でも、風馬は特別だから。生まれて初めて私、風人の血筋以外で子供の頃から慣れ親しんできたあなたと結ばれたことが夢みたいで、…嬉しくて。風習に縛られない、
「 風馬とは、ゆっくりでいいの。そんな歩幅を一緒に歩める絆を育めたら。」
“ 両思いの先に、早くも遅くも無い ”
“ とっておきの愛には時間が必要よ。”
(風馬)「 詩織… 」
(微笑む詩織)
” 私一人の我儘に見えて、
実は 二人にとってのこれが円満な願い… “
いつか、望む特別な愛が訪れる。
風馬の安心する表情を見て少しだけ分かったの。
冷える背中にそっと掛けてくれた毛布には、
“ ありがとう “ と、
寒さから肩を抱き寄せる腕の温もりから伝わる風馬の想い…
大切なことは、
” いつも お互いの好きという気持ちの中で通じ合えているから…。 “
・:*+.メリークリスマス☆*:.。.
END
オマケ。
(外からの会話)
「 そろそろ四人目作らないか?苦労して仕留めた鹿だったんだ。お前の為にこしらえた毛布、あったかいぞ。」
「!!?」
(ギョッとする詩織と風馬。)
(風人女性)「 人が聞いてたらどうするの。外で言うことじゃないでしょ… ……、!やっ…ちょっと何あてて…もうっ 発情しな…ッ」
猛烈に赤面しながらパンッと小窓を閉める詩織。
(詩織)「 いいの、風馬はそうじゃなくて。いいの。」(二度目)
(風馬)「 あ… …あぁ、ハハハ.. 。」(苦笑い)
情熱的過ぎる愛だった。
おしまい。