普通に言ったつもりの当主だったが、
自分の為だと知った途端、季子は急に恥ずかしさが顔色に出た。
「 …!」
(季子)「 とと..っ!当主様ったら、私はもうおてんばじゃありません! ーーー... 」
そう 口籠るのには
季子には想いを寄せていた
とある土の男神が実はいたのだ。
「………… 」
(季子)「 ( やだ.. 今は討伐中なのに……。) 」
” 当主様が変なこと言うから… ”
…。
(亜乱)「 ──.. うんうん。季子姉ってやっぱり女なんだなぁ、胸は万里姉ちゃんに負けてるけど 」
ガツンッ!!
(槍で殴られる)
(亜乱)
「 ッ!!─ ─ ── ── ── ─…ってぇ‼︎ あぁっ!コブがっ!? 」
(呆れる七瀬)「 …、あんたデリカシーなさすぎ。ホンっト、バカなんだから 」
「ペシッ!」
(トドメのデコピン)
(横で叫ぶ亜乱をよそにして)
(コーちん)「 あ~あ、もう大丈夫なのかな?先が思いやられるのスケ 」
(当主)
「 …黄川人、」
(黄川人)「?」
(当主)「 今の話… 本当は、俺達に口外して良かったのか。昼子様は、天界がどうであれお前は、他の神達とは違う 何の為に?」
(黄川人)
「 ..ッ、ハハハッ。 そりゃあね、仲間意識なんていったらボクはそれこそ天界とは剃りが合わない。
だけど、
(黄川人)「人好しなお節介は、昔からよぉく知ってる・・ま、昔の誰かさん..の、せいかな。 」
(当主)
「 …そうか 」
…………………………、
聞くも語るも、
人であった頃の酷い話しさ。
(黄川人)「 ……。」
“ 人間ほど身勝手な奴らはいないって彼らが一番よく知っている…。 ”
“ 初代一族らだってあの仕打ち… ”
───────…
( 全員、首を斬首されカラス達に肉片を啄まれる )
(黄川人)
“ あいつらに復讐してやりたいと思わないかい? ”
(髑髏)
「 ……。」
黄川人が話しかけた髑髏は
生前、初代当主と見られた人物だった。
「 …………。」
“奪ワレ”
“呪ニ閉ザサレタ”
“ワガ子孫タチノ未来…”
人にも成れず…
我らは 死人にもあらず。
“ 二年と… 生きては死に ”
“繰り返す ”
宿命を背負い
(初代当主)
「 憎むナラ 何度デモ… イイ…。俺ヲ…恨メ 」
それで一族達が一丸となり晴明を討つなら…
“ 奪われたみなの安寧の日々を… ”
(初代当主)「 いつか… トリ.. 戻せル… 肉体ガ……欲シイ… 」
“ たとえ 死後の理に反し人の道を踏み外しても… ”
(黄川人)
「 …反魂の道を選ぶんだね、初代当主様 」
(今の背中を見送る)
(黄川人)
「 目の前を失った あの日、何が見えた 」
(???) “ 父上、”
“ おふくろ ”
“ 母上 ”
“ 親父 。”
“ …母さん、”
「?」
「 ─────..、」
(当主の母親)
“ そう、..じゃあ あなたが話していた その人が…… ”
” 良かったわね ”
「 “ 生涯、ちゃんと大事にするのよ。” 」
(息子は身籠った女性と幸せそうにいた)
“ ……黄川人っっ!! ”
(何百年前かの当主) 「 …手をっ、伸ばせ 」
“早く!……、 ”
ありがとう…。
「 これで良かったのよ、」
(お輪)
“ 黄川人、目を開けてごらん。”
(眠る赤子)
「 ……。」
【片羽ノお輪】「 ……、」
“ 今すぐ
お前の母さんの元に、かえしてあげるからね・・。”
──── ─・・宿敵と、
再び 相まみえる。
「いまの彼らは不憫でなりません」
(姉・太照天昼子)
“茨の道を進み 過酷な宿命に立たされ”
…
そうせざるを得ない
“ 生まれ変わりと 生き返りは、
血の通いが違う ”
その痛みに伴う
一度は滅んだ苦し身から真に解放するには、
もう一度、
彼らの運命を動かすしか
(太照天昼子)
「 生者と死者の間で生き貫く強さを可能にさせた……… …、 」(言葉を詰まらせる)
(黄川人)
「 生きる 屍…… か..。」
“ 半人半鬼の夜鳥子さんともまた 奇妙な運命に
並べられたものだ。”
────────────…
それからあっし達は、討伐期間を2ヶ月延長して
本来 天界から来訪予定だった当主様のお子様も
それに合わせて当家の来訪になった。
── 1月──
(コーちん)「 ただいま──っ!」
(???)
「うわぁぁぁぁぁーーーん!!! 」
(当主)「?」
(亜乱達)「 何だ?」
(七瀬)「 子供の.. 声?」
(季子)「 ちょっと万里、なんの騒ぎ?」
(万里)
「 …! あ、当主様っ!良かった、皆お帰りなさい。 ほら、キミの父上が帰ってきたわよ。ね? 」
(???)
「 ひっく… ぐすっ。…ひっ…うわぁぁぁっん!!」
万里に抱っこされながら玄関先でわんわん泣きベソをかくのは当主の息子の陸だった。
(コーちん)「 あっ!もしかして、当主様の!? 」
(万里)「 そうなのよ。少し前に、天竺姉妹様が連れて来られて、」
「 …来訪時間のタイミングがちょっとみんなとズレちゃったから、見知らない家で急に不安に思っちゃったのかもね、よしよし。」
(陸)
「 やだーーっっ!! …ひっぐ..っ! …はうえ!かえる! ぼく おかあさんのとこ、かえる!!うわぁぁぁぁんっ!!」
(コーちん)「 あ~りゃりゃ、当主様の子とはとても思えないね 」(笑)
(季子)
「 亜乱も最初は当家に来た頃、とにかく落ち着きなくって いきなり屋根に登ったりするもんだから男の子ってホント大変よね。」
(亜乱)「 何それ ..って、俺っ!? 」
(季子)
「 あんた覚えてないでしょ 」
(万里)「 ホント、元気すぎてやんちゃだもんね?泣き虫さんもいるけど 」
(陸)「 おかーーさんっ!」
(万里から離れない)
すると当主様が…、
(当主)「 ありがとう万里、助かったよ 」
(万里)
「 いえ、当主様がご無事で。 ほら、キミのお父さんよ坊や。良かったわね 」
..スッ
(陸)「 …?」
(当主)「 ただいま、陸。……、」
「 赤子の時以来 …会えない内に、少し大きくなったな。」
(陸)「 …、」
・・・・────────────────── …。
“ 陸… よく聞くのです、”
(太照天昼子)
あなたの両親の父親は..
母、天竺姉妹と ここより、住む世界が離れた人間界にいるのです。”
(陸)
「 ちちうえに あえるの? ぼく。」
・・でも、
僕が行っちゃったら…
“ お母さんはどうして
いっしょに、おとうさんにあえないの・・? ”
(天竺姉妹)「 ……。」
いずれ、この子に待ち受ける宿命が、
もうすぐ..。
「 そんなことはない … 」
(天竺姉妹)
「 会えぬとも 母は、そなたという息子が… 」
“ 父との大事な かけがえない絆であるぞ、…陸。 ”
(陸)
「 …おとう…さん ? 」
頭を撫でられたとき 陸には母親と違うものを感じていた。
服は見たことのない討伐衣装で
土埃による汚れ、
袖の匂いも外からのものだったけど、
この人に抱かれて不思議とちっとも嫌な気持ちにはならなかった。
(当主)
「 すまない、..帰りが少し遅く 急いで帰ってきたんだが 間に合わなかったんだ。」
(陸)「 ……、」
急に大人しく、
父親に泣いている姿を見られたのがだんだん恥ずかしくなってきたらしい。
(陸)「…ん」
(自分で降りる)
(コーちん)「おりょ?」
(当主)「 陸?」
(陸)「 …かえりなさい…ちちうえ。」
うつむきながら
当主様の服にギュゥとしがみつき
陸は恥ずかしげに呟く。
(陸)
「 ……、」
(季子)「 ふふっ、かわいい子じゃない。やっぱり父親ってそういうものなのかしらね? 」
(亜乱)「 まぁ、当主様の子供なら尚更だよな 」
(七瀬)「 ……、そうね 」
(コーちん)「 ─── ─っ! えらい!!陸様、よろしくね────!!」
コーちんが飛びつきながらもみんな笑顔で陸の来訪を迎えた。
(陸)「 うわぁぁっ!! …耳っ!?」
(微笑ましく見守る当主)
「 ───..。」
我が家はまた一段とにぎやかになりそうだった。
───── ─・・ 時は過去に遡り、
全ての始まりは
今から数十年前の事だった。
─── (京の都) ───
(???)
「 何だとっ!」
(???)「 祭具が盗まれた!?」
「 ……昨夜のうちに何者かが宝物殿に侵入したもよう、痕跡すら残されておりません 」
(???)「 バカな…っ!宝物殿の検非違使達は一体何をやっていたんだ!? 」
「 祭具が盗まれたなどと… 」
ザワ.. 。
(???)「 あれは我々人間が、四季の祭りを行うための神の恩恵を頂けるありがたい宝具なのに… 」
(???)「 祭具が盗まれたとなっては不吉な前触れが起きやしないか 」
「 ヒソヒソ…ヒソ…。」
(田鶴姫)
「 ……。祭具が… 」
それから間もなくして
京の都では奇怪な天変地異が
次々と起こり始めた。
「 ────────────────!!!」
地震、大雨、火事に流行り病。
時の帝はこの多大な被害を収めるべく
阿部晴明に相談を持ちかけた。
(帝)
「 晴明っ!このままでは京は 一人残らず都は滅んでしまう。 祭具を盗んだ犯人も、この天変地異は神々の怒りを買ってしまったものであろう!?何とか出来ぬのか!」
(晴明)
「 恐れながら... 陛下、こちらをご覧ください。……。」(術をかける)
(帝)「 何だ?それは 」
(晴明)
「 我が陰陽士に伝わる星読みの占術です。宝物殿の祭具が全て盗まれ 此度の国の一大事、かの一族にある疑惑が浮上し何らかの原因が考えられています。」
(帝)「 かの? それは、………あの鬼切のことを言っているのか?」
(晴明)
「 ぇえ .… 数百年前、彼らの祖先は ある呪われた力を持って生まれ、先祖代々 かつて鬼切朱点討伐の一族として世に知られていました。」
「 しかし その功績は、今では彼らのことを人は
讃えるどころか、次第に恐れるように黄泉の死とこの世の生の屍人、忌憚者として敬遠するようになったのです。」
(晴明)「 ですが当時の帝は、それを寛大な御心でこの京の都の守護にあたる武家一族としてお仕え出来るようにしていましたが、このように…
「 星読みの示した凶兆に 彼ら一族に不穏な影を映し出したのです。」
(帝)「 不穏な、影… ? 」
(晴明)(頷く)
「 これは、消えた五つの祭具の痕跡に残されていた人ならざる気配のあと。まことの鬼や妖であれば、地下の霊道より京の都の五芒星の守りを固めている我ら陰陽士の術の浄化に長く耐えられるものではありません。
これを一族として読み解くと、正に人間の血を引く災いを引き起こした人物にあたると、これに伴う天災は大きな力を増してゆき、いずれ収拾がつかない国が壊滅する凶兆となりましょう… そうなる前に、」
「 この一連の罪は、かの一族にありとみて早々に処罰にあたらねばなりません。」
(晴明)
「 彼らを生贄とし、神々の怒りを鎮めるのです 」
「 これだけ都の被害を出したとなれば神の怒りは相当のもの。」
(晴明)「 一族総勢の数を捧げねば 恐らく壊滅はまぬがれないでしょう。」
(帝)
「 ……、.. 所詮は、人の世に巣食う鬼と同じモノを宿した残党の集まり、信用に置いたのが間違いであった 」
「 すぐに奴らを捕らえよ!! 」
【初代 一族】
(女、子供の悲鳴)「 ──────────‼︎‼︎」
「 母上っ!! 」
「 母さん!」
「 やめてっ!!子供達に ひどいことしないで!! 」
屋敷には火を放たれ一人残らず全員、
帝の前に突き出された。
ドサッ!!
(初代当主)「 ぐっ…!」
(検非違使)「 これで全員です。 」
(初代当主)
「 …何故だ!? なぜ我々一族が このような罪人扱いを受けねばならない!?」
(検非違使)「 いい逃れはできぬぞ。祭具を持ち去り お前達は、この都を滅ぼす災いの民の末裔だと。
神々の怒りを買ったのも陛下に対する国の反逆者め。その命、神への生け贄とし全員その身を捧げよ 」
(初代当主)「 !? 祭具、……どういう事だ..? ッ違うっ!!何かの間違いだ! 陛下、一体 何故そのようなことを⁉︎ 」
(帝)「 何が違う? 晴明の言う陰陽士の力に間違いなどあるはずも無い。むしろ単なる言い逃れではないのか? もう一度聞こう、祭具をどこへやった 」
(初代当主)
「 恐れながら…っ、断じて我ら一族ではない‼︎ これまで、陛下のため都の守備に忠実に尽くしてきた当家が何故ッ、祭具を持ち去るなどと…!?どうかもう一度…っ 」
(帝)「 くどい! …… だが これで分かった。そなたらの言い分も罪はもはや認めぬか。晴明、本当に生贄で事が全て丸くおさまるのか? 」
(晴明)「 えぇ、勿論です。..フフ、神々もさぞや怒りを鎮めてくれるでしょう…。」
(初代当主)「!!」
(帝)「 聞いたか、その一連の原因として民への見せしめとし、一族全て女 子供も全員、首を刎ねよ!」
(男性陣)
「 …ッ! やめろっ!!女、子供にまで手を出す気か!? 」
一族の若者達が必死に自分の妻や恋人、弟、妹達を守ろうと抵抗するが首を強引に押さえつけられた。
ガッ!!
(一族の若者)「 …っ クソッ‼︎ 」
(男性陣)
「 …正気.. なのか…?お前ら 」
(なす術もなく全員うなだれる)
「 ………………………。」
“ 何故だ…? ”
(泣き叫ぶ悲鳴)
「 ーーーーーーーーーーーーーッッ!!!」
“ 何故 我らがこんな仕打ちを受けねばならぬ… ”
(検非違使)「 次。」
(子供)「 母さまぁっ!」
(母親)「 嫌ぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっっ‼︎‼︎‼︎ 」
「 ザンッ!!」
(子供にまで手をかけられる)
(初代当主)「 ーーーーー…。」(怒りの涙)
(当主の息子)
「 違う!!無実だっ‼︎ 」
「 黙れっ 貴様!!」
(息子はひとりの検非違使に何度も殴られる)
「..ッ‼︎‼︎」
“ おのれ…っ!晴明ッ!! ”
(検非違使)「 やれ。」
(当主の息子)
「 …父上ーーーーーーーーーッ!!!」
ザシュッ… 。
最愛の息子も斬首刑された。
“ 誠…… 司.. ?!”
(初代当主)
「 、…… ..ッ‼︎‼︎‼︎ おのれぇぇぇぇ─────────────っっ!!!」
(晴明)
「 ………。これで 」
“ 全ての準備が整った ”
……………………。
(烏)「 カァ!カァ… 」
(晴明)「 ───.. 」
キィンッ!
処刑台に晒された一族の頭蓋骨に楔のような紋様が刻み込まれた。
(晴明)
「 ..あとは、天界の皆さんが私の予想通りにやってくれますかね 」
「 ( ……夜鳥子が既に天界に封印されている情報を掴んでから帝の信頼を深めるのもとんだ茶番でしたよ ) 」
「 …………。」
(晴明)「 たとえ、肉体が蘇っても 一族が進む道は、呪に閉ざされた未来… 」
「 懐かしい呪いでしょう、かつて あなた方の古い祖先が苦しめられてきた朱点童子の二つの短命と種絶の呪い 」
“ 次の当主は何代目に会えるか楽しみです ”
(晴明)
「 それでは皆さん、いずれまた… 」
・・────────── 。
(一部始終を見ていた黄川人)
「 ( ……。やっぱり目的は夜鳥子さんか… ) 」
“ 祭具を持ち去ったのもおそらく… ”
(黄川人)
「 痕跡が無かったのもそういう事か 」
……………………。
“ 一族に短命と種絶の呪いを背負わせたのは俺だ ”
“ 恨むなら俺を恨め、だが決して忘れるな… ”
「 お前たちは全員、一人一人が晴明を討つための悲願を魂に宿していることを 」
(初代当主)
「 一歩でもいい… 俺の屍を越えてゆけ 」
“ 肉体が蘇ってもニ年の命は晴明の首を討ち取れなかった… ”
(初代当主)「 子孫達の未来は何十代、何百代に渡ってでも奪い返せ。その最初の役目を担うのは俺達初代の責任だ 」
(初代一族)「 当主様… 」
(初代当主)「 いいな。… 死体はこのまま捨て置け。…さらばだ、子供達よ… 」
「 ─────。」
「 …!!当主様っ!?」
「 当主様ぁっ‼︎ …ッ …うっ!・・! 」
(初代弓使い)
「 …行くぞ 当主様の意志を無駄には出来ない、俺達がやらなきゃ…
「 この恨みは決して 当主様へ向けるんじゃない。」
(初代薙刀士)
「 ぐっぅッ..!…、」
(初代弓使い)「 あいつが…っ!! 晴明が俺達の未来を奪ったんだ!!当主様の死も、こんなふざけた呪いはいつか俺達が断ち切る!」
(初代拳法家)
「 そうね… あたしたちの役目は次の世代の子供達に必ず初代当主様の遺言意志を伝え残さなきゃ… 」
何世代も血を重ね今の自分達よりももっと素質の強い子孫達がいつか…
“ 必ず一族の悲願を成し遂げてくれる ”
(弓使い)「 コーちん、この先もし 一族の存続が危うい時が来たら俺達に代わってその時は最後の一人が残ろうとも、お前がその子たちに初代当主様の遺言意志を伝えるんだ。」
(薙刀士)「頼むぞ。」
(拳法家)
「 …!、すぐに追っ手が来たわ 行って!コーちん。」
(薙刀士)「 黄川人の言っていた、お前の獣足なら辿り着ける。この先、剣士達ともうすぐ合流地だ、行けっ。」
(コーちん)
「 雪彦様…。里緒様………紫苑様……、ーーっ…! 」
(雪柱が立つ)
「!⁉︎」
声…?
……みんなの・・
呪いに蝕われた、命の怒り…
(コーちん)「まさか」
“ 紫苑様っ…!?”
“ 雪彦様 ”
(コーちん)
「 ・・・・・、やだ… …、やだよ」
深い 悲しみが、
“ 里緒様ぁっ…! … ”
「..ッ!」
(コーちん)
「 走れ! 走れっ‼︎ …走れ走れっっ!!!何してる!?走れ、あっし!!約束したんだよ!」
“ 約… 束・・・ ”
離れ離れに散った皆と、
一族 全員揃って故郷の屋敷に戻ってくるって
・・・当主様との別れの死..。
“ コーちん… 、”
(黄川人)
“ お前が、いつもちゃんと 皆を見守れるように 」
“ 名前をやるよ、。”
(黄川人)
「 “ ボクの代わりだ。” 」
(コーちん)
「 ───────────・・うわぁぁぁぁぁぁぁぁんっ‼︎‼︎」
「 ・・・・・・。」
降り積もる雪は、
転がる鬼の骸と 尽きた人の屍の川を弔うように次第に何も見えなくしていった。
(初代剣士)「!」
(コーちん)
「 え…っぐ、ひっ・・ッ!……、… 」
(剣士)
「 そうか..。」
生き残ったのは…、俺達だけだった。
───世代は代わり、3代目交代。
「いたぞ‼︎」
ザ..ッ!
(???)
「 …ハァッ、ハッ!! 」
(京の検非違使)「 逃すなっ!追え!!」
(三代目槍使い)「 悠太、こっちだ!」
「 …!?兄ちゃんっ!」
(三代目槍使い)
「 俺が時間を稼ぐ、お前は先に森を抜けろ、いいな。」
(検非違使)
「お前達は回り込め」
(コーちん)「 悠太さまこっち!」
(悠太)
「 コーちん待って!兄ちゃんが…っ! 」
(三代目槍使い)「 止まるなっ 足止めしたらすぐに行く。走れ! 」
(悠太)「 ..、! 」
(コーちん)「 早く 早く…っ!追いつかれちゃう 」
(検非違使A)
「 こっちだ! …… 一人だと? 」
(検非違使B)「 いや、もう一人を逃した。この先だ、直ぐに捕らえろ!!」
(槍使い)「 陽炎っ‼︎ 」
「 ーーーーーー、」
(周りの視界がグニャっと揺らめく)
(検非違使)
「 !? …… こざかしい真似を、 やはり晴明様の言った通り、朱点童子と同じ術を使う呪われた一族か 」
「 ……………。」
(槍使い)
「 (おかしい・・。こいつら検非違使達が一体何故、祖先が一度死んだ、反魂の生き返りの事を知ってる?) 」
“ 話しに聞いた初代様は、
晴明からも蘇った身体の事を隠して亡くなられていった人達だと… ”
「…‼︎」
(斬りかかる検非違使)
(槍使い)「!」
“ 検非違使達の追っ手が早すぎる! ”
「 康介 ! ! 」
(三代目剣士)
「 康介、まともに戦うな!こいつら目が正気じゃない 」
(康介)「!?」
(検非違使)「 …だがまぁいい。………また何度でも捕まえて生贄に捧げてやろう…くくっ……くくくっ、」
(帝)
“ 晴明さえいれば都は安泰じゃ…。呪われた鬼切など、一族根絶やしにしてくれようぞ… ”