マリッジブルー俺がゴキゲンな超能力を得るに至ったナントカたらいう戦は人間界の勝ちで終わったらしい。クソ面白くもねえ話だ。おまけにもうひとつ、冴えねえラッパーの歌詞みてえにシラけた話が飛び込んできた。
なんだって?
俺の耳がおかしくなったか、それともテメェがイカれたのかどっちだ?
「カバル、冗談も大概にしろや。笑えねえぜ」
「おいおいおい、このオレ様が無二の親友のお前に嘘をつくだって? よく考えろよ、そんなことしてなんの得がある?」
「…マジの話なのか」
「大マジよ」
「相手は義手野郎か?」
「なんと一般男性でえす」
世界が、突然色褪せた。
カノウと犬猿の仲である金髪女(ブロンディ)ことソニア・ブレイドが結婚したってえネタが義手野郎経由で一緒に暮らしてる(ナンデ?!)サブゼロへ伝わり、それが心優しいオレ様に届き、ドクズの太陽ちゃんに今お届けしましたってトコだ。
そこからのカノウは浴びるように飲んだくれてオレ以外手がつけられねえ状態だった。実際頭から浴びてた。あーあもったいね。
そんな感じなので取り巻きは下がらせ、しょーがないから巣にしてるバーでヤケ酒に付き合ってやってるなう。
「なんだよブロンディ……」
うわーフラれた男1000%じゃん? おもしれーからもう少しつついてみよう。
「お前あの女が好きだったのか?」
「んなワケあるかボケナスぅ。俺ぁ、俺ぁな……ブロンディ…なんでだ…お前そんな器じゃねえだろ……」
くだ巻きすぎだろ。これで好きじゃないってどうなんだよお前。めんどくさいヤツだな太陽ちゃんよ。
「あ、おい」
無言でなんとか席を立ちフラッフラでどこかへ向かうカノウを追いかける。オレ?オレはほっとんど飲んでない、ていうか飲めねえわ。こいつの介抱確定なんだからよ。
「ぶろんれぃ……」
あーあ呂律も回ってねえ。夜の空気で頭冷やすってえ感じでもない…あっ、大の字に寝転びやがった!
「ちくしょおおおー!!」
「ヘイヘイ、サニーサイドアップちゃん。お前あの金髪とどうにかなりたかったのか?」
転がったカノウのすぐそばでしゃがんで聞いてやる。
「ちげえよ、そんなんじゃねえっつったろボケ。ホースぶった切るろ…… そんなんらねえんら……」
はいはい、今のまま、顔を合わせたらきゃんきゃんしてたかった訳ね。けんか友達とも違うけど、まあそういうのもアリなんじゃない? それがまさかの一般男性(笑)とご結婚かつ、軍隊退役とはねー。
オレが警官になるって言った後も荒れたってきいたけど、こんなんだったのかな。
「ソニア……」
ぷすー、ともしゃもしゃの髭の間から吐息がもれて寝ちまった。やれやれ。これ担いで部屋まで運ぶのかあ。元オマワリサンなんで、できますけども。
後日、名前を偽って祝いの電報を入れたと聞いて、抱きしめるしかなかった。