good sweet morning目が開いて、昨夜寒かったんだよなと思い出す。おでこよりは頭のてっぺんに近いところに温かくて柔らかいものが触れる。ちゅ、と音をさせて離れたそれは、半分開けた目で見てもセクシーな唇。
「…おあよ」
「はよ」
「さむかったから」
昨夜おやすみを言ってそれぞれの部屋に分かれたはずが、起きたら一緒に寝てたことがちょっとかっこ悪くて、言い訳をする。寒かったらいつでもきていいって言ってくれたから。
「うん」
オフの日のスマイリーは俺よりちょっとだけ寝起きがゆるやかだ。俺はしゃっきりしようと思えばできるけど、もったいなくて半分寝たままにしている。だってあったかい。どこもかしこも。
「ん?」
「しんぞーのおと、ききたい」
急にごそごそしだした俺にとろりと疑問がかかる。
「じゃあ、こうかな」
向き合って横寝してたのを抱え直し、強い力で引かれる。
「これなら聞きやすい」
「にひひ」
スマイリーが仰向け、俺はその上に重なってうつ伏せ。頑丈な腕が背中に回され、ゆっくり撫でられる。あーよせ、眠くなっちゃう。でも気持ちいい。睡魔と戦いながらも収まりが良くて聞きやすいところを探して耳を押し当てる。規則正しく、今はゆるやかな鼓動を聴いていると自分のそれも合ってくる。重なった誰かの心音が心地よいなんて、スマイリーと眠るようになって初めて知った。
また、頭頂に、ちゅ。
「んあ?」
「…したい」
飛び上がってやったあと叫びそうになったを抑えて、耳もほおも鼻先もすり寄せる。
「いいよ」
スマイリーをちゃんと見て答えれば、びっくりするほど嬉しそう。過去のクズどもと比べちゃいけないけれど、許可取ってくれるだけでなく、OK出すとこんなに嬉しそうにするなんてスマイリーだけだ。
温かい手がゆっくりと動き始めるのを感じながら、俺はまた別の喜びでにへへと笑ってしまった。
「どした?」
「お前からしたいって、なかなかないからさ。理由も知ってるけど、嬉しくて」
「信頼してくれて、サンキュな」
手が際どいところに届き始めたので、会話はこれでおしまい。
俺は朝からめいっぱい愛されると言う贅沢を味わうのだった。