イラストを魅せる。護る。究極のイラストSNS。

GALLERIA[ギャレリア]は創作活動を支援する豊富な機能を揃えた創作SNSです。

  • 1 / 1
    しおり
    1 / 1
    しおり
    追放 気が付くとキラは檻の中で横たわっていた。街の留置場である。後ろ手に木の手錠が嵌められていた。目の前に黒い鉄格子が鈍く光っている。
     
    「目が覚めたか?」
     
    保安官が聞いた。
     
    「私……」
      
    「全く、よりにもよってタジル様の屋敷に盗みに入るとはな。タジル様はこの街の名士だ。要するに権力者だ。まあ、諦めるんだな」
     
    名士……。権力者……。キラには理解出来ない概念だった。村では誰もが平等だった。村長ですら、皆を取りまとめる役目が有るだけで、権力などというものとは無縁だ。
     
    「私、働いたけどやっていけなくて。私の住んでいた村では、富めるものは貧しいものに分け与えるのが掟だったわ。だから……」
     
    「ふん。それはお前の村の話だろう? この街では違う。タジル様から、盗人は砂漠に追放するように申し使っている。残念だったな」
     
    「そんな……」
     
    キラは俯いた。
     
     キラは砂漠まで護送されることになった。二頭立ての馬車に押し込められる。隣に保安官が座って、キラの手錠に付けられた綱を握っていた。馬車は街の門を抜け、小麦畑を横切り、砂漠へと向かった。木で出来た馬車のワゴンは座り心地が悪く、常に振動でキラをガタガタ突き上げた。
      
     丸一日走って、馬車は広い砂漠で止まった。 
     
    「よし、この辺りで良いだろう」
     
    保安官は馬車のドアを開けると、キラを外へ引きずり出した。
     
    「まあ、一応手錠は外してやる。運が良ければ何処かのオアシスにたどり着けるだろうさ」
     
     キラを残して、馬車は走り去った。キラは呆然と馬車が見えなくなるまで見ていたが、やがてヨロヨロと歩き出した。行く当てなど無かったが、そうするより仕方がなかった。久しぶりに見る砂漠。何処までも続く褐色の砂の大地と点在する岩山。上を見上げると、真っ青な空がキラを嘲笑っているかのようだった。歩いているうちにどんどん暑くなり、堪らなくなったキラは、日陰を探した。少し離れた所に、香色の岩山が有った。ギラつく太陽の光を受けて、濃い影が出来ている。キラは岩山まで歩き、日陰に入り込んだ。ひんやりと涼しい空気が肌に纏わりつく。岩山を背もたれに、キラは座り込んだ。
     
     不意に涙が一筋キラの頬を伝った。一度流れると、涙は止めどなく流れてきた。今まで堪えてきた思いが一気に溢れだす。キラは誰もいない砂漠で、わあわあ泣いた。
     

     
     
     
    kotsulis Link Message Mute
    2019/10/22 14:58:49

    追放

    砂漠の小さなオアシスの村、カラルで平和に暮らしていたキラは、病気の母を医者に診せる金を稼ぐため、ウルの街へ働きに行くのだが、街を追放されてしまう。砂漠でキラはドラゴンのレグルに出会う。

    お気軽に感想などお寄せください。

    #オリジナル #創作 #女の子 #砂漠 #ドラゴン #剣

    more...
    作者が共有を許可していません Love ステキと思ったらハートを送ろう!ログイン不要です。ログインするとハートをカスタマイズできます。
    2019/10/22 23:53:43
    ハート有り難うございます🎵
    200 reply
    転載
    NG
    クレジット非表示
    NG
    商用利用
    NG
    改変
    NG
    ライセンス改変
    NG
    保存閲覧
    NG
    URLの共有
    NG
    模写・トレース
    NG
  • CONNECT この作品とコネクトしている作品