イラストを魅せる。護る。究極のイラストSNS。

GALLERIA[ギャレリア]は創作活動を支援する豊富な機能を揃えた創作SNSです。

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    MOON CHILD早朝をむかえた『月』の部屋。カーテンは無用だ。窓からはやわらかな陽光が差し込んでいる。朝のやわらかい光にさらされたトアの素肌が輪郭をぼかしている。彼が縫いとめた白い褥に溶けこむ。

    アレックスは寝息をたてていた。
     二人は褥の上で肌を合わせて横たわっている。上掛けシーツのなか、あの場所で繋ぎ止まったままでいる。
     繋がった部分がかすかに水音をたてた。入れたときと同じような緩慢さで彼は腰を引き、それから再び沈ませた。
     眠り薬の効果が切れる頃合いにやめる。アレックスが動いた。
     乱れた服を整える。
     布擦れの音を立てながらアレックスが目覚めた。起きたか。靴底の床を擦る音が聞こえる。

     普段はチャールズが先に起きる。水盤に水を注ぎ足し、水を浸した麻布で身体を清潔にした後に、再び水盤の水を入れ換える作業をする。けれども身体が動かない。動かない理由は『ダイヤモンドの騎士』にある。あの試練を体験してみたが、あれの凶悪な罠からもらった衝撃と痛みは少しも癒えなかった。

    「おはよう、アレックス」ミア?
    「おはよう。待て……ミア、やめなさい」
     がばっ――上掛けシーツを剥がされた。
     トアがミアを凝視する。「初めてよね、私はミア。お向かいの塔『吊るされた男』の狼月よ」
     チャールズは目を細め、つぶり、去るのを待つ。
    「私はトア。芋虫月」ぼうっとした声。
    「ミア……ふたりはとても疲れてる。」

    「わかった。静かにしてるわ」そういうと湯を沸かしはじめた。

     ミアが来た間の悪さと居心地の悪さに嫌気が差したか、疲労困憊しているはずのトアが褥から起き上がり、身支度をはじめた。褥にいる理由が綺麗さっぱり消えたチャールズも一緒に起きだし身支度をはじめた。

     


    「トリーの馬じゃない。さっきも言った!」
    ・闇の馬調査隊が動いていた。
    『トマト』のうち、ひとりは苺月の者だ。召喚師トリーの周りを魔法傀儡が飛びまわった。
     トーマがひょいと手で掴んだ。「やめて!」汚れた色の鱗粉が舞い、ふたりかの鼻腔に入った。足早に逃げながら咳き込むふたりを追いかけるもトーマから平手打ちをもらって気絶した。

    ・噂は盗賊たちの口を介してあっという間に広まる。
    ・トマトはやっと突っ立つのをやめた。大広間に足を踏み入れる。


     盗賊からもたらされた噂を牡鹿月と雪月が咀嚼していた。訓練場の運営が再開されるのではないかという憶測だ。『トマト』は心底怯えていた。自分達もああいう戦士と戦うのか。
     ジョリー・トーマは武者震いをした。狼月に選ばれた自分は恵まれている。獣の力さえ覚醒さえすればトリーを護ることができる。問題なのは彼らとのつきあい方だ。
     背後によく知る3人が立っていた。チャールズ・ヴェスパシアン・ヘイルとアレクサンダー・マホーン、そしてミアだ。そこに血色のよいゴーストがさらりと加わる。
    「お友達が増えたじゃないの。私はゴースト。友達の友達は仲間のうちにはいるでしょ?」合流した6人組はいつもの席についた。

    「ジェリー、ちょっと暗いわね。いつものガッツがないじゃないの?」トリーは値踏みするようにして見た。トリーにとってはゴーストは突然現れた女なのだ。

     苺禾の短い怒りの悲鳴があがった。調査隊が苺禾の食卓の上を飛びまわっている。
    「え、なに、あれ」ゴースト
     トリーが言った。「『コシュタ・バワー調査隊』である。__。苺月が疑われている。心外極まる」
     アレックスとゴーストはチャールズを横目で見た。チャールズは離れて後から入ってきたトアに寄り添った。トアは震えている。大広間の雰囲気に圧倒されていた。
    「近い……」ゴーストは顎をずらして歯を鳴らした。
    「あら、とぉうっても親密な仲よ。エッチしてたし」ミアが暴露した。ゴーストは狐につままれたという風な顔をしている。
     トリーは余計な情報を仕入れてしまったことに対して怒りを覚えたらしい。
     遠くでは苺禾が2度見をした。


    「それは、ごめんなさい。私はあの子に、何度も頭を下げてモルドゥアへ還ることをお願いしました。離れても、すぐにでてきてしまうんです!」
    「謝る必要はないよ」
    「あら、その必要はないわ、チャーリー」キャスリンだ。キャスリンは牡鹿月と雪月とは信頼関係にある。すなわちこちらの出方次第で最も強力な敵になりうる人物だ。恐らくストーミでも勝てない。
    「12月神の使者は周知してる。だって『首なし騎士』の力を彼女に授けたのは芋虫月神様よ。このことを忘れないでね。トアちゃん」キャスリン
    「やあ、チャールズ。今日から訓練が再開されるっつーよ?」ムシカ。
     トアは、キョロキョロと落ち着かなく牡鹿月や雪月の顔を見ている。隙をみて大広間をでようとさえしているようにみえる。席を立ったトアの腕をチャールズが押さえた。
     12月神の使者のうち――いつも最初に入ってくる花月神の使者が魔法傀儡を黙認して、手品のようにどこからともなく取り出した杖をピシッと振るった。そうすると魔法傀儡たちはうっすらと空間に溶けていき最後には綺麗に消えた。
     
     牡鹿月神の使者が前にでた。訓練場の運営を再開することを伝える。
     芋虫月神の使者が前にでた。コシュタ・バワー騒動の真実を話す。真相に盗賊系が笑う。唇の道化は実のところ、ムーンボーイだ。確実に例の品を手わたすために芋虫月神の使者が遣わせた。
    『トマト』は食欲をすっかりなくした。


    闇の馬は地下聖堂で__と『通せ通さない』の押し問答をしていた。馬が唇を捲りイ゛ッと笑う。

     デュラハンがない。とトアが呟いた。

     ミアは大狼の力を封印した。ひとは殺せない!とトアが言った。


     トーマが狼月神から獣の力を授かるようだ。皮膚が半透明になっていく。デロデロのトゥルントゥルンになった。周囲の人間は口をあんぐり開けた。それがなにであるかわかった途端、海狸月のスリ人が「スライムだ!」と馬鹿にした口調で言った。トリーはその態度にムッとした。
     スライムの顔面には目も、口もなかった。
     盗賊の1人が襲いかかってきた。

     ミアにはわからない。なぜ?アレックスが困惑した顔を浮かべた。月男を思い出した。「こっちへ、巻き込まれるだろう」

    ・スライムのダンサーはとても強い。

     トアが巻き込まれた。飛んできた盗賊にぶつかった。かなりの距離を転がった。__からチャールズが小走りに駆け寄り手を差し伸べた。


    ふたりは伏せた。スライム獣人のしなやかな脚に蹴り飛ばされた男が吹っ飛ばされてくる。寒月のカール・タナーをかすめた。
     彼らの痛みと気持ちは痛いほどわかる。
     チャールズが刺された。彼は突然事切れた。ふたりの赤帽に運ばれる。
     チャールズの血糊がついている。
     苺禾が近づいてきた。手を握って走る。手には刃物が握られている。遠く離れた場所。
    「私も戦うことに決めた」苺禾
    「あなたが、一番、戦いやすそうだから」苺禾が武器を構えた。


    「ちょっと鎮めてやるか」トーマはムシカを刺激したようだ。「ふうん」つられてキャスリンもそちらに歩を進める。
    「コイツ、あんたのも効かないかもな。疲れるだけなんじゃない?」キャスリン目掛けて打ち下ろされた腕をキャスリンは剣身を手で支えて防御した。スライムの腕を真っ二つに斬った。

    「おおっ」雪月と牡鹿月から歓声があがる。
     トリーが立ち塞がった。ふたりにそんな趣味はない。立ち退いた。
     トリーは落ちた腕をさする。「もう暴れなくていい……トリーと一緒に……帰って紅茶を啜ろう」腕をちかづけると再生する。


    「お願いですっ、怖いんです!」トア
    「彼を諦めて!」苺禾
    「あなたは__でも人を殺さなかった。そんな__なあなたを、あの人は誇りに思っていたのに……どうして」
    ・苺禾は腹を刺す。「痛っ」トアは苺禾の適当な場所を刺す。
     苺禾は悶絶する。地面にうずくまった。嗚咽を洩らしながら激しく泣いた。恐かった。トアは腹を刺されていたが歩いて逃げた。チャールズが駆け寄ってきた。状況を把握する。唇を強く引き結んだ。苺禾は片方の目で、見ている。近場にシセロがいた。一流の殺し屋だのに寒月ではない。弓の達人という理由で狩猟月神に引き抜かれた。だが殺しの腕は超一流だ。
    「シセロ?ちょっと、頼まれてくれるか?」
    「……チャールズ?」か細い声でトアが言った。
    「痛むな……出血多量でもって__だ。無駄に長い時間を要する。楽させてあげたいんだ。一番は頸骨を折ってやるのことだ。痛みもないから安心して。ただ、それを上手くできるのは僕だけだ」
    「残念です。あまりに痛いのは嫌いです」
     シセロが弓矢を引こうというとき、チャールズの腕が素早くトアの頸を捻った。チャールズはシセロにひとつうなずいた。トアを抱いて鉄の門へ急いだ。「……待って、チャールズ……わたしは……」矢が刺さった。首元に刺さった。唾液が口から垂れ、溢れてきた血がそれをのみ込んだ。
    「『一瞬の憎しみによって数年分の愛情を忘れるものなのだ』」


     鉄の門から出てきた御主人を発見したときの馬の反応は、まるで御主人を発見したときの忠犬のようだった。コシュタ・バワーがこちらへ駆けてきて四肢を滑らせて止まった。『デュラハン』を口に咥えている。馬が器用に主人の肩に羽織らせた。この馬、天才。
     ゾッとする寒々とした空気が訓練場に立ち込めた。寒月さえも身震いするような。闇の馬もより闇の頂点へ属するにふさわしい貫禄を取り戻した。もうもうと燃え上がる闇の炎。
     トアは『ダイヤモンドの騎士』の変性魔法をチャールズにかけてから自分にかけた。チャールズは戦った。何度も引き倒され、何度も剣につつかれても。トアも付属品の鉄の鞭で戦った。

    ・巨狼が暴れている。巨狼の考え方に疑問に思うトア。意見が対立している。トアは殺しを嫌った。殺した相手の顔が頭に焼きついて消えない。
    自分に言い聞かせて自分を認め慰める。人殺しは責められるべき。


     コシュタ・バワーは海狸月の腕を引き契った。笑顔を浮かべた。
     前肢を相手の肩を引っ掛けた。相手の額の皮膚を嬉々とし噛み千切った。笑う馬に__、盗賊は散り散りに逃げていった。
     疲労困憊して逃げてきた先にどうと倒れた。

    ・トアはなぜ、魔力を得るのを協力してくれたのか訊ねる。
    ・ヘイルは自分に嘘をついてでも、
    「登り詰めるところまで登り、観た景色は地獄、捕まったらその先にはなにもない。僕には妻も子供もいないし……僕に対する仲間の不信と驚くほどカラフルな罪状が残っただけだ」
    「こんな僕がここに来てから女性を愛した。僕らは『星のカード』のように財産も剥奪されて路頭を迷った。再出発をしなければならない」
    あのふたりはジェリーにあんなにも好かれてる。のんびりと昼寝をしてる。周囲の戦士たちからは轍にたまった水溜まり程度にしか思われてないから心配御無用。
     ミアはいいコにしてる。おかげで訓練がしやすい。後でご褒美をあげるわね。__パイを焼いてあげるわね!
     監督官のふたりはのほほんと見物か。退屈よね。ガードマンの経験があるからわかる。
     アレックスはミアと共闘して盗賊と訓練してる。私は独りで狩りを楽しんでた。

     飽きてきた。私はチャールズ行きの弓矢を天に向けて放った。聞きたいことがある。
     私はさっさと鉄の門に入った。

    「きみか……」
    「あんたってやっぱりそういう奴」
    「あんたがくれたミスリルのアンクレット。呪いがついてた。だから融かして__にした」
    「ジェリー。待って、訪ねたいことがある」
    「あんたは闇市に行ってない。これにコインを使ったのはあのコね」
    「だけど、あんたは人の気持ちなんかわからない。あんた、自分のことを人がどう思ってるか考えんの苦手でしょ?」
    「まったく。あのコはこれをあんたに贈った。なぜよ?自分の指輪が欲しくなったからよ。」

    「……いい。要点をいうことにする」
    「『琥珀のイヤリング』をあんたはあのコのまえで売った。苺禾の価値を曝したの。どんなに仲が深まったところで、あれを頭の片隅から払い落とすのはまずムリよ」
    「宝石ってね」
    「贈り主の気持ちや願い。想い相手の価値を形にしたものだもの。だから、あんたは埋め合わせしなきゃいけない。宝石で」
    「知りたいし。そう、あのコの価値を知りたい」
     

    チャールズは鉄の門を出た。トアを探した。鞭を振り回している。疲れ果てている。
     相手は剣を何度もトアの腹に突き立てている。『ダイヤモンドの騎士』貫かない。
     主人が『デュラハン』を盗賊に奪われ闇の馬は立ち往生している。盗賊がデュラハンに化けた。
    「危ないっですよっ」
    「やめて、やめてやめてやめてえ!」
    「ヘイル!」
     チャールズは、剣戟の末に戦士の顎下にトーマの槍を突き刺した。仲間の男はヘイルの頸を絞めあげた。ヘイルの袖口に仕込んでいた針が飛びだして男の目を貫いた。喉を切り裂いた。
    「なんてことだ……」
    「平気じゃない……だって」
    「あの弓矢は一体?」
    「ここは弓を特別扱いして……」チャールズは信頼していたのにひどい裏切り方をしたドラマ視聴者の顔そのものだった。
    「……」デュラハンを睨む。
    「あ、あなたひとりで挑むつもりじゃあ!はっきり言います!無理ですよ!」トアは周りを見わたした。遠まわしに置いていかないでと言っている。
    「ここにいる。……」彼女を見つめる。チャールズは息を呑んだ。安堵感。

    コシュタ・バワーが暴れはじめた。盗賊のデュラハンを背中に乗せまいと抗っている。
     トアは立ち上がった。
    闇の馬は呼び掛けに応じた。トアが背に股がる。
     
    「顔を潰して」
    「キス、ブレス」
    倒れた盗賊の両肩の上に蹄。笑う馬が盗賊の口にキスをし、口の中に黒く燃え盛る闇のブレスを吐いた。
    闇の馬が『デュラハン』を剥ぎ取る。彼女は鞍からゆっくりと降りて、先に降りたヘイルが手を貸す。
    『デュラハン』に袖をとおす。フードをかぶる、チャールズにフードを後ろへ払われる。
    「なあ、終わったら、街へ行かないか?食事でもどう?」
    「お腹が空いてきました」


    街。さりげなく宝石商のまえを通った。恋人をちらりと見た。
    「欲しいかい?」彼女は顎を引いてかぶりを振った。本音は欲しいのか。
     ジェンダー、アンバー、トパーズ、サファイア、ルビー、ダイヤモンド、真珠
     自然を装って店内に入る。「わたしには……」
     チャールズは店主と話をしている。なにやら交渉は成立したようだ。包みを鞄にいれた。真の目的はこちらのようだ。
     店を出た、チャールズは食事のために歩を進める。
     相変わらず少食。テラスで遠くの小いさな森を眺めていた。階段の森。段々畑の森。奥深い縦穴は地下迷宮に繋がっているかもしれない。
    入り口前に監視塔が建っている。
     ふたりは食事を済ませると席を立った。月宮殿へ戻ってからは別件があるというチャールズと別れた。『月』に戻る気にはなれなかった。アレックスは苦手だったし、ミアも苦手だった。落ち込んでる。私は月宮殿の地図案内を眺めた。歩く木、七色の嘆き池、

     嘆きの池(水盤)には。『トマト』がいた。
    嘆いてはため息を吐きかけ、水の色を変えて遊んでいる。「赤と黒はやばいよ」トリーがむっつりした。鼻息が水にかかり色を変えた。黒だ。トーマが吐くと水は水色に変わった。
    「こいつ、悩んでなどいないのだ」
    「吐いて」
     私は吐いた。「ぴ………」赤みの強いピンク色。
    「気にしない。恋する乙女でいたっていい」
     トリーは水盤の水を掬ってから息を吐きかけた。水の色が変わった。やっぱり黒だ。
    「」


    ゴーストは鋳造部屋に入る。時間設定をした。__はこの中で過ごす。

     仕上がるのは__だけど、私は皆の__先の時間を過ごしたことになる。そしてその時間にジェリーが完成品を取りにくる。


    「やあ」
    「時間通りね」
    「ブラックダイヤモンド……あのコってふわふわしてない?」

     ジェリーは私の指にブラックダイヤモンドのミスリルの指輪をはめた。
     口づけを交わそうとした。私は頬にする。ジェリーをまさぐる手を掴まれた。「そこまで」「きみと俺の関係は」
    「わからないか、ゴースト」
    「わかってるくせに」「よせと言われてやめる女じゃない」
    「いたッ……な、なにを打ったの?」
    「意味を知らないか……黒薔薇の」
    「きみはあくまで私のもの……」
    「本音を隠すつもりはない。だから正直に言おう。……きみを恨んでいる」
    「……知ってる」膝蹴りをかまして強引に口づけをした。棚が倒れる。横倒しの棚にジェリーを押しつけ馬乗りになった。「よせ……動くな!」彼は抵抗した。ゴーストの頬をぶった。
    ゴーストは「嫌っ」と吐き捨ててジェリーのスラックスのなかをまさぐろうとしたが彼の力が優った。ジェリーの鼻から血が流れた。
    「諦めたほうがいい。シラットの使い手なの」
    「そうか」
    「じゃあ、見せてみなさいよ。私を捩じ伏せて組伏せてみなさいよ!」
    「なぜそんな暴力をきみに?」
    「手を離せ。ゴースト」
    「できない。なんかムリだからこうするんじゃないの」ゴーストは腰を振りはじめた。厚手の布の上から擦る。
    「こおしてると、あんたの熱が伝わってくる……ッ」
    「なあ見てくれ。惨めな姿だろ?」体を捻ってゴーストを払う。離れた瞬間に離れたがったが腰をホールドされた。
    「逃がさない!」涙声だった。下衣ごと一気に引きずり下ろした。惨めだった。「やめてくれ!」スライド式の棚をゴーストにぶちかました。頭に打ちつけたのに動じず目の前のものにしゃぶりつこうとした。とっさにお盆で局部を死守する。手品師のような手早さだった。
    「なにしてる!」
    「どういうことだ?……これは、なんだ?リラ?」――リラ……
     花月の使者は、寒月の哀れな姿に片方の眉を吊り上げた。寒月の下衣とスラックスを魔法で引き上げてやる。
     嫌な予感がして制欲剤を打ったのにまるで効果がなかった。
    「私が散らかしました。彼を襲おうとして」
     花月の使者は粉末を空中に振り撒き。魔法をかけた。在留思念を映像が流れる。
     ゴーストは花月神の使者から罰を受けた。寒月の彼に接触、近づくことを禁止された。


    水はインディゴに変色した。だが、月のようなものが浮いていた「それは……?」
    「あなたの、いまの気持ちを表してます」
    「片付けが、必要です」彼はかぶりを振り話さなかった。
    「僕らは、いま、『__』に入るために歩いてる。ここは『__』という13番目の塔だよ」
    「13番目……?」
    「僕らの目には見えていないだけで実はここに存在しているんだな、トア」
    「その、中に入りたいの?」「どうやってなかに入るの?」彼女は『デュラハン』を羽織っている。
    「…………」
    「……新月」新月を指した。

    「この世界には懐中時計すらない」

     それはどうだろう?という顔を作った。
    「どういう顔?」
    「『とかれることを望まない秘密だってあるさ』」
    「どういう意味?」トアは目を丸くして興味津々というふうだった。
    「ああ……それは秘密だ」

     唐突にトアが「あたたには、ブレゲになって欲しいのです」と言った。

    「時計旋盤がないと……__のことだってある。僕ひとりではどうにもならない」「残念だよ。ここには時計師はいない」
    「それは嘘です」チャールズがくすりと笑って頷いた。
    「この世界で時計の修理をしたら、それで立派な時計師が誕生します」
    「誰かは、その……持っているはずです。探しものが増えました……」チャールズが地面を凝視「密かに影絵ができあがって……」

    「13番目の塔」



    ・塔の影絵の入り口に階段が現れる。
    「動いてる……」
    『ダイヤモンドの騎士』をかけた。


    『この男になにか尋ねればリスクがつきまとうことを知っていた。ごく単純な質問ひとつが長いモノローグの扉を開きかねない。』って本に書いてあったから。
    「メトロポリタン美術館には」
    「デルフォイ機構に興味があるの?それともあなたが興味があるのは、太陰太陽暦」
    「どちらにも興味がある」
     太陰太陽暦について語る。
    「僕はグレゴリオ暦も純太陰暦もどっちも憎んでる。いい加減だからね」
    「太陰太陽暦はエレガントで調和がとれている。美しい」
     うっとり見つめる。
    「本物だとは信じない人も多い。科学者でもコンピューターを使わないとおなじ計算ができないからだ。そんな昔にこれほど洗練された計算機を作った人物がいるとは信じられないんだよ。でも、僕は本物だと思う」
    「これについては色んな噂がある。中に生命と宇宙の謎の答えが入ってるとか」
    「こいつは何か超自然的な力を持ってるのか?もちろん、そんなものはない。それでも、重要な働きをしてる。時間を統一してるんだよ。この機構は1秒だろうと1000年だろうと、100パーセント正確に計測することができる」
    「古代の人々は、時間は独立した力だと考えていた。他の何ものにも備わっていない力を持った神だとね。この機構はその考え方を象徴するものだとも解釈できる……」
    「『この世の全員がそういうふうに時間というものをとらえるべきだと思うよ。1秒という時間は銃弾やナイフや爆弾と同じような力を持っているというふうにね。いま過ぎた1秒が、1000年後の出来事に影響をあたえるかもしれない。全く違うものにしてしまうかもしれない』」
    「情報はこんなにも入りません」

    遊び好きの『トマト』__。ランプを持って散歩。この近くに綺麗な花が咲いていたのだ。慰めるスポットを巡っている。ジョリー・トーマが違和感に首を傾げた。があまり気にもとめず歩み去った。


    塔が割れはじめる。上へ、「どうして急に!?」
    「灯りだ……逃げないと!誰かが__んだ!」

    トアが足場をなくして転落しそうに。腕を掴む。
    ――
     チャールズの足元が崩れて落下する。
    自分の足場もなくなりそう。チャールズを掴みながら脇へ、脇へと逃げる。彼は手を離そうとしていた。一瞬見つめあう。
     彼が悲鳴もあげず落ちていく。脚が痺れていた。動く気などなかったが。トアも落ちた。チャールズが見えた。トアはまだ落ちる。
    ――まだ、やりたいことがたくさん……
     チャールズは強かに胸を打った程度にすんだ。たった数センチのズレが生死を分けるということだ。悪運が強いらしい。……すまない。チャールズは修復された階段を勢いよく下りはじめた。
    ――ひょっとしたら、あの魔法のおかげで助ったのかもしれない。――それはない。チャールズ。腹を決めろ。


    脚が止まる。下に降りる階段がここで終わった。最寄りのドアを開け、どこへ通じるとも知れぬ通路をひたすらに進んだ。

     トアの体は砕けていた。頬を愛撫する。冷たかった。真珠を首にかける。『月の涙』『涙の象徴』故人に対する敬意をあらわしている。

     こんなときに不謹慎かもしれないがチャールズは喘ぎながら声をあげて笑った。「デルフォイ機構!」「きみを失ってまでして見たくなかった」

    ・機械の兵士トーテムが入り口のなかに入る。【力のアーティファクト】はロスフィンデルとかいう悪魔が創るらしいことを思い出す。
    ・戦神に会え

    『互いに会う機会はもうないのでしょうか?』
    『だから、これからが本当の意味で、私たちの友情が試されるときとも言えます!』
    『ああ、うそでしょ。どうか、さよならを言わせて』
    「……待て……」
     さっきの機械の兵士が彼女の遺体を抱いて行ってしまった。
    「……返してくれ!」


    闇の馬に責められた。こずかれた。後ろに後ずさるようにして尻餅をつき、そのまま塞ぎこむ。訓練場に行き、トアを触る。
     
    ・月の部屋に行く。
    「顔が、真っ青だぞ?」アレックスが異変に気づいた。チャールズは黙って書斎へ。アレックスは部屋を覗く。なにも手につかず
    ――愛することは無意味ではないか。人を愛して一緒になることなんか……

    ・アレックスと強い絆を構築する。その絆こそ残忍な世界で生き残る手助けとなる。ルームメイトであり、戦友である。ずっといた関係とはまったく違う絆で結ばれていることがわかった。

     
    ・キャスリンとムシカが便りを受けとり依頼を引き受ける。
    ・キャスリンとムシカがヘイルに会う。
    「たまたま生まれて死ぬまで生きる。その人生をどういう内容にするかはその人の生き方次第じゃないか」ムシカ
    「愛を育むことが命を救う、ね」
    「誰からにも感心されなかったら、生きなかったことと同じことだものね」キャスリンは肩をすくめた。「あの子のこと。残念だった」

    ――人生の無意味に意味をあたえ、生きることの徒労を生き甲斐にかえる。

    ・ゴーストが遠くに見える。
    ・ヘイルはキャスリンの任務に同行を願う。
    ・遅れてゴンドラに乗る苺禾。苺禾も合流。


    『トマト』のトリーは『死に神』の部屋に引きこもる。忌々しい死に神め。大切な人の恋仲を引き裂いてしまった。

    「まるで劇場だ。新舞台を拵えるために古いものを壊す必要があった」とジョリーがミアに言った。「次の主役は誰だろう」
    「……んー、ストーミ?」ミア







    ・愛雛が土砂降りの雨の中、オークを狩る。豚の獣人とオークは繋がっている。ほとんど奴隷商人だった。
    「悪いと思ってんだろ?あんなことをして俺や連中がほっとくわけない」
    「ここじゃみんな容赦ない」
    「それは確かだ」オークは間抜けを見る目でアイスを観察した。アイスの心は凍った。なにか嫌な予感がする。
    ・アイスは豚の獣人と契約した本人を殺す。部屋を物色したが特に見つからない。自分の似顔絵が描かれた手配書だけだ。どこに送った?
    ・オークはどこから涌いてる?

    ・アイスはビリーがいま何処で何をやってるか知っている。合流する。アイスが奴隷商人猟りをしていたことをビリーは知っている。ビリーはアイスを批難する。仲間も同調する。
    ・ビリーではなく仲間からストーミの話を聞く。彼が浮浪民のままごとをしていることを知る。
    ・その単独行動は危険だった。危険を招いたのはアイスだが。
    ・アイスは国に入る。浮浪児から話を聞く。ここへは戻ってきていない。あの時のオークのにやけ面の意味を理解した。


    さあ大変だ さあ大変だ
    七面鳥が 逃げてゆく
    さあみんなで つかまえろ
    池のまわりを 追いかけろ
    ララララ ララララ
    ララララ ララララ
    一生懸命 逃げてゆき
    そら かくれた処はわらの中

    さあ大変だ さあ大変だ
    七面鳥が また逃げた
    こんどこそ つかまえろ
    庭のまわりを 追いかけろ
    ララララ ララララ
    ララララ ララララ
    一生懸命 逃げてゆき
    そら かくれた処は小屋の中

     彼女自身は、ステップを踏み、__を吹いて『蒸気船ウィリー』から『藁の中の七面鳥』を演奏しながらウルフでごまかしたグレイッシュの癖っ毛をそよ風に揺らす。
     の__大通りを行き交う人びとの脚は羽毛が詰まってるかのような軽やかな足取りだった。彼らは思い思いの目的地へと歩を進めていた。__に、__、__と__。それにステップを軽やかに踏む酒飲み爺さんさえいた。
     ある紳士は帽子を手に取り上げて軽い会釈をし、貴婦人たちは腰を軽く落とし挨拶を。彼女の演奏に、生きとし生けるもの、もの乞い白鳥も家鴨の親子も病気で伏せていた猫もぴんと背筋を伸ばして歩きだした。赤子を抱いた貴婦人にせがまれてキャスリンは自分の母乳を赤子にたらふく飲ませた。貴婦人の肩にキリギリスが飛び込んだ。軽い悲鳴が笑顔の口から軽やかな笑いが転がった。ムシカは踊り。
     ディズニー映画で__必ず注入されるシーンだ。彼女は美女ではないかもしれないが。チャールズ・ヘイルも彼女たちと一緒に歩いていた。訓練生の街への外出はちょっとした__みたいなものだ。魔法の紋章を押されて背徳の刻印に完全に変わる前に帰還すればいい。隠されたシナリオを探す旅へ。
     ……霞み城。

     お婆さんがくるっと身体をまわして腕を振って踊っている。元気だ。
    「キャスリン様、__へ行かれるんで?」
    「カエルさんの国へ行ってきます」カエル……?
     口の早いムシカが先回りした。
    「今年はカエルさんの味がいまいちっつぅーねえー?だから彼らのために__祈願して体調を回復させてあげないと……こっちまで」カエルのお医者さん……
    「そら大変だねえ、奴らは窃盗、人攫いなんでもありだから。頭を鎮めてやってくれえ」
    「えぇ約束するわ」
     苺禾は例の顔つきでキリギリスを警戒して見つめていた。困った顔は苺みたいに優しい甘さを含んでいる。官能的な唇。雪もちみたいに透き通った肌。華奢な身体。
     馬丁から荷車と逞しい馬を4頭用意してもらった。逃げまわるキリギリスをついばもうと奮闘中の鶏がチャールズの脚まわりを駆けまわった。お婆さんが笑顔で訊ねた。彼女の指が言っているのは男か?チャールズは言った。「従者です」


    3人は馬にしりを預けてカエルの国へ続く左の大道りにでた。霞み街は霞んで消えた。
    「ほら、これを。旅の必需品。コンパス」
    「テクマクマヤコン、テクマクマヤコンチャーリーに必要な筆記用具をくださいな。ジャーン。地図とチャコール」
    「カエルの国?」チャールズは訊ねた。


    「水都ネン・フェン」ムシカ「ネンターリが治めてる」

    「南東にあるっていう水の都にカエル頭の一族が住んでるの。今回のクライアントは、そのカエルさんたちを主食にしてるすんっごぉーい怖い怪物さんたちね」

    「覚悟して。私たちは、いまから度胸試しをしに行くっつぅーことだから」っつぅー……
    「旅へは、こんなにしょっちゅう?」
    「ああ、そうね、前回は豊穣祈願をしに__へ、前々回は__安産__に__まで行ったわね」

    「そういえば、チャールズは『藁の中の七面鳥』を知ってたよね。たまぁーに異世界の者が紛れるんだよね。そんで、そういう連中がたまにいいもん持ってくる」群れが
     キャスリンが継いだ。「でも、大抵は兵隊さんに没収されちゃう」苺禾は無口だ。「キャスリンはスマホをとられた」
    「チャーリーは?」
    「時計を。シグマのデジタル時計」
    「うわ。高級なやつ」

     キャスリンの『女帝』の力を借りて、馬は普通の馬が走れるよりもずっと速くバネのように弾んだ大きな足どりで南東エスリマを走っていく。前方の南東にバ・ダ山脈が見えた。


    湿原、タムタカ大湿原の向こう。剣の切っ先のような形をしたバ・ダ山脈の向こう側にサハギン村がある。
    バ・ダ山脈のバ・ダ街を通過するしかない。バ・ダ山脈最南端の南に位置する水都ネン・フェンに挟まれて行く必要がある。
    バダ山脈は険しすぎて登れない上、河が横断している。オークに見つかるわけには行かない。
    切りだつ崖に湾岸都市はなく、あるのはオーク海賊が利用する洞穴だった。

    そしてしばしば増水するタムタカと大河が旧街道を消し、更にオーク族が平にしてしまった。手探りでの旅だが、キャスリンは知り尽くしていた。


    海すら見えないうちから想像を絶するほどの水量が海へ流れ落ちている。壮大な滝、水量がこの先にあることを感じさせた。

    塩分を含んだ風。
    塩湖が広がる。この先は海との境目が曖昧だそうだ。
    東へ急斜面が延々と

    「どう、どう!……チャーリー、お腹すいてない?」「早いじゃないか、理由が多分にあるんだろ?」
    「もちろん、あなたの胃が頑丈でありますように」唇にキスを落とした。「気にしちゃ駄目。ただの願かけ」
    「試しただけ、そうだろ?……」
    「うん。はい、シュリア、この人にもお弁当を」
    「これは君の手料理?誰かに料理を作ってもらうのなんて何年ぶりだろう」おっと、頭からゴーストが抜け落ちた。
    「彼女がいない?立候補しちゃおっかな」ムシカが言った。苺禾はだんまりしている。

    「そうだ。ぜひ聞いておきたいことがあるの。あなたの時代は?」
    「2006年」
    「まだ『ラプンツェルの塔』も『アナと雪の女王』もやってない。信っじられない」

    「……君たちは、未来から来たんだね?」
    「そうね、私たち、2020年から来たの」チャールズは頬が緩んだ。「どうなってる?」

    「どうして神様が、あなたから数年を奪ったかだなんて誰にもわからない……でも、私に言えることがひとつだけある。神様は、ここに私たちを召喚した。きっと、なにかをさせたいの」チャールズは頷いた。「神様の言うことは、聞いておいたほうがいい、だろ?」キャスリンは肩をすくめた。

    ・戦神について訊ねる。最北の上空にある天照国領域はグリティリスの戦神が徘徊している。
    ・西部大山脈を越えた先にある戒律国サングドール付近ではサングドールの戦神が徘徊している。
    ・地底のモルドゥア国にはモルドゥオン・ロモが白昼夢狩りをしている。
    ・専ら有名な三人の他に沢山の戦神がいる。禍をもたらす魔女が土地に現れたら討伐の為。


    東洋人の男にはおそらく背伸びポイントがあるのだろう。いつも__で腕を後ろに伸ばす。ジュリーの『ジェラルド・ダンカン時代』を連想させる丸顔の二重顎。訓練生ではないわね。いつも、どこに向かうのかしら?
     ミアはまだ首をさすっている。私は吹き矢を使って彼らから毛皮と骨をかき集めた。
     売店に買い物かごを持って__。ふうん、独り暮らしね。
    「ジェリーって肥えていたのよ」
    「ほんとよ。ジェラルドを演じるために体重を20キロ減らしたの」
    「うそぉー……」
    ――しばらくの間だけよね?ジェリー……



    馬の息づかいが変わった。怯えている。ガザガサという葉擦れの音がしたかと思うと、ハルバードの刃を脚につけた巨大な蜘蛛が現れた。背中に爬虫類が乗っている。顔つきからしてまだ幼い。「二人とも気をつけて、サハギンよ」キャスリンが言った。
     キャスリンは懐から手紙を手わたした。子供のサハギンは唸ってから、手招きをした。

    村の門に腹の裂かれ贓物が取り除かれた人間や馬の死体が逆さに吊るされている。チャールズは胃が頑丈なほうで良かったと思いはじめていた。
    「願掛けの効果のほどは?」
    「ばっちり」しかし、苺月は空嘔を繰り返した。涙目。
     門の外で待たされること5分。ドアを開き、集団が待っているのに目を留めた。

     思っていたのよりはるかに大きい。白面顔の爬虫類サハギン。ちょっとした恐竜だな。
     翼が生えているやつ、一際背が高いサハギンはトリケラトプスのような角が生えている。
    「人の子よ。この手紙には、彼奴らがお主に我ら一族を殲滅を__する内容が書かれている」え……?
    「なぜに、お前は彼奴らを裏切る?」おや
    「私は弱者になど興味はありません。__のために滅びるべきです」
    「とっても言い難いことだけど、クライアントを間違えた」とキャスリンは素直に間違いを認めた。ムシカは口をあんぐり開けた。クライアントを間違えるドジっこっぷり……
    ※解読失敗。
     地図が貼られている。サハギンは少なくとも世界を把握しようとしている。

    「『ネンターリ』を潰す」
     口から炎を吐きだして藪に隠れている敵の体にぶつけた。
     カエル頭の斥候が飛び出してきて宣戦布告した。カエル語が飛び跳ねる。サハギンは捕まえて刺した。
    「ちっともわからないわよ。カエル語だなんて」キャスリン
    「わからないのなら、どうして引き受けた?」チャールズの冷静なツッコミ。
    「不思議ワールド大好き?」キャスリン、ロマンスが止まらない。

    ・苺禾は召喚獣が産まれそう。サハギン村に残る。苺月は召喚獣を産むために性行為をする。星のカードの恩恵が邪魔をして産むことができず、戦えない苺をは訓練所でああやって時間を潰していた。

    「敵は多くいる。村の外に潜伏している可能性がだってある。馬からは離れるな。警戒してくれ、万が一村が襲われたときのために、これを」苺禾に渡す。地図には脱出口が印されていた。


    カエル頭は毛むくじゃらのグレムリンを育てている。鋭い爪を研いであげている。
    「あんなのに100匹と囲まれたら、さすがの私でも捌ききれない」「死んだらおしまい」
    ――ジ・エンドってわけ?オーケー、面白そう。ゴースト風のツッコミを入れる。
    「見ろよ……、大量の轍と積み上げられた柵の残骸は、グレムリンの飼育スペースがあったことを意味している。500匹はいたはずだ」

    「大変、急いで戻りましょう」



    ・後ろを向いて離れたらカエルが角笛を吹いた。後ろで狼煙が焚かれていた。そういうことか。いつも見張られていたんだ。

     ヤシの実みたいな大きな玉が飛んできた。地面が抉れる威力だった。吹き飛んだ土をかぶる。
    「チャーリー逃げてっ!」キャスリン
     また玉が飛んできた。身を投じるように避けた、だが、爆風に――
     象頭神の身体が前にある。そこに隠れなさいというようなしぐさで4本あるうちの1本のうで護るようして抱いた。そして、チャールズを抱えて猛然と走りだしたまではいいのだが、短い脚では間に合いそうにない。と、ムシカが片手で像頭神を軽々と持ち上げ掌に乗せて猛然と走りだした。
     だが、小さな水たまりを踏んだときムシカの身体が腰まですっぽり穴に落ちてしまった。衝撃で像頭神は投げだされた。キャスリンの腕が小さな水たまりの池にはまった。素早くムシカとキャスリンは脱出した。カエルの道だ。これは。ムシカは再び2人を担いで駆けだした。

     森に逃げ込んだ。と見せかけて森からはすぐに出た。
     でも追い詰められる。一生懸命逃げる。
     
    なんとか脱出できた。爆発に吹き飛ぶ建物、荒れ狂うサハギンたち。
     苺禾は祈った。産気づいている。はじまっている。でも、まだ、もう少し待ってて……村からはまだ近いの。近すぎるの。
     強烈な陣痛に襲われた。あまりの痛みに悲鳴をあげそうになった。馬から落ちそうになった。命懸けで馬からおりた。もう無理。私には無理。苺禾は泣いた。倒れた木、あそこなら……。
     次の陣痛に悲鳴をあげた。鋼色の液体が流れている。私の召喚獣……。悲鳴をあげながら思いきり力んだ。何度も、何度も。
     喉が乾いた……。疲れた……。苺禾は目を閉じた。





    苺禾を探して村まで戻ってきたが時すでに遅し村は壊滅しようかという真っ只中だった。どのサハギンも血まみれで傷ついていた。グレムリンがトカゲに群がる蟻のようだった。ハルバードの刃靴を履いた巨大蜘蛛がカエルの身体を引き裂いた。
     象頭神はグレムリンの小さな体をなぎはらい、足で潰した。カエルの頭もはねた。カエルが象頭神の気迫に圧されて退散する。
     ムシカは持ち前の機動力を活かした__。

     チャールズが叫んだ。「様子がおかしい……。陽動だ!逃げろ!」と、見せかけだった。空から玉が降ってくる。象頭神が伏せた。「もうやめてくれ!」頭を抱えてチャールズが叫んだ。声が裏返った。ドカンッ――耳鳴り……早鐘を打つ鼓動……生きてはいるものの。キャスリンは?人間に戻って倒れていた。
     ムシカはサハギンを盾に爆撃から逃れた。
     外は生き残ったサハギンとカエルの剣戟の音。カエルが吹っ飛んだ。不思議な音が混ざっている水の玉?召喚獣?苺禾は生き残った。
     昔流行った『セーラームーン』のマーキュリーが繰り出していたような技だった。
     キャスリンはかなりの深手を負った。ムシカはキャスリンを軽々としかし丁重に抱えてシャーマンの小屋へと運んだ。
     ムシカは小屋の守備についた。
     チャールズは慣れた手つきで酒を使って傷口の消毒をして、金属の破片を取り除いて傷口を縫った。聞き馴染みのある音を聞きながら。――……
     
     薬を取りに戻ったシャーマンサハギンがキャスリンの様子をじっと見る。薬品をかけ呪文を唱える。チャールズはシャーマンの腰にさげていたヌンチャクを奪い、振り上げ侵入者の頭に叩きつけた。



    苺禾は目を開けた。馬が居なかった。大切な馬が逃げてしまった。涙が溢れた。村が煙に包まれ、剣戟の音がする。カエルもサハギンもいないようだ。仲間も馬も。帰りたい。死にたくない。カサカサ……
     鋼鉄のハルバードの刃靴を履いた蜘蛛だった。「苺禾……」チャールズが降りた。血と埃まみれだった。「良かった……」彼は私を抱えて蜘蛛の背に乗せた。キャスリンもいた。包帯を巻かれたキャスリン。
     4人はサハギンの村を後にした。
     ・カエルは許さない!サハギンの村は遠くへ。カエルの村は近くへ。

     カエルはせっせと宴の準備をしている。
     壁の穴から覗き見た。
     彼は胸から取りだした小瓶の蓋を開けると井戸に数滴垂らした。
    「この宴に……私たちは招かれることはないが、その宴の__は容易に想像できる」細められたチャールズの目。
    「彼らが築いてきた歴史がまもなく消える。カエルのジュースのレシピも彼らと一緒にね」キャスリンは回復力が早い。

     サハギンの村にカエルの村の地図があった。族長に貰ってもいいかと訪ね、地図と猛毒を貰った。

    「さあ、帰りましょう」



    ・鎖に繋がれた男は奴隷のストーミ。ドリミア族【ブラック・ウィドウ】に捕まった。奴隷商人のオークに売られ、今から輸送車で【カプリコーン】に送られるらしい。
    ――鎖が繋がれた脚を重たそうに引きずって暗闇のなかを歩く――
    ・重たそうには演技。
    ・馬車の荷台にのせられるところで。足業でオークを倒すがセキュリティ魔法が発動して馬車の馬が逃げる。荷台に乗れなかった。警報が鳴るなか必死で逃げる。


    オクラホマミキサー

    疲れた馬たちと重い荷物を積んで
    田舎に下りる道をすすんでた。
    鞭を入れたら先頭の馬が
    はねた
    私は「ドウドウ」といって
    馬をなだめた

    わらの中の七面鳥
    わらの中の七面鳥
    転げてひねって打って
    唸った
    元気出せよ
    わらの中の七面鳥

    ミルクを絞りに行ったけど
    やり方がわからない
    牝牛の変わりにヤギの乳を
    絞ったよ
    サルがわらの上に座って
    彼のお母さんにウィンクしてた

    わらの中の七面鳥
    わらの中の七面鳥
    転げてひねって打って唸った
    元気出せよ
    わらの中の七面鳥

    ――あんなことになっていたら、気がつくわけがないじゃないですか……――


    イボ猪のような牙をむきだして「ペット種族が逃げたぞ!」と緑色の肌をした亜人種が怒鳴った。
     主の声が聞こえた。「パフェちゃん……!!パフェちゃん!」
     逃げた先で野伏のオークに肩を掴まれた。両手をばたばたとかき回して逃れようとしたが駄目だった。
     ぐいとペット種族のソフトクリームアイスのような頭髪を掴み、匂いを嗅いだ。頭髪に口づけを落とし、濁る声で下品に笑った。オークは獣耳の頭をグリグリとなでたので獣耳は頭を激しく振った。

     獣耳には馬の群れが駆ける音が届いていた。まだオークの耳には聞こえていない。王国のストライダーかもしれなかった。
     連中に解らせる必要がある。奴隷貿易は大きな危険を伴うことだと。


     バカバカしい名を呼ばわれるバカをムリにで引きずって主の元に獣耳を帰した野伏のオークは唐突に主の怒りの拳に殴られた。
    「この子の毛並みを見れば、貴様がどのようにパフェちゃんに触れたかわかる!」
    「引きずりおって、最も美しい腰の飾り毛がぐちゃぐちゃに痛んでしまっただろうが!!」
     主はオークの掌にパフェちゃんの毛がついているのを見た。ナイフを掌に突き立てた。

     ストライダーがオークと獣耳の脇を通るので獣耳はいかにもここに問題ありとワンワンミーミー騒いだ。ストライダーは亜人種族のふたりがまさか悪い意味での主と奴隷関係だとは疑いもかけず――ただの仲間割れだと思って通りすぎた。彼らが関心を抱くのはあくまで人間の稀人なのだから。獣耳は遠吠えした。次の巡回は何時間先やら。

     城壁外に穴を掘っており――王国の奴らから『カプリコーンの隠れ家』と呼ばれている。小さな扉の先に小さな部屋が存在するが異次元空間につながる特殊な魔法がかけられている。オーク独自の集落と闇市を王国に気づかれることなく築いていた。合言葉さえ言えればオークのアパートメントハウスに入れる。
     なんでも好き放題できる。入り口の馬小屋にはバイコーンが飼育されている。ここのバイコーンは走らない。ただのペットだ。隣の蜂の巣のような石の建物にオークが何百と住んでいる。
    ・気候変動のない土地
    ・ここにいる稀人はストライダーでも救出できない。

     半獣人のパフェは主の大切な大切な家族(ペット)だ。頭髪、首の飾り毛、腹まわりのしっとりもっちり!薄い毛皮、腰まわりの飾り毛もうたまらない!極上のさわりごこちがもうたまらない!!
     最高の収穫品は彼女だった。オークションにだす訳がない。

     オークの富裕層の多くはオークション会場に集ったが出品者側はあらかじめ商品化された奴隷を調べることができた。檻のなかは半獣人や丸い鉢の中身は人魚。獣耳はおどおどして主のオークを見やった。主は獣耳の頭を愛情たっぷりになでた。

     今日、オーナーは、稀人をいくらで客が買うか?と考えている。
     
    「なんと……!罪深い!」誰かが言った。その言葉が注意をひいた。檻のなかにストライダーがいる。
     九頭身はあろうかという男の顔面は腫れていた。殴る蹴るの暴行をうけたということだ。
     獣耳が稀人の男を指差して鳴き声でミーミークークー騒ぎはじめた。
    「なんだい?パフェちゃん。この男が欲しいのかい?」「こいつが欲しいかかい?」あまりにパフェちゃんがうるさかったし男が激安だったので買った。
     男は憎きストライダーはオークの敵である。月神の息がかかる月宮殿の者など誰であっても手をだしたくない。だが商品に暴力なんてもってのほかだ!超いらねえ買い物だった。会計をすませに男の元へ向かった。
     パフェちゃんは涙を流していたし、出処を考えると知り合いに違いなかった。嫉妬心がわずかゆ芽生えたが片っ方のワンワンミーミークークーで会話が成立するわけないだろう。

    とりあえず男を屋敷に連れて帰り――とはいっても執事も召し使いもいない小さな屋敷だ――パフェちゃんにとっておきのごはんをあげた。
     男には口をゆすがせ、椅子に座らせ、顔を綺麗な布で拭ってやった。
     ジャンク扱いもほどほどにしやがれ、とオークは思った。磨り潰した薬草を顔に塗り、ガーゼをあてがった。口のなかや――パフェちゃんには刺激が強いので退室してもらい――体も余すところなく調べて体の汚れを拭い怪我をみつけしだい治療を施した。
     男にはまだしゃべるなと命令している。
     非の打ち所のない肉体だった。といえど老若男女問わずオークほど筋肉が育ちやすい種族はいない。一度発達したオークの筋肉は衰えないのだ。
     竿のほうは切り落とされてやしなかったか道中心配したが問題なかった。手早く試した機能のほうも問題はない。桶を片づける。

     縄を切ってから贅沢な食事に誘った。
     誘拐された仲間を捜すために浮浪民を演じたのか?とっくに商品化されている。
     席ではオーク社会の説明を男に聞かせた。理解したようだ。

     男は窓の外を見やった。死んだ目が花瓶に生けた薔薇の枝を見ていた。ついでにパフェちゃんの話をした。――パフェちゃんがとても欲しがったために異世界の生花(薔薇というらしい)を買ってあげたんだよ。
     そうしたらなんと花首を切り落としてしまい、切り分けた枝を水瓶に挿しこんだ。どうしてそんな行動をとったのか、俺にはさっぱり理由がわからなかった。だがちゃんと理由があるようでもあった。友人にこの行動を話せば、それはその種を殖やすために必要な行程だという答えが返ってきた。ということで、うまく苗が育ったら、来年の秋に花を咲かせたいので春には窓際に植えたいとストライダーに話を聞かせた。男の口の端はわずかにあがった。

    「パフェちゃーん!」

    「この獣耳はとんがりアイスクリームのようだ……結わいつけた頭髪はクリームの滝……ほら」と言いながら頭髪の滝をさわる。「胸の飾り毛はムースの枕……この腰の豪華な飾り毛を見てくれ……パフェたる由来だ」
    ・訪問者を知らせる鐘。
    「まったく。誰だ!」
    「すまんな。一旦鎖をつけさせてほしい。オレの仲間は、お前が不当な扱いをうけていないと知ればひどく驚くだろうから」
     錬金術師だ。
    「材料に使いたいので、男をぜひ売ってくれないかと」
     主は丁寧に断った。

    「悪い話ではないと思うがね……。実はね、ここだけの話……カーバンクルの合成に成功したんだよ!ストライダーかつ訓練生のそいつと是非マスターテリオンしたくてね!」
    「どうだろう?浮浪民が高額商品になるんだぞ?きっと闘技場関係者は黙ってない」
     一瞬、主は考えてみたが、そんなことを承諾すればパフェちゃんが家出をしてしまう。
    「もう俺の専属の奴隷だから駄目だ」と断った。
     錬金術師は「ンンッ、マジであの場にいなかったことを悔やむ……元々、私がカトラーに拉致依頼していた。んまぁいぃ……代わりの稀人を見つけましょ……」と言ってしぶしぶ帰った。帰り際に主は有意義な情報をくれてやった。別の班が狩に行っていると。
     振り返ると男が感謝を仕草で表した。
    「驚くかもしれないが、あの欲張りな錬金術師は欲しいものはどんな汚い手を使ってでも手にいれる。カーバンクルの材料だってそうやって調達したものだ。」
    「いまはおまえを狙っているのだから、おまえは俺の傍にいなくちゃいけない。自分の身は守れるだろうが、おまえを俺は信用しちゃいないからな。万が一拐われた場合、あの連中からは取り戻せないことはよく知っておいたほうがいい。連中はただ屋敷から逃げたのだと俺を責めるだろうよ」

     主が会合とやらに出席しているあいだ、パフェは壁にくくりつけられたままのストーミーをずっと見ていた。見ているのは不気味な人形だけだ。
    「もしもし?……あなたにお尋ねしたいことがあります。あなたは、最近、小柄で黒髪の稀人の女性を見かけませんでしたか?」
    「…………ワフ」顔を赤らめて見ている。言葉が通じない?照れているようだ。

    主は事前にこう告げていた。
    「いまから俺は、毎夜とやる習慣をやる。」
    「テリオンは子をなし、育てることはできない。それゆえに……」
     壁に鎖で繋がれている男は嫌な顔ひとつせず瞼を閉じている。なんだ。ふたりは知り合いでもなんでもないじゃないか。

     あっという間に5日がすぎた。どういうわけか知らないが男は傷治りが早かった。顔の腫れもひいた。
    「どうだろう?散策にでないか?パフェちゃん」
    ・パフェは鎖を指差す。
    「な、なんだって?」

     鎖を自分で持っていたがいつの間にパフェに奪われた。 
     パフェは自由気ままな散策を男と楽しんだ。林檎を見つめ、男を見た。ストーミは硬貨は持ち合わせがないといい、パフェは林檎を買った。ストーミに噛らせてから齧った。

     男は主とパフェの横で大胆にもチビリ関連の情報収集をはじめた。大体のこの期間に稀人のチビを見ませんでしたか?
     パフェが鎖を強く引っ張った。とにかく引っ張った。
    ・主は滑稽さに笑った。隣にいるパフェちゃんがそのチビリとやらだ。

    「チビリは……誰かが情報を持っているはずです」
     
     主とアイコンタクトして鼻で笑ったあとに「ああ、知ってるとも。ストライダーが王国近辺を巡回しはじめる少しまえ、オークが黒髪の小柄な女を連れてきた。牛獣人が金欲しさに売ったと言っていた。それで、あいつは、その倍の値段で売った――というのも――俺たちが買った」

    「大抵は、マスターテリオンされて商品化されるんだ。半人形、半獣人、そして人魚。富裕層に断トツで人気なのが人魚だ。彼女が美女なら間違いない」「でもそうじゃなかった」
    「半人形は半分機械だよ。年配の方が欲しがる。多少醜さがあっても愛嬌があればいいから。酷なこというけど、それも違った」
    「半獣人も結局は商品化する。だから多少の醜さ、欠点を補うために、見た目の良い獣とマスターテリオンさせるんだ。最悪なのはそういうの。顔の造りが変わってしまう。だから、すれ違っても気づかないし、意図せず声帯がとれちまうことがあるから最悪。意思疏通が難しくなる」
    「あっという間に商品化されてしまったよ」
    「大成功さ」
    「とてもじゃないけど関係者は言えない……気の毒だけど言えない」
    「その代わりに言うけどさ」
    「彼女もそのひとりさ」
    「そおだろ?__さん、彼女は稀人だ」「比較的新しいめのね」
    「そうだ」
    「で、区別のしかたなんだけど、記憶が曖昧かそうじゃないか。テリオンされたら記憶が希薄になるらしい」
    「だから、追うだけ無駄かもしれない。自分がストライダーだったなんて覚えてないと思うね。自分の名前がどう呼ばれていたかとか、最悪、本名すらも忘れるくらいだからね」
     ストーミはパフェをじっと見つめた。パフェは困惑した。
    「テリオンの体のことは、まだ何もわからないことばかりです……」

    ・ストーミはパフェに自分を散歩をさせる。情報収集のため。人の流れを読んでいる。
    ・パフェに疑問符。彼女じゃあ?
    ・チビリが自分を思い出すきっかけとなる情報を入れはじめる。カエルの国が滅んだ話をする。「あなたは……だれ?」ストーミは目を見開いた。


    ・主はロスフィンデルがモルドゥア国の娼婦のために作ったとされるアーティファクトがオークションに出品されると聞いた。ぶっ壊れ性能だと聞いている。
    ・手にいれて早速使う。ぶっ壊れ性能だった。

     嫌なはずです。
    「感想は顔に書いてあるとおりだ。それが答えだ」
     毎夜パフェは甘くクークー喘ぎながら主の胸に沈む。今回は見るに耐えられない。
     ストーミはもう反抗心を抑えなかったし、彼女に動機をつくらせるために一肌脱いだ。彼は嘘は苦手だ。
    「あなたはそれでいいのですか?」
     パフェはうなずいた。
    「ここでの暮らしは彼女にとって名誉なことだと思うがね」
    「ストライダー……元は野伏の集団だろう?おまえは古株だったな」
    「湧水と荒地を彷徨う生物を糧にその日暮らしをしていた稀人拐いが……王国の家畜になる。訳もわからず月宮殿送りされ、毎日何十回と死に、いつか地下迷宮に向かわざるおえぬ罪なき犠牲者を助ける立ち場だったお前が……わけがわからんね」
    「惨めな困窮から切り離されたおまえは裕福な『パフェちゃんのいる暮らし』を否定するが、彼女は喜んでいるぞ!」
    「なぜだかわかるか?」「満足だからだ」
    「おまえはパフェちゃんを底辺の犯罪者どもがうようよいるドブ宮殿に送りたいか!!テリオン族は王国では生きられん!殺してしまうからだ!」
    「まったく、元は月神に反抗する集団が、たった一度の謁見で、番人という名の家畜となれたもんだ!!」
    ・ストーミは打ちのめされる。的を射ている。主は満足した。

    ・おや、なぜあなたは私を……買ったのです?のストーミの問にバカ正直に言った。
    「あなたは、きっとチビリですよ!」「私のことを……おわすれですか?」

    「あなたは、他人の身の不幸の上に立ち、苦悩している者の傍で、__幸せになれると思っています……」
     パフェは面食らい、戸惑ってうつ向いた。
    「あなたたちは汚物そのものです」
     パフェは泣きそうになっている。耳がふにゃっと折れた。
    ――
    「――」ストーミが口を開けた瞬間、パフェがストーミの顔を思い切りひっぱたいた。それから二度も。主が止めていなければもっと彼の頬を叩いたかもしれない。彼女はそれくらいには興奮していた。 
     気持ちは沈み込んだ気分でいる。
     主の手を握りしめ、声帯を奪われて言いたいことも言えない可哀想なパフェ。「おう、かわいそう!!」

    「しかし、その娘とは、一体どんな人物だったんだ?」
    「はっきり申し上げて差し上げます。独り善がりで嫌いです」石を見る目でパフェを見る。
     パフェは精神的損傷を負い地に伏した。目立つ耳がふにゃふなゃになった。「耳のないあたまもかわいい!!」

    ・退屈でない話を盛り込むべき。いまはムリ。

    ・パフェのそのペット散歩中。ストーミに対する扱いが雑になっている。
    「パフェをやめるチャンスがそこにあるのに」
     パフェは自分への愛が無い相手を見つめた。ふたりは長らく見つめあった。ストーミは耳を見ている。
    「じきに……これは終わります。あなたが終わらせると私は信じていますからね」パフェの目は死んだ。耳がふにゃふなゃになってしょげて倒れた。
    ・帰宅後パフェの耳を見た主に散歩を禁止にされた。
    「な、な、なんだってなんだってパフェちゃんを痛めつけるのだ!!」

    「おまえ!ついてこい!」しかし次の瞬間にはストーミを殴りかかった。横ざまに倒れこんだところを蹴りあげた。「フンッ!」
    ・ストーミは舌を噛み血を噴き出した。主はあのアルケミストに売ってしまうぞ!と言った。パフェが駆けつけてきてストーミをミーミー煩く鳴いて、それだけはやめろとかばった。パフェは泣いた。こんな日々は嫌だ!
    ・ストーミはパフェに謝る。パフェの目は死んだまま。耳は倒れたまま。
    ・とびきり甘えなくては救えそうにないと考えていることに気がついた。
    ・パフェは、ストーミの鎖を手に持って肩を打った。主は鞭をチビリに手渡し、ストーミを半裸にさせた。パフェは鞭を打ちつづけた。喘ぎをたっぷりと聞いたパフェは満足したらしい。背中は酷いものだが。
    ・ストーミはぐったりしている。パフェが軟膏を持って様子を見に来る。
    ・軟膏は自分で塗ると言い言葉巧みに掛けられた鎖を外させる。パフェを裏切る。彼女の手を引き逃げる。長い鎖を巻きつけた。

     撲りあいはオークが優位だ。相手を引っ掛けもたつかせるのはストライダーが優位だった。

    ・一度は主に見つかる。ストーミは鎖で主の首を絞める。腕でストーミの首を圧迫する。



    ・キャスリン一行は月読国へ帰還。
    苺禾は、見覚えのある女を見た。トア。ほんとうに彼女だろうか?そんなことは起こり得ないはず。見て見ぬふりをする。
     チャールズにはじめて笑顔を見せる。チャールズは違和感を覚える。苺禾から食事に誘う。
    「オークね、ストライダーの動きをよく観察してる」



    「稀人が手に入ったぜ」
    「よう、予約の品は届いたかね?」
    「ばっちり。こいつでいい?」
     戸口に現れた錬金術師に稀人を売った。
    「受け取ろうかね」「ストーミ君が良かったんだがねぇぇ……」
    「爺さん。カーバンクルとそういうのってマステリすっとどうなんだい?」
    「んん……カーバンクルだなぁ」





    《ストーミ》

    パフェが主の股間を蹴りあげる。
    「ミーミー!」
    「おまえ――?」
    「逃がすかああッっ!!」怒りに顔がどす黒くなっている。
     ストーミは風のように走った。ずっと情報を収集していた。人の流れをずっと見てきたから出入り口がわかる。
     裏切りの鐘が鳴りはじめた。
    ・ストーミは武器を持った相手から武器を奪うのが得意。
    ・カプリコーンの隠れ家を出るまで巧みに隠れながら逃げる。チビリは惚れた。時間差を作った。諦めて戻るまで使われない部屋でじっと待つことにした。ストーミが選んだ場所。チビリの鼻や耳も役に立った。
    ・ストーミの『…嫌ですよ』が頭から離れない。手錠を切らなくては。とりあえず手錠をなんとかする。
    ・軟膏を渡す。ストーミは自分で塗る。パフェが『嫌ですよ』と発音した。
    気のせいか?犬の『ごはん』レベルだ。


    《トア》 
    気のせいか頭上から『パカラパカラ』と馬が駆ける音が聞こえる。
    馬の蹄の音が聞こえてくる。
    「……ストライダーか?」
     後ろから『パカラ……』――聞こえる。肩越しに振り返ると稀人がはいっている水槽を見つめる黒い馬がいた。
     どうしてなかに。壁に穴など空いていないし扉だって全部閉めてある。
    「……ふふ、こいつはぁ……まさかぁ……」
     カーバンクルが入っている水槽にコシュタ・バワーが転移する。
    「――亡霊馬」ずりずり後退り
     闇の馬がカーバンクルを『カウシュッ!――コクン!』とひと飲みした。
    「おっくっ、あれは……いけないな」脱兎のごとく物陰に隠れ――熱風の嵐が襲った。
     錬金合成事故による爆発事故が起きたのだった。
     
     喘ぎながら這いでた彼が見たものは

    ――誕生。ケンタウロス型コシュタ・バワー
     馬耳。オーロラ花珠に輝く頭髪がふわりとひろがる。馬体の漆黒の毛並み。純白の肌。青白い目を縁取る純白の虹色光沢の睫毛。オーロラ花珠のように。尾は闇の焔を灯した。

    「くっ…………ククククククククキャキャキャキャッ」「まさかねぇ……まさかねぇ……そういう……」
    「キキキキクキャキャキャキャ」
     彼は戸口まで駆けて行き扉を勢いよく開け放った。
    「そら行け!!あっけなく捕まるんじゃないぞ?」闇の馬は、逃げた。彼は扉を閉め錠をかけた。手に終えないと判断した。殺人馬なんか誰も欲しがらない。バイコーンが良い例だ。



    《ストライダー》

    ビリー一行は、突然の爆音に驚いて縮こまった。
    「なにがある」馬を__させ、王国へ馬を走らせた。


    ・ビリーはストーミを見つける。オークたちに追われている。オークを馬で蹴散らす。
    「何があった!?その顔……!」ビリーが言った。
    ・ストーミが嬉しそうににやけてアイスを見る。
    「その人は一体、誰だ?」アイス
    「アイス……!まったくっ」怒りがまざった返事だった。「チビリですよ!」
    ・ビリーと仲間は驚いた。まじまじとチビリを見た。
    ・一行は爆発現場、月読国へ駆け込む。


     先に到着していた衛兵が包囲している。マスターテリオン製造元だ。テリオンは死罪だ。
     衛兵を蹴散らして研究所から脱出した人馬一体のテリオンは段々畑の森のほうへ駆け込んだ。
     

     錬金術師は立てこもり、とっておきの獣と自分をマスターテリオンした。
    「……目覚めたまえ!」地下の水槽に横たわる巨大な怪物。

     怪物が地面を盛り上げながら這い上がった。衛兵が吹き飛ばされた。
    「ハッ、アァッ……いったいこいつはなんだ!?」
    ・ストーミはチビリを安全な場所に避難させる。浮浪児の男に預ける。
    ・「仲間が命を懸けて戦っている。私も行きます!あなたはここにの――」パフェはストーミの腰を後ろから掴んで抱きついた。「……チビリ!」
    「ミーッ!!」
    「いきます」


    誰かが「ビリー!!」と叫んだ。怪物は尾を鞭のようにしならせてビリーを強打しようとした。巻き起こる風に体が持っていかれたし、尻尾の通りすぎる音に鼓膜が破けそうになった。

     ビリーは今一度怪物の全貌を見た。「恐竜か」二手歩行の恐竜の体、首の付け根から肩口にある腕は昆虫の脚を連想させた。尾は異様に長く太かった。
    「皮膚が硬い……」と最初にアイスが言い、ビリーが続けた「硬いってもんじゃない。あれは……静穏の犬のものだ」嘘だろ……と仲間が呟いた。
     奴の皮膚に剣を突き立たいなら一切の音の鳴らない武器である必要がある。だが、奴をがんじがらめにして静かに剣を突き立てればいいだけの話でもあった。
     しかしこの怪物はそうもいかない。
    「魔法使いじゃねえとだめだ」仲間が言った。その通りだ。とビリーは思ったが、どうやら魔法使いを見たうえでの発言のようだ。

     衛兵の魔法使いは重力魔法を唱えた。怪物の手は地面にくっついてあげられなくなる。動きは止まりかけた。
     ビリーが口パクで怒鳴った。『いけっ!』ストライダーはできるだけ音を立てずに向かう。

     事情をまだ知らない狩猟月神の使者が弓を放つ。
     芋虫月神の使者は続けて氷の槍を投げたが皮膚に刺さることはなかった。
    「なんということでしょう」狩猟月神の使者が口走った。月宮殿の訓練生が関与しているので、月神の使者数人が騒ぎをおさめにきている。

    ・現場に月宮殿の華である雪月神、男鹿月の使者が駆けつける。
     物理系の男鹿月神、雪月神、狼月神は大股で駆けていったが急に立ち止まった。
     怪物が転がろうと構え、実際に転がってくるのだ。死んでは戦えぬ!
     ストライダーが一斉に怪物が転がり終える頃合いを狙って駆け出した。怪物の体を固定するために。
     横から翔んできたストーミが首筋を斬りつけたはずだった。「!?」全く手応えがな――
    ・また転がる。
    「くそっ気転がきく奴だ!」仲間が言った。

     まな板の魚にしたかった。
     仲間をエイの丸口で呑みこみ喉の擂り鉢で砕いた。その音に仲間がびびった。無理もない。


    「お前……博士なのか!」パフェの主は言った。博士の咆哮。

     怪物は肩口の腕の手で瓦礫を掴むと投擲の要領で使者たちに向けて投げた。投げられた木材は壁に容易く刺さったほどだ。
     花月神の使者の腹を圧迫する瓦礫を、芋虫月神の使者が取り除ければと必死になって持ち上げていた。



    ・オークの主は見つけたパフェを抱きあげてストライダーから避難する。浮浪人は見て見ぬふりをする。


    ・動きを封じるためにストライダーは網を張り巡らせた。
    ・街は大混乱。国外へ逃げる人びと。
    ・チャールズは苺禾と食事中だったが、瓦礫がこちらまで吹き飛んできたのを見て固まった。
    「いったい、いつまでうかがっているの?」苺禾は飾りに持っていたカップを捨て割って、立ち上がった。チャールズの腕を掴んで言った。「逃げましょう」


    ・狼月の使者やら怪物の肩口に掴まってズッチャズッチャ刺している。おそらく筋肉繊維や神経を切ろうとしている。
    ・オーバードラゴンは翼竜のような膜を拡げた。何十回も羽ばたいて体が宙に上がりはじめた。
    ・ストーミは怪物の頭皮を一気に剥いだ。頭皮にむかって断頭台を叩き込む。顎に短剣を突き刺し皮のめくれた頭をまた登る。
    「ストーミ!!降りろ!!」ビリーが叫んだ。アイスが鋭いため息をついた。
    ・苺月神の使者が召喚獣をだす。巨大な鳥の召喚獣とマスターテリオンの怪物の上空バトルが始まる。火の鳥らしい。お互い火属性。ストーミを巻き込む。


    ・チビはパフェを見つける。毛むくじゃらのでっかいチビが主の顔面に噛みついた。骨が砕ける音がした。
    ・小さな毛むくじゃらの獣がパフェのもとへ駆け寄る。チビだ。
    『クンクン!あなたはチビリだ!』
    『みんな待ってたよ!君が帰る日を!!』
    『みんなはこっちだよ。はやく!』


    ・衛兵が生き残りのオークから情報を得る。情報共有する。
    「『レプラコーンの隠れ家』それは立派な孤高国家に違いない、な?」アイス
    ・チビがチビリを連れて来る様子をビリーが見る。チビリは口が聞けない。ストーミは奔放すぎる。

    レプラコーンの隠れ家には大勢の調査が入った。
    奴隷商人やオークの親方たちは厳しい処罰を受けた。奴隷貿易や奴隷制度は廃止になった。
    ⚠️その様子を書け
     奴隷貿易を生業としていた彼らは糧を失ったも同然だった。ここはどうなるのだろう。
     彼らの故郷オーク山脈は、希少な金属オリハルコンの鉱床を有している。ここにいては入手は困難で、彼らは月宮殿にいる人びとのために働かない。

     一部は農業を営むが、自分たちの食べるぶんしかない。貯えには限りがあり、切り捨てる者たちの名をあげ列ねる親方もいたほどだった。支給しないと宣言したのだ。⚠️その様子を書け
     食物庫の争奪戦がこのときにははじまっていた。武器倉庫も荒らされた。

     月宮殿の地下牢にはオークの罪人で満員と聞いた。
    ⚠️その様子を書け
     これから『カプリコーンの隠れ家』オーク族は王国に支配されると、ほとんどのオークは理解した。




    《トア》
    喪われた記憶の断片を探っている。『走馬灯』を見た。影の塔、ヘイル、光に包まれたときに腕を掴まれた。引っ張られて、黒髪の女神を見た。
    自分はまた月宮殿に行かなくてはいけない。


    ・上からなにか巨大なものが墜ちてくる。巨大鳥の召喚獣
    ・マスターテリオン騒動中、ストーミは怪物竜の背中に騎乗したまま怪物の気が赴くままに遥か遠方へ来てしまった。「お前はきっと、文明が恋しくなりますよ」ストーミは戒律国サングドールを眺めた。
    「エスリマ大平原、西部大砂漠、西部山脈、荒野――ですか」更に西には海だ。海を航られたら帰宅は困難を極めるだろう。

    ・ジャングルの上空にて飛翔する小鬼の強襲。悪魔の顔をしているグレムリンだった。小鬼は怪物に集り囓ったりした。怪物は体を何回転もさせ集るグレムリンを振り落とすついでに小うるさい男を大地に落とした。
    ・ストーミはグレムリンの足を掴んだ。小鬼は彼の腕を引っ掻き噛みつこうとしたので彼は小鬼の首も掴む必要があった。怪物とは二度と会うことはなかった。
    ・密林の中に下降したグレムリンはようやく解放されると脱兎の如く空へ逃げていった。太陽の光を浴び続けひりひりするが、暗くて湿気でじめじめしているので有り難くない。太古の記憶を呼び覚ます。ストーミのマスターはこういった暗くて湿気でじめじめしている場所で体を汚すのが好きだった。ストーミはあまり長居したくはない。
    ・妙な石像を見かける。

    ・妙な石像を越えた先に綺麗な街の廃墟がある。
    ・そこの墓地にはウィルムという名の蛇竜がいた。
    ・我が国の盾を我の元へ持ち帰るなら、お前を親である月の代わりに月読国へ還してやろう。

    「あのような力を秘めた逸品を野放しにはできぬ。我の元で厳格に管理されるべきであろう」

    ・ストーミは盾を求めてジャングルへ向かう。石の化け物と出会う。石像が甦り自分はイシトクだと名乗った。カラルタンの街は埋もれており、城は塔を残して地下に埋まっているという。
    ・中ではガーゴイルが蔓延っている。
    ・部屋でお香が焚かれた。元々意思を持たないポーンであるため意思を乗っとる敵には非常に弱い。意図も容易く惑わされ意識が保てなくなる種族。ストーミにはマスターの意思が少々移っているので抗える。
    ・彼女の口から告げられた。ガーゴイル病が両国を滅ぼした。なぜ流行したのか。愛する人を魔物にする魔女の呪いで私は人々を叫びで石化させる怪物になった。神々の遊びに巻き込まれた。戦神と魔女……。
    ・姫の口から嬌声。恐がらないで。私の僕になれば中までは固まらない。
    ・ストーミは抗う。
    ・盾を見つけたとき、化け物が激怒した。敵対する。討伐をする。
    ・ウィルムの元へ帰る。

    竜は言った。愛する者の骨は地に還った。もはや星である。我の役目は果たされた。それは契りの盾だ。それを持つ者は何人にも支配されぬ。
    「『神託の女神ラデラ』の祈りで編まれ、ロスフィンデルに鍛えられた盾なのだから」

    ・約束は果たされたが、ストーミの腕はガーゴイル病にかかっていた。
    私は、鍛治部屋にこもって、ジェリーのために、時計旋盤の部品をちまちまと造ってる。
     ジェリーが使ってた時計旋盤は、スイスのBERGEON製。本人から直接、聞いた。鋼材から部品の作成が可能な時計部品専用の旋盤ね。
     ほら、__がじゃらじゃら、こんなにいっぱい。
     この付属品の数によって、作成できる部品の種類が違ってくる。この付属品だけで、新車が一台購入できる。知らなかったでしょ。

     ジェリーは独立時計師みたいなものよ。独立時計師とはその名の通り、メーカーに属さず、個として独立しながら時計師として働く『機械式時計製作の天才』と呼ばれる人々のことを指すの。

     独立時計師のなかには個人でありながら『完全マニュファクチュール』メーカーとして活躍するヤツもいる。ムーブメントからケース、文字盤に至るまで自社一貫生産を行っているメーカーをマニュファクチュールと呼ぶけど、これは世界でもそう多くはない。大半のメーカーはムーブメントにETA製などの汎用ムーブメントを使い、それ以外の部分を製造してる。
     マニュファクチュールメーカーの中にはムーブメント製造で一番難しい『ヒゲゼンマイ』の製造も行っている『完全マニュファクチュール』という技術力に優れたブランドもあるわね。これは日本のセイコー、ドイツのランゲ&ゾーネといった超一流メーカーのみに見受けられる特徴よ。

     さて、驚くべきことに独立時計師の中にはこの『完全マニュファクチュール』を個人で完結するヤツすら存在する。ムーブメント、ケース、針、文字盤はもちろん、ムーブメント内のネジまでも一から作り上げてしまう。
     でも、残念。ジェリーは『ヒゲゼンマイ』『トゥールビヨン』、そして時計旋盤は造れない。私は『最高の設備』さえあれば『ヒゲゼンマイ』さえ造れる側にいる。その気になれば私個人の力で一貫生産できちゃうわけ。
     
     それから、もうひとつの課題。複雑機構のなかでも最も作るのが難しいといわれる『トゥールビヨン』
     機械式時計は、その原動力となるゼンマイを巻くと時計内部にある振り子が動きだし、その振り子の揺れによって時を刻んでいく。振り子はその向きや重力によって、時間が経つごとに精度にズレが生じる。『トゥールビヨン』は振り子を狂わせないようにするために考えだされたの。
     時計内部にある振り子自体を一定速度で回せば、どんなに向きが変わったり、重力が一定方向にかかったりしても平均化されるから時間のズレが生じない。でも、時計自体を常に回しておくわけにはいかないから、振り子が入っている部分だけを1分間に1回転させるのがトゥールビヨンという仕組み。
     このトゥールビヨンを作るだけでも100個以上の部品を必要とするし、それを組み立て上げるのは独立時計師でも数えるほど。
     独立時計師が作る時計は、その一本一本が手作りで、時計を構成する部品から作ったり、その部品を作る機械までも一から作成したりする時計師も存在するほど。
     そんな独立時計師が作る時計は世界に一本しかない完全オリジナルで、時計作りの工程のすべてを一人で行うため、一本の腕時計を作るのに一年かかるなんていうことはザラな話。ね、ジェリー。

     さて、ジェリーみたいな独立時計師が旋盤を使用して作成する代表的な部品が、『天芯』ね。比較用に置いた定規の目盛りが0.5mm、長さは3mm前後。
     天芯は振り子の役割を果たすテンプという部品の中心に取り付けられ、製造誤差は1/50mm以内という、精度を司る上で大変重要な部品。
     時計旋盤に材料となる鋼材をセットして、回転させながらバイトと呼ばれる刃物で鋼材を削ってゆく。私が作っても良かったけど。私には秘密を明かしてくれない。


    彼らは2日前に、この月宮殿で騒動を巻き起こした。城の兵士に付き添われてサハギン族長が現れた。彼はカエルの里を毒で汚染したそうね。ジェリーの仕業。間違いない。サハギン族長はブラックウォーターに伝わるお礼の品を置いていった。彼は背徳者になる5日目に還った。
     窓を見る。日がだいぶ傾いてきた。……ふん、ジェリーは時間に正確な男。時間に縛られているの。その男の時計制作には、私が必要不可欠で、これを受け取りに必ず私の元に戻ってくる。だから、リラ、安心していい。


    ・相変わらず整理整頓された月の部屋。
    ・訓練所には今日は行かなかった。
    ・街では『マスターテリオン』によるケンタウロスのひと騒動が起きた。自分たちは疲れていたので関わらなかった。
    ・ヘイルと苺禾には距離がある。今回はヘイルのほうが嫌がっている。彼は、旅の仲間と別れ、ミアに挨拶をしたあと足早に去った。最近の彼は孤独だ。誰ともつるまない。アレックスともつるまない。

    ・芋虫月神の使者が足早に通り抜ける。
    ・ミアは暇をもて余し暇だった。そうしたいから芋虫月神の使者の後ろをこっそりついていくことにした。
    ・人集りができていた。

    この湖のことをどう説明すればいいのかしら。極めて浅い……底、無し、沼かな。いえ、やっぱり、グランド……でもないのかな……。
     その、浅い湖で沼?に脚をとられているのは、トレンドになったテリオン。
     うわ、土の手――皮膚が割れてる――に全部の脚が掴まってる!かわいそう!!
     盗賊たちが囲んでいるので、私は一歩ずつ慎重に歩を進めた。そう努めるのには理由があって。破局したばかりの月男とは接触したくないと思っているから。花月神の使者が盗賊の生垣を制している。

     初めは、闇の馬を疑ったわ。けれど、あの子は夜空の色をしていて、この子の毛色のような漆黒じゃなかった。それに、あの子が悪魔合体の材料に使われるはずがないじゃないの。強いんだから。
     土の手から逃げようと身悶えていた。酷く怯えてる。芋虫月神の使者がなだめる。童貞が彼女の尻を指差して軽口をたたいて花月神の使者に拳骨で頭を叩かれた。
     彼女はますます抵抗する。
     芋虫月神の使者が呪文を唱え、グラウンドに静寂が戻った。人馬はぐったりしている。ふたりの月神の使者はケンタウロスを連れ添って何処かへ歩いていった。
     



    「アレックス、ジェリーいる?」ノックもせずに扉を開けた。
    「んぅ……いや、ここにはいない」
     ジェリーは部屋にこもって製図を描いているに違いない。だって、そうよ。時計製作に逃げるはずだもの。
    「やっぱり、最初の性格に戻った」この一言がアレックスを怒らせた。「__」

    「いるでしょ?これ」包みを抱え上げた。
    「そこのテーブルへ置いて」チャールズは気持ちのなかでかぶりを振った。
    「……帰ってくれないかな」
    「最新のトレンド知ってる?」ジェリーは絵を見つめたまま首を振る。
    「そう……じゃぁ」私は踵を返して部屋をでた。
     ジェリーの耳を澄ます気配がする。扉越しに包みを開封する音が聞こえた。ケースを開けて、息を呑む気配。私は満面の笑みとはいかないけど、口元を緩めて頬の筋肉をほぐした。



     
     ミアよ。私は暇をもて余してるわ。『トマト』はいまどこにいてなにをしてるかしら?遊び相手にちょうどいいのよね。さっきまで『__の井戸』に棲むと云われているしもべ妖精に3人でちょっかいをだした。新鮮な噂を持ち込む妖精なの。噂を盗むってやつ。
     ジョリー・トーマは雑学に強くって、大抵のことならなんでも知ってる。トリーのほうは、見た目ツンツンしてるけど、中身は割りとオープンなの。
     ああ、いないわね……。退屈しのぎにチャールズと思ったけれど、今はだめ。けれど歩は彼の『月』部屋に進んでいた。
    「アレックス?」
    「ね、チャールズどこにいるか知ってる?」

    ・部屋は無人。テーブルの上に大陸の地図が広げられてある。ヘイルは売店で軽食を買って戻った。「見ているだけで心躍るだろ。……ならない?特に人形が動く『オートマタ』機構を採用したそれは衝撃的だった」
    「時計かあー……」ミア
    「それで?」ヘイル
    「退屈よ。ねえ、世界のお話を聞かせてほしいの」ミア
    「不可能に挑んでいる間は退屈のしようがない」不可能は不死身と同じ魅力があるみたい。ヘイルは軽食を食べる準備をする。

    「ね、最新のトレンド知ってる?」
    「知らないな」
    ・マスターテリオンの話と月宮殿の訓練生になったことを話す。
    「コシュタ・バワーを見てない?どこかに行って帰ってこないの。見物やぐらにはいなかったわ」

    「いつものことながら盗賊が囁いた。井戸の妖精にも訊ねた。どうしても秘密を知りたくなったのよ。彼女のクラスは芋虫月よ?これって、本当に彼女が息を吹き返したのだと思って間違いないわ。そう信じて、こっそり後ろをついていったわ。彼女は人垣に囲まれていて、土の手に四肢を掴まれて必死にもがいてた。トアとは似ても似つかないお顔だちなのだけど」
     
    「けどね、コシュタ・バワーかもしれないじゃない」

    「じゃあ、ふたりが合体したのかもしれない。そんなのはもう、コシュタ・バワーでもトアでもない」
    「そうよね……以前の彼女とはまったくの別人。風の妖精の囁きを聞いたの。」

    「珈琲淹れてくる」



    ・レプラコーンの隠れ家には大勢の調査が入った。奴隷商人や親方たちは厳しい処罰を受けた。奴隷貿易や奴隷制度は廃止になる。
    ・これから王国に支配されるとオークは理解した。
    ・奴隷貿易を生業としていた彼らは糧を失う。彼らの故郷オーク山脈へは長い道程だった。希少な金属オリハルコンの鉱床を有している。ここにいては入手は困難だし、彼らは月宮殿にいる人びとのために働かない。
    ・一部は農業を営むが、自分たちの食べるぶんしかない。貯えには限りがあり、親方は、公の場で切り捨てる者たちの名をあげ列ねる。
    ・支給しないと宣言した区画は荒らされた。食物庫潰しや争奪戦がこのときにははじまっていた。武器倉庫も荒らされる。
    ・兵団は鎮圧の失敗を重ねた。疲弊しぼろぼろになる。

    ・月宮殿の地下牢にはオークの罪人で満員と聞いている。
    ・カプリコーンの隠れ家の物価格は改変され、王国の税が課せられる。
    ・今回の『マスターテリオン』騒動では月読国の民衆をたいへん驚かせ、多大な被害を被った民もいる。オーク族に対するにくしみが強まった。
     そうして王国から脱したオーク族はカプリコーンにやってくるが食事をするには狩に外へでなければならなかった。
    ・ここでの暴動騒動は必然だ。王国はわずかな兵隊を送ったが、鎮圧に失敗し逃げ帰った。親方たちは妙な自信をつけた。
    「せいぜい攻勢を楽しむことだな」
     好都合なのか、ここがストライダーの活動拠点になるが日夜騒動が絶えなかった。
    「ここじゃあ丁寧な議論ができない」アイスは声を張り上げ、言った。ビリーとは視線を合わせたままだった。
     カプリコーンの隠れ家に着くと唯一の出入口から通路に入り込み、__。
     オークの扉に着くと馬を止め、おりた。
    『オークは約束を守らない』と始終盛んに憤慨していたアイスが言った。「ここに入ったら、俺たちは終わりだ」
    「俺もあの中に入りたくない」と下っ端が言った。
    『』ビリーは弱音を吐かない。
    ・中に入る。憎しみがこもった視線をあびる。罵声を浴び抵抗が伝わってくる。一行はチビリが住んでいた屋敷へ。


    「ここに来る途中にも窓に石が投げつけられた。さっき着いてからも石が投げ込まれたと聞かされた。ったく」下っ端
    「俺は__の近くで警戒する」仲間が言った。「立て直す妙案があるのかな」
    「ないだろうな」下っ端
    「連中はいかなる将来展望を描いているのやら」
    「首尾よく__が産業化して連中が金を稼ぎだせるようになるのがいい……」「じゃないと月宮殿の留置場以上の事が起こる……はぁ、はじまってる……」

    ・チビリはビリーに力任せの行使だけは絶対にだめだと伝えたいがミーミークークーで伝わらない。ビリーは「ああ」とか相槌をうったりした。

    「んでもあいつに一番に恋い焦がれてんのは俺だ。あいつの手を口を胸を借りたい」
    「そのうちひょっこり顔をだす」
    「……おっと。受け取ってほしい。ボウガン」
    「指南役は手配した」そう言って足早に部屋からでていった。
    ・女と一緒にいるところを人に見られたくない。必ず弱味を握られるからな。だから皆娼婦ですませている。




    警戒の鐘が鳴り響いてビリーたちは目が覚めた。
     食物庫のひとつが燃えているとのことだ。
     ビリー率いるストライダーが鎮圧に向かった。
    「おい、ひどい騒ぎだ」駆け戻った仲間が言った。
     ビリーは頻繁に勃発するオーク同士の喧嘩に疲弊しているに違いないが疲れた顔など見せなかった。



    「充分じゃない!」
    「『パール・デュ・フー』だ!」
    「建物を引き倒せ!!」
    ・消化消火不十分……


     オークの年長者が言った。
     
    「おまんとこの娘、__といったっけ」
     愛娘は鉱石キャンドル作成にはまっており。完成品が家の至るところに飾ってある。勝手に火災の火種にされて腹を立てた。『俺の愛娘を侮辱するな!』

     ビリーは、火種について議論している最中なのにも関わらず、他所のオークから課税のことで言い寄られた。そちらの抗議は耳に入れず仲裁に意識を集中させていた。
    「あの裏切り者の首を取りたいんだ!」と年長者は叫ぶように言った。
     ビリーは「それは駄目だ」と答えるしかなかった。

    「いいか、ズ・マフ!!その剣はアダマンタイトを使った長剣だ!!」
    「この土地を入手するために手放した。家宝の長剣!」「それをどういうわけか、いまお前が腰に提げている!!」
     まえも聞いたが、今回も話す気はないらしく詳細は不明だ。血の臭いがぷんぷんする。
     アイスが吐いた。「くそ、ビリー、こいつらのなかじゃまだ権力崩壊は起きてねぇんだ!」

     ズ・マフが「いま力を失えば、領土を失う!!」
    「ア・ン・バフリは主権を放棄した。こいつは国防を破棄したってよ。そうなればここはもう俺たちの国じゃねぇ。だから俺が守った!」
    「武装だってする」「おまえたちを犠牲にできないからだ!」
    「主権を王国に譲りわたすなんてできない」


     最悪なことばかりだが、ビリーにとって救いだったのはオーク族もまた正々堂々と戦うことを好んだことだった。ただし、裁判は大嫌いで決闘裁判を好んだ。年長者も望んだが、ビリーはそれを許さなかった。


     しかし、火を放ったヤツはストライダーを挑発した。
    「俺たちは山脈の子だ。オーク山脈の神は黙っちゃねぇだろう。勝手に割り込みやがった月の子よ、裁きを下すのは俺だと。この空を見ろ。色も形も天候魔法で操ってんだ。月神はここじゃ盲目。お前らは赤子も同然。何が起こってもべそをかく」
    「戦うことが誇りの子」
     アイスが食って掛かった。「俺たちの犠牲の精神を利用しておいても?切り札だったんだろ?」


     ストライダーの一人が近づいてきてビリーに告げた。「向こうで騒ぎが……深刻だ」
     ビリーはため息をつくしかなかった。
    「俺が引き継ぐ」アイスが言った。ビリーは眉を潜めて一瞬だけ迷った。
    「」
    「ここじゃあ、消防業務は御宅のお仲間が担ってる?その自治単位の__ってどのくらいあるのかな?」

    「火災予防の実践、夜警を」
    「そっちのコミューンで組織してくれないかな?適当な住民から微用(ちょうょう)して夜警、火災予防の任に当てさせればいい」
    「界隈の一つを担当させろ」
    「義務付けるんだ」
    「俺たちが、得られるのは安全だけか」
    「金もだ。だが、金があれば税を支払える」

    「玄関前には水を満たした桶を置くように」
    「いままで警戒しなかった?それはおかしいな」
    「火はシャーマンが消すからな、いまは月宮殿の牢獄にいる」
    「あぁ……」





    「愛されたい__になりたいなら?まずは__に手をださないことだろう」
    「フガッ……その言葉を自分に投げかけろ」

     ストライダーとオークの間で喧嘩。
     王国が指定した物価格と課税におおいに不満があり、オークどもの怒りの矛先が現地のストライダーに向けられたのだった。

     ビリーが仲裁している。頑固揃いのオークの(新しい)親方に挑み、制圧しようと努力する。
     ビリーはオークたちの暴力を抑え、仲間を護るために必死だった。その姿は正々堂々としていた。
     
    ――力を証明しなければいけない――という圧力がビリーにのしかかる。――自分の価値や存在を



    「罰金が課せられるが?」
    アイスがビリーに言った。いまはオークのコミューンに頼っているが、じきに奴らは使えなくなる。素直に王国から__するべきだし、できればだけど、シャーマンを返して欲しい。
    「最低で二百人は欲しい。いんや、三百人……いんや、シャーマン二十人」
    「もちろん、__。使いは送ってある。王国へは足の速いものを」
    「いくらだ?」「数は大事だ、戦争になる」


     オークがストライダーに言った。「適応能力等の不足から、その改善が望まれる!」
    「は……つけ上がりやがって」アイス
    ・ビリーはその言葉が反復する――適応能力の不足――


    「衛兵の設置や消火用具の維持管理」

    ・王国から追加の衛兵が到着する。
     大きな屋敷がストライダーの拠点。大事なことを自分に報告しない兵団に苛つく。ビリーは義理人情や筋を通すこと、正義を貫くことに熱くなる。




     次の最高権力者の最有力候補のオークが食事に会食に誘う。ビリーたちは快く応じる。オークの娼婦がビリーを囲む。ビリーは断る。
    ・ビリーはマウンティング被害にあった。



    チビリは湯の入った桶を持って仲間の肩や背中をマッサージするように拭っていた。アイスが断った。ビリーは避けるようにしてこじんまりとした部屋に座った。


    「あなたは群れの中心にいてください。皆、あなたを疑いはじめますよ」と言いたがったがミーミークークーで伝わるわけない。が、ビリーは「うん」と言った。「……ありがとう」
     熱い湯のなかにタオルを浸し、よく搾るとそれをビリーの肩や背中にあてた。何度も。
     ビリーの心拍数が上がっている。彼の手があがった。「もういい。……ありがとう」
     チビリが桶を片付けに行ったのを見て、ビリーは静かに喘いだ。
     火事を知らせる鐘が鳴っている。
     ビリーは向かったが仲間に押さえつけられた。
    「俺たちが対処します」「そうだ。あなたはベッドで休んでください!」

    「酒をくれ」――俺は、大丈夫だ。俺は……まだいける――
    ・ビリーが頭に酒をかぶるところをアイスが見る。

    「行かないのか」ビリー
    「やめとく。オーバーワークだ」アイス

    「ウィリアム君。俺は、あんたとは腹を割って話がしたいんだ。どうか、俺には正直に答えてくれ」
    ・ビリーはストーミを唆した。
    「彼女を好いてんのはキミのほうじゃない?」
    「俺が?……どうしてそう思う?」
    「はは……、認めんのか。まぁ、いいや……」
    「お前こそ、ストーミとはどんな関係なんだ」
    「……あいつはおまえが消えた日、ひどく取り乱していたぞ。赤子が死んだとわかったときよりもな」
    「そりゃあ、俺の秘密を知ったら?きっとお前さんは、あいつの忠誠心に感服する。絶対」
    「おっと、やめてくれ。それ以上はなんも聞きたくない。ビリー、悪かったよ」


    待て、松明が見える。

     ストーミの屋敷を燃やそうとした輩を捕らえ広場に連れていく。
     裁判官はオーク族で同胞の完全な味方。証拠不十分で無罪!。決闘裁判を薦められたが断った。腹のわたが煮えくり返っている。

    「燃えていたんだぞ」ストライダーたちが大反発。
    「奴らのやり方でやらないと」アイスが言った。
    「でも、誰かが……」
     ビリーは、正義を貫くことに熱をあげる質だ。
    「絶対に駄目だ。ビリー。」
    ――俺は……まだ大丈夫かもしれない。俺は信じたかった
     仲間がぼうっとしているビリーを見た。「ビリー……」
     ズ・マフが言った。「兄さん。力ってもんはな、皆があると思ったヤツんとこに宿るんだ」
     アイスが黙っちゃなかった。「だから?」
    「アイス、やめろ」
     ビリーは頭がくらくらした。
    ・ビリーが倒れそうになったのを見かねた追加兵団兵長がかばった。こちらは眠れないのだと。



    「クークー……」
    「眠れないんだ……」ビリーはチビリの背中に腕をまわして額を軽く抑えた。それを途中でやめた。
     チビリはビリーの肩に寄りかかった。彼はチビリの頭を撫で、チビリは彼の逞しい二の腕を擦った。
     チビリが立ち上がってビリーの腕を引っ張った。

     いい具合に軋むベッドの端に座った。ミーミークークー。

     ビリーはチビリの頬や首筋にキスをしたあと腰を掴んで肩を甘噛みした。

     部下が唐突に部屋に入ってきた。「ビリー!……オッ――」
    「なんだ?」「いえっ、大したことではないので」
    「言え。些細な情報でも耳にいれておきたい」
     ビリーは現場に向かった。

     チビリベッドの端に座って彼を待つ。
    ビリーが怒ってベルトを投げ捨て、身を投げるようにベッドに入ると、しばらく動かなかった。チビリはビリーの腕を撫でた。
    「気に入らない」
     ビリーは話さなかった。
     ビリーはズボンを荒々しく脱いだ。
     チビリは中途半端にズボンが脱げかかってるビリーの脚に腕を置いて愛撫した。彼の下衣の上に腰を落としてなかのものを刺激した。
     擦りつけていいく。ビリーはチビリの次第に__していく顔を見ていた。彼はチビリのしりを持ち上げて中に自分のものを入れた。チビリは「キュアッ」と小さな悲鳴をあげた。


    「巣をまるごと焼きたい」
    「その暴君は別の誰か……」



     アイスは書類を書いてる。無料じゃなきゃだめなんだ。
    「救出任務は有料だとさ。俺はな、奴がわざと放火したんじゃないのかと疑いはじめてるところだ」アイスがぼやいた。
    「この世界じゃあ、火元は魔法で消すのがあたりまえだからな……」
    「だのに連中……職人意識の欠如だとか言って責めてくる……」
    「シャーマンを釈放しろ」と国に言ってるのに黙りだ。
    ・鐘が鳴る。
    「ほらぁ、まただ。また!喧嘩のはじまり!」パチパチ


    「いったい、どうなってる!」アイス
    ・ストライダーの屋敷で騒ぎ。オークが押し寄せてくる。
    「お前は言った。俺たちに暮らしの伝統を残さなくちゃいけねぇって」オーク
     アイスがため息をついた。肺から空気がすべて抜けたほどの。
    「……よかった。もうあんたらに気を配る必要がなくなって」アイス
    「悪かったと思ったよ?誤った理論を押しつけたりして」
    ――ストーミ……くたばっちまうじゃねぇか!なにしてやがる……!
    「山脈の神にかけて!」オーク
    「なぜ血を流す必要がある」アイス
    「ああ、酒を飲み、大いに食らい、戦え。山脈の神が我らに望む姿だ!」
     ここはオーク里だと主張され、月読王国の法を持ち出すことが禁じられた。戦うしかなかった。
    「わかった」「俺が」アイス

     アイスが相手の腹を斬り、足を斬った。勝つ。
    「――お前は誰に負けたんだ……」


    ・ビリー別件で屋敷から離れている。
    「この国のすべてのものが気に入らないな!」ビリーが怒鳴った。
     若いオークからチビリは元凶だから命を狙われていると聞いた。初めは何を言っているか分からなかった。

    屋敷には誰もいない。下っ端が置き手紙を見つけた。「な、なぁ……」アイスの遺書らしい。ビリーは懐にしまった。「囚われた……」



    ・チビリはオーク女から眼球を抉りとられた。
    ・チビリは逆さまに吊るされた主を見て仰天した。チビに噛み砕かれた顔面の大半の肉だけが変色していた。
    ・瀕死の状態になるまで__で殴られた。

    「馬鹿げた騒動の元凶は、お前にある!!」
    「テリオンはどうなったと思う?全部殺処分だ!」
    「こいつは、自力で逃げてこれた」爬虫類のテリオンは月の光を浴びながら一部始終を見物している。青い爬虫類は息を鋭く吐く。
    ・オーク女はチビリにプレミア価格で売ってやるつもりでいたが、もう誰も金を出せないことに気づいた。
    ・オーク女がチビリを引き倒し、素手で腹を強打した。チビリは戦うのが下手。
    ・ボウガンに手をかけたときオークが横っ腹を蹴る。吹き飛んだチビリは腹這い、オーク女は逃げようとするチビリの顎を蹴りあげる。
    ・背後から剣で突き刺されるオーク女。爬虫類がやった。チビリはなんとか外に出られた。ここは見晴らしのよい高台で広場が見えた。ストライダーが捕まっていてあの立ち位置は決闘裁判……頭髪、服色、ふらつきかた、ビリーに違いない。死んじゃう!死んじゃ嫌だ!!


    ・突然炎がどういう訳か国の外側から燃えあがった。上空のストーミは驚いた。オークがこちらを指を差した。内側に向かって突き進む炎。※チビリ



    ビリーはもつれた足を動かして進んだ。
     燃えている……また放火か。黒煙があがっている。
    炎のある場所は目立った。
    オーク同士の反乱が勃発
    ストライダーたちは疲弊していた。


     ビリーは怒りに顔を赤くして処刑台を見た。
     囚われているストライダーの中にアイスがいる。裁判官に近づき罪状を訊ねようと探したが今回はいなかった。イ・ン・ヴフが仕切っていた。
     罪がないのだ。
     アイスが宥めるように言った。「ビリー、いいか、連中の好きにさせよう」「できることはすべてやった」
     ビリーは答えた「……できない」
     ビリーはイ・ン・ヴフに一対一の決闘裁判を申し込む。
     アイスは吠えた「勝っても!無駄なんだぞ!?こいつらは諦めない!絶対に!」
     ビリーは思った。犬のように扱われる……。
     広場に勇ましい両者の剣戟の音が響く?そんなことはなかった。オーク新長イ・ン・ヴフの持つ長剣は伝説のアダマンタイトで鍛えたものだ。
     一方、ビリーのもの普通だ。肉体と精神はオーク族同士のいざこざの対応に終われ疲弊しきっていた。消火活動におわれ眠れなかった。腕があがらなかった。
     だから、はじめての打撃は両手を使った。左の掌を犠牲にして避けるしかなかった。だが膝を蹴られ尻餅をついた。膝を痛めて立てなかった。
     イ・ン・ヴフが、長剣を高く振り上げた。
    ――覚悟はできてる――
     いきなり凄まじい熱を含んだ突風の槌に殴られた。彼はそれが炎の嵐であると気がつくまで時間がかかった。人垣の一ヶ所が崩れて燃えている。炎は全体に及んでいる。背の高いオーク族の人垣が炎をせきとめた。おかげで自分は焼かれずにすんだようだ。
     前方のオークも喉を押さえて倒れた。アダマンタイトの剣を握ったビリーは胸糞悪いオーク頭めがけて振り下ろした。
     オーク族の多くが焼かれながら羽音を聞いた。蛇竜の影を見た。


    ストーミは広場付近で何が起きたのかわからなかった。わかったことは、竜の口から吐かれた炎ではないこと。炎はかなりの広範囲で猛威をふるっているが放火ではないこと。だが、オーク族とストライダーはそう思っていない。皆一様にこちらを見上げ、散々に逃げはじめたから。

    ――違う。私は暴君じゃない……
    ――何故仲間が囚われて――?いま、(疲労困憊の)ビリーが膝をついて倒れた。
    ――彼の前に立つオーク――あれは決闘裁判……不味い状況か。
     なりいきに任せた彼は竜の炎でオーク族を焼き殺すことになる。穢らわしい街を竜の炎が焼き払う。

     ビリーは仲間の拘束を解いた。アイスは嘆いた。
     オーク族は、竜の力に屈服した。

    ・ストーミは契りの盾をビリーに贈る。「いただけない」
    ・仲間が爬虫類のテリオンがチビリを運ぶ姿を見かけた。あの毛皮は燃えていたという。高台に建つ焼けた家を指差した。

    ・ビリーが訪ねた。部屋にはいるなり噎せるビリー。部屋の中から主の断末魔が聞こえる。暫くして出てくるビリーは煤まみれ。※部屋描写はなくていい。
    ・ストーミはビリーになにか言いたげだったが……。


    ・ストーミはアイスを強く抱き締める。
    「あなたの言葉であの私の言葉を聞きたい」
    「『あなたはあなた、他の誰にもなれない』」
    「おい、ストーミ。一体どうしたってんだ?」
    「あなたの言葉で――」
    「『あなたはあなた、他の誰にもなれない』」
    「しっかりしろ!ストーミ!」
     ストーミは泣き顔。
    ――何度、神に祈っただろう……!
    ――何度、神に祈ったか知れない。私をなおしてくださいって!
    ・仲間に病をひた隠しにする。

    ・ビリーがチビリの眼球を埋める場面。其処らじゅう血みどろだった。小箱を開け布を捲ると眼球がでてきたんだ。
    「」
    「ほんとうに燃えていたんだろう。その、彼女の体毛は」
    「(この世界が)酷すぎる」アイスが口を開けた。

    「ストーミ、見ていないか?」
    「そこらじゅう燃える人ばかりでしたから……」

    ・王室の使いがくる。
    ・民のいない街を王国から譲渡される。管理しておかないといけなかった。なぜなら、ドリミア族が基地として使う危険があったから。特に【クック・ロビン】は危険だ。
     オーク族が壊滅したことで王国の奴隷貿易は壊滅した。その褒美というわけだが。巡回任務は続行する。運営を任された、という。 
     ビリーは任された仕事はさぼらない。


    「私はお雛を探しましょうか」ストーミ
    「オーク女はやめとけよ?」仲間
    「アイボリーですよ」ストーミ
    「はいはい、行ってらっしゃい!」仲間
    「デリカシーないやつ……」アイスがボソッと言った。
    「……ストーミ!お前の竜を俺に貸せ」ビリー
    「どうだろう、ストーミ君。いちゃこらしたい気分じゃなくなっただろ?」アイス
    「ええ」ストーミ
     

    ・硬化した腕で剣を防いだことで病のことが周りにばれてしまう。
    「なんで……」仲間
    「竜に乗れ。治療を探せ」仲間
    ・ビリーは解決させる。
    ⚠️この頁で、病の進行を遅らせる秘薬を見つけて飲ませろ。




    チビリとメリルの話

    片目が潰れたテリオン族を抱えて崩壊するだろうオーク政権から逃亡した。ふたりはテリオン族だから月読国へは入れない。もし王国兵士に見つかりでもすれば処刑されてしまう。メリルは意識朦朧のチビリを抱えて南の方角へ旅にでた。地図もなく行く宛もなく見知らぬ土地を冒険をした。
     どこかで水の滴る音がする。
     チビリは木の枝をポキリと折った。
     おぼろげな光は薄れかけていて、どうにか見てとれるのは、枝先だった。
     ある日、初めての強奪をする。商人を殺し馬二頭と荷車を盗んだ。積んである魔法の傷薬でチビリの傷を癒し、綺麗な布で傷を覆った。
     商人が持っていた地図を頼りに人里から離れた場所に隠れるしかなかった。
     やがてふたりは湿地についた。壊れた橋の下煉瓦に部屋があった。ふたりはそこに寝泊まりした。
     痩せた鳥や昆虫、蛙くらいしかいなかった。
    チビリは木の棒を列ねて玄関をつくった。どこでもドアだとメリルに言った。

    【タムタカ大湿原】

    沼地の底にのみこまれてしまいそうな気がする。


     ふたりは地図の街に描かれた砂糖や塩に憧れた。
     喧嘩をする。太い木の棒でメリルの頭を殴る。

     メリルには気になることがある。どうやらチビリはフェンリスヴォルフの力に気づいていないようなのだ。


    ・彼女が『太陽のカード』をひいた!自慢したい!
    ・盗賊たちの吹聴速度に私の歩が負けてる。とトアは思う。
    __回廊の回転床、板の外れているかもしれない階段の壁際には落下注意の警告が殴り書きされている。盗賊の悪戯なのだそう。
     振り返る者たち、たくさんの人たち、まじまじと見る目、目!そして口!顔と顔を突き出せば、顔に口が増えて。噂が飛び交う。私の噂。盗賊ったら顔じゅう口です。
    ・盗賊が口ずさむ唄はロシア民謡に似ている。

    マスターテリオンと呼ばれる悪魔合体の材料に前世の身体が使われてしまった。新しい肉体は馬体。四肢の細い足首の頼りなさ。骨折は馬にとって命取り。
    ――なぜこんな目に?
     なんとも気分が晴れない日。
     そんなこんながあって『太陽』から馴染みのある場所へ逃げてきた。
     たくさんの彫像、芋虫月の塔の見物やぐらに辿り着いた。『収穫月の塔』にある『太陽』は『芋虫月の塔』から離れすぎてもいた。

     月宮殿の12の塔の夜景、前に花月神の塔が聳える。
     岩の割れる音がして身体を強ばらせた。


    『コシュタ・バワー、あなたの秘密を知りたいの』ミアは月宮殿の『芋虫月の塔』の螺旋階段をあがっていた。上階の見物やぐらのに灯りが灯った。コシュタ・バワーの巣に人馬一体の彼女がいる。トアなの?コシュタ・バワーなの?
    『13月神の塔』で命を落としたあの子は月宮殿に運ばれなかった。トアの恋人は、おそらくは、もう……新しい道に踏み出たわ。

    鳥の形をした石像が唄を歌い始めた。オペラだ。静寂を彩る。闇が癒しに変わる瞬間。彼女の羽ばたく音も聞こえない。蛇の尾をもつ骨の鷲、羽はムササビ。歌が重なる。
    その時、ミアは『トマト』のトーマが唄を歌っているのに気づいた。


     透きとおる美声に耳を傾けていた。花月神の使者は『芋虫月の塔』向かいの『花月の塔』から彼女たちの様子を覗いていた。
     稀に月神はとんでもなく価値のある宝石をここに運んでくる。妖魔と接触しやすい性質を持った『悪魔のカード』をひいたジョリー・トーマ。

     12月神の各塔には『フロアマスター』ともいうべき妖魔がいる。彼らは昼か夜のどちらかを休息に使い、もう一方を巡回に費やす。しかし、訓練生たちの多くは、その存在を知り、見ているにも関わらず、とるに足らない怪談話として片づけている。しかし、『悪魔』の彼ないし彼女となると話は変わってくる。
     そして、馬のものといえば。
     マスターテリオン……錬金術師である花月がホムンクルス作成に成功すると、高い割合でマスターテリオンに挑むという報告があがっている。
     使者は妖魔の使いに囲まれているジョリー・トーマを見た。
    ・使者は煙に姿を変えて飛んでいった。


    「とても素晴らしかった!」はトア下を覗こうとした。頭を仰け反らせた。黒い鳥が滑空してきた。


    案の定トーマは黒い鳥に壁まで追い詰められていた。手が伸びて壁に貼りつけられた。月神の使者が男を闇へ追い払う。
     舞台俳優のようにきびきびと__を横切って近づいて、__。花威厳のある双眸の奥に哀愁が漂っている。
    ・使者はトーマに警告する。かの者は欲深く嫉妬深い。
    ・トーマは彼に少し心惹かれる。
    ・使者は彼女の『悪魔の部屋』へ転送する。杖をぱしりと。気配を感じて振り返ると人馬の娘が立っていた。杖をぴんと上に立て運んだ先はただの馬小屋。
    ・案の定、芋虫月の搭の石の怪人はトーマを欲する。月神の使者に撃退された怒り、彼女の歌を欲する。


    いまではすっかり時計作成部屋になった物置小屋のドアを開けてアレックスが入る。絵について訊ねる。
     ヘイルはデルフォイ機構の話を聞かせる。トアを飲み込んだ巨大なアーティファクト。「次の時計製作には『オートマタ』を取り込むつもりでいる」彼女に会えるから。

    ・トアが闇の馬と悪魔合体したかもしれない。
    「彼女かもしれない。だとしても、俺は、そこまで盲目的に恋人を愛せない」「トアに似て非なるものだ」会いたい気持ちを察するアレックスは戸惑う。
    「俺をひとりにしてくれ」


    ジョリー・トーマの眼には__を見抜く力がある。
     かつて恋仲だったふたりがすれ違う。まともにヘイルを見るのは彼女のほうで、いっぽうはヘイルはトアには目もくれずに歩み去った。彼女は彼に声をかける勇気さえ持ち合わせていないようだけれど、あなたは言わなければならない。「私はここにいるわ」と。

     大広間で昨晩の美声の持ち主を探す人びと。丸顔の間抜けが残酷な嘲りの唄を唄いツボにはまったシセロが笑い椅子から転げ落ちた。ミアは嫌な顔をする。相変わらずカール・タナーは脚を投げだし、涼しい顔でナイフの状態を確認している。トアマンドだっていつも通りだ。
     アレックスの靴は新丁されている。

    ・ヘイルは訓練所には行かない。図案を完成させると、部品の製作に取りかかった。彼女会いたさから。この時のなかでしか会うことはない。純潔な彼女には。コシュタ・バワーは不純物だ。


    花月神の使者は自分の欲の具現化、石の怪人と必然的に出会ってしまいそうになるトーマとトアを黙って守護する。

    トーマは唄を唄い終えると、花月神の使者から「搭には古くから妖魔が棲んでいる」夜の調べに目がない妖魔なのだと半分は脅しの忠告をうける。使者から転移魔法をかけられて自室『悪魔のカードの部屋』に強制的に戻される。


    『月』にて時計製作に没頭するチャールズの本音は『コシュタ・バワー』と悪魔合体したふたりは、もう彼でもないし、彼女でもない。

    トアが大勢の人に夜の調べの歌い手と誤認される。前世の記憶では恋人同士だったのに、その恋人は振り向いてくれない。どうすれば彼と元通りの恋愛ができるの?



    彼の彼女に対する態度が一変した。友達の恋をなんとかして幸せにしたい。成熟させたかった。『蝶鮫月の搭』の見物やぐらで夜の調べを歌う。

    トーマはふたりに歌を贈るために『芋虫月の塔』へ上がった。秘かに。


    『オペラ座の怪人』の『シンク・オブ・ミー』

    わたしを思いだして
    さよならを言った日の わたしをやさしく思いだして
    ときどきでいいから 思いだしてほしいの
    お願い そうすると約束して
    いつか あなたがもう一度 心を取り戻して
    自由への憧れに気づいたら
    もしも そんな時があったなら
    わたしのことを想ってほしい

    私たちは一度も口にしなかったわね
    私たちの愛が枯れることなく
    海のように変わらないものだとは
    でも 今でも覚えていてくれるなら
    立ち止まって わたしのことを想ってほしい

    ふたりで分かち合ったもの
    一緒に見たものを 思いだして
    悔やんだりしないで ああすればよかったなどと

    わたしを思いだして
    眠らずに あきらめに浸り
    言葉を失っているわたしを想って
    あなたを心の中から追い出そうと
    必死になっているわたしを想像して

    あの日々を思いだして
    あの頃を振り返ってみて
    私たちにはけっしてできないことを考えてみて
    あなたを思い出さない日なんて
    1日としてありはしないでしょう



    チャールズは恋人を想いながら時計作りに没頭していた。ある夜『月』に流れる夜の調べに頬を濡らした。天窓を閉じた。頭を振る。


    『月』作業部屋を出て階段を駆け上り見物やぐらで見たものは不気味な怪鳥である。トアの身に不穏を察し『芋虫月の搭』へ足を運んだヘイルは怪鳥を間近で目にする。

    怪人は怪鳥を介してチャールズの動きを見ていた。彼女の姿を探し求めていると想い違え。恋敵だと認識した彼は魔法を放つ。
    ※トーマは転移されたあと。

    『芋虫月の搭』見物やぐらの上階に寝泊まりしているトアは、下層見物やぐらの騒ぎは一体何が原因かを探るために現場へ足を運ばせる。倒れているヘイルを見つけ動揺。まもなく彼を抱いて医務室へ運ぶ。

    何時間だって安心して眺めていられる。
    前世の今となっては恥ずかしい願いを思い出す。彼は、前世の私には優しい笑顔や態度で接してくれた。目を覚ましたチャールズは否定する。

    「わたしのことを、お忘れてしまうなんて」
    「……忘れるものか。ただ、君は、変わってしまった」「なにもかも」


    アレックスは夜の調べの後のヘイルの態度に違和感を感じていた。これといった理由もなく時計製作をきっぱりとやめてしまったからだ。あの歌は彼の心を揺さぶったはずだが。


    人間の思考は自身の使う言葉に支配されている。――言葉が変われば心が変わる。心が変われば行動が変わる。行動が変われば習慣が変わる。習慣が変われば人格が変わる。人格が変われば運命が変わる。とはウイリアム・ジェームスの名言だ。本当だろうか?
    チャールズは頭をかきむしる。
    いまの彼女は、思考の自由度が低い。100年の恋も冷めてしまったみたいだ。
    こんなにあっさり変わるものか。チャーリーの頭は真っ白になった。




    トーマ、アレックスと花月神の使者が対談した結論。恋は当事者同士の気持ちが1番大事だというのに、なぜ妖魔は他人の幸福を阻むのか?一体何者だろうか?花月神の使者と対談をする。
    使者は怪人が嫉妬深いことを知っている。トーマに見抜かれてはいまいか。私自身のことだと。
    アレックスのトーマに対する気持ちは昂る一方だがアレックスはコントロールできる。


    花月神の使者、『芋虫月の搭』へ赴く。深い闇の扉の前に佇む。虚空を見つめている。闇の扉の覗き窓に自分が映りこむ。


    トリーは透明化を使って情報操作をする。罪悪感から恋文を作成する。ふたりの成熟しない恋愛をふたりの傍らでずっと見てきた。
    トリー状がランプの灯りで『常闇月の搭』を照らしたせいでチャールズの恋人が死んだのだ。
    トリー、『月』まで行って、恋文を仕掛ける。


    アレックスが恋文を手に取り読んだ。効果覿面。
    トリーはアレックスがジョリー・トーマに秘かな恋心を抱いているのを知ってる。でも、それはチャールズに宛てた恋文なのだ。失敗だ。


    アレックスは、トーマを食事に誘う。
    『オペラ座の怪人』の話題
    トーマはアレックスと花月神の使者とを天秤にかける。アレックスは誘いを断られた。手紙がチャールズ当てなのだと気づいた。チャールズにわたす。

    「あのコの字じゃない。あの子は……」含み笑いをした。アレックスの胸をチクリと刺した。
    「トリーは、恋を成熟させようと一生懸命なんだろう」「駄目だな」
    トリーの情報操作は失敗に終わった。


     トーマは、スコッチウイスキーを手土産に持って『月』にやってきた。突然の訪問に驚いたアレックス。
     アレックスとヘイルがジョリー・バニスターの義兄弟のチャールズ・バニスターの巻き起こした大騒動話に笑い転げるほど酔いがまわっていた。
     トーマは自分が歌い手であることを明かした。そしてアレックスに私に近づかないでと警告をした。

    ・チャールズは時計製作を再開する。
     ミアは買い物を済ませて月宮殿へ戻る道すがら、花月の使者とトーマがカフェのバルで食事をしているのを目撃してしまう。トリーに伝わった。


     鳥が見ている。
    ・『月』時計製作に没頭するチャールズ



    花月の使者はトーマに赤い薔薇の花束を贈る。花を愛す女性だ。トーマは喜んだ。黒い鳥が割って入りふたりの会話の邪魔をする。



    石怪人は怪鳥を腕に乗せた。自分に嫉妬をしている。使者を憎んだ。なぜ私を自身自身から引き離したのだ!愛と憎悪で溢れる。

    ・花月の使者は『芋虫月の搭』で自らの過去と向き合う。
    ・人を愛する感情を引き離してこの鏡に封じ込め、この搭の隠し部屋に隠した。怪人は自分自身である。


    ・トーマ石怪人に捕まる。
    ・石怪人はトーマを抱きながら花月の使者と魔法合戦をする。使者の目の前でトーマに口づけをする。
    ・トーマの愛の告白に戸惑う使者。石の怪人にすごく残酷と告白する。トーマと分かち合える喜びを噛みしめる石怪人。



    とても落ち込んでいるチャーリーは『桃色月の塔』にいる。
     変性魔法『灯火』を使いあたりを照らす。蛾が舞う。薔薇のつるが伸び、薔薇の蕾の花弁が開いた。ダマスクの香りが鼻腔を刺激する。トアはすっかり困惑する。薔薇に蛾がとまる。困惑しきったトアが不思議な鏡に歩み寄る。
     ラデラが囁いた。『……あなたのいない月宮殿……』
     トアは不安にかられた。
     ラデラが囁いた。『……あなたのいない月宮殿……』
     何処かに行かなくちゃ。

    ・月宮殿を出る。

    ・アレックスは独り湖畔に佇んでいるトアを見つけたので、思いきって声をかける。
    「私が歌ってると皆さんが思っています。私も歌を歌えたら皆を元気づける歌を歌うのに、と常々思ってるんです」
     はっきりと確認したかった。君は……誰なんだ、君の本当の名前を教えてほしい。
    「トア」アレックスは納得したように頷いた。
    「すべてが新鮮ですが、ガッカリです。当たり前なのでしょか。」「ありがとう。あなたとお話しできて良かったです」
     彼が彼女を避けるのは、すごく残酷なことだとアレックスは思った。





    ・花月神の使者は石怪人を自分の心に戻す。トーマが付き添う。
    ・トアが脱出したと芋虫月神の使者が騒いでいる。お告げの夢を見た。
    北東にある旧天照国。昔に見た華やかさとは程遠い。いまでは無政府主義者やアナーキストの集まり。ぶっ飛すぎてる現在のモルドゥアには敵わないが、この街は兎に角、はみ出しもので溢れている。いま、彼らはテリオンバトルというカードゲームにのめり込んでいる。
    『賞品を勝ち取れ!』
    『自由を勝ち取れ!』
    ・『テリオンカード』使い手シェール登場。『テリオンバトル』の花形選手の1人だ。
    ・テリオンバトルが始まる。「おいで、ベラフ!」青白い獅子が飛び出してきた。鬣は薄いヴェールと蛇。相手のテリオンは巨大なカエル。サッポー・フェルソーが材料。厄介極まる。
    ・チャンピオンに敗北したシェールは獅子『ベラフ』を引き抜かれてしまう。

    ・王族貴族のリビー『テリオン』の情報交換。例のテリオン族の目撃情報があがりましたの。カーバンクルのために大金をはたいたのですから。遠回しにカーバンクルを持ってきてくれたらあなたのベラフのために一肌ぬいでもいいと言った。

    ・ベラフは一番大切なパートナーだ。シェールはトアを探しに東エスリマ大平原へ出かける。
    ・ミアス川にて。テリオン族のトアはシェールのテリオンカードに封じられてしまう。シェールは旧天照国へ戻る。「見て!この方、すごいですわよ!本当に、本当にやってのけてしまうなんて!尊敬致しますわ!」「こちらにいらして」

    ・リビーはトアを分解マスターテリオンさせる。『テリオン・カーバンクル』を引き抜いてしまう。「ご覧になって、カーバンクルの輝きが見えますでしょう」「ただ、そちらのほうは美しさを損ねましたわね……」
    ・トアを観賞価値が失せる。カーバンクルはリビーのペットになった。「このこは何を食べるのかしら?」

    ・満足したリビーは『コシュタ・バワー』をシェールに返した。シェールは鼻で笑い、無能のテリオンカードをトレードしてくれる相手を探しに出かける。
    ・よそ者の手持ちに『コシュタ・バワー』のカードが加わった。シェールは目当てのテリオンカードが手に入ってご機嫌。

    ・シェールとリビーはテリオンタッグバトルで勝ち星をあげていく。

    ・ここはどこだろう。新しい主は町から逃げてきたようだ。途中で馬の脚が穴にはまって予後不良となってしまった。足と腰がもう疲れたので馬の上で楽をしたいからカードから出したのだそうだ。ここはエスリマ西平原の北。ちょっと南に行けば北聖堂だが行かない。海賊の船に乗って隣大陸に行くんだ。ああ、テリオンは全部売り払って船代にする。

    ・壮大な山脈は西にある。大海原が北にある。
    ――この旅人に危険がおよびませんように。カードは朽ちるでしょうか。


    なんてこと!魔法使いの野伏せが主を殺してしまった!男の名はイノセント。カードをじっくり1枚1枚調べる。目当てのカードを1枚引くとカードを棄て立ち去った。私のカードも含まれているのに。

    私はテリオンカードをじっくりと眺めてから1枚1枚拾い集めて自分のものにした。遺体が背負っている鞄を自分の肩に掛け旅の必需品をかき回す。取り出した地図をひろげた。月読国と天照国以外の街へ行くと心に決めた。



    男女が食っちゃべりながら暖をとっている。【リング・ディンドン】へまっすぐに行く。破かれたテリオンカードが宙を舞う。



    この闘技場をデザインした人物は稀人だということもあって超未来のかなり洗練された空間になっている。
     偉大な選手はフェイスグラフィックが表示される。
     グラフィックの横にバーがある。下には現在の通算ポイントが表示される。選手はポイントを好きなタイミングで消費し賞品を勝ち取ることができる。だからバーが伸びているほど強い選手、というわけでもない。
     実際に上位のものほどポイント使いが荒かった。

    『月曜日もテリオン、火曜日もテリオン、水曜日も行くし、木曜日もやっぱりわたし、金曜日もテリオン、土曜日もテリオン、日曜日もここにいるからね!』
    「テリオンバトル!僕たちのホームグラウンドへようこそ!」
    「とおぅってもイケてるところでしょ?」

     彼ないし彼女のテリオンカードから飛びだしてきたテリオンはとびきりかわいい。「アポクリア!」『メニャぁぁあ』頭を抱えたネコみたいな……ポケモン?
    「トレノ!」

    キャンディがはしゃいだ。
    「あたし、あ、ら、ら、あれが欲しい!」

     相手のテリオンが力尽き歓声があがった。シャーリーがテリオンカードを頂く。「まあまあ、です」
    「とびきりのエンターテイメントにびっくりしちゃった?!」


     キャンディがシャーリーに駆け寄った。すり寄るように。「私にテリオンバトルを教えて欲しいの」
    「オーケー!」
    「あのパネルを見てごらん。僕たち参加者はバトルに勝つとポイントがもらえるんだ」
    「あのショップを後で見てみるといいよ。僕らは貯めたポイントを使って『マスターテリオン』の材料を買っているんだ。買える材料と言っても、SからDとクラスごとに決められたものだけどね。見てみて!かなり独創的でしょう?」
    「独自の動物を養殖、栽培しているんだよ」

    「はじめましての印に僕たちから君に贈り物。材料を分けてあげる。さあ、君の友だちを一匹選んでごらん」シャーリーは心のなかでポケモン最高!!と声高に叫んだ。
    キャンディは短い歓喜の悲鳴をあげた。頬に手を当てて。


    「君はEだから、このなかの動物から選べるね!どのこかな~♪」ネコに似て非なる生き物、イヌに似て非なる生き物、ウサギ似て非なる生き物、コウモリっぽい、鳥っぽい生き物がゲージのなかにいる。


    「次は材料Bを見ていこう。属性を決定するよ!先ずは植物から見ていこう」
    「眠らせたい、麻痺させたい、毒をあたえたい、魅了したいなら植物をお勧めするよ!」
    「植物が与える外見の特徴は、綺麗な花や葉っぱが体から生えたり、稀にフルーツがなることもあるみたい。食べないでね」

    キャンディはウサギっぽい生き物を強引に取り出して頬擦りした。「かわゆいでちゅねえ♪」

    「炎、氷、水、雷、風、土、いずれかのエレメンタルの力を授けたいならエレメンタルをお勧めするよ!ちなみに僕のトリノは雷属性だよ。とっても強いんだ♪」

    「防御力を重要視するなら、鉱物をお勧めするよ。皮膚が岩とか鉱物になっちゃったりするけど、タックルひとつで相手を負かしちゃうのが強み。実は人気が高い素材なんだ。エレメンタルの特殊攻撃に強いからね♪」

    「それじゃあ、最後の仕上げをしようか!」
    「装飾品をあたえることで見た目にオリジナリティをあたえるよ。と僕がいうのもテリオンの見た目がかぶっちゃうことがあるからなんだ」

    キャンディは「ダイヤモンドはないのお?」と文句をいいしぶしぶルビーのペンダントを選んだ。

    「君はどの力をこのコに能える?」
    キャンディはエレメンタルの炎を選んだ。
    「マスターテリオン!」
    「かわいいぃぃぃ!!」
    「Eランクの参加者はE印のテリオンしか使えない。Sクラスの参加者はS以下の参加者を相手にS印のテリオンを使えないようになってるよ。バトルは公平であるべき。僕たちはそう考えてるからね。無双ができないようにしてあるんだ♪」

    ・バウンサーのブラックレター&サンセリフはキャンディを監視する。

    「なかなか見応えのあるショーでしょ?君もそう思った?」
    「ねえ、勝負しない?さあ、君のテリオンカードをだして♪準備はいいかな?」

    「ステージでは上手に立ちまわるんだよ。テリオンにバトルを任せてもいいけど、なにをしたいかわからないテリオンも中にはいるからサポートしてあげるんだ。テリオンになにをさせたいか指示をだすの」

    キャンディは、隠し持っていたテリオンカードを取り出して対戦相手に投げつけた。「F!」

    カードのなかからトアが飛び出した!
    対戦相手のシャーリーはもちろん会場が騒然とする。

    トアは逃走を試みる。キャンディは雷の魔法を放つ。
    トアはダイヤモンドの騎手の魔法を使うが意味がなかった。雷に打たれ床に叩きつけられる。

    キャンディが、出した理由。赤ちゃん言葉で罵った。「弱いくせにっ、負けることしか考えないわね!」

    言葉を失っていたシャーリーがトアをかばおうとするがキャンディが癇癪をおこしてカードを引き戻す。

    トアはまた草原の箱庭に閉じ込められた。そんな感じだ。トアは善意のあるあの若者に助けを求めた。

    シャーリーが説得しようと試みたが無駄に終わる。キャンディは私のものだもんとはねのける。

    観客の冷たい視線にも知らぬ顔。自分からぶつかっていくタイプ。

    シャーリーが観客に謝罪をする。憤慨したキャンディは会場を後にする。そして男と合流。笑いながら、スッたカードを取り出しながめた。去り際にトアのカードをゴミ箱に棄てた。

    シャーリーは悲しくて悔しくて泣いた。テリオンカードを全部盗まれた!
    ブラックレターとサンセリフ登場。自分たちのカードを彼に貸す。一緒に仲間を取り戻そうと励ます。

    ・三人は犯人を追う。見つける。成敗だ!バトル開始。

    ・キャンディの強力なテリオンにAランクのテリオンが負ける。
    ・キャンディがシャーリーのSランクのテリオンを出す。
    ・キャンディは攻撃をしないSランクにいちゃもんをつけて自分のSテリオンを増やす。シャーリーを窮地に追い込む。



    ・オーナー、C.Bは清掃テリオンから捨てられたカードを受け取る。C.Bは呼び出したチャーリーに魔法を能える。試練。


    ・シャーリーとテリオンがんばる。
    ・攻撃の矛先がシャーリーにむけられる。テリオンがかばう。
    ・だが無傷のテリオン。かばったのはトアだった。ダイヤモンドの騎士の魔法のおかげ。


    ・キャンディを成敗する!桃色月のシャーリーと力を合わせて
    ・ブラックレター、サンセリフは男の相手をしていたが男は狼月の背徳者だった。危険だ、退却が必要だ!

     コシュタ・バワーの血が騒いだか、トアは熊の獣人を空中から蹄で踏みつぶす

     シャーリーはお人好しだからキャンディの傷も回復させる。キャンディのカードは没収するが。シャーリーからイベントで貰った炎のテリオンはキャンディに渡す。キャンディたちは肩を落として去る。

    ・シャーリーとテリオンは、トア、C.Bに御礼。
    ・チャーリー、旅を続けることに決めた。強くなりたいから。



    ・キャンディの復讐心
    ・気が弛み、再びカードへもどされる。キャンディ高笑い。

    リラは仲間を探しまわっている。ジェリーがいない?大急ぎでアレックスを問い詰める。「ミアもいないの?」


    風に吹き上げられた紙屑がヘイルの顔にひっついた。破かれたテリオンカードにはゾッとする。
    ・ヘイルはリングディンドンへ行き着く。ミアの嗅覚。
     オーナーは『こちらの世界』では有名な御曹司チャールズ・バニスターだ。彼はジョリー・トーマ本名をジョリー・バニスターの義兄弟。

    C.Bは、先日会場でテリオンカードをめぐっての大騒動が巻き起こったという。
    .トアは旅に出た。たった数時間のニアミスが命取りになる。恐れていたことが現実になってしまった。
     強欲な女が彼女を持っている。観客のテリオンカードを摺っていた。CBは詳しい話を知る人物を紹介する。
     シャーリーから詳しい話を聞く。キャンディの強欲さを、どう人を欺き、成敗されたかを。シャーリーとトアの活躍に感動した。
    .チャールズ、より詳しい話を聞き出す。キャンディの背景を見ようとしている。組織に属しており協力者はいるのか、テリオンカード集めはやめないだろう。
     相当な危険人物だ。一度の大敗で彼女か懲りたはずもない。最悪の場合は、チャーリーをテリオンカードに戻した後に八つ当りしかねないことだ。
    ビリビリに破かれたテリオンカードを思い出した。

    桃色月のシャーリーも一緒。眠らずに三日半をチャーリーの追跡に費やした。休息が必要だと思った。あと一日半しか残されていないことを考えると眠れなかった。ミアの嗅覚を頼りに先を急ぐ。


    草原に水が滴りはじめた。あっという間に水溜まりができた。まさか……
    テーブルのビールがこぼれた。キャンディたちは宿で水中コイン落としゲームをしている。
     水びだしの草原に窪みが湖に。チャーリーは丘の高いところへ避難する。海をひっくり返したような雨が降る。水が地面から沸き上がる。丘の天辺が遠く感じる。

    キャンディは高笑いをあげ、赤ちゃん言葉で罵りながら『ミルクの時間でしゅよ~』スプーン洗いのコップの水をカードに注いだ。男はビールを空になるまで注いだ。ゲラゲラと笑う。
     チャーリーは海原を馬掻きで游いでいた。下から突き上げる噴水にバランスを崩す。ちいさな世界には箱庭でいうところの『その先へは進めません』がある。透明な天井を仰ぎ見る。上の上限はどこまであるの。

    キャンディは、視線を感じた。あたりをキョロキョロ見わたす。確かに殺気を感じた。

    トアがそこにいる。一刻も早く救出したいが、魔法という存在が僕の死亡率を上げている。相手は強力な攻撃魔法の使い手だということ、幻惑系統や変性魔法までも扱うかも知れない。

    月宮殿からお触れを流す。

    キャンディはテリオンカードを懐にしまった。
    「両腕を見せろ!直ちにだ!」
    「人馬の脱走者を庇う者は死刑に処する!人馬の姿、または人馬の描かれたテリオンカードを見たものは、至急警備の者へ報告されたし!怠るものは共犯罪で死刑に処する!」
    「待て!リング・ディンドンでこの女が持っていたぞ!」
    「はい、そうです、そうです!わたくしも確認致しました。カードを敷物変わりに使っていましたので、目についた次第であります!」

     キャンディは言った。リングディンドンの連中に奪われたのだ、と。
    「テーブルが濡れている。なぜだ?」
    「ぐふっ、ごはっ……ぐっ……ぐっ……………」キャンディは息を詰まらせている。毒をいつ?
     チャールズ・ヘイルが黙ってキャンディの懐からテリオンカードを抜き取った。キャンディは酒瓶をひったくり一気のみをした。
     マスターが言った。「あんたも焼きがまわったな」
     キャンディはヘイルを見る。そうか、全部嘘。こいつが仕込んだのか。


    「一緒に帰ろう」濡れたテリオンカードを丁寧に拭いて呟いた。僕の知っているコアラ顔の彼女だ。仲間と合流するために馬を走らせる。


    キャンディの相棒が吠えた「俺たちの雇い主は女帝だぞ。忘れたとは言わせねえ」「俺たちを見逃してくれたら、そいつの倍くれてやる」『俺たち?』キャンディは倒れる寸前だ。

    「必ず、必ずもとは取る!」「あんたらもびっくりするテリオンを捕獲してやるよ」キャンディが倒れた。酒瓶が割れた。
    マスターが言った「それで?あんたのテリオンはどこにいる?」
    「ここにいる」獣人が。



    大狼のミアと馬を走らせるチャールズとシャーリーは真っ直ぐ南東に位置する月読国へ向かってエスリマ西大平原を走っていた。視界右側には縦穴が一面に広がっている。ミアが言った。
    「チャールズ、風向きが追い風になってから気づいたことがあるわ!」
    「おそらく追っ手よ。大型獣の匂いがするの。ほら、体格が10倍なら匂いも10倍って言うでしょう?」
    「そんなに?」
    「そんなには。でも、あなたよりは倍大きい」
    ・シャーリーが鳥のテリオンを召喚して偵察にだした。
    「待て……馬が疲れてきている。どこかで休ませないと……」ヘイル
    ・ミアが言った。確かに、そうね。

    ・シャーリーが教えた。「北西に3キロくらい進むと廃屋がある。ただ、あそこ幽霊がでるんだよね」「いいね。行こうか」とヘイル、

    ・お化け屋敷で、着々と罠を仕掛けた。確かに僕らの他に誰かがいる。

    ・シャーリー、君の魔力を上げるアンクレットを貸してほしい。『ダイヤモンドの騎士』をかけてあげよう。

    ミアにトアのテリオンカードを預けたヘイルは強い口調で言った。「ミア、君はトアと月宮殿へ行くんだ!いいね?」幸運を、チャールズ


    ・大熊の獣人だった。
    ・天照国の人間なら魔法効果の解除魔法くらいの魔法が使えて当然か
    ・シャーリーのテリオンが優位

    ・目のまわりのの皮膚に編み目状に広がるリーフの入れ墨、入れ墨は大きくて、眉を横切り、鼻の脇まで達している男がバトルを塞いだ。大熊は吃驚して手も足も出ない。
     イノセントの助太刀によりユージーンは命拾いする。
     イノセントの強力なテリオンにシャーリーのテリオンは奮闘。

    ・またもやユージーンの個人を狙った魔法にシャーリーが倒れた。

    「卑怯な!」
    ・ヘイルの腹が熊の爪に引き裂かれる。偽物テリオンカードがユージーンに奪われる。
    ・ヘイルの嗅覚が消え、耳が聞こえなくなり、視界が暗くなる。シャーリーが自分の体力を削って回復魔法をかける。

    ・ユージーンはテリオン強制帰還魔法を唱えた。しかし、チャーリーではなく別のオモチャみたいなテリオンだった。



    ミアは月宮殿へ帰還した。ようやくトアをテリオンカードから解放できた。嬉しかった。トアは号泣した。


    シャーリーは惨敗の衝撃から抜け出せなかった。自分の力不足というより命をかけた戦闘には不向きだ。テリオンは傷ついてでも主を護ろうとする。その姿勢が自分には重く感じる。

    怪我を負ったチャールズの手当てをしながら屋敷からできるだけ遠くへ歩いてきた。あの熊が、偽物をつかまされたと気づいたら最後だから。
    使ってきた2頭の馬は、ユージーンの爪に引き裂かれてしまった。
    やっとリング・ディンドンにたどり着いた。



    ・号泣しているトアに歩み寄る桃色月の使者。ミアから事情を聞いている。気持ちを落ち着かせる。
    ・ミアはヘイルが関わったことを押し黙っている。不安が顔にでるので見破られる。彼女が何をしようとしているのかわからないけど、引き止める。


    ・ユージーンはイノセントにキャンディをマスターテリオンさせることを願う。リング・ディンドンからテリオンを剥奪したい。


    ・キャスリンとシュリアは桃色月神の使者から出動命令を受け一時間後には『リングディンドン』へ到着。普通なら一日かかる道のりも二人はたった一時間で行く。シュリアは【リング・ディンドン】のけばけばしい内装を見て驚く。
    ・チャールズはすやすや眠っている。「さっさとこいつを担いで月宮殿へひとっ飛びする」
    ・シュリアはムシカになって眠っているチャールズ・ヘイルを担いで月宮殿へ向かう。運ぶのが目的だから。

    ・トアはリング・ディンドンやヘイルの力になりたくて破壊魔法部屋の本棚に納まる魔法書を手に取り鞄に入れ盗んだ。扉の前に桃色月神が待ち構えていた。

    ・シュリアとヘイルが到着。チャールズは茫然と空のカードを見つめる。頭を掻きむしる。「嫌な予感がしてね」桃色月神の使者が預かっているとミアとアレックスが話す。

    ・ヘイルが思い詰めた顔をしている。
    「嫌だ。暗い顔しちゃって、あんたらしくないじゃない」ゴーストだ。鼻血を出していたらしい。ということは…
    「受け取っ――くっ……あぁっ、また……っ……酷い時差!」「私たち、こどもの国じゃあ、まともに戦えないでしょ。バンバン魔法使うんだから。外の戦いでは友達になにもしてあげられない。歯痒いわよね」
    「あげる。これは魔法の力をこめたアンクレット。魂の束縛」

    「彼女の魂のひと欠片を束縛するの。彼女がまた連れ去られても傍に呼び戻すことができるから。召喚魔法ね」「ごめん。間に合わなかった」
    ・ゴーストの肩を撫でた。魔法のところは使者に手伝ってもらったんだな。ヘイルはテリオン使いの黒幕を探りはじめる。

    ・シェールのベラフとシャーリーのトリノがぶつかる。

    ・リング・ディンドンのカード争奪戦。チャールズは『土地のカード』を使い魔法の威力をコントロールする。仲間にも影響がある。
    ・大熊の獣人と問題を起こしたキャンディと動物を掛け合わせたテリオンとその仲間が暴れた。
    ・キャスリンはリングディンドンの戦争に挑んだが、あっさり人を片付けテリオンバトルの邪魔をしたので、剣を鞘に入れ、少し見物をする。
    ・逮捕!月読城に連行する。


    ・トアは月宮殿の秘密の部屋なかにいる。立耳の毛むくじゃらの犬と一緒。外見はグレイッシュブラウンの、胴長短足の、みすぼらしく毛むくじゃら、毛が荒い。ロマーニュ・ウォーター・ドッグが汚いプードル『ダット・プー』とよばれるように、このコーギー擬きもまた汚いコーギーである。『ヴァルフント』に見えるが、頭のうえにもっこりとした毛飾りがはえているところから『ヴァルフント』ではないのだろう。
     

    ・ヘイルとアレックスが旧天照国で潜入捜索をする。シェールの逮捕を屁とも思わない様子のリビー。
    ・リビーの家系は古くから、地下迷宮に物資を提供していることが聞き込み調査でわかった。

    ・テリオン使いたちは旧天照王族貴族の末裔の元で暮らす。リング・ディンドンの稀人は北聖堂の教えにより天照国へ導かれた。天照国の秘術を応用し独自の生産ルート構築した。素晴らしいアイデアだけど彼らはパーティーの道具にした。
    ・リビーは旧天照国に蔓延る教祖とは異なる思想を持つ。ヒルメにはまったく興味が涌かず、月読国を攻撃したのは愚行だときっぱりと言った。自分は最高品質のテリオンを地下に送り、怪物退治の支援をしている。月神の冒険者はまったくもって頼りにならない。
    ・ヘイルはトアを拐ったわけを聞く。カーバンクルにはストレスをリセットさせる力がある。 精神負荷がかかる地下迷宮に必要だった。コシュタ・バワーさえ混ざらなかったら、あのまま地下迷宮へ運んでいたけども。
    ・ヘイルはトアのテリオン分解をリビーに頼む。


    ・イヴァナ・ヴァルフントは毛むくじゃらの犬だ。
    ・マスターテリオン施設にトアが入る。毛むくじゃらの犬もついていく。
    ・トアとコシュタ・バワーはテリオン分解がすんだ。
    ・デュラハンを着た人のイヴァナが先に錬金術師を倒す。コシュタ・バワーとトアはイヴァナからデュラハンを奪い取ろうとする。
    ・イヴァナは魔法でトアを氷漬けにする。妖精や素材が入った瓶が割れて四散する。大半は逃げる。
    ・コシュタ・バワーの蹴りが装置にぶつかりスイッチを押してしまう。人間に戻ったはずのトアは氷に磔にされたままマスターテリオンしてしまう。

    ✒️犬に戻ったイヴァナは外へ脱出して、首のないコシュタ・バワーを追いかける。デュラハンに忠実な性格を利用して自分を追わせる。デュラハンの衣を咥え引摺りながら走る。


    ・チャールズとアレックスは首のないコシュタ・バワーがあのみすぼらしい犬を追いかけるのを目撃する。あの犬がデュラハンの衣を盗んだようだ。

    ・ヘイルはトアが人間に戻ったと察知した。コシュタ・バワーが出てきた部屋を探すのは簡単だった。悪魔合体失敗の事故が起きたのだから。
    ・人だかりができている。トアは一見人間に見えたが、トアと部屋中、氷の結晶におおわれていた。ダイヤモンドのように頑丈でアイスピックでも穴が開かない。
    ・魂束縛の呪文を転移させて遠くにいる彼女に当てられないだろうか?芋虫月神の使者に相談。


    ・コシュタ・バワー、イヴァナと再び戦う。イヴァナがぶっ飛ばされてデュラハンを取り上げられる。コシュタ・バワーが笑った。


    ・死霊魔術師が訪れる。芋虫月の使者から説明をうける。
    ・デュラハンを、口がある場所で咥えた首なしコシュタ・バワーとみすぼらしい犬が戻ってきていた。一体なんなんだ。蹄で氷を引っ掻いている。
    ・術師は彼女に転移させた呪文をあてる。
    ・ヘイルに手わたされる前にコシュタ・バワーの決して人の目には見えない首がのびてきて黒い魂石を飲み込んでしまう。これで、彼女を召喚するタイミングは馬に委ねられたという訳か。
    ・コシュタ・バワーに願う。トアを召喚してくれないか?コシュタ・バワーはそっぽを向き走り出した。

    「嫌な馬…」ゴーストが来ていた。しかも汚ない犬を抱っこしている。
    ・ヘイルはコシュタ・バワーを追いかける。

    ゴーストはヘイルのポケットから勝手に手袋を拝借しており、その手袋を自分の手にはめた。氷に触れ、氷漬けのトアに話しかけた。
    「あんたは先ず、太陽に暖めてもらうこと」
    「太陽の部屋に入らなかったでしょ?だからタロットの恩恵を受けられなかった。月の効果は今日でおしまいよ」

    ・ミアはアレックスに話している。ひょっとして、その、首元から霊が飛び出しちゃってるってこと?首はないんだよね?ということは、コシュタ・バワーの首は、まだ彼女の中にあるということ?

    ・ヘイルは色々諦めた。嫌な馬だ。氷漬けにされたトアのところに来た。氷をなんとか取り除こうと躍起だ。ゴーストはそれを先に手伝っている。ミアの大狼の爪で作った短剣で引っ掻いている。
    ・この犬はなんなんだ。ゴーストは、息抜きに犬にベーコンを与える。犬はベーコンに関心を持たない。
    ・ヘイルとゴーストは気を失う。汚い毛むくじゃらの犬は人へ姿を変えた。トアへの熱い気持ちを告げる。君ってすげーいいやつだよね。仲間思いで。ヘイルやシャーリーたちへの態度、献身に感銘を受けた。ふたりの恋愛は、恋愛小説を読んでるみたいだった。邪魔はしたくなかったけど。こうしないとこいつらは眠らない。
    ・一風変わった見た目のアイスピックで氷を少量砕いてからヘイルの傍に置く。毛むくじゃらの犬はコシュタ・バワーを探しに戻った。
    ・数日かけてトアを取り出し月宮殿へ運んだ。
    ・肌に張りついた氷を削ぎ落とす作業中にトアが目覚めた。トアはヘイル口づけをする。

    ゴーストが壁を探っている。アレックスが呆れる。
    「よしてくれ……ぅぅ……」
    ・あのみすぼらしい犬が月宮殿の隠れ部屋に入るのをチャールズとミアが見た。
    「根住まいはそう易々と見つからないと思うよ?」ヘイル「な?ミア」

    ・ゴーストは注意深く二人を見た。ゴーストの頭に浮かんだのは関係のない疑問だった。「トーマはどこ?」
    「ごめんなさい。答えられないの、トリーが赤ちゃんで……」ミア
    「二兎追うものは一兎を得ず、だ。リラ」ヘイル
    「三兎よ」ゴースト
     チャールズ・ヘイルは目を細めた。


    ビリーは、北アメリカには五大湖があるとアメリカ人の稀人から聞いたことがある。足を止めたストライダーは北エスリマ大平原の巨大な縦穴を眺めている。ほとんど霞んで見えないが黒海レベルだということだけは断言できたし、地図の通りなら大陸の大きさを予測ついた。
     リング・ディンドンに繋がる道は北聖堂手前でなくなる。西の大山脈を左側に北街道を進んだ。街道は道標が多く親切だった。次第に縦穴は後方へ離れていく。北北西へ進めば【リング・ディンドン】だ。

    「『リング・ディンドン』はかなり稀人の世界に近いんですよね?」仲間の一人が言った。
    「誰から聞いた」ビリー
    「ははっストーミ」「ストーミだな」「こいつだな」仲間が一声にいった。
    ストーミは恥ずかしそうに笑った。「あまり期待させるなよ」仲間
    「ああ、稀人がいる」仲間「あれは、トーマですね」ストーミ
    ・面構えから訓練所から脱出したと思われるジョリー・トーマと遭遇する。ビリーが声をかけた「大丈夫か?」
    「問題ない」トーマ
    「西暦は?」ビリー
    「二千九十年」ジョリー・トーマが兄や仲間の顔見たさに旅を決意するのは自然。
    ・ストーミの話を聞いたトーマは彼らを信用する。ビリーはトーマを予備の馬に乗せる。
    ・未来の話を積極的にトーマから聞くストーミ。
    ・一行は『リング・ディンドン』へ到着。
    建物の壮大さにビリーと仲間は呆気にとられるが一人は目を輝かせている。ストーミだ。稀代の美人が両手をひろげて巨大な娼婦!と言った。※ナイトクラブネーム
     身体の芯にまで響く重低音。大音の薬物音響がビリーの脳みそを麻痺させていった。トランペット、手拍子の音、大勢の合の手……ストライダーは音の海に沈んだ。ひとりだけ泳げるやつがいる。
     ストーミが口を開いた。「この音楽はどことなく主役的ですね!」
    「そうか。俺はダメだ」ビリー
     ストーミが言った。「ガルムの咆哮のより何倍も――ぶるっちまう」
     ああ……、ストーミがやられた。仲間全員が思った。
     ストーミがにっこりと笑った。刺激的なものを見た。双子の片割れケヴィンに扮したシャーリーが尻文字を描いてる。ビリーを除く仲間全員がストーミにガッカリした。

     
    「ハッピー・タイム!」
    「ボーナス・タイム!」
     やたら速いリズムを刻むが異国情緒溢れる曲が流れ
    チャールズが来いと言いアラジンを呼ばわった。
    チャールズが来いと言った。アラジンを呼ばわった。
    チャールズはそれからも来い、アラジンを呼ばわった。
     青い肌をした巨人が何処からともなくでてきて歌いひとしきりダンスを披露した後でランプに戻った。
    チャールズが来いと言いアラジンを呼ばわった。
    チャールズが来いと言った。アラジンを呼ばわった。
    チャールズはそれからも来い、アラジンを呼ばわった。
    チャールズは激しくまわってダンスを締めくくった。

     C.Bは仲の良い兄弟と久し振りに会う。チャールズ・バニスターはジョリーとの再開に両手を拡げて大いに喜んだ。その毛深い腕で弟の華奢な背中を抱きしめて暫く離さなかった。
    「おぅ、大変な騒動に巻き込まれたんだろ?チャーリー!無事でよかったよ」ジョリー
    「はは!俺はここにいるよ。ジョリー!少なくとも土のなかじゃない。たぶん向こうに俺はいない……どうなってる?」C.B
    「私もいない。捜索願いを取り下げてくれと父親に言いたいんだ。頼まれてくれないか?」ジョリー
    「ははっ、そうだな、俺たちの話を聞きつけたリアムが助けに来てくれるかもしれない……」C.B
    「ああ、あんたも来ちまったか…、彼女からあんたの話を聞いたとき寒気がした。ひょっとしたら俺が転生したことで、あんたを巻き込んじまったのかもしれない、そう考えていた。しばらく頭を痛くしていた。もしそれが事実だとしたら、なんて言ったらいいか……すまない」C.B
    「どうして、そんな風に思うのだろう。誰も、私たちがここに来ちゃった理由なんかわかりっこない」ジョリー
    「そうだな。元気な顔を見れてよかった。リアムのことだけが心配だ。こっちには来ていないといいが……こっちは」舌打ちを挟んだ「__できないからな」C.B
    「君が消えて、あの子は酷く取り乱したよ。科学捜索の権威者リンカーン・ライムに大金引っ提げて」「帰れと頭ごなしに叱られた。頭を下げて依頼して、というのも彼は今、凶悪な殺人鬼を追っている最中でね」ジョリー
     チャールズ・バニスターが肩をすくめた。
    「彼は大金に目もくれず、きっぱり言い放ったんだよ。__とね」ジョリー
    「リアムは諦めない。怒ったリアムなんてなおさら」
    「あの子は助手からグリッド捜索の手法を聞き出して、なんとあの子は、機材をそっくりそのまま__してしまったんだ」
    「親父は……俺には、昔から冷たかった」C.B
    「今回は親父も本気になったんだろう。そうしたら世界中が俺たちを見つけたいと願う」C.B
    「戻れるかな?」ジョリー
    「……きっと喉が乾くよ。なにか頼む?」C.B
    「サンライズ」ジョリー
     ふたりはバーまで足を運ばせた。チャールズ・バニスターにカクテルを作らせるといい。ジョリーはカクテルを飲みながらチャールズ・バニスターの話を聞いた。決意の話。双子の弟が犠牲になったこと。
     ジョリーは双子の片割れシャーリーを見つめた。「そんなことが……」

    「なにか必要になったら遠慮せず俺に言ってくれ。手伝えることが、なにかあるかもしれないだろ」C.B
    「もちろん」ジョリー
    「どうぞ兄弟」C.B
    「モルドゥアと貿易、開通が目的だろう?。迷宮の情報は仕入れる」
    「モルドゥア国から逃げてきた者たちだ」
    「さすがだな。調べ屋さん」
    「後で話そう」
    「躍りを見せてくれ」
    ・踊りに行くジョリー。シャーリーを抱きしめた。シャーリーは泣いて喜んだ。



     C.Bがオリジナルカクテルを乗せたトレーを運んできた。ビリーに差し出し言った。「ほとんどのカードがこっちに流れて来たよ。レプラコーンからね」「鞄三つ分だぞ」
    「金を支払ったか」ビリー
    「使いはまだここにいる。(材料にしちまったよ)」さっきのアラジンのテリオンカードをトレーに乗せて見せた。ビリーは鼻で笑った。
     酒を飲んだ。「新しい味だ……」ビリー
    「自信作なんだ」C.B

    「あんたが、ストライダーを仕切ってるって風の噂で聞いた。俺たちは気持ちのよくない別れかたをしたからどうかなって思ったけど、レプラコーンに派遣されたと知ったら気がきじゃなかった」CB
    「北の海賊は見たことない?」C.B「あんたも一端の海賊だったんだ」

    「バダ山脈の西手前にでっかい湿地があって。オーク語では『びしょびしょ』と呼ぶ。雨季に広大な大河になるんだ。オリハルコンを運ぶのに適した土地じゃないから、海。塩胡の向こうに小さな半島があって。それなりの頑丈な船が必要なんだ」
    「海賊には好都合だよ。旧天照国に経由可能で、真っ直ぐリング・ディンドンへ向かえる。敵の船はない。」
    「天照国にはテリオンカードのほうが高値で売れると気がついてる」
    「レプラコーンには海路があっただろう?」
    「知らない」ビリー
    「あんたが『レプラコーンの財宝』を持ってんだと知れたら……どうなるかな」
    「もしバレたら、みんな靴のなかに詰めたと言おうかな。大量の靴で散らかしてやる」ビリーは笑った。


    「なぁ、ドリミアを影から操ってる男がいるだろう」CB
    「あんたの連れが男と同じ部屋だと聞いた。ストーミと話せないか?」
     後ろにジョリー・トーマが立った。C.Bは彼にグラスを手わたした。

    「兄弟を__ありがとう。大切な家族なんだよ」
    「そこの……弾けてる九頭身……」
     ビリーは肩越しに二度見した。ストーミが踊っている。信じられない。
    「ストーミ!」ストーミは躍り狂っていて気づかない。「まったく」


    「ここにいる人間はどこから……」ストーミが仲間から小突かれてビリーの手招きに気づいた。
    「それは、あんたが、信用に足る人間だと示せば話す」CBが青い鉱石を置く。
    「あんたのテリオンの仲間が野伏になった。ここの物資をくすねるんだ」青い石。
    「なんだ……」ジョリーが目を丸くした。
    「そんな……チビリが我々を裏切るなんて……」ストーミ
    「なんとかしてくれないと困る」C.B


    訓練所に乾いた風が吹いた。乾燥していて土埃が立ちやすい。
     相変わらず月男が華麗に剣を交わす。魔術師は今日も誰かを炎で焼き殺し、槍使いの色男は戦馴染みの赤毛の弓使いと組んで剣戟の稽古をしていた。
     雪月たちは牡鹿月に挑み、盗賊は横からちょっかいをだす。
     お気に入りの傷ついた同胞を回復させる桃色月、
     蝶鮫月と寒月は気まぐれで訓練に参加したりしなかったり。キャスリンは手を後ろに組んで何十という組の剣戟を眺めて監視者の仕事をしていた。
     苺香は召喚した水の球体を対戦相手にぶつけて翻弄させていたし、適応しようと一生懸命戦いに参加している。
    ・トリーはトーマを想い塞ぎこんだ。ミアとゴーストもサボり組だ。
    ・トリーは自分の召喚獣を持っていない。いままでトーマが彼女を守っていた。
     誰かが訊ねると、彼女はそれについて悩んでいることがわかる。
     苺月だのに自分の体は魔傀儡で、召喚獣を産めない体だと。
    ・トリーは欲しいと願っている『テリオンカード』をトアが渡すことはない。しかし盗まれた。トアはトリーを疑った。


    ・ストーミはシャーリーのいるバーにひっつく。中央ではテリオンバトルというものが繰り広げられている。チビリが盗賊になったと聞いて苛ついた。

    ・シャーリーは稀人のバーテンダーとデートスポットの話をしていた。ディズニーランドのアトラクションの話をしていた。
     ストーミはシャーリーに勧められたポテトチップスをパリポリ食べながらシャーリーの話を聞いた。
     ねずみが支配する夢の国だそうだ。
    「魔法とはまったく無縁の世界ではないんですね……」それを聞いた彼は悪戯好きそうな顔を見せた。ハロウィンパレードの話を聞かせた。
     なぜデートスポットなのだろうと聞かれたシャーリーは『ごはんが美味しい』と言い。隠されたミッキーのマークを捜す楽しみがあると言い、写真栄えがするとも言ってストーミの写真を撮った。乗り物が最高にクールなんだ。
    ・シャーリーは、ディズニーキャラクターのマスコットをストーミにあげた。「ほんとうだ。かわいらしいですね」


    ・ストーミがアイスにディズニーキャラクターのマスコットをあげた。アイスはうっすら嬉しそうに微笑んで懐にしまった。

     

    「リャカを知っておいたほうがいい。」
    「地上の棺が荒らされたからだ。探求者の墓荒らしは殺人に等しい」
    ・CBの部屋にビリーとストーミが通される。もはや壁紙だな。夥しい資料。【地下迷宮ゴルラート】の情報が乗っている。

    「これが……」山ができるほど鍵が落ちている「【地下迷宮ゴルラート】から【モルドゥア国】へ行く唯一の方法だよ。現在はテレポーテーションに頼ってるんだ」
    「空間の繋がりが滅茶苦茶?黒呪島に似ています……」ストーミ

    「見てくれ、地盤に無数の穴」「雷魔法だ」
    「魔法が世界にものを言う世の中。この付近を境に剣士の遺体を見なくなる」
    「お手上げだ」ビリー

    「壁のなかを歩ける優秀な魔術師がいてね。彼でも相当な勇気が必要だった」CB
    「地底の散策なんか気持ちいいわけがないと思ってた」アイスがストーミを見た。ストーミはモルドゥア国の写真を眺めている。
    「看板が光ってますよ。この色は初めて見ます」「モルドゥアにディズニーランドはありますか?」
    「模範遊園地ならある。でも、リャカのHQだ、タクシー手配する?」CB
    「タクシー……?」ストーミ
    「鉄の馬」C.B「きっと気に入る」
    「車に乗ってほしいと思ってる」
    「その為にモルドゥアに繋がる道を築かないといけない」CB
    「モルドゥアの連中がやれることを俺たちがやれないはずがない」CB


    ・トリーは潔白なのにトアに疑われてる。悲しい。誰かが召喚に覚醒する手伝いを。針鼠。
    ・ゴーストが毛むくじゃらの犬のもとへ。「あんた、何者なの?」

    リラが汚ない毛むくじゃらの犬を抱きかかえて、月の部屋の入り口扉を勢いよく閉めて入ってきた。後ろのストーミを打つ鈍い音を聞いて初めて存在に気づいた。「おっと!ごめん」ストーミは五日内に一回は月の部屋へ戻る。
    「ぁぁ……ストーミ……大丈夫か?」アレックスは強かに打った高い鼻を心配した。「痛いです」

    「【リング・ディンドン】で売られている【モルドゥア】のお菓子を持ってきました。いかがです?」
    「なにか入ってるの?大丈夫そうなら頂戴」ゴースト
    「リラ、月の部屋に人様の犬を勝手に入れてよろしいんでしょうか?」ストーミに汚い毛むくじゃらの犬が元気に吠えた。

    ・ヘイルは『リング・ディンドン』では観光もできなかったことを明かす。
    ・ストーミはC.Bから得た情報を教える。「『モルドゥア』へは『地下迷宮ゴルラート』を抜けて行くしかないようです。魔法の鍵を消費するところまではわかります。テレポーテーションとはなんでしょうか?」
    ・ヘイルが教える。
    ・続けてストーミ。C.Bが地下迷宮ゴルラートに入る必要性をなくす。モルドゥアまで続く道を整え、旅をずっと楽なものにしたいと話していたことを教える。
    ・ヘイルは【クック・ロビン】の頭首ヴィックの話をする。間違いない。彼は海賊だ。
     この世界は『戦神と魔女』というテーブルゲームを嗜むためにあるのだと教えてくれた。彼から戦神を捜せと言われた。これがいるんだ、本当だ。
     その花形である戦神は神々の手垢で薄汚れた駒にすぎず、国や僕らは神と戦神が飽きぬ為に拵えた背景でしかないことを教えた。
     ラデラ、ロスフィンデルとは神で月神とは姉妹だとも。
    ・ドリミア……特に【クック・ロビン】に興味が湧いてね、調べさせてもらおうと思った。あれ以上の詮索は諦めた。やっていいのは【ブラック・ウィドウ】までだ。
     彼らは不思議な鉱石をCBやカプリコーンから略奪していたんだよ。
    「ルインシルとマルリルアですね。モルドゥア支援援助に必要不可欠なのだとか」「元同胞も積み荷を略奪しているようです。こちらは現在は、我々ストライダーの管轄となっています」
    ・ブラックバード首領は捕まった。
    「それにしても、気になりますね。たまに聞くアーティファクトの贈り主……一体どのような人物なのでしょうか」ストーミはウィルムとイシトクの発言を思い出し暫し深く考え込んだ。
    ・見るべき物を見逃さないヘイルはストーミに後で聞こうと思った。
    ・アレックスは明日の事を訊ねる。ストーミは訓練所には明日出向くと言った。やっとか。

    ・月読国の農業地区に居を構えて養蜂や蜂蜜蝋燭の生産を営みたい。トアと農業に従事したい。準備をする。
    ・ヘイルは養蜂場へ調べに向かった。あの苺禾を月宮殿送りにした主が所有権を握っている。

    ・街道でルインシルとマルリルアを略奪させているのは【ブラック・ウィドウ】だ。


    ・訓練所にてストーミが暴れる。人狼のミアを狙う敵をすべて排除する。訓練所では最強レベルの戦士ドワマルを赤子の手を捻るくらい簡単に倒した。ムシカを倒し、神話レベルの象頭神ですら翻弄させた。ヘイルは戦神を捜せと言われたのを思い出した。



    ・ヘイルは『ブラックバード』盗賊団頭の脱獄を計画、手伝ったのち、犯罪プランナーとしての才能を認められ、情報を分かち合うことになる。
    ・ブラックバード盗賊団首領はブラックウィドウ盗賊団に合流し、再び盗賊として活動するようになった。一方、クックロビンの名すら口に出さない。


    ・ストーミはヘイルを動向を探っている。アレックスが勘ずく。ストーミに協力する。ヘイルの一連の流れを確認する。
    ・アレックスはヘイルに「養蜂場がほしいだけだろ?」と訊ねる。※ドリミア絡み
    ※ヘイルがCBが気になって仕方がないことはアレックスは知ってる。
    ・ルインシルはテリオンを破壊する。マルリルアはなんだろう。


     各々の意見を聞いて今後の__の参考にするためには、確かな情報を知る必要があった。消息筋が必要だった。
    「__の消息筋によれば」

    【クック・ロビン】首領はなぜ教えた?なぜブラックウィドウは神話を知らない?
    「そんな話を漏らすとは思わないからね」ゴーストが腕を組む。
    「あんたは危険だとわかっているスズメバチの巣を、面白がってつついたりしない。そうよね?ねえ」
    「恐らく僕たちは背徳者になるだろう」ヘイル
    「実に興味深い」
     アレックスがおさらいをする。手帳にしたためる。
    ・時計製作に使う時計旋盤が隅の方に置かれてある。時計製作に使う時間がなかなかつくれない。


     アレックスが持ち出す。ジャックの豆の木、月を飛び越える牛、自分のあると信じた物語を敷き詰めた地図だ。
    「こどもの世界で、あんたは、何を信じる?」
    「拒み続けることもできるだろう。でも、どこかで受け入れないと、いつか、心が壊されてしまう……」とアレックス
    「信じる国をつくる、か。面白いんじゃないか?リラ」ヘイル
    ・ゴーストは受け付けない。
    「わかった。親切な置物のノームがぽっと出てきて私たち全員を元いた場所――ベッド――へ送るってのはどおよ?」ミアが入ってきた。「わあ、なにを話しているの?」
    「ミアお帰り」ヘイル
    「トアは『太陽の部屋』に戻らないらしいわ」ミア

    ・アレックスから臭い消しもらう。ゴーストはみすぼらしい毛むくじゃらの犬を見張りに出かける。ヘイルが呆れる。


    ・みすぼらしい犬が月宮殿の秘密の部屋に入る。ゴーストが見張る。囮の部屋でまかれる。
    ・イヴァナは隠された空間――自室――を持ってきている。彼女はゴルラート(怖道)から地上へ出て行った魔物を捕獲する役割を担う。
     グランシラ(境界川)生息のコシュタ・バワーを捕獲するため月宮殿に犬の姿で侵入しているが、訓練生の色恋沙汰を見届けてからでいいと思った。
    仲間からはプロ意識に欠けると言われたが。
     そのため不定期に逆立ち猫のアーチに調査に入る。イヴァナがトアの手持ちテリオンカードを没収した。
     イヴァナはモルドゥア国への脅威を排除する役割も担っている。マスターテリオンは白昼夢の一種だと、個人的に思ってる。
    ――ルインシル、マリルリア―― C.Bの企みに勘づいた。
    ・逆立ち猫のアーチへ向かう。




    ・ヘイルは時計製作を開始する。




    「彼女は本の中にいる」
    「なんでそんな本お前が持ってんの?」
     預かってと言われた。

    「なあ、__前にさ、来たヤツ、騒動を巻き起こしては解決してきたヤツがいるだろ?」
    「寒月のヤツだっけ」
    「そいつなら、この子を本から出せるんじゃないのか?」
    「それ……マジで言ってる?」
    「そいつ宛に贈ってみないか?」
    「マジでか……」
    「それで、彼ないしは彼女は、この本からいつ出てくるんだ?」
    「わからないよ」

    10時
    「この子さ、絶対稀人だよな」
    1時
    「アニメキャラ」
    いきなり中から仮面で頭をおおった黒いやつがでてきた。悲鳴をあげ尻餅をついた。後から出てきた光る×印の目のやつから、口にアヘンを突っ込まれた。まだ本から人がでてくる。そして全員透明になった。
    「リャカを捜さないとな」韓国人のモルガンが首の後ろを引っ掻いた。


    ・C.Bの領地は王国にもある。【逆立ち猫のアーチ】だ。
    ・C.Bの武器製造工場。レプラコーンの隠れ家から逃げた初代テリオンが製造している。『×』はそこに用がある。
     弾丸の材料にルインシル鉱石が使われるのだが。
    「『マルリルア』が届いていない?なんで?」虎猫頭のエトラが言った。
    「盗賊に盗まれただあ?あんなもの、一体、誰に売ろうってんだ?」※C.B無駄に裕福。ドリミアには弱味を握られている。月読国に摘発されてはたまらない。
     フェイスレスは『逆立ち猫のアーチ』手前の壁に入り込んだ。
    「またいたわ」111「また嗅ぎまわってる」
    「リャカは無視するくせにだよね」モルガン「イヴァナ」



    リャカは元『×』隊員。白昼夢からモルドゥア国を守護する立場上、あたりまえのように白昼夢の悪魔を目にしてきた。その湧き水のごとく湧いてでてくる生産力に吃驚している。
     サハラには白昼夢の行進を生み出すアーティファクトがある。この神器の存在に気がついたリャカは、白昼夢を具現化する力を利用して理想の軍隊を持ち、信念の名の元に理想郷をつくりたいと思うようになる。
     月読国の法律が邪魔だった。押しつけがましい連中を一掃し立派な無政府主義をやりたいと願う。
     C.Bは武器貿易仲介者。地下迷宮潜りが嫌で月宮殿から脱した背徳者。イヴァナが教えてくれた。逆立ち猫のアーチの中に秘密があると。





    フェイスレスは越境部隊『×』のリーダー。
    地に伏した仲間が蘇生魔法に反応しない。
    理由はひとつしかない。地上の棺が荒らされたからだ。探求者の墓荒らしは殺人に等しかった。調査のために地上へあがる度に思い出す。リャカを捕まえなければ。リャカはここに来る。


    天照国の秘術を利用してリングディンドンを111と造った。
    とある地底で発掘できる鉱石が白昼夢を傷つける力があることを知った。逆立ち猫の秘密空間にて秘密兵器を製造する。モルドゥアでは維持費金がかかりすぎる。



    ⚠️リング・ディンドンとは白昼夢から迫害を受けるモルドゥアを支援するために建てられた街であることを強調する頁。

    ・×は逆立ち猫のアーチにリャカを入れないため、リャカを捕まえるために来た。
    ・リャカは自分の部隊を引き連れて街破壊をはじめる。法は私だ。
    ・リャカの仲間に二名のスタンド使いがいる。スタンド能力を使って×を翻弄する。


    ・ヘイルは『×』を入念に徹底的に調べるという願望を抱く。CBが派遣したにちがいない。×は私をとっておきの場所に案内してくれるかも。




    世界中どこだって
    笑いあり涙あり
    みんなそれぞれ助け合う
    小さな世界

    世界はせまい
    世界はおなじ
    世界はまるい
    ただひとつ

    世界中誰だって
    ほほえめば仲良しさ
    みんな輪になり手をつなごう
    小さな世界

    世界はせまい
    世界はおなじ
    世界はまるい
    ただひとつ

    世界はせまい
    世界はおなじ
    世界はまるい
    ただひとつ
    リング・ディンドン、リング・ディンドン、リング・ディンドン……




    ・十二月神の使者の皆が月神から信託を授かった。月宮殿大広間に全生徒を召集する。顔面蒼白の桃色月神の使者を見た盗賊系がいち早く内容を悟った。破壊神が街を破壊しにくる。月宮殿総出で迎え撃たなくてはならない。
    ・その時がくるまで皆は街で待機する。
    ・トリーの震えがおさまらない。『死神のカード』を私が引いたから。ミアは大丈夫だと慰める。「トリーには、どうすることもできないのに!」トリーは苺月。召喚獣を生めない魔傀儡の体。戦えるトーマはもういない。ミアは街へ行く前にトリーをとっておきの避難所カプリコーンに送り届けることにした。なんなら自分も避難する。だって相手は神様だもの。後ろからゴーストが走ってきた。リラも。あら、汚い犬はどうしたの?犬は目をひんむいて逃げてった。よりによって街中に。


    ・リャカが月読国を破壊する為にまたやって来た。完全に壊すまでは何度でも来るつもりでいる。邪魔だなと思ったやつは、やっぱ、×。
    ・月宮殿の使者の相手は部隊に任せてある。
    ・×がリャカの進行を攻撃で阻んでくるがリャカは立ち止まらずフィタの噴水広場を目指した。フェイスレスの破壊魔法をかわす。ダンタリオンと銃撃専門111とX-6は指を咥えるだけ。
    ・×のモルガンがモルガンに化ける。槍使いの神。リャカはモルガンの猛攻を掻い潜る。掻い潜る先にバッテの爪召喚による爪攻撃がきても動じない。

    ・リャカが徹底的に×の猛攻を無視してカーリーに化け月読国の城を掴むと引き剥がす作業にとりかかった。モルガンが槍を突き刺そうと構えれば多腕のひとつふたつが斬りつけにかかる。モルガンに対するカーリーの罵倒が響き渡る。
    ・まるで手に終えない。リャカの部隊が使者をしり目にバタバタ人を倒す。

    ・象頭神がカーリーに斬りかかる。剣戟。カーリーが象頭神の牙をへし折る。
    ・カーリーが象頭神の首を折り瞬殺する。ムシカは混乱してついカーリーを掬い上げると遠くへポイする。その先にはトアがいた。

    ・トアはカーリーを凍らせる。動きが鈍くなるだけ。トアはカーリーが突き刺した刃によって死ぬ。×はカーリーの凍った体を頑張って砕こうとする。
    ・カーリーは城に駆け寄りムシカを飛び越え、回転斬りをかました。一部が粉々に吹き飛んだ。リャカは回転した勢いにまかせて剣を振り回しながらその場を離れるとモルドゥアへ去った。




    ・ヘイル街通いが日課に、トアを待つ。じっと待つ。

    買い物袋を両手に抱えて歩く彼女の姿を見つけて心が揺れる。
    さも親しげな男が支える
    男と親しそうに話すトアに微かな嫉妬
    彼女は男の店で働いていた。
    男との関係を把握
    数日しか経っていない
    彼女はあんな風に笑うのか
    ⚠️男の関係をしっかりと書くこと!

    「どちら様ですか?」
    自分との関係についての記憶は蘇らず。
    ※必ず思い出してくれるという安心感を持っている。

    店に通い続ける。
    ⚠️トアと男の関係をしっかりと書くこと!
    それでも通い続ける。

    聞こえよがしに稀人に対して誹謗中傷の客の声、亭主は客に怒る。
    きっかけに男と親しくなる。男から婚姻の悩みを聞かされる。
    調子に乗った男の夢語りにすぎない。
    おいおい、彼女と出会って何日目だろ
    同時に、自分がいかに恋人に無関心でいたかを思い知る。
    彼女は、将来は子供がほしいって言ってる。ヘイルが受け止めて子作りを検討する。

    トアは月宮殿の訓練生になる。男との破局は目に見えている。一歩下がってじっと考える。
    「お客さん、ちょっいいですか?」
    「時計、ですよね?」小声で訪ねた。彼女の顔がそこに。
    時計を彼女に手渡す。トアは時計に見いっていた。何処のメーカーだろう?といった感じ。

    今日は彼女に会える日だった。時計のなかの彼女に、という意味だが……
    自分は、彼女のことを知ろうとしなかった……

    今日は、記念日だったから、特別な料理を注文した。
    彼女が訪ねた。「ひとり?」

    正直に答えた。「特別な人に会える日なんだ」と

    「会えるといいですね」と笑顔で言った。

    ふたりはなにかを計画している様子だった。

    プロポーズするつもりらしい……私は、ふたりの悲恋の結末を知っている。


    厨房からきゃあという声が聞こえた。
    彼女が厨房でトマトを落としてしまったようだ。
    つぶれたトマトを見て固まっている様子。
    男が気にするなと声をかける。

    あなたも稀人よね。強烈なイメージが頭をひっぱたくことってない?

    親しいはずの男の態度が変わる。すまない。思ったようにいかなくて。
    彼女って記憶喪失だろ、過去の記憶を取り戻してくれることは、彼女のためにはいい。だが……最近、距離が、つかめなくて


    トアがあの養蜂場の巨木の下にいた。琥珀を眺めていた。
    彼女に近づかずにじっと物陰から眺める。ライバルのことを心配している?と思い始めた頃バスケットからサンドイッチを手に取って頬張る。なんだ、ただのピクニックか。

    翌日、彼女に訪ねられた。どうして毎日街へ?
    「街へは、食事をしに降りてくるだけだよ」
    男が茶々を入れる
    あんたのためだったら出前だってできると
    彼女に叱られた
    通うことをやめられなかった。
    無言劇……トアが囁いた
    彼の目があるから

    トアは装飾屋の前にいた。男と
    じっと物陰から眺める。
    色々と試している
    婚約……
    今日は店の休日だから見つかるわけにはいかなかった

    ふたりは仲むつまじいカップルだ。自分の場合、こうはいかない。
    深追いはやめた


    彼女の薬指に白い石が輝いている。覚悟を決めて席に着いた。
    男が自慢げに話をした
    デートの話を
    後から出てきた彼女の指に石はなかった。
    彼女は落ち着きがない。

    彼女が席に着いた。
    手には彼女のごはん。
    距離感がつかめなくて、か

    「いま何時かわかる?」

    嬉しそうに懐中時計を盗み見た。
    ヘイルは時計師だと知っていることから、彼女は、記憶のほとんどをを取り戻していることがうかがえた。
    恋人関係だと、知っている

    彼女とは、日常の何気ない会話をする

    訓練生の話題に入ったときに、男が割って入る。彼女の隣に椅子を持ってきて座る。月宮殿のあれこれ。このまえの騒動の話。
    モルドゥアから離れればあれを凌ぐ化け物がうじゃうじゃいる。
    訓練生なんて何の役にもたたないと思い知らされたとヘイルは愚痴る。
    彼女の取り合いがはじまる。
    男に熱が入る。彼女が怒る。喧嘩がはじまる。
    追い出される
    破局するのは僕らのほうかい……

    月宮殿へ帰る
    いつぞやの瓶は夜の色に染まっている
    時計を見て、僕は自分に残された時間を知っている。と囁く

    地面に血がひろがっていく……鼻は利かなくなり、視界も暗くなっていく
    訓練所で訓練生らしく死す日々
    水槽から上がって鉄の門へ歩きだすとき、アレックスが呼ばわった

    正直に話す。僕はふたりにとって自分は秩序を乱す悪なのだと。

    彼女はいずれ月宮殿へ招かれる。悲恋なのは目に見えている。そっとしておけないのは、妬いているから

    アレックスが物語をする。家庭崩壊を招いた男の話を
    成すべき事に囚われた。彼女に無関心でいたがために壊れた家庭を

    ふたりは結ばれるのかもしれない。
    苺香が近づいてきた。滅茶苦茶だと。
    今度は、彼女からの誘い、だ。なんとも

    苺香とデート

    「カエルの王国から帰ったときに、ふたりの男に引きずられていく彼女を見た。目が合ったわ。けど、なにも見なかったふりをした」

    大丈夫よ。苺香は店へ入った。さっそくトアを見つけた。
    トアがヘイルを見て硬直する。二度見て三度見た。

    「わかるわ……彼女の気持ちが」頬杖をついた苺香の薬指に石の指輪がはまっていた。さっきまではなかったものだ
    注文を取りに来た彼女は明らかに戸惑っていた。




    「告白したほうがよさそうよ」
    「彼女は、私を許してないと思うの」
    「なのに」

    「貴方が犯した罪を知って……どうして貴方を許せるのかしら」
    帰り際に指輪を外した。

    「しばらくの間は、あの店に近寄らないことね。あなたが近づいたら、安心をあのコにあたえることになるわ」
    「私の努力を無に還さないでね。焼きもちを発酵させておくのよ」

    「あんたに手紙」ゴースト
    「読んだな…」ゴーストは頷いた。
    胸騒ぎがする。彼女の表情は……いまここで読んで、あんたがどんな顔をするか見たいから、といっている。

    トアは…………会いたがっていた。素直になって恋愛のことはわからない。
    ゴーストに相談する。
    率直に言った。

    「__の時にあんたに惚れて恋文を送った。いつか、あんたのお嫁さんになるって」

    「あんたとの関係を、思い出したのなら、月宮殿へ召集されるとわかってるなら、あんたのやるべきことはひとつしかない。はやく助けてやんなさいよ」「そしたら、あんたが……わかるでしょ」

    「あんたこそ、それでいいのか?」
    ゴーストはギクリとした顔をした。
    「あんたから黒バラを貰ったことは忘れていないわよ」
    「ありがとう」

    ヘイル、バラを買う

    トアは、自ら月宮殿へ向かった。彼とは別れた。喧嘩をした。
    道の途中でヘイルを見る。バラを、買ってる

    店に入る、誰もいない…
    状況を察する。ふたりは喧嘩をして、どちらかが飛び出した。片方は追いかけた。
    男は彼女を追いかける。
    トアを見つけた男は、ストレートに謝ってストレート発言
    トアはヘイルと付き合っていた。浮気だと気づいた。

    手を離す

    「恋人の不幸の上に、私たちは幸せを築けない」
    彼はふたりの墓穴を掘った
    彼女は歩み去る
    どこに行くんだ?あてなんかないだろうに

    ひき止める。
    駄目だと言ってる!
    腕を掴んだら離さない

    ヘイルのほうに事件?
    騒動を巻き起こす稀人叩きに絡まれた
    ぶっ飛ばす。
    トアじゃない。良かった
    稀人を檻から出して助ける


    トアは……店にいた。
    一体、何があったの?ヘイルさん、ひどい怪我……
    「君は、どれくらい思い出した?」




    「君は生まれ変わることで__から外れたといえるね」
    「君は自由なのだから、__ってもいいと思うよ。夢を叶えるチャンスは__に巡ってくるもんじゃないからね」
    「……」
    「君の夢は家族を持つこと、そうだろう?」
    「そうね、夢よ……」

    「ずっと考えてた……君が、夢を叶えるためには、神隠しにあう必要があるって」
    「産まれてくる赤ん坊は、僕ら自身が面倒を見るべきだ」

    ※ヘイルは、結婚と子作りを計画に組み込む。彼女に告白する。彼女を地下に潜らせないために。

    「地下に潜らない……でも、それって本当に可能なこと?」
    「ああ……」
     ヘイルの腕を掴む。
    「よかった!その……私……」

    「あんたの女だって、気づいたから……抱けなくなった……」
    横取りする気はない。どっかいってくれ
    店を出た。


    『ブラック・ウィドウ』のカトラーは首尾よく養蜂場を手に入れている。お陰で養蜂場を彼から買うことができる。後払いになるが。

    ・チャールズ・バニスターを洗う。
    ・養蜂場の金を払うため、ドリミアの依頼をこなす準備をする。
    ・ヘイルの犯罪を知ったらトアがどう思うかは何処かに置く。気づかれなければいいと。


    「あの巨木もキミのものだよ」

    ヘイルは少し養蜂場を空ける。
    「私をここに置いて出ていくつもりなの……?」

    シャルビーは、DYI趣味。自作チェストに貝殻の装飾を施したいから貝殻を拾うためエメラルド海への素潜りを決行する。大丈夫。フィタの噴水広場に集う人びとは変態慣れしている。
    『逆立ち猫のアーチ』では、雛頭のテリオンのために馬の玩具『バターカップ』を作ってあげたり、魚頭の看板屋の為に看板を作成したり。DYIのことでなら色々とやって来た。
     最近はカプリコーン難民が増えた。スーツケース三つ分のテリオンカードから皆を解放した。皆がオークから酷い扱いを受けていた。
     心がささくれだっていて不穏な空気になりやすかった。
     あの肌の青い女はモルドゥアから来た偵察隊のひとり。いつも邪魔をしにくる。確かに、私はテリオンじゃないけど。
     シャルビーは行きつけの『ノミのたまり場』へ行く。小物ひとつとっても珍品。林檎から別の植物の枝が生えているティーカップで酒を飲んだ。酒を注ぐ瓶に植物の葉っぱ脚がついている。

    ・テリオンたちの今日の感想、イヴァナ!!!なんか、ずっと監視してる。

    ・シャルビーは、ほのぼの系の獅子頭のテディコと仲良くなりたいと思っている。果物をあげる。最近のマスターテリオンは食材を混ぜるのが流行ってる。だから頭に果物を実らせるテリオンがいる。檻を頭に乗せてるテディコ。
    ・狼頭のエトレ、しっかり系茶兎頭のチェフタ、黒猫頭のポビン、いつも集う場所は、酒場『ノミの溜まり場』何故か、酒場では皆がルールを守れない。サーカスになりがち。


    ゴーストは汚い毛むくじゃらの犬を追っていた。いつの間にか逆立ち猫の秘密通路に迷い込んだ。動物頭の狭い街の登場に困惑。縦長のだいぶカラフルな建物が隙間なく列なってる。
    ・エントランスで魔法薬草の栽培をする猫頭、沢山の花が飾られたベランダで魔法煙草を吸う鶏頭、洗濯物は手で叩く派の豚頭、隣のベランダではフラミンゴ置物が目立っていた。そこにカードゲームに興じる双子のハムスター頭、いや、三つ児……魔法魔法!魔法!!
    ・路地は玉石……広場の中央に井戸。洗濯をする犬頭、犬頭に犬頭……。
    ・使い魔が飛び交う小路地。ゴーストにハーブを売ろうという魔女は蛇頭。隣に佇む弟子らしき……からくり人形?

    ・菓子ひとつ買うにも特別な通貨が必要みたい。ゴーストは、ポビンの手下から通貨を盗む。手下は直ぐにゴーストを追うが見失う。慌ててポビンに連絡する。


    ⚠️モルドゥア国から派遣された。リングディンドンと頭を悩ませている問題がある。武器製造工場だ。
    モルドゥアに都合の良いマルリルアとルインシルを取り扱う武器製造工場を放っておけない理由がある。とイヴァナは信じている。『モルドゥオン・シーリンが嫌がっている』から国に都合が良くても悪なんだ。マジで理由はなんなんだ。
    そして、モルドゥオン・シーリンは言った。経営者以外の立ち入りを禁止して!と、CBはこの条件をのんでいる。シャルビーは部外者だ。

    ・イヴァナはシャルビーを掴まえる。「それは困ったわね。それを見せてもらわないと、私は、あなたをここの市民だと認めることができないの。あなたはテリオンじゃないもの」
     シャルビーは、すり抜けてイヴァナから逃げ隠れしているときにゴーストに見つかる。


    ・ゴーストに魔法の絨毯を売ろうとする水牛頭。
    ――地底国は、青に肌を染める慣習でもあるの?
    ・ゴーストはイヴァナを追跡。女の子を追いかけ回している悪いヤツだし、たぶん出口を知ってる。


    ・狼頭のエトレはイヴァナたちと頭を抱えている。モルドゥオン・シーリンの被害妄想に振り回されている。マスターテリオン工場だけは見つかっちゃ不味いんだ。
    「だいたいこれを依頼したのがモルドゥオン・シーリンだぞ?もうわっけわかんね!」


    ・ゴーストは小腹が空いた。札を使おうとしたら店番に断られる。どうして使えないのよ?そうだ。私に怪しい品物を進めてきた連中なら……


    「本当に特別な、特別な通貨だよ」
    「ここで製造しているんだよ。チェフタ、テディコ。見るんだ」狼頭のエトレが教えた。
    「毎月、__の通貨が雪崩れ込んでくる。さばききれない数だろう?」
    「一万枚の通貨を魔法でまとめて1枚の札にしてある」つまりゴーストを処分しないと市場が大変なことになる。一万の通販が収納された札を崩したどうなるか。モルドゥオン・シーリンの悲鳴を聞くことになる。シーリンが悲鳴をあげたら俺たちも悲鳴をあげるはめになる。お願いだテディコ、君の獅子頭を頼っていいかな?


    ・ゴーストの何も買えない買い物は続いた。イヴァナが建物から出てくる。ゴーストはイヴァナ監視を続ける。だって帰りたいし。
    ・イヴァナは、また 適当に報告すればいいや。と思った。それよりゴーストを注意した。その金は誰から盗んだの?あなたはここでは働けないわ。シャルビーのように物を売って手に入れたのかしら?ゴーストから金を押収する。

    ・獅子頭のテディコはゴーストに詰め寄る。金を返せと。


     もし、工場が見つかりでもしてモルドゥオン・シーリンに差し押さえられでもしたら?リングディンドンと痛い頭を更に痛くすることになる。モルドゥオン・シーリンは女王の座を息子のロモ戦神に譲るべき。

    ・酒場『ノミのたまり場』イヴァナの傍らで蛙頭が誰かが弾丸の粉で火遊びをしたそうだ。と言った。兎頭のチェフタがお盆で蛙頭をぶった。イヴァナがライフル工場の手がかりを見つてしまわかった。明らかに嫌そうだった。イヴァナはバーテンに酒『んなこた知ったこっちゃない』を頼んだ。

    ・イヴァナが支払いを済ませようとしたとき、クリーピングコインを作動させた。冊から大量のコインが弾けた!皆、コインに埋もれた。
    ・酒場にいたポビンは真っ青になった。ゴーストを探して口封じを!


    ・シャルビーがポビンの悪事を知る。あれを毎日少しずつ、くすねさせていたの?
    ・俺たちがだ。狼頭のエトレ、黒猫頭のポビンはシャルビーを黙らせる必要があると思いはじめた。
    「俺たちは金を集めてるんだよ。自由を買うのさ!だけどあのバカ女が金を盗んだから!衛兵気取りのイヴァナが押収するってもっと早く気づけたらよかった!」
    ・シャルビーは、ようやく理解した。
    ・シャルビーの不安。稀人が友達を傷つけるかもしれない!

    ・この街、出口がない。出られないゴーストは苛ついている。シャルビーを見つけて出口まで案内させる。

    「裏切ったんだ…」テディコはゴーストを口封じするために追いかけた。
    「ちがう!こんなはずじゃなかった!!」と涙ながらにシャルビー
    ・ポビン、ゴーストの銃に撃たれる。
    「なんだそれ……」黒猫頭のポビン
    「獣狩りには鉛が一番」ゴースト
    「そんな!」兎頭のチェフタ
    「一体何をするの!!違うの!!違うんだって!」シャルビー
    ・ゴースト、泣くじゃくるシャルビーを脅して出口へ向かわせようとする。
    「きっと、だいじょうぶ、いまから医者の元に運ぶからね」チェフタは黒猫頭のポビンの手当てをしてから。
    ・ゴーストを罵倒しながら、その子を放しなさい!私が案内する!
    ・シャルビーは解放された。謝りながらポビンを医務室へ運ぶ。わかるよ。あいつ異常だもんな「チェフタ?」チェフタ戻ってきて手伝う。

    ・兎頭のチェフタは鼻をならす。「私が逃げ道を確保しなかったと思う?強力な助っ人を呼んでおいたし!」
    「彼ないし彼女は口を割らせる専門であるし封じる専門でもある」黒猫のポビン「ボスの右腕だもんな」二匹同時に言った。


    ゴーストは両腕を上げた。「うそ。汚い犬を追いかて転がってきた先がここ!ね、お願い……私を悪夢から叩き起こしてくれない?……案内役の妖精さん」
    「口を使う必要のない対話をしよう」ジョリーが誘う。

    ・製造工場へ案内する。イヴァナ追跡。
    「ついてきてるんだけど」ゴースト
    「追わせてる」ジョリー
     ジョリーはわざとイヴァナを追わせる形で案内する。
     リング・ディンドンは冒険者たちに銃の提供をしている。

     ライフルの製造工場を見せる。

     ジョリーは二丁拳銃使い。イヴァナを消す。
    「お見事」「出口まで案内してくれない?」※ゴーストはひやひやする。私にわざとらしく見せた。他にも大変なものを造ってるんだけど、そっちは探るなよ?わかったな?と彼の目は言っていた。
    ・ゴーストは口を使わない対話をした。ジョリーに頷いた。ジョリーもゴーストに頷いた。
    ※イヴァナは死んだふり。事前に打ち合わせ済み。


    「お土産」ゴーストは月の部屋にライフルを置く。
     ヘイルとアレックスが手に取る。「ぅぁ……これをどこで手に入れた?」「いや、結構だ。その話は聞きたくない」
    「よかった。話す気なんてなかったから」ゴーストはつっけんどんに言った。
     ヘイルは聞きたかった。CB絡みに違いなかった。
    「ルインシル弾の威力を最大限にあげるモデルだろう……」
    「あんた、死ぬわよ」


    ・イヴァナは仕事をやめて、CBの右腕に生まれ変わった。
    ・汚い犬を抱えたジョリーの双眸に映るテリオンはとてつもない力を宿している。こいつを処分する事態に迫ったときにのみ大量のルインシルが必要になる。
    「うまく騙せたな」黒猫のポビン
    「ゴーストの登場にはヒヤリとしたよ」ジョリー「彼女はとても腕の立つ狩人だから」汚い犬が『違いない』と吠えた。

    ・参った。ドリミアは逆立ち猫のアーチに入れない。CBを探るにはゴーストを頼るしかない。


    ・トアに雇用の話をしながら養蜂箱の確認。
     トアの髪を金色に染めていく。内側に巻かれた前髪を揃えている。
    ・盗賊気質のドリミアを使いにするのは危険だから、無害そうな婦人を雇った。
    ・婦人から荷物を受けとるヘイル。『わたし、ドリミアよ』やれやれ……

    ・トアの素朴な疑問に答える。お金とドリミア。カトラーが養蜂場主を脅して買い取った話なんて言えない。蜂蜜蝋燭の売れてる。彼らの取り分があっても、結構貯金できてる。

    ・日が暮れてきた。布で汚れを拭く。
    ・買い出し婦人がきた。
    「誰かに料理を作ってもらうなんて……いつぶりだろう」

    ・ウェディングドレス生地に使われていそうなワンピースがトアの肌を隠している。
    食材買い出しに出かける。ヘイル、トアの腕についてる汚れを拭く。
    アレルギーはあるのかないのか話をしながら
    麦わら帽子を、大きなリボンを結びなおしてあげる。

    他種族にはドリミアの男女を見分けることが困難だけど、実際はドリミア間でも男女の見分けがつかない。
    ドリミアの男は妻の頭にスカーフを巻いてあげる風習がある。妻を外に出すときに危険な目に会わないように、と願掛けをする。
    🤔トアをひとりで行かせる?
    「君の手料理が、楽しみで……」
    「私はあなたの手料理が食べられると思ってたのに」

    ・トアは本当に人質になる。調べ屋のジョリーが見張っている。
    ・チャールズ・バニスターを洗う?

    ・ドリミアの依頼をこなす準備。金?
    ・ヘイルの犯罪を見たトアは?

    キッチンから匂い
    「ドリアか……」あの亜人たちのことを執拗に言いすぎた。初めての彼女の手料理が__心をくすぐられた。

    食後の運動から帰ったら、トアが居間で例のワンピース姿
    別々の部屋で就寝
    トアが隣の部屋でベッドに乱暴に身を投げたのがわかった。
    「夕陽が嫌いになりそう」トア


    ・早朝、ドリミア婦人の囁き。ジョリー・トーマが扮装して彼女に張り付いている。トアは逢引きを連想する。


    ・ヘイルが嫌がる買い出しからトアが戻った。婦人の帽子をかぶっていた。


    蛇口をひねった。水を見つめながら
    「ここ何日か、あなたに約束をすっぽかされた__の気分でいましたことをお知らせします」ぽつり独り言を言った。

    ヘイルに指摘された、顔についた土を洗い落とすはずが、忘れてヤカンを手にとって水を入れた。火をかけた。
    「…………ええ、求める相手を間違えて……悲しくなりました」※花
    「どうしたら私たちは先のことに取り組めるのでしょう。自分たちの子供に興味をもってほしいんです」

    湯が沸騰していたらしい。というのもヘイルが側に来て火を止めたから。
    彼が、カップを用意してトアのために紅茶を入れた。彼は頷いた。

    そしてまた、土が顔についてると言われた。おでこと鼻のあたまに。トアは顔を拭った。
    ※ヘイルとトアの1日のスピードが異なる。1日に対する思い入れが異なる。


    ヘイルは2日家を空け戻った。

    ・花を植えた。
    「結実しなくて困っている」トアは話を切りだす。「2日後は、お願いします」
    湯が沸騰していたらしい。
    というのもヘイルが側に来て火を止めたから。また、彼がカップを用意してトアのために紅茶を入れた。
    そしてまたまた、土が顔についてると言われた。
    頬に。トアは顔を拭った。


    ・ゴーストを利用して『逆立ち猫のアーチ』情報を入手しようとしたがジョリー・バニスターは手練れの調べ屋らしい。リラは既にぼこぼこにされ出禁になったと言った。
    ・ジョリーが養蜂場を探る。糸を巻き上げる釣り師のごとく。彼がドリミアとつるんでいることはとっくに知っていた。養蜂場を買ったのはカトラーだ。金はまだ渡してない。これから大仕事を成すつもりだから。それはCB絡み。


    ・ストーミから妻をアイスを匿ってほしいと頼まれる。チャールズとトアは受け入れる。


    ・チャールズ・ヘイル、略奪品の中身を知る。大量のマルリルア。
    ・ドロレス婦人から本を調達したあの日から、彼は本の虫になった。
    ・トアは本の虫に「かけたい言葉」を飲み込んだ。おはようとか、今日の予定とか些細なことだけど……彼が嫌がることは知ってるけど、してほしいことは知らない。トアにできることは彼の邪魔をしないことだけ。
    ・アイスは別棟にいる。昔チャールズが使っていた部屋だという。ここでも彼は好んで男装した。いまは妊娠していてる。トアは羨ましがった。
    ・トアはアイスに仕事を教えながらどんな感じか訊ねる。


    「警告したのに」ジョリー・バニスターが絡んでくる。トアに乱暴をする様子を街道からドロレスが見た。アイスに助けを求めた。

    ・トアは拘束された。紙やすりを手にしたジョリーが教える。彼の目的を。
    アイスが突進する。ジョリーは銃を構えた。わざとらしく腹を狙っていたからアイスは足を止めた。しかし、彼は撃った。

    ・ジョリーはアイスの両腕を後ろに縛り、繋いだ。
    ・彼が回復の薬を机に並べだしたとき、トアは生きた心地がしなかった。幸せとは程遠い。ここに来て私は彼から幸せをもらったけれどいまは。
    「彼がいったいなにをしたの?」トア
    「私は、蜂の世話をしていただけなのに」トア
    「チャールズ・ヘイルの話を、私に聞かせてくれないか」ジョリー
    「ひ……酷いことしないで……!」トア

    「待て!誓って言う!トアは何も知らない!」アイスが言った。
     ジョリーはトアの指にヤスリをかけはじめた。
    「お願いです……なにも知らない!!」
     トアは我慢できなくなった。


    ・ストーミはアイスの嘘を匿うために農場を利用した。条件があった。なにかにいって逆立ち猫のアーチ内部を調べてほしい。そんな無茶……。

    ・ビリーがずっと見逃してきたチビリを捕まえる日がきた。
     いつもカサディス地方で言っている言葉がでてしまった。「もっと街道が整備されれば往来もずっと楽になるのですが……」
    下っ端が言った。「タムタカから来てる」


    チビリは簡素な作りの寝具にあお向けで横たわり、天井へ向けて持ち上げた両足の__を両手で支えていた。裸だった。
    「まぁ悪くない。このテルコンがあんたのお気に入りだから」メリルが腰を落とす。
    ・チビリはストライダーに気づく。チビリの獣耳がビリーとストーミの声を拾った。遠くで夜営する様子を伺った。自分を捕まえる話をしていた。


    ・チビリは夜の狩りへは行かない。少しばかりメリルに乱暴をして、狩りを拒絶した。チビリはメリルが狩に行くのを見届けてから家出した。
    ・チビリのあんな態度ははじめてじゃない。最初のうちは酷いものだった。
    メリルは独りで行った。
    ・ビリーは盗賊を取り押さえる。爬虫類のテリオンだ。略奪品を押収した。ビリーの直感。「相棒は?」ビリー
    ・ビリーはメリルの腕を掴みルインシルに押し付けた。ルインシルに触れたメリルの手が焼け爛れた。噂は本当だ。
    「タ、タムタカから来たんだ!も、もう乱暴はやめてくれ!」
     ビリーはテリオンにマルリルア弾丸を使った。効果は薄い。
     




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    2024/01/15 3:37:28

    MOON CHILD

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    • 地獄の壁 #フロントミッション #地獄の壁
      ねずの小説「Frontmission」更新。書き急いでる。いろいろ置いてきぼり。
      来月の6日まで、ねずはギャレリアお休みします。
      ねず
    • 2ジャパニーズボブテイルとジョシー・ダリン #フロントミッション #地獄の壁 #いつものヤツら

      右に同じく「ネコとスーパーモデル」のコピー。
      イラストを描くときに使った口癖「もぉ~やだ」
      ねず
    • 10Metalworker #metalworker #ウォッチメイカーねず
    • 7ジェフ #いつものヤツら #オリキャラ から ジェフ
      ねずのハートのいろは黄色でっスマ!
      そんなことより6枚目の写真に写ってるカーテンダサい。
      ねず
    • 2エキゾチックとゲッタ・セドリック #フロントミッション #地獄の壁 #いつものヤツら
      右に同じく摸写。
      あなたも猫の気持ちになってみてください。
      ねず
    • 2Twin moon #いつものヤツら#ウォッチメイカー から
      いつものチャールズ・ヴェスパシアン・ヘイルとジョリー。


      ※摸写である。
      ねず
    • 2双子月お絵かきソフトCOLOR'S3dを使って2DSLLで描いたイラストをスマホに落としてからフーディーで加工しました。

      #いつものヤツら #ウォッチメイカー から
      チャールズ・ヴェスパシアン・ヘイルとジョリー


      摸写です。
      ねず
    • 2Metalworker荒れてるな。誹謗中傷スタンプを貼られたら、そりゃびっくりする、悔しいよな。自分の誹謗中傷を耳にしても「聞かせんな」とはねのけちゃえばいいです。追うのは疲れる。私はそうしてます。だって、そいつ、忘れ、とぼけの天才だから。
      そいつだって骨折や病気をひとつでもしたら普通の人生を歩めなくなります。場合によっては無職にもなりうる。無職は死ねとか簡単に言う人は、自分の頭で考えて言った訳じゃない。
      Webや都合の良い仲間の(愚かな)考え、またはジョーク、皮肉を理解できずに、自分の頭からひりだしたまともな意見だと思って、言っちゃいけないところで使ってるだけ。思考停止脳の持ち主なのでは。
      キモイ、K印などはくだらない引用にすぎない。
      そして、くだらないことを言っても無駄です。言ってやった当人の賢さがアップします。ボーナスの振り分けありがとうございました!と言っちゃってもいいな。
      で、も、気になるものが気になるのが繊細な心を持つヤツなんだよな。はあ。

      っつーのがねずのいまの気持ち。じゃぁ、また6日。
      ねず
    • 3アビシニアンとミリガン・アシュトン #フロントミッション #地獄の壁 #いつものヤツら

      右に同じくコピー。
      ねず
    • ハバナブラウンとジョリー #いつものヤツら からジョリー・バニスター

      右に同じく。Pinterestで偶然見つけた「ネコとスーパーモデル」よりコピー。
      ねず
    • ジョジョ。ジョリーとジェフさはい、 #いつものヤツら から いつものヤツです。
      小説、「Frontmission」更新しました。
      荒は気が向いたときに直します。
      まだまだ続きます。

      ※摸写🙇※荒木先生のジョジョとは無関係🙇
      ねず
    • 2シャルトリューとフランソワ・ルタン #ウォッチメイカー #いつものヤツら #チャールズヘイル

      「ウォッチメイカー」よりチャールズ・ヴェスパシアン・ヘイル。右に同じく。摸写。
      ねず
    • 2ピーターボールドとデイヴ・スターリング #フロントミッション #地獄の壁 #いつものヤツら

      Pinterestで見つけた写真「スーパーモデルと猫」から摸写🙇
      ねず
    • 3チャールズ #いつものヤツら #ウォッチメイカー からいつものヤツら。ねず
    • 2アリス #いつものヤツら からアリス・アスクウィスさん。

      ※これは模写だね。3DSソフト、カラーズで描いた。
      ねず
    • ハングオーバー #いつものヤツら
      過去絵だけど。
      ねず
    • 2泥棒さん #いつものヤツら から #オリキャラ ジェフ

      ※摸写🙇
      ねず
    • 13いつものヤツら #フロントミッション #地獄の壁 #いつものヤツら からみんな。
      チャールズ、ゲッタ、ミリガン、シャーリー、ジョリー、ゲーオ、ジョシー、マルコ、トラヴィス、ケヴィン、デイヴ、リーバス、グリーグ
      ねず
    • FM――いつものヤツら――(推敲公開)悲しいかな。私は小説を書こうとすると作家様に助けを求めたくなります。冒頭ではスティーブン・キングの『ライディング・ザ・ブレッド』を、ジョリーの物語では『ヒストリアン』から引用したように、作品から拝借しなければ表現できないのです。ここ『frontmission』からは頻繁に引用を使っています。
      物語自体はオリジナルですが――シーンについては悲しいかな。オリジナルとは言えない――、フロントミッションの二次創作物です。(続)の意味は文字通り、『frontmission』は終ってないということ。後日更新します。気が向いたら。1年後かも。
      #フロントミッション #地獄の壁 #いつものヤツら
      ねず
    • 5リスナーとシセロ #スカイリム #シセロ #いつものヤツら

      「おまえを見ている」の🖐️を届けたくなる季節。
      ねず
    • チャールズ・バニスター #いつものヤツら からチャールズ。ねずのクソ小説『Frontmission』 にでてきたやつ。ねず
    • 2双子ちゃん #いつものヤツら からシャーリーとケヴィン。

      ※模写だね。Pinterest『つきおばけ🌚』のほうにも遊びに来てね。
      ねず
    • 6ブラックサンタ #スカイリム #シセロ #闇の一党ねず
    • なにか言いたげシャーリーちゃんはい、 #いつものヤツら から いつもいないヤツ。

      さっきのは、新着のお隣さんとミラクルコラボしたみたい。はかってないです。偶然です。
      ねず
    • ジョリー・バニスターはい、 #いつものヤツら からいつものヤツです。ねず
    • 喉が渇いたジョリーはい、しつこいねずです。 #いつものヤツら から はいはい。きみらね。
      #ウォッチメイカー から チャールズ・ヴェスパシアン・ヘイル

      ※摸写🙇
      ねず
    • 踊らない男 #フロントミッション #地獄の壁 #いつものヤツら

      からゲッタ・セドリック
      ねず
    • 五十代アメリカ人男性を描けない悲劇 #ウォッチメイカー #チャールズヘイル #いつものヤツら
      おお、朝起きて様子見に来たら賑わってるじゃないか。ほかは知らないけど、ここは未明とか、朝に賑わうのかな。昨晩は大人しくて、いろいろ評判とか調べにでかけたくらい心配したよ。
      昨晩から利用させて頂いてます!ってあれ?新着いっぱいあったんだけど投稿したらなくなって…?違うページだったの?なんだか、さっきは何を見たのか、よくわからないけど、賑わえ、ギャレリア。
      ※摸写です。
      ねず
    • 5丸顔の間抜けムーンボーイとか前のムーンボーイ絵を消した。
      目について、ごめんな。

      #氷と炎の歌 #ムーンボーイ
      #地獄の壁
      #スカイリム #声がでかいマーキュリオ

      マーキュリオ「認めろよ!俺がいないんで、道に迷ったんだろ?」
      ねず
    • 4ジョリーパスタパスタを食べにね「ジョリーパスタ」行ったの。
      チーズ臭いとか言われるのはイヤじゃない。
      ジョリーパスタでジョリーがパスタ食べてる『ねずがジョリーパスタ入った』記念イラストを描きたいんだけど、なんかね、面倒くさい。
      だからタイトルだけ。
      かなり古いイラスト。

      #いつものヤツら #ジョリーパスタ
      ねず
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